JP2004300459A - 使用済み除害剤中の金属成分の回収方法 - Google Patents
使用済み除害剤中の金属成分の回収方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004300459A JP2004300459A JP2003091687A JP2003091687A JP2004300459A JP 2004300459 A JP2004300459 A JP 2004300459A JP 2003091687 A JP2003091687 A JP 2003091687A JP 2003091687 A JP2003091687 A JP 2003091687A JP 2004300459 A JP2004300459 A JP 2004300459A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- metal
- abatement agent
- acid
- recovering
- treated
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P10/00—Technologies related to metal processing
- Y02P10/20—Recycling
Landscapes
- Treating Waste Gases (AREA)
- Manufacture And Refinement Of Metals (AREA)
- Manufacture Of Iron (AREA)
Abstract
【解決手段】金属水素化ガスや、有機金属ガスを処理した除害剤に含まれる有害な成分を安全に除去し、更に除害剤の主剤の金属成分を回収して再度除害剤の原料として再使用する方法を提供する。
【解決課題】固体金属酸化物、固体金属炭酸塩および固体金属水素化物から選ばれる1つ以上を主成分とする使用済みの除害剤中の金属成分の回収方法であって、金属水素化ガスおよび/または有機金属ガスを含有する排ガスを処理した使用済みの除害剤を酸で処理することを特徴とする使用済み除害剤中の金属成分の回収方法。
【選択図】 なし
【解決課題】固体金属酸化物、固体金属炭酸塩および固体金属水素化物から選ばれる1つ以上を主成分とする使用済みの除害剤中の金属成分の回収方法であって、金属水素化ガスおよび/または有機金属ガスを含有する排ガスを処理した使用済みの除害剤を酸で処理することを特徴とする使用済み除害剤中の金属成分の回収方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
金属水素化ガスおよび/または有機金属ガスを含む排ガスの除害剤中の金属成分の回収方法および除害剤から回収した金属塩から得られる除害剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体製造用ガスには種々のガスが用いられ、SiH4、Si2H6、GeH4、PH3、AsH3等の金属水素化ガスや、有機シランと呼ばれるメチルシラン、エチルシラン、フェニルシラン等のガスは、近年において半導体デバイス製造に於けるドライフォトレジスト剤、あるいは低誘電率の層間絶縁膜形成材料として注目されている。
【0003】
これらのガスは何れも反応性が高く、また自然発火性が強く危険性の高いガスである。また吸収により呼吸器を激しく刺激するなど毒性が強く、若し高濃度で外部に放出されるならば、人体及び自然環境への悪影響ははかり知れないものがある。したがって、これらの排ガスを大気放出する前に無害化する必要があり、従来から固体金属酸化物(特公平4−19886)、固体金属炭酸塩(特開昭59−160535、特願平7ー7022)等による乾式処理方法が提案されている。
しかし、これらを除害処理した使用済みの除害剤には、As等の有害な成分が含まれている。これらの有害成分を安全に分離し、除害剤の主成分の金属分を回収する技術が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、金属水素化ガスや、有機金属ガスを処理した除害剤に含まれる有害な成分を安全に除去し、更に除害剤の主剤の金属成分を回収して再度除害剤の原料として再使用する方法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、排ガスを処理した使用済みの除害剤の回収、再利用の方法について鋭意研究した結果、酸で溶解し、更に必要に応じて有害な金属成分を分離して、金属成分を金属塩として回収する方法を見いだし、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、
