JP5289239B2 - 誘電体磁器およびコンデンサ - Google Patents

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Description

本発明は、チタン酸バリウムを主成分とする結晶粒子によって形成された誘電体磁器とそれを用いたコンデンサに関する。
コンデンサは、小型、高容量、高信頼性の電子部品として広く利用されており、電気機器および電子機器の中で使用される個数も多数にのぼる。近年、機器の小型かつ高性能化に伴い、コンデンサに対する更なる小型化、高容量化、低価格化、高信頼性化への要求はますます厳しくなっている。
現在、小型、高容量のコンデンサには、一般に、チタン酸バリウムを主成分とする強誘電体セラミック材料が使われているが、このような強誘電体セラミック材料は、通常、交流電界(以下、AC電界とする)を印加し、変化させていくと、比誘電率が大きく変化するという特性を有している(例えば、特許文献1を参照)。
このため、高容量のコンデンサを電子回路基板に実装する場合には、その電子回路基板に印加されるAC電界に適用でき、かつ必要な静電容量を有するものを適宜選択することが行われている。
一方、比誘電率のAC電界依存性の小さいコンデンサとして、例えば、温度補償型のコンデンサが代表例として挙げられるが、温度補償型のコンデンサは、元々、室温における比誘電率が低く、高容量のコンデンサを必要とする用途には置き換えることはできないものであった(例えば、特許文献2を参照)。
ところで、本出願人は、以前、チタン酸バリウムに、マグネシウム、イットリウム、マンガンおよびイッテルビウム等の成分を添加し、これらの添加成分が固溶したチタン酸バリウムを主成分とする結晶粒子のサイズを所定の範囲に制御した新規な誘電体磁器を提案した(例えば、特許文献3を参照)。
この誘電体磁器は、25〜125℃の範囲における比誘電率の温度係数の絶対値の最大値が1000×10−6/℃以下であり、安定な比誘電率の温度特性を有し、かつAC電界特性(誘電体磁器に交流電圧を印加させたときの比誘電率の変化を示す特性)が小さいという特性を示すものの、未だ、室温における比誘電率が最高でも900程度であり、さらなる高誘電率化が求められていた。
特開2006−165259号公報 特開2001−294481号公報 国際公開第2008/093684号パンフレット
本発明は、このような従来の技術における問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、高誘電率であり、比誘電率の温度変化率が小さくかつAC電界特性の小さい誘電体磁器およびそれを用いたコンデンサを提供することにある。
本発明の誘電体磁器は、チタン酸バリウムを主成分とする結晶相を主結晶相とし、
前記結晶相が立方晶系を主体とする結晶構造を有するとともに、前記結晶相を構成する結晶粒子の平均粒径が0.05〜0.2μmであり、イットリウム、マンガン、マグネシウムおよびイッテルビウムを含有するとともに、チタンおよびイッテルビウムを構成元素とするパイロクロア相を有する誘電体磁器であって、前記イットリウムおよび前記マンガンの含有量が、前記誘電体磁器に含まれるバリウム1モルに対して、前記イットリウムがYO3/2換算で0.0014〜0.03モル、前記マンガンがMnO換算で0.0002〜0.045モルであり、前記マグネシウムの含有量が、前記チタン酸バリウム100質量部に対して、MgO換算で0.065〜0.34質量部であり、かつ、前記誘電体磁器のX線回折チャートにおいて、チタン酸バリウムの面指数(110)の回折強度に対するパイロクロアの面指数(222)の回折強度の割合が5.8〜20.0%であることを特徴とする。
また、本発明の誘電体磁器は、前記パイロクロア相がイットリウムを含有する(Yb1−xTi(x=0.4〜0.8)で表される化合物であることが望ましい。
本発明のコンデンサは、上記の誘電体磁器からなる誘電体層と導体層との積層体から構成されていることを特徴とする。
