JP2004356468A - 積層磁気コアおよび磁性部品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】導電性の磁性材からなる磁性薄帯11を絶縁層12を介して積層した磁気コアであり、該磁気コアは前記磁性薄帯からなる2つの主面と積層断面からなる4つの主面を有し、そのうちの磁性薄帯からなる主面の面積は、積層断面からなる少なくとも1つの主面の面積よりも小さいことを特徴とする磁気コアである。また線状もしくは短冊状の複数の導電性を有する磁性材が互いに絶縁材を介して縦横方向に並列に並べられて形成された磁気コアであり、個々の線状もしくは短冊状の磁性材は磁気コアの2つの端面間で連続であることを特徴とする磁気コアである。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トランス、インダクタ、アンテナなどの磁性応用製品、部品およびそれらに用いられる磁気コアに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子・通信分野の目覚しい発展に伴い,電気・電子機器に用いられる磁気応用製品の需要の拡大、これに伴う製品形態の多様化が急速に進んでおり、特に携帯機器の普及に伴って、薄型化、小型化、高効率化の要求が高まっている。これらの機器に用いられる、電子部品においては、より薄型化、小型化、高効率化が望まれている。
【0003】
金属磁性薄板材料とくに非晶質金属薄帯は、磁気特性が優れることから、電子部品を構成する磁気コアに用いることにより、薄型化、小型化、もしくは高性能化を可能とする潜在ポテンシャルをもつ材料である。
【0004】
金属磁性材料を小型電子機器に使用される磁性部品として磁気コアに応用する形態として、図6に示すように、通常、磁束が外部に漏れる形態で使用される開磁路のコアを用いるものが多い。たとえば、特許文献1(特開平5−267922号公報)には、金属磁性薄板の積層体を磁気コアとして用いるに当たり、薄板を形状加工し、厚みの薄い方向に積み重ねる方法が用いられている。
【0005】
【特許文献1】特開平5−267922号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
磁性材料を用いた磁性コアを用いる電子部品において、低ロス、高Q値が得られる磁性薄板積層コアを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、導電性を有する磁性材料を用いた磁気コアにおいて、磁性板を積層する方向を種々検討することにより、低ロス、高Qが得られる磁性薄板積層コアが得られることを見出した。
【0008】
すなわち本発明は、導電性の磁性材からなる磁性板を絶縁層を介して積層した磁気コアであり、該磁気コアは前記磁性板からなる2つの主面と積層断面からなる4つの主面を有し、そのうちの磁性板からなる主面の面積は、積層断面からなる少なくとも1つの主面の面積よりも小さいことを特徴とする磁気コアである。
【0009】
また本発明は、線状もしくは短冊状の複数の導電性を有する磁性材が互いに絶縁材を介して縦横方向に並列に並べられて形成された磁気コアであり、個々の線状もしくは短冊状の磁性材は磁気コアの2つの端面間で連続であることを特徴とする磁気コアである。
【0010】
これら前記磁性材が、非晶質金属もしくはナノ結晶金属、ケイ素鋼板、パーマロイのいずれかであることが好ましい。
【0011】
また、本発明の磁気コアは、複数の金属磁性薄板もしくは線状の金属磁性材料がケースに収められている態様で用いることができる。その場合複数の金属磁性薄板もしくは線状の金属磁性材料はケースの中で互いに空気を介して並列に並べられていてもよい。
【0012】
前述の主面は平面でもよいし、曲面でもよい。特に磁性板を長手方向に湾曲した形で得られる弓形形状の磁気コアが好ましい態様である。また主面が平面で直方体になっている磁気コアは別の好ましい態様である。
