JP2007251041A - インダクタンス素子とそれを用いたアンテナ素子および通信型電子機器 - Google Patents

インダクタンス素子とそれを用いたアンテナ素子および通信型電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】アンテナ素子等に用いられるインダクタにおいて、L値やQ値等の特性およびそれらの温度特性を高めた上で、材料コストや設備コストの低減、さらに量産性の向上等を図ることで、製造工数や製造コストを低減して低コスト化する。
【解決手段】インダクタ1を構成する磁心は、複数の磁性金属薄板7の積層体からなる主磁心2と、主磁心の両端に配置された補助磁心3とを備える。補助磁心3は磁性粉体の固化体からなる。主磁心2の周囲には絶縁ケース8等の絶縁物を介してコイル導体4が巻回されている。インダクタ1は、主磁心2と補助磁心3とを有する磁心と、主磁心2の周囲に巻回されたコイル導体4を有するコイルとを具備している。
【選択図】図1

Description

本発明は、電波により信号の伝達を行う各種電子機器のアンテナ素子に好適なインダクタンス素子と、それを用いたアンテナ素子および通信型電子機器に関する。
近年、アンテナ素子や情報を記憶する回路素子を具備するデータキャリア部品と外部機器との間で、電波により信号の伝達を行うシステムが各種分野で使用されている。データキャリア部品としては、各種の物品管理や物流管理、入退出管理、各種チケット、車載用のキーレスエントリやイモビライザ、携帯電話等の携帯機器に利用されているRFタグ(信号周波数:120〜140kHz(代表的には134.2kHz))、ペンタグ(信号周波数:500kHz)、非接触ICカード(信号周波数:13.56MHz帯)等が実用化されている。
腕時計型電波時計、据置型電波時計、車載用電波時計等の電波時計においても、電波により外部機器との間で信号の伝達を行うシステムが利用されている。このような電波時計では40〜120kHzの信号搬送周波数が使用されている。例えば、日本や米国では40kHzや60kHzの信号搬送周波数が、また欧州では78kHzの信号搬送周波数が使用されている。電波時計はこのような信号搬送周波数に対応したアンテナ素子を備えている。
データキャリア部品や電波時計等のアンテナ素子には、磁心とコイルとを組合せたインダクタンス素子(インダクタ)が用いられている。従来、アンテナ素子の磁心にはフェライトが用いられてきたが、フェライトは脆いために割れが生じやすいという欠点に加えて、共振周波数や受信感度の温度変化が大きく、このために環境温度によっては受信性能が大幅に低下するという難点を有している。そこで、アンテナ素子用の磁心にアモルファス磁性合金薄板の積層物が使用されるようになってきている(例えば特許文献1〜3参照)。アモルファス磁心はフェライト磁心に比べてQ値(品質係数Q=ω・L/R(ω:角周波数,L:インダクタンス,R:抵抗))が高く、受信感度に優れている。
特開2004-166071号公報 特開2005-057444号公報 特開2005-198255号公報
アンテナ素子用の磁心では受信感度の向上を図るために、H形状(巻線を施す中央部に比べて両端の面積を大きくした形状)が適用されている。アモルファス磁心でH形状を実現するためには、アモルファス磁性合金薄板をH形状にプレス加工した後、それらを所望形状に積層する必要がある。H形状のアモルファス磁性合金薄板を積層して磁心を作製した場合、材料費や加工費(プレス金型費等を含む)が高くなることに加えて、通常のパーツフィーダではH形状のアモルファス磁性合金薄板が絡んでしまうことから量産が難しく、製造工数や製造コストの増加が避けられないという問題が生じる。
本発明はこのような課題に対処するためになされたもので、L値やQ値等のインダクタンス特性に優れると共に、それらの特性の温度変化が小さく、その上で量産性を向上させて製造工数や製造コストの低減を図ったインダクタンス素子とそれを用いたアンテナ素子および通信型電子機器を提供することを目的としている。
本発明の態様に係るインダクタンス素子は、複数の磁性金属薄板の積層体からなる主磁心と、前記主磁心の両端に配置され、磁性粉体の固化体からなる補助磁心とを備える磁心と、前記主磁心の周囲に絶縁物を介して巻回された巻線を有するコイルとを具備することを特徴としている。
