JP5266477B2 - 酸化銅の製造方法 - Google Patents

酸化銅の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5266477B2
JP5266477B2 JP2005372946A JP2005372946A JP5266477B2 JP 5266477 B2 JP5266477 B2 JP 5266477B2 JP 2005372946 A JP2005372946 A JP 2005372946A JP 2005372946 A JP2005372946 A JP 2005372946A JP 5266477 B2 JP5266477 B2 JP 5266477B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
copper
copper oxide
carbonate
basic
basic copper
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2005372946A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007169135A (ja
Inventor
一志 上村
正実 茂木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dowa Electronics Materials Co Ltd
Original Assignee
Dowa Electronics Materials Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dowa Electronics Materials Co Ltd filed Critical Dowa Electronics Materials Co Ltd
Priority to JP2005372946A priority Critical patent/JP5266477B2/ja
Publication of JP2007169135A publication Critical patent/JP2007169135A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5266477B2 publication Critical patent/JP5266477B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)

Description

本発明は塩基性炭酸銅および酸化銅、並びに酸化銅の製造方法に関し、特には、当該塩基性炭酸銅から製造した酸化銅を超電導物質の製造原料としたとき、超電導物質として有効なペロプスカイト型の構造を得やすい酸化銅、並びにその酸化銅の製造方法に関する。
従来、微細な1次粒子を有する酸化銅を製造する方法として、例えば特許文献1に記載の方法が公知である。当該製造方法は、硝酸銅水溶液へ、中和剤としてアンモニウム塩を含む水溶液を添加し、当該硝酸銅水溶液を中和して塩基性炭酸銅粒子を生成し、当該塩基性炭酸銅粒子を水洗、乾燥後、大気下で焼成して酸化銅を製造する方法である。
特公平5−59845号公報
特許文献1に係る酸化銅の粉末は、当該酸化銅粉末を超電導物質の原料としたとき、超電導物質として有効なペロプスカイト型の構造を得ることを目的として製造されたものである。そして、当該目的より、酸化銅粉末は、他の超電導の物質との混合時の際、容易に1次粒子に分散することが求められる。しかし、特許文献1に係る酸化銅製造法にて製造された酸化銅粉末に含まれる2次粒子は、容易には1次粒子へと分散しない為、当該混合分散工程に多くの工数を必要とするという問題があった。
