JP5281125B2 - 炊飯器 - Google Patents

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Description

本発明は鍋内を大気圧以上に加圧して炊飯する圧力型の炊飯器に係り、さらに詳しくは複数個の調圧弁を備え、これらの調圧弁の制御により、鍋内の圧力調整をして炊飯する炊飯器に関するものである。
近年、この種の圧力型の炊飯器は、1個又は複数個の圧力弁を設けて、炊飯工程の沸騰維持工程において、鍋内を大気圧を超える圧力に加圧すると共に、この圧力弁を所定単位時間単位で間歇的に1乃至複数回開放して、この圧力弁の開放時に、鍋内に激しい沸騰現象を発生させて炊飯物を撹拌して炊飯するものが開発・製品化されて、既に、一般家庭などで使用されている。
例えば、下記特許文献1には、1個の圧力弁を設けた圧力調理器が記載されている。この圧力調理器は、調理鍋(内鍋)と、この調理鍋を収容する本体と、調理鍋を加熱する加熱手段(誘導加熱コイル)と、本体に開閉可能に取り付けて調理鍋の開口部を閉塞する蓋体と、その蓋体に設けて調理鍋内と連通する開口を閉塞する弁体(調圧ボール)および弁体を駆動して開口を閉塞させる駆動機構(ソレノイド)からなる圧力投入手段とを備えた圧力調理器、すなわち炊飯器となっている。この炊飯器には、前記圧力投入手段による調理鍋内への圧力投入時に、圧力弁を動作させて開口を間歇的に開放する開放手段(ソレノイド)を設けて、この開放手段による開口の開放時間と閉塞時間のデューティ比を設定することによって調理鍋内の圧力を調節するものとなっている。
また、下記特許文献2には、圧力弁の数を増やして2個の圧力弁を備えた圧力型の炊飯器が記載されている。この炊飯器は、蓋体に2個の弁、すなわち圧力調整弁と圧力抜き弁とを設けた圧力式炊飯器となっている。これらの圧力調整弁及び圧力抜き弁は、何れか一方の弁の口径を小さく他方の口径を大きくしたものとなっている。この炊飯器は、これらの口径の異なる弁、すなわち圧力弁を備え、小さい圧力弁(圧力調整弁)のみ、また大きい圧力弁(圧力抜き弁)のみ、或いは大小両方弁の3つの組合わせにより圧力弁を作動させて炊飯するものとなっている。この炊飯器は、炊飯中には選択された炊飯メニューのプログラムに従って圧力が抜かれるが、例えば、圧力抜き弁が開放状態にされると鍋内の圧力が一気に減圧される。そうすると、1、2乃至2.0気圧あった鍋の圧力が大気圧付近まで急激に低下し、沸点以上の温度に加熱されていた鍋内は爆発的な沸騰、すなわち突沸状態になって炊飯物が撹拌される。この撹拌によって、炊きムラなく美味しいご飯を短時間で炊き上げることができる。
特開2001−137113号公報(段落〔0026〕〜〔0029〕、図5) 特開2008−48766号公報(段落〔0042〕〜〔0045〕、図3、図5)
上記特許文献1、2の圧力型の炊飯器は、1個又は複数個の圧力弁を備え、これらの圧力弁が炊飯中に強制的に開放されるので、鍋内の炊飯物が効率よく撹拌されて、美味しく炊き上がる。
しかしながら、これらの炊飯器は、いずれも美味しく炊き上がるので、一般家庭などに広く普及して来ているが、最近、以下の課題があることが判明した。
(イ)上記特許文献1、2の炊飯器は、いずれも圧力弁の開放時に鍋内の圧力が大気圧近傍まで降下するので、この降下に伴って、鍋内温度、すなわち炊飯物の温度も低下し、その結果、鍋内の炊飯物の一部に温度差が発生して、温度が低い部分の米のアルファー化が遅れて、芯ができてしまい炊きムラが発生することがあること。
(ロ)鍋内の温度が一度低下してしまうと、再度、ヒートアップして元の沸騰状態に戻すのに、大きな電力が必要となって、省エネルギー化の障害となること。
(ハ)このような炊飯器が標高の高いところで使用されると、標高の高い場所では、気圧が低下し沸騰温度が100℃以下となるので、上記(イ)、(ロ)の影響が更に大きくなること。
そこで本発明は、このような従来技術が抱える課題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、沸騰維持工程中に圧力を所定の単位時間単位で所定回数減圧させて炊飯する圧力型の炊飯器において、沸騰維持工程中に圧力が減圧された際に、炊飯鍋内の圧力が降下しても、この降下する圧力値を大気圧を超える所定の設定値に設定して置くことにより、この設定値、すなわち従来技術のように大気圧近傍まで降下しないようにして、この鍋内圧の降下に伴う炊飯鍋内の温度の低下を抑えると共に炊飯物への影響を最小にして炊きムラを無くすることができる圧力型の炊飯器を提供することにある。
上記発明の目的は、以下の構成によって達成できる。すなわち、本発明は、米と水とを含む炊飯物を入れる炊飯鍋と、前記炊飯鍋を収容して該炊飯鍋を加熱する加熱手段を設けた炊飯器本体と、前記炊飯鍋及び炊飯器本体の開口を塞ぐ蓋体と、前記炊飯鍋内の内圧を調整する内圧調整装置と、炊飯メニューを選定する炊飯メニュー設定手段と、前記炊飯メニューに対応した炊飯プログラムを内蔵し該炊飯プログラムにより前記加熱手段及び内圧調整装置を制御して一連の炊飯工程を実行する制御装置とを備え、前記一連の炊飯工程は、前記炊飯鍋を一気に加熱して炊飯物を沸騰させる立上加熱工程、この沸騰状態を維持する沸騰維持工程、この沸騰維持工程後に炊飯物を蒸らす蒸らし工程を含み、前記制御装置は、前記沸騰維持工程中に前記炊飯鍋内を大気圧を超える圧力に加圧して炊飯する炊飯器において、
前記内圧調整装置は、前記炊飯鍋内を大気圧を超える圧力に閉塞保持する閉塞保持圧力を有する第一の調圧弁と、前記炊飯鍋内の内圧が前記閉塞保持圧力以上に上昇したときに前記第一の調圧弁が開放しない状態に閉塞ロック及び前記閉塞ロック状態を解除する第一調圧弁閉塞ロック機構とを有し、前記制御装置は、前記沸騰維持工程において、前記第一の調圧弁を閉塞ロック状態にして、前記炊飯鍋内を前記閉塞保持圧力を超える所定圧力に加圧した後に、前記第一の調圧弁閉塞ロック機構により、前記第一の調圧弁の閉塞ロックを所定単位時間単位で少なくとも1回以上間歇的に解除する制御手段を備えていることを特徴とする。
また、本発明においては、前記制御装置は、前記立上加熱工程において、前記第一の調圧弁を閉塞ロックして、該立上加熱工程を実行する制御手段を備えていることを特徴とする。