本発明の他の態様に係るアンテナ素子は、本発明の態様に係るインダクタンス素子と、前記インダクタンス素子と電気的に接続されたコンデンサとを具備することを特徴としている。本発明のさらに他の態様に係る通信型電子機器は、本発明の態様に係るアンテナ素子と、前記アンテナ素子を介して外部機器との間で信号の伝達を行う電子機器本体とを具備することを特徴としている。
本発明の態様に係るインダクタンス素子は、巻線を施す主磁心に磁性金属薄板の積層体を適用すると共に、その両端に磁性粉体の固化体からなる補助磁心を配置しているため、L値やQ値等のインダクタンス特性やそれらの温度特性の向上を図った上で、製造工数や製造コストを低減することができる。従って、そのようなインダクタンス素子を使用することによって、安価で高性能なアンテナ素子、さらに通信型電子機器を提供することが可能となる。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。なお、以下では本発明の実施形態を図面に基づいて説明するが、それらの図面は図解のために提供されるものであり、本発明はそれらの図面に限定されるものではない。
図1は本発明の第1の実施形態によるインダクタンス素子(インダクタ)とそれを用いたアンテナ素子の構成を示す断面図である。同図に示すインダクタ1は、主磁心2と補助磁心3とで構成された磁心と、主磁心2の周囲にコイル導体(巻線)4を所定のターン数で巻回して構成したコイル(ソレノイドコイル)とを具備している。インダクタ1(L)はコンデンサ5(C)と電気的に接続されており、これらによってアンテナ素子6(LC回路)が構成されている。
主磁心2は複数の磁性金属薄板7の積層体からなり、例えば絶縁ケース8に収納されている。絶縁ケース8は筐体形状を有しており、主磁心2の外周面全体が絶縁ケース8で覆われている。従って、コイル導体4は絶縁ケース8を介して主磁心2の周囲に巻回されている。主磁心2の外周面の絶縁は図1に示した絶縁ケース8に限らず、図2に示すように主磁心2の外周面全体に絶縁テープ9を巻き付けて実施してもよい。
主磁心2を構成する磁性金属薄板7には、例えばアモルファス磁性合金薄板や微結晶磁性合金薄板等が用いられる。アモルファス磁性合金薄板としては、例えば
一般式:(T1-aa100-bb …(1)
(式中、TはCoおよびFeから選ばれる少なくとも1種の元素を、MはNi、Mn、Cr、Ti、Zr、Hf、Mo、V、Nb、W、Ta、Cu、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、ReおよびSnから選ばれる少なくとも1種の元素を、XはB、Si、CおよびPから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、aおよびbは0≦a≦0.3、10≦b≦35at%を満足する数である)
で表される組成を有するものが挙げられる。
上記した(1)式において、T元素は磁束密度、磁歪値、鉄損等の要求される磁気特性に応じて組成比率を調整するものとする。M元素は熱安定性、耐食性、結晶化温度の制御等のために添加される元素である。M元素の添加量はaの値として0.3以下とすることが好ましい。M元素の添加量があまり多すぎると相対的にT元素量が減少することから、アモルファス磁性合金薄板の磁気特性が低下する。M元素の添加量はaの値として0.01〜0.15の範囲とすることがより好ましい。
X元素はアモルファス合金を得るのに必須の元素であり、特に硼素(B)は合金のアモルファス化に有効な元素、珪素(Si)はアモルファス相の形成を助成したり、また結晶化温度の上昇に有効な元素である。X元素の含有量があまり多すぎると透磁率の低下や脆さが生じ、逆に少なすぎるとアモルファス化が困難になる。このようなことから、X元素の含有量は10〜35at%の範囲とすることが好ましい。X元素の含有量は15〜25at%の範囲とすることがさらに好ましい。
磁性金属薄板7として用いるアモルファス磁性合金薄板は、例えば液体急冷法(溶湯急冷法)により作製される。具体的には、所定の組成比に調整した合金素材を溶融状態から急冷することにより得られる。微結晶磁性合金薄板は、例えば液体急冷法によりアモルファス合金薄板を作製した後、その結晶化温度に対して-50〜+120℃の範囲の温度で1分〜5時間の熱処埋を行い、微結晶粒を析出させる方法、あるいは液体急冷法の急冷速度を制御して、微結晶粒を直接析出させる方法等により得ることができる。