また磁性板からなる主面は磁性板が露出していてもよいし、磁性板が表面に露出しないでその上に保護層あるいは絶縁層などで覆われていてもよい。
積層断面とは磁性材が絶縁層を介して積層された方向に沿った外表面をいう。積層断面は保護材あるいは絶縁材などで被覆されていてもよい。
【0013】
また本発明は、これらの磁気コアに巻線が施された磁性部品であり、巻線への通電により磁束が発生する方向、もしくは外部磁界により磁束が誘起される方向において、磁性板は連続していることを特徴とする磁性部品である。
【0014】
このように絶縁層で遮断されずに磁性板が連続する方向に磁束が発生するように巻線を施すことにより、磁性板に磁気的なギャップを生じさせることがない。また同様に、巻線により検知される外部磁界によって誘起される磁束が、磁性板が連続した方向に誘起されるように巻線を施すことにより、磁気的なギャップを生じさせることがない。
【0015】
一般にはこのような2つの状況を満たすためには、巻線に垂直方向で磁性板が連続であればよい。
【0016】
本発明の磁気コアは、磁性部品としてのトランス、インダクタ、アンテナに従来の磁気コアに置き換えることで用いることができる。特にアンテナに好適に用いられる。Q値が高く高感度のアンテナが得られる。アンテナの中でも電波時計や車載用受発信装置のアンテナに好適である。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明を図を用いて詳細に説明する。
【0018】
図1に示すように磁気コア10は、磁性板11と絶縁層12を交互に積層したものである。座標軸をl、m、nととったとき、磁気コア10内部に磁束を発生させるもしくは外部磁界により磁束が発生する方向をlとし、金属磁性板はこの方向に連続した薄板である。一方lに垂直な方向をm、nとし長辺方向のmの方向に磁性板11と絶縁層12を積み重ねた直方体となっている。磁気コアの積層断面は、m−n面に平行な側面およびl−m面に平行な側面である。また磁性板からなる主面はl−n面に平行な面である。この時各辺の長さをL,M、NとしてL>M>Nとすることにより、磁性板からなる主面(l−n面に平行)の面積は、l−m面に平行な積層断面よりも小さくしている。そしてこの磁気コアにm−n面とほぼ平行に導線を巻回してコイルを形成することにより(図示せず)、磁性部品が得られる。この磁性部品は、導線に電流を流すことによりl方向に磁束が発生し、またl方向に有効な外部磁界を与えることによりl方向に磁束が誘起される。
【0019】
一方比較のため従来の磁気コアを図6に示す。この磁気コアは直方体の各辺は図1と同じにして体積は同じである。一番面積の大きなl−m面を磁性板11で形成してn方向に絶縁体12を介して積層している。
【0020】
本発明による図1の磁気コアは、m方向では磁性体は絶縁層により分断されて電気的にも不連続となっていて、そのうえ個々の磁性体の面積を同体積の従来の磁気コアよりも小さくすることができる。これにより電流損失を抑制することができQ値が向上する。またl方向では磁性板は両端面の間で連続でありしたがって磁束が発生または誘起されるl方向には磁気的なギャップが生じないで、巻線を設けて磁性部品にした時に電磁変換効率が向上する。
【0021】
また、図2には、短冊状の複数の金属磁性体13を絶縁材14を介して縦横方向(図2ではn方向とm方向に)並列に並べて直方体に形成された磁気コアを示す。ここではm、nいずれの方向にも金属磁性体が不連続であり、mの方向に積み重ねられた磁性薄板積層体が、nの方向に金属磁性材料が分断された形態であり、その間は不連続となっている形態である磁気コアとすることによりQ値の大巾な改善ができる磁気コアが得られる。
【0022】
さらに、nの方向に分断される個数が多いほど好ましい。数cm程度の小型電子部品においては、通常分断される個数は、2〜100程度であり、分断数を増すことにより加工コストが増加することから、通常2〜10程度が望ましい。
【0023】