本発明によれば、高誘電率であり、比誘電率の温度変化率が小さく、かつAC電界特性の小さい誘電体磁器を得ることができる。
また、本発明の誘電体磁器において、前記パイロクロア相がイットリウムを含有する(Yb1−xTi(x=0.4〜0.8)で表される化合物であるときには、誘電体磁器の絶縁抵抗を高めることができる。
また、本発明のコンデンサによれば、誘電体層として、上記の誘電体磁器を適用することにより、高誘電率であり、比誘電率の温度変化率が小さく、かつAC電界特性の小さいコンデンサを得ることができる。
本発明の積層セラミックコンデンサの一例を示す概略断面図である。
本発明の誘電体磁器は、チタン酸バリウムを主成分とする結晶相を主結晶相とし、前記結晶相が立方晶系を主体とする結晶構造を有するとともに、前記結晶相を構成する結晶粒子の平均粒径が0.05〜0.2μmである。
また、本発明の誘電体磁器は、イットリウム、マンガン、マグネシウムおよびイッテルビウムを含有するとともに、チタンおよびイッテルビウムを構成元素とするパイロクロア相を有する。
さらに本発明の誘電体磁器は、イットリウムおよびマンガンの含有量が、この誘電体磁器に含まれるバリウム1モルに対して、イットリウムがYO3/2換算で0.0014〜0.03モル、マンガンがMnO換算で0.0002〜0.045モルであり、また、マグネシウムの含有量が、チタン酸バリウム100質量部に対して、MgO換算で0.065〜0.34質量部である。
またさらに、本発明の誘電体磁器は、誘電体磁器のX線回折チャートにおいて、チタン酸バリウムの面指数(110)の回折強度に対するパイロクロアの面指数(222)の回折強度の割合が5.8〜20.0%である。
上記の組成および結晶相を具備し、結晶粒子の平均粒径を上記した範囲にすると、室温(25℃)における比誘電率が1000以上、25℃における比誘電率に対する85℃における比誘電率の比(以下、比誘電率の温度変化率とする。)が±20%以内であり、かつ0.1VのAC電圧を印加したときの比誘電率に対して1VのAC電圧を印加したときの比誘電率の比(以下、比誘電率のAC電界特性とする。)が1.1以下である誘電体磁器を得ることができる。
即ち、上述した範囲で、チタン酸バリウムに対して、イットリウム、マンガン、マグネシウムおよびイッテルビウムを所定量含有させると、室温(25℃)における比誘電率が約900の誘電体磁器となるが、この場合、結晶粒子の結晶構造が立方晶系となり、正方晶系のチタン酸バリウムに起因する強誘電性が抑えられることから、常誘電性が支配的となり、これにより強誘電性に起因する比誘電率の非線形性を低減できる。
このような比誘電率を示す誘電体磁器に対して、さらにパイロクロア相を含有させた場合に、本発明の効果が大きく現れ、室温(25℃)における比誘電率を1000以上に高めることができる。この場合、パイロクロア相としては、主として(Yb1−xTi(x=0〜0.8)を含むものが好ましい。
本発明の誘電体磁器では、当該誘電体磁器に含まれるバリウム1モルに対するイットリウムの含有量は、YO3/2換算で0.0014〜0.03モルである。イットリウムがYO3/2換算で0.0014モル以上、0.03モル以下であると結晶粒子の内部にまで希土類元素を固溶させることができ、そのため結晶粒子を立方晶系のペロブスカイト型の結晶構造とすることができる。また、希土類元素はチタン酸バリウムに固溶すると、酸素欠損に起因する電荷のアンバランスを補償するものとなるため、誘電体磁器の絶縁性を高められるという利点がある。
バリウム1モルに対するイットリウムの含有量がYO3/2換算で0.0014モルよりも少ない場合、あるいは0.03モルよりも多い場合には、強誘電性が大きくなるとともに比誘電率の温度変化率が大きくなり、また、比誘電率のAC電界特性も大きくなる。