(1) 固体金属酸化物、固体金属炭酸塩および固体金属水酸化物から選ばれる1つ以上を主成分とする使用済みの除害剤中の金属成分の回収方法であって、金属水素化ガスおよび/または有機金属ガスを含有する排ガスを処理した使用済みの除害剤を酸で処理することを特徴とする使用済み除害剤中の金属成分の回収方法。
(2) 使用済みの除害剤を処理する酸が、硫酸、硝酸、塩酸、酢酸、蓚酸またはこれらの混酸であることを特徴とする(1)に記載の使用済み除害剤中の金属成分の回収方法。
(3) 除害剤の金属成分がFe、Cu、Mn、ZnおよびNi元素から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする(1)または(2)に記載の使用済み除害剤中の金属成分の回収方法。
(4) 少なくとも水酸化砒素を含む排ガスを処理した使用済みの除害剤を酸で処理し、この処理液を水溶性の2価のイオウ化合物と接触し、As化合物を含む不溶成分を除去したのち、溶解する金属塩を回収することを特徴とする(1)〜(3)いずれかに記載の使用済み除害剤中の金属成分の回収処理方法。
(5)水溶性の2価のイオウ化合物がH2S、NaHSおよびNa2Sのいずれかであることを特徴とする(1)〜(4)いずれかに記載の使用済み除害剤中の金属成分の回収方法。
(6) 少なくとも水素化燐を含む排ガスを処理した使用済みの除害剤を酸で処理し、この処理液をIA族のアルカリ金属の水酸化物及び/又は炭酸塩で中和したのち、析出した金属塩を濾過回収することを特徴とする(1)〜(3)いずれかに記載の使用済み除害剤中の金属成分の回収方法。
(7) (1)〜(6)いずれかに記載の方法により回収した金属塩を除害剤の原料として使用することを特徴とする固体金属酸化物、固体金属炭酸塩および固体金属水酸化物から選ばれる1つ以上を主成分とする除害剤。
に関する。
【0006】以下、本発明を更に詳細に説明する。尚、本文中のガス濃度は容量パーセントで表示する。
本発明でいう排ガスとは、金属水素化ガスや有機金属ガスを少なくとも1種類以上含む排ガスをいう。本発明で処理の対象となる排ガスに含まれる金属水素化ガス及び有機金属ガスを例示すると、金属水素化ガスとしては、SiH4、Si2H6、GeH4、水素化砒素、水素化燐等が挙げられ、有機金属ガスとしては一般式SiHnR4−n(nは1〜3の整数、Rはアルコキシ基、アルキル基、ビニル基、フェニル基、又はアリール基を表す)で表される水素化有機シラン等が挙げられる。
【0007】
本発明で処理する除害剤は、固体金属酸化物、固体金属炭酸塩および固体金属水酸化物から選ばれる1つ以上を主成分とするものである。除害剤中の金属成分は、金属水素化ガスや有機金属ガスの排ガスを分解、或いは結合する能力を有する金属である。
中でも金属元素がMn、Fe、Ni、Cu、Znから選ばれる少なくとも1種である固体金属酸化物、固体金属炭酸塩および固体金属水酸化物であることが好ましい。
また、固体金属炭酸塩には塩基性の固体金属炭酸塩も含まれる。塩基性の固体金属炭酸塩とは、一般式Mx(CO3)y(OH)zで表される物質でありMは金属元素である。
これらの除害剤のうち、固体金属炭酸塩と固体金属水酸化物は、金属水素化ガスや有機金属ガスを含む排ガスを処理すると、酸化物或いは亜酸化物に変化する場合があるが、本発明ではこれらも処理することが出来る。
本発明の使用済み除害剤の処理では、まず使用済みの除害剤を酸によって溶解する。
【0008】
使用する酸は特に制限はないが、硫酸、硝酸、塩酸等の鉱酸や、酢酸、蓚酸等の有機酸が好ましい。またはのちの再利用に支障のない限りこれらの混酸を用いることもできる
酸の濃度は、特に制限はないが、20〜30wt%の濃度が好ましい。また酸の使用量は、使用済みの除害剤の金属成分を定量し、それに応じて決められる。通常金属成分の2〜5倍モルの酸を使用するのが好ましい。
上記の酸による処理によって、金属成分の殆どが溶解するが、一部不溶成分が残るのでこれらを固液分離する。固相は除害剤の製造時に添加される無機系のバインダーや、排ガスの成分に由来するシリカなどである。液相は、酸に溶解した金属成分が主に含有しており、これを回収し、工業用に再使用する。
しかし、水素化砒素や水素化燐を含む排ガスを処理した使用済みの除害剤の場合には、除害剤を酸に溶解すると、AsやPは、液相側に残ってしまうので、AsやP成分を除去する必要がある。
【0009】
水素化砒素とは、水素と砒素からなる化合物で、例示するとAs2H2、As4H2、AsH3等が挙げられる。