また、本発明においては、前記制御装置は、前記沸騰維持工程の初期段階で前記第一の調圧弁の閉塞ロックを所定単位時間単位で複数回間歇的に解除する制御手段を備えていることを特徴とする。
また、本発明においては、前記第一の調圧弁は、所定の口径を有する弁孔と、前記弁孔の弁口を自重で塞ぐ所定重量の調圧ボールとを有し、前記第一調圧弁閉塞ロック機構は、前記調圧ボールを弁口に押し付け閉塞状態に保持する押圧部材を有していることを特徴とする。
また、本発明においては、前記第一調圧弁閉塞ロック機構は、前記第一の調圧弁を閉塞ロックする第一調圧弁閉塞ロック機構と、前記第一調圧弁閉塞ロック機構を作動させる駆動装置とを有し、前記第一調圧弁閉塞ロック機構と駆動装置とは、緩衝手段を介して連結されていることを特徴とする。
また、本発明においては、前記蓋体には、前記内圧調整装置のに、前記第一の調圧弁の閉塞保持力より高い閉塞力の第二の調圧弁及び該第二の調圧弁を強制的に開放させる第二調圧弁開放機構とを有する他の内圧調整装置が設けられていることを特徴とする。
また、本発明においては、前記第一の調圧弁の閉塞保持圧力は、1.05気圧以上1.075気圧以下の範囲、前記第二の調圧弁の閉塞保持圧力は、1.2気圧以上2.0気圧以下の範囲に設定されていることを特徴とする。
また、本発明においては、前記第二の調圧弁は、所定径の弁口を有する弁孔と、前記弁孔の弁口を自重で塞ぐ所定重さの調圧ボールとを有し、前記第一、第二の調圧弁の前記閉塞保持圧力は、前記弁孔の口径の大きさ又は調圧ボールの重さのいずれかで設定されていることを特徴とする。
本発明は、沸騰維持工程において、第一の調圧弁の閉塞ロックが間歇的に解除されることによって、この第一の調圧弁が炊飯鍋内の圧力によって開成され、この第一の調圧弁の開成により、炊飯鍋内に突沸現象が発生して炊飯物が効率よく撹拌されるので、炊きムラが無くなり美味しい炊き上がりとなる。また、この沸騰維持工程において、第一の調圧弁が開成されても、この第一の調圧弁が大気圧を超える所定の圧力に保持する閉塞保持圧力を有しているので、炊飯鍋内の内圧は、この閉塞保持圧力の圧力値より下方へ低下することがない。例えば、閉塞保持圧力が1.05気圧に設定してあると、この1.05気圧以下に低下しないので、従来技術の炊飯器が大気圧近傍まで低下することによる課題、すなわち、(イ)鍋内の圧力が大気圧近傍まで低下するのに伴って、鍋内温度、すなわち、炊飯物の温度も低下し、そのために、鍋内の炊飯物に温度差が発生し、温度が低い部分の米のアルファー化が遅れて芯ができてしまい炊飯物に炊きムラが発生すること、(ロ)鍋内温度が一度低下してしまうと、再度、ヒートアップして元の沸騰状態に戻すのに、大きな電力が必要となってしまい省エネルギー化の障害となること、(ハ)このような炊飯器が標高の高いところで使用されると、標高の高い場所では、気圧が1気圧以下に低下すると共に、沸騰温度が下るので、上記(イ)、(ロ)の影響が更に大きくなることなどを解消できる。
また、制御装置は、立上加熱工程において、第一の調圧弁を閉塞ロックして、該立上加熱工程を実行するので、立上加熱工程において、炊飯鍋内を加圧状態にして効率よく炊飯物を沸騰させることができる。
また、沸騰維持工程の初期段階で前記第一の調圧弁の閉塞ロックを所定単位時間単位で複数回間歇的に解除するので、初期段階では,
炊飯鍋内には多量の水分があることから、この多量の水分を利用して炊飯物を効率よく撹拌することができ、炊きムラを無くすることができる。
また、第一調圧弁閉塞ロック機構は、簡単な構成の押圧部材で第一調圧弁閉塞ロック機構を構成できる。
また、第一調圧弁閉塞ロック機構ロック機構と駆動装置とは、緩衝手段を介して連結されているので、第一調圧弁閉塞ロック機構に無理な力が加わらず若干の余裕ができるので、駆動装置と第一調圧弁閉塞ロック機構との連結・調整が容易になる。
また、炊飯工程中の、例えば、蒸らし工程後に、第二の調圧弁を強制的に開放することによって、炊飯鍋内が負圧にならないので、蓋の開成が容易になるとともに安全性が向上する。
また、第一の調圧弁は、その閉塞保持圧力が1.05気圧以上1.075気圧以下の範囲に設定されているので、炊飯中に、第一の調圧弁が開成(開放)されても、炊飯鍋内の内圧がこの圧力値以下に降下せず、この内圧降下に伴う、炊飯鍋内の温度の低下が少なくなり、炊飯物の冷えを最小限に抑えることができるので、炊きムラなどを無くすることができる。また、第二の調圧弁の閉塞保持圧力は、1.2気圧以上2.0気圧以下の範囲に設定されているので、この圧力値により、炊飯時の鍋内の上限圧力値を設定できる。
また、第一、第二の調圧弁の閉塞保持圧力は、弁孔の口径の大きさ又は調圧ボールの重さのいずれかで設定されているので、簡単な構成で閉塞保持圧力を設定できる。
図1は本発明の実施形態に係る圧力型の炊飯器の正面図である。 図2は図1の炊飯器の化粧カバーを取外した状態の蓋体の平面図である。 図3は図2の矢印A方向からみた第1の内圧調圧装置の拡大図である。 図4は図2のIV−IV線に沿って図1の炊飯器を切断した断面図である。 図5は図4の第1の内圧調圧装置を拡大した断面図である。 図6は図4と同様に図2のVI−VI線で切断した断面図である。 図8は図6の第2の内圧調圧装置を拡大した断面図である。 図7は制御装置のブロック図である。 図9は複数の炊飯メニューの炊飯フローチャート図である。 図10は炊飯メニュー「白米・ふつう」の炊飯工程における鍋内の温度・圧力の変化を示した炊飯特性曲線図である。 図11は炊飯メニュー「白米・あまみ」の炊飯工程における鍋内の温度・圧力の変化を示した炊飯特性曲線図である。 図12は炊飯メニュー「白米・あっさり」の炊飯工程における鍋内の温度・圧力の変化を示した炊飯特性曲線図である。 図13は炊飯メニュー「すしめし」の炊飯工程における鍋内の温度・圧力の変化を示した炊飯特性曲線図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る圧力型の炊飯器を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための圧力型の炊飯器を例示するものであって、本発明をこの炊飯器に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適応し得るものである。