また、本発明の誘電体磁器は、当該誘電体磁器に含まれるバリウム1モルに対するマンガンの含有量がMnO換算で0.0002〜0.045モルである。マンガン量を上記の範囲の割合で希土類元素と共存させた場合には、チタン酸バリウムを主成分とする結晶粒子における酸素欠損による電荷のアンバランスをさらに補償することができ、誘電体磁器の絶縁性を高められるという利点がある。また、このような組成を持つ誘電体磁器は耐還元性が高いことから、導体膜として卑金属材料を用い易くなり、これによりコンデンサの低コスト化を図ることが可能になる。
バリウム1モルに対するマンガンの含有量がMnO換算で0.0002モルよりも少ない場合には、粒成長が進み、強誘電性が増大し、AC電界特性が大きくなり、また比誘電率の温度変化率も大きくなる。一方、バリウム1モルに対するマンガンの含有量がMnO換算で0.045モルよりも多い場合には、比誘電率が1000未満に低下する。
また、本発明の誘電体磁器は、当該誘電体磁器に含まれるマグネシウムの含有量が、チタン酸バリウム100質量部に対して、MgO換算で0.065〜0.34質量部である。
マグネシウムの含有量がチタン酸バリウム100質量部に対して、MgO換算で0.065質量部より少ない場合には、粒成長が進み結晶粒子の平均粒径が0.2μmよりも大きくなり、強誘電性が増大することより、比誘電率の温度変化率が±20%よりも大きくなるとともに、比誘電率のAC電界特性が1.1よりも大きくなる。一方、チタン酸バリウム100質量部に対するマグネシウムの含有量がMgO換算で0.34質量部より多い場合には、比誘電率が1000未満に低下する。
また、本発明の誘電体磁器は、チタン酸バリウムを主成分とする結晶相を構成する結晶粒子の平均粒径が0.05〜0.2μmである。この結晶粒子の平均粒径が0.05μmよりも小さいと、結晶粒子中にペロブスカイト型構造の立方晶系を有する結晶を形成することが困難となり誘電体磁器の比誘電率が低いものとなる。一方、チタン酸バリウムを主成分とする結晶相を構成する結晶粒子の平均粒径が0.2μmmよりも大きいと、結晶粒子が強誘電性を示すような挙動をもつものとなり、誘電体磁器の比誘電率の温度変化率が大きくなるとともに、比誘電率のAC電界特性が1.1より大きくなる。
なお、チタン酸バリウムを主成分とする結晶相を構成する結晶粒子の平均粒径は、誘電体磁器の切断面を研磨した後にエッチングを施し、走査型電子顕微鏡(SEM)写真に映し出されている結晶粒子の輪郭から画像処理にて各粒子の面積を求め、同じ面積をもつ円に置き換えたときの直径を算出し、このようにして直径を求めた結晶粒子約100個の平均値より求める。
また、本発明の誘電体磁器は、当該誘電体磁器のX線回折チャートにおいて、チタン酸バリウムの面指数(110)の回折強度に対するパイロクロアの面指数(222)の回折強度の割合が5.8〜20.0%である。
チタン酸バリウムの面指数(110)の回折強度に対するパイロクロアの面指数(222)の回折強度の割合が5.8%よりも小さい場合およびチタン酸バリウムの面指数(110)の回折強度に対するパイロクロアの面指数(222)の回折強度の割合が20.0%よりも大きい場合には、いずれも誘電体磁器の室温(25℃)における比誘電率が1000よりも低くなる。
ここで、チタン酸バリウムおよびパイロクロアの同定および結晶相の割合は、X線回折装置(Cu−Kα)を用い、回折角(2θ)を25〜35°としてX線回折を行い、JCPDSカードに示されている基本構造であるチタン酸バリウムの(110)ピーク(2θが31.6°付近)およびパイロクロアの(222)ピーク(2θが30.9°付近)のそれぞれ回折強度を測定し、チタン酸バリウムの(110)ピークの回折強度に対するパイロクロアの(222)ピークの回折強度の割合を求める。
また、本発明の誘電体磁器では、パイロクロア相がイットリウムを含有する(Yb1−xTiO(x=0.4〜0.8)で表される化合物であることが望ましい。本発明の誘電体磁器において、パイロクロア相がイットリウムを含有する(Yb1−xTi(x=0.4〜0.8)で表される化合物であるときは、誘電体磁器の85℃での絶縁抵抗を3×1010Ω以上に高めることができる。なお、(Yb1−xTiO(x=0.4〜0.8)で表されるパイロクロア相についても、Yが固溶しても格子定数が、わずかに変化するだけで結晶系は変わらないため、Yが固溶しない結晶系の場合と同様、2θが30.9°付近のパイロクロアの(222)ピークから回折強度を求められる。