また、本発明においては、用いる金属磁性材料に、薄板状加工された細巾の金属磁性薄板、または、金属磁性材料が線状に加工されたワイヤー状形態のものを用いることも可能である。
【0024】
さらに、図2に示すように前記M>Nの直方体形状の磁気コアにおいても同様に、磁束方向lに垂直なm、nの方向において、それぞれの方向の長さがM>Nであるコア形状において、薄板が短辺方向nの方向に電気的に連続であり、長辺方向のmの方向に磁性薄板を絶縁層を介して積み重ねられた形態である。金属磁性薄板をnの方向に分断することにより、nの方向にも電気的な境界層を有する形態とすることにより、さらにQ値、ロスの改善が可能である。
【0025】
一方、磁気コアの形状は直方体等の形状以外でも、本発明を応用することが可能である。図4に示すように磁性板15を長手方向に湾曲した形で絶縁層16を介して積層された弓形形状の磁気コアが好ましい態様である。この場合外側に湾曲した面と内側に湾曲した面が磁性板からなる主面であり、この2つの主面の面積が異なるが、いずれの面積も4つあるうちの1つの積層断面17よりも小さくしている。
【0026】
このような円弧状の立体形状の場合においては、積層方向(円弧の中心に向かう方向)に導電線を巻回することにより、扱う磁束の方向は円弧に沿った方向となる。この円弧の中心に向かう方向で絶縁層で電気的に不連続になることにより、Q値、ロスの向上が可能となる。
【0027】
また図5に示す磁気コアは、線状の金属磁性体18を並列に縦横に並べこれを樹脂19で固めて、線の長手方向に磁性体が連続しており、隣接する線同士は絶縁体の樹脂19で隔離されている。この磁気コアで線の長手方向に垂直な面に平行に巻線をすることで、磁性部品を得ることができる。
【0028】
[金属磁性材料]
本発明に用いる金属磁性材料には、Fe系、Co系の非晶質金属薄帯、ナノ結晶金属薄帯、パーマロイ、けい素鋼板等が用いられる。これらのなかでも、非晶質金属薄帯、ナノ結晶金属薄帯を用いることが望ましく、さらに好ましくはCo系の非晶質金属薄帯を用いることが望ましい。
【0029】
磁性薄板を用いる場合には、通常板厚5〜1000μmのものが用いられ、特性向上を得るためには、好ましくは5〜100μm、さらに好ましくは10〜30μmのものを用いることが好ましい。
【0030】
また、非晶質金属材料の例としては、通常溶融金属を急冷ロールを用いて、急冷して得られる。通常は10〜50μmの厚さであり、好ましくは10〜30μmの厚さの薄帯が用いられる。Fe系非晶質金属材料としては、Fe−Si−B系、Fe−B系、Fe−P−C系などのFe−半金属系非晶質金属材料や、Fe−Zr系、Fe−Hf系、Fe−Ti系などのFe−遷移金属系非晶質金属材料を挙げることができる。Co系非晶質金属材料としてはCo−Si−B系、Co−B系などの非晶質金属材料が例示できる。
【0031】
これらの中でも、非晶質金属薄帯の組成が、一般式(Co1−c Fec)100−a−bXaYb(式中のXは、Si,B,C,Geから選ばれる少なくとも1種類以上の元素を表し、YはZr,,Nb,Ti,Hf,Ta,W,Cr,Mo,V,Ni,P,Al,Pt,Rh,Ru,Sn,Sb,Cu,Mn希土類元素から選ばれる少なくとも1種類以上の元素で表される。c,a,bは、それぞれ、0≦c≦0.2、10<a≦35、0≦b≦30ここでa,bは原子%)で表される組成が好ましい。上記非晶質金属薄帯のCoのFe置換は非晶質合金の飽和磁化の増加に寄与する傾向にある。このため、置換量cは0≦c≦0.2であることが好ましい。さらに、0≦c≦0.1であることが好ましい。
【0032】
X元素は本発明に用いる非晶質金属薄帯を製造する上で、非晶質化のために結晶化速度を低減するために有効な元素である。X元素が10原子%より少ないと、非晶質化が低下して一部結晶質が混在し、また、35原子%を超えると、非晶質構造は得られるものの合金薄帯の機械的強度が低下し、連続的な薄帯が得られなくなる。したがって、X元素の量aは、10<a≦35であることが好ましく、さらに好ましくは、12≦a≦30である。
