以下において、図面を参照しながら、本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において、先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において、構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を参照し適用することができる。
なお、以下においては、互いに直交する3方向をX方向、Y方向、Z方向と示す。また、X方向とY方向とによって規定される平面をXY平面、X方向とZ方向とによって規定される平面をXZ平面、Y方向とZ方向とによって規定される平面をYZ平面と示す。
(第1実施形態)
図1~図4を用いて、本実施形態の電力変換装置に関して説明する。本実施形態では、一例として、バッテリ200の電力を電力変換して二つのモータ310、320を駆動する電力変換装置100を採用する。
電力変換装置100は、図2、図3、図4に示すように、平滑コンデンサ4、放電抵抗5、フィルタコンデンサ6、リアクトル部20、パワーモジュール30、回路基板40などを含む回路部を備えている。また、電力変換装置100は、ばね部50などを含んでいてもよい。さらに、電力変換装置100は、回路部、ばね部50など収容する筐体を備えている。なお、回路部は、上記構成要素以外の回路部品を備えていてもよい。
本実施形態では、上記筐体の一例として、メインケース60と第1カバー70と第2カバー80とを含むものを採用している。メインケース60と第1カバー70と第2カバー80は、互いに組み付けられることで、回路部やばね部50を収容する収容空間を形成する。メインケース60と第1カバー70と第2カバー80は、Y方向に積層されて配置されている。よって、Y方向は、積層方向と言い換えることができる。なお、筐体は、上記構成とは異なる構成をなしていてもよい。
まずは、図4を用いて、電力変換装置100の回路構成に関して説明する。電力変換装置100は、第1コンバータ1a、第2コンバータ1b、第1インバータ2a、第2インバータ2b、スイッチング素子3、平滑コンデンサ4、放電抵抗5、フィルタコンデンサ6などを備えている。なお、放電抵抗5及びフィルタコンデンサ6は、回路素子に相当する。
電力変換装置100は、バッテリ200の正端子に電気的に接続するためのP端子t1と、バッテリ200の負端子に電気的に接続するためのN端子t2とを備えている。また、電力変換装置100は、第1モータ310の三つの端子と電気的に接続するための第1U相端子t11、第1V相端子t12、第1W相端子t13を備えている。さらに、電力変換装置100は、第2モータ320の三つの端子と電気的に接続するための第2U相端子t21、第2V相端子t22、第2W相端子t23を備えている。
第1コンバータ1aは、第1リアクトル21aと、2つのスイッチング素子3が直列に接続された半導体装置32とを備えている。第2コンバータ1bは、第1コンバータ1aと同様、第2リアクトル21bと半導体装置32とを備えている。
本実施形態では、スイッチング素子3として、IGBTとダイオードを備えたRC-IGBTを採用している。このダイオードは、IGBTと逆並列に挿入されるフリーホイールダイオードと同様な働きをする。しかしながら、本開示は、これに限定されず、スイッチング素子3として、MOSFETや、RC-IGBTとは異なるIGBTなどを採用することができる。なお、スイッチング素子3としてIGBTを採用した場合、半導体装置32は、IGBTと逆並列に接続されるフリーホイールダイオードを含んでいてもよい。
第1コンバータ1aは、高電位側のスイッチング素子3と、低電位側のスイッチング素子3とを含んでいる。この高電位側のスイッチング素子3は、上アーム素子と言える。一方、低電位側のスイッチング素子3は、下アーム素子と言える。
第1コンバータ1aは、高電位側のスイッチング素子3のコレクタが高電位ラインと電気的に接続され、エミッタが低電位側のスイッチング素子3のコレクタと電気的に接続されている。また、第1コンバータ1aは、低電位側のスイッチング素子3のコレクタが低電位ラインと電気的に接続されている。そして、第1コンバータ1aは、スイッチング素子3のゲートが、後程説明する回路基板40と電気的に接続されている。第1リアクトル21aは、一方の端子が高電位側のスイッチング素子3のエミッタと低電位側のスイッチング素子3のコレクタに電気的に接続され、他方の端子がP端子t1に電気的に接続されている。第2コンバータ1bは、第1コンバータ1aと同様に構成されている。
第1コンバータ1aとバッテリ200との間、及び第2コンバータ1bとバッテリ200との間には、フィルタコンデンサ6が設けられている。フィルタコンデンサ6は、一方の端子がP端子t1と電気的に接続され、他方の端子がN端子t2と電気的に接続されている。
第1インバータ2aは、第1モータ310の各相に対応して、3つの半導体装置32を備えている。第1インバータ2aの各半導体装置32は、高電位側のスイッチング素子3のコレクタが高電位ラインと電気的に接続され、エミッタが低電位側のスイッチング素子3のコレクタと電気的に接続されている。また、各半導体装置32は、低電位側のスイッチング素子3のコレクタが低電位ラインと電気的に接続されている。そして、各半導体装置32は、スイッチング素子3のゲートが、後程説明する回路基板40と電気的に接続されている。さらに、各半導体装置32は、高電位側のスイッチング素子3のエミッタと低電位側のスイッチング素子3のコレクタとが、第1U相端子t11、第1V相端子t12、第1W相端子t13のそれぞれに電気的に接続されている。
第2インバータ2bは、第2モータ320の各相に対応して、3つの半導体装置32を備えている。第2インバータ2bは、第1インバータ2aと同様に構成されている。そして、第2インバータ2bの各半導体装置32は、高電位側のスイッチング素子3のエミッタと低電位側のスイッチング素子3のコレクタとが、第2U相端子t21、第2V相端子t22、第2W相端子t23のそれぞれに電気的に接続されている。
