以下、本発明を明確にする為の参考形態を図1〜図9に基づいて説明しており、図10〜図18に基づいて本発明の実施形態を説明している。
[参考形態]
[乗用型田植機の全体構成]
図1〜図3に基づいて乗用型田植機の全体構成について説明する。図1は、乗用型田植機の全体側面図を示し、図2は、乗用型田植機の全体平面図を示す。図3は、乗用型田植機の全体正面図を示す。図1及び図2に示すように、前輪1及び後輪2で支持された機体に運転部3が備えられており、機体の後部にリンク機構4及び油圧シリンダ5を介して苗植付け装置6が昇降駆動自在に支持されて、乗用型田植機が構成されている。
苗植付け装置6は4条植型式に構成されており、2個の伝動ケース21、伝動ケース21の後部の右及び左の横側部に回転駆動自在に支持された植付ケース22、植付ケース22の両端に備えられた一対の植付アーム23、接地フロート24、及び苗が載置される苗のせ台25等を備えて構成されている。これにより、苗のせ台25が左右に往復横送り駆動されるのに伴って、植付ケース22が回転駆動され、苗のせ台25の下部から植付アーム23が交互に苗を取り出して田面に植え付ける。
運転部3におけるフロア7の後方上方に運転座席8が備えられており、運転座席8の後側に肥料を貯留するホッパー26、繰り出し部27及びブロア28が備えられている。接地フロート24には作溝具29が備えられており、この作溝具29と繰り出し部27とに亘ってホース30が接続されている。これにより、苗の植え付けに伴って、ホッパー26から肥料が所定量ずつ繰り出し部27によって繰り出されて、ブロア28の送風により肥料がホース30を通って作溝具29に供給され、作溝具29を介して肥料が田面に供給される。
図1〜図3に示すように、エンジン(図示せず)を覆うボンネット9がフロア7の前方に備えられており、ボンネット9の右及び左の横側部に、フロア7につながる右及び左のステップ10が備えられている。前輪1を操向操作する操縦ハンドル11がボンネット9の上部に備えられており、ボンネット9の上部における操縦ハンドル11の右の横側部に、エンジンのアクセル部を操作するアクセルレバー15及び昇降レバー12が備えられ、操縦ハンドル11の左の横側部に、主変速レバー13が備えられている。ボンネット9の後面における左の横側部に副変速レバー16が備えられている。
昇降レバー12は上昇位置、中立位置、下降位置及び植付位置に操作自在であり、後側から前側に向けて上昇位置、中立位置、下降位置及び植付位置が、この順序で配置されている(図2に示す状態は昇降レバー12を中立位置に操作している状態)。昇降レバー12を上昇位置に操作すると、苗植付け装置6に動力を伝達する植付クラッチ(図示せず)が遮断状態に操作されて、油圧シリンダ5により苗植付け装置6が上昇駆動される。昇降レバー12を中立位置に操作すると、植付クラッチが遮断状態に操作されて油圧シリンダ5が停止する。昇降レバー12を下降位置に操作すると、植付クラッチが遮断状態に操作されて、油圧シリンダ5により苗植付け装置6が下降駆動される。昇降レバー12を植付位置に操作すると、植付クラッチが伝動状態に操作されて、苗植付け装置6が田面から設定高さに維持されるように油圧シリンダ5により自動的に昇降駆動される。
機体には、静油圧式無段変速装置(図示せず)及びギヤ変速式の副変速装置(図示せず)が備えられており、エンジンの動力がベルト型式のテンションクラッチ(図示せず)を介して静油圧式無段変速装置に伝達され、静油圧式無段変速装置から副変速装置を介して、前輪1及び後輪2に伝達される。静油圧式無段変速装置は中立位置、前進の高速側及び後進の高速側に無段階に変速自在に構成されており、副変速装置は低速の植付走行位置及び高速の路上走行位置の2位置切換式に構成されている。
図1及び図2に示す状態は主変速レバー13を中立位置に操作している状態であり、静油圧式無段変速装置が中立位置に操作されて機体は停止している。主変速レバー13を中立位置から前方の前進変速域に操作すると、静油圧式無段変速装置が前進の高速側に操作されるのであり、主変速レバー13を中立位置から後方の後進変速域に操作すると、静油圧式無段変速装置が後進の高速側に操作される。図1に示すように、副変速レバー16を上方及び下方に操作することによって、副変速装置が低速の植付走行位置及び高速の路上走行位置に操作される。
図1〜図3に示すように、右のステップ10におけるフロア7に近い部分に操作ペダル14が備えられており、操作ペダル14を下方の踏み位置に操作すると、静油圧式無段変速装置が中立位置よりも少し高速側の低速位置に操作され、前輪1及び後輪2を制動可能なブレーキ(図示せず)が制動側に操作される。操作ペダル14を上方の戻し位置に操作すると、静油圧式無段変速装置が前述の低速位置に残された状態で、ブレーキが制動解除側に操作されるのであり、バネ(図示せず)により操作ペダル14が上方の戻し位置に付勢されている。
操作ペダル14に操作レバー17が固定されており、操作レバー17によって操作ペダル14を前述の下方の踏み位置及び上方の戻し位置に操作することができる。右のステップ10において、操作ペダル14及び操作レバー17の前側の部分にロックレバー18が備えられており、ロックレバー18により操作ペダル14及び操作レバー17を下方の踏み位置で保持することができる。
エンジンを支持する前フレーム19が機体の前部の下部に備えられており、前フレーム19の機体左右方向の横軸心P1周りに、操作アーム20が揺動自在に支持されている。操作アーム20は正面視で逆U字状に構成されて、上方に起立した格納位置、及び機体の前部から前方に出た作業位置に亘り揺動自在に構成されている。操作アーム20を作業位置に操作すると、前輪1及び操縦ハンドル11が直進位置で保持され、操作アーム20を格納位置に操作すると、前輪1及び操縦ハンドル11の保持が解除されるように構成されている。
[予備苗載せ台の詳細構造]
図1〜図9に基づいて予備苗載せ台40の詳細構造について説明する。図4は、予備苗載せ台40を前方にスライド移動した前方移動姿勢での予備苗載せ台40の側面図を示す。図5は、右の予備苗載せ台40の全体斜視図を示し、図6は、右の予備苗載せ台40の全体平面図を示す。図7は、右の予備苗載せ台40の前後中央部での側面図を示し、図8は、右の予備苗載せ台40の縦断背面図を示す。図9は、デテント保持機構50の斜視図を示す。なお、図5〜図9においては、右の予備苗載せ台40を例に説明するが、左の予備苗載せ台40についても左右の勝手が異なる以外の他の構成は同様である。