【0033】
Y元素は、本発明に用いる非晶質金属薄帯の耐食性に効果がある。この中で特に有効な元素は、Zr,Nb,Mn,W,Mo,Cr,V,Ni,P,Al,Pt,Rh,Ru元素である。Y元素の添加量は30%以上になると、耐食性の効果はあるが、薄帯の機械的強度が脆弱になるため、0≦b≦30であることが好ましい。さらに好ましい範囲は、0≦b≦20である。
【0034】
また、前記非晶質金属薄帯は、例えば、所望組成の金属を調合したものを高周波溶解炉等を用いて溶融し、均一な溶融体としたものを、不活性ガス等でフローして、急冷ロールに吹き付けて、急冷して得られる。通常は厚さ5〜100μmであり、好ましくは10〜30μmの薄帯が用いられる。
【0035】
前記金属磁性薄板をケースに内挿してコアとして用いることも可能であるが、矩形状の磁性薄板が、樹脂と交互に積層された、積層体として用いることもできる。
【0036】
[絶縁層]
絶縁体としては、空気のほか、樹脂などの有機化合物、セラミックなどの無機化合物などを挙げることができる。本発明においては、樹脂を用いることが好ましく、以下、樹脂について説明する。
【0037】
本発明に用いられる樹脂は、通常の接着性の樹脂を用いることができる。
接着性の樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ケイ素含有樹脂、ケトン系樹脂、ポリアミド樹脂、液晶ポリマー、ニトリル系樹脂、ポリチオエ−テル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレ−ト樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリアミドイミド樹脂を挙げることができる。これらのうちポリイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリアミドイミド樹脂を用いるのが好ましい。
【0038】
本発明に用いられる金属磁性材料として、非晶質金属薄帯を用いる場合においては、耐熱性樹脂を選択することにより、さらに磁気特性を向上し、工程改善をすることが可能である。
【0039】
本発明においては、積層接着後に磁気特性を向上するための熱処理をすることによって、磁気特性をさらに向上する、または工程を大幅に改善することが可能である。
【0040】
すなわち、非晶質金属薄帯に耐熱性樹脂を付与した基材を作製し、この基材を予め積層接着した後、磁気特性向上のための熱処理い、積層体を作製する。
この熱処理された積層体を形状加工することにより、直方体状の磁気コアを作製することができる。
【0041】
耐熱性樹脂としては、非晶質金属薄帯の磁気特性を向上させる最適熱処理温度で熱処理される温度で、熱分解の少ない材料を用いる。非晶質金属薄帯の熱処理温度は、非晶質金属薄帯を構成する組成および目的とする磁気特性により異なるが、良好な磁気特性を向上させる温度は概ね200〜500℃の範囲にあり、さらに好ましくは300℃〜500℃の範囲である。
【0042】
本発明に用いられる耐熱性樹脂としては、熱可塑性、非熱可塑性、熱硬化性樹脂を挙げることができる。中でも熱可塑性樹脂を用いるのが好ましい。
【0043】
熱可塑性の耐熱性樹脂を用いることで、前記非晶質金属薄帯の少なくとも一部に耐熱性樹脂を付与した後、もしくは耐熱性樹脂の前駆体を付与し該耐熱性樹脂を形成した後、この磁性基材を積層し、磁性基材の積層体を得ることができる。この製造方法により、耐熱性樹脂を樹脂化しているため、室温でタック性がなく、また安定であるため、取り扱いが簡便であり、積層時の作業性がよく工程の歩留まりが向上できるメリットがある。
【0044】
本発明に用いられる耐熱性樹脂は、前処理として120℃で4時間乾燥を施し、その後、窒素雰囲気下、300℃で2時間保持した際の重量減少量を、DTA−TGを用いて測定され、通常1%以下、好ましくは0.3%以下であるものが用いられる。