さらに、特許文献1に係る酸化銅粉末の製造方法は、水溶液温度、水溶液濃度、および反応温度により、得られる酸化銅粉末の1次および2次粒子径が変化するものであった。この為、酸化銅粉末の製造にあたっては、水溶液温度、水溶液濃度、および反応温度を、特定の条件内で精密に制御する必要があり、製造方法が複雑で生産性が低かった。さらに、当該製造方法により製造される塩基性炭酸銅粒子の2次粒子は粗大である。このため、当該2次粒子を構成している1次粒子間に存在する不純物を除去するためには、生成した塩基性炭酸銅粒子を大量の純水にて水洗しなければならず、当該酸化銅の量産時には多大な手間と時間を要していた。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、超電導物質の製造原料として適した1次粒子径を有し、超電導物質の製造原料として、当該原料の混合時において容易に当該1次粒子に分散する酸化銅を、高い生産性をもって製造可能とする塩基性炭酸銅および当該塩基性炭酸銅から製造した酸化銅、並びに当該酸化銅の製造方法を提供することである。
上述の課題を解決するため、本発明者らが研究を行った結果、従来の技術に係る、硝酸銅水溶液中へアンモニウム塩を含む水溶液を添加する中和法とは逆に、アンモニウム塩を含む水溶液中へ硝酸銅水溶液を添加するという逆中和反応法に想到した。そして、当該アンモニウム塩を含む水溶液中へ硝酸銅水溶液を添加するという逆中和反応法によれば、反応条件を厳密に制御することが不要である。さらに、反応後に生成した塩基性炭酸銅の粒子の2次粒子が粗大でない為、当該2次粒子を構成している1次粒子間に存在する不純物を除去するための純水洗浄が迅速容易となり、高い生産性をもって酸化銅を製造できることに想到した。
さらに製造された酸化銅は、湿式混合法において所定物質と定量混合することにより、容易に1次粒子に分散することに加え、その1次粒子径が100Å〜600Åで、超電導物質として有効なペロプスカイト型の構造を得やすいものであった。
即ち、上述の課題を解決するための第1の手段は、
アンモニウム塩の水溶液へ硝酸銅水溶液を添加して逆中和反応を行い、当該逆中和反応により塩基性炭酸銅を生成させ、当該塩基性炭酸銅を焼成して酸化銅を生成させることを特徴とする酸化銅の製造方法である。
第2の手段は、
前記逆中和反応によって生成する塩基性炭酸銅を固液分離し、当該固液分離された塩基性炭酸銅を純水にて洗浄した後、200℃〜300℃にて大気焼成して酸化銅を生成させることを特徴とする第1の手段に記載の酸化銅の製造方法である。
第3の手段は、
アンモニウム塩の水溶液へ硝酸銅水溶液を添加して逆中和反応を行い、当該逆中和反応により生成した塩基性炭酸銅へ、遠心分離器を用いた純水洗浄をおこなって製造された残留アンモニア濃度が0.6%以下であることを特徴とする塩基性炭酸銅である。
第4の手段は、
第3の手段に記載の塩基性炭酸銅を、焼成して製造されたことを特徴とする酸化銅である。
第1または第2の手段に係る酸化銅の製造方法によれば、超電導物質として有効なペロプスカイト型の構造を得やすい酸化銅を、高い生産性をもって製造することが出来た。
第3の手段に係る塩基性炭酸銅は、当該塩基性炭酸銅を大気下で焼成することにより、超電導物質として有効なペロプスカイト型の構造を得やすい酸化銅となる。
第4の手段に係る酸化銅を原料として用いた超電導物質は、超電導物質として有効なペロプスカイト型の構造を得ることが容易であった。
本発明に係る製造方法により製造される酸化銅は、1次粒子の平均粒子径が300Å〜500Åであり、2次粒子の平均粒子径が1μm〜3μmであり、比表面積が40m2/g以上、70m2/g以下という粉体特性を有する酸化銅である。そして、本発明に係る製造方法により製造される酸化銅は、2次粒子を構成している1次粒子間に存在する不純物が少ない為、2次粒子が容易に1次粒子へと分散する。そこで、当該酸化銅を超電導物質の製造原料としたとき、当該製造原料の混合分散工程において容易に1次粒子へと分散する。この結果、当該酸化銅を超電導物質の製造原料としたとき、超電導物質として有効なペロプスカイト型の構造を得やすいのであると考えられる。