アモルファス磁性合金薄板等からなる磁性金属薄板7の厚さは5〜50μmの範囲とすることが好ましい。磁性金属薄板7の厚さが50μmを超えると透磁率が低くなり、インダクタ1としての特性が低下するおそれがある。一方、磁性金属薄板7の板厚を5μm未満としても、それ以上の効果が得られないばかりか、逆に製造コストの増加等を招くことになる。磁性金属薄板7の厚さは5〜35μmの範囲とすることがより好ましく、さらに好ましくは10〜25μmの範囲である。磁性金属薄板7は必要に応じて層間絶縁層を介して積層され、そのような積層物で主磁心2が構成されている。
補助磁心3は磁性粉体の固化体からなり、磁心の全体形状が例えばH形状(磁心の巻線を施す中央部(ここでは主磁心2)に比べて両端(ここでは補助磁心3)の面積を大きくした形状)となるように、主磁心2の両端に配置されている。補助磁心3を構成する磁性粉体には例えばフェライトが用いられる。すなわち、補助磁心3には例えばフェライト粉末の焼結体やフェライト粉末を結合材で固化したもの等が適用される。補助磁心3の構成材料には、いわゆるソフトフェライトが用いられる。
図1に示すインダクタ1は主磁心2と補助磁心3との間に絶縁ケース8が介在されており、また図2に示すインダクタ1は主磁心2と補助磁心3との間に絶縁テープ9が介在されている。これらによって、補助磁心3は主磁心2と非接触状態で配置されている。主磁心2と補助磁心3との非接触配置は、絶縁ケース8や絶縁テープ9等の絶縁物の介在に限らず、これらを空間的に離して実現してもよい。なお、主磁心2と補助磁心3とは非接触配置に限られるものではなく、接触配置を適用してもよいが、インダクタ1やアンテナ素子6の温度特性をより一層改善する上で非接触配置を適用することが好ましい。
上述した磁心(主磁心2および補助磁心3)とコイル(コイル導体4)とを具備するインダクタ1において、コイル導体4が巻回される主磁心2はアモルファス磁性合金薄板等の磁性金属薄板7の積層体で構成しているため、L値やQ値(特にL値)の温度変化を抑制することができる。これによって、インダクタ1やそれを用いたアンテナ素子6の特性を、環境温度等にかかわらず安定して発揮させることができる。すなわち、L値やQ値の温度特性に優れるインダクタ1、さらには受信性能の温度特性に優れるアンテナ素子6を提供することが可能となる。
また、主磁心2の両端には磁心の端部面積を増大させる補助磁心3が配置されているため、インダクタ1を構成する磁心のL・Q値を高めることができる。従って、そのようなインダクタ1を用いることによって、受信感度に優れるアンテナ素子6を提供することが可能となる。さらに、安価な磁性粉体の固化体からなる補助磁心3を適用することで、磁心全体の製造コストの低減が図れるだけでなく、主磁心2は長方形等の単純な矩形状の磁性金属薄板7で構成できるため、製造工数や製造コストの低減を図ることが可能となる。
すなわち、矩形状の磁性金属薄板7は例えばスリットされた薄板材を切断して得ることができるため、例えばH形状の磁性金属薄板のようにプレス型を用いる必要がない。従って、磁性金属薄板7の作製に要する設備費を低減することが可能となる。さらに、単純な矩形状の磁性金属薄板7であれば、パーツフィーダ等を用いて容易に整列化が可能であるため、積層加工に要する工数やコストを大幅に削減することができる。すなわち、主磁心2の量産性の向上、低コスト化等を図ることが可能となる。このような量産性や低コスト性に優れる主磁心2と安価な補助磁心3とを組合せることによって、インダクタ1の製造工数や製造コストを低減することが可能となる。
補助磁心3には特性の温度変化が大きいフェライト粉末の固化体等が使用されるが、コイル導体4は磁性金属薄板7の積層体からなる主磁心2に巻回されており、補助磁心3には巻回されていないため、補助磁心3の温度変化はインダクタ1の特性にあまり影響を及ぼすことがない。従って、インダクタ1やアンテナ素子6の温度特性を向上させることが可能となる。特に、図1や図2に示したインダクタ1は主磁心2と補助磁心3との間に絶縁ケース8や絶縁テープ9等の絶縁物が介在され、これにより補助磁心3は主磁心2と非接触状態で配置されているため、温度による形状変化が特性に影響しなくなる。
すなわち、補助磁心3を主磁心2と非接触状態で配置することによって、磁性粉体の固化体からなる補助磁心3の形状が環境温度等で変化しても、それがコイル導体4を巻回した主磁心2の特性に影響を及ぼすことがない。従って、インダクタ1のL・Q値の温度変化を大幅に低減することができる。これによって、L・Q値の温度特性に優れるインダクタ1、さらに受信感度の温度特性に優れるアンテナ素子6を提供することが可能となる。