第1インバータ2a及び第2インバータ2bの入力側には、平滑コンデンサ4と放電抵抗5とが設けられている。つまり、平滑コンデンサ4と放電抵抗5とは、第1コンバータ1a及び第2コンバータ1bと、第1インバータ2a及び第2インバータ2bとの間に設けられている。この平滑コンデンサ4と放電抵抗5は、並列に設けられている。
本実施形態では、図3に示すように、一例として、第1U相端子t11~第1W相端子t13、第2U相端子t21~第2W相端子t23、出力バスバ91cが一体的に設けられた出力端子台33を備えた電力変換装置100を採用している。
出力端子台33は、第1U相端子t11~第1W相端子t13、第2U相端子t21~第2W相端子t23、出力バスバ91cを一体的に保持する保持部を備えている。保持部は、例えば、樹脂などによって構成されている。よって、出力端子台33は、例えばインサート成形によって、第1U相端子t11~第1W相端子t13、第2U相端子t21~第2W相端子t23、出力バスバ91cと保持部とを一体物とすることができる。しかしながら、本開示は、これに限定されず、第1U相端子t11~第1W相端子t13、第2U相端子t21~第2W相端子t23、出力バスバ91cが出力端子台33として一体的に設けられていなくてもよい。
また、出力端子台33は、各相の電流を検出するための電流センサが設けられていてもよい。電流センサは、保持部に保持された状態で、複数の出力バスバ91cのそれぞれに個別に設けられている。よって、出力端子台33には、複数の出力バスバ91cと同数の電流センサが設けられている。電流センサは、回路基板40と電気的に接続されており、各相の電流に応じた電気信号を回路基板40に出力する。
なお、電力変換装置100の回路構成は、これに限定されない。つまり、電力変換装置100は、コンバータの個数やインバータの個数が上記に限定されない。また、電力変換装置100は、コンバータとインバータの少なくとも一方が設けられていればよい。
次に、図1、図2、図3を用いて、電力変換装置100の構成に関して説明する。図2に示すように、電力変換装置100は、平滑コンデンサ4、収容部10、リアクトル部20、パワーモジュール30、回路基板40、ばね部50がメインケース60に固定されている。
図2に示すように、電力変換装置100は、収容部10とパワーモジュール30とが積層方向に配置されている。また、積層配置された収容部10とパワーモジュール30は、リアクトル部20と隣り合って配置されている。つまり、収容部10とパワーモジュール30は、積層方向に直交する方向において、リアクトル部20と並んで配置されている。
図3に示すように、電力変換装置100は、積層方向に直交する方向において、パワーモジュール30と平滑コンデンサ4とが隣り合って配置されている。また、電力変換装置100は、積層方向に直交する方向において、パワーモジュール30とリアクトル部20とが隣り合って配置されている。
収容部10は、図2に示すように、放電抵抗5、フィルタコンデンサ6を収容している。収容部10は、例えば、放電抵抗5及びフィルタコンデンサ6を収容可能なケースと、ケース内に配置された放電抵抗5及びフィルタコンデンサ6を封止する封止樹脂などとを備えている。また、放電抵抗5及びフィルタコンデンサ6は、半導体装置32と電気的及び機械的に接続可能とするために、端子が露出した状態で封止樹脂によって覆われている。
このケースとしては、例えば凹形状をなしたものを採用することができる。この場合、ケースは、底部と、底部と連なって設けられた環状の側壁とを有し、底部に対向する位置が開口している。また、収容部10は、メインケース60の凹部に配置されて、第1ボルトb1によってメインケース60に固定されている。
放電抵抗5は、例えば、底面s31、底面s31の反対面である上面s32、底面s31と上面s32とに連なる側面s33を有した形状のものを採用することができる。この場合、放電抵抗5は、底面s31が収容部10の底部と対向し、上面s32が収容部10の開口端と対向し、側面s33が収容部10の側壁と対向するように収容部10内に配置されている。
フィルタコンデンサ6は、例えば、底面s21、底面s21の反対面である上面s22を有した形状のものを採用することができる。この場合、フィルタコンデンサ6は、底面s21が収容部10の底部と対向し、上面s22が収容部10の開口端と対向するように収容部10内に配置されている。
本実施形態では、底面s21、s31及び上面s22、s32の一例としてXZ平面に沿う平面を採用し、側面s33の一例としてYZ平面に沿う平面を採用する。しかしながら、これらの面は、凹凸が形成されていてもよく、曲面であってもよい。
収容部10は、これに限定されず、封止樹脂を備えていなくてもよく、第1ボルトb1とは異なる態様でメインケース60に固定されていてもよい。収容部10は、例えば、ボルト以外の固定具や嵌合などによって、メインケース60に固定されていてもよい。また、収容部10は、放電抵抗5のみを収容していてもよいし、フィルタコンデンサ6のみを収容していてもよい。さらに、収容部10は、放電抵抗5やフィルタコンデンサ6とは異なるノイズ対策用のYコンデンサなどの素子を収容していてもよい。
リアクトル部20は、第1リアクトル21a、第2リアクトル21b、リアクトルケース22、リアクトルカバー23などを備えている。リアクトルケース22は、メインケース60と一体的に形成されたものや、メインケース60と別体に形成されたものを採用することができる。本実施形態では、一例として、メインケース60と別体に形成されたリアクトルケース22を採用する。メインケース60と別体に形成されたリアクトルケース22は、溶接、嵌合、ねじなどの固定部材によってメインケース60に取り付けられている。
リアクトルケース22は、第1リアクトル21aと第2リアクトル21bとが収容可能な収容空間、言い換えると凹部を有している。本実施形態では、一例として、第1リアクトル21aと第2リアクトル21bとを個別に収容するために2つの収容空間が設けられたリアクトルケース22を採用している。この場合、リアクトルケース22は、底部と、底部と連なって設けられた環状の側壁とを有し、底部に対向する位置が開口している。