さらに、当該粉体特性を有する酸化銅は、1次粒子径が100Å〜600Åの範囲にある為、粉体の比表面積が非常に大きく、少なくとも40m2/g以上を有している。この比表面積が大きいことにより、当該酸化銅を原料粉体として用いた超伝導物質製造における仮焼時の反応性を大きく上げることができる。
次に、本発明に係る酸化銅を生産する方法について説明する。
当該生産方法は、アンモニウム塩水溶液を硝酸銅水溶液にて逆中和反応を行う第1工程と、当該第1工程で得られた反応物を固液分離し、純温水による洗浄を行った後、乾燥を行う第2工程とを有する。
以下、工程毎にその製造方法を下記に記す。
(第1工程:逆中和反応工程)
銅濃度99.0%以上の硝酸銅(Cu(NO3)2)を導電率1μs以下の純水に投入し、およそ10分間程度、撹拌機にて攪拌溶解してCu濃度200g/L前後の硝酸銅水溶液を得る。尚、このときの溶解温度は10℃〜30℃であるのが望ましい。
一方、純度95%以上の炭酸水素アンモニウム(NH4HCO3)を導電率1μs以下の純水に投入し、撹拌機にて攪拌溶解して濃度100g/L前後の炭酸水素アンモニウム水溶液を得る。このとき、溶解時間に規定はなく、炭酸水素アンモニウムが完全に溶解するまで撹拌を行う。尚、このときの溶解温度は10℃〜30℃であるのが望ましい。アンモニウム塩としての炭酸水素アンモニウムは金属元素を含有しないので、最終的に製造される酸化銅を金属元素で汚染することがなく好ましい。
前記溶解した炭酸水素アンモニウム水溶液を攪拌しながら、当該炭酸水素アンモニウム水溶液中へ、前記硝酸銅水溶液を連続的に添加し逆中和反応を行う。当該逆中和反応において、前記硝酸銅水溶液の添加速度は、例えば前記溶解した炭酸水素アンモニウム水溶液量を150Lとしたとき、2.5L/min〜3.5L/minの範囲の速度で硝酸銅水溶液を連続添加する速度が好ましい。
このときの撹拌は、例えば、200Lタンクと3枚・1段羽とを用いた場合、タンクの底部中心から5cm〜10cmの位置に設置し、撹拌機の回転速度を100rpm〜200rpmとする程度の弱攪拌が好ましい。当該弱攪拌を行うことで、反応槽もしくはビーカーに邪魔板を用いた回転速度300rpm以上の強攪拌を行った場合のような、2次粒子平均径が1μm〜10μm程度の凝集体が混在している状態とならず、均一な2次粒子径を有する塩基性炭酸銅粒子を得ることが出来るからである。
そして、当該逆中和反応にかける時間は10分間〜30分間程度とし、急激に核生成させた後、反応を終了させるのが望ましい。反応時間を30分間以下とし、反応後の熟成時間を30分間以下とすることで、生成した塩基性炭酸銅の1次粒子径が100Å〜600Åであり、2次粒子平均径が1μm〜3μmである、均一な凝集体を得ることが出来る。
さらに好ましいことに、当該逆中和反応時においては反応温度を10℃〜30℃の範囲で行えば良いことから、特別な設備をもって反応液温度を制御する必要が無く、高い生産性をもって当該逆中和反応を行うことが可能となった。尚、当該逆中和反応および攪拌は吸熱反応である為、当該逆中和反応時および攪拌時の液温は10℃〜20℃となる。
(第2工程:洗浄、乾燥工程)
前記第1工程に続いて、当該逆中和反応で生成した生成物を洗浄、乾燥する第2工程を行う。
まず、当該生成物の固液分離を行い、塩基性炭酸銅(CuCO3・Cu(OH)2・nH2O)を収集する。このとき、塩基性炭酸銅から液体分が固液分離され、残留した塩基性炭酸銅から濾液が排出されなくなったら、55℃〜65℃の温純水を約3000L投入し、塩基性炭酸銅をスラリー状として、40分間〜60分間洗浄を行う。
