以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態による車両100の構成について説明する。なお、図1に示した構成は、巻線切替方式のモータ駆動部を備えた車両の構成の一例を示した代表的なものであり、本発明はこれに限られるものではない。
図1に示すように、車両100は、車両本体部101と、車両本体部101の内部に設けられたモータ駆動部10と、モータ駆動部10に接続されたバッテリ部20とを備えている。なお、モータ駆動部10は、本発明の「モータ駆動装置」の一例である。
モータ駆動部10は、インバータ部1と、平滑コンデンサ2と、モータ3と、巻線切替部4と、制御部5と、電源部6とを含むように構成されている。なお、インバータ部1は、本発明の「電力変換部」の一例である。
インバータ部1は、バッテリ部20から入力される直流電力を3相(U相、V相およびW相)の交流電力に変換してモータ3に出力するように構成されている。また、インバータ部1は、バッテリ部20に接続される直流入力端子TP1およびTN1と、モータ3に接続される交流出力端子TU1、TV1およびTW1とを有している。なお、インバータ部1の直流入力端子TP1およびTN1には、それぞれ、平滑コンデンサ2の端子TP2およびTN2が接続されている。この平滑コンデンサ2は、バッテリ部20から入力される直流電力を平滑化するために設けられている。
また、インバータ部1は、電力変換用の6個のスイッチ素子Q1、Q2、Q3、Q4、Q5およびQ6を含むように構成されている。スイッチ素子Q1およびQ2は、U相の電力変換を行うように構成されている。また、スイッチ素子Q3およびQ4は、V相の電力変換を行うように構成されている。また、スイッチ素子Q5およびQ6は、W相の電力変換を行うように構成されている。なお、スイッチ素子Q1〜Q6は、それぞれ、SiCからなる半導体により構成されている。
モータ3は、インバータ部1から供給される3相の交流電力に対応して駆動するように構成されている。また、モータ3は、高速駆動用の3相の巻線3aと、低速駆動用の3相の巻線3bとを含むように構成されている。なお、巻線3aおよび3bは、それぞれ、本発明の「高速駆動用巻線」および「低速駆動用巻線」の一例である。
巻線3aおよび3bは、電気的に直列に接続されている。巻線3aの一方側の各相(U相、V相およびW相)の端子TU2、TV2およびTW2は、インバータ部1に接続されている。また、巻線3aの他方側で、かつ、巻線3bの一方側の各相の端子TU3、TV3およびTW3は、巻線切替部4の後述するダイオードブリッジDB1に接続されている。また、巻線3bの他方側の端子TU4、TV4およびTW4は、巻線切替部4の後述するダイオードブリッジDB2に接続されている。
巻線切替部4は、モータ3の巻線3aおよび3bの接続状態を切り替える機能を有している。具体的には、巻線切替部4は、モータ3の端子TU3、TV3およびTW3を短絡させるための高速巻線切替スイッチSW1と、モータ3の端子TU4、TV4およびTW4を短絡させるための低速巻線切替スイッチSW2とを含むように構成されている。なお、高速巻線切替スイッチSW1および低速巻線切替スイッチSW2は、それぞれ、本発明の「スイッチ素子」の一例である。また、高速巻線切替スイッチSW1および低速巻線切替スイッチSW2は、それぞれ、SiCからなる半導体により構成されている。
また、巻線切替部4は、モータ3の端子TU3、TV3およびTW3にそれぞれ接続される端子TU5、TV5およびTW5を有するダイオードブリッジDB1と、モータ3の巻線3aを保護するためのコンデンサC1とを含むように構成されている。なお、高速巻線切替スイッチSW1と、ダイオードブリッジDB1と、コンデンサC1と、平滑コンデンサ2とは、互いに電気的に並列に接続されている。
また、巻線切替部4は、モータ3の端子TU4、TV4およびTW4にそれぞれ接続される端子TU6、TV6およびTW6を有するダイオードブリッジDB2と、モータ3の巻線3bを保護するためのコンデンサC2とを含むように構成されている。なお、低速巻線切替スイッチSW2と、ダイオードブリッジDB2と、コンデンサC2と、平滑コンデンサ2とは、互いに電気的に並列に接続されている。
ダイオードブリッジDB1は、モータ3の端子TU3、TV3およびTW3から出力される3相(U相、V相およびW相)の交流を整流するための6個のダイオードD11、D12、D13、D14、D15およびD16により構成されている。ダイオードD11およびD12は、U相の交流を整流するように構成されている。また、ダイオードD13およびD14は、V相の交流を整流するように構成されている。また、ダイオードD15およびD16は、W相の交流を整流するように構成されている。なお、ダイオードブリッジDB1の直流出力側には、2つのダイオードD17およびD18が設けられている。
同様に、ダイオードブリッジDB2は、モータ3の端子TU4、TV4およびTW4から出力される3相(U相、V相およびW相)の交流を整流するための6個のダイオードD21、D22、D23、D24、D25およびD26により構成されている。ダイオードD21およびD22は、U相の交流を整流するように構成されている。また、ダイオードD23およびD24は、V相の交流を整流するように構成されている。また、ダイオードD25およびD26は、W相の交流を整流するように構成されている。なお、ダイオードブリッジDB2の直流出力側には、2つのダイオードD27およびD28が設けられている。
制御部5は、インバータ部1および巻線切替部4に制御信号(インバータ制御信号、高速巻線切替制御信号および低速巻線切替制御信号)を出力することによって、インバータ部1および巻線切替部4の制御を行うように構成されている。また、電源部6は、インバータ部1のスイッチ素子Q1〜Q6を動作させるための電源(インバータ用ゲート電源)と、巻線切替部4の高速巻線切替スイッチSW1および低速巻線切替スイッチSW2を動作させるための電源(高速巻線切替用ゲート電源および低速巻線切替用ゲート電源)とを、それぞれ、インバータ部1と巻線切替部4とに供給するように構成されている。
次に、図2〜図4を参照して、本発明の一実施形態によるモータ駆動部10の概略的な構成(構造)について説明する。
図2〜図4に示すように、モータ駆動部10は、モータ3が収容された第1ケース部11と、インバータ部1および巻線切替部4が収容された第2ケース部12と、平滑コンデンサ2、制御部5および電源部6が収容された第3ケース部13と、第1ケース部11と第2ケース部12との間に配置された第4ケース部14とを備えている。第1ケース部11、第4ケース部14、第2ケース部12および第3ケース部13は、アルミニウムなどの金属により形成されている。なお、第1ケース部11、第2ケース部12、第3ケース部13および第4ケース部14は、本発明の「ケース部」の一例である。
第1ケース部11、第4ケース部14、第2ケース部12および第3ケース部13は、モータ3の後述する回転軸31の延びる方向(モータ3の軸方向(A方向))に沿ってこの順番で配置されている。また、図3および図4に示すように、第1ケース部11、第4ケース部14、第2ケース部12および第3ケース部13は、A方向に沿って延びる円筒状に形成されている。なお、円筒状に形成された第1ケース部11、第4ケース部14、第2ケース部12および第3ケース部13は、互いに略等しい外径を有している。