また、この実施形態の誘電体磁器では、所望の誘電特性を維持できる範囲であれば焼結性を高めるための助剤としてガラス成分や他の添加成分を誘電体磁器中に4質量%以下の割合で含有させてもよい。
次に、本発明の誘電体磁器を誘電体層として構成されるコンデンサについて説明する。
図1は、本発明のコンデンサの一例を示す概略断面図である。本発明のコンデンサは、コンデンサ本体1の両端部に外部電極3が形成されている。外部電極3は、例えば、CuもしくはCuとNiの合金ペーストを焼き付けて形成されている。
コンデンサ本体1は誘電体磁器からなる誘電体層5と内部電極層7とが交互に積層されて構成されている。コンデンサ本体1の端面1aには、露出する内部電極層7が外部電極3と部分的に接合されている。図1では誘電体層5と内部電極層7との積層状態を単純化して示しているが、本発明の積層セラミックコンデンサは誘電体層5と内部電極層7とが数百層にも及ぶ積層体となっている。
誘電体層5は、上述した本発明の誘電体磁器からなるものであり、チタン酸バリウムにイットリウム、マンガン、マグネシウム、およびイッテルビウムなどが固溶した主結晶相としての結晶粒子と、副結晶相としてのパイロクロアの結晶粒子により構成されている誘電体磁器からなる。なお、誘電体磁器の種類としては上述したものだけに限らず、他の誘電体磁器を用いることもできる。
内部電極層7を形成する材料としては、高積層化しても製造コストを抑制できるという点で、ニッケル(Ni)や銅(Cu)などの卑金属が望ましく、本発明における誘電体層5との同時焼成を行えるという点で、特に、ニッケル(Ni)がより望ましい。
本発明のコンデンサは、上記の誘電体磁器からなる誘電体層と導体層との積層体から構成されていることを特徴とする。誘電体層として、高誘電率かつ安定な比誘電率の温度特性を示し、比誘電率のAC電界特性の小さい本実施形態の誘電体磁器を適用することにより、従来のコンデンサよりも高容量であり、容量温度特性が安定であり、かつ静電容量のAC電界特性が小さいコンデンサを形成できる。
次に、本発明の誘電体磁器の製法について説明する。先ず、素原料としてBaTiO粉末、Y粉末、マンガン成分として炭酸マンガン(MnCO)粉末を用いる。これらの素原料粉末の平均粒径は100nm以下が望ましい、組成は、BaTiO粉末1モルに対して、Y粉末をYO3/2換算で0.0014〜0.03モル、MnCO粉末を0.0002〜0.045モルの範囲とする。これらの助剤量が上記の範囲であれば、上述した本発明の誘電体磁器を容易に形成できる。
次に、上記した素原料を所定の割合で湿式混合し、温度950〜1100℃で仮焼し、チタン酸バリウムにイットリウム(Y)およびマンガン(Mn)が固溶したチタン酸バリウム粉末(以下、変性BT粉体とする。)を作製する。
次に、Yb粉末、Y粉末、TiO粉末、を(Yb1−xTi(x=0.4〜0.8)となるよう秤量し、湿式混合した後、温度1100〜1200℃で仮焼し、イットリウムが固溶したパイロクロア((Yb1−xTi(x=0.4〜0.8)粉末を作製する。
次に、変性BT粉体とパイロクロア((Yb1−xTi(x=0.4〜0.8)を主成分とする粉末とを所定の割合で湿式混合し、スラリーを調製し、乾燥させた後、この混合粉末にバインダ(エチルセルロース)を混合し造粒し顆粒を作製する。
次に、作製した顆粒をペレット状に成形し、焼成を行う。焼成は大気中もしくは還元雰囲気中にて行う。焼成温度は1080℃〜1200℃の温度範囲が結晶粒子の粒成長を抑制するという点で望ましい。