また、リアクトルケース22は、開口にリアクトルカバー23が取り付けられている。リアクトルケース22は、リアクトルカバー23によって完全に塞がれていてもいいし、部分的に塞がれていてもよい。
リアクトルケース22及びリアクトルカバー23は、メインケース60と同様、アルミニウムなどの金属によって構成されていると好ましい。この場合、電力変換装置100は、大電流の交流を通電することにより、リアクトル21a、21bから発生するノイズを、リアクトルケース22及びリアクトルカバー23で遮蔽することができる。よって、電力変換装置100は、リアクトル21a、21bから発生するノイズがスイッチング素子3などに悪影響を与えることを抑制できる。なお、ノイズの遮蔽を目的とする場合、リアクトルケース22は、リアクトルカバー23によって、開口が完全に塞がれている方が好ましい。しかしながら、本開示は、これに限定されず、リアクトルケース22及びリアクトルカバー23が樹脂などで構成されていてもよい。
リアクトルケース22の収容空間には、第1リアクトル21aと第2リアクトル21bに加えて、第1リアクトル21aと第2リアクトル21bとを封止する封止樹脂が設けられている。よって、第1リアクトル21aと第2リアクトル21bとは、端子が露出した状態で封止樹脂によって覆われている。
図2に示すように、第1リアクトル21aを覆っている封止樹脂は、第1側面s1と、第1側面s1の反対面である第2側面s3と、第1側面s1と第2側面s3とに連なる底面s2とを有している。同様に、第2リアクトル21bを覆っている封止樹脂は、第1側面s11と、第1側面s11の反対面である第2側面s13と、第1側面s11と第2側面s13とに連なる底面s12とを有している。
封止樹脂で覆われた第1リアクトル21aは、第1側面s1、底面s2、第2側面s3を有しているとみなすこともできる。同様に、封止樹脂で覆われた第2リアクトル21bは、第1側面s11、底面s12、第2側面s13を有しているとみなすこともできる。よって、図3では、封止樹脂で覆われた状態の第1リアクトル21aと第2リアクトル21bに符号を付与している。封止樹脂で覆われた状態の第1リアクトル21aと第2リアクトル21bは、例えば六面体から端子が露出しており、XZ平面において矩形形状をなしている。なお、図3は、第1カバー70がない状態の平面図であり、メインケース60などを省略している。
本実施形態では、底面s2、s12の一例としてXZ平面に沿う平面を採用し、第1側面s1、s11及び第2側面s3、s13の一例としてYZ平面に沿う平面を採用する。しかしながら、これらの面は、凹凸が形成されていてもよく、曲面であってもよい。また、本実施形態では、一例として、第2側面s3と第1側面s11とが対向するように、第1リアクトル21aと第2リアクトル21bとが配置されている。
また、図3に示すように、第1リアクトル21aは、封止樹脂から露出した一方の端子が第1スイッチ側バスバ92aに電気的に接続され、他方の端子が第1コンデンサ側バスバ92cに電気的に接続されている。そして、第1リアクトル21aは、第1スイッチ側バスバ92aを介して、第1コンバータ1aのスイッチング素子3と電気的に接続されている。また、第1リアクトル21aは、第1コンデンサ側バスバ92cを介して、パワーモジュール30の下に配置されたフィルタコンデンサ6と電気的に接続されている。
同様に、第2リアクトル21bは、封止樹脂から露出した一方の端子が第2スイッチ側バスバ92bに電気的に接続され、他方の端子が第2コンデンサ側バスバ92dに電気的に接続されている。そして、第2リアクトル21bは、第2スイッチ側バスバ92bを介して、第2コンバータ1bのスイッチング素子3と電気的に接続されている。また、第2リアクトル21bは、第2コンデンサ側バスバ92dを介して、パワーモジュール30の下に配置されたフィルタコンデンサ6と電気的に接続されている。
図2、図3に示すように、パワーモジュール30は、冷却器31、半導体装置32、出力端子32aなどを備えている。冷却器31は、半導体装置32を冷却するためのものである。また、冷却器31は、半導体装置32に含まれているスイッチング素子3を冷却するものと言える。冷却器31は、第1水路口31a、第2水路口31b、連結水路31eなどが取り付けられており、冷媒が流れる半導体冷却水路が形成されている。なお、冷却器31は、例えば、特開2018-101666号公報に記載されたものなどを採用することができる。なお、冷却器31は、各半導体装置32が過熱するのを抑制する、又は、各半導体装置32の熱を放熱すると言い換えることができる。
パワーモジュール30は、ばね部50からX方向に押圧された状態で保持されている。このばね部50は、パワーモジュール30に対して圧縮荷重を与える加圧部材と言い換えることもできる。本実施形態では、各半導体装置32を両面から冷却する冷却器31を採用している。しかしながら、本開示は、これに限定されない。
図2、図3に示すように、各半導体装置32は、例えば、二つのスイッチング素子3とヒートシンクを兼ねた端子とが樹脂部材で封止されて一体化されたものを採用している。しかしながら、本開示は、これに限定されない。パワーモジュール30は、コンバータ1a、1b及びインバータ2a、2bにおける半導体装置32を備えている。各半導体装置32は、冷却器31に挟み込まれて固定されている。よって、各半導体装置32は、冷却器31によって冷却される。また、図3に示すように、パワーモジュール30(各半導体装置32)は、Pバスバ91a、Nバスバ91b、出力バスバ91cなどと電気的に接続されている。
パワーモジュール30は、高電位側の各スイッチング素子3のコレクタがPバスバ91aに電気的に接続され、低電位側のスイッチング素子3のエミッタがNバスバ91bに電気的に接続されている。パワーモジュール30(各スイッチング素子3)は、Pバスバ91a及びNバスバ91bを介して、平滑コンデンサ4及び放電抵抗5と電気的に接続されている。なお、Pバスバ91aは、高電位ラインの一部とみなすことができる。一方、Nバスバ91bは、低電位ラインの一部とみなすことができる。
