JP2000342028A - 乗用田植機 - Google Patents

乗用田植機

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JP2000342028A
JP2000342028A JP11155408A JP15540899A JP2000342028A JP 2000342028 A JP2000342028 A JP 2000342028A JP 11155408 A JP11155408 A JP 11155408A JP 15540899 A JP15540899 A JP 15540899A JP 2000342028 A JP2000342028 A JP 2000342028A
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JP
Japan
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case
transmission
shaft
transmission case
closed chamber
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Application number
JP11155408A
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English (en)
Inventor
Toshio Nakao
敏夫 中尾
Yoichiro Nishi
陽一朗 西
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Yanmar Co Ltd
Original Assignee
Yanmar Agricultural Equipment Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ミッションケースの軽量化及び低コスト化が
図れる乗用田植機を得ることを課題とする。 【解決手段】 機体後部に植付部を昇降自在に配設した
乗用田植機において、一体型ミッションケースの前部に
走行変速機構を内設した前部閉鎖室を形成し、後部に制
動機構を内設した後部閉鎖室を形成するとともに、前部
閉鎖室と後部閉鎖室との間に空洞部を形成し、前部閉鎖
室内から後部閉鎖室内へ動力を伝達する伝動軸を前記空
洞部内に配置する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、乗用田植機のミッ
ションケースに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の乗用田植機において、ミッション
ケースが一体型に形成されているものがある。すなわ
ち、ミッションケースを前後方向に長く延出して形成
し、前部には走行変速機構を内設するとともにフロント
アクスルケースを一体的に固設し、後部には後車輪駆動
軸を軸支したリアアクスルケースを一体的に固設したも
のがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな一体型ミッションケースの場合は、ミッションケー
ス内に循環させる油量が大量に必要となるため、重量ア
ップ、コストアップになる不具合がある。また、一体型
ミッションケースは長さが一定であるため、ホイルベー
スを変更することができない不都合がある。そこで、本
発明は、ミッションケースの軽量化及び低コスト化が図
れ、ホイルベースの変更にも対応できる乗用田植機を得
ることを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】以上のような目的を達成
するために、本発明は、次のような乗用田植機を提供す
るものである。すなわち、機体後部に植付部を昇降自在
に配設した乗用田植機において、一体型ミッションケー
スの前部に走行変速機構を内設した前部閉鎖室を形成
し、後部に制動機構を内設した後部閉鎖室を形成すると
ともに、前部閉鎖室と後部閉鎖室との間に空洞部を形成
し、前部閉鎖室内から後部閉鎖室内へ動力を伝達する伝
動軸を前記空洞部内に配置したことを特徴とする乗用田
植機である。また、機体後部に植付部を昇降自在に配設
した乗用田植機において、ミッションケースを、走行変
速機構を内設した前ケースと、制動機構を内設した後ケ
ースに分割するとともに、前ケースと後ケースを中空の
連結部材で連結し、前ケース内から後ケース内へ動力を
伝達する伝動軸を前記連結部材内に配置したことを特徴
とする乗用田植機である。そして、機体後部に植付部を
昇降自在に配設した乗用田植機において、ミッションケ
ースを、走行変速機構を内設した前ケースと、制動機構
を内設した後ケースに分割するとともに、前ケースと後