図1〜図3に示すように、前フレーム19に固定されたフレーム31が右及び左の横外側に延出されており、このフレーム31の左右両端に連結部材32が固着され、丸パイプ状の上下に長い支持フレーム33の下端部に連結部材34が固着されており、連結部材34をフレーム31に固着された連結部材32に締め付け固定することで、支持フレーム33がフレーム31に固定されている。
左右の支持フレーム33の上端部に前後向きの貫通穴を備えたボス部が形成され、このボス部に支持部材35が前後向きの軸心P2周りに上下揺動自在に支持されている。
図5,図6,図8に示すように、支持部材35は、前後に長い主フレーム36と、この主フレーム36の前端部及び後端部に固着された左右に長い縦断面形状がL字状の前部フレーム37及び後部フレーム38を備えて構成されている。
前部フレーム37及び後部フレーム38には、前後向きの左右の取付穴37a,38aが形成されており、この左右の取付穴37a,38aに、予備苗載せ台40の固定部材47が内嵌挿入される。主フレーム36の下面側には、下方に突出した前後のブラケット36aが固着されており(図3及び図4参照)、この前後のブラケット36aがピン39を介して支持フレーム33上端部のボス部に形成された前後向きの貫通穴に取り付けられている。これにより、支持部材35及び支持部材35に装着される予備苗載せ台40が支持フレーム33の上部に前後向きの軸心P2周りに揺動自在に支持され、予備苗載せ台40が上方へ揺動し起立した起立姿勢と、予備苗載せ台40が下方へ揺動し倒伏した倒伏姿勢とに姿勢変更可能に構成されている(図3参照)。
なお、図示しないが、予備苗載せ台40を起立姿勢及び倒伏姿勢で固定可能なロック具が備えられており、このロック具をロックすることで予備苗載せ台40を起立姿勢及び倒伏姿勢で固定でき、ロック具を解除することで予備苗載せ台40の姿勢変更が可能になる。
図1及び図4に示すように、予備苗載せ台40は、支持部材35から離れて前方にスライド移動した前方移動姿勢(図4の実線で示した姿勢)と、支持部材35から離れて後方にスライド移動した後方移動姿勢(図4の2点鎖線で示した姿勢)と、前方及び後方移動姿勢の前後中間位置に予備苗載せ台40が位置する作業姿勢(図1の姿勢)とに姿勢変更可能に構成されている。
図5,図6,図8に示すように、予備苗載せ台40は、可動部材41と、左右の固定部材47と、デテント保持機構50とを備えて構成されており、可動部材41の上部に、前後に長い平面視で長方形状の予備苗Cを、前後に2枚並べて載置できるように構成されている。予備苗載せ台40の可動部材41は、前後に長い左右の側部フレーム42と、左右の側部フレーム42の前端部及び後端部に亘って設けられた前部及び後部フレーム43,44と、前部及び後部フレーム43,44に亘って設けられた複数の前後フレーム45とを備えて、平面視で長方形状の枠形に成形されている。
可動部材41には、ハンドル等の操作具は設けられておらず、予備苗載せ台40を姿勢変更する場合には、可動部材41の前部フレーム43又は後部フレーム44を直接握って、可動部材41を押し引き操作する。これにより、予備苗載せ台40の構造を簡素化でき、予備苗載せ台40を軽量化できる。なお、可動部材41の前部及び後部に、ハンドル等の操作具(例えば[本発明の実施形態]におけるハンドル69,77等)を設ける構成を採用してもよい。
複数の前後フレーム45は、前部及び後部フレーム43,44の下側に固定されており、これにより、予備苗載せ台40の前後フレーム45の上側における予備苗Cを載置する載置面40Aが可動部材41の前端部から後端部に亘って略面一になるように構成されている。複数の前後フレーム45は、前部及び後部フレーム43,44の下側に固定されているので、可動部材41の周縁部に位置する左右の側部フレーム42、並びに前部及び後部フレーム43,44が前後フレーム45より高い位置に位置する状態になる。これにより、予備苗載せ台40の載置面40Aに予備苗Cを載置した状態での予備苗Cの予備苗載せ台40からの落下を、左右の側部フレーム42、並びに前部及び後部フレーム43,44により防止できる。
可動部材41の前後中央部には、補強部材として兼用される前後の板状部材46が固着されている。板状部材46は、縦平板状に成形され、この板状部材46の左右両側部に、前後に貫通する貫通穴が形成されたボス部46aが一体成形されている。前側の板状部材46の貫通穴と後側の板状部材46の貫通穴は、前後向きに同心状に形成されており、後述する軸受部材48を介して固定部材47を無理なく内嵌できるように構成されている。
前側の板状部材46と後側の板状部材46は、所定の間隔を開けて配設されており、可動部材41を前後にスライド移動させる前後のストロークを長く確保し、支持部材35の前後長さを短く抑えながら、可動部材41を安定させて無理なくスライド移動できるように構成されている。
左右の固定部材47は、円筒状の前後に長いパイプ材により構成されており、可動部材41の前後のボス部46aの貫通穴に樹脂製の軸受部材48を介して固定部材47を内嵌した状態で、固定部材47の前端部及び後端部を前部及び後部フレーム37,38の取付穴37a,38aに内嵌し固定することで、可動部材41を装着した固定部材47を支持部材35に固定できる。
前部フレーム37の上部には、前方に折り曲げ成形された荷重支持部37bが形成され、後部フレーム38の上部には、後方に折り曲げ成形された荷重支持部38bが形成されており、この荷重支持部37b,38bの上面と前後フレーム45の下端との間に所定の隙間が形成されている。これにより、可動部材41の下方への撓み量が多い場合には、可動部材41に作用する荷重を荷重支持部37b,38bで支持することができ,可動部材41に無理な曲げモーメントが作用することを防止できる。
図5に示すように、支持部材35と可動部材41の左右中央部に位置する前側の板状部材46とに亘ってデテント保持機構50が備えられている。デテント保持機構50は、位置決め部材51とデテント部材52とを備えて構成されている。
前部フレーム37の内側端部と後部フレーム38の内側端部とに亘って、前後に長い帯板状の位置決め部材51が固着されており、この位置決め部材51には、V字状に切り欠かれた前部凹溝51a、中央部凹溝51b、及び後部凹溝51cが形成されている。