図1〜図7を参照して、本発明の実施形態に係る圧力型の炊飯器の構造を説明する。なお、図1は本発明の実施形態に係る圧力型の炊飯器の正面図、図2は図1の炊飯器の化粧カバーを取外した状態の蓋体の平面図、図3は図2の矢印A方向からみた第1の内圧調圧装置の拡大図、図4は図2のIV−IV線に沿って図1の炊飯器を切断した断面図、図5は図4の第1の内圧調圧装置を拡大した断面図、図6は図4と同様に図2のVI−VI線で切断した断面図、図7は図6の第2の内圧調圧装置を拡大した断面図である。
本発明の実施形態に係る圧力型の炊飯器10は、図1、図4、図6に示すように、米と水とを含む所定量の炊飯物を入れる炊飯鍋(以下、鍋という)20と、この鍋を収容して該鍋を加熱する加熱手段を設けた炊飯器本体(以下、本体という)11と、鍋20の加熱温度を検出する鍋底温度検出手段15と、鍋及び本体の開口を塞ぐ蓋体21と、この蓋体に設けて鍋内の内圧を調整する2組の第1、第2の内圧調整装置PV、PVと、所望の炊飯メニューを選定する炊飯メニュー設定キー61b(図8参照)と、炊飯メニューに対応した炊飯プログラムを内蔵しこの炊飯プログラムに従い加熱手段及び第1、第2の内圧調整装置PV、PVなどを制御して、一連の炊飯工程を実行する制御装置62(図8参照)とを備えている。加熱手段は底部ヒータ14a及び側部ヒータ14bなど及び鍋底温度検出手段はサーミスタ等からなるセンサ15となっている。
第1、第2の内圧調整装置PV、PVのうち、第1の圧内調整装置PVは、図4に示すように、鍋20内を大気圧を超える所定の設定圧力値に保持する閉塞保持圧力を有する第一の調圧弁25と、この第一の調圧弁が鍋内の内圧が前記閉塞保持圧力を超えてもこの内圧で開放しないように閉塞状態を維持してロックして置く第一調圧弁閉塞ロック機構38とを有している。この第一の調圧弁25の設定閉塞保持圧力は、大気圧を超える圧力値であれば任意の値でよいが、大気圧(1.0気圧)に近いと第一調圧弁閉塞ロック機構38で第一の調圧弁25の閉塞ロックが解除されたときに鍋20内の圧力が過度に下がり過ぎて鍋内の温度が低下し炊飯物が冷えることがあるので、この大気圧(1.0気圧)から所定圧力値超えた例えば1.05気圧(atm)以上1.075気圧の範囲に設定するのが好ましい。この圧力値の設定は、後述するが第一の調圧弁を構成する弁口の大きさ又はこの弁口を自重で塞ぐ調圧ボールの重さを調節して行う。
第2の内圧調整装置PVは、図6に示すように、第一の調圧弁25の閉塞保持圧力より高い閉塞圧力の第二の調圧弁29と、この第二の調圧弁を強制的に開放する第二調圧弁開放機構52とを有している。この第二の調圧弁29の閉塞保持圧力は、第一の調圧弁25の閉塞保持圧力1.05気圧より高い値、例えば.1.2気圧(atm)以上に設定されている。第二の調圧弁29の閉塞保持圧力は、第一の調圧弁25の閉塞保持圧力を超える圧力値であれば任意の値でよいが、第一の調圧弁25の閉塞保持圧力1.05〜1.075気圧に近いと、両者の圧力差が少なくなり、第一の調圧弁が開放されたときに、鍋内に発生する突沸現象が大きくならず、そのために炊飯物の撹拌が不足するので、この圧力値より高い値、例えば、1.2気圧以上2.0気圧の範囲が好ましい。この圧力値の設定は、後述するが第二の調圧弁を構成する弁口の大きさ又はこの弁口を自重で塞ぐ調圧ボールの重さを調節して行う。なお、第一、第二の調圧弁は,従来技術でいう「圧力弁」となっている。
炊飯メニューは、白米・ふつう、白米・うまみ、白米・あっさり、すしめしなどとなっている(図9参照)。
一連の炊飯工程は、図9の炊飯メニュー「白米・ふつう」に示すように、鍋内の米に所定量の水を吸水させる吸水工程、吸水後に鍋内を一気に加熱して沸騰させる立上加熱工程、この沸騰状態を維持して米のデンプンを糊化させて炊き上げる沸騰維持工程、この炊き上ったご飯から余分な水分を除去するとともに糊化をさらに促進させる蒸らし工程などを含む工程となっている。沸騰維持工程では、鍋20内が大気圧を超える圧力に加圧されると共に、第1の内圧調整装置PVの第一の調圧弁25の閉塞ロックを所定の単位時間単位で間歇的に所定回数解除して、鍋20内に激しい沸騰現象、すなわち突沸現象を生じさせて炊飯物を撹拌して炊き上げるようになっている。他の炊飯メニューも同じような炊飯工程で炊飯される。
この構成の炊飯器10は、沸騰維持工程において、第一の調圧弁25の閉塞ロックが間歇的に解除されることによって、この第一の調圧弁25が炊飯鍋内の圧力によって開成され、この第一の調圧弁の開成により、炊飯鍋20内に突沸現象が発生して炊飯物が効率よく撹拌されるので、炊きムラが無くなり美味しい炊き上がりとなる。また、この沸騰維持工程において、第一の調圧弁25が開成されても、この第一の調圧弁が大気圧を超える所定の圧力に保持する閉塞保持圧力を有しているので、鍋内の内圧は、この閉塞保持圧力の圧力値より下方へ降下することがない。例えば、閉塞保持圧力が1.05気圧に設定してあると、この1.05気圧以下に降下しないので、従来技術の炊飯器が大気圧近傍まで低下することによる課題、すなわち、上述したような、(イ)鍋内の圧力が大気圧近傍まで低下するのに伴って、鍋内温度、すなわち、炊飯物の温度も低下し、そのために、鍋内の炊飯物の一部に温度差が発生し、温度が低い部分の米のアルファー化が遅れて芯ができてしまい炊飯物に炊きムラが発生すること、(ロ)鍋内温度が一度低下してしまうと、再度、ヒートアップして元の沸騰状態に戻すのに、大きな電力が必要となってしまい省エネルギー化の障害となること、(ハ)このような炊飯器が標高の高いところで使用されると、標高の高い場所では、気圧が1気圧以下に低下すると共に沸騰温度が下がるので、上記(イ)、(ロ)の影響が更に大きくなることなどを解消できる。
また、炊飯初期の吸水工程でも少しだけ所定の圧力をかけて吸水させることも出来るし、沸騰状態では十分大きな圧力をかけるなど、多彩なメニュー編成が可能となる。また沸騰維持工程の初期段階で閉塞ロックを所定回数間歇的に解除することによって、水分が十分ある段階で高低2種類の気圧間を鍋の中に生じさせることが出来、低い圧力に移行する勢いを利用して鍋内の炊飯物を撹拌させる事ができる。これによって炊飯物の均一な加熱が行える。そしてまた、沸騰維持工程の後半部では炊飯メニューに応じ閉塞ロック機構の切り替えにより自在な圧力設定が出来るので、高い圧力で保持する場合は軟らかい炊き上がり、低い圧力で保持する場合は硬い炊き上がりになり、炊き上がりのバラエティーを広げることも可能になる。
以下、この炊飯器の個々の構成を詳述する。