ケースを、前ケース内から後ケース内へ動力を伝達する
チェーン機構が内設されたチェーンケースで連結したこ
とを特徴とする乗用田植機である。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に示す実施例を基に説明する。図1は本発明にかかる乗
用田植機(A)の全体を示す概略側面図である。乗用田
植機(A)は走行車両(1)と、走行車両(1)の後部
に連結した植付部(9)とで構成されており、図1で示
すように、走行車両(1)の前部及び後部にはそれぞれ
前輪(2)と後輪(3)が懸架され、車体フレーム
(4)の前部には動力部であるエンジン(5)が搭載さ
れている。そして、エンジン(5)後方の車体フレーム
(4)の左右略中央には前後方向に長く延出したミッシ
ョンケース(6)が配置されており、ミッションケース
(6)の前部に前輪(2)が支持され、後部に後輪
(3)が支持されている。エンジン(5)を覆うボンネ
ット(22)の両側には予備苗載台(90)が配設さ
れ、オペレーターが搭乗する車体カバー(20)によっ
てミッションケース(6)等が覆われている。そして、
車体カバー(20)の後上部に運転席(7)が設けら
れ、車体カバー(20)前部のボンネット(22)の後
方に操向ハンドル(8)が配設されている。
【0006】植付部(9)は4条植えとした苗載台(9
1)や複数の植付爪(93)等から構成されており、前
高後低に配設した苗載台(91)を下部レール(95)
及びガイドレール(96)を介して植付伝動フレーム
(92)に左右往復摺動自在に支持させるとともに、ク
ランク機構によってクランク運動する植付爪(93)を
植付伝動フレーム(92)の後部に配設している。した
がって、前輪(2)及び後輪(3)を走行駆動して移動
させるとともに、左右に往復摺動可能な苗載台(91)
から1株分の苗を植付爪(93)によって取り出し、連
続的に苗植え作業が行えるようになっている。
【0007】また、植付伝動フレーム(92)の前部に
はローリング支点軸(16)を介してヒッチ(94)が
設けられ、そのヒッチ(94)は、ヒッチ(94)の上
部左右両側に枢支されているトップリンク(11)と、
ヒッチ(94)の下部左右両側に枢支されているロワー
リンク(12)とを含む昇降リンク機構(10)を介し
て走行車両(1)の後部に連結されている。そして、ロ
ワーリンク(12)の前端部内側面にはリフトアーム
(13)の基部が固設されており、このリフトアーム
(13)をロワーリンク(12)の配設方向に対して直
交する上方向に突設している。そして、昇降リンク機構
(10)を昇降駆動させる昇降シリンダー(15)がこ
のロワーリンク(12)に連結したリフトアーム(1
3)に連結している。
【0008】また、リフトアーム(13)の上端部とロ
ワーリンク(12)の後端部との間には補強リンク(1
4)が連結されており、ロワーリンク(12)の剛性を
高めるようにしている。そして、トップリンク(11)
及びロワーリンク(12)の前端部は、後部連結フレー
ム(43)(44)間に横設された枢支ピンを介して枢
支されており、この後部連結フレーム(43)(44)
が昇降リンク機構(10)の支持部として兼用されて、
植付部(9)の安定した昇降、部品点数の削減、構成の
シンプル化が図られている。
【0009】また、植付部(9)の下部には植付部
(9)を一定の高さに保持する均平用のセンターフロー
ト(97)とサイドフロート(98)が配設されてお
り、センターフロート(97)は走行車両(1)の左右
中心線上に配置され、センターフロート(97)の左右
対称位置にサイドフロート(98)が配設されて、植付
部(9)の左右のバランスを良好に保ち、植え付け姿勢
を安定させて、正確に植え付けができるようにしてい
る。
【0010】そして、植付部(9)の動力伝達部である
植付伝動フレーム(92)の下部に植深調節軸(16
1)が左右のサイドフロート(98)の幅に合わせて横
設されるとともに、植深調節軸(161)の適所位置よ
り後下方の各フロートの後部に向けて支持アーム(16
2)が突設され、各フロートの後部上に枢支されてお
り、植深調節軸(161)より前方に操作アーム(16
3)が突出され、操作アーム(163)の後端部より上
方に向かって植深さ設定レバー(79)が設けられてい
る。このため、オペレーターが運転席(7)に着座した
まま植深さ設定レバー(79)を操作しやすく、容易に
調整することが可能になっている。
【0011】車体フレーム(4)はパイプ体で構成さ
れ、図7の平面視で示すように、両側が機体後方に向か
って屈曲形成されて、拡開した略U字状をなすフロント
フレーム(40)と、ミッションケース(6)が配置さ
れたときに、ミッションケース(6)の前端部付近より
後方はミッションケース(6)と平行で、ミッションケ
