以下において、図面を参照しながら、本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において、先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において、構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を参照し適用することができる。なお、以下においては、互いに直交する3方向をX方向、Y方向、Z方向と示す。
(実施形態)
図1~図6を用いて、本実施形態の電力変換装置100に関して説明する。本実施形態では、一例として、バッテリ200の電力を電力変換して二つのモータ310、320を駆動する電力変換装置100を採用する。電力変換装置100は、第1モータ310及び第2モータ320を含むモータ部300に固定される。
電力変換装置100は、図2、図6などに示すように、平滑コンデンサ4、放電抵抗5、フィルタコンデンサ6、リアクトル部20、パワーモジュール30、回路基板40などを含む回路部を備えている。また、電力変換装置100は、ばね部50などを含んでいてもよい。さらに、電力変換装置100は、回路部、ばね部50など収容する筐体を備えている。なお、回路部は、上記構成要素以外の回路部品を備えていてもよい。
まず、図6を用いて、電力変換装置100の回路構成に関して説明する。電力変換装置100は、第1コンバータ1a、第2コンバータ1b、第1インバータ2a、第2インバータ2b、スイッチング素子3、平滑コンデンサ4、放電抵抗5、フィルタコンデンサ6などを備えている。なお、放電抵抗5及びフィルタコンデンサ6は、回路素子に相当する。
電力変換装置100は、バッテリ200の正端子に電気的に接続するためのP端子t1と、バッテリ200の負端子に電気的に接続するためのN端子t2とを備えている。また、電力変換装置100は、第1モータ310の三つの端子と電気的に接続するための第1U相端子t11、第1V相端子t12、第1W相端子t13を備えている。さらに、電力変換装置100は、第2モータ320の三つの端子と電気的に接続するための第2U相端子t21、第2V相端子t22、第2W相端子t23を備えている。
第1コンバータ1aは、第1リアクトル21aと、2つのスイッチング素子3が直列に接続された半導体装置32とを備えている。第2コンバータ1bは、第1コンバータ1aと同様、第2リアクトル21bと半導体装置32とを備えている。
本実施形態では、スイッチング素子3として、IGBTとダイオードを備えたRC-IGBTを採用している。このダイオードは、IGBTと逆並列に挿入されるフリーホイールダイオードと同様な働きをする。しかしながら、本開示は、これに限定されず、スイッチング素子3として、MOSFETや、RC-IGBTとは異なるIGBTなどを採用することができる。なお、スイッチング素子3としてIGBTを採用した場合、半導体装置32は、IGBTと逆並列に接続されるフリーホイールダイオードを含んでいてもよい。
第1コンバータ1aは、高電位側のスイッチング素子3と、低電位側のスイッチング素子3とを含んでいる。この高電位側のスイッチング素子3は、上アーム素子と言える。一方、低電位側のスイッチング素子3は、下アーム素子と言える。
第1コンバータ1aは、高電位側のスイッチング素子3のコレクタが高電位ラインと電気的に接続され、エミッタが低電位側のスイッチング素子3のコレクタと電気的に接続されている。また、第1コンバータ1aは、低電位側のスイッチング素子3のコレクタが低電位ラインと電気的に接続されている。そして、第1コンバータ1aは、スイッチング素子3のゲートが、後程説明する回路基板40と電気的に接続されている。
第1リアクトル21aは、一方の端子が高電位側のスイッチング素子3のエミッタと低電位側のスイッチング素子3のコレクタに電気的に接続され、他方の端子がP端子t1に電気的に接続されている。第2コンバータ1bは、第1コンバータ1aと同様に構成されている。
詳述すると、第1リアクトル21aの一方の端子は、第1リアクトルバスバb2を介して、高電位側のスイッチング素子3のエミッタと低電位側のスイッチング素子3のコレクタに電気的に接続されている。第2リアクトル21bの一方の端子は、第2リアクトルバスバb3を介して、高電位側のスイッチング素子3のエミッタと低電位側のスイッチング素子3のコレクタに電気的に接続されている。そして、第1リアクトル21aの他方の端子と第2リアクトル21bの他方の端子は、共通リアクトルバスバb1を介して、P端子t1と電気的に接続されている。このように、共通リアクトルバスバb1は、第1リアクトル21aと第2リアクトル21bとに接続されている。よって、共通リアクトルバスバb1は、第1リアクトル21aと第2リアクトル21bに共通に設けられたバスバと言える。