図9に示すように、可動部材41の前後中央部に位置する前側の板状部材46には、前後向きの取付穴が形成されており、この取付穴に、板状部材46から下方に延出されたデテント部材52が締め付け固定されている。デテント部材52は、前後に長いバネ板52aを備えて構成されており、このバネ板52aの後端部に、左右向きの支軸52bが固定されている。支軸52bの左右中央部には、デテントローラ52cが回動自在に支持されており、このデテントローラ52cが位置決め部材51の上側に位置するように配設されている。これにより、デテントローラ52cが位置決め部材51の凹溝のいずれかの位置に位置する場合には、バネ板52aの下方への付勢力によりデテントローラ52cが下方に押え付けられて、デテントローラ52cと凹溝との係合により可動部材41の固定部材47に対する前後方向への移動が規制される。
図7(a)に示すように、前部凹溝51aの位置は、可動部材41を前方にスライド移動させて、前側の板状部材46に装着した軸受部材48の前端が前部フレーム37の後面側に接当した位置で、デテントローラ52cが前部凹溝51aに係合する位置に設定されており、図7(c)に示すように、後部凹溝51cの位置は、可動部材41を後方にスライド移動させて、後側の板状部材46に装着した軸受部材48の後端が後部フレーム38の前面側に接当した位置で、デテントローラ52cが後部凹溝51cに係合する位置に設定されている。図7(b)に示すように、中央部凹溝51bの位置は、前部凹溝51aと後部凹溝51cの前後中間位置に設定されている。
図7(a)に示すように、可動部材41を前方にスライド移動させると、デテントローラ52cが前部凹溝51aに係合し、可動部材41を前方にスライド移動させた位置で位置決めできると共に、デテントローラ52cと前部凹溝51aとの係合により可動部材41の後方への移動が規制されて、可動部材41が前方にスライド移動した状態を保持できる。前方にスライド移動させた可動部材41をバネ板52aの付勢力に抗して少し後方へ押し引き操作することで、デテント部材52の後端部が弾性変形して前部凹溝51aの傾斜部に沿ってデテントローラ52cが上方へ移動し、可動部材41の後方への移動が許容される。
図7(c)に示すように、可動部材41を後方にスライド移動させると、デテントローラ52cが後部凹溝51cに係合し、可動部材41を後方にスライド移動させた位置で位置決めできると共に、デテントローラ52cと後部凹溝51cとの係合により可動部材41の前方への移動が規制されて、可動部材41が後方にスライド移動した状態を保持できる。後方にスライド移動させた可動部材41をバネ板52aの付勢力に抗して少し前方へ押し引き操作することで、デテント部材52の後端部が弾性変形して後部凹溝51cの傾斜部に沿ってデテントローラ52cが上方へ移動し、可動部材41の前方への移動が許容される。
図7(b)に示すように、可動部材41を前方から後方(又は後方から前方)に移動させると、デテントローラ52cが中央部凹溝51bに係合し、可動部材41を前方又は後方から押し引き操作する抵抗になる。これにより、デテントローラ52cが中央部凹溝51bに係合した位置で、可動部材41の前方又は後方への押し引き操作を止めると、デテントローラ52cと中央部凹溝51bとの係合により可動部材41の前後方向への移動が規制されて、可動部材41が前後中間位置にスライド移動した状態を保持できる。デテントローラ52cが中央部凹溝51bに係合した位置から更に可動部材41をバネ板52aの付勢力に抗して前方又は後方へ少し押し引き操作すると、デテント部材52の後端部が弾性変形して中央部凹溝51bの傾斜部に沿ってデテントローラ52cが上方へ移動し、可動部材41の前方又は後方への移動が許容される。
上記のようにデテント保持機構50を構成し、デテントローラ52cが前部凹溝51a、中央部凹溝51b、又は後部凹溝51cに係合した状態を現出することで、例えば傾斜地等において可動部材41の状態(予備苗載せ台40の姿勢)を保持させることができ、作業者の意図しない可動部材41の移動を防止できる。また、可動部材41を少し押し引き操作することで、可動部材41の保持が解除されるので、可動部材41の状態の保持及び解除を簡易迅速に行うことができ、可動部材41の操作性を向上できる。
なお、デテント保持機構50により可動部材41が前方にスライド移動し位置決めされた状態が予備苗載せ台40の前方移動姿勢であり、デテント保持機構50により可動部材41が後方にスライド移動し位置決めされた状態が予備苗載せ台40の後方移動姿勢であり、デテント保持機構50により可動部材41が前後中間位置に位置決めされた状態が予備苗載せ台40の作業姿勢である。
上記のように予備苗載せ台40を分割した構造を採用せずに、予備苗載せ台40の可動部材41を一体で前後にスライド移動させる構成を採用することで、予備苗載せ台40の構造を簡素化できると共に、予備苗載せ台40をスライド移動させる構造を簡素化できる。また、前方移動姿勢、後方移動姿勢、及び作業姿勢での予備苗載せ台40の高さや角度が変更されないため、予備苗載せ台40の姿勢を変更しても、作業者が予備苗Cを予備苗載せ台40に出し入れする姿勢や勝手があまり変更されず、予備苗載せ台40への予備苗Cの出し入れが行い易くなる。
また、例えば予備苗載せ台40を分割した構造に構成した場合のように、予備苗載せ台40の載置面40Aに段差が生じないため、予備苗載せ台40の載置面40Aの上で予備苗Cを滑らせて無理なく前後に移動させることができ、例えば予備苗Cの畦等から苗植付け装置6への補給作業の作業性を向上できる。
以下、本発明の実施形態について説明する。この場合、本発明の実施形態において前述の参考形態と異なる部分について説明しており、その他の部分は前述の参考形態と同様である。
[本発明の実施形態]
前述の[参考形態]においては、可動部材41を支持部材35に対して前後にスライド移動させることで、予備苗載せ台40を、前方移動姿勢、後方移動姿勢、及び作業姿勢に姿勢変更可能に構成した例を示したが、図10〜図18に示すような予備苗載せ台60を採用してもよい。図10は、右の予備苗載せ台60の全体斜視図を示し、図11は、右の第1及び第2可動部材61,71の斜視図を示す。図12は、右の予備苗載せ台60の全体平面図を示し、図13は、右の予備苗載せ台60の前後中央部での側面図を示す。図14は、右の予備苗載せ台60の全体側面図を示す。図15及び図16は、格納姿勢での右の予備苗載せ台60の全体平面図及び全体側面図をそれぞれ示し、図17及び図18は、右の予備苗載せ台60の縦断背面図及び縦断正面図をそれぞれ示す。なお、図10〜図18においては、右の予備苗載せ台60を例に説明するが、左の予備苗載せ台60についても左右の勝手が異なる以外の他の構成は同様である。また、後述する以外の構成は、前述の[参考形態]と同様である。