ース(6)の前端部付近から前方は略ハ字状に拡開する
ように形成されている左右一対のサイドフレーム(4
1)(42)とから構成されている。そして、サイドフ
レーム(41)(42)のハ字状に拡開した前端部がフ
ロントフレーム(40)の開放側後部に連結されるとと
もに、図2で示すように、サイドフレーム(41)(4
2)の後部が上方に向かって屈曲形成されている。
【0012】また、フロントフレーム(40)の中央部
より後下方に向かって平板状の支持部材(50)が延設
されており、エンジン(5)はこの支持部材(50)の
上に載置されている。支持部材(50)の前部はフロン
トフレーム(40)に向かって上方に湾曲するように形
成され、後端部はサイドフレーム(41)(42)を連
結する連結フレーム(45)に支持されている。なお、
この支持部材(50)は平板状であるため、エンジン
(5)下部の保護カバーとして利用することができる。
その他、図1で示す(75)は主変速レバー、(76)
は主クラッチレバー、(77)は植付昇降レバー、(7
4)は主クラッチペダルである。
【0013】図2で示すように、ミッションケース
(6)は前低後高に形成された車体フレーム(4)に対
して、その最前部近傍と最後部近傍及び中間部近傍にお
いて固定されているが、ミッションケース(6)の最前
部近傍は、エンジン(5)が載置される支持部材(5
0)に、支持部材(50)から斜め内側後下方に向かっ
て延設されている取付部材(51)を介して固定されて
いる。したがって、重量物であるエンジン(5)の荷重
をミッションケース(6)でも支えることができるよう
になっており、その荷重はミッションケース(6)を圧
縮する方向にかかるようになっている。したがって、エ
ンジン(5)の振動を剛性のあるミッションケース
(6)で抑制することができるようになるとともに、車
体フレーム(4)自体を軽量化でき、そのコンパクト化
が図れるようになっている。
【0014】また、車体フレーム(4)を構成するサイ
ドフレーム(41)(42)は前後方向略中央部より上
方に向かって屈曲するように形成されており、その屈曲
し始める中央部付近の機体幅方向にセンターフレーム
(46)が架設されている。そして、このセンターフレ
ーム(46)の機体幅方向略中央に設けられた取付部材
(47)に、ミッションケース(6)の上端部(6b)
が連結されている。なお、この上端部(6b)は後方に
向かって突出しているPTO軸(65)の直上部に位置
している。そして、ミッションケース(6)の後部に一
体的に設けられているリアアクスルケース(38)に取
付プレート(39)を介して連結されている後部連結フ
レーム(43)(44)の上端部と、前記サイドフレー
ム(41)(42)の後端部とが一体的に連結され、サ
イドフレーム(41)(42)と後部連結フレーム(4
3)(44)とミッションケース(6)とで側面視略三
角形状のフレームを構成するようになっている。
【0015】サイドフレーム(41)(42)の後端部
と後部連結フレーム(43)(44)の上端部とが連結
された部分、即ち略三角形状を構成する最上側の頂点部
にはリアフレーム(48)が機体幅方向に架設され、そ
のリアフレーム(48)上に、後部カバー(30)の運
転席設置部(31)の下面後側が載置固定されるととも
に、連結部材を介して運転席(7)の後部支持部材(7
2)が連結されている。そして、サイドフレーム(4
1)(42)の中央部と後端部の略中間に立設されて機
体幅方向に架設されたパイプステーなどの支持部材(4
9)上に、設置部(31)の下面前側が載置固定される
とともに、連結部材を介して運転席(7)の前部支持部
材(71)が連結されている。
【0016】このように略三角形状を構成するフレーム
の頂点部の丁度真上に運転席(7)の後部が来るように
配置し、車体フレーム(4)の中央部と、車体フレーム
(4)の後端部を支持する後部連結フレーム(43)
(44)の後下端部とをミッションケース(6)で支持
するように構成すると、運転席(7)にかかる鉛直方向
のほとんどの荷重をその頂点部及びミッションケース
(6)で強固に支持することができるようになるため、
車体フレーム(4)自体にそれほどの剛性を要求しなく
てもよくなり、車体フレーム(4)の軽量化が図れると
ともに、部品点数の削減が図れる。そして、運転席
(7)の前部も従来のように後部カバー(30)で支持
するのではなく、車体フレーム(4)に立設したパイプ
ステー(49)によって支持するため、後部カバー(3
0)が撓むような不具合は生じない。また、車体フレー
ム(4)を側面視三角形状に構成することにより、その
内方側部分におけるスペースの有効利用を図ることがで
き、機体全体のコンパクト化が図れるようになってい
る。
【0017】次に、ミッションケース(6)の内部機構
について図3乃至図5を基に説明をすると、ミッション