本体11は、図4、図6に示すように、上方に所定大きさの開口を有し深底箱型の外部ケース12と、この外部ケース12内にあって鍋20を支える内部ケース13とからなり、外部ケース12と内部ケース13との間に隙間が形成されて、この隙間に制御装置62(図8参照)を構成する制御回路基板19などが配設されている。外部ケース12は、上方の開口部付近が略楕円形状をなしており、この楕円形状の上方部の長手方向の一端部に蓋体21を枢支する枢支部16、他端部に蓋体21が炊飯中に開放されないように係止ロックされる鎖錠爪17及びこの係止ロックを解除して蓋体21を開く解除釦18が設けてある。内部ケース13には、深底の容器からなる鍋20が収容される。この鍋20は、アルミニウムとステンレスとのクラッド材で形成されている。また、この内部ケース13は、その底部13a及び側部13bにそれぞれ底部ヒータ14a及び側部ヒータ14bが設けられ、底部13aに鍋底温度を検知するサーミスタ等からなる鍋底温度センサ15が設けられている。底部ヒータ14aには環状に巻装した電磁誘導コイルが使用されている。
蓋体21は、図2、図4、図6に示すように、鍋20の開口部を密閉する内蓋22と、この内蓋が着脱自在に装着されて本体11の開口部を覆う中蓋33と、この中蓋の上部を覆い表示パネルなどが設けられておねば貯留タンク60が着脱自在に装着される外蓋58等とを有している。外蓋53は、化粧蓋となっている。この蓋体21は、中蓋33の一側に本体11の枢支部16に枢支されるヒンジ機構34、35、他側に本体11の鎖錠爪17に係止ロックする蓋ロック手段36が設けてある。
内蓋22は、図4、図6に示すように、鍋20の開口部を密閉する大きさの円盤状体からなり、その外周縁に気密パッキン23aが装着されている。この内蓋22は、略中央部付近に、第一、第二の調圧弁25、29及び鍋内の圧力が異常に上がったときに開放する安全弁24a、鍋内が負圧になったときに開成しておねば貯留タンク60に貯留されたおねばを鍋内へ戻す負圧弁24bが配設されている。これらの安全弁24a及び負圧弁24bは、既存のものを使用しこれらは既に公知であるので説明を省略する。また、第一、第二の調圧弁の構造などは、第1、第2の内圧調整装置PV、PVで後述する。
中蓋33は、図2に示すように、本体11の開口部を塞ぐ大きさの楕円形状体からなり、機械的強度が高いフレームなどで補強されている。この中蓋33は、その略中央部に、第一調圧弁閉塞ロック機構38、第二調圧弁開放機構52及びおねば貯留タンク60が装着される装着孔37が設けてある。なお、この中蓋33には、結露を防止する蓋ヒータ及び蒸気温度を検知する蒸気温度センサ(図示省略)などが取り付けられている。
主に図2〜図7を参照して、第1、第2の内圧調整装置PV、PVを説明する。まず、主に図5を参照して第1の内圧調整装置PVを説明する。なお、図5は第1の内圧調整装置PVを示し、図5Aは第一の調整弁の非閉塞ロック状態、図5Bは閉塞ロックの解除状態を示している。
この内圧調整装置PVは、図3〜図5に示すように、第一の調圧弁25と、この調圧弁の弁口を閉塞しその閉塞が内圧の上昇によって開成しないようにこの閉塞状態を保持ロックする第一調圧弁閉塞ロック機構38とを有し、第一の調圧弁25は内蓋22に、第一調圧弁閉塞ロック機構38は中蓋33に設けた取付け基板33Aにそれぞれ設けられている。第一の調圧弁25は、所定の口径26a’の弁孔26aが形成された弁座26と、この弁孔26aの口径26a’を塞ぐように弁座26上に載置される金属製の調圧ボール28と、この調圧ボール28が外へ転がり落ちないように規制するカバー27とを有し、このカバー27に排気孔27aが形成されている。この第一の調圧弁25は、鍋20内を大気圧を超える所定の圧力値に保持する閉塞保持圧力1.05気圧(atm)に設定されている。この設定は、弁口の大きさ及び調圧ボールの重さで設定する。例えば、第一の調圧弁25は、口径26a’が4.6mm、調圧ボール28の直径を12.7mm及びその重量が8.505g(比重7.93)にして、閉塞保持圧力が1.05気圧(atm)になっている。この閉塞保持圧力1.05気圧(atm)は、非閉塞ロック状態であるが、調圧ボールを押さえた閉塞ロック状態では、押さえ力65gをプラスして、ロック状態の閉塞保持圧力は1.44気圧(atm)になっている。
また、排気孔27aは、金属製の調圧ボール28が鍋20内の圧力により押上げられて弁孔26aの口径26a’が開成したときに、鍋20内の蒸気及びおねばを排出するものとなっている。
また、第一調圧弁閉塞ロック機構38は、図5に示すように、第一の調圧弁25の閉塞状態をロック及びこの閉塞ロック状態を解除するロック・解除作動部材39と、このロック・解除作動部材を作動させる駆動装置46とを有している。ロック・解除作動部材39は、一端部(下方端)40bが調圧ボール28を所定の押圧力で押圧してこの調圧ボールの持ち上がりを阻止(ロック)する押圧棒40と、この押圧棒を押圧降下させる揺動アーム42とを有している。この揺動アーム42は、略中央部が固定枠45に支軸43で枢支されて揺動自在となっており、その一端部42aが押圧棒40の他端部(上方端)40aに当接するようにすると共に、他端部42bがスライド枠体50に当接するようにしてバネ体44で付勢されている。このバネ体44は、支軸43に装着して、揺動アーム42を図5の時計方向に回動するように付勢している。押圧棒40は、このバネ体44の付勢力で揺動アーム42を回動させて押圧される。すなわち、ロック状態の閉塞力はバネ体によって設定される。
また、押圧棒40は、固定枠45内にあって、押圧棒40の下方端部40b部分が、この押圧棒40が持ち上がるように付勢する弾性体からなる密閉パッキン41が固定枠45に固定されている。この密閉パッキン41は、所定直径の弾性を有する円盤体からなり、外周縁に取付け部を有して、この取付け部で中蓋に固定されている。密閉パッキン41は、円盤体の中央に突出部が設けられて、この突出部に押圧棒40の下方端部40b部が固定されている。すなわち、密閉パッキン41は、その弾性を利用して、図5に示す取付け状態で、押圧棒40を上方へ押上げると共に、下方向へも押動されることができ、かつ中蓋33の開口を密閉する働きをするものとなっている。なお、この実施形態では、ロック状態の閉塞力は、揺動アーム42を回動させるバネ体によって設定するようにしたが、この構成に限定されることなく、調圧ボールを所定の押圧力で押さ付けるのであれば、任意の機構を用いてもよい。