ここで、本実施形態では、図2〜図4に示すように、第1ケース部11、第4ケース部14、第2ケース部12および第3ケース部13は、六角穴付きねじ41、42および43によってA方向に互いに締結されることにより結合されている。具体的には、図3および図4に示すように、第1ケース部11と第4ケース部14とは、六角穴付きねじ41によって互いに締結されることにより結合されている。また、第4ケース部14と第2ケース部12とは、六角穴付きねじ42によって互いに締結されることにより結合されている。また、第2ケース部12と第3ケース部13とは、六角穴付きねじ43によって互いに締結されることにより結合されている。なお、六角穴付きねじ41〜43は、本発明の「締結部材」の一例である。
また、図2〜図4に示すように、第3ケース部13の第1ケース部11、第2ケース部12および第4ケース部14とは反対側(矢印A1方向側)には、第3ケース部13を密閉するように構成された円板状の第1蓋部15が設けられている。また、第4ケース部14には、第4ケース部14の後述する開口141cおよび141dを覆うように構成された開閉可能な略矩形形状の3個の第2蓋部16が設けられている。図3および図4に示すように、第3ケース部13と第1蓋部15とは、ねじ部材44によって互いに締結されることにより結合されている。また、第4ケース部14と第2蓋部16とは、ねじ部材45によって互いに締結されることにより結合されている。
なお、図3および図4に示すように、第1ケース部11、第4ケース部14、第2ケース部12および第3ケース部13の互いに結合されている部分と、第3ケース部13と第1蓋部15との間の部分と、第4ケース部14と第2蓋部16との間の部分(図3および図4の斜線で示した部分参照)とは、防水機能を有する液状のシール剤が塗布されて乾燥されることによって形成されたシール部材50により封止されている。
次に、図5〜図8を参照して、本発明の一実施形態によるモータ駆動部10のモータ3(図1参照)が収容される第1ケース部11の詳細な構成(構造)について説明する。
図5〜図8に示すように、第1ケース部11は、A方向(モータ3の軸方向)に延びる円筒状の側面部111と、側面部111の矢印A2方向側の端部に設けられる底面部112とを有している。また、図5、図7および図8に示すように、側面部111には、第1ケース部11と第4ケース部14とをねじ止めするための六角穴付きねじ41(図3および図4参照)に螺合するねじ穴111aが設けられている。ねじ穴111aは、側面部111の矢印A1方向の端面から矢印A2方向に延びるように設けられている。また、図7に示すように、ねじ穴111aは、第4ケース部14の後述する側面部141に設けられた複数(本実施形態では、5個)のねじ挿入穴141a(図23参照)に対応するように、モータ3の軸方向から見て、円周方向に沿って間隔を隔てて複数(本実施形態では、5個)設けられている。なお、側面部111には、温度の上昇などに起因して第1ケース部11内の圧力が過度に大きくなった場合に、その過度に大きくなった圧力によって第1ケース部11が損傷されるのを抑制するための呼吸弁(図示せず)が設けられている。
図5〜図8に示すように、第1ケース部に収容されたモータ3は、回転軸31と、ロータコア32と、ステータコア33とを備えている。回転軸31は、モータ3の中央部近傍において底面部112を貫通してA方向に延びるように設けられている。また、ロータコア32は、回転軸31を取り囲むように設けられている。また、ステータコア33は、ロータコア32の外周部に対向するように配置されている。なお、ステータコア33の内周部側には、複数のスロット34が設けられている。複数のスロット34の内部には、高速駆動用の巻線3aおよび低速駆動用の巻線3b(図1参照)が重ね巻きなどにより巻回されて収容されている。
また、図5および図7に示すように、第1ケース部11に収容されたモータ3には、巻線3aおよび3bの端子TU2、TV2、TW2、TU3、TV3、TW3、TU4、TV4およびTW4(図1参照)に対応する9個の接続端子部61を有する9本の接続配線62が接続されている。これら9本の接続配線62は、第1ケース部11の矢印A1方向側の端面から突出してA方向に延びるように設けられている。
ここで、本実施形態では、図8に示すように、第1ケース部11には、モータ3を冷却するための冷却液が流れる第1冷却管113が設けられている。この第1冷却管113の一方端部(冷却液が流入する側の端部)および他方端部(冷却液が流出する側の端部)は、側面部111の矢印A1方向側の端部近傍で、かつ、矢印C2方向側の表面から外側に突出して設けられている。なお、第1冷却管113は、本発明の「第1冷却部」の一例である。
第1冷却管113は、側面部111の内側の空間(モータ3が収容される空間)を周状に取り囲むように、側面部111の内部の全体に渡って設けられている。具体的には、第1冷却管113は、側面部111の内部において矢印A1方向側の端部近傍から矢印A2方向側の端部近傍までA方向に延びる複数の直線状の部分を有するように形成されている。これらA方向に延びる複数の直線状の部分は、矢印A1方向側の端部および矢印A2方向側の端部において交互にU字形状に折り曲げられて互いに接続されている。これにより、第1冷却管113の一方端部から他方端部まで冷却液が流れる一連の流路が構成されている。
次に、図9〜図14および図24を参照して、本発明の一実施形態によるモータ駆動部10のインバータ部1および巻線切替部4(図1参照)が収容される第2ケース部12の詳細な構成(構造)について説明する。
図9〜図14に示すように、第2ケース部12は、A方向(モータ3の軸方向)に延びる円筒状の側面部121と、A方向に直交する面に沿って(B方向およびC方向に沿って)延びる円板状の第1隔壁122とを有している。なお、図10および図14に示すように、第1隔壁122は、側面部121の矢印A2方向側の端部に配置されている。
図9〜図14に示すように、側面部121には、第2ケース部12と第4ケース部14とをねじ止めするための六角穴付きねじ42(図3および図4参照)が挿入されるねじ挿入穴121aが設けられている。ねじ挿入穴121aは、側面部121をA方向に貫通するように設けられている。また、図11に示すように、ねじ挿入穴121aは、モータ3の軸方向から見て、第4ケース部14の後述する側面部141に設けられた複数(本実施形態では、7個)のねじ穴141b(図23参照)に対応するように、円周方向に沿って間隔を隔てて複数(本実施形態では、7個)設けられている。
また、図9、図11および図13に示すように、側面部121には、第2ケース部12と第3ケース部13とをねじ止めするための六角穴付きねじ43(図3および図4参照)と螺合するねじ穴121bが設けられている。ねじ穴121bは、側面部121の矢印A1方向の端面から矢印A2方向に延びるように設けられている。また、図11に示すように、ねじ穴121bは、第3ケース部13の後述する側面部131に設けられた複数(本実施形態では、6個)のねじ挿入穴131a(図17および図18参照)に対応するように、モータ3の軸方向から見て、円周方向に沿って間隔を隔てて複数(本実施形態では、6個)設けられている。