また、パワーモジュール30は、高電位側の各スイッチング素子3のエミッタと低電位側の各スイッチング素子3のコレクタに電気的に接続された出力端子32aを有している。パワーモジュール30は、各半導体装置32に一つの出力端子32aが設けられているため、六つの出力端子32aを備えている。各出力端子32aは、複数の出力バスバ91cと個別に電気的に接続されている。つまり、パワーモジュール30は、各半導体装置32が出力バスバ91cと個別に電気的に接続されている。
第1インバータ2aは、3つの出力バスバ91cを介して、第1U相端子t11、第1V相端子t12、第1W相端子t13と電気的に接続されている。そして、第1U相端子t11、第1V相端子t12、第1W相端子t13は、第1モータ310のU相端子、V相端子、W相端子のそれぞれと電気的に接続可能に構成されている。
第2インバータ2bは、3つの出力バスバ91cを介して、第2U相端子t21、第2V相端子t22、第2W相端子t23と電気的に接続されている。そして、第2U相端子t21、第2V相端子t22、第2W相端子t23は、第2モータ320のU相端子、V相端子、W相端子のそれぞれと電気的に接続可能に構成されている。
なお、図2に示すように、パワーモジュール30は、各スイッチング素子3のゲートが回路基板40に電気的に接続されている。回路基板40は、樹脂などの電気絶縁性部材に導電性の配線が形成されている。回路基板40は、回路を構成する素子及び低圧信号コネクタ41が配線と電気的に接続された状態で実装されている。
また、回路基板40は、各スイッチング素子3のゲートと配線とを電気的及び機械的に接続するために、例えばスルーホールが形成されている。つまり、スルーホールは、配線の一部が形成されており、各スイッチング素子3のゲートに接続されたゲート端子が挿入される。そして、回路基板40は、スルーホールにゲート端子が挿入された状態で、はんだなどの導電性接続部材を介して、各スイッチング素子3のゲートと電気的及び機械的に接続されている。低圧信号コネクタ41は、回路基板40の配線を介してゲート端子と電気的に接続されている。なお、回路基板40は、第2ボルトb2を介してメインケース60に固定されている。
電力変換装置100は、メインケース60に対して、第1カバー70と第2カバー80とが取り付けられている。メインケース60と第1カバー70と第2カバー80は、アルミニウムなどの金属によって構成されている。よって、メインケース60と第1カバー70と第2カバー80は、樹脂などによって構成された筐体よりも熱伝導性が良好である。
メインケース60は、リアクトルケース22が挿入される貫通穴や、収容部10などが配置される凹部などが形成されている。メインケース60は、第1カバー70を取り付けるための第1フランジ61と、第2カバー80を取り付けるための第2フランジ62とが形成されている。
また、メインケース60は、第2カバー80側から第1カバー70側へ冷媒が漏れないように構成されている。リアクトルケース22がメインケース60と別体の場合、メインケース60は、Oリングなどの環状のパッキンを介してリアクトルケース22が取り付けられる。よって、電力変換装置100は、メインケース60と第1カバー70との間の空間と、メインケース60と第2カバー80との間の空間とが、メインケース60とリアクトルケース22によって、冷媒が漏れないように区画されている。なお、メインケース60は、リアクトルケース22と一体的に形成されている場合、貫通穴などが形成されないようすることで、第2カバー80側から第1カバー70側へ冷媒が漏れないようにすることができる。これにより、仮に、冷媒が漏れても高圧部に被水せず漏電の懸念もない。
さらに、図1、図2、図3に示すように、メインケース60は、第1水路口31a、第2水路口31bに加えて、第3水路口31c、第4水路口31dが形成されている。また、図1に示すように、電力変換装置100は、パワーモジュール30の冷却器31に加えて、冷却器31とは異なる位置に水路w10が形成されている。この水路w10に関しては、後程説明する。なお、図1、図2では、連結水路31eを介した第2水路口31bと第3水路口31cとの連結構造を明確にするために、第1水路口31aと第4水路口31dを省略している。
第1水路口31a~第4水路口31dは、冷媒の出入り口である。第1水路口31aと第2水路口32bは、冷却器31への冷媒の出入り口である。一方、第3水路口31cと第4水路口32dは、水路w10への冷媒の出入り口である。本実施形態では、一例として、第1水路口31aが冷却器31への冷媒の入口、第2水路口31bが冷却器31からの冷媒の出口、第3水路口31cが水路w10への冷媒の入口、第4水路口31dが水路w10からの冷媒の出口である例を採用する。
しかしながら、本開示は、これに限定されない。本開示は、第2水路口31bが冷却器31への冷媒の入口、第1水路口31aが冷却器31からの冷媒の出口、第4水路口31dが水路w10への冷媒の入口、第3水路口31cが水路w10からの冷媒の出口であっても採用することができる。
図1、図2に示すように、第2水路口31bと第3水路口32cは、冷媒が流れる連結水路31eが取り付けられている。連結水路31eは、一端側に第2水路口31bが取り付けられ、他端側に第3水路口31cが取り付けられて、冷却器31と水路w10との間で冷媒が流れるように、第2水路口31bと第3水路口31cとを連結している。
このため、電力変換装置100は、冷却器31内と水路w10とが連結水路31eを介して連通した一続きの水路が形成されている。冷媒は、第1水路口31aから冷却器31内へ流入して、冷却器31内を流れて第2水路口31bから連結水路31eへと流出する。さらに、冷媒は、連結水路31eを通り、第3水路口31cから水路w10内へ流入して、水路w10内を流れて第4水路口31dから流出する。
なお、本実施形態では、一例として、第1水路口31a~第4水路口31dが一体物としてのメインケース60に形成されている例を採用している。しかしながら、本開示は、これに限定されない。例えば、メインケース60が積層方向に分割されている場合、第1水路口31aと第2水路口31bがメインケース60の一方側に形成され、第3水路口31cと第4水路口31dが他方側に形成されていてもよい。