ただし、主磁心2と補助磁心3とが離れすぎると、補助磁心3を配置したことによる磁心特性の向上効果(磁束の集束によるアンテナ特性の向上効果等)を十分に得ることができなくなるため、補助磁心3は主磁心2との間の距離が1mm以下となるように配置することが好ましい。主磁心2と補助磁心3とが近すぎると、補助磁心3の温度変化が主磁心2に影響するおそれがあるため、補助磁心3は主磁心2との間の距離が20μm以上となるように配置することが好ましい。主磁心2と補助磁心3との間の距離は200〜700μmの範囲とすることがより好ましい。
主磁心2と補助磁心3とを非接触配置するにあたって、それらの間に絶縁ケース8や絶縁テープ9等の絶縁物を介在させた場合には、補助磁心3は主磁心2の周囲に配置した絶縁ケース8や絶縁テープ9等と接着固定してもよい。これによっても、主磁心2と補助磁心3との非接触配置による効果を得ることができる。さらに、主磁心2は図2に示したように、補助磁心3に設けた凹部3a内に端部を嵌め込むようにして配置してもよい。
次に、本発明の第2の実施形態によるインダクタンス素子(インダクタ)とそれを用いたアンテナ素子について、図3および図4を参照して説明する。図3は第2の実施形態によるインダクタとそれを用いたアンテナ素子の構成を示す平面図、図4は図3に示すインダクタの断面図である。これらの図に示すインダクタ11は第1の実施形態と同様に、主磁心2と補助磁心3とで構成された磁心と、主磁心2の周囲に巻回されたコイル導体(巻線)4を有するコイルとを具備している。インダクタ11はコンデンサ5と電気的に接続されており、これによってアンテナ素子6(LC回路)が構成されている。
第2の実施形態によるインダクタ11の各部、すなわち主磁心2、補助磁心3、コイル導体4等は、第1の実施形態と同様な構成を有している。例えば、主磁心2は複数の磁性金属薄板の積層体からなり、補助磁心3は磁性粉体の固化体からなる。コイル導体4は主磁心2の周囲に絶縁ケース8や絶縁テープ9等の絶縁物を介して巻回されている。これらコイル導体4が巻回された主磁心2と補助磁心3は、それぞれ筐体12に設けられた凹部12a、12b内に収納配置されている。
すなわち、筐体12は主磁心2の形状に対応した凹部12aと補助磁心3の形状に対応した凹部12b内を有している。これらの凹部12a、12bはそれぞれ独立した状態で形成されており、各凹部12a、12b間は隔壁13で隔離されている。このような筐体12の凹部12a、12b内にコイル導体4が巻回された主磁心2と補助磁心3がそれぞれ独立した状態で配置されている。これによって、主磁心2と補助磁心3とは空間的に隔離されており、非接触状態での配置を実現している。
このように、主磁心2と補助磁心3とを空間的に隔離して非接触配置とすることによって、補助磁心3の温度による形状変化が主磁心2の特性に影響を及ぼさなくなる。従って、インダクタ1のL・Q値の温度変化をより一層低減することができるため、インダクタ1のL・Q値の温度特性、さらにはアンテナ素子6の受信感度の温度特性を大幅に向上させることが可能となる。ただし、前述したように主磁心2と補助磁心3とが離れすぎると、補助磁心3の配置効果が十分に得られなくなるため、主磁心2と補助磁心3との間の距離は20μm〜1mmの範囲、さらには200〜700μmの範囲とすることが好ましい。
上述した各実施形態のインダクタ1、11はアンテナ素子6に限らず、方位センサのような磁気センサ等に適用することができる。特に、インダクタ1、11は信号搬送周波数が120〜140kHzのRFタグや信号搬送周波数が500kHz程度のペンタグ等のデータキャリア部品、また信号搬送周波数が40〜120kHzの電波時計のアンテナ素子として好適である。このような通信型電子機器のアンテナ素子6にインダクタ1、11を適用することによって、データキャリア部品や電波時計等の通信型電子機器の小型・高性能化、低コスト化等を図ることが可能となる。
インダクタ1、11はそれを搭載する通信型電子機器の小型化や薄型化等に有効であることから、例えば腕時計型電波時計やデータキャリア部品のような携帯型の電子機器に好適に使用されるものである。なお、データキャリア部品は、例えばインダクタ1、11を備えるアンテナ素子6と、情報を記憶する素子やその他の回路等を含む回路部品(例えばICチップ)とを具備する。このようなデータキャリア部品と外部機器(リーダライタ等)との間で、電波により信号の伝達が行われる。また、電波時計はインダクタ1、11を備えるアンテナ素子6で外部機器からの電波を受信して時刻を修正するものである。