コンデンサを作製する場合には、上記した変性BT粉体とパイロクロア((Yb1−xTi(x=0.4〜0.8)粉末とを所定の割合で混合した混合粉末を、バインダを有機溶媒中に溶解させて調製した有機ビヒクルを用いてグリーンシートに成形し、焼成後に導体膜となる卑金属を主成分とする導体ペーストを調製し、これをグリーンシートの表面に印刷した後、積層し、焼成して、コンデンサ本体を作製し、次いで、このコンデンサ本体1の内部電極層が露出した端面にCuを主成分とする導体ペーストを塗布し、700〜900℃の温度で焼き付けを行うことによりコンデンサを得る。
まず、いずれも純度が99.9%のBaTiO粉末、Y粉末、MnCO粉末、Yb粉末および別途作製したパイロクロアを主成分とする粉末(YbTi粉末または(Yb1−xTi(x=0.4〜0.85)を主成分とする粉末)を準備し、表1に示す割合で調合し、一次BT原料組成の混合粉末を調製した。
次に、BaTiO粉末、Y粉末およびMnCO粉末を混合して調製した混合粉末を表1に示す温度にて仮焼して仮焼粉末を作製し、これを粉砕した。このとき粉砕した仮焼粉末の平均粒径は約70nmとした。なお、仮焼粉末の平均粒径は、粉砕した仮焼粉末を電子顕微鏡用試料台上に分散させて走査型電子顕微鏡により写真を撮り、この後、その写真上で仮焼粉末が50〜100個入る円を描き、円内および円周にかかった仮焼粉末を選択した。そして、その写真に映し出されている仮焼粉末の輪郭を画像処理して各粒子の面積を求め、同じ面積をもつ円に置き換えたときの直径を算出し、その平均値より求めた。
次に、仮焼粉末中のチタン酸バリウム100質量部(に対して、いずれも純度99.9%のYb粉末およびMgO粉末およびパイロクロア相を主成分とする粉末を表1に示す割合(表1では、一次BT原料100質量部に対する量としている。)で混合して誘電体粉末を調製し、さらに、この誘電体粉末に対して、SiOを主成分とするガラス粉末(SiO:40〜60モル%、BaO:10〜30モル%、CaO:10〜30モル%、LiO:5〜15モル%)を添加した。ガラス粉末の添加量は、誘電体粉末100質量部に対して3質量部とした。
この後、誘電体粉末とガラス粉末との混合粉末に、エチルセルロースを溶解させたバインダを添加してスラリーを調製し、乾燥させた後、この混合粉末にバインダ(エチルセルロース)を混合し造粒し顆粒を作製した。
次に、作製した顆粒を円板状(直径16mm、厚み2mm)に成形し、表1に示す温度で大気中中にて焼成した。
焼成して得られた円板状の誘電体磁器の上下面に導体(In−Ga)を塗布して評価用試料を作製した。
次に、作製した誘電体磁器について以下の評価を行った。比誘電率、比誘電率の温度変化率およびAC電界特性の評価はいずれも試料数を10個とし、その平均値から求めた。X線回折および結晶粒子の平均粒径については試料数を1個とした。室温(25℃)における比誘電率は静電容量をLCRメータ(ヒューレットパッカード社製)を用いて、温度25℃、周波数1.0kHz、測定電圧を1Vrmsとして測定し、誘電体磁器の上下面に塗布した導体の面積と、誘電体磁器の厚みから比誘電率を求めた。また、比誘電率の温度変化率は静電容量を温度−55〜85℃の範囲で測定して、25℃を基準にしたときの85℃での比誘電率の変化率を求めた。
AC電界特性は、0.1VのAC電圧を印加したときの比誘電率に対して1VのAC電圧を印加したときの比誘電率の比から求めた。
絶縁抵抗は、単位厚み当たりの値で3V/μmの条件になるように直流電圧を印加して測定した。
また、得られた誘電体磁器を粉砕し、X線回折(Cu−Kα)により、2θ=25〜35°の回折パターンからチタン酸バリウム(表2ではBTと示す)の面指数(110)の回折強度に対するパイロクロアの面指数(222)の回折強度の割合を求めた。
誘電体磁器を構成する結晶粒子の平均粒径は、焼成後の試料の破断面を研磨した後、走査型電子顕微鏡を用いて内部組織の写真を撮り、その写真上で結晶粒子が50〜100個入る円を描き、円内および円周にかかった結晶粒子を選択し、各結晶粒子の輪郭を画像処理して、各粒子の面積を求め、同じ面積をもつ円に置き換えたときの直径を算出し、その平均値より求めた。