図10に示すように、予備苗載せ台60は、第1可動部材61と、第2可動部材71と、固定部材80とを備えて構成されており、第1可動部材61が支持部材35から離れて前方にスライド移動した前方移動姿勢(図13(a)の姿勢)と、第2可動部材71が支持部材35から離れて後方にスライド移動した後方移動姿勢(図13(c)の姿勢)と、第1及び第2可動部材61,71が前方及び後方移動姿勢の前後中間位置に移動した作業姿勢(図10及び図13(b)の姿勢)と、第1及び第2可動部材61,71が側面視で重なる位置に移動した格納姿勢(図15及び図16の姿勢)とに姿勢変更可能に構成されている。
前方移動姿勢、後方移動姿勢、又は作業姿勢での予備苗載せ台60の上部には、前後に長い平面視で長方形状の予備苗Cを、前後に2枚並べて載置できるように構成されており、格納姿勢での予備苗載せ台60の上部には、前後に長い平面視で長方形状の予備苗Cを一枚載置できるように構成されている。
図10〜図12に示すように、予備苗載せ台60の第1可動部材61は、前後に長い左右の側部フレーム62と、左右の側部フレーム62の前端部に亘って設けられた前部フレーム63と、前部フレーム63の左右両側部から後方に延出された左右の前後フレーム64と、前部フレーム64の左右中央部から後方に延出された中間フレーム65とを備えて、平面視で長方形状に形成されている。
左右の側部フレーム62の後端部、及び左右の前後フレーム64の後端部は、下方に屈曲した形状に成形されており、右の側部フレーム62の後端部と右の前後フレーム64の後端部とに亘って右の板状部材66が固着され、左の側部フレーム62の後端部と左の前後フレーム64の後端部とに亘って左の板状部材67が固着されている。
左右の板状部材66,67は、縦平板状に成形され、この左右の板状部材66,67に、前後に貫通する貫通穴が形成されたボス部66a,67aが一体成形されている。第1可動部材61の板状部材66,67の貫通穴は、後述する第2可動部材71の板状部材74の左右の貫通穴と、前後向きに同心状に形成されており、軸受部材48を介して固定部材80を無理なく内嵌できるように構成されている。
第1可動部材61の前部下部には、操作具としてのパイプ状のハンドル69が固定されている。ハンドル69は、正面視でL字状に形成されており、このL字状に形成された左右向きのパイプ部分に握り具69aが装着されている。これにより、ハンドル69の握り具69aを握って前後に押し引きすることで、前方から第1可動部材61(第1及び第2可動部材61,71)を前後にスライド移動させることができる。なお、ハンドル69を省略して、第1可動部材61を直接握って押し引き操作するように構成してもよい。
予備苗載せ台60の第2可動部材71は、前後に長い左右の側部フレーム72と、左右の側部フレーム72の後端部に亘って設けられた後部フレーム73と、左右の側部フレーム72の前端部に亘って設けられた板状部材74と、後部フレーム73の左右両側部と板状部材74の左右両側部とに亘って設けられた左右の前後フレーム75と、後部フレーム73の左右中央部と板状部材74の左右中央部とに亘って設けられた中間フレーム76とを備えて、平面視で長方形状の枠形に成形されている。
左右の側部フレーム72の前端部、及び左右の前後フレーム75の前端部は、下方に屈曲した形状に成形されており、左右の側部フレーム72の前端部、左右の前後フレーム75の前端部、及び中間フレーム76の前端部に亘って板状部材74が固着されている。
板状部材74は、縦平板状に成形され、この板状部材74に、前後に貫通する左右の貫通穴が形成された左右のボス部74aが一体成形されており、軸受部材48を介して固定部材80を無理なく内嵌できるように構成されている。
第2可動部材71の後部下部には、操作具としてのパイプ状のハンドル77が固定されている。ハンドル77は、正面視でL字状に形成されており、このL字状に形成された左右向きのパイプ部分に握り具77aが装着されている。これにより、ハンドル77の握り具77aを握って前後に押し引きすることで、後方から第2可動部材71(第1及び第2可動部材61,71)を前後にスライド移動させることができる。なお、ハンドル77を省略して、第2可動部材71を直接握って押し引き操作するように構成してもよい。
図17に示すように、第1可動部材61の左右の前後フレーム64及び中間フレーム65は、前部フレーム63の下側に固定されており、図18に示すように、第2可動部材71の左右の前後フレーム75は、後部フレーム73の下側に固定されている。
図17及び図18に示すように、第1及び第2可動部材61,71を組み付けた状態で、第1可動部材61の左右の前後フレーム64及び中間フレーム65、並びに、第2可動部材71の左右の前後フレーム75の上端が略面一になるように構成されており、これにより、予備苗載せ台60の第1及び第2可動部材61,71の上側における予備苗Cを載置する載置面60Aが第1及び第2可動部材61,71の前端部から後端部に亘って略面一になるように構成されている。
左右の前後フレーム64及び中間フレーム65は、前部フレーム63の下側に固定されており、左右の前後フレーム75は、後部フレーム73の下側に固定されているので、第1及び第2可動部材61,71の周縁部に位置する左右の側部フレーム62、前部フレーム63、左右の側部フレーム72、及び後部フレーム73が、左右の前後フレーム64、中間フレーム65、及び左右の前後フレーム75より高い位置に位置する状態になる。これにより、予備苗載せ台60の載置面60Aに予備苗Cを載置した状態での予備苗Cの予備苗載せ台60からの落下を、左右の側部フレーム62、前部フレーム63、左右の側部フレーム72、及び後部フレーム73により防止できる。
図11に示すように、第1可動部材61と第2可動部材71とを組み付ける場合には、図11の白抜きの矢印で示す方向に第2可動部材71の左右の側部フレーム72を弾性変形させる(又は、図11の白抜きの矢印で示す方向とは逆方向に前後フレーム75を弾性変形させる)。そして、左右の側部フレーム72(又は、前後フレーム75)を弾性変形させることにより側部フレーム72と前後フレーム75との間に形成される空間Aを左右方向に広げて、第1可動部材61の左右の板状部材66,67を上方から挿入して、弾性変形させた左右の側部フレーム72(又は、前後フレーム75)を元の状態に戻す。これにより、第1可動部材61の一部を第2可動部材71側に入り込ませて、第1及び第2可動部材61,71を組み付けることができる。