駆動装置46は、図3、図5に示すように、電磁コイルが巻回されたシリンダ47と、このシリンダ内にあって電磁コイルの励磁により引込められるプランジャ48とを有し、プランジャ48の先端部に、このプランジャを所定長さ引き出す伸張コイルバネ49が装着されている。この伸張コイルバネ49は、その先端がスライド枠体50に固定されて、このスライド枠体50は取付け基板33A上にスライド移動自在に固定されている。スライド枠体50は、取付け基板33A上をスライド移動自在なスライド台50aと、このスライド台の一側面にあって揺動アーム42の下方端42b当接して押動する押動部50bとを有している。この下方端42bと押動部50bとは、押動部50bの両端、すなわち、図3の前方と奥方とに一対の対向する腕突起を設けて、これらの腕突起間に弾性湾曲可能な細金属線51を懸架し、この細金属線51に揺動アーム42の下方端42bが引っ掛かるようにして連結されている。この連結は、一種の緩衝機構或いは緩衝手段となっている。
この構成によると、プランジャ48が電磁コイルの励磁にシリンダ内に引込められたときに、揺動アーム42の下方端42bが細金属線51に当接して、この下方端42bがシリンダ方向へ引っ張られる。この引っ張りの際に、細金属線51が弾性湾曲可能になっているので、揺動アーム42との間に無理な力が加わらず若干の余裕ができるので、駆動装置46とロック・解除作動部材39との連結・調整が容易になる。すなわち、この作動時に、揺動アーム42は、支軸43を支点に揺動(シーソー)動作されて、駆動装置46の進退動作の許容動作範囲以上のストロークが確保でき押圧棒40で押圧する調圧ボール28との余裕を取ることが可能となり、駆動装置46の取付け位置にも余裕が取れる。なお、緩衝機構は、弾性湾曲可能な細金属線51を用いたもので構成したが、他の緩衝機構乃至手段で構成してもよい。
この第1の内圧調整装置PVは、制御装置によって制御されて、以下の(a)〜(c)の作用をする。
(a)第一調圧弁非閉塞ロック状態
この非閉塞ロック状態では、駆動装置46の電磁コイルが無励磁状態にある。図5Aに示すように、シリンダ47が伸張コイルバネ49の伸長力により、スライド台50aをロック・解除作動部材39の揺動アーム42の下方端42bに当接すると共に、バネ体44のバネ力に打ち勝って、この揺動アーム42の上方42aで押圧棒40を下方へ押し下げることがない。その結果、押圧棒40は、密閉パッキン41で上方へ持上げられて、第一の調圧弁25は調圧ボール28の自重により弁口26a’が閉塞される。弁口26a’が調圧ボール28で閉塞されると、炊飯中は、鍋内の圧力が閉塞力、すなわち、設定値。1.05気圧以下になることがない。
(b)第一調圧弁閉塞ロック状態
この状態は、駆動装置46の電磁コイルが励磁される。図5Bに示すように、シリンダ47が伸張コイルバネ49の伸長力に抗して引かれると共に、揺動アーム42がバネ体44の付勢力により図5Bの時計方向へ回動する。揺動アーム42の回動により、その上方端42aで押圧棒40を下方へ押下げて、調圧ボール28に当接させて押圧し、この調圧ボールを弁口26a’に押し付けて、閉塞状態を保持、すなわち、ロックする。その結果、第一の調圧弁25は、設定値(1.05気圧)を超えても開成されることなく鍋の内圧が上昇する。なお、鍋内の圧力が上昇しても、第二の調圧弁29が閉成されているので、この内圧は第二の調圧弁29の閉塞保持圧力まで上昇する。
(c)第一調圧弁閉塞ロック状態の解除
駆動装置46の電磁コイルへの励磁が無くなると、シリンダ47が伸張コイルバネ49の伸長力により、その先端部が揺動アーム42の下方端42bに当接して、バネ体44により揺動アーム42が図5の反時計方向へ回動する。これにより、押圧棒40が密閉パッキン41の復元力により持上げられて、調圧ボール28から離れて、上記(a)の非閉塞ロック状態となる。その結果、鍋内の圧力が設定値1.05気圧より高いと、この内圧により第一の調圧弁25が開成される。また、鍋内の圧力が設定値1.05気圧を超えないと、閉塞状態が保持される。このロック解除は、沸騰維持工程において、炊飯メニューに応じて、所定の回数実施される。なお、この第1の内圧調整装置PVは、駆動装置46と第一調圧弁閉塞ロック機構38とが緩衝機構を介して連結されているので、駆動装置と第一調圧弁閉塞ロック機構との連結・調節が容易になるとともに、第一の調圧弁の開成乃至閉成をスムーズに行える。
主に図7を参照して、第2の内圧調整装置PVを説明する。なお、図7は第2の内圧調整装置PVを示し、図7Aは第二の調整弁が強制的に開放された状態を示し、図7Bは第二の調整弁が閉成された状態を示している。
この内圧調整装置PVは、第一の調圧弁より高い閉塞保持圧力を有する第二の調圧弁29と、この調圧弁を強制的に開放させる第二調圧弁開放機構52とを有し、第二の調圧弁29は内蓋22に、第二調圧弁開放機構52は中蓋33に設けた取付け基板33Aにそれぞれ設けられている。第二の調圧弁29は、所定の口径30a’の弁孔30aが形成された弁座30と、この弁孔30aの口径30a’を塞ぐように弁座30上に載置される金属製の調圧ボール32と、この調圧ボール32の移動を規制することで弁座30上に調圧ボール28を保持するカバー31とを有し、カバー31に排気孔31aが形成されている。この第二の調圧弁29の閉塞保持圧力は、弁口の大きさ及び調圧ボールの重さで設定する。例えば、調圧ボールの直径を19.84mm、調圧ボールの重量を32.445g(比重7.93)及び弁座の弁口(直径)を3.7mmにして、閉塞力1.3気圧(atm)にする。この閉塞保持圧力は、第一の調圧弁の閉塞力1.05気圧より高くなっている。第二の調圧弁29の閉塞保持圧力は、1.3気圧(atm)に限定されるものでなく、それ以上、例えば、2.0気圧にしてもよい。