共通リアクトルバスバb1は、例えば、板状の導電性部材を屈曲形成したものである。本実施形態では、一例として、X方向に延びる部位と、Y方向に延びる部位とを含み、これらの部位が連続的に設けられた共通リアクトルバスバb1を採用している。なお、第1リアクトルバスバb2や第2リアクトルバスバb3に関しても同様に、板状の導電性部材を屈曲形成したものを採用できる。
なお、第1コンバータ1aとバッテリ200との間、及び第2コンバータ1bとバッテリ200との間には、フィルタコンデンサ6が設けられている。フィルタコンデンサ6は、一方の端子がP端子t1と電気的に接続され、他方の端子がN端子t2と電気的に接続されている。
第1インバータ2aは、第1モータ310の各相に対応して、3つの半導体装置32を備えている。第1インバータ2aの各半導体装置32は、高電位側のスイッチング素子3のコレクタが高電位ラインと電気的に接続され、エミッタが低電位側のスイッチング素子3のコレクタと電気的に接続されている。また、各半導体装置32は、低電位側のスイッチング素子3のコレクタが低電位ラインと電気的に接続されている。そして、各半導体装置32は、スイッチング素子3のゲートが、後程説明する回路基板40と電気的に接続されている。さらに、各半導体装置32は、高電位側のスイッチング素子3のエミッタと低電位側のスイッチング素子3のコレクタとが、第1U相端子t11、第1V相端子t12、第1W相端子t13のそれぞれに電気的に接続されている。
第2インバータ2bは、第2モータ320の各相に対応して、3つの半導体装置32を備えている。第2インバータ2bは、第1インバータ2aと同様に構成されている。そして、第2インバータ2bの各半導体装置32は、高電位側のスイッチング素子3のエミッタと低電位側のスイッチング素子3のコレクタとが、第2U相端子t21、第2V相端子t22、第2W相端子t23のそれぞれに電気的に接続されている。
第1インバータ2a及び第2インバータ2bの入力側には、平滑コンデンサ4と放電抵抗5とが設けられている。つまり、平滑コンデンサ4と放電抵抗5とは、第1コンバータ1a及び第2コンバータ1bと、第1インバータ2a及び第2インバータ2bとの間に設けられている。この平滑コンデンサ4と放電抵抗5は、並列に設けられている。
本実施形態では、図5に示すように、一例として、第1U相端子t11~第1W相端子t13、第2U相端子t21~第2W相端子t23、出力バスバb40が一体的に設けられた出力端子台33を備えた電力変換装置100を採用している。
出力端子台33は、第1U相端子t11~第1W相端子t13、第2U相端子t21~第2W相端子t23、出力バスバb40を一体的に保持する保持部を備えている。保持部は、例えば、樹脂などによって構成されている。よって、出力端子台33は、例えばインサート成形によって、第1U相端子t11~第1W相端子t13、第2U相端子t21~第2W相端子t23、出力バスバb40と保持部とを一体物とすることができる。しかしながら、本開示は、これに限定されず、第1U相端子t11~第1W相端子t13、第2U相端子t21~第2W相端子t23、出力バスバb40が出力端子台33として一体的に設けられていなくてもよい。
また、出力端子台33は、各相の電流を検出するための電流センサが設けられていてもよい。電流センサは、保持部に保持された状態で、複数の出力バスバb40のそれぞれに個別に設けられている。よって、出力端子台33には、複数の出力バスバb40と同数の電流センサが設けられている。電流センサは、回路基板40と電気的に接続されており、各相の電流に応じた電気信号を回路基板40に出力する。
なお、電力変換装置100の回路構成は、これに限定されない。つまり、電力変換装置100は、コンバータの個数やインバータの個数が上記に限定されない。
次に、図1~図5を用いて、電力変換装置100の構成に関して説明する。図2に示すように、電力変換装置100は、平滑コンデンサ4、収容部10、リアクトル部20、パワーモジュール30、回路基板40、ばね部50が第1ケース60と第2ケース70に固定されている。
図2に示すように、電力変換装置100は、収容部10とパワーモジュール30とが積層方向に配置されている。また、積層配置された収容部10とパワーモジュール30は、リアクトル部20と隣り合って配置されている。つまり、収容部10とパワーモジュール30は、積層方向に直交する方向において、リアクトル部20と並んで配置されている。