上記のような第1及び第2可動部材61,71の組み付け構造を採用することで、ボルト等の締め付け部品を用いなくても第1及び第2可動部材61,71を組み付けることができ、第1及び第2可動部材61,71の組み付け作業の作業性を向上できると共に、第1及び第2可動部材61,71の組み付け構造を簡素化できる。また、ボルト等の締め付け部品が無くなるため、予備苗載せ台60の見栄えが良くなる。
図10〜図12に示すように、固定部材80は、円筒状の前後に長いパイプ材により構成されており、第1可動部材61と第2可動部材71とを組み付けた状態で、第1可動部材61の左右のボス部66a,67a、並びに第2可動部材71の左右のボス部74a,74aの貫通穴に樹脂製の軸受部材48を介して固定部材80を内嵌して、固定部材80の前端部及び後端部を支持部材35の前部及び後部フレーム37,38に内嵌し固定することで、第1及び第2可動部材61,71を装着した固定部材80を支持部材35に固定できる。
第1可動部材61の中間フレーム65の後端下部には、左右向きのロックピン68が装着されており、第2可動部材71の中間フレーム76の前端部及び後端部に、ロックピン68を係入する前後のロック穴76F,76Rが形成されている。これにより、中間フレーム76に形成されたロック穴76F,76Rと中間フレーム65に装着されたロックピン68とにより、予備苗載せ台60が延長された状態(前方移動姿勢、後方移動姿勢、又は作業姿勢)、及び、予備苗載せ台60が短縮された状態(格納姿勢)でロックするロック機構60Bが構成されている。
ロックピン68は、中間フレーム76のロック穴76F又はロック穴76Rにロックピン68が入り込んだ作用状態と、中間フレーム65の後部を内側に弾性変形させてロックピン68が中間フレーム76の左側面から離れた解除状態とに、状態切換可能に中間フレーム65の後端部に固定されている。
中間フレーム65を内側に弾性変形させてロックピン68を解除状態に切り換えることで、第1可動部材61が第2可動部材71に対して移動可能になり、第2可動部材71が第1可動部材61に対して移動可能になる(ロック機構60Bの解除状態)。また、ロックピン68がロック穴76F又はロック穴76Rの位置に位置する状態で、ロックピン68を作用状態に切り換えることで、第1可動部材61が第2可動部材71に対して移動不能になり、第2可動部材71が第1可動部材61に対して移動不能になる(ロック機構60Bのロック状態)。
上記のようにロック機構60Bを構成することにより、予備苗載せ台60を格納姿勢から前方移動姿勢、後方移動姿勢又は作業姿勢に姿勢変更した際の第1及び第2可動部材61,71のロック手段として、ロック機構60Bを機能させることができると共に、予備苗載せ台60を前方移動姿勢、後方移動姿勢又は作業姿勢から格納姿勢に姿勢変更した際の第1及び第2可動部材61,71のロック手段として、ロック機構60Bを機能させることができる。これにより、例えば予備苗載せ台60を格納姿勢から前方移動姿勢、後方移動姿勢又は作業姿勢に姿勢変更した際と、予備苗載せ台60を前方移動姿勢、後方移動姿勢又は作業姿勢から格納姿勢に姿勢変更した際とで別々の機構によりロックするように構成する場合に比べ、ロック機構60Bの構造を簡素化できる。
また、ロック機構60Bのロック状態で、例えば予備苗載せ台60に予備苗Cを載置すると、ロックピン68がロック穴76F又はロック穴76Rに係合し、中間フレーム65と中間フレーム76とが互いに支え合って、中間フレーム65及び中間フレーム76を予備苗載せ台60の補強部材として機能させることができる。
また、中間フレーム65の弾性変形を利用して、ロック機構60Bのロック状態及び解除状態を現出可能に構成することで、ロック機構60Bの構造を簡素化することができる。なお、ロック機構60Bのロック状態及び解除状態を現出可能であれば、ロック機構60Bとして異なる構成を採用してもよい。
図15に示す格納姿勢からロック機構60Bを解除し第1可動部材61のみを前方に引っ張ると、第1可動部材61の左右のボス部66a,67aが固定部材80に沿って案内されながら、第1可動部材61が第2可動部材71に対して相対的に前方に移動し、予備苗載せ台60が前方移動姿勢に姿勢変更される。そして、ロック機構60Bをロックすることで予備苗載せ台60を延長した状態で固定できる。この前方移動姿勢からロック機構60Bを解除し第1可動部材61のみを後方に押すと、第1可動部材61の左右のボス部66a,67aが固定部材80に沿って案内されながら、第1可動部材61が第2可動部材71に対して相対的に後方に移動し、予備苗載せ台60が図15に示す格納姿勢に姿勢変更される。そして、ロック機構60Bをロックすることで予備苗載せ台60を短縮した状態で固定できる。
図15に示す格納姿勢からロック機構60Bを解除し第2可動部材71のみを後方に引っ張ると、第2可動部材71の左右のボス部74aが固定部材80に沿って案内されながら、第2可動部材71が第1可動部材61に対して相対的に後方に移動し、予備苗載せ台60が後方移動姿勢に姿勢変更される。そして、ロック機構60Bをロックすることで予備苗載せ台60を延長した状態で固定できる。この後方移動姿勢からロック機構60Bを解除し第2可動部材71のみを前方に押すと、第2可動部材71の左右のボス部74aが固定部材80に沿って案内されながら、第2可動部材71が第1可動部材61に対して相対的に前方に移動し、予備苗載せ台60が図15に示す格納姿勢に姿勢変更される。そして、ロック機構60Bをロックすることで予備苗載せ台60を短縮した状態で固定できる。
ロック機構60Bにより予備苗載せ台60を短縮した状態(格納姿勢)で固定すると、第1可動部材61の板状部材66,67に装着した軸受部材48の後端が後部フレーム38の前面側に接当した状態になり、第2可動部材71の板状部材74に装着した軸受部材48の前端が前部フレーム37の後面側に接当した状態になって、支持部材35に対する第1及び第2可動部材61,71の前後方向への移動が規制される。これにより、予備苗載せ台60を格納姿勢に姿勢変更した場合における第1及び第2可動部材61,71の前後方向への移動を防止でき、第1及び第2可動部材61,71の前後方向への移動を規制する手段としてロック機構60Bを兼用できる。