水素化燐とは、水素と燐からなる化合物で、例示するとPH、PH3、P2H4、P3H5等が挙げられる。
【0010】
水素化砒素を含む排ガスを処理した使用済みの除害剤の場合、酸に溶解した後、イオウ化合物と接触させることにより、硫化砒素を析出させてAs成分を分離除去することができる。
イオウ化合物のうち、特に水溶性の2価のイオウ化合物が好ましく、例示するとH2S、NaHS、Na2S等が挙げられる。これらのイオウ化合物の使用量は、使用済みの除害剤に含まれるAsの量によって決められ、硫化砒素となるに見合う量、若しくはそれ以上の量を使用する。
H2Sは、市販されるガスボンベを用い、使用済みの除害剤の溶解液にガスをバブリングして接触させることができる。
NaHSやNa2Sは、使用済みの除害剤の溶解液を攪拌しながらそれらの水溶液を添加することにより接触させることができる。
Asは不溶性の硫化砒素となって析出するので、固液分離して固体除去し、液を回収することが出来る。
【0011】
水素化燐を含む排ガスを処理した使用済みの除害剤の場合には、除害剤を酸に溶解した後、不溶成分を一旦濾過分離する。
【0012】
分離後、濾液をIA族のアルカリ金属の水酸化物及び/又は炭酸塩で中和処理することによって、金属炭酸塩又は金属水酸化物を析出させる。これを固液分離し、更に固体成分を大量の水で洗浄する。P成分は、水溶性の燐酸塩として液相側に除去できる。
回収した固体金属炭酸塩または固体金属水酸化物の固体成分は、乾燥し工業用に再使用することが出来る。
上記で使用するIA族のアルカリ金属の水酸化物及び/又は炭酸塩は、特に限定なく使用可能であるが、中でも比較的安価なKOH、NaOH、K2CO3、Na2CO3等が好ましい。
以上の方法によって回収した金属塩は、他の工業用の用途に使用しても良く、また除害剤の原料として再使用することもできる。
また回収した硫化砒素はAsH3の原料として再使用することが出来る。
【0013】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明する。
【0014】
実施例1
25wt%硝酸銅と20wt%Na2CO3の中和反応によって得られた塩基性炭酸銅を濾過、洗浄した後250℃で加熱して酸化銅を得た。
この酸化銅にベントナイト20%と少量の水を加え、押し出し成形を行ない、再度200℃で乾燥し除害剤を製造した。この除害剤を用い、SiH4を含む排ガスの処理を行った。
この除害剤の初期重量1kg当たりのSiH4の処理量は、0.8molであった。
この使用済みの除害剤1kgを、20wt%硝酸6.5Kgに攪拌しながら少しずつ投入し、全量を投入したのち、更に2時間攪拌した。
攪拌を止め、ワットマン社の濾紙No.2を使用して濾過を行った。
得られた濾液の硝酸銅の濃度を調整し、前記と同様の方法で除害剤を製造したところ、同様の処理能力を有する除害剤を得ることが出来た。
【0015】
実施例2
20wt%硫酸銅と20wt%Na2CO3の中和反応によって得られた塩基性炭酸銅を濾過・洗浄した後、得られた濾塊を120℃で乾燥した。
この塩基性炭酸銅にベントナイト20%と少量の水を加え、押し出し成形を行ない、再度120℃で乾燥し除害剤を製造した。この除害剤を用い、SiH4とAsH3が容量比で3:1の割合で含まれる排ガスの処理を行った。
この除害剤の初期重量1kg当たりの処理量は、SiH41.5mol、AsH30.5molであった。
処理後の主成分の塩基性炭酸銅のうち、約75wt%が亜酸化銅(Cu2O)に変化していた。
この使用済みの除害剤1kgを、20wt%硫酸6Kgに攪拌しながら少しずつ投入し、全量を投入したのち更に2時間攪拌した。
攪拌を止め、東洋濾紙No.2を使用して濾過を行った。
得られた濾液の硫酸銅のAsを定量したところ1.02wt%であった。
回収した濾液の硫酸銅溶液を攪拌しながら、H2Sガスを50cc/min.の流速で10時間バブリングしたのち、ミリポア社のメンブレンフィルター(孔径1μ)を使用して濾過を行った。濾液中のAsを定量したところ10ppb以下に減少していた。
得られた硫酸銅溶液の濃度を調整し、前記の方法で除害剤を製造した。同様に排ガスの処理をし、同様の処理能力を有する除害剤であることを確認した。
【0016】
実施例3