次に、本発明の具体的な実施例およびその評価結果について述べる。
実施例1
厚さ20μmのCo基アモルファス合金板材(組成:Co67.6Fe4Nb0.2Cr0.2Si1612)を1.2mm×25mmの矩形状に切断することによって、35枚の磁性金属薄板を用意した。これら35枚の磁性金属薄板を積層した後、マッチ箱状のLCP樹脂からなる絶縁ケース(厚さ:0.5mm)に収納した。このようにして得た主磁心の周囲に、直径0.08mmのコイル導体(UEW線)を、巻幅が11mm、ターン数が1200となるように巻回した。
さらに、このようなコイル体の両端に直方体形状(4mm×3mm×3mm)のフェライト磁心(補助磁心)を配置した。フェライト粉末の固化体からなる補助磁心は、Co基アモルファス磁性合金薄板の積層体からなる主磁心と絶縁ケースを介して非接触状態で配置されており、その間の距離は絶縁ケースの板厚に相当する0.5mmとされている。このようにして得たインダクタを後述する特性評価に供した。
実施例2
上記した実施例1と同様に、磁性金属薄板として35枚のCo基アモルファス磁性合金薄板(板厚:20μm)を用意し、これらを積層した後にポリイミドフィルムからなる絶縁テープ(厚さ:0.05mm)を巻き付けた。こうして得た主磁心の周囲に直径0.08mmのコイル導体(UEW線)を、巻幅が11mm、ターン数が1200となるように巻回した。
さらに、このようなコイル体の両端に直方体形状(4mm×3mm×3mm)のフェライト磁心(補助磁心)を配置した。フェライト粉末の固化体からなる補助磁心は、Co基アモルファス磁性合金薄板の積層体からなる主磁心と絶縁テープを介して非接触状態で配置されており、その間の距離は絶縁テープの厚さに相当する0.05mmとされている。このようにして得たインダクタを後述する特性評価に供した。
実施例3
上記した実施例1と同様に、磁性金属薄板として35枚のCo基アモルファス磁性合金薄板(板厚:20μm)を用意し、これらを積層した後に両端が開放された円筒形状の絶縁ボビンに収納した。こうして得た主磁心の周囲に直径0.08mmのコイル導体(UEW線)を、巻幅が11mm、ターン数が1200となるように巻回した。
さらに、このようなコイル体の両端に直方体形状(4mm×3mm×3mm)のフェライト磁心(補助磁心)を配置した。絶縁ボビンは両端が開放された形状を有するため、Co基アモルファス磁性合金薄板の積層体からなる主磁心とフェライト粉末の固化体からなる補助磁心とは接触状態にある。このようにして得たインダクタを後述する特性評価に供した。
比較例1
実施例1と同組成のCo基アモルファス合金板材(板厚:20μm)にプレス加工を施し、ストレート部分の形状が1.2×25mm、両端部の形状が5×4mmのH形状を有する磁性金属薄板を用意した。このようなH形状の磁性金属薄板を35枚積層した後、LCP樹脂からなる絶縁ケースに収納した。こうして得た磁心の周囲に直径0.08mmのコイル導体(UEW線)を、巻幅が11mm、ターン数が1200となるように巻回した。このようにして得たインダクタを後述する特性評価に供した。
比較例2
比較例1と同様なH形状を有するフェライト磁心を用意した。このH形状のフェライト磁心のストレート部分(1×1mm角)の周囲に直径0.08mmのコイル導体(UEW線)を、巻幅が11mm、ターン数が1200となるように巻回した。このようにして得たインダクタを後述する特性評価に供した。
上述した各実施例および比較例のインダクタについて、アンテナ素子に必要とされる40kHz(室温25℃)におけるインダクタンスL値およびQ値をLCRメータ(YHP社製4192A)で測定した。さらに、室温(25℃)に対して-20℃(5℃)と+60℃(85℃)でのL値およびQ値を測定し、これらの温度特性を評価した。これらの測定結果を表1に示す。表1において、上段は各温度による実測値、下段は室温に対する変化率である。また、各磁心の量産性を比較するために、使用した磁性体がパーツフィーダで整列可能かどうかを評価した。その結果を表2に示す。
なお、各例のインダクタは巻線条件を同一とし、通常電波時計用アンテナ素子に要求されるインダクタンスが20mHとなるように磁心形状を設計したものである。L値はコンデンサと組合せて受信アンテナを構成した際に、共振周波数を決定する要素として重要な特性である。Q値はその受信感度(電圧)の大きさを決定する特性値である。