なお、側面部121には、温度の上昇などに起因して第2ケース部12内の圧力が過度に大きくなった場合に、その過度に大きくなった圧力によって第2ケース部12およびその内部に設置される電子部品が損傷されるのを抑制するための呼吸弁(図示せず)が設けられている。
第1隔壁122は、第2ケース部12において、巻線切替部4とインバータ部1とを隔離するために設けられている。具体的には、図9および図11に示すように、第1隔壁122の矢印A1方向側の表面上には、配線基板にスイッチ素子Q1〜Q6(図1参照)を含む電子部品が実装されたインバータモジュール1aが配置され、インバータ部1が構成されている。また、図10および図12に示すように、第1隔壁122の矢印A2方向側の表面上には、配線基板に高速巻線切替スイッチSW1および低速巻線スイッチSW2(図1参照)を含む電子部品が実装された巻線切替モジュール4aと、2個のコンデンサモジュール4bとが配置され、巻線切替部4が構成されている。これにより、インバータ部1は、第2ケース部12の第1隔壁122に対してモータ3とは反対側(矢印A1方向側)の領域に配置されている。また、巻線切替部4は、第2ケース部12の第1隔壁122に対してインバータ部1とは反対側(矢印A2方向側)の領域に配置されている。なお、本実施形態では、インバータモジュール1aのスイッチ素子Q1〜Q6と、第1隔壁122の矢印A1方向側の表面との間の部分に、絶縁性を有する放熱シートを設けてもよい。
図9および図11に示すように、インバータモジュール1aには、インバータ部1の端子TU1、TV1およびTW1(図1参照)に対応する3個の板状の接続端子部63が設けられている。これら3個の接続端子部63は、インバータモジュール1aの矢印C1方向側の端面から突出するように設けられている。また、第1隔壁122の矢印A1方向側の表面上には、インバータ部1の端子TP1およびTN1(図1参照)に対応する一対の接続端子部64がインバータモジュール1aに隣接して配置されている。
図9および図24に示すように、接続端子部64は、軸方向(A方向)に延びる部分を有するとともに、一方端部側と他方端部側とがそれぞれC方向に延びるU字形状に形成されている。図9に示すように、接続端子部64の一方端部側の部分(矢印A2方向側においてC方向に延びる長い部分)は、第1隔壁122の矢印A1方向側の表面上に配置されている。また、図24に示すように、接続端子部64の他方端部側の部分(矢印A1方向側においてC方向に延びる短い部分)は、第3ケース部13に収容された平滑コンデンサ2の後述する板状の接続端子部66とねじ止めされることにより電気的に接続されるように構成されている。
また、図10および図12に示すように、巻線切替モジュール4aには、巻線切替部4の端子TU5、TV5、TW5、TU6、TV6およびTW6(図1参照)に対応する6個の接続端子部65が設けられている。これら6個の接続端子部65は、巻線切替モジュール4aの矢印A2方向側の表面上の矢印B1方向側と矢印B2方向側とにそれぞれ3個ずつ配置されている。
図10に示すように、接続端子部65は、A方向に延びる部分と、B方向に延びる部分とを有するL字形状に形成されている。この接続端子部65のB方向に延びる部分は、巻線切替モジュール4aの矢印A2方向側の表面上に配置されている。なお、図24に示すように、接続端子部65のA方向に延びる部分は、モータ3の端子TU3、TV3、TW3、TU4、TV4およびTW4(図1参照)に対応する接続端子部61とねじ止めされることにより電気的に接続されるように構成されている。
ここで、本実施形態では、図9〜図14に示すように、第2ケース部12には、第1隔壁122の表面上に配置されたインバータモジュール1a(インバータ部1)および巻線切替モジュール4a(巻線切替部4)を冷却するための第2冷却管123が設けられている。この第2冷却管123の一方端部(冷却液が流入する側の端部)および他方端部(冷却液が流出する側の端部)は、側面部121のC方向の中央部近傍で、かつ、矢印B2方向側の表面から外側に突出して設けられている。なお、第2冷却管123は、本発明の「第2冷却部」の一例である。
図11〜図14に示すように、第2冷却管123は、第1隔壁122の内部において矢印B2方向側の端部から矢印B1方向側の端部近傍まで延びるU字形状の部分を有するように形成されている。これにより、第2冷却管123の一方端部から他方端部まで冷却液が流れる一連の流路が構成されている。なお、図2に示すように、第2ケース部の第2冷却管123の一方端部と、第1ケース部11の第1冷却管113の他方端部とは、チューブなどからなる連結部70を介して互いに接続されている。
なお、図11に示すように、第2冷却管123は、モータ3の軸方向から見て、インバータモジュール1aに搭載されたインバータ部1のスイッチ素子Q1〜Q6(図1参照)とオーバラップするように設けられている。また、図12に示すように、第2冷却管123は、モータ3の軸方向から見て、巻線切替モジュール4aに搭載された巻線切替部4の高速巻線切替スイッチSW1および低速巻線切替スイッチSW2とオーバラップするように設けられている。ここで、図11では、スイッチ素子Q1〜Q6を一点鎖線の矩形で示している。また、図12では、高速巻線切替スイッチSW1および低速巻線切替スイッチSW2を二点鎖線の矩形で示している。
図11および図12に示すように、第1隔壁122には、インバータモジュール1aのインバータ部1および巻線切替モジュール4aの巻線切替部4に接続される配線を通過させるための第1穴部122aが3個設けられている。たとえば、第1隔壁122の矢印C1方向側の端部近傍に設けられた1個の第1穴部122aは、第1ケース部11と第4ケース部14と第2ケース部12とが結合された際にインバータ部1の接続端子部63に接続される後述する接続端子部69(図24参照)を通過させるために設けられている。また、第1隔壁122の矢印B1方向側の端部近傍に設けられた2個の第1穴部122aは、制御部5からの制御信号をインバータ部1および巻線切替部4に伝送するための配線(図示せず)などを通過させるために設けられている。
なお、図10、図12および図14に示すように、第1隔壁122の矢印A2方向側の表面には、2つの凹部122bが設けられている。これら2つの凹部122bには、巻線切替部4の高速巻線切替スイッチSW1および低速巻線切替スイッチSW2に接続されるコンデンサC1およびC2(図1参照)に対応する2つのコンデンサモジュール4bが配置される。
次に、図15〜図20および図24を参照して、本発明の一実施形態によるモータ駆動部10の平滑コンデンサ2、制御部5および電源部6(図1参照)が収容される第3ケース部13の詳細な構成(構造)について説明する。
図15〜図20に示すように、第3ケース部13は、A方向(モータ3の軸方向)に延びる円筒状の側面部131と、A方向と直交する面に沿って(B方向およびC方向に)延びる円板状の第2隔壁132とを有している。なお、図19および図20に示すように、第2隔壁132は、側面部131の内側においてB方向およびC方向に面状に延びている。
図15〜図20に示すように、側面部131には、第3ケース部13と第2ケース部12とをねじ止めするための六角穴付きねじ43(図3および図4参照)が挿入されるねじ挿入穴131aが設けられている。ねじ挿入穴131aは、側面部131をA方向に貫通するように設けられている。また、図17および図18に示すように、ねじ挿入穴131aは、第2ケース部12の側面部121に設けられた複数(本実施形態では、6個)のねじ穴121b(図11参照)に対応するように、モータ3の軸方向から見て、円周方向に沿って間隔を隔てて複数(本実施形態では、6個)設けられている。