【0045】
本発明に用いられる樹脂は、上記の耐熱性に加えて下記の特性を兼ね備えている樹脂であることがさらに好ましい。
【0046】
ここで、非晶質金属薄帯にポリイミド樹脂を付与する際の液状樹脂としては、好ましくは、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を用いて行い、熱的あるいは化学的にイミド化させて、ポリイミド樹脂とする。なお、ポリアミド酸を非晶質金属薄帯に付与する場合は必要に応じて溶媒を用いてもよい。
【0047】
さらに,本発明に使用するポリイミドとしては、以上のような鎖状型ポリイミド樹脂だけでなく、可溶性ポリイミド樹脂も好ましく使用することができる。可溶性ポリイミド樹脂を溶剤に溶かして液状とし、適切な粘度に調整して、非晶質金属薄帯に塗布し、加熱して溶剤を揮発して樹脂を形成することができる。
以下、本発明の実施例について示す。
【0048】
【実施例1】
磁性材料である非晶質金属薄帯として,ハネウェル社製、Metglas:2714A、幅50.8mm,厚み約15μmである非晶質金属薄帯を使用した。この薄帯の片面全面にE型粘度計で測定し、約0.3Pa・sの粘度のポリアミド酸溶液を付与し,140℃で乾燥後、260℃でキュアし、非晶質金属薄帯の片面に約6ミクロンの耐熱樹脂(ポリイミド樹脂)を付与し基材を作製した。
【0049】
ポリアミド酸溶液は、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンと3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸ニ無水物を1:0.98の割合でジメチルアセトアミド溶媒中で室温にて縮重合して得られたものであり、ジメチルアセトアミドで希釈して用いた。この基材を1.7mm厚になるように260℃で熱プレスにより積層体を作製した後、この積層体を熱プレス装置で400℃1時間、加圧力10MPaで窒素中で熱処理した後、ダイシングソーにて14×0.7mmに形状加工し14×1.7×0.7mmの積層コアを作製し、切断端面を研磨して、積層体の磁気コアを作製した。
【0050】
この磁気コアは、磁束を発生させる方向の14mmの方向には金属薄帯は連続であり、かつ磁束の方向に垂直な1.7mmの方向には絶縁性の樹脂層があり、電気的に不連続な絶縁層を有する構造である。
このコアに絶縁性の粘着フィルム(日東電工製、型番NO.360VLフィルム厚み25μm)を、長手方向の端面を除いた側面に貼り付け、次にΦ0.1mmの被覆導線を前記コアの長手方向(14mmの方向)に垂直な面方向に1500ターン巻いて、80kHzの周波数でQとLを測定した。QとLの測定には、LCRメータ(HP製4284A)を用い、測定電圧1Vとした。
【0051】
【実施例2】
実施例1と同様に1.7mm厚みの積層体を作製し。この積層体を長さ14mm、0.35mmの厚さに2本切断した後切断面を研磨し、絶縁性のエポキシ樹脂を塗布し、2本を接着して、14×1.7×0.7mmの磁気コアを作製した。
【0052】
この磁気コアは、磁束を発生させる方向の14mmの方向には金属薄帯は電気的に連続であり、かつ磁束の方向に垂直な1.7mmおよび、0.7mmの両方向には絶縁性の樹脂層があり、電気的に不連続な絶縁層を有する構造である。
このコアに実施例1と同様に巻き線を施しL、Qを測定した。
【0053】
【比較例1】
実施例1と同様に耐熱性樹脂を付与した基材を作製し、厚さを0.7mmに合わせた積層体を作製し、14×1.7mmに切断し、実施例1と同じ外形寸法のコアを作製した。このを実施例1と同様にQ、Lの測定をした。、結果を実施例1、実施例2とともに表1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】