前方移動姿勢又は作業姿勢から第2可動部材71を後方に引っ張ると(第1可動部材61を後方に押すと)、第1可動部材61の左右のボス部66a,67a、及び第2可動部材71の左右のボス部74a,74aが固定部材80に沿って案内されながら、第1及び第2可動部材61,71が一体で固定部材80に対して後方に移動し、予備苗載せ台60が後方移動姿勢に姿勢変更される。後方移動姿勢又は作業姿勢から第1可動部材61を前方に引っ張ると(第2可動部材71を前方に押すと)、第1可動部材61の左右のボス部66a,67a、及び第2可動部材71の左右のボス部74a,74aが固定部材80に沿って案内されながら、第1及び第2可動部材61,71が一体で固定部材80に対して前方に移動し、予備苗載せ台60が前方移動姿勢に姿勢変更される。
上記のように、固定部材80は、前方移動姿勢と、後方移動姿勢と、作業姿勢との間で、予備苗載せ台60が延長された状態で姿勢変更する際のガイドレールとして機能すると共に、前方移動姿勢、後方移動姿勢、又は作業姿勢と、格納姿勢との間で、予備苗載せ台60を延長又は短縮する際のガイドレールとして機能するように構成されている。これにより、例えば予備苗載せ台60が延長された状態で姿勢変更する際のガイドレールと、予備苗載せ台60を延長又は短縮する際のガイドレールを別々の部品により構成する場合に比べ、第1及び第2可動部材61,71を移動させる機構を簡素化できる。
図10及び図13に示すように、支持部材35と第2可動部材71の板状部材74とに亘ってデテント保持機構50が備えられている。デテント保持機構50は、位置決め部材51とデテント部材52とを備えて構成されている。
前部フレーム37の内側端部と後部フレーム38の内側端部とに亘って、前後に長い帯板状の位置決め部材51が固着されており、この位置決め部材51には、V字状に切り欠かれた前部凹溝51a、中央部凹溝51b、及び後部凹溝51cが形成されている。
第2可動部材71の板状部材74の内側端部には、前後向きの取付穴が形成されており、この取付穴に、板状部材74から後方に延出されたデテント部材52が締め付け固定されている。デテント部材52は、前後に長いバネ板52aを備えて構成されており、このデテント部材52の後端部に、左右向きの支軸52bが固定されている。支軸52bの左右中央部には、デテントローラ52cが回動自在に支持されており、このデテントローラ52cが位置決め部材51の上側に位置するように配設されている(図9参照)。これにより、デテントローラ52cが位置決め部材51の凹溝のいずれかの位置に位置する場合には、バネ板52aの下方への付勢力によりデテントローラ52cが下方に押え付けられて、デテントローラ52cと凹溝との係合により第2可動部材71の固定部材80に対する前後方向への移動が規制される。
図13(a)に示すように、前部凹溝51aの位置は、第1及び第2可動部材61,71を前方にスライド移動させて、板状部材74に装着した軸受部材48の前端が前部フレーム37の後面側に接当した位置で、デテントローラ52cが前部凹溝51aに係合する位置に設定されており、図13(c)に示すように、後部凹溝51cの位置は、第1及び第2可動部材61,71を後方にスライド移動させて、板状部材66,67に装着した軸受部材48の後端が後部フレーム38の前面側に接当した位置で、デテントローラ52cが後部凹溝51cに係合する位置に設定されている。図13(b)に示すように、中央部凹溝51bの位置は、前部凹溝51aと後部凹溝51cの前後中間位置に設定されている。
また、前部凹溝51aの位置は、後方移動姿勢から第2可動部材71のみを前方にスライド移動させる場合において、デテントローラ52cが前部凹溝51aに係合する位置で、ロック機構60Bのロックピン68の位置とロック穴76Fの位置が合致するように設定されており、後部凹溝51cの位置は、前方移動姿勢から第1可動部材71のみを後方にスライド移動させる場合において、デテントローラ52cが後部凹溝51cに係合する位置で、ロック機構60Bのロックピン68の位置とロック穴76Rの位置が合致するように設定されている。これにより、前方又は後方移動姿勢から格納姿勢に予備苗載せ台60を姿勢変更する場合におけるロック機構60Bの位置決めを容易に行うことができる。
図13(a)に示すように、第1及び第2可動部材61,71を前方にスライド移動させると、デテントローラ52cが前部凹溝51aに係合し、第1及び第2可動部材61,71を前方にスライド移動させた位置で位置決めできると共に、デテントローラ52cと前部凹溝51aとの係合により第1及び第2可動部材61,71の後方への移動が規制されて、第1及び第2可動部材61,71が前方にスライド移動した状態を保持できる。前方にスライド移動させた第1及び第2可動部材61,71をバネ板52aの付勢力に抗して少し後方へ押し引き操作することで、デテント部材52の後端部が弾性変形して前部凹溝51aの傾斜部に沿ってデテントローラ52cが上方へ移動し、第1及び第2可動部材61,71の後方への移動が許容される。
図13(c)に示すように、第1及び第2可動部材61,71を後方にスライド移動させると、デテントローラ52cが後部凹溝51cに係合し、第1及び第2可動部材61,71を後方にスライド移動させた位置で位置決めできると共に、デテントローラ52cと後部凹溝51cとの係合により第1及び第2可動部材61,71の前方への移動が規制されて、第1及び第2可動部材61,71が後方にスライド移動した状態を保持できる。後方にスライド移動させた第1及び第2可動部材61,71をバネ板52aの付勢力に抗して少し前方へ押し引き操作することで、デテント部材52の後端部が弾性変形して後部凹溝51cの傾斜部に沿ってデテントローラ52cが上方へ移動し、第1及び第2可動部材61,71の前方への移動が許容される。
図13(b)に示すように、第1及び第2可動部材61,71を前方から後方(又は後方から前方)に移動させると、デテントローラ52cが中央部凹溝51bに係合し、第1及び第2可動部材61,71を前方又は後方から押し引き操作する抵抗になる。これにより、デテントローラ52cが中央部凹溝51bに係合した位置で、第1及び第2可動部材61,71の前方又は後方への押し引き操作を止めると、デテントローラ52cと中央部凹溝51bとの係合により第1及び第2可動部材61,71の前後方向への移動が規制されて、第1及び第2可動部材61,71が前後中間位置にスライド移動した状態を保持できる。デテントローラ52cが中央部凹溝51bに係合した位置から更に第1及び第2可動部材61,71をバネ板52aの付勢力に抗して前方又は後方へ少し押し引き操作すると、デテント部材52の後端部が弾性変形して中央部凹溝51bの傾斜部に沿ってデテントローラ52cが上方へ移動し、第1及び第2可動部材61,71の前方又は後方への移動が許容される。