従来の技術に係る酸化銅の製造においては、生成する塩基性炭酸銅の2次粒子が10μm程度にまで粗大化してしまう。この為、当該粗大化した2次粒子を構成する1次粒子間に存在するアンモニウム塩等の不純物を除去する為には、当該生成した塩基性炭酸銅を、純水を大量に用いて長時間洗浄する必要があり、且つ、当該洗浄を行っても、前記1次粒子間には、アンモニウム塩等の不純物が残留していた。
これに対し、本発明に係る酸化銅の製造においては、生成する塩基性炭酸銅の2次粒子の粒径は1μm〜3μm程度であって粗大化しないので、当該2次粒子を構成する1次粒子間に存在するアンモニウム塩等の不純物を除去する為には、純水を用いた1回の洗浄とすることが出来る。ここで、当該純水の液温が50℃以上であると、洗浄時間が短縮され、均一な洗浄を行うことが可能となり好ましい。一方、当該液温が70℃以下であると、洗浄中の塩基性炭酸銅の表面が酸化し始めることがなく好ましい。
ここで、温純水洗浄におけるスラリー状の塩基性炭酸銅(CuCO3・Cu(OH)2・nH2O)を固液分離操作について説明する。
当該固液分離のための方法、装置としては、遠心分離機を用いた遠心分離法が望ましい。これは、当該スラリーが多くのH2O分子を含むため、固液分離中にそれらのH2O分子を放出してケーキとなる際、体積の収縮変化を起こすためである。例えば、固液分離の際に、ヌッチェを用いた吸引濾過法を用いた場合、上述したスラリーの体積収縮のために、温純水洗浄中に分離されつつあるケーキにヒビ割れが生じる。すると、洗浄水は、ケーキ中を通らず、このヒビ割れ部分を通過して濾紙に達する、いわゆるショートパスを起こしてしまうので、洗浄効率が著しく悪くなるのである。また、例えば、フィルタープレスを用いた固液分離法の場合も、吸引濾過法の場合と同様に、ケーキにヒビ割れが生じ、ショートパスを起こしてしまうので、好ましくない。
これに対し、当該固液分離のための方法、装置として遠心分離機を用いた場合、ケーキの体積収縮が起こったとしても、強力な遠心力が作用することにより、ケーキの亀裂部分の空間が瞬時に埋められる。この結果、洗浄水が、常に効率よくケーキ内をパスすることになる。
この結果、2次粒子平均径が1μm〜3μmである為、粉体のハンドリングが容易であり、当該2次粒子を構成する1次粒子間に不純物が少ないため、容易に1次粒子に分散可能な酸化銅粉末を得ることができた。
こうして得られた温純水洗浄後の塩基性炭酸銅(CuCO3・Cu(OH)2・nH2O)を、100℃〜120℃の温度域で17時間以上乾燥させた。このときの塩基性炭酸銅の1次粒子の粒径は100Å〜600Å、2次粒子の平均粒径は2.0μm程度の均一な凝集体である事が確認された。そして、当該2次粒子を構成する1次粒子間に不純物として残留するアンモニウム塩が極めて少なく、該当アンモニウム塩が結晶化し塊状となることがない為、乾燥後の当該塩基性炭酸銅の解砕は容易である。
次に、得られた塩基性炭酸銅の乾燥物を、大気を始めとする酸化性雰囲気下において200℃〜300℃の温度範囲内で10時間〜20時間焼成を行い本発明に係る酸化銅の粉末を得た。当該酸化銅粉末は、1次粒子径が100Å〜600Åで、比表面積が40m2/g以上、70m2/g以下であった。
本発明に係る酸化銅と、Bi、Sr、Ca等の酸化物または炭酸塩とを、超電導物質の製造原料としたとき、湿式混合法により各種酸化物もしくは炭酸塩を定量混合することにより、超電導用材料を製造する事が出来る。そして当該定量混合時において、当該酸化銅は、その2次粒子が容易に1次粒子(100Å〜600Å)に分散する為、超微粒粉末としての望ましい混和特性を発揮する。この結果、当該酸化銅を原料粉体として製造された超電導物質においては、有効なペロプスカイト型の構造を得やすかった。
(実施例1)
純度99.0%以上の硝酸銅(Cu(NO3)2)と、純度95%以上の炭酸水素アンモニウム(NH4HCO3)とを準備した。