実施例2と同様の除害剤を用いSiH4とAsH3とPH3が容量比で3:1:1の割合で含まれる排ガスの処理を行った。この除害剤の初期重量1kg当たりの処理量は、SiH4:1.2mol、AsH3:0.4mol、PH3:0.4molであった。主成分の塩基性炭酸銅のうち、約75wt%が亜酸化銅(Cu2O)に変化していた。この使用済みの除害剤1kgを、20wt%硫酸6Kgに攪拌しながら少しずつ投入し、全量を投入したのち更に2時間攪拌した。攪拌を止め、東洋濾紙No.2を使用して濾過を行った。この硫酸銅となった濾液のAs、Pを定量したところAs:0.82wt%、P:0.35wt%であった。この回収した濾液の硫酸銅溶液を攪拌しながら、H2Sガスを50cc/min.の流速で8時間バブリングしたのち、ミリポア社のメンブレンフィルター(孔径1μ)を使用して濾過を行った。この濾液中のAs、Pは、As:10ppb以下、P:0.35wt%に減少していた。
濾液の硫酸銅水溶液の濃度を20wt%に調整し、20wt%Na2CO3を加え、塩基性炭酸銅を析出させた。この塩基性炭酸銅を濾過した後、更に約100Lの水で洗浄した。濾過後、120℃で乾燥して得られた粉体中のPを定量したところ、P:10ppm以下であった。この塩基性炭酸銅を用い、前記の方法と同様の方法により除害剤を製造した。前記と同様の処理能力を有する除害剤であることを確認した。
【0017】
【発明の効果】
本発明は、有害な金属水素化ガスまたは有機金属ガスを含む排ガスを処理した使用済みの除害剤を処理し、金属塩を回収して工業用原料として再使用する方法である。工業用途の1つとしては、再び排ガスの除害剤の原料としてリサイクルすることができる。
また本発明の方法によれば、有害なAs等を含む使用済みの除害剤であっても、大気や水質を汚染することなく安全に有害物質を分離して、As成分等の有害物質を回収することが出来る。
更には、低コストで経済的に処理再生することができ、除害剤の低コスト化も実現できる効果を有する。
【産業上の利用分野】
金属水素化ガスおよび/または有機金属ガスを含む排ガスの除害剤中の金属成分の回収方法および除害剤から回収した金属塩から得られる除害剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体製造用ガスには種々のガスが用いられ、SiH4、Si2H6、GeH4、PH3、AsH3等の金属水素化ガスや、有機シランと呼ばれるメチルシラン、エチルシラン、フェニルシラン等のガスは、近年において半導体デバイス製造に於けるドライフォトレジスト剤、あるいは低誘電率の層間絶縁膜形成材料として注目されている。
【0003】
これらのガスは何れも反応性が高く、また自然発火性が強く危険性の高いガスである。また吸収により呼吸器を激しく刺激するなど毒性が強く、若し高濃度で外部に放出されるならば、人体及び自然環境への悪影響ははかり知れないものがある。したがって、これらの排ガスを大気放出する前に無害化する必要があり、従来から固体金属酸化物(特公平4−19886)、固体金属炭酸塩(特開昭59−160535、特願平7ー7022)等による乾式処理方法が提案されている。
しかし、これらを除害処理した使用済みの除害剤には、As等の有害な成分が含まれている。これらの有害成分を安全に分離し、除害剤の主成分の金属分を回収する技術が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、金属水素化ガスや、有機金属ガスを処理した除害剤に含まれる有害な成分を安全に除去し、更に除害剤の主剤の金属成分を回収して再度除害剤の原料として再使用する方法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、排ガスを処理した使用済みの除害剤の回収、再利用の方法について鋭意研究した結果、酸で溶解し、更に必要に応じて有害な金属成分を分離して、金属成分を金属塩として回収する方法を見いだし、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、
(1) 固体金属酸化物、固体金属炭酸塩および固体金属水酸化物から選ばれる1つ以上を主成分とする使用済みの除害剤中の金属成分の回収方法であって、金属水素化ガスおよび/または有機金属ガスを含有する排ガスを処理した使用済みの除害剤を酸で処理することを特徴とする使用済み除害剤中の金属成分の回収方法。
(2) 使用済みの除害剤を処理する酸が、硫酸、硝酸、塩酸、酢酸、蓚酸またはこれらの混酸であることを特徴とする(1)に記載の使用済み除害剤中の金属成分の回収方法。
(3) 除害剤の金属成分がFe、Cu、Mn、ZnおよびNi元素から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする(1)または(2)に記載の使用済み除害剤中の金属成分の回収方法。