ケース(6)の前部には走行変速機構が内設される変速
室(60)が形成され、変速室(60)の左右両側面に
フロントアクスルケース(37)が一体的に固設されて
いる。そして、フロントアクスルケース(37)の左右
端部より下方に向かって車軸ケースが固設され、車軸ケ
ースの下端部に前輪(2)を固設する前車輪軸(66)
が軸支されている。ミッションケース(6)の後端部に
は軸芯を左右方向に持つ筒状のリアアクスルケース(3
8)が一体的に形成され、リアアクスルケース(38)
内に後車輪駆動軸(69)が軸支されている。そして、
後車輪駆動軸(69)の左右両端部に後輪(3)が固設
され、従来のような伝動ケースを廃止した構成になって
いる。
【0018】ミッションケース(6)の上下方向に膨出
した前部には、内部に変速機構やPTO軸(65)が配
設される変速室(60)が形成されており、この上方に
膨出させた変速室(60)の上後部には前後方向に軸芯
を有するPTO軸(65)が軸支されている。このよう
に、ミッションケース(6)は後側が変速室(60)の
後部より一段低く、即ち変速室(60)の上後部はミッ
ションケース(6)の後部側上面より上方に膨出した形
状に形成され、その膨出した変速室(60)の後面より
後方に向かってPTO軸(65)の後端部が突出してい
る。
【0019】また、ミッションケース(6)が前後方向
に長く延出され、図1、2で示す側面視において後部が
斜め下方に向かって傾斜する前高後低に配置されている
ので、PTO軸(65)に接続されるユニバーサルジョ
イント部(159)を有するPTO伝動軸(158)を
通すスペースをミッションケース(6)の後部上方に広
くとることができ、そのユニバーサルジョイント部(1
59)及びPTO伝動軸(158)等を余裕をもって配
置することが可能となっている。なお、ミッションケー
ス(6)の上面にはPTO伝動軸(158)を支持する
支持部材(160)が設けられており、PTO伝動軸
(158)の両端が同じミッションケース(6)に支持
されることになって、同心精度が容易に高められるよう
になっている。
【0020】ミッションケース(6)の変速室(60)
の上部には、左右方向に入力軸(56)が軸支され、入
力軸(56)の左端部が外側に突出されて従動プーリー
(55)が固設され、図10で示すように、エンジン
(5)の左側面より側方に突出されている出力軸(5
2)に固設された駆動プーリー(53)からの動力が、
ベルト(54)を介してミッションケース(6)内に入
力されている。そして、このベルト(54)はテンショ
ンアーム(57)の先端に取り付けられたテンションロ
ーラー(58)によって緊張されるように構成されてお
り、主クラッチペダル(74)の踏み込み操作や後述す
る主クラッチレバー(76)のシフト操作に連動して動
力の断接が行われるようになっている。
【0021】入力軸(56)の前下方には主変速軸(6
1)が軸支され、主変速軸(61)の前下方には前車輪
駆動軸(62)が軸支され、入力軸(56)に入力した
動力が略前下方に伝達されるようになっている。そし
て、入力軸(56)の前方で主変速軸(61)の上方に
は副変速軸(63)が軸支されており、入力軸(56)
と主変速軸(61)は側面視において副変速軸(63)
を頂点とする略二等辺三角形状に配置されて、ミッショ
ンケース(6)内の構成がシンプルになっている。ま
た、後輪(3)を駆動する後車輪駆動軸(69)への駆
動力は、入力軸(56)と前車輪駆動軸(62)との間
の主変速軸(61)から伝動軸(70)を介してミッシ
ョンケース(6)後下方の後車軸駆動室(80)に伝達
されており、ミッションケース(6)の配設方向である
前高後低方向に動力伝達経路が構成されている。
【0022】すなわち、このミッションケース(6)後
部の後車軸駆動室(80)にはミッションケース(6)
の配設方向に沿った後下方向きに従動軸(67)、カウ
ンター軸(68)、後車輪駆動軸(69)が順に配設さ
れており、主変速軸(61)からの駆動力はベベルギア
(70a)(70b)を両端に固着した伝動軸(70)
によって従動軸(67)に伝達され、カウンター軸(6
8)を介して後車輪駆動軸(69)に伝達されて、後車
輪駆動軸(69)への駆動伝達経路をミッションケース
(6)の配設方向に合わせた前高後低の直線状に伝達
し、シンプルかつ省スペースで効率のよい動力伝達経路
の配置構成としている。
【0023】なお、このとき、ミッションケース(6)
の変速室(60)は主変速軸(61)に固設されたギア
(99)に噛合するベベルギア(70a)の直後方で仕
切られ、後車軸駆動室(80)もベベルギア(70b)
の直前方で仕切られて、変速室(60)と後車軸駆動室
(80)はそれぞれ前部閉鎖室と後部閉鎖室を形成する
ようになっている。そして、変速室(60)と後車軸駆