また、排気孔31aは、第二の調圧弁29が強制的に開放されたときに、鍋20内の蒸気を排出するものとなっている。また、第二調圧弁開放機構52は、電磁コイルが巻回されたシリンダ53と、このシリンダ内から電磁コイルの励磁により入出し調圧ボール32を移動させるプランジャ54と、プランジャの先端が固定されたスライド枠体56と、シリンダの一端部とスライド枠体との間にあってプランジャ54の先端を所定長さ突出させる伸張バネ体55とを有し、スライド枠体56は、取付け基板33A上にスライド移動自在に固定されている。スライド枠体56は、取付け基板33A上をスライド移動するスライド台56aと、このスライド台の上方にあってプランジャの先端が固定される固定片56b及びこの固定片から前方へ突出して調圧ボールに先端部が当接する突出棒56cとを有している。突出棒56cは、その先端が密閉パッキン57に固定されている。密閉パッキン57は、所定直径の弾性を有する円盤体からなり、外周縁に取付け部を有して、この取付け部でカバー体に固定されている。密閉パッキン57は、円盤体の中央に突出部が設けられて、この突出部の一方端に突出棒56cの先端が固定され他端が調圧ボールに当接するようになっている。すなわち、密閉パッキン57は、弾性を利用して、取付け状態で水平方向へ動くことができると共に、カバーの開口を密閉する働きをするものとなっている。
この内圧調整装置PVは、制御装置62により制御される。すなわち、制御装置62からの指令に基づき、電磁コイルが励磁される。この励磁により、プランジャ54がシリンダ53に引込められる。これにより、調圧ボール32はその自重により転動して弁口30a’を閉塞する。また、この状態から、電磁コイルが無励磁になると、シリンダ53が伸張バネ体55の伸長力により、前方へ引き出されて調圧ボール32が押動されて調圧弁が開成する。
この実施形態では、第一、第二の調圧弁は、調圧ボールの重さで圧力調整するようにしたが、この方法に限らず、弁口の口径の大きさをそれぞれ変える方法とすれば、ボールの重さは同じでも、異なる圧力の設定が可能となる。例えば重さ11.0gで、直径14.0のボールを、調圧ボール52,62に使用した場合に弁口の口径4〜5mmで圧力1.05気圧前後が得られ、さらに排気口61の口径を、2〜3.0mmとすると圧力1.30気圧前後を得ることが出来る。
外蓋58は、中蓋33を覆い化粧カバーで構成されている。この外蓋58には、表示操作部59が設けられると共に、おねば貯留タンク60が着脱自在に装着される。表示操作部59は、図1に示すように、各種の炊飯選択コース及び時刻等が表示される表示パネルと、この表示パネルの周辺に複数個のスイッチ操作釦が設けられている。これらのスイッチ操作釦は、炊飯器を作動させる炊飯/スタート釦(キーともいう、以下同じ)、炊飯予約をする炊飯予約釦、炊飯等の設定を取消す取消/保温釦、炊飯する米を選択するお米選択釦、炊飯メニューを選択するメニュー選択釦、コースを選択するコース釦、及び表示パネルに表示されたメニュー等を選択・決定するシフトキーなどとなっている。これらの釦(キー)は、押し釦式のスイッチを構成する操作釦等であって、これらの釦(キー)を押圧することにより、各種操作がなされるようになっている。
また、貯留タンク60は、図4、図6に示すように、その内部におねばを一時貯留する空間60aと、蒸気を外部へ逃す蒸気口と、タンク弁と、中空筒状接続部60bとを有し、この中空筒状接続部60bが装着孔37に嵌入装着されるようになっている。なお、おねばは粘り気のある糊状の汁であって、この糊状の汁は旨み成分を含んでおり、このおねばをそのまま外へ排出されてしまうとご飯が美味しく炊きあがらない。そこで、このおねばを貯留する貯留タンク60を設けて、この貯留タンクにおねばを一時貯留しておき、鍋7内の加熱が終了して鍋7内が負圧になったときにおねばを鍋内に戻すことで美味しく炊きあげることができる。
図8を参照して、制御装置62を説明する。なお、図8は制御装置を構成するブロック図である。
制御装置62は、図8に示すように、種々の演算処理を行うCPU、各種データの記憶を行うROMおよびRAMからなる記憶手段、選択された炊飯メニューを検出する炊飯メニュー検出回路、第一、第二の調圧弁の開閉時間を設定する弁開閉タイマー、第一、第二の調圧弁の開閉回数をカウントするカウンタと、炊飯量を判定する量判定手段と、加熱手段を制御する加熱制御回路、表示パネルに表示される表示画面を制御する表示パネル制御回路、第一、第二の調圧弁を制御する調圧弁制御手段などを備えている。記憶手段には、各種の炊飯メニューに対応した炊飯プログラムが記憶されている。この炊飯プログラムは、各炊飯メニューに共通で、吸水工程、立上加熱工程、沸騰維持工程、追い炊き工程及び蒸らし工程などとなっている。この制御装置62は、入力側に、炊飯スタートキー、炊飯メニュー設定キー、鍋底温度センサ及び蒸気温度センサなど、出力側にヒータ(加熱手段)、表示パネル。第一、第二の調圧弁を制御する第1、第2の内圧調整装置PV、PVなどが接続されている。なお、ヒータは、鍋底ヒータ、側面ヒータおよび蓋ヒータとなっている。
図8及び図9〜図13を参照して、各種炊飯メニューの炊飯工程を説明する。なお、図9は複数の炊飯メニューの炊飯フローチャート図、図10は炊飯メニュー「白米・ふつう」の炊飯工程における鍋内の温度・圧力の変化を示した炊飯特性曲線図、図11は炊飯メニュー「白米・あまみ」の炊飯工程における鍋内の温度・圧力の変化を示した炊飯特性曲線図、図12は炊飯メニュー「白米・あっさり」の炊飯工程における鍋内の温度・圧力の変化を示した炊飯特性曲線図、図13は炊飯メニュー「すしめし」の炊飯工程における鍋内の温度・圧力の変化を示した炊飯特性曲線図である。
各種の炊飯メニューの白米・ふつう、白米・あまみ、白米・あっさり、すしめしが表示パネルに表示される。ユーザーがこの表示パネルをみて炊飯メニュー設定キー61bを操作し所望の炊飯メニューを選定する。
図9、図10を参照して、白米・ふつうを選択した場合の炊飯工程を説明する。まず、鍋20に所定量の水と白米とを入れ、この鍋を本体11の内部ケース13内にセットした(ステップS101)後に、炊飯メニュー「白米・ふつう」を選択して(S102〜S103)、制御装置62は、一連の炊飯工程を実行する。この制御装置は、吸水工程の開始前に、第一の調圧弁25を「閉」にして吸水工程を実行する。第一の調圧弁25は、その自重により弁口が閉じられるが第一調圧弁閉塞ロック機構38が作動していない。第二の調圧弁29も「閉」にされる(S104)。吸水工程は、加熱手段(底部ヒータ14a)への通電を行って鍋20内の温度を所定の吸水温度(60℃)にして所定の吸水時間を掛けて米に所定量の水を吸水させる(S105)。この吸水工程では、鍋内の圧力は略大気圧になっている。なお、吸水工程で鍋内の圧力を1.05気圧までアップして吸水させてもよい。