(4) 少なくとも水酸化砒素を含む排ガスを処理した使用済みの除害剤を酸で処理し、この処理液を水溶性の2価のイオウ化合物と接触し、As化合物を含む不溶成分を除去したのち、溶解する金属塩を回収することを特徴とする(1)〜(3)いずれかに記載の使用済み除害剤中の金属成分の回収処理方法。
(5)水溶性の2価のイオウ化合物がH2S、NaHSおよびNa2Sのいずれかであることを特徴とする(1)〜(4)いずれかに記載の使用済み除害剤中の金属成分の回収方法。
(6) 少なくとも水素化燐を含む排ガスを処理した使用済みの除害剤を酸で処理し、この処理液をIA族のアルカリ金属の水酸化物及び/又は炭酸塩で中和したのち、析出した金属塩を濾過回収することを特徴とする(1)〜(3)いずれかに記載の使用済み除害剤中の金属成分の回収方法。
(7) (1)〜(6)いずれかに記載の方法により回収した金属塩を除害剤の原料として使用することを特徴とする固体金属酸化物、固体金属炭酸塩および固体金属水酸化物から選ばれる1つ以上を主成分とする除害剤。
に関する。
【0006】以下、本発明を更に詳細に説明する。尚、本文中のガス濃度は容量パーセントで表示する。
本発明でいう排ガスとは、金属水素化ガスや有機金属ガスを少なくとも1種類以上含む排ガスをいう。本発明で処理の対象となる排ガスに含まれる金属水素化ガス及び有機金属ガスを例示すると、金属水素化ガスとしては、SiH4、Si2H6、GeH4、水素化砒素、水素化燐等が挙げられ、有機金属ガスとしては一般式SiHnR4−n(nは1〜3の整数、Rはアルコキシ基、アルキル基、ビニル基、フェニル基、又はアリール基を表す)で表される水素化有機シラン等が挙げられる。
【0007】
本発明で処理する除害剤は、固体金属酸化物、固体金属炭酸塩および固体金属水酸化物から選ばれる1つ以上を主成分とするものである。除害剤中の金属成分は、金属水素化ガスや有機金属ガスの排ガスを分解、或いは結合する能力を有する金属である。
中でも金属元素がMn、Fe、Ni、Cu、Znから選ばれる少なくとも1種である固体金属酸化物、固体金属炭酸塩および固体金属水酸化物であることが好ましい。
また、固体金属炭酸塩には塩基性の固体金属炭酸塩も含まれる。塩基性の固体金属炭酸塩とは、一般式Mx(CO3)y(OH)zで表される物質でありMは金属元素である。
これらの除害剤のうち、固体金属炭酸塩と固体金属水酸化物は、金属水素化ガスや有機金属ガスを含む排ガスを処理すると、酸化物或いは亜酸化物に変化する場合があるが、本発明ではこれらも処理することが出来る。
本発明の使用済み除害剤の処理では、まず使用済みの除害剤を酸によって溶解する。
【0008】
使用する酸は特に制限はないが、硫酸、硝酸、塩酸等の鉱酸や、酢酸、蓚酸等の有機酸が好ましい。またはのちの再利用に支障のない限りこれらの混酸を用いることもできる
酸の濃度は、特に制限はないが、20〜30wt%の濃度が好ましい。また酸の使用量は、使用済みの除害剤の金属成分を定量し、それに応じて決められる。通常金属成分の2〜5倍モルの酸を使用するのが好ましい。
上記の酸による処理によって、金属成分の殆どが溶解するが、一部不溶成分が残るのでこれらを固液分離する。固相は除害剤の製造時に添加される無機系のバインダーや、排ガスの成分に由来するシリカなどである。液相は、酸に溶解した金属成分が主に含有しており、これを回収し、工業用に再使用する。
しかし、水素化砒素や水素化燐を含む排ガスを処理した使用済みの除害剤の場合には、除害剤を酸に溶解すると、AsやPは、液相側に残ってしまうので、AsやP成分を除去する必要がある。
【0009】
水素化砒素とは、水素と砒素からなる化合物で、例示するとAs2H2、As4H2、AsH3等が挙げられる。
水素化燐とは、水素と燐からなる化合物で、例示するとPH、PH3、P2H4、P3H5等が挙げられる。
【0010】
水素化砒素を含む排ガスを処理した使用済みの除害剤の場合、酸に溶解した後、イオウ化合物と接触させることにより、硫化砒素を析出させてAs成分を分離除去することができる。
イオウ化合物のうち、特に水溶性の2価のイオウ化合物が好ましく、例示するとH2S、NaHS、Na2S等が挙げられる。これらのイオウ化合物の使用量は、使用済みの除害剤に含まれるAsの量によって決められ、硫化砒素となるに見合う量、若しくはそれ以上の量を使用する。
H2Sは、市販されるガスボンベを用い、使用済みの除害剤の溶解液にガスをバブリングして接触させることができる。
NaHSやNa2Sは、使用済みの除害剤の溶解液を攪拌しながらそれらの水溶液を添加することにより接触させることができる。
Asは不溶性の硫化砒素となって析出するので、固液分離して固体除去し、液を回収することが出来る。
【0011】