第1カバー70は、メインケース60に取り付けるための第1カバー側フランジ71と、低圧信号コネクタ41を筐体の外部に露出させるためのコネクタ用開口部72が形成されている。第1カバー側フランジ71は、第1フランジ61と対向する位置に設けられている。第1カバー70は、例えば、第1カバー側フランジ71と第1フランジ61とがねじなどの固定部材で固定されることで、メインケース60に取り付けられている。
第2カバー80は、周辺よりも突出した凸部81と、メインケース60に取り付けるための第2カバー側フランジ82が形成されている。第2カバー側フランジ82は、第2フランジ62と対向する位置に設けられている。第2カバー80は、例えば、第2カバー側フランジ82と第2フランジ62とがねじなどの固定部材で固定されることで、メインケース60に取り付けられている。なお、ここでは、第2カバー80におけるメインケース60と対向する側を内側、メインケース60とは反対側を外側とする。
凸部81は、周辺よりもメインケース60とは反対側に突出して設けられている。つまり、第2カバー80は、モータ部300と対向する外側に、モータ部300の外形に対応して周辺よりも突出した凸部81が設けられている。第2カバー80は、例えば、凸部81の周辺の外表面が平坦面となっている。詳述すると、凸部81は、電力変換装置100が取り付けられるモータ部300の外形に沿って周辺よりも突出している。なお、モータ部300は、外形が曲面形状(円弧形状)を有している。このため、モータ部300は、平坦面と対向配置された場合、平坦面とモータ部300の曲面との間に空間(三角隙間)が形成される。
電力変換装置100は、この空間がデッドスペースとなることを抑制するために、凸部81が形成されている。よって、電力変換装置100は、三角隙間に凸部81が配置されるように、モータ部300に取り付けられる。このため、電力変換装置100は、モータ部300の頂点から外れた位置に凸部81が位置するように配置される。また、電力変換装置100は、凸部81が三角隙間に配置されるようにモータ部300に取り付けられると、電力変換装置100とモータ部300とからなる構造体の高さを抑えることができるので好ましい。高さは、Y方向の長さである。
凸部81は、図1、図2の破線で示すように、内側におけるリアクトルケース22に対向する位置に、周辺よりも凹んだ凹部が形成されている。第2カバー80は、メインケース60に取り付けられた状態で、リアクトルケース22の一部が凹部に配置される。
この凹部は、後程説明する第6水路形成部w6に相当する。第6水路形成部w6は、第2カバー80の内側に形成された溝とも言える。本実施形態では、図1に示すように、収容部10に対向する位置にも凹部(第7水路形成部w7)が形成された第2カバー80を採用している。
なお、本実施形態では、Y方向において、第1カバー70から第2カバー80へ向かう方向を下方向、第2カバー80から第1カバー70へ向かう方向を上方向と称する。よって、第2カバー80は、第1カバー70よりも下側に設けられていると言える。逆に、第1カバー70は、第2カバー80よりも上側に設けられていると言える。下方向は、重力方向と一致していてもよいし、一致していなくてもよい。
電力変換装置100は、メインケース60と第2カバー80とで水路w10が形成されている。つまり、水路w10は、メインケース60に対して第2カバー80が取り付けられることで形成される。水路w10は、第3水路口31c及び連結水路31eを介して冷却器31の水路と連通している。水路w10は、第3水路口31cから流入した冷媒が第4水路口31dから流出するように、U字形状に設けられている。この水路w10は、冷却水路に相当する。
メインケース60とリアクトルケース22は、水路w10を形成するための第1水路形成部w1、第2水路形成部w2、第3水路形成部w3、第4水路形成部w4、第5水路形成部w5が形成されている。第1水路形成部w1~第5水路形成部w5のそれぞれは、周辺よりも凹んだ凹部である。また、第1水路形成部w1~第5水路形成部w5のそれぞれは、メインケース60やリアクトルケース22に形成された溝とも言える。
第1水路形成部w1は、メインケース60における収容部10が配置された部位の下側に形成されている。よって、第1水路形成部w1は、Y方向において、収容部10と対向する位置に形成されている。
第2水路形成部w2は、リアクトルケース22の下側に形成されている。よって、第2水路形成部w2は、Y方向において、リアクトル21a、21bと対向する位置に形成されている。
第3水路形成部w3は、リアクトルケース22と、メインケース60における収容部10が配置された部位との間に形成されている。よって、第3水路形成部w3は、第1リアクトル21aと収容部10との間に形成されている。第3水路形成部w3は、第1水路形成部w1及び第2水路形成部w2よりも凹んでおり、第1水路形成部w1及び第2水路形成部w2よりも深い溝となっている。
第4水路形成部w4は、リアクトルケース22間に形成されている。よって、第4水路形成部w4は、第1リアクトル21aと第2リアクトル21bとの間に形成されている。第4水路形成部w4は、第2水路形成部w2よりも凹んでおり、第2水路形成部w2よりも深い溝となっている。
第5水路形成部w5は、リアクトルケース22とメインケース60の側壁との間に形成されている。よって、第5水路形成部w5は、第2リアクトル21bとメインケース60との間に形成されている。第5水路形成部w5は、第2水路形成部w2よりも凹んでおり、第2水路形成部w2よりも深い溝となっている。
一方、第2カバー80は、水路w10を形成するための第6水路形成部w6、第7水路形成部w7が形成されている。第6水路形成部w6、第7水路形成部w7は、周辺よりも凹んだ凹部である。また、第6水路形成部w6、第7水路形成部w7は、第2カバー80に形成された溝とも言える。