また、図15、図17および図19に示すように、側面部131には、第3ケース部13と第1蓋部15とをねじ止めするためのねじ部材44(図3および図4参照)に螺合するねじ穴131bが設けられている。このねじ穴131bは、側面部131の矢印A1方向の端面から矢印A2方向に延びるように設けられている。また、図17に示すように、ねじ穴131bは、第1蓋部15に設けられた複数(本実施形態では、8個)のねじ挿入穴15a(図3および図4参照)に対応するように、モータ3の軸方向から見て、円周方向に沿って間隔を隔てて複数(本実施形態では、8個)設けられている。
また、図15、図17および図19に示すように、側面部131には、第3ケース部13内に配置される後述する制御基板5aと、モータ駆動部10の外部に設けられる車両100全体の制御部(図示せず)とを接続する接続配線60を通過させるための貫通穴131cが設けられている。なお、第3ケース部13の側面部131のうちの接続配線60が貫通する部分は、シール剤によって封止されている。
なお、側面部131には、温度の上昇などに起因して第3ケース部13内の圧力が過度に大きくなった場合に、その過度に大きくなった圧力によって第3ケース部13およびその内部に設置される電子部品が損傷されるのを抑制するための呼吸弁(図示せず)が設けられている。
第2隔壁132は、第3ケース部13内において、平滑コンデンサ2および制御部5と、電源部6とを隔離するために設けられている。具体的には、図15および図17に示すように、第2隔壁132の矢印A1方向側の表面上には、フィルムコンデンサまたは電解コンデンサが内蔵された平滑コンデンサ2と、制御部5が搭載された制御基板5aとがB方向に隣接して配置されている。また、図16および図18に示すように、第2隔壁132の矢印A2方向側の表面上には、電源部6が搭載された電源基板6aが配置されている。これにより、平滑コンデンサ2および制御部5は、第3ケース部13の第2隔壁132に対してモータ3、巻線切替部4およびインバータ部1とは反対側(矢印A1方向側)の領域に配置されている。また、電源部6は、第3ケース部13の第2隔壁132に対して平滑コンデンサ2および制御部5とは反対側(矢印A2方向側)の領域に配置されている。
図15および図17に示すように、平滑コンデンサ2には、端子TP2およびTN2(図1参照)に対応する2個の板状の接続端子部66が設けられている。これら2個の接続端子部66は、直方体形状を有する平滑コンデンサ2の矢印B2方向側の面から突出するように設けられている。なお、接続端子部66は、図24に示すように、インバータ部1の端子TP1およびTN1(図1参照)に対応する一対の接続端子部64の他方端部側の部分(矢印A2方向側においてB方向に延びる短手部分)とねじ止めされることにより電気的に接続されるように構成されている。また、図15および図17に示すように、接続端子部66には、バッテリ部20(図1参照)に接続される接続配線67がねじ止めされている。これら2本の接続配線67は、第3ケース部13の側面部131のC方向の中央部近傍で、かつ、矢印B2方向側の部分を貫通してB方向に延びるように設けられている。なお、第3ケース部13の側面部131のうちの接続配線67が貫通する部分は、シール剤によって封止されている。
本実施形態では、図15〜図20に示すように、第3ケース部13の第2隔壁132には、制御基板5aに搭載された制御部5および電源基板6aに搭載された電源部6に接続される配線を通過させるための第2穴部132aが3個設けられている。たとえば、第2隔壁132の矢印B2方向側の端部近傍に設けられた1個の第2穴部132aは、図24に示すように、第2ケース部12と第3ケース部13とが結合された際において、インバータ部1の端子TP1およびTN1(図1参照)に対応する一対の接続端子部64を通過させるために設けられている。また、第2隔壁132のC方向の両側の端部近傍に設けられた2個の第2穴部132aは、制御部5からの制御信号を伝送するための配線(図示せず)などを通過させるために設けられている。
次に、図21〜図24を参照して、本発明の一実施形態によるモータ駆動部10の第4ケース部14の詳細な構成(構造)について説明する。
図21〜図24に示すように、第4ケース部14は、A方向(モータ3の軸方向)に延びる円筒状の側面部141と、側面部141の矢印A2方向側の端部に設けられる底面部142とを有している。なお、図21〜図23に示すように、底面部142の中央部には、第1ケース部11に収容されたモータ3の回転軸31の矢印A1方向側の端部(図5参照)に接続される軸受142aが設けられている。
図21〜図23に示すように、側面部141には、第4ケース部14と第1ケース部11とをねじ止めするための六角穴付きねじ41(図3および図4参照)が挿入されるねじ挿入穴141aが設けられている。ねじ挿入穴141aは、側面部141をA方向に貫通するように設けられている。また、図23に示すように、ねじ挿入穴141aは、第1ケース部11の側面部111に設けられた複数(本実施形態では、5個)のねじ穴111a(図7参照)に対応するように、モータ3の軸方向から見て、円周方向に沿って間隔を隔てて複数(本実施形態では、5個)設けられている。
また、図21および図23に示すように、側面部141には、第4ケース部14と第2ケース部12とをねじ止めするための六角穴付きねじ42(図3および図4参照)に螺合するねじ穴141bが設けられている。このねじ穴141bは、側面部141の矢印A1方向の端面から矢印A2方向に延びるように設けられている。また、図23に示すように、ねじ穴141bは、第2ケース部12の側面部121に設けられた複数(本実施形態では、7個)のねじ挿入穴121a(図11参照)に対応するように、モータ3の軸方向から見て、円周方向に沿って間隔を隔てて複数(本実施形態では、7個)設けられている。
なお、側面部141には、温度の上昇などに起因して第4ケース部14内の圧力が過度に大きくなった場合に、その過度に大きくなった圧力によって第4ケース部14が損傷されるのを抑制するための呼吸弁(図示せず)が設けられている。
ここで、本実施形態では、図21、図23および図24に示すように、第4ケース部14の内部には、A方向に延びる部分と、C方向に延びる部分とを有するL字形状の接続端子部68が設けられている。なお、図21および図23に示すように、接続端子部68のC方向に延びる部分は、第4ケース部14の底面部142の矢印A1方向側の表面上に樹脂からなる絶縁部材(図示せず)を介して取り付けられている。
図24に示すように、接続端子部68のA方向に延びる部分は、第1ケース部11と第4ケース部14とが結合された際において、モータ3の端子TU2、TV2およびTW2(図1参照)に対応する3個の接続端子部61とねじ止めされることにより電気的に接続されるように構成されている。また、接続端子部68のA方向に延びる部分は、第1ケース部11と第4ケース部14と第2ケース部12とが結合された際において、L字形状の接続端子部69とねじ止めされることによって、接続端子部69を介して、第2ケース部12のインバータ部1の端子TU1、TV1およびTW1(図1参照)に対応する接続端子部63に電気的に接続されるように構成されている。これにより、本実施形態では、第1ケース部11と第4ケース部14と第2ケース部12とが結合された際において、第4ケース部14の内部には、モータ3とインバータ部1との電気的な接続をとるための接続端子部61、68および69が収容されている。