水素化燐を含む排ガスを処理した使用済みの除害剤の場合には、除害剤を酸に溶解した後、不溶成分を一旦濾過分離する。
【0012】
分離後、濾液をIA族のアルカリ金属の水酸化物及び/又は炭酸塩で中和処理することによって、金属炭酸塩又は金属水酸化物を析出させる。これを固液分離し、更に固体成分を大量の水で洗浄する。P成分は、水溶性の燐酸塩として液相側に除去できる。
回収した固体金属炭酸塩または固体金属水酸化物の固体成分は、乾燥し工業用に再使用することが出来る。
上記で使用するIA族のアルカリ金属の水酸化物及び/又は炭酸塩は、特に限定なく使用可能であるが、中でも比較的安価なKOH、NaOH、K2CO3、Na2CO3等が好ましい。
以上の方法によって回収した金属塩は、他の工業用の用途に使用しても良く、また除害剤の原料として再使用することもできる。
また回収した硫化砒素はAsH3の原料として再使用することが出来る。
【0013】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明する。
【0014】
実施例1
25wt%硝酸銅と20wt%Na2CO3の中和反応によって得られた塩基性炭酸銅を濾過、洗浄した後250℃で加熱して酸化銅を得た。
この酸化銅にベントナイト20%と少量の水を加え、押し出し成形を行ない、再度200℃で乾燥し除害剤を製造した。この除害剤を用い、SiH4を含む排ガスの処理を行った。
この除害剤の初期重量1kg当たりのSiH4の処理量は、0.8molであった。
この使用済みの除害剤1kgを、20wt%硝酸6.5Kgに攪拌しながら少しずつ投入し、全量を投入したのち、更に2時間攪拌した。
攪拌を止め、ワットマン社の濾紙No.2を使用して濾過を行った。
得られた濾液の硝酸銅の濃度を調整し、前記と同様の方法で除害剤を製造したところ、同様の処理能力を有する除害剤を得ることが出来た。
【0015】
実施例2
20wt%硫酸銅と20wt%Na2CO3の中和反応によって得られた塩基性炭酸銅を濾過・洗浄した後、得られた濾塊を120℃で乾燥した。
この塩基性炭酸銅にベントナイト20%と少量の水を加え、押し出し成形を行ない、再度120℃で乾燥し除害剤を製造した。この除害剤を用い、SiH4とAsH3が容量比で3:1の割合で含まれる排ガスの処理を行った。
この除害剤の初期重量1kg当たりの処理量は、SiH41.5mol、AsH30.5molであった。
処理後の主成分の塩基性炭酸銅のうち、約75wt%が亜酸化銅(Cu2O)に変化していた。
この使用済みの除害剤1kgを、20wt%硫酸6Kgに攪拌しながら少しずつ投入し、全量を投入したのち更に2時間攪拌した。
攪拌を止め、東洋濾紙No.2を使用して濾過を行った。
得られた濾液の硫酸銅のAsを定量したところ1.02wt%であった。
回収した濾液の硫酸銅溶液を攪拌しながら、H2Sガスを50cc/min.の流速で10時間バブリングしたのち、ミリポア社のメンブレンフィルター(孔径1μ)を使用して濾過を行った。濾液中のAsを定量したところ10ppb以下に減少していた。
得られた硫酸銅溶液の濃度を調整し、前記の方法で除害剤を製造した。同様に排ガスの処理をし、同様の処理能力を有する除害剤であることを確認した。
【0016】
実施例3
実施例2と同様の除害剤を用いSiH4とAsH3とPH3が容量比で3:1:1の割合で含まれる排ガスの処理を行った。この除害剤の初期重量1kg当たりの処理量は、SiH4:1.2mol、AsH3:0.4mol、PH3:0.4molであった。主成分の塩基性炭酸銅のうち、約75wt%が亜酸化銅(Cu2O)に変化していた。この使用済みの除害剤1kgを、20wt%硫酸6Kgに攪拌しながら少しずつ投入し、全量を投入したのち更に2時間攪拌した。攪拌を止め、東洋濾紙No.2を使用して濾過を行った。この硫酸銅となった濾液のAs、Pを定量したところAs:0.82wt%、P:0.35wt%であった。この回収した濾液の硫酸銅溶液を攪拌しながら、H2Sガスを50cc/min.の流速で8時間バブリングしたのち、ミリポア社のメンブレンフィルター(孔径1μ)を使用して濾過を行った。この濾液中のAs、Pは、As:10ppb以下、P:0.35wt%に減少していた。
濾液の硫酸銅水溶液の濃度を20wt%に調整し、20wt%Na2CO3を加え、塩基性炭酸銅を析出させた。この塩基性炭酸銅を濾過した後、更に約100Lの水で洗浄した。濾過後、120℃で乾燥して得られた粉体中のPを定量したところ、P:10ppm以下であった。この塩基性炭酸銅を用い、前記の方法と同様の方法により除害剤を製造した。前記と同様の処理能力を有する除害剤であることを確認した。