内容量60Lタンクに、硝酸銅20kgを投入し、導電率1μsの純水を35L加えて10分間撹拌機にて溶解し、Cu濃度200g/Lの硝酸銅水溶液とした。この時の溶解温度は20℃とした。
一方、内容量200Lタンク内に炭酸水素アンモニウム15kgを投入し、導電率1μsの純水を150L加えた後、撹拌機で溶解し、濃度100g/Lの炭酸水素アンモニウム水溶液とした。このとき、溶解温度は20℃としたところ、攪拌時間が60分間で炭酸水素アンモニウムは完全に溶解した。
当該溶解した炭酸水素アンモニウム水溶液を攪拌し、ここへ前記硝酸銅水溶液を3L/minの速度で連続添加し逆中和反応を行った。このとき撹拌機として、3枚・1段羽のものを用い当該200Lタンクの底部中心から5cmの位置に設置した。また撹拌機の回転速度は150rpmとした。
当該逆中和反応時間は20分間で核生成させて反応を終了させ、スラリー状の反応液を得た。このときの反応液温度は15℃であった。
続いて当該スラリー状の反応液を、上排出型遠心分離機内に設置して固液分離を行う。そして、反応液全量を固液分離した後、濾液が排出されなくなったら、当該上排出型遠心分離機投入口より60℃の純温水を投入し50分間の洗浄を行った。使用した温純水量は約3000Lであった。当該洗浄後のスラリー状塩基性炭酸銅の残留アンモニア濃度は500ppmであった。
尚、当該残留アンモニア濃度の分析は、スラリー状塩基性炭酸銅の残留アンモニアを純水中へ溶出させ、当該純水中のアンモニア濃度をイオンクロマトグラフ(ダイオネクス社製)にて測定することで行った。
こうして得られた洗浄後のスラリー状塩基性炭酸銅を、強制排気型乾燥機にて110℃の温度で17時間乾燥させて塩基性炭酸銅粒子を得た。得られた塩基性炭酸銅の1次粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)にて確認したところ1次粒子は平均粒径400Å、2次粒子径はレーザー回折式粒度分布測定装置にて確認したところ平均粒径2μm、の均一な凝集体であった。
続いて当該塩基性炭酸銅の乾燥物をステンレス製バット10枚程度に小分けし、大気下において250℃の温度範囲内で15時間の焼成を行い、本実施例に係る酸化銅を得た。
ここで、本実施例に係る酸化銅の品位を表1に、粉体特性を表2に示す。
当該品位の測定において、Fe、Ni、Al、SiはICP分析装置により測定し、Cu含量は差数法にて算出した。比表面積はBET法にて求めた値である。また、平均粒径はWINDOX製HELOS&RODOS乾式レーザー回折式粒度分布測定装置を用い、分散圧3.00bar、吸引圧125.00mbarにて測定した値である。
Figure 0005266477
Figure 0005266477
本実施例に係る酸化銅と、Bi、Sr、Caの酸化物または炭酸塩とを、超電導物質の製造原料としたとき、湿式混合法により、各種酸化物または炭酸塩を定量混合することにより、超電導要材料を製造する事が出来た。そして、当該酸化銅は、当該定量混合時において容易に1次粒子(100Å〜600Å)に分散する為、超微粒粉末としての望ましい混和特性を発揮し、超電導物質として有効なペロプスカイト型の構造を得やすいことが判明した。
(実施例2)
純温水洗浄の際の純水温度を20℃とした以外は、実施例1と同様の方法で、実施例2に係る塩基性炭酸銅を製造した。当該実施例2に係る塩基性炭酸銅の残留アンモニア濃度は0.1%であった。このスラリー状塩基性炭酸銅を強制排気型乾燥機にて110℃の温度で17時間乾燥させて塩基性炭酸銅粒子を得た。得られた塩基性炭酸銅の1次粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)にて確認したところ1次粒子は平均粒径500Å、2次粒子径はレーザー回折式粒度分布測定装置にて確認したところ平均粒径3μm、の均一な凝集体であった。