また、本実施形態では、図24に示すように、第1ケース部11と第4ケース部14と第2ケース部12とが結合された際において、第4ケース部14の内部には、モータ3の端子TU3、TV3、TW3、TU4、TV4およびTW4(図1参照)に対応する6個の接続端子部61と、巻線切替部4のTU5、TV5、TW5、TU6、TV6およびTW6(図1参照)に対応する6個の接続端子部65とが互いにねじ止めされた状態で収容されている。すなわち、本実施形態では、第1ケース部11と第4ケース部14と第2ケース部12とが結合された際において、第4ケース部14の内部には、モータ3と巻線切替部4との電気的な接続をとるための接続端子部61および65が収容されている。
また、本実施形態では、図21および図22に示すように、第4ケース部14の側面部141には、矩形形状を有する開口141cおよび141dが設けられている。開口141cは、側面部141のB方向の中央部近傍で、かつ、矢印C1方向側の部分に1個設けられている。また、開口141dは、側面部141のC方向の中央部近傍で、かつ、矢印B1方向側および矢印B2方向側の部分にそれぞれ1個ずつ設けられている。ここで、第4ケース部14の側面部141には、開口141cおよび141dを覆うように、板状の第2蓋部16が3個取り付けられる。この第2蓋部16は、ねじ部材45によって側面部141にねじ止めされるように構成されている。
図24に示すように、開口141cは、第4ケース部14と第2ケース部12とが結合された際に第4ケース部14に収容される接続端子部68および69に対応する部分に設けられている。これにより、第4ケース部14と第2ケース部12とを結合した際に、第2ケース部12のインバータ部1の端子TU1、TV1およびTW1(図1参照)に対応する接続端子部63に接続される接続端子部69と、第4ケース部14の内部の接続端子部68とのねじ止め作業を、開口141cを介して第4ケース部14の外部から行うことが可能である。
また、図24に示すように、開口141dは、第1ケース部11と第4ケース部14と第2ケース部12とが結合された際に第4ケース部14に収容される接続端子部61および65に対応する部分に設けられている。これにより、第1ケース部11と第4ケース部14と第2ケース部12とを結合した際に、モータ3の端子TU3、TV3、TW3、TU4、TV4およびTW4(図1参照)に対応する6個の接続端子部61と、巻線切替部4のTU5、TV5、TW5、TU6、TV6およびTW6(図1参照)に対応する6個の接続端子部65とのねじ止め作業を、開口141dを介して第4ケース部14の外部から行うことが可能である。
なお、本実施形態では、図23および図24に示すように、底面部142には、第4ケース部14と第1ケース部11とを結合した際に、モータ3の端子TU2、TV2およびTW2(図1参照)に対応する3個の接続端子部61と、モータ3の端子TU3、TV3、TW3、TU4、TV4およびTW4(図1参照)に対応する6個の接続端子部61とを通過させるための3個の第3穴部142bが設けられている。
次に、図2〜図4および図24を参照して、本発明の一実施形態によるモータ駆動部10の組み立て手順について説明する。
まず、図3および図4に示すように、内部にモータ3を収容した第1ケース部11と、第4ケース部14とを、六角穴付きねじ41を用いてA方向に締結することにより結合する。具体的には、まず、第4ケース部14のねじ挿入穴141aと、第1ケース部11のねじ穴111aとの位置を合わせる。そして、ねじ挿入穴141aに六角穴付きねじ41を挿入して、ねじ穴111aに六角穴付きねじ41を螺合する。なお、このとき、第1ケース部11と第4ケース部14との間の境界部分(図3および図4の斜線部参照)に、液状のシール剤を塗布して乾燥させることによってシール部材50を形成する。また、このとき、第4ケース部14の底面部142の軸受142aに、モータ3の回転軸31の矢印A1方向側の端部を接続する。
また、このとき、図24に示すように、モータ3の端子TU2、TV2およびTW2(図1参照)に対応する3個の接続端子部61を、第4ケース部14の第3穴部142bを介して第4ケース部14の内部に導入する。そして、このように導入した接続端子部61と、第4ケース部14の内部に絶縁部材(図示せず)を介して取り付けられた接続端子部68とをねじ止めすることにより接続する。また、このとき、モータ3の端子TU3、TV3、TW3、TU4、TV4およびTW4(図1参照)に対応する6個の接続端子部61も、第3穴部142cを介して第4ケース部14の内部に導入する。
次に、図3および図4に示すように、上記第1ケース部11と結合した状態の第4ケース部14と、インバータモジュール1aおよび巻線切替モジュール4aを取り付けた第2ケース部12とを、六角穴付きねじ42を用いてA方向に締結することにより結合する。具体的には、まず、第2ケース部12のねじ挿入穴121aと、第4ケース部14のねじ穴141bとの位置を合わせる。そして、ねじ挿入穴121aに六角穴付きねじ42を挿入して、ねじ穴141bに六角穴付きねじ42を螺合する。なお、このとき、第2ケース部12と第4ケース部14との間の境界部分(図3および図4の斜線部参照)に、液状のシール剤を塗布して乾燥させることによってシール部材50を形成する。また、このとき、図24に示すように、インバータモジュール1aのインバータ部1の端子TU1、TV1およびTW1(図1参照)に対応する接続端子部63と、L字形状の接続端子部69とをねじ止めすることにより接続する。
そして、図24に示すように、上記インバータ部1の端子TU1、TV1およびTW1(図1参照)に対応する接続端子部63に接続された接続端子部69と、第4ケース部14の内部に設けられた接続端子部68とを、開口141cを介してねじ止めすることにより接続する。これにより、インバータ部1の端子TU1、TV1およびTW1(図1参照)と、モータ3の端子TU2、TV2およびTW2(図1参照)とを電気的に接続する。また、巻線切替モジュール4aの巻線切替部4の端子TU5、TV5、TW5、TU6、TV6およびTW6(図1参照)に対応する接続端子部65と、モータ3の端子TU3、TV3、TW3、TU4、TV4およびTW4(図1参照)に対応する6個の接続端子部61とを、開口141dを介してねじ止めすることにより接続する。そして、開口141cと141dとを覆うように、ねじ部材45を用いて第4ケース部14に第2蓋部16を取り付ける。なお、このとき、第4ケース部14と第2蓋部16との間の部分(図3および図4の斜線部参照)に、液状のシール剤を塗布して乾燥させることによってシール部材50を形成する。