第6水路形成部w6は、凸部内水路に相当する。第6水路形成部w6は、凸部81内であり、リアクトルケース22に対向する位置に形成されている。つまり、凸部81は、収容空間側である内側に、水路w10の一部であり、周辺よりも凹んだ第6水路形成部w6が形成されている。第6水路形成部w6は、後程説明する第7水路形成部w7よりも深い溝となっている。
電力変換装置100は、リアクトルケース22の一部が第6水路形成部w6に配置されている。つまり、リアクトルケース22は、第6水路形成部w6である凹み内に配置されている。よって、電力変換装置100は、リアクトル21a、21bの一部が第6水路形成部w6に配置されているとみなすことができる。
このように、第2カバー80は、凸部81の内側に第6水路形成部w6が形成されているため、リアクトルケース22の一部を第6水路形成部w6に配置することができる。よって、電力変換装置100は、リアクトルケース22が第6水路形成部w6に配置されていない場合よりも、リアクトルケース22と冷媒との接触面積を増やすことができリアクトル21a、21bを冷却しやすい。言い換えると、電力変換装置100は、リアクトル21a、21bの熱を放熱しやすい。さらに、電力変換装置100は、リアクトル21a、21bが第6水路形成部w6に配置されていない場合よりも、筐体60、70、80内の空間を有効に使うことができる。
なお、本実施形態では、回路部の一部として、リアクトルケース22の一部が第6水路形成部w6に配置されている例を採用している。しかしながら、本開示は、これに限定されず、回路部の他の一部が第6水路形成部w6に配置されていてもよい。また、リアクトル21a、21bの底面s2、s12は、第2カバー80の凸部81側に突出することで、すなわち、凸部81内の凹んだ部位に配置されることで、より冷却能力の向上がはかれる。
第7水路形成部w7は、第1水路形成部w1に対向する位置に形成されている。なお、電力変換装置100は、第1水路形成部w1が形成されていれば、第7水路形成部w7が形成されていなくてもよい。
電力変換装置100は、メインケース60に第2カバー80が取り付けられることで、第1水路形成部w1と第7水路形成部w7が対向配置され、水路w10の一部である第1水路が形成されている。また、電力変換装置100は、メインケース60に第2カバー80が取り付けられることで、第2水路形成部w2~第5水路形成部w5と第6水路形成部w6が対向配置され、水路w10の一部である凹状水路が形成されている。そして、この第1水路と凹状水路とは、冷媒が行き来できるように連通している。
よって、図2に示すように、電力変換装置100は、収容部10に収容された放電抵抗5及びフィルタコンデンサ6に対向する位置に第1水路が配置され、リアクトル21a、21bの周辺に凹状水路が配置される。つまり、放電抵抗5及びフィルタコンデンサ6は、第1水路形成部w1と第7水路形成部w7と対向する位置に配置される。一方、リアクトル21a、21bは、第6水路形成部w6だけではなく、第3水路形成部w3~第5水路形成部w5と隣り合って配置される。
放電抵抗5及びフィルタコンデンサ6は、Y方向において、水路w10と対向配置されていると言える。つまり、放電抵抗5は、底面s31が水路w10と対向配置される。フィルタコンデンサ6は、底面s21が水路w10と対向配置される。
また、リアクトル21a、21bのそれぞれは、Y方向において、水路w10と対向配置され、且つ、X方向において、水路w10で挟み込まれている。つまり、リアクトル部20は、第1リアクトル21a側の第1側面s1、第2側面s3、底面s2、及び第2リアクトル21b側の第1側面s11、第2側面s13、底面s12が水路w10と対向配置されている。
このため、電力変換装置100は、水路w10を冷媒が流れることで、冷媒によって、放電抵抗5、フィルタコンデンサ6、及びリアクトル21a、21bを冷却することができる。また、水路w10は、放電抵抗5及びフィルタコンデンサ6の冷却と、リアクトル21a、21bの冷却に兼用することができる。
なお、リアクトル21a、21bのそれぞれは、Z方向においても、水路w10で挟み込まれていてもよい。この場合、電力変換装置100は、リアクトル21a、21bを5面から冷却することができるので好ましい。
このように構成された電力変換装置100は、図1、2に示すように、第1モータ310、第2モータ320を備えたモータ部300に取り付け可能に構成されている。なお、電力変換装置100は、第1モータ310及び第2モータ320などを収容しているモータケースにねじなどの固定部材によって固定される。モータ部300は、被取付体に相当する。
モータ部300は、第1モータ310や第2モータ320が、ロータが回転することで発熱する。このため、電力変換装置100は、モータ部300に取り付けられた場合、モータ部300が発する熱が伝達される可能性がある。
また、図1、図2に示すように、電力変換装置100は、第2カバー80がモータ部300に対向する状態で、モータ部300に取り付けられる。よって、電力変換装置100は、第1カバー70側よりも第2カバー80側の方が、モータ部300からの熱が伝わりやすい。
パワーモジュール30は、第2カバー80よりも第1カバー70に近い位置に配置されている。このため、パワーモジュール30は、モータ部300からの熱が比較的伝わりにくい位置に配置されている。また、パワーモジュール30の半導体装置32は、冷却器31に取り付けられているため、冷却器31によって冷却することができる。
一方、収容部10に収容された放電抵抗5とフィルタコンデンサ6は、第1カバー70よりも第2カバー80に近い位置に配置されている。また、リアクトル21a、21bは、第1カバー70側から第2カバー80側にわたって配置されている。よって、リアクトル21a、21bの一部は、第1カバー70よりも第2カバー80に近い位置に配置されている。このため、放電抵抗5、フィルタコンデンサ6、リアクトル21a、21bは、モータ部300からの熱が比較的伝わりやすい位置に配置されている。
しかしながら、電力変換装置100は、放電抵抗5、フィルタコンデンサ6、リアクトル21a、21bと第2カバー80との間に水路w10が形成されている。つまり、電力変換装置100は、モータ部300に取り付けられた状態で、モータ部300と放電抵抗5、フィルタコンデンサ6、リアクトル21a、21bとの間に水路w10が配置される。