なお、デテント保持機構50により第1及び第2可動部材61,71が前方にスライド移動し位置決めされた状態が予備苗載せ台60の前方移動姿勢であり、デテント保持機構50により第1及び第2可動部材61,71が後方にスライド移動し位置決めされた状態が予備苗載せ台60の後方移動姿勢であり、デテント保持機構50により第1及び第2可動部材61,71が前後中間位置に位置決めされた状態が予備苗載せ台60の作業姿勢である。
なお、デテント保持機構50の作用及び効果については、前述の[参考形態]と同様である。
図14に示すように、予備苗載せ台60の前側に予備苗Cを載置し、予備苗載せ台60の前部に図14中の白抜きの矢印で示す方向の荷重が作用すると、第1可動部材61には、板状部材66,67の上端に位置する支点aを中心とした紙面反時計回りの曲げモーメントが作用する。この場合、第2可動部材71の板状部材74の上端に位置する支点bが支えとなって、第1可動部材61の前部の下方への撓み量を少なく抑えることができ、安定して予備苗Cを載置できる。
更に、前部フレーム37の上部には、前方に折り曲げ成形された荷重支持部37bが形成され、この荷重支持部37bの上面と前後フレーム64の下端との間に所定の隙間が形成されるように構成されているので、第1可動部材61の下方への撓み量が多い場合には、第1可動部材61に作用する荷重を荷重支持部37bで支持することができ、第1可動部材61に無理な曲げモーメントが作用することを防止できる。
予備苗載せ台60の後側に予備苗Cを載置し、予備苗載せ台60の後部に図14中の白抜きの矢印で示す方向の荷重が作用すると、第2可動部材71には、板状部材74の上端に位置する支点bを中心とした紙面時計回りの曲げモーメントが作用する。この場合、第1可動部材61の板状部材66,67の上端に位置する支点aが支えとなって、第2可動部材71の後部の下方への撓み量を少なく抑えることができ、安定して予備苗Cを載置できる。
更に、後部フレーム38の上部には、後方に折り曲げ成形された荷重支持部38bが形成され、この荷重支持部38bの上面と前後フレーム75の下端との間に所定の隙間が形成されるように構成されているので、第2可動部材71の下方への撓み量が多い場合には、第2可動部材71に作用する荷重を荷重支持部38bで支持することができ、第2可動部材71に無理な曲げモーメントが作用することを防止できる。
このように、第1可動部材61と第2可動部材71とを互いに組み合わせて、相互に支持し合う構成を採用することにより、例えば第1可動部材61又は第2可動部材71の単独でそれぞれの上部に載置された予備苗Cの荷重を支持するように構成する場合に比べ、第1及び第2可動部材61,71により予備苗Cを安定して支持することができると共に、第1及び第2可動部材61,71の構造を簡素化することができる。
上記のように予備苗載せ台60を構成することで、例えば圃場で苗植付作業を行う場合には、予備苗載せ台60を延長した状態(前方移動姿勢、後方移動姿勢、又は作業姿勢)に姿勢変更する。これにより、予備苗載せ台60に2枚の予備苗Cを載置できると共に、作業形態に応じて予備苗載せ台60の姿勢を変更して効率よく苗植付作業を行うことができる。そして、例えば苗植付作業が終了して乗用型田植機を移動及び保管する場合には、予備苗載せ台60を短縮した状態(格納姿勢)に姿勢変更する。これにより、予備苗載せ台60を前後にコンパクトに格納することができ、予備苗載せ台60が乗用型田植機を移動及び保管する場合の妨げになることを防止できる。なお、上記使用形態は一例として示したものであり、異なる使用形態を採ることもできる。
[発明の実施の第1別形態]
前述の[参考形態]においては、予備苗載せ台40の可動部材41が一体で前方又は後方にスライド移動するように構成し、[本発明の実施形態]においては、予備苗載せ台60の第1及び第2可動部材61,71が前方又は後方にスライド移動するように構成した例を示したが、図19に示すような予備苗載せ台90を採用してもよい。図19は、予備苗載せ台90の概略構造を説明する縦断側面図である。
図19に示すように、支持フレーム33上端部のボス部に前後軸心周りで揺動自在に支持部材35が支持されており、この支持部材35に予備苗載せ台90が支持されている。予備苗載せ台90は、支持部材35に固定された固定側部分91と、この固定側部分91から前方にスライド移動可能に構成された前部可動部分92と、固定側部分92から後方にスライド移動可能に構成された後部可動部分93とを備えて構成されている。
前部可動部分92の予備苗Cを載置する載置面92A及び後部可動部分93の予備苗Cを載置する載置面93Aは略面一に設定されており、前部及び後部可動部分92,93が前方にスライド移動した前方移動姿勢と、前部及び後部可動部分92,93が後方にスライド移動した後方移動姿勢と、前部及び後部可動部分92,93が前方及び後方移動姿勢の前後中間位置にスライド移動した作業姿勢と、前部及び後部可動部分92,93が共に固定側部分91側にスライド移動した格納姿勢とに姿勢変更可能に構成されている。
前部可動部分92及び後部可動部分93は、格納姿勢において側面視で重なる位置に配設されるように、その形状等が設定されており、これにより、前部可動部分92の載置面92A及び後部可動部分93の載置面93Aを略面一に構成しながら、格納姿勢で前後にコンパクトな予備苗載せ台90を構成できる。
固定側部分91の前端部及び後端部の下部には、前後の支持部材94が装備されており、この前後の支持部材94の上面側に沿って前部及び後部可動部分92,93の下面が移動するように構成されている。固定側部分91の前端部及び後端部には、前後のガイド部材95が装備されており、この前後のガイド部材95の下面に沿って前部及び後部可動部分92,93の上面が移動するように構成されている。
例えば予備苗載せ台90を後方移動姿勢に姿勢変更した状態で、予備苗載せ台90に図19中の白抜きの矢印で示す方向の荷重が作用すると、例えば後部可動部材93には、支持部材94の後端上部の支点eを中心とした紙面時計回りの曲げモーメントが作用する。この場合、ガイド部材95の下側の面が支えとなって、後部可動部材93の後部の下方への撓み量を少なく抑えることができる。その結果、安定して予備苗Cを載置できると共に、後部可動部材93を無理なくスライド移動させることができる。なお、予備苗載せ台90を後方移動姿勢に姿勢変更した場合を例に示したが、予備苗載せ台90を前方移動姿勢に姿勢変更した場合における前部可動部材92についても同様である。