また、図5に示すように、電力変換装置100は、積層方向に直交する方向において、パワーモジュール30と平滑コンデンサ4とが隣り合って配置されている。電力変換装置100は、積層方向に直交する方向において、パワーモジュール30とリアクトル部20とが隣り合って配置されている。
収容部10は、図2に示すように、フィルタコンデンサ6を収容している。収容部10は、例えば、フィルタコンデンサ6を収容可能なケースと、ケース内に配置されたフィルタコンデンサ6を封止するコンデンサ用樹脂部材10aなどとを備えている。また、フィルタコンデンサ6は、図3に示すように、リアクトル21a、21bなどと電気的及び機械的に接続可能とするために、第1端子b21と第2端子b22が露出した状態でコンデンサ用樹脂部材10aによって覆われている。
第1端子部b21は、図2、図3、図4に示すように、共通リアクトルバスバb1と第1ねじb31によって固定されている。また、第1端子部b21の少なくとも一部には、共通リアクトルバスバb1の一部が対向配置される。第1端子部b21と共通リアクトルバスバb1は、互いに対向配置される部位が第1ねじb31で固定されている。
つまり、第1端子部b21は、第1ねじb31によって、共通リアクトルバスバb1と電気的及び機械的に接続されている。また、リアクトル21a、21bとフィルタコンデンサ6とは、第1ねじb31によって、共通リアクトルバスバb1と第1端子部b21とが固定されることで電気的に接続される。同様に、第2端子b22は、共通リアクトルバスバb1とは異なるバスバと第2ねじb32によって固定されている。
収容部10のケースとしては、例えば凹形状をなしたものを採用することができる。この場合、ケースは、底部と、底部と連なって設けられた環状の側壁とを有し、底部に対向する位置が開口している。また、収容部10は、第2ケース70の凹部に配置されて、ねじなどの固定部材によって第2ケース70に固定されている。
なお、収容部10は、これに限定されず、コンデンサ用樹脂部材10aを備えていなくてもよい。また、収容部10は、フィルタコンデンサ6とともに、放電抵抗5を収容していてもよく、放電抵抗5やフィルタコンデンサ6とは異なる素子を収容していてもよい。
リアクトル部20は、第1リアクトル21a、第2リアクトル21b、リアクトル収容部73などを備えている。リアクトル収容部73は、第2ケース70と一体的に形成されたものや、第2ケース70と別体に形成されたものを採用することができる。本実施形態では、一例として、第2ケース70と一体的に形成されたリアクトル収容部73を採用する。なお、第2ケース70と別体に形成されたリアクトル収容部73は、溶接、嵌合、ねじなどの固定部材によって第2ケース70に取り付けることができる。
リアクトル収容部73は、二つのリアクトル21a、21bを個別に収容する第1区画部73a、第2区画部73bを含んでいる。各区画部73a、73bは、各リアクトル21a、21bを収容可能な収容空間や凹部と言える。リアクトル収容部73は、第1区画部73aに第1リアクトル21aを収容しており、第2区画部73bに第2リアクトル21bを収容している。各区画部73a、73bは、例えば、底部と、底部と連なって設けられた環状の側壁とを有し、底部に対向する位置が開口した構成を採用できる。
また、リアクトル収容部73は、各区画部73a、73bの開口にリアクトルカバーが取り付けられていてもよい。リアクトル収容部73は、リアクトルカバーによって完全に塞がれていてもいいし、部分的に塞がれていてもよい。
リアクトル収容部73及びリアクトルカバーは、第2ケース70と同様、アルミニウムなどの金属によって構成されていると好ましい。この場合、電力変換装置100は、大電流の交流を通電することにより、リアクトル21a、21bから発生するノイズを、リアクトル収容部73及びリアクトルカバーで遮蔽することができる。よって、電力変換装置100は、リアクトル21a、21bから発生するノイズがスイッチング素子3などに悪影響を与えることを抑制できる。なお、ノイズの遮蔽を目的とする場合、リアクトル収容部73は、リアクトルカバーによって、開口が完全に塞がれている方が好ましい。