Figure 2007251041
Figure 2007251041
表1から明らかなように、実施例1〜3によるインダクタはいずれも比較例2に対してQ値およびL値の温度特性に優れることが分かる。特に、実施例1、2は実施例3に比べてL値の温度特性に優れ、比較例1と同等の特性が得られている。これはコイル導体を巻回した主磁心を補助磁心と非接触としているためである。その上で、実施例1〜3はいずれも磁心の作製にあたってパーツフィーダの使用が可能であることから、比較例1に比べて量産性を高めることができ、さらに製造コストの低減を図ることが可能となる。
本発明の第1の実施形態によるインダクタンス素子とそれを用いたアンテナ素子の構成を示す図である。 図1に示すインダクタンス素子の変形例を示す図である。 本発明の第2の実施形態によるインダクタンス素子とそれを用いたアンテナ素子の構成を示す平面図である。 図3に示すインダクタンス素子の断面図である。
符号の説明
1,11…インダクタ、2…主磁心、3…補助磁心、4…コイル導体、5…コンデンサ、7…磁性金属薄板、8…絶縁ケース、9…絶縁テープ、12…筐体。

Claims (10)

  1. 複数の磁性金属薄板の積層体からなる主磁心と、前記主磁心の両端に配置され、磁性粉体の固化体からなる補助磁心とを備える磁心と、
    前記主磁心の周囲に絶縁物を介して巻回された巻線を有するコイルと
    を具備することを特徴とするインダクタンス素子。
  2. 請求項1記載のインダクタンス素子において、
    前記補助磁心は前記主磁心と非接触状態で配置されていることを特徴とするインダクタンス素子。
  3. 請求項2記載のインダクタンス素子において、
    前記補助磁心は前記主磁心との間の距離が20μm以上1mm以下となるように配置されていることを特徴とするインダクタンス素子。
  4. 請求項2または請求項3記載のインダクタンス素子において、
    前記主磁心は絶縁ケース内に収納されており、かつ前記主磁心と前記補助磁心との間には前記絶縁ケースが介在していることを特徴とするインダクタンス素子。
  5. 請求項2または請求項3記載のインダクタンス素子において、
    前記主磁心の周囲には絶縁テープが巻回されており、かつ前記主磁心と前記補助磁心との間には前記絶縁テープが介在していることを特徴とするインダクタンス素子。
  6. 請求項4または請求項5記載のインダクタンス素子において、
    前記補助磁心は前記絶縁ケースまたは前記絶縁テープに接着固定されていることを特徴とするインダクタンス素子。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか1項記載のインダクタンス素子において、
    前記磁性金属薄板はアモルファス磁性合金からなり、かつ前記磁性粉体はフェライトからなることを特徴とするインダクタンス素子。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれか1項記載のインダクタンス素子と、
    前記インダクタンス素子と電気的に接続されたコンデンサと
    を具備することを特徴とするアンテナ素子。
  9. 請求項8記載のアンテナ素子と、
    前記アンテナ素子を介して外部機器との間で信号の伝達を行う電子機器本体と
    を具備することを特徴とする通信型電子機器。
  10. 請求項9記載の通信型電子機器において、
    電波時計であることを特徴とする通信型電子機器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011004316A (ja) * 2009-06-22 2011-01-06 Murata Mfg Co Ltd アンテナ装置
JP2012095350A (ja) * 2012-01-12 2012-05-17 Murata Mfg Co Ltd アンテナコイル及びアンテナ装置
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WO2015194895A1 (ko) * 2014-06-19 2015-12-23 주식회사 아모그린텍 저주파 안테나, 그의 제조방법 및 이를 이용한 키레스 엔트리 시스템

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