次に、図3および図4に示すように、上記第1ケース部11および第4ケース部14と結合した状態の第2ケース部12と、平滑コンデンサ2、制御基板5aおよび電源基板6aを取り付けた第3ケース部13とを、六角穴付きねじ43を用いてA方向に締結することにより結合する。具体的には、まず、第3ケース部13のねじ挿入穴131aと、第2ケース部12のねじ穴121bとの位置を合わせる。そして、ねじ挿入穴131aに六角穴付きねじ43を挿入して、ねじ穴121bに六角穴付きねじ43を螺合する。なお、このとき、第2ケース部12と第3ケース部13との間の境界部分(図3および図4の斜線部参照)に、液状のシール剤を塗布して乾燥させることによってシール部材50を形成する。そして、図24に示すように、第2ケース部12の内部の接続端子部64と、第3ケース部13の内部の平滑コンデンサ2の接続端子部66とをねじ止めすることにより接続する。また、このとき、第2ケース部12内のインバータモジュール1aおよび巻線切替モジュール4aと、第3ケース部13内の制御基板5aおよび電源基板6aとを、第1隔壁122の第1穴部122aおよび第2隔壁132の第2穴部132aを通過させた接続配線(図示せず)を介して接続する。また、制御基板5aと、モータ駆動部10の外部に設けられる車両100全体の制御部(図示せず)とを、第3ケース部13の側面部131の貫通孔131cを通過させた接続配線60を介して接続する。
最後に、図3および図4に示すように、第1ケース部11、第4ケース部14および第2ケース部12と結合した第3ケース部13の矢印A1方向側を密閉するように、第3ケース部13に第1蓋部15を取り付ける。具体的には、まず、第1蓋部15のねじ挿入穴15aと、第3ケース部13のねじ穴131bとの位置を合わせる。そして、ねじ挿入穴15aにねじ部材44を挿入して、ねじ穴131bにねじ部材44を螺合する。なお、このとき、第3ケース部13と第1蓋部15との間の部分(図3および図4の斜線部参照)に、液状のシール剤を塗布して乾燥させることによってシール部材50を形成する。
以上のようにして、本発明の一実施形態によるモータ駆動部10(図2参照)の組み立てが行われる。
本実施形態では、上記のように、インバータ部1、モータ3および巻線切替部4を収容する第1ケース部11、第2ケース部12、第3ケース部13および第4ケース部14を設け、第1ケース部11、第4ケース部14、第3ケース部13および第2ケース部12を互いに結合する。これにより、インバータ部1、モータ3および巻線切替部4を収容した第1ケース部11、第2ケース部12、第3ケース部13および第4ケース部14を互いに結合して一体化することができるので、インバータ部1、モータ3および巻線切替部4が収容される各ケース部間にデッドスペースが生じるのを抑制することができる。その結果、モータ駆動部10の省スペース化を図ることが可能な車両100を提供することができる。特に、限られた配置スペース内に多数の部材を配置する必要のある車両100においてこの効果は有効である。
また、本実施形態では、上記のように、モータ3を、インバータ部1および巻線切替部4とは別の単一の第1ケース部11に収容する。これにより、インバータ部1および巻線切替部4を、発熱体であるモータ3から離間させて熱による影響を受けにくくすることができるので、インバータ部1および巻線切替部4を良好に動作させることができる。また、インバータ部1とモータ3と巻線切替部4とを全て同じ単一のケース部に収容する場合と比較すると、分解や組み立てが容易になるので、メンテナンス作業を迅速(またはメンテナンス作業時間が短縮)に行うことができる。
また、本実施形態では、上記のように、モータ3を第1ケース部11に収容するともに、インバータ部1および巻線切替部4を第2ケース部12に収容する。これにより、インバータ部1と巻線切替部4とをそれぞれ異なる2つのケース部に収容する場合と異なり、インバータ部1とモータ2と巻線切替部4とを含めた簡素な装置外形を形成することができる。
また、本実施形態では、上記のように、インバータ部1と巻線切替部4とを隔離する第1隔壁122を第2ケース部12に設ける。そして、第2ケース部12の第1隔壁122に対してモータ3とは反対側(矢印A1方向側)の領域にインバータ部1を配置し、第2ケース部12の第1隔壁122に対してインバータ部1とは反対側(矢印A2方向側)の領域に巻線切替部4を配置する。これにより、第1隔壁122の両側(矢印A1方向側および矢印A2方向側)のスペース(領域)を利用して、インバータ部1と巻線切替部4とを互いに分離した状態で第2ケース部12の内部に容易に配置することができる。
また、第2ケース部12の第1隔壁122に対してモータ3とは反対側(矢印A1方向側)の領域にインバータ部1を配置し、第2ケース部12の第1隔壁122に対してインバータ部1とは反対側(矢印A2方向側)の領域に巻線切替部4を配置することにより、モータ3に接続される端子の数(端子TU1、TV1およびTW1(図1参照)の3個)が巻線切替部4よりも少ないインバータ部1をモータ3からより遠い位置に配置することができるとともに、モータ3に接続される端子(端子TU5、TV5、TW5、TU6、TV6およびTW6(図1参照)の6個)の数がインバータ部1よりも多い巻線切替部4をモータ3により近い位置に配置することができる。これにより、モータ3とインバータ部1および巻線切替部4との端子間の配線の全体の長さを小さくすることができるので、その分、配線インダクタンスを低減することができる。
また、本実施形態では、上記のように、インバータ部1および巻線切替部4に接続される配線(たとえば、インバータ部1の接続端子部63にねじ止めされることにより接続される接続端子部69(図24参照)や、制御部5からの制御信号をインバータ部1および巻線切替部4に伝送するための配線(図示せず)など)を通過させる第1穴部122aを第1隔壁122に設ける。これにより、インバータ部1および巻線切替部4に接続される配線を第1穴部122aを通過させて第2ケース部12の内部に収容することができるので、インバータ部1および巻線切替部4に接続される配線を配置するためのスペースを第2ケース部12の外部に確保する必要がない。その結果、モータ駆動部10の更なる省スペース化を図ることができる。
また、本実施形態では、上記のように、第1ケース部11および第2ケース部12に、それぞれ、モータ3を冷却するための第1冷却管113、および、インバータ部1および巻線切替部4を冷却するための第2冷却管123を設ける。これにより、第1冷却管113によってモータ3を容易に冷却することができるとともに、第2冷却管123によってインバータ部1および巻線切替部4を容易に冷却することができる。
また、本実施形態では、上記のように、インバータ部1のスイッチ素子Q1〜Q6と、巻線切替部4の高速巻線切替スイッチSW1および低速巻線切替スイッチSW2とオーバラップするように第2冷却管123を設ける。これにより、発熱体であるスイッチ素子Q1〜Q6と、高速巻線切替スイッチSW1および低速巻線切替スイッチSW2とを第2冷却管123によって効果的に冷却することができる。