各区画部73a、73bには、第1リアクトル21aと第2リアクトル21bに加えて、第1リアクトル21aを封止する第1樹脂部材22aと、第2リアクトル21bを封止する第2樹脂部材22bが設けられている。よって、各リアクトル21a、21bは、端子が露出した状態で各樹脂部材22a、22bによって覆われている。詳述すると、第1リアクトル21aは、第1電源側端子23と第1スイッチ側端子24とが第1樹脂部材22aから露出した状態で第1樹脂部材22aによって覆われている。一方、第2リアクトル21bは、第2電源側端子25と第2スイッチ側端子26とが第2樹脂部材22bから露出した状態で第2樹脂部材22bによって覆われている。
また、図2に示すように、第1リアクトル21aは、第1電源側端子23が共通リアクトルバスバb1に電気的に接続され、第1スイッチ側端子24が第1リアクトルバスバb2に電気的に接続されている。そして、第1リアクトル21aは、第1リアクトルバスバb2を介して、第1コンバータ1aのスイッチング素子3と電気的に接続されている。また、第1リアクトル21aは、共通リアクトルバスバb1を介して、パワーモジュール30の下に配置されたフィルタコンデンサ6と電気的に接続されている。
同様に、第2リアクトル21bは、第2電源側端子25が共通リアクトルバスバb1に電気的に接続され、第2スイッチ側端子26が第2リアクトルバスバb3に電気的に接続されている。そして、第2リアクトル21bは、第2リアクトルバスバb3を介して、第2コンバータ1bのスイッチング素子3と電気的に接続されている。また、第2リアクトル21bは、共通リアクトルバスバb1を介して、パワーモジュール30の下に配置されたフィルタコンデンサ6と電気的に接続されている。
なお、本実施形態では、二つのリアクトル21a、21bを備えているため二つの区画部73a、73bが形成されたリアクトル収容部73を採用している。しかしながら、リアクトル収容部73は、これに限定されず、リアクトルの個数に対応して、一つの区画部が形成されたものや、三つ以上の区画部が形成されたものであっても採用できる。
図2、図5に示すように、パワーモジュール30は、冷却器31、半導体装置32、出力端子32aなどを備えている。冷却器31は、半導体装置32を冷却するためのものである。また、冷却器31は、半導体装置32に含まれているスイッチング素子3を冷却するものと言える。冷却器31は、第1水路口31a、第2水路口31b、連結水路31eなどが取り付けられており、冷媒が流れる半導体冷却水路が形成されている。なお、冷却器31は、例えば、特開2018-101666号公報に記載されたものなどを採用することができる。冷却器31は、各半導体装置32が過熱するのを抑制する、又は、各半導体装置32の熱を放熱すると言い換えることができる。
パワーモジュール30は、ばね部50からX方向に押圧された状態で保持されている。ばね部50は、パワーモジュール30に対して圧縮荷重を与える加圧部材と言い換えることもできる。本実施形態では、各半導体装置32を両面から冷却する冷却器31を採用している。しかしながら、本開示は、これに限定されない。
各半導体装置32は、例えば、二つのスイッチング素子3とヒートシンクを兼ねた端子とが樹脂部材で封止されて一体化されたものを採用している。しかしながら、本開示は、これに限定されない。パワーモジュール30は、コンバータ1a、1b及びインバータ2a、2bにおける半導体装置32を備えている。各半導体装置32は、冷却器31に挟み込まれて固定されている。よって、各半導体装置32は、冷却器31によって冷却される。また、パワーモジュール30(各半導体装置32)は、Pバスバ、Nバスバ、出力バスバb40などと電気的に接続されている。
パワーモジュール30は、高電位側の各スイッチング素子3のコレクタがPバスバに電気的に接続され、低電位側のスイッチング素子3のエミッタがNバスバに電気的に接続されている。パワーモジュール30(各スイッチング素子3)は、Pバスバ及びNバスバを介して、平滑コンデンサ4及び放電抵抗5と電気的に接続されている。なお、Pバスバは、高電位ラインの一部とみなすことができる。一方、Nバスバは、低電位ラインの一部とみなすことができる。
また、パワーモジュール30は、高電位側の各スイッチング素子3のエミッタと低電位側の各スイッチング素子3のコレクタに電気的に接続された出力端子32aを有している。パワーモジュール30は、各半導体装置32に一つの出力端子32aが設けられているため、六つの出力端子32aを備えている。各出力端子32aは、複数の出力バスバb40と個別に電気的に接続されている。つまり、パワーモジュール30は、各半導体装置32が出力バスバb40と個別に電気的に接続されている。