パイロクロア相に含まれるイットリウムの含有量は、分析装置を付設した走査型電子顕微鏡を用いて、誘電体磁器の切断面を研磨した試料の断面に存在するパイロクロア相を同定し、次いで、同定したパイロクロア相を分析装置を用いて、Yb、YおよびTiの元素の割合を質量比で求めモル比に換算した。分析したパイロクロア相は各試料について5ヶ所とし、これらの平均値より組成を求めた。なお、作製した試料のパイロクロア相に含まれるYの組成は添加したパイロクロア相の組成に一致するものであった。
また、得られた焼結体である試料の組成分析はICP(Inductively Coupled Plasma)分析および原子吸光分析により行った。この場合、得られた誘電体磁器を硼酸と炭酸ナトリウムと混合し溶融させたものを塩酸に溶解させて、まず、原子吸光分析により誘電体磁器に含まれる元素の定性分析を行い、次いで、特定した各元素について標準液を希釈したものを標準試料として、ICP発光分光分析にかけて定量化した。また、各元素の価数を周期表に示される価数として酸素量を求めた。なお、焼結体中の各元素の酸化物換算での組成は、調合組成に一致するものであった。
調合組成および焼成条件を表1に、結晶粒子の平均粒径、X線回折の結果および焼成後における特性(比誘電率,比誘電率の温度変化率,AC電界特性および絶縁抵抗)の結果を表2にそれぞれ示す。
Figure 0005289239
Figure 0005289239
表1、2の結果から明らかなように、本発明の誘電体磁器である試料No.2,3,5,6,9〜13,16〜19,21,23〜27,30〜32および35〜39では、室温(25℃)における比誘電率が1000以上であり、比誘電率の温度変化率が±20%以内であり、かつAC電界特性が1.1以下であった。
特に、パイロクロア相がイットリウムを含有する(Yb1−xTi(x=0.4〜0.8)で表される化合物である試料No.37および38では、室温(25℃)における比誘電率が1195以上であり、また誘電体磁器の85℃での絶縁抵抗が3.2×1010Ω以上であった。
これに対して、本発明の範囲外の試料No.1,4,7,8,14,15,20,22,28,29,33,および34では、室温(25℃)における比誘電率が1000以上、比誘電率の温度変化率が±20%以内、およびAC電界特性を1.1以下のいずれかの特性を満足しないものであった。
1 コンデンサ本体
3 外部電極
5 誘電体層
7 内部電極層

Claims (3)

  1. チタン酸バリウムを主成分とする結晶相を主結晶相とし、
    前記結晶相が立方晶系を主体とする結晶構造を有するとともに、
    前記結晶相を構成する結晶粒子の平均粒径が0.05〜0.2μmであり、
    イットリウム、マンガン、マグネシウムおよびイッテルビウムを含有するとともに、チタンおよびイッテルビウムを構成元素とするパイロクロア相を有する誘電体磁器であって、前記イットリウムおよび前記マンガンの含有量が、
    前記誘電体磁器に含まれるバリウム1モルに対して、
    前記イットリウムがYO3/2換算で0.0014〜0.03モル、
    前記マンガンがMnO換算で0.0002〜0.045モルであり、
    前記マグネシウムの含有量が、前記チタン酸バリウム100質量部に対して、MgO換算で0.065〜0.34質量部であり、
    かつ、前記誘電体磁器のX線回折チャートにおいて、チタン酸バリウムの面指数(110)の回折強度に対するパイロクロアの面指数(222)の回折強度の割合が5.8〜20.0%であることを特徴とする誘電体磁器。
  2. 前記パイロクロア相がイットリウムを含有する(Yb1−xTi(x=0.4〜0.8)で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の誘電体磁器。
  3. 請求項1または2に記載の誘電体磁器からなる誘電体層と導体層との積層体から構成されていることを特徴とするコンデンサ。


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