動室(80)の間のミッションケース(6)の中途部が
空洞になって空洞部(6a)を形成するようになってお
り、その空洞部(6a)内に、伝動軸(70)がベアリ
ング部(17)とオイルシール部(18)を介して回転
自在に軸架されている。したがって、変速室(60)内
と後車軸駆動室(80)内にだけ油を供給すればよく、
ミッションケース(6)内全体の油量が少なくて済み、
重量の低減及びコストの低減が図れるようになってい
る。また、後車輪駆動軸(69)の高さ位置が車体フレ
ーム(4)よりも下方位置になるため、後輪(3)の車
輪を小径とすることができ、走行車両の小型化が図れる
ようになっている。
【0024】ミッションケース(6)後部の後車軸駆動
室(80)には、動力断接機構と制動機構が配設されて
おり、従動軸(67)の左右中央部にはボス部(10
1)が固設され、ボス部(101)の外周面上にギア
(100)が固設されて伝動軸(70)のベベルギア
(70b)が噛合している。ボス部(101)の左右両
側の従動軸(67)には摺動ギア(102)がスプライ
ン嵌合されており、摺動ギア(102)とサイドクラッ
チ(103)とが歯数を同じにして一体成形されて部品
点数の削減が図られるとともに、組立がしやすいように
構成されている。摺動ギア(102)にはカウンター軸
(68)に枢支した内ギア(104)が噛合され、内ギ
ア(104)に一体的に形成した外ギア(105)には
後車輪駆動軸(69)に固設するギア(106)が噛合
されている。
【0025】また、摺動ギア(102)にはミッション
ケース(6)上面に枢支した操作軸(107)に固設す
るフォークが嵌合され、操作軸(107)上部に固設す
るアーム(108)を回動操作することで、操作軸(1
07)が回動し、摺動ギア(102)が摺動される。摺
動ギア(102)を内側に摺動させると、摺動ギア(1
02)内側がボス部(101)内に係合されて動力が伝
達され、後車輪駆動軸(69)が駆動される。摺動ギア
(102)を外側に摺動させると、ボス部(101)と
摺動ギア(102)との係合が外れ、動力の伝達が離脱
されると同時に、摺動ギア(102)の外側端部に形設
したパットと挟持体によって構成されるブレーキ機構
(130)が作動し、摺動ギア(102)の回動が制動
されて後車輪駆動軸(69)の回動が停止する。
【0026】一方、入力軸(56)の後方にはPTO入
力軸(64)が軸支され、そのPTO入力軸(64)か
らベベルギア(64a)(65a)を介して前後方向に
軸芯を有する伝達軸(65b)に動力を伝達し、PTO
クラッチ(109)を介してPTO軸(65)に動力を
伝達しており、入力軸(56)より水平方向後方に向け
て動力を伝達し、後方の植付部(9)に動力を伝達する
ようにしている。また、PTO軸(65)への動力の断
接を行うPTOクラッチ(109)にはギア式クラッチ
が用いられており、伝達軸(65b)には前後方向中央
部に筒体(65c)が遊嵌され、筒体(65c)が遊嵌
されていない伝達軸(65b)の前部にクラッチギア
(110)が固設され、筒体(65c)の前部に摺動ク
ラッチギア(111)がスプライン嵌合されている。
【0027】摺動クラッチギア(111)にはミッショ
ンケース(6)側面に軸支される操作軸(112)に固
設するフォークが嵌合され、操作軸(112)が運転席
(7)の近傍位置に配置されるPTOクラッチレバーを
兼用する植付昇降レバー(77)に連動連結されてお
り、植付昇降レバー(77)を操作してクラッチギア
(110)と摺動クラッチギア(111)とが噛合さ
れ、伝達軸(65b)の動力が後方のPTO軸(65)
に伝達されるようになっている。なお、筒体(65c)
後部にはギア式クラッチの摺動クラッチギア(113)
が摺動自在にスプライン嵌合され、圧縮バネ(114)
によってPTO軸(65)の前部に固設するクラッチギ
ア(115)に噛合する方向に付勢されており、PTO
軸(65)に動力を伝達する安全クラッチ(116)が
形成されている。この安全クラッチ(116)は植付部
(9)側の動力伝達機構に負荷がかかった場合に、ミッ
ションケース(6)側で動力伝達を離脱するようになっ
ている。
【0028】入力軸(56)には走行用ギア(117)
と後進用ギア(120)が固設され、副変速軸(63)
には走行用の第1変速ギア(118)と第2変速ギア
(119)が固設されている。また、PTO軸(65)
への動力は、入力軸(56)の動力が株間変速される変
速機構を介して伝達されており、従来の植付ミッション
ケースが廃止されている。すなわち、入力軸(56)の
端部にはミッションケース(6)側面より側方に突出し
て株間変速を行う第1減速ギア(121)が固設される
とともに、PTO入力軸(64)の端部にもミッション
ケース(6)の側面より側方に突出して株間変速を行う