このため、モータ部300から発せられた熱は、第2カバー80を介して水路w10を流れる冷媒に伝達(放熱)される。よって、電力変換装置100は、放電抵抗5、フィルタコンデンサ6、リアクトル21a、21bに、モータ部300からの熱が伝わることを抑制できる。つまり、電力変換装置100は、水路w10が設けられていない場合よりも、放電抵抗5、フィルタコンデンサ6、リアクトル21a、21bがモータ部300から受熱することを抑制できる。また、電力変換装置100は、モータ部300から放電抵抗5、フィルタコンデンサ6、リアクトル21a、21bへの受熱を水路w10で遮蔽するとも言える。これによって、電力変換装置100は、放電抵抗5、フィルタコンデンサ6、リアクトル21a、21bが、モータ部300からの熱によって加熱されることを抑制できる。
また、電力変換装置100は、モータ部300に対応するように凸部81を設けているため、凸部81が設けられていない構成よりも、モータ部300との距離を近くすることができる。このため、電力変換装置100は、水路w10を流れる冷媒によって、モータ部300を冷却することもできる。
さらに、電力変換装置100は、放電抵抗5及びフィルタコンデンサ6が冷却器31と水路w10との間に配置されている。よって、放電抵抗5は、底面s31が水路w10と対向配置され、且つ、上面s32が冷却器31と対向配置されている。一方、フィルタコンデンサ6は、底面s21が水路w10と対向配置され、且つ、上面s22が冷却器31と対向配置されている。
つまり、電力変換装置100は、放電抵抗5及びフィルタコンデンサ6を両面から冷却できる構成となっている。言い換えると、電力変換装置100は、放電抵抗5及びフィルタコンデンサ6から発せられる熱を冷却器31と水路w10に放熱して、放電抵抗5及びフィルタコンデンサ6を冷やすことができる。よって、電力変換装置100は、放電抵抗5及びフィルタコンデンサ6を片面からのみ冷却する構成よりも、放電抵抗5及びフィルタコンデンサ6の冷却性能を向上することができる。
電力変換装置100は、収容部10が第3水路形成部w3とも隣り合っている。つまり、放電抵抗5は、側面s33も水路w10と対向配置される。このため、電力変換装置100は、放電抵抗5を両面からだけでなく、側面からも冷却することができる。つまり、電力変換装置100は、放電抵抗5をY方向からだけでなくX方向からも冷却することができる。よって、電力変換装置100は、放電抵抗5を両面からだけ冷却する構成よりも、放電抵抗5の冷却性能を向上することができる。
放電抵抗5及びフィルタコンデンサ6は、金属製のメインケース60に形成された凹部に配置されている。このため、電力変換装置100は、大電流の交流を通電することにより、放電抵抗5及びフィルタコンデンサ6から発生するノイズを、メインケース60で遮蔽することができるので好ましい。
電力変換装置100は、リアクトル21a、21bやフィルタコンデンサ6などを備えているため、ノイズバイブレーションが発生しうる。しかしながら、電力変換装置100は、局部的に突出した凸部81を備えることで第2カバー80の剛性を向上させることができるため、ノイズバイブレーションを低減することができる。また、電力変換装置100は、メインケース60及び第2カバー80において、X方向及びY方向に水路w10が形成されているため、メインケース60及び第2カバー80の剛性を構成させることができ、ノイズバイブレーションを低減することができる。
電力変換装置100は、モータ部300の直上に搭載されるためモータ部300から振動を受けることもある。しかしながら、電力変換装置100は、メインケース60や第2カバー80の剛性を向上させることができるため、モータ部300から振動を受けた場合であっても破損を抑制することができる。
電力変換装置100は、モータ部300と別体に構成されている。このため、電力変換装置100は、モータ部300と一体的に構成されている場合よりも、モータ部300からの振動や熱の影響を低減することができる。また、電力変換装置100は、搭載される車種が変更になった場合など、異なるモータ部300であっても同様の効果を奏することができる。つまり、本開示は、電力変換装置100が同一で別モータ部との組み合わせであっても同様の効果を奏することができる。
なお、本実施形態では、被取付体として、外形が曲面形状のモータ部300を採用した。しかしながら、本開示は、これに限定されず、外形が曲面形状のモータ部や、トランスミッション装置などを被取付体として採用することもできる。つまり、電力変換装置100は、外形が曲面形状のモータ部や、トランスミッション装置などにも取り付けられる。このような場合であっても、電力変換装置100は、上記効果を奏することができる。
以上、本開示の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本開示は、上記実施形態に何ら制限されることはなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能である。以下に、本開示のその他の形態として、第2実施形態に関して説明する。上記実施形態及び第2実施形態は、それぞれ単独で実施することも可能であるが、適宜組み合わせて実施することも可能である。本開示は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。
(第2実施形態)
図5、図6、図7を用いて、第2実施形態の電力変換装置110に関して説明する。電力変換装置110は、電力変換装置100と同様の箇所が多い。本実施形態では、電力変換装置110における電力変換装置100と異なる点を中心に説明する。電力変換装置110は、主に、端子台用凸部83を備えている点が電力変換装置100と異なる。なお、本実施形態では、電力変換装置110における電力変換装置100と同様お箇所に同じ符号を付与している。