吸水工程が終了した後に、立上加熱工程へ移行する。この立上加熱工程では、第一調圧弁閉塞ロック機構38を作動させて、第一の調整弁25を閉塞ロック(S106)して加熱手段(14a、14b)へフルパワー通電を行って鍋20内を加圧状態にして鍋内を沸騰状態にする(S107)。蓋体21に設置した蒸気温度センサで蒸気温度を検知し、この蒸気温度が所定温度(75℃)に達したときに次の沸騰維持工程へ移行させる。なお、この立上加熱工程では、図10に示すように、鍋20内の圧力が1.3気圧に向かって加圧される。
沸騰維持工程(S108)では、所定の沸騰維持電力で鍋内を沸騰状態に維持する。この沸騰維持工程では、沸騰を検出した後、所定時間、例えば20秒経過した後に、制御装置62は、駆動装置46を介して第一調圧弁閉塞ロック機構38を作動させて、第一調圧弁25の閉塞ロックを所定の単位時間で複数(3〜5回以上)回間歇的に解除・ロックを繰り返させる(S109)。この解除・ロック操作は、鍋内の高低圧によって時間を異ならせておこない、低圧に比べ高圧の時間が長くなるように設定される。この設定は、第一町圧弁の閉塞ロックが解除される低圧の時間をt1、閉塞ロックされる高圧の時間をt2としたとき、t2はt1の約4〜7倍とすると好ましい。このようにすることで、閉塞中に披炊飯物に熱量を蓄積し、閉塞ロック解除時に高圧と低圧の差分の圧力を一時に放出することができる。このとき、第一の調圧弁の弁口の径が大きいほど短時間に圧力の放出を集中できて大きな攪拌現象を起こすことができる。そこで、低圧の時間t2で放出する内圧のエネルギーに対して高圧の時間t1で内圧のエネルギーを蓄積することは必要な時間設定となる。このとき、放出される圧力のエネルギー量は第一の調圧弁の弁口径と高圧と低圧の差と閉塞ロック解除時間で決定され、蓄積された圧力のエネルギー量は沸騰維持工程での電力と閉塞ロック時間の積で決定することができる。すなわち、放出される圧力のエネルギーと蓄積された圧力のエネルギーとの関係が、放出される圧力のエネルギー≦蓄積された圧力のエネルギーとなるように閉塞ロック時間と閉塞ロック解除時間の設定が行われ、放出される圧力のエネルギー>蓄積された圧力のエネルギーとなれば徐々に閉塞ロック解除時の攪拌力が弱まっていくこととなる。なお、本実施形態では、例えば高圧を52秒、低圧を8秒で行う。
このロック・解除毎に、第一の調圧弁25が間歇的に開放されて、開放時に鍋20内の状態が加圧状態から1.05気圧近傍まで一気に降下して鍋内に圧力変動が起こり、この圧力変動が間歇的に複数回に亘って繰り返される(図10参照)。この間歇的な調圧弁25の開放により、鍋20内の圧力が大きく変動し、その度毎に鍋内に激しい沸騰現象、いわゆる突沸現象が生じて大量の泡が発生すると、同時に鍋内の中央側の米粒が鍋内の側方へ或いは逆方向への移動を繰り返して、鍋内の米粒が効率よく攪拌される。この攪拌により、米粒全体に十分な熱が加わり、加熱ムラがなくなる。また、この攪拌により、おねばも効率よく混ざり込み、米粒の周囲がこのおねばによってコーティングされる。おねばには、ご飯の旨み成分が多く含まれているので、炊き上がったご飯はこのおねばでコーティングされてより美味しいものになる。
また、第一の調圧弁25が開放されても、図10に示すように、鍋20内の圧力は、第一の調圧弁25の閉塞保持圧力、すなわち1.05気圧以下に降下することがないので、この内圧降下に伴う鍋内温度の低下が最小限、すなわち、鍋20内の温度は(101.1〜101.4℃)〜(103.0〜107.0℃)範囲の変動となるので、炊飯物の一部が冷えて炊き上がったご飯に炊飯ムラが発生することがない。
この沸騰維持工程において、第一の調圧弁25が複数回に亘り開放された後、所定時間の間は、第一の調圧弁25を閉塞ロックした状態を維持したままでこの沸騰維持工程を継続し、その後は、第一の調圧弁25の閉塞ロックを解除して、鍋内の圧力を設定値1.05気圧に維持して残りの沸騰維持工程を実行する(S110)。そして、沸騰維持工程の後半では、鍋底温度センサ15が所定の鍋底温度(130℃)を検出すると、制御装置62は加熱手段への通電を停止してむらし1工程へ移行する(S111)。この蒸らし1工程が終了した後に、第二の調圧弁29を開放して(S112)追い炊き工程(S113)へ移行すると共に、加熱手段で再加熱する。この再加熱が終了すると、蒸らし2工程へ移行(S114)して、この炊飯メニューの一連の炊飯工程を終了する。
この白米・ふつうの炊飯は、沸騰維持工程において、第一の調圧弁が開成されても、この第一の調圧弁が大気圧を超える所定の圧力に保持する閉塞保持圧力を有しているので、鍋内の内圧は、この閉塞保持圧力の圧力値より下方へ降下することがない。したがって、従来技術の炊飯器が大気圧近傍まで低下することによる課題を解消して、炊飯することができる。
以下、炊飯メニュー「白米・あまみ」、「白米・あっさり」及び「すしめし」が選択された場合も、吸水工程、立上加熱工程、沸騰維持工程及び蒸らし工程を実行されるが、沸騰維持工程の一部が異なるのみで、他の工程は同じになっている。以下、沸騰維持工程の異なる部分を説明する。「白米・あまみ」は、図11に示すように、沸騰維持工程の初期段階で第一の調圧弁25が所定回数間歇的に開・閉された後に、後半が閉塞ロックして鍋内を高い圧力(1.3気圧)に保持して炊飯する。また、「白米・あっさり」は、図12に示すように、沸騰維持工程の初期段階で第一の調圧弁25が所定回数(白米・ふつうより多い回数)間歇的に開・閉された後に、後半が閉塞ロック解除して鍋内を低い圧力(1.05気圧)に保持して炊飯する。さらに「すしめし」は、図13に示すように、沸騰維持工程の初期段階で第一の調圧弁25が所定回数(白米・ふつうより少ない回数)間歇的に開・閉された後に、後半が閉塞ロック解除して鍋内を低い圧力(1.05気圧)に保持して炊飯する。
以上と纏めると、図11〜図13に示すように、白米・あまみの炊飯では、圧力の切り替えを、複数回行った後、閉塞ロック機構を動作させ1.3気圧前後に保持させる。さらに白米・あっさりの炊飯では、1.3気圧前後に保持させる時間を短く設定している。すしめしを炊飯する場合は、沸騰初期段階において同様に圧力の切り替えを行った後、閉塞ロック機構を開放させ1.05気圧前後に保持させ炊飯を終了させる。本来すしめしは、硬めに炊くのが一般的であり、従来、ある圧力式炊飯器では圧力を大気圧に戻して炊飯を行っている。このため硬めには炊きあがるものの、芯が残った状態で炊きあがる場合もあった。本実施例では1.05気圧前後に保持させることにより芯まで加熱され芯が残らない硬めの炊飯が可能になる。