また、本実施形態では、上記のように、モータ3、インバータ部1および巻線切替部4に加えて、制御部5も、互いに結合した第1ケース部11、第4ケース部14、第2ケース部12および第3ケース部13内に収容する。これにより、制御部5を収容するための専用のケース部を別途設ける場合と異なり、インバータ部1、モータ3、巻線切替部4および制御部5が収容される各ケース部間にデッドスペースが生じるのをより抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、モータ3、インバータ部1、巻線切替部4および制御部5に加えて、電源部6も、互いに結合した第1ケース部11、第4ケース部14、第2ケース部12および第3ケース部13内に収容する。これにより、電源部6を収容するための専用のケース部を別途設ける場合と異なり、インバータ部1、モータ3、巻線切替部4、制御部5および電源部6が収容される各ケース部間にデッドスペースが生じるのをさらに抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、制御部5および電源部6を第3ケース部13に収容する。これにより、制御部5と電源部6とをそれぞれ異なる2つのケース部に収容する場合と異なり、装置構成を簡素化することができる。
また、本実施形態では、上記のように、制御部5と電源部6とを隔離する第2隔壁132を第3ケース部13に設ける。そして、第3ケース部13の第2隔壁132に対してモータ3、インバータ部1および巻線切替部4とは反対側(矢印A1方向側)の領域に制御部5を配置し、第3ケース部13の第2隔壁132に対して制御部5とは反対側(矢印A2方向側)の領域に電源部6を配置する。これにより、第2隔壁132の両側(矢印A1方向側および矢印A2方向側)のスペース(領域)を利用して、制御部5と電源部6とを第3ケース部13の内部に容易に配置することができる。また、第2隔壁132により、制御部5を、発熱体であるモータ3、インバータ部1および巻線切替部4から離間させて熱による影響を受けにくくすることができるので、制御部5を良好に動作させることができる。
また、本実施形態では、上記のように、制御部5および電源部6に接続される配線(たとえば、インバータ部1の端子TP1およびTN1(図1参照)に対応する一対の接続端子部64(図9、図11および図24参照)や、制御部5からの制御信号を伝送するための配線(図示せず)など)を通過させる第2穴部132aを第2隔壁132に設ける。これにより、制御部5および電源部6に接続される配線を、第2穴部132aを通過させて第3ケース部13の内部に収容することができるので、制御部5および電源部6に接続される配線を配置するためのスペースを第3ケース部13の外部に確保する必要がない。その結果、モータ駆動部10の更なる省スペース化を図ることができる。
また、本実施形態では、上記のように、第3ケース部13の第2隔壁132に対して制御部5と同じ側(矢印A1方向側)の領域に平滑コンデンサ2を配置する。これにより、第2隔壁132により、平滑コンデンサ2を、発熱体であるモータ3、インバータ部1および巻線切替部4から離間させて熱による影響を受けにくくすることができるので、平滑コンデンサ2の熱による性能の低下を抑制して信頼性(寿命)をより向上させることができる。
また、本実施形態では、上記のように、モータ3を収容した第1ケース部11と、インバータ部1および巻線切替部4を収容した第2ケース部12と、制御部5および電源部6を収容した第3ケース部13とを、互いにモータ3の回転軸31の延びる方向(A方向)に沿って結合する。これにより、第1ケース部11と第2ケース部12と第3ケース部13とを互いに結合してモータ3の回転軸31の延びる方向(A方向)に沿って延びる直線状に構成することができるので、装置構成を簡素化することができる。また、第1ケース部11と第2ケース部12と第3ケース部13とを互いに結合して直線状に構成しない場合と異なり、デッドスペースが生じるのをより抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、第1ケース部11、第2ケース部12および第3ケース部13を、それぞれ、モータ3の回転軸31の延びる方向(A方向)に沿って延びる円筒状に形成する。これにより、円筒状の第1ケース部11と第2ケース部12と第3ケース部13とをモータ3の回転軸31の延びる方向(A方向)に沿って容易に結合することができる。
また、本実施形態では、上記のように、第3ケース部13の第1ケース部11および第2ケース部12とは反対側(矢印A1方向側)に、第1ケース部11を密閉する第1蓋部15を設ける。これにより、第1蓋部15によって、第3ケース部13の第1ケース部11および第2ケース部12とは反対側(矢印A1方向側)から異物が侵入するのを抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、モータ3とインバータ部1および巻線切替部4との電気的な接続をとるための接続端子部61、65、68および69を収容する第4ケース部14を設け、第4ケース部14を第1ケース部11と第2ケース部12との間に配置した状態で、第1ケース部11、第4ケース部14、第2ケース部12および第3ケース部13を互いにモータ3の回転軸31の延びる方向(A方向)に沿って結合する。これにより、モータ3とインバータ部1および巻線切替部4との電気的な接続をとるための接続端子部61、65、68および69を第4ケース部14の内部に収容することができるので、接続端子部61、65、68および69を配置するためのスペースを第4ケース部14の外部に確保する必要がない。その結果、モータ駆動部10の更なる省スペース化を図ることができる。
また、第4ケース部14を第1ケース部11と第2ケース部12との間に配置することにより、第2ケース部12に収容されたインバータ部1および巻線切替部4と、第3ケース部13に収容された制御部5および電源部6とを、第1ケース部11に収容された発熱体であるモータ3から離間させて熱による影響を受けにくくすることができるので、インバータ部1、巻線切替部4、制御部5および電源部6を良好に動作させることができる。
また、本実施形態では、上記のように、第4ケース部14の側面部141のうちの接続端子部61、68および69に対応する部分、および、接続端子部61および65に対応する部分のそれぞれに開口141cおよび141dを設け、開口141cおよび141dを覆う開閉可能な第2蓋部16を設ける。これにより、接続端子部61、65、68および69の接続作業およびメンテナンス作業を、開口141cおよび141dを介して容易に行うことができる。また、開口141cおよび141dを第2蓋部16により覆うことによって、開口141cおよび141dを介して異物が侵入するのを抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、第1ケース部11、第4ケース部14、第2ケース部12および第3ケース部13の互いに結合されている部分と、第3ケース部13と第1蓋部15との間の部分と、第4ケース部14と第2蓋部16との間の部分(図3および図4の斜線で示した部分参照)とをシール部材50により封止する。これにより、シール部材50によって、第1ケース部11、第4ケース部14、第2ケース部12および第3ケース部13の互いに結合されている部分、第3ケース部13と第1蓋部15との間の部分、および、第4ケース部14と第2蓋部16との間の部分から異物が侵入するのを抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、インバータ部1のスイッチ素子Q1〜Q6と、巻線切替部4の高速巻線スイッチSW1および低速巻線スイッチSW2とを、SiCからなる半導体により構成する。これにより、スイッチ素子Q1〜Q6と、高速巻線スイッチSW1および低速巻線スイッチSW2とが耐熱性に優れたSiCからなる半導体により構成されるので、スイッチ素子Q1〜Q6、高速巻線スイッチSW1および低速巻線スイッチSW2自身の動作による発熱、および、モータ3の巻線3aおよび3bから接続配線62などを介して伝達される熱に対して、インバータ部1のスイッチ素子Q1〜Q6と、巻線切替部4の高速巻線スイッチSW1および低速巻線スイッチSW2とを良好に動作させることができる。