【0017】
【発明の効果】
本発明は、有害な金属水素化ガスまたは有機金属ガスを含む排ガスを処理した使用済みの除害剤を処理し、金属塩を回収して工業用原料として再使用する方法である。工業用途の1つとしては、再び排ガスの除害剤の原料としてリサイクルすることができる。
また本発明の方法によれば、有害なAs等を含む使用済みの除害剤であっても、大気や水質を汚染することなく安全に有害物質を分離して、As成分等の有害物質を回収することが出来る。
更には、低コストで経済的に処理再生することができ、除害剤の低コスト化も実現できる効果を有する。
Claims (7)
- 固体金属酸化物、固体金属炭酸塩および固体金属水酸化物から選ばれる1つ以上を主成分とする使用済みの除害剤中の金属成分の回収方法であって、金属水素化ガスおよび/または有機金属ガスを含有する排ガスを処理した使用済みの除害剤を酸で処理することを特徴とする使用済み除害剤中の金属成分の回収方法。
- 使用済みの除害剤を処理する酸が、硫酸、硝酸、塩酸、酢酸、蓚酸またはこれらの混酸であることを特徴とする請求項1に記載の使用済み除害剤中の金属成分の回収方法。
- 除害剤の金属成分がFe、Cu、Mn、ZnおよびNi元素から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の使用済み除害剤中の金属成分の回収方法。
- 少なくとも水素化砒素を含む排ガスを処理した使用済みの除害剤を酸で処理し、この処理液を水溶性の2価のイオウ化合物と接触し、As化合物を含む不溶成分を除去したのち、溶解する金属塩を回収することを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の使用済み除害剤中の金属成分の回収方法。
- 水溶性の2価のイオウ化合物が、H2S、NaHSおよびNa2Sのいずれかであることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の使用済み除害剤中の金属成分の回収方法。
- 少なくとも水素化燐を含む排ガスを処理した使用済みの除害剤を酸で処理し、この処理液をIA族のアルカリ金属の水酸化物及び/又は炭酸塩で中和したのち、析出した金属塩を濾過回収することを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の使用済み除害剤中の金属成分の回収方法。
- 請求項1〜6いずれかに記載の方法により回収した金属塩を除害剤の原料として使用することを特徴とする固体金属酸化物、固体金属炭酸塩および固体金属水酸化物から選ばれる1つ以上を主成分とする除害剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003091687A JP2004300459A (ja) | 2003-03-28 | 2003-03-28 | 使用済み除害剤中の金属成分の回収方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003091687A JP2004300459A (ja) | 2003-03-28 | 2003-03-28 | 使用済み除害剤中の金属成分の回収方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004300459A true JP2004300459A (ja) | 2004-10-28 |
Family
ID=33405000
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003091687A Pending JP2004300459A (ja) | 2003-03-28 | 2003-03-28 | 使用済み除害剤中の金属成分の回収方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004300459A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007169135A (ja) * | 2005-12-26 | 2007-07-05 | Dowa Holdings Co Ltd | 塩基性炭酸銅および酸化銅、並びに酸化銅の製造方法 |
CN108863334A (zh) * | 2018-07-16 | 2018-11-23 | 广东清大同科环保技术有限公司 | 一种利用铸造废灰制备锰锌铁氧体吸波材料的方法 |
-
2003