このように、同一形状の磁性金属薄板が積層された磁気コアにおいて、実施例1のように磁束が発生する方向に垂直な方向の長辺のmの方向に積層し、この方向に電気絶縁層を持たせる、さらに、実施例2のように磁束が発生する方向に垂直な2辺のm、n方向いずれにも絶縁層を持たせることにより、同じLでQが大巾に改善することが明らかとなった。
【0056】
【実施例3】
非晶質金属薄帯として,ハネウェル社製、Metglas:2605S2、厚み約25μmである薄帯を打抜き加工にて巾1mm長さ20mmにエッチング加工し、この薄帯を400℃2時間熱処理した後、内寸20×3×1.0mmtのケースに薄帯を詰めて長手方向(20mmの方向)に垂直な面に平行に巻き線を800ターン施した。このコイルのQ,Lを測定した。結果を表2に示す。
【0057】
この磁気コアは、磁束の発生する20mmの方向には薄帯が電気的に連続であり、かつ、磁束の発生する方向に垂直な長辺方向の3mmの方向には、空気が絶縁層として介在し、この方向には電気的な絶縁層を有する構造である。
【0058】
【比較例2】
非晶質金属薄帯として,ハネウェル社製、Metglas:2605S2、厚み約25μmである薄帯を打抜き加工にて巾3mm長さ20mmにエッチング加工し、この薄帯を400℃2時間熱処理した後、内寸20×3×1.0mmtのケースに薄帯を詰めて長手方向に直角に巻き線を800ターン施した。このコイルのQ,Lを測定した。
【0059】
以上の結果より、比較例2に比較して、実施例3は磁束の発生する20mmの方向には薄帯が電気的に連続であり、かつ、磁束の発生する方向に垂直な長辺方向の3mmの方向には、金属磁性材料の間に空気が介在し、この方向には電気的な絶縁層を有する構造であり、Qが大巾に向上した。
【0060】
【表2】
【0061】
【実施例4】
実施例1に用いた薄帯と同様の50.8mm巾の薄帯を100mmの長さに切断し、400℃2時間熱処理したのち、厚さ2mmになるよう重ねエポキシ樹脂で含浸した後、樹脂を120℃で硬化させた。この積層体を巾20×0.8mmに切断加工して20×2×0.8mmの積層体コアを作製した。この磁気コアは、磁束が発生する20mmの方向は電気的に連続であり、かつ磁束の方向に垂直な方向の長辺方向である2mmの方向には、エポキシ樹脂層があり、電気的に絶縁層を有する構造である。
【0062】
このコアに実施例2と同様に巻き線を行い、コイルのQ、Lを測定した結果、Q85、L10mHと特性に優れる積層体が得られた。
【0063】
【実施例5】
実施例1と同様に、耐熱性樹脂を付与した後、厚さ3mmの積層体を作製し、20×2mmに切断加工することにより、磁気コアを作製し、実施例3と同様に同様にコイルのQ、Lを測定結果、Q83、L10mHと特性に優れる積層体が得られた。
【0064】
【実施例6】
実施例1に用いたアモルファスを巾0.1mmにスリットした薄帯を20mmに切断し、400℃1時間窒素中で熱処理した後、20×3mm巾で深さが0.7mmのザグリ加工した登録商標テフロン(登録商標)板に詰めた後、エポキシ樹脂を流し込んだ後、120℃4時間硬化させて矩形状の磁性体を作製た。このコアに実施例2と同様に巻き線を行った。
【0065】
この磁気コアは、磁束の発生方向が長さ20mmの薄帯方向であり電気的に連続であり、かつ、磁束の方向に垂直な方向は3mmと、0.7mmの方向であり、いずれの方向にもエポキシ樹脂により絶縁層が存在する構造である。このコイルのQ、Lを測定した結果、Q88、L10mHと特性に優れる積層体が得られた。
【0066】
【実施例7】
線径20μmのアモルファスワイヤを20mmに切断し、熱処理した後、20×3mm巾で深さが0.7mmのザグリ加工したテフロン(登録商標)板に詰めた後、エポキシ樹脂を流し込んだ後、120℃4時間硬化させて直方体形状の磁性体を作製した。
【0067】
このコアに実施例3と同様に巻き線を行い、コイルのQ、Lを測定した。
この磁気コアの磁束が発生する方向はアモルファスワイヤの方向であり、この方向には電気的に連続であり、かつ磁束に垂直な方向には、いずれの方向にも樹脂層があり電気的に不連続な境界面が存在する構造である。このコイルの特性は、Q85、L10mHと特性に優れる積層体が得られた。