また、本実施形態では、上記のように、第1ケース部11、第4ケース部14、第2ケース部12および第3ケース部13を、六角穴付きねじ41〜43によって互いに締結することにより結合する。これにより、六角穴付きねじ41〜43によって、第1ケース部11と第4ケース部14と第2ケース部12と第3ケース部13とを容易に結合することができる。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、本発明のモータ駆動装置を、車両に搭載されたモータ駆動部に適用する例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明のモータ駆動装置は、車両に搭載されたモータ駆動部以外の一般的なモータ駆動装置にも適用可能である。
また、上記実施形態では、モータ、巻線切替部およびインバータ部(電力変換部)に加えて、制御部および電源部も、互いに結合された第1ケース部、第2ケース部、第3ケース部および第4ケース部(4個(複数)のケース部)に収容される例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、モータ、巻線切替部、電力変換部、制御部および電源部のうちの少なくともモータ、巻線切替部および電力変換部が、互いに結合された複数のケース部に収容されていればよい。なお、この場合、少なくともモータ、巻線切替部および電力変換部が、互いに結合された2個または3個のケース部に収容されていてもよいし、互いに結合された5個以上のケース部に収容されていてもよい。
また、上記実施形態では、モータと巻線切替部およびインバータ部(電力変換部)との電気的な接続をとるための接続端子部を収容する第4ケース部を設ける例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、第4ケース部を設けずに、第1ケース部、第2ケース部および第3ケース部のみを互いに結合するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、巻線切替部およびインバータ部(電力変換部)とは別の単一のケース部にモータを収容する例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、たとえば、モータと巻線切替部とを同じケース部に収容して、電力変換部をモータおよび巻線切替部とは別のケース部に収容してもよい。また、モータと電力変換部とを同じケース部に収容して、巻線切替部をモータおよび電力変換部とは別のケース部に収容してもよい。
また、上記実施形態では、第2ケース部に巻線切替部とインバータ部(電力変換部)とを収容する例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、第2ケース部に巻線切替部および電力変換部の一方を収容して、第2ケース部以外のケース部に巻線切替部および電力変換部の他方を収容してもよい。
また、上記実施形態では、本発明の第1冷却部および第2冷却部として、それぞれ、冷却液が流れる第1冷却管および第2冷却管を用いる例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、第1冷却部および第2冷却部として、液冷以外の冷却手段(たとえば、空冷や、冷却素子など)を用いてもよい。
また、上記実施形態では、巻線切替部およびインバータ部(電力変換部)を冷却するための第2冷却管(第2冷却部)の一方端部と、モータを冷却するための第1冷却管(第1冷却部)の他方端部とを接続する例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、第1冷却部と第2冷却部とを接続せずに、第1冷却部と第2冷却部とによってモータと巻線切替部および電力変換部とをそれぞれ別個に冷却してもよい。
また、上記実施形態では、第1ケース部、第2ケース部、第3ケース部および第4ケース部を、モータの回転軸の延びる方向に沿って結合する例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、第1ケース部、第2ケース部、第3ケース部および第4ケース部を、たとえばモータの回転軸の延びる方向と直交する方向に沿って結合してもよい。
また、上記実施形態では、第1ケース部、第4ケース部、第2ケース部および第3ケース部を、それぞれ、モータの回転軸の延びる方向に沿って延びる円筒状に形成する例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、第1ケース部、第4ケース部、第2ケース部および第3ケース部を、それぞれ、円筒状以外の形状(たとえば、箱形状)に形成してもよい。
また、上記実施形態では、第1ケース部、第4ケース部、第2ケース部および第3ケース部の互いに結合されている部分と、第3ケース部と第1蓋部との間の部分と、第4ケース部と第2蓋部との間の部分とを封止するシール部材として、液状のシール剤を乾燥させて形成したシール部材を用いる例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、シール部材として、O−リング、ガスケットおよびグリースなどを用いてもよい。
また、本発明では、第1ケース部、第4ケース部、第2ケース部および第3ケース部の互いに結合されている部分に、断熱部材を設けてもよい。このようにすれば、第1ケース部、第4ケース部、第2ケース部および第3ケース部を互いに熱的に分離することができるので、第1ケース部、第4ケース部、第2ケース部および第3ケース部を個別に冷却する場合における冷却効果をより高めることができる。
また、上記実施形態では、インバータ部(電力変換部)のスイッチ素子と、巻線切替部の高速巻線切替スイッチおよび低速巻線切替スイッチ(スイッチ素子)とを、SiCからなる半導体により構成する例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、電力変換部および巻線切替部のスイッチ素子をSiCからなる半導体以外の半導体(たとえば、Siからなる半導体)により構成してもよいし、半導体以外のスイッチ素子により構成してもよい。
また、上記実施形態では、第1ケース部、第2ケース部、第3ケース部および第4ケース部を、六角穴付きねじ(締結部材)によって互いに締結することにより結合する例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、第1ケース部、第2ケース部、第3ケース部および第4ケース部を、六角穴付きねじ以外の締結部材(たとえば、カシメ部材など)を用いて互いに締結することにより結合してもよい。また、本発明では、第1ケース部、第2ケース部、第3ケース部および第4ケース部を締結部材を用いずに結合してもよい。たとえば、第1ケース部、第2ケース部、第3ケース部および第4ケース部を互いに溶接することにより結合してもよいし、接着剤によって接着することにより結合してもよい。