本発明の炊飯器によれば、このように多彩なメニュー編成が可能となる。また、高低の2つの調圧弁を持ち、低い圧力の調圧弁を閉塞解除させていることで、高い調圧弁は低い調圧弁により低い圧力に低下する時は負圧となり排気口が閉塞状態になることで、炊飯物で排気口が詰まる事が無く、安全性においても有利である。本実施例は、高低の2つの調圧弁としたが、さらに複数の調圧弁を設けることも可能であり、さらに多彩なメニュー編成が出来る。
なお、本実施形態では、圧力の高低の時間及び閉塞ロックのロック又はロック解除の制御により、多彩なメニュー編成ができることを説明した。しかし、これに限らず、鍋内の圧力を高圧、低圧又は大気圧のいずれか一定に制御し、ヒータの電力の高低を制御することで、さらに多彩なメニュー編成とすることもできる。メニュー例としては、高圧力と高沸騰電力とで炊飯した場合、甘めでしっかりした歯ごたえのあるご飯となる。また、高圧力と低沸騰電力とで炊飯した場合、甘みが強くなりもちもち感のあるご飯となる。また、低圧力と高沸騰電力で炊飯した場合、あっさりした味でしっかりした歯ごたえのご飯となる。また、低圧力と低沸騰電力で炊飯した場合、あっさりした甘みでやわらかいご飯となる。また大気圧と高沸騰電力で炊飯した場合、とってもあっさりした味でしっかりした歯ごたえのご飯となる。なお、大気圧と低沸騰電力で炊飯した場合は、使用する電力が抑えられるので省エネで炊飯を行うことができる。なお、ヒータの電力の高低としては、例えば、低沸騰電力を600W、高沸騰電力を1200Wとすることができるが、これに限らず電力の高低があれば炊飯器の性能等による任意の電力で行うことができる。
以上のように、本発明は複数種類の圧力を駆使して炊飯できるので、目的に応じて多種類のコースを持つ炊飯メニューを持たせることが出来る。
10 炊飯器
11 炊飯器本体
12 外部ケース
13 内部ケース
14a、14b ヒータ
15 鍋底温度センサ(鍋底温度検出手段)
17 鎖錠爪
18 解除釦
21 蓋体
22 内蓋
25 第一の調圧弁
26 弁座
26a 弁口
28 調圧ボール
29 第一の調圧弁
30 調圧ボール
30a’ 弁口
33 中蓋
38 第一調圧弁閉塞ロック機構
39 ロック・解除作動部材
42 揺動アーム
46 駆動装置
50a スライド台
51 細金属線(緩衝装置)
56 スライド枠体
58 外蓋
59 制御パネル
60 おねば貯留タンク
61b メニュー設定キー
62 制御装置
PV 第1の内圧調整装置
PV 第2の内圧調整装置

Claims (8)

  1. 米と水とを含む炊飯物を入れる炊飯鍋と、前記炊飯鍋を収容して該炊飯鍋を加熱する加熱手段を設けた炊飯器本体と、前記炊飯鍋及び炊飯器本体の開口を塞ぐ蓋体と、前記炊飯鍋内の内圧を調整する内圧調整装置と、炊飯メニューを選定する炊飯メニュー設定手段と、前記炊飯メニューに対応した炊飯プログラムを内蔵し該炊飯プログラムにより前記加熱手段及び内圧調整装置を制御して一連の炊飯工程を実行する制御装置とを備え、前記一連の炊飯工程は、前記炊飯鍋を一気に加熱して炊飯物を沸騰させる立上加熱工程、この沸騰状態を維持する沸騰維持工程、この沸騰維持工程後に炊飯物を蒸らす蒸らし工程を含み、前記制御装置は、前記沸騰維持工程中に前記炊飯鍋内を大気圧を超える圧力に加圧して炊飯する炊飯器において、
    前記内圧調整装置は、前記炊飯鍋内を大気圧を超える圧力に閉塞保持する閉塞保持圧力を有する第一の調圧弁と、前記炊飯鍋内の内圧が前記閉塞保持圧力以上に上昇したときに前記第一の調圧弁が開放しない状態に閉塞ロック及び前記閉塞ロック状態を解除する第一調圧弁閉塞ロック機構とを有し、前記制御装置は、前記沸騰維持工程において、前記第一の調圧弁を閉塞ロック状態にして、前記炊飯鍋内を前記閉塞保持圧力を超える所定圧力に加圧した後に、前記第一の調圧弁閉塞ロック機構により、前記第一の調圧弁の閉塞ロックを所定単位時間単位で少なくとも1回以上間歇的に解除する制御手段を備えていることを特徴とする炊飯器。
  2. 前記制御装置は、前記立上加熱工程において、前記第一の調圧弁を閉塞ロックして、該立上加熱工程を実行する制御手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の炊飯器。
  3. 前記制御装置は、前記沸騰維持工程の初期段階で前記第一の調圧弁の閉塞ロックを所定単位時間単位で複数回間歇的に解除する制御手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の炊飯器。
  4. 前記第一の調圧弁は、所定の口径を有する弁孔と、前記弁孔の弁口を自重で塞ぐ所定重量の調圧ボールとを有し、前記第一調圧弁閉塞ロック機構は、前記調圧ボールを弁口に押し付け閉塞状態に保持する押圧部材を有していることを特徴とする請求項1に記載の炊飯器。
  5. 前記第一調圧弁閉塞ロック機構は、前記第一の調圧弁を閉塞ロックする第一調圧弁閉塞ロック機構と、前記第一調圧弁閉塞ロック機構を作動させる駆動装置とを有し、前記第一調圧弁閉塞ロック機構と駆動装置とは、緩衝手段を介して連結されていることを特徴とする請求項1に記載の炊飯器。
  6. 前記蓋体には、前記内圧調整装置のに、前記第一の調圧弁の閉塞保持力より高い閉塞力の第二の調圧弁及び該第二の調圧弁を強制的に開放させる第二調圧弁開放機構とを有する他の内圧調整装置が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の炊飯器。
  7. 前記第一の調圧弁の閉塞保持圧力は、1.05気圧以上1.075気圧以下の範囲、前記第二の調圧弁の閉塞保持圧力は、1.2気圧以上2.0気圧以下の範囲に設定されていることを特徴とする請求項6に記載の炊飯器。
  8. 前記第二の調圧弁は、所定径の弁口を有する弁孔と、前記弁孔の弁口を自重で塞ぐ所定重さの調圧ボールとを有し、前記第一、第二の調圧弁の前記閉塞保持圧力は、前記弁孔の口径の大きさ又は調圧ボールの重さのいずれかで設定されていることを特徴とする請求項7に記載の炊飯器。
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