第2減速ギア(122)が固設され、第2減速ギア(1
22)と第1減速ギア(121)とを噛合させることで
株間変速が行われ、PTO軸(65)への動力を伝達し
ている。また、この株間変速を行う第1減速ギア(12
1)と第2減速ギア(122)の側面は着脱自在にカバ
ー(123)で被装され、カバー(123)を外すこと
で容易に第1減速ギア(121)と第2減速ギア(12
2)を組み替えることができ、仕様に合わせた株間変速
が行えるようになっている。
【0029】また、入力軸(56)の前下方に配置した
主変速軸(61)には軸芯方向に摺動される走行変速ギ
ア(124)がスプライン嵌合されており、走行変速ギ
ア(124)は大径ギア(125)と小径ギア(12
6)とを横方向に一体的に固設するギアで構成されると
ともに、主変速レバー(75)の操作に連動して左右方
向に摺動するフォークに嵌合されている。主変速軸(6
1)のミッションケース前後方向左側には動力分岐ギア
(127)が固設されており、この動力分岐ギア(12
7)には左右の前車輪駆動軸(62)を駆動するデフ機
構(128)のリングギアが噛合され、動力分岐ギア
(127)を用いて動力を2方向に分岐している。そし
て、デフ機構(128)の側部にはデフロック機構(1
29)が配置されている。
【0030】主変速レバー(75)を中立位置より前方
に回動させると、走行変速ギア(124)がミッション
ケース前後方向左側に摺動され、小径ギア(126)と
副変速軸(63)上の第2変速ギア(119)とが噛合
されて主変速軸(61)を高速回転させることにより、
各車輪(2)(3)を高速で回動させる通常走行が行わ
れる。また、主変速レバー(75)を中立位置より1段
階後方に回動すると、走行変速ギア(124)がミッシ
ョンケース前後方向右側に摺動されて、大径ギア(12
5)と副変速軸(63)上の第1変速ギア(118)と
が噛合され、主変速軸(61)が低速回転されて各車輪
(2)(3)を作業速度で駆動するとともに、前進側に
2段階の変速が行われる。
【0031】また、主変速レバー(75)を後方に回動
すると、走行変速ギア(124)がミッションケース前
後方向右側に更に摺動され、入力軸(56)上の後進用
ギア(120)が図示しない主変速軸(61)上のギア
と噛合され、主変速軸(61)が逆転回動されて、各車
輪(2)(3)を後進回動させている。このように、入
力軸(56)を後進変速用のギアを有するカウンター軸
として使用し、ミッションケース内の変速機構をPTO
側への入力軸であるPTOカウンター軸を省いたシンプ
ルな変速機構に構成しても、通常走行、作業走行、後進
走行といった必要最小限の走行変速を行うことができる
ようになっている。
【0032】また、このようなミッションケース(6)
を前後に分割して、前ケース(26)と後ケース(2
8)にしてもよい。すなわち、図6で示すように、ミッ
ションケース(6)を変速室(60)部分の前ケース
(26)と、後車軸駆動室(80)部分の後ケース(2
8)の前後2分割にし、伝動軸(70)部分は中空の連
結部材である伝動パイプ(27)で被装して、前ケース
(26)と後ケース(28)を連結するように構成す
る。このような構成によれば、油量が少なくて済むだけ
ではなく、伝動軸(70)の長さを適宜変更することに
より、ミッションケース(6)の長さを変更することが
できるので、ホイルベースの変更が容易にできるように
なる。なお、伝動パイプ(27)は両端に設けられたフ
ランジ部(27a)(27b)によって、それぞれ前ケ
ース(26)の後面及び後ケース(28)の前面にボル
トなどの取付具で取り付けられる。
【0033】また、このとき、前ケース(26)の下部
と後ケース(28)の下部を長細いプレート状の連結部
材(81)(82)で連結するように構成してもよい。
この連結部材(81)(82)は、図7で示すように、
前輪(2)の回動域より内側に位置するように対向配置
され、前輪(2)に連結部材(81)(82)が干渉す
ることがないように、平面視で前方が窄まる略ハ字状に
連結されている。このように、連結部材(81)(8
2)は前輪(2)に干渉しないような略ハ字状に連結さ
れるのが好ましいが、前輪(2)に干渉しないのであれ
ば互いに平行になるように連結しても構わない。また、
連結部材(81)(82)で前ケース(26)と後ケー
ス(28)を連結する場合には伝動軸(70)を伝動パ
イプ(27)で被装しなくても構わないが、伝動軸(7
0)に藁等が巻き付いてオイルシール部(18)等を傷
つけることがないよう、伝動軸(70)は伝動パイプ
(27)で被装することが好ましい。
【0034】また、図6で示すように、ミッションケー
ス(6)を前後に分割しても、前述と同様にサイドフレ
ーム(41)(42)と、後部連結フレーム(43)
(44)と、前ケース(26)と後ケース(28)を連