[発明の実施の第2別形態]
前述の[参考形態]、[本発明の実施形態]及び[発明の実施の第1別形態]においては、運転部3の前側の左右両側部の支持フレーム33にそれぞれ1段の予備苗載せ台40,60,90を装備した例を示したが、例えば図20に示すように、支持フレーム33に2段の予備苗載せ台40を装備するように構成してもよい。なお、図20においては、前述の[参考形態]の予備苗載せ台40を2段に構成した例を示すが、[本発明の実施形態]及び[発明の実施の第1別形態]の予備苗載せ台60,90においても同様である。
図20に示すように、例えば上下2段に構成した予備苗載せ台40の下段の予備苗載せ台40に予備苗Cを前側から載置する場合には、下段の予備苗載せ台40のみを前方にスライド移動させて前方移動姿勢に姿勢変更し、前方移動姿勢に姿勢変更された下段の予備苗載せ台40に斜め前方上方から予備苗Cを載置する。逆に、下段の予備苗載せ台40から予備苗Cを前側に取り出す場合には、前方移動姿勢に姿勢変更された下段の予備苗載せ台40から予備苗Cを斜め前方上方に取り出す。これにより、例えば上段の予備苗載せ台40と下段の予備苗載せ台40との間の上下の隙間に前方から予備苗Cを出し入れする場合に比べ、下段の予備苗載せ台40に斜め前方上方から容易に予備苗Cを出し入れできる。その結果、予備苗載せ台40の操作性を向上させながら、例えば上段の予備苗載せ台40と下段の予備苗載せ台40との間の隙間を狭く設定することができ、上下にコンパクトな予備苗載せ台40を構成することが可能になる。
また、図20において、下段の予備苗載せ台40を前方移動姿勢に姿勢変更すると共に、上段の予備苗載せ台40を後方移動姿勢に姿勢変更することで、下段の予備苗載せ台40に上方から予備苗Cを載置することができ、下段の予備苗載せ台40から予備苗Cを上方に取り出すことができる。これにより、下段の予備苗載せ台40に上方から更に容易に予備苗Cを出し入れできる。
図示しないが、支持フレーム33に3段以上の予備苗載せ台40,60,90を装備するように構成してもよい。また、支持フレーム33に2段以上の予備苗載せ台40を装備し、複数の予備苗載せ台40のうちの一部の予備苗載せ台40のみを前方移動姿勢、後方移動姿勢、及び作業姿勢に姿勢変更できるように構成してもよく、支持フレーム33に2段以上の予備苗載せ台60,90を装備し、複数の予備苗載せ台60,90のうちの一部の予備苗載せ台60,90のみを前方移動姿勢、後方移動姿勢、作業姿勢、及び格納姿勢に姿勢変更できるように構成してもよい。
前述の[参考形態]、[本発明の実施形態]及び[発明の実施の第1別形態]においては、前方移動姿勢、後方移動姿勢、及び作業姿勢の予備苗載せ台40,60,90に、2枚の前後に長い長方形状の予備苗Cを前後に並べて載置できるように構成した例を示したが、3枚以上の予備苗Cを前後に並べて載置できるように構成してもよく、左右に長い長方形状の複数の予備苗Cを前後に並べて載置できるように構成してもよい。
前述の[参考形態]においては、予備苗載せ台40を、前方移動姿勢、後方移動姿勢、及び作業姿勢に姿勢変更可能に構成した例を示し、前述の[本発明の実施形態]及び[発明の実施の第1別形態]においては、予備苗載せ台60,90を、前方移動姿勢、後方移動姿勢、作業姿勢、及び格納姿勢に姿勢変更可能に構成した例を示したが、予備苗載せ台40を、前方移動姿勢、後方移動姿勢、及び作業姿勢のうちのいずれか2つの姿勢に姿勢変更可能に構成してもよく、予備苗載せ台60,90を、前方移動姿勢、後方移動姿勢、作業姿勢、及び格納姿勢のうちのいずれか2つ又は3つの姿勢に姿勢変更可能に構成してもよい。
前述の[参考形態]、[本発明の実施形態]及び[発明の実施の第1別形態]においては、予備苗載せ台40,60,90の載置面40A,60A,90Aが略水平になるように構成した例を示したが、予備苗載せ台40,60,90の載置面40A,60A,90Aが前方下方又は後方下方に少し傾斜するように構成してもよい。
前述の[参考形態]、[本発明の実施形態]及び[発明の実施の第1別形態]において示した予備苗載せ台40,60,90を前方又は後方にスライド移動させる構造として異なる構造を採用してもよく、例えば予備苗載せ台40,60,90と支持部材35との間にスライドレール、スライドローラ、ベアリング等のスライド機構(図示せず)を介在させて、予備苗載せ台40,60,90を前方又は後方にスライド移動させる構成を採用してもよい。この場合、必要に応じて、予備苗載せ台40,60,90の姿勢を保持するロック機構(図示せず)を設ける。
[発明の実施の第3別形態]
前述の[参考形態]、[本発明の実施形態]、[発明の実施の第1別形態]及び[発明の実施の第2別形態]においては、デテント保持機構50により予備苗載せ台40,60,90の姿勢を保持すると共に、デテント保持機構50により予備苗載せ台40,60,90の姿勢を位置決めするように構成した例を示したが、保持機構とは別に、予備苗載せ台40,60,90の姿勢を位置決めする位置決め機構(図示せず)を設けてもよい。
前述の[参考形態]、[本発明の実施形態]、[発明の実施の第1別形態]及び[発明の実施の第2別形態]においては、バネ板52aのバネ反力により予備苗載せ台40,60,90の姿勢を保持するように、デテント保持機構50を構成した例を示したが、異なる機構により予備苗載せ台40,60,90の姿勢を保持するように、デテント保持機構50を構成してもよく、例えば摩擦機構(図示せず)により予備苗載せ台40,60,90の姿勢を保持するように、デテント保持機構50を構成してもよい。
前述の[参考形態]、[本発明の実施形態]、[発明の実施の第1別形態]及び[発明の実施の第2別形態]においては、デテント保持機構50により予備苗載せ台40,60,90の姿勢を保持するように、保持機構を構成した例を示したが、予備苗載せ台40,60,90の姿勢を固定するように、保持機構を構成してもよい。この場合、予備苗載せ台40,60,90の姿勢を固定する固定手段としては、ロック具により固定する固定手段等(図示せず)、様々な固定手段が採用できる。
[発明の実施の第4別形態]
前述の[参考形態]、[本発明の実施形態]、[発明の実施の第1別形態]、[発明の実施の第2別形態]及び[発明の実施の第3別形態]においては、乗用型田植機を例に示したが、歩行型田植機においても同様に適用できる。