【0068】
【実施例8】
非晶質金属薄帯として,ハネウェル社製、Metglas:2714A、幅約50mm,厚み約15μmである非晶質金属薄帯を使用した。この薄帯を1.7mmになる枚数で積層し、0.7mm巾に切断した後、熱プレス装置で曲面形状に加工したまま、400℃1時間の熱処理を行ない、図4のような磁気コアを作製した。
【0069】
この磁気コアは、磁束が発生する方向は曲面形状の薄帯面の方向であり電気的に連続であり、かつ、磁束の方向に垂直な方向の長辺側である1.7mmの方向には金属磁性材料である磁性板15間に樹脂層からなる絶縁層16があり、電気的に不連続な境界面を有する構造である。
【0070】
この積層体コアに絶縁性の粘着フィルム(日東電工製、型番NO.360VLフィルム厚み25μm)を、長手方向の端面を除いた側面に貼り付け、次にΦ0.1mmの被覆導線を前記コアに800ターン巻いて、60kHzの周波数でQ、Lを測定した結果、Q88、L10mHと特性に優れる磁気コアが得られた。
【0071】
【実施例9】
実施例1に用いた薄帯に実施例1と同様に耐熱性樹脂を付与した後、巾0.7mmにスリットした薄帯基材を20mmに切断し、270℃の熱プレスして積層した後、曲率半径20mmの曲がった金型に挟み込んで、270℃でプレスして型の形状を維持したまま、400℃1時間の窒素中熱処理を行って、図4に示すような弓形状の積層体を作製した。このコアに実施例8と同様に巻き線を行い、コイルのQ、Lを測定した結果、Q90、L12mHと特性に優れる積層体が得られた。
【0072】
【実施例10】
実施例9と同様に作製した非晶質金属薄帯に耐熱性樹脂を付与した基材を0.7mm巾にスリットし、トロイダル状に厚さ1.7mmになるように巻回した後、短部をスポット溶接で固定し、270℃の温度で加熱し、樹脂と一体化させたコアを作製する。この円形コアの一部を切り取り、図4に示す形状の磁気コアを作製した。このコアに実施例8と同様に巻き線を行い、コイルのQ、Lを測定した結果、Q80、L12mHと特性に優れる積層体が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気コアの例(直方体形状 M>N)
【図2】本発明の磁気コアの例(直方体形状 M=N)
【図3】本発明の磁気コアの例(直方体形状 M>N)
【図4】本発明の磁気コアの例(弓状形状)
【図5】本発明の磁気コアの例
【図6】従来の磁気コアの例
【符号の説明】
11: 磁性板
12: 絶縁層
13: 金属磁性体
14: 絶縁材
15: 磁性板
16: 絶縁層
17: 積層断面
18: 金属磁性体
19: 樹脂
Claims (5)
- 導電性の磁性材からなる磁性板を絶縁層を介して積層した磁気コアであり、該磁気コアは前記磁性板からなる2つの主面と積層断面からなる4つの主面を有し、そのうちの磁性板からなる主面の面積は、積層断面からなる少なくとも1つの主面の面積よりも小さいことを特徴とする磁気コア。
- 線状もしくは短冊状の複数の導電性を有する磁性材が互いに絶縁材を介して縦横方向に並列に並べられて形成された磁気コアであり、個々の線状もしくは短冊状の磁性材は磁気コアの2つの端面間で連続であることを特徴とする磁気コア。
- 前記磁性材が、非晶質金属もしくはナノ結晶金属、ケイ素鋼板、パーマロイのいずれかである請求項1または2に記載の磁気コア。
- 請求項1から3のいずれかに記載の磁気コアに巻線が施された磁性部品であり、巻線への通電により磁束が発生する方向、もしくは外部磁界により磁束が誘起される方向において前記磁性材は連続していることを特徴とする磁性部品。
- トランス、インダクタ、アンテナのいずれかに用いられることを特徴とする請求項4に記載の磁性部品。
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