当該実施例2に係る酸化銅と、Bi、Sr、Caの酸化物または炭酸塩とを、超電導物質の製造原料としたとき、湿式混合法により、各種酸化物または炭酸塩を定量混合することにより、超電導用材料を製造することが出来た。そして、当該酸化銅は、当該定量混合時において容易に1次粒子(100Å〜600Å)に分散する為、超微粒粉末としての望ましい混和特性を発揮し、超電導物質として有効なペロプスカイト型の構造を得やすいことが判明した。
(比較例1)
実施例1と同様の、硝酸銅と炭酸水素アンモニウムとを準備した。
内容量200Lタンクに当該硝酸銅20kgを投入し、導電率1μsの純水を35L加えて10分間撹拌機にて溶解し、Cu濃度200g/Lの硝酸銅水溶液とし、当該硝酸銅水溶液の液温を26℃に制御した。
一方、内容量200Lタンク内に炭酸水素アンモニウム15kgを投入し、導電率1μsの純水を150L加えた後、撹拌機で溶解し、濃度100g/Lの炭酸水素アンモニウム水溶液とした。このとき、溶解温度は26℃に制御したところ、攪拌時間が60分間で炭酸水素アンモニウムは完全に溶解した。そこで、当該炭酸水素アンモニウム水溶液の液温をそのまま26℃に制御し中和剤とした。
次に、前記硝酸銅水溶液の入っている200Lタンクへ、中和剤溶液を入れた200Lタンクから定量ポンプを用いて、液温度を26℃に制御した炭酸水素アンモニウム水溶液を、中和剤として少量ずつ連続的に注入した。当該注入に際して、反応温度は26℃(±1℃)前後になる様に温度コントローラーを用いて、前記硝酸銅水溶液の入っている200Lタンク内の温度を調節した。そして、実施例1と同様の撹拌装置を用い、同様の攪拌条件で、当該硝酸銅水溶液を45分間かけて中和し、スラリー状の反応液を得た。
続いて当該スラリー状の反応液を、上排出型遠心分離機内に設置して固液分離を行う。そして、反応液全量を固液分離した後、濾液が排出されなくなったら、当該上排出型遠心分離機投入口より20℃の純水を投入し3時間の洗浄を行った。使用した純水量は約9000Lであった。そして、当該純水洗浄を2回実施した。洗浄後の比較例1に係る塩基性炭酸銅の残留アンモニア濃度は0.6%であった。
こうして得られた洗浄後のスラリー状塩基性炭酸銅(CuCO3・Cu(OH)2・nH2O)を強制排気型乾燥機にて110℃の温度で24時間乾燥させた。
得られた塩基性炭酸銅の乾燥物の1次粒子は600Å、2次粒子の平均粒子径は1μm〜10μmの不均一な凝集体であった。
続いて当該塩基性炭酸銅の乾燥物をステンレス製バット10枚程度に小分けし、大気下において250℃の温度範囲内で15時間の焼成を行い、本比較例に係る酸化銅を得た。
ここで、本比較例に係る酸化銅の品位を表3に、粉体特性を表4に示す。
当該品位の測定も実施例1と同様に、Fe、Ni、Al、SiはICP分析装置により測定し、Cu含量は差数法にて算出した。比表面積はBET法にて求めた値である。また、平均粒径はWINDOX製HELOS&RODOS乾式レーザー回折式粒度分布測定装置を用い、分散圧3.00bar、吸引圧125.00mbarにて測定した値である。
Figure 0005266477
Figure 0005266477
本比較例に係る酸化銅と、Bi、Sr、Caの酸化物または炭酸塩とを、超電導物質の製造原料としたとき、湿式混合法により各種酸化物もしくは炭酸塩を定量混合することにより、超電導要材料を製造する事が出来た。しかし、本比較例に係る酸化銅は、製造段階でのスラリー洗浄時に液温20℃前後の純水を使用している為、スラリー洗浄が不均一となり、乾燥後の1次粒子の凝集粒が肥大化した2次粒子となった。そして当該肥大化した2次粒子は、超電導物質の製造原料の混合時において、容易に1次粒子へと分散しなかった。その結果、上述した本実施例に係る酸化銅を用いた場合と比較して、超電導物質として有効なペロプスカイト型の構造が得難いことが判明した。