- 2003-03-28 JP JP2003091687A patent/JP2004300459A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007169135A (ja) * | 2005-12-26 | 2007-07-05 | Dowa Holdings Co Ltd | 塩基性炭酸銅および酸化銅、並びに酸化銅の製造方法 |
CN108863334A (zh) * | 2018-07-16 | 2018-11-23 | 广东清大同科环保技术有限公司 | 一种利用铸造废灰制备锰锌铁氧体吸波材料的方法 |
CN108863334B (zh) * | 2018-07-16 | 2021-02-09 | 广东清大同科环保技术有限公司 | 一种利用铸造废灰制备锰锌铁氧体吸波材料的方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JPH01503232A (ja) | ガス及び廃ガス浄化用の反応性水酸化カルシウム基浄化剤並びにガス及び廃ガスの浄化方法 | |
IE44311B1 (en) | Method of extracting and recovering mercury from gases | |
KR101050970B1 (ko) | 폐기 금속 염화물의 처리 방법 | |
WO2010132105A1 (en) | Sulfur functionalized polymers for separation of metals from gas and liquid and methods for preparation thereof | |
CN106731629A (zh) | 一种利用铜冶炼厂尾矿渣浆液脱硫脱砷汞的方法 | |
CN101636356A (zh) | 从溶液中除去砷的方法和设备 | |
JP2004300459A (ja) | 使用済み除害剤中の金属成分の回収方法 | |
CN101663241B (zh) | 多孔质铁氧化物及其制造方法以及被处理水的处理方法 | |
JP2688620B2 (ja) | ガス及び廃ガスからの有害物質の浄化剤、浄化方法及び該剤の製造方法 | |
KR20140081952A (ko) | 석탄재를 이용한 폐수 내 유기물질 흡착제 및 이의 제조방법 | |
JP4486215B2 (ja) | 除害剤の回収方法 | |
JP2000511865A (ja) | 工業用塩化ナトリウム水溶液を製造する方法 | |
TWI247811B (en) | Method of recovering a cleaning agent | |
JP2002011429A (ja) | 廃棄物中の重金属処理方法 | |
US20100072140A1 (en) | Water purification material and water purification method employing the same | |
KR102126227B1 (ko) | 알칼리로 표면 개질된 석탄 연소 부산물을 지지체로 이용한 영가철 촉매 및 이의 제조방법 | |
CN113117634A (zh) | 一种重金属吸附剂及其制备方法和应用 | |
JP4521498B2 (ja) | 硫黄化合物吸着剤及びその製造方法 | |
JP2008200609A (ja) | 水溶液中のヒ素とクロムとを分離する方法 | |
KR101720205B1 (ko) | 다공성 금속산화물 분말의 제조 방법 | |
WO2022191778A1 (en) | A method of treating an ash composition | |
CN109718658A (zh) | 一种电石厂固废脱硫及循环再利用的方法 | |
KR20120074092A (ko) | 폐 화학약품 처리에 의한 고로 슬래그 흡착제 제조방법 | |
JP6990308B2 (ja) | 鉄含有スラッジの処理方法 | |
KR101754953B1 (ko) | 황화수소 및 실록산 제거용 흡착제 및 이의 제조방법 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050715 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20061208 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20061212 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20070417 |