出力端子台33は、第1インバータ2aと第1モータ310とを電気的に接続するために、各端子t11~t13と、各端子t11~t13に対応する各バスバ93a~93cとが電気的及び機械的に接続されている。具体的には、第1U相端子t11に第1U相バスバ93a、第1V相端子t12に第1V相バスバ93b、第1W相端子t13に第1W相バスバ93cが電気的及び機械的に接続されている。各端子t11~t13と各バスバ93a~93cとは、第3ボルトb3によって固定されている。また、各バスバ93a~93cは、各端子t11~t13と第1モータ310とを機械的に接続可能な程度の長さを有している。
同様に、出力端子台33は、第2インバータ2abと第2モータ320とを電気的に接続するために、各端子t21~t23のそれぞれに、各バスバ94a~94cのそれぞれが電気的及び機械的に接続されている。具体的には、第2U相端子t21に第2U相バスバ94a、第2V相端子t22に第2V相バスバ94b、第2W相端子t23に第2W相バスバ94cが電気的及び機械的に接続されている。各端子t21~t23と各バスバ94a~94cとは、第3ボルトb3によって固定されている。また、各バスバ94a~94cは、各端子t21~t23と第2モータ320とを機械的に接続可能な程度の長さを有している。なお、出力端子台33は、各バスバ93a~93c、94a~94cを備えるものであってもよい。
そして、出力端子台33は、電力変換装置110がモータ部300に取り付けられた状態で、各バスバ93a~93cと、各バスバ93a~93cに対応する第1モータ310のU相端子、V相端子、W相端子とが電気的及び機械的に接続されている。また、出力端子台33は、電力変換装置110がモータ部300に取り付けられた状態で、各バスバ94a~94cと、各バスバ94a~94cに対応する第2モータ320のU相端子、V相端子、W相端子とが電気的及び機械的に接続されている。
具体的には、第1U相バスバ93aに第1モータ310のU相端子、第1V相バスバ93bに第1モータ310のV相端子、第1W相バスバ93cに第1モータ310のW相端子が電気的及び機械的に接続されている。また、第2U相バスバ94aに第2モータ320のU相端子、第2V相バスバ94bに第2モータ320のV相端子、第2W相バスバ94cに第2モータ320のW相端子が電気的及び機械的に接続されている。
端子台用凸部83は、凸部81と同様に第2カバー80に設けられた、周辺よりも突出した部位である。端子台用凸部83は、第2カバー80の内側において、周辺よりも凹んだ第8水路形成部w8が形成されている。第8水路形成部w8は、第1水路形成部w1と対向することで、水路w10の一部を形成している。
端子台用凸部83は、図6、図7に示すように、環状壁部85で囲まれた複数の貫通穴84が設けられている。よって、第8水路形成部w8は、環状壁部85の内側も含んでいる。内側とは、環状壁部85の貫通穴84側ではなく、貫通穴84とは反対側である。また、内側とは、メインケース60と第2カバー80とで囲まれた空間側である。なお、第2カバー80は、環状壁部85がメインケース60に達するように設けられるなどして、貫通穴84内に冷媒が漏れないように構成されている。
このため、環状壁部85は、水路w10内の冷媒で覆われる。言い換えると、環状壁部85は、水路w10内の冷媒と接触する。なお、環状壁部85は、冷媒と直接的に接していてもよいし、間接的に接していてもよい。
貫通穴84は、各バスバ93a~93c、94a~94cの一部が配置されている。よって、端子台用凸部83には、各バスバ93a~93c、94a~94cと同数の貫通穴84が形成されている。そして、各バスバ93a~93c、94a~94cは、貫通穴84に配置された部分が環状壁部85を介して冷媒と隣り合うことになる。
従って、電力変換装置110は、環状壁部85を介して冷媒によって、各バスバ93a~93c、94a~94cを冷却することができる。つまり、電力変換装置110は、水路w10の冷媒によって、放電抵抗5、フィルタコンデンサ6、リアクトル21a、21bに加えて、各バスバ93a~93c、94a~94cを冷却することができる。
また、電力変換装置110は、各バスバ93a~93c、94a~94cを冷却することで、各バスバ93a~93c、94a~94cに機械的に接続されている各端子t11~t13、t21~t23を冷却することができる。さらに、電力変換装置110は、出力端子台33が電流センサを備えていた場合、電流センサも冷却することができる。つまり、電力変換装置110は、出力端子台33の全体を冷却することができる。
よって、電力変換装置110は、出力端子台33における樹脂製の保持部と、金属製の出力バスバ91cや各端子t11~t13、t21~t23との線膨張整数差に伴って、電流センサと出力バスバ91cとの位置関係が変化することを抑制できる。このため、電力変換装置110は、電流センサによる検出精度が低下することを抑制できる。さらに、電力変換装置110は、電流センサや出力端子台33、モータ側の各バスバと巻線の接続部へのストレスを緩和し、クラック等の破損を防ぐことができる。
また、電力変換装置110は、図6に示すように、端子台用凸部83とモータ部300との間に環状の弾性部材400を介した状態で、モータ部300に取り付けられる。弾性部材400は、バスバ93a~93c、94a~94cを囲う位置に設けられている。弾性部材400は、端子台用凸部83とモータ部300との対向領域に水が入り込むことを抑制するために設けられている。つまり、弾性部材400は、端子台用凸部83とモータ部300との対向領域から、モータ部300内に水が入り込むことを抑制することができる。このように、弾性部材400は、防水のために設けられているので、防水部材や防水用Oリングやパッキンなどと言い換えることができる。
さらに、電力変換装置110は、端子台用凸部83が三角隙間に配置されるようにモータ部300に取り付けられると、電力変換装置110とモータ部300とからなる構造体の高さを抑えることができるので好ましい。また、電力変換装置110は、歩行者安全等の観点で車両への搭載が容易となる。
なお、電力変換装置110は、電力変換装置100と同様の効果を奏することができる。