Claims (2)

  1. 炭酸水素アンモニウムの水溶液へ硝酸銅水溶液を添加して逆中和反応を行い、当該逆中和反応により塩基性炭酸銅を生成させ、当該塩基性炭酸銅を焼成して酸化銅を生成させることを特徴とする酸化銅の製造方法。
  2. 前記逆中和反応によって生成する塩基性炭酸銅を固液分離し、当該固液分離された塩基性炭酸銅を純水にて洗浄した後、200℃〜300℃にて大気焼成して酸化銅を生成させることを特徴とする請求項1に記載の酸化銅の製造方法。
JP2005372946A 2005-12-26 2005-12-26 酸化銅の製造方法 Active JP5266477B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005372946A JP5266477B2 (ja) 2005-12-26 2005-12-26 酸化銅の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005372946A JP5266477B2 (ja) 2005-12-26 2005-12-26 酸化銅の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007169135A JP2007169135A (ja) 2007-07-05
JP5266477B2 true JP5266477B2 (ja) 2013-08-21

Family

ID=38296195

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005372946A Active JP5266477B2 (ja) 2005-12-26 2005-12-26 酸化銅の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5266477B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4918662B2 (ja) * 2007-06-27 2012-04-18 国立大学法人 東京大学 Maldi質量分析用の試料ホルダおよび質量分析方法
KR101153972B1 (ko) 2011-09-28 2012-06-08 씨피텍 주식회사 염기성 탄산구리로부터 산화구리를 제조하는 방법
KR101367187B1 (ko) * 2012-11-21 2014-02-27 주식회사 대창 인쇄회로기판용 산화동의 제조 방법
CN113249714A (zh) * 2021-05-19 2021-08-13 许昌学院 一种可调控的超浸润性铜表面的制备方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02145422A (ja) * 1988-11-24 1990-06-04 Dowa Mining Co Ltd 微細酸化銅粉末の製造方法
JP4033616B2 (ja) * 2000-09-04 2008-01-16 鶴見曹達株式会社 銅メッキ材料の製造方法
JP2004300459A (ja) * 2003-03-28 2004-10-28 Mitsui Chemicals Inc 使用済み除害剤中の金属成分の回収方法
JP4113519B2 (ja) * 2003-06-18 2008-07-09 鶴見曹達株式会社 銅メッキ材料及び銅メッキ方法
US20060261011A1 (en) * 2005-05-19 2006-11-23 Kanazirev Vladislav I Metal oxides with improved resistance to reduction

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007169135A (ja) 2007-07-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN102574696B (zh) 基于氧化铈和氧化锆具有特定孔隙率的组合物、其制备方法及其在催化中的用途
CN102428026B (zh) 在水热条件下合成锂-铁-磷酸盐
RU2599299C2 (ru) Способ обработки фосфатной породы
CN102369161B (zh) 碱金属铌酸盐颗粒的制造方法和碱金属铌酸盐颗粒
JP5266477B2 (ja) 酸化銅の製造方法
JPWO2013021974A1 (ja) 酸化ニッケル微粉末及びその製造方法
JP6289381B2 (ja) 水酸化物を含む遷移金属炭酸塩の製造方法
JP2019106240A (ja) ニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物、ニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物の製造方法及び、リチウムニッケルコバルトアルミニウム複合酸化物
JP4257959B2 (ja) 酸化ガリウムの製造方法
JPH0559845B2 (ja)
JP6763228B2 (ja) 酸化ニッケル微粉末の製造方法
JP2011225395A (ja) 酸化ニッケル微粉末及びその製造方法
JP2019164981A (ja) リチウムイオン二次電池用正極活物質前駆体の製造方法、リチウムイオン二次電池用正極活物質中間物の製造方法、及びそれらを併せたリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法
JP2011042541A (ja) 酸化ニッケル微粉末及びその製造方法
JP5509725B2 (ja) 酸化ニッケル粉末及びその製造方法
JP2011132107A (ja) 酸化セリウム微粒子の製造方法
JP6969120B2 (ja) 酸化ニッケル微粉末の製造方法
JP7134590B2 (ja) 割れのないリチウムイオン電池正極活物質前駆体の製造方法
JP6475186B2 (ja) リチウム金属複合酸化物粉末の改質方法
JP2020163334A (ja) ニッケル触媒及びその製造方法
JP2022167284A (ja) ナノダイヤモンド粉末の製造方法
JP2016172658A (ja) 酸化ニッケル粉末の製造方法
JP2018024551A (ja) 水酸化ニッケル粒子及びその製造方法
JP2018123019A (ja) 酸化ニッケル微粉末の製造方法
JP2020121923A (ja) 水酸化ニッケル粒子

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20081020

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100614

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120209

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120330

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120828

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121010

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130402

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20130410

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130410

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20130410

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5266477

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250