結する伝動パイプ(27)及び/又は連結部材(81)
(82)とで側面視略三角形状のフレーム構造を形成す
ることができ、かつ、前ケース(26)と後ケース(2
8)と運転席(7)がそれぞれ前記略三角形状を形成す
るフレーム構造の角部、即ち両底部と頂部に配設されて
いるので、運転席(7)にかかる荷重を前ケース(2
6)と後ケース(28)で好適に受けることができ、し
たがって、車体フレーム(4)の剛性を低減することが
できて車体フレーム(4)の軽量化が図れる。
【0035】また、図8で示すように、伝動軸(70)
の代わりに、チェーンケース(85)を、前後に分割し
たミッションケース(6)間、即ち前ケース(26)と
後ケース(28)間に配設して、チェーンケース(8
5)に内設されたチェーン機構によって、変速室(6
0)内から後車軸駆動室(80)内に動力を伝達するよ
うに構成してもよい。つまり、変速室(60)内の主変
速軸(61)を延設してチェーンケース(85)内でス
プロケット(86)を固設するとともに、従動軸(6
7)を延設してチェーンケース(85)内でスプロケッ
ト(87)を固設し、このスプロケット(86)(8
7)間にチェーン(84)を巻回して動力を伝達するよ
うに構成する。このような構成によれば、チェーンケー
ス(85)内はグリスで済むため、前述と同様にミッシ
ョンケース内の油量が少なくて済み、ミッションケース
(6)の軽量化及び低コスト化が図れる。なお、チェー
ンケース(85)はボルトなどの取付具(88)によっ
て前ケース(26)の後部側面及び後ケース(28)の
前部側面に取り付けられる。
【0036】その他、ミッションケース(6)の前部下
端部より内方側、即ち変速室(60)の下部には左右の
ブレーキロッド(131)を作動させるブレーキシャフ
ト(132)を通す貫通孔(133)が穿設されてお
り、ミッションケース(6)でブレーキ機構を支持する
ようにしている。ブレーキ機構にはブレーキペダルが1
本である1ブレーキ機構とブレーキペダルが2本である
2ブレーキ機構がある。1ブレーキ機構の場合は、ブレ
ーキペダル(73)を踏み込み操作すると、それに連動
してブレーキシャフト(132)が回動し、ブレーキシ
ャフト(132)に連動連結されているブレーキロッド
(131)が両方同時に作動して、ブレーキロッド(1
31)後端部に連動連結されているアーム(108)が
両方同時に回動し、摺動ギア(102)が左右両側に摺
動して動力伝達が離脱されると同時に、両方のブレーキ
機構(130)が作動して左右両後車輪駆動軸(69)
が制動され、走行車両(1)を停止させるようになって
いる。
【0037】また、2ブレーキ機構の場合には、図9で
示すように、左右に分かれたブレーキペダル(73a)
(73b)のどちらか一方を踏み込み操作すると、それ
に連動して2重の筒体で構成されたブレーキシャフト
(132)のどちらか一方の筒体が回動するようになっ
ており、それぞれの筒体に連動連結された左右のブレー
キロッド(131)が別々に作動するようになって、左
右別々にブレーキ機構(130)が作動するようになっ
ており、1ブレーキ機構のように両方同時にブレーキを
かけたいときには、左右のブレーキペダル(73)を連
結する連結具(135)を用いるようになっている。
【0038】また、図10で示すように、機体進行方向
に向かって左側に配設される主クラッチペダル(74)
の近傍には主クラッチレバー(76)が設けられ、主ク
ラッチペダル(74)や主クラッチレバー(76)の操
作により、エンジン(5)からミッションケース(6)
内へ動力を伝達するベルト(54)のテンションを
「切」状態にできるように構成されている。すなわち、
主クラッチレバー(76)を後方に向けて図示の矢印方
向に回動操作すると、連動ロッド(140)が下方に向
かって移動し、長孔(140a)に挿通されたピンなど
の嵌入部材(143)を介してテンションアーム(5
7)を下方に回動して、テンションアーム(57)に取
り付けられているテンションローラー(58)をベルト
(54)から離し、ベルトテンションを「切」状態にす
るようになっている。そして、主クラッチペダル(7
4)を踏み込むと、ペダル支柱(74a)に固設された
L字型ブラケット(144)に取り付けられたピンなど
の押圧部材(145)が、テンションアーム(57)の
回動軸(59)に固定されたカム(146)を押してテ
ンションアーム(57)を下方に回動させるようになっ
ており、これによってベルトテンションを「切」状態に
するようになっている。
【0039】また、テンションアーム(57)には、ミ
ッションケース(6)側の従動プーリー(55)の回転
を停止させるブレーキ部材(147)が固設されてお
り、このブレーキ部材(147)は、テンションアーム
(57)が下方に向かって回動することによって従動プ
ーリー(55)を押圧してその回転を止め、機体全体に
ブレーキがかかるように構成されている。しかも、この
ブレーキ部材(147)は主クラッチレバー(76)を
操作してベルトテンションを「切」状態にしたときにの
み作用し、主クラッチペダル(74)の踏み込み操作で
は非作用状態となるように構成されている。したがっ
て、坂道で走行車両(1)を停止させることができるよ
うになるとともに、高速時において主クラッチペダル
(74)を踏み込んでも急停止することがなく、安全で
ある。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、一体型ミッションケー
スの前部に走行変速機構を内設した前部閉鎖室を形成
し、後部に制動機構を内設した後部閉鎖室を形成すると
ともに、前部閉鎖室と後部閉鎖室との間に空洞部を形成
し、前部閉鎖室内から後部閉鎖室内へ動力を伝達する伝
動軸を前記空洞部内に配置したので、ミッションケース
内の油量を低減することができ、ミッションケースの軽
量化及び低コスト化が図れる。また、ミッションケース
を、走行変速機構を内設した前ケースと、制動機構を内
設した後ケースに分割するとともに、前ケースと後ケー
スを中空の連結部材で連結し、前ケース内から後ケース
内へ動力を伝達する伝動軸を前記連結部材内に配置した
ので、ホイルベースを容易に変更することが可能とな
り、かつミッションケース内の油量を低減することがで
きて、ミッションケースの軽量化及び低コスト化が図れ
る。そして、ミッションケースを、走行変速機構を内設
した前ケースと、制動機構を内設した後ケースに分割す
るとともに、前ケースと後ケースを、前ケース内から後
ケース内へ動力を伝達するチェーン機構が内設されたチ
ェーンケースで連結したので、ミッションケース内の油
量を低減することができ、ミッションケースの軽量化及
び低コスト化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】乗用田植機の概略側面図
【図2】車体フレームとミッションケースの概略側面図
【図3】ミッションケース内の機構を示す概略側面図
【図4】ミッションケース内の後部の機構を示す概略平
面図
【図5】ミッションケース内の前部の機構を示す概略平
面図
【図6】車体フレームと前後に分割されたミッションケ
ースの概略側面図
【図7】車体フレームと前後に分割されたミッションケ
ースの概略平面図
【図8】チェーンケースで連結したミッションケースの
概略平面図
【図9】ブレーキ機構の様子を示す概略平面図
【図10】エンジンからミッションケースへ動力を伝達
する機構を示す概略側面図
【符号の説明】
6 ミッションケース 26 前ケース 27 伝動パイプ 28 後ケース 60 変速室 70 伝動軸 80 後車軸駆動室 81 連結部材 82 連結部材 84 チェーン 85 チェーンケース

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 機体後部に植付部を昇降自在に配設した
    乗用田植機において、一体型ミッションケースの前部に
    走行変速機構を内設した前部閉鎖室を形成し、後部に制
    動機構を内設した後部閉鎖室を形成するとともに、前部
    閉鎖室と後部閉鎖室との間に空洞部を形成し、前部閉鎖
    室内から後部閉鎖室内へ動力を伝達する伝動軸を前記空
    洞部内に配置したことを特徴とする乗用田植機。
  2. 【請求項2】 機体後部に植付部を昇降自在に配設した
    乗用田植機において、ミッションケースを、走行変速機
    構を内設した前ケースと、制動機構を内設した後ケース
    に分割するとともに、前ケースと後ケースを中空の連結
    部材で連結し、前ケース内から後ケース内へ動力を伝達
    する伝動軸を前記連結部材内に配置したことを特徴とす
    る乗用田植機。
  3. 【請求項3】 機体後部に植付部を昇降自在に配設した
    乗用田植機において、ミッションケースを、走行変速機
    構を内設した前ケースと、制動機構を内設した後ケース
    に分割するとともに、前ケースと後ケースを、前ケース
    内から後ケース内へ動力を伝達するチェーン機構が内設
    されたチェーンケースで連結したことを特徴とする乗用
    田植機。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015123015A (ja) * 2013-12-26 2015-07-06 井関農機株式会社 苗移植機
JP2017063798A (ja) * 2017-01-19 2017-04-06 井関農機株式会社 苗移植機

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