第1インバータ2aは、3つの出力バスバb40を介して、第1U相端子t11、第1V相端子t12、第1W相端子t13と電気的に接続されている。そして、第1U相端子t11、第1V相端子t12、第1W相端子t13は、第1モータ310のU相端子、V相端子、W相端子のそれぞれと電気的に接続可能に構成されている。
第2インバータ2bは、3つの出力バスバb40を介して、第2U相端子t21、第2V相端子t22、第2W相端子t23と電気的に接続されている。そして、第2U相端子t21、第2V相端子t22、第2W相端子t23は、第2モータ320のU相端子、V相端子、W相端子のそれぞれと電気的に接続可能に構成されている。
なお、図2に示すように、パワーモジュール30は、各スイッチング素子3のゲートが回路基板40に電気的に接続されている。回路基板40は、樹脂などの電気絶縁性部材に導電性の配線が形成されている。回路基板40は、回路を構成する素子及び低圧信号コネクタ41が配線と電気的に接続された状態で実装されている。
また、回路基板40は、各スイッチング素子3のゲートと配線とを電気的及び機械的に接続するために、例えばスルーホールが形成されている。つまり、スルーホールは、配線の一部が形成されており、各スイッチング素子3のゲートに接続されたゲート端子が挿入される。そして、回路基板40は、スルーホールにゲート端子が挿入された状態で、はんだなどの導電性接続部材を介して、各スイッチング素子3のゲートと電気的及び機械的に接続されている。低圧信号コネクタ41は、回路基板40の配線を介してゲート端子と電気的に接続されている。なお、回路基板40は、ねじなどの固定部材によって第1ケース60に固定されている。
ここで、図2、図3、図4などを用いて、回路部などを収容する筐体に関して説明する。本実施形態では、筐体の一例として、第1ケース60、第2ケース70、第1カバー80、第2カバー90とを含むものを採用している。筐体は、第1ケース60、第2ケース70、第1カバー80、第2カバー90が組み合わされることで、平滑コンデンサ4、収容部10、リアクトル部20、パワーモジュール30、回路基板40、ばね部50などを収容する収容空間を形成している。
第1ケース60は、図2に示すように、第1固定フランジ61、第1フランジ62、固定壁63、上部64などを備えている。第1ケース60は、パワーモジュール30及び回路基板40が固定されている。第1ケース60は、アルミニウムなどの金属を主成分として構成されている。よって、第1ケース60は、樹脂を主成分として構成されたケースよりも熱伝導性がよい。なお、第1ケース60は、例えば、ダイキャスト法などによって製造することができる。
第1固定フランジ61は、第1ケース60と第2ケース70とを固定するための部位である。第1ケース60は、第1固定フランジ61と第2ケース70の第2固定フランジ71とが対向配置され、第1固定フランジ61と第2固定フランジ71とがねじなどの固定部材で固定されることで、第2ケース70に取り付けられている。第1フランジ62は、第1ケース60と第1カバー80とを固定するための部位である。
固定壁63は、周辺よりも突出した部位であり、金属製のばね部50を介してパワーモジュール30を固定するための部位である。固定壁63は、周辺よりも第2ケース70(収容部10)側に突出して設けられている。本実施形態では、回路基板40側ではなく、収容部10側に突出した固定壁63を採用している。なお、ばね部50は、特許請求の範囲におけるばねに相当する。
パワーモジュール30は、上記のようにスイッチング素子3を冷却するための冷却器31を備えている。固定壁63は、冷却器31との間にばね部50が配置されている。ばね部50は、固定壁63と冷却器31とに押圧されている。そして、パワーモジュール30は、固定壁63と冷却器31との間のばね部50が配置された状態で、固定壁63に固定されている。このように、固定壁63は、ばね部50を介して、冷却器31と対向配置されている。よって、固定壁63は、冷却器31によって冷却されている。
さらに、固定壁63は、図2に示すように、パワーモジュール30とリアクトル21a、21bとの間に配置されている。パワーモジュール30は、上記のように、複数のスイッチング素子3を含んでいる。このため、固定壁63は、スイッチング素子3とリアクトル21a、21bとの間に配置されている。詳述すると、固定壁63は、X方向において、スイッチング素子3とリアクトル21a、21bとの間に配置されている。
これによって、固定壁63は、リアクトル21a、21bとスイッチング素子3間において、ノイズを遮蔽する部位としても機能する。つまり、固定壁63は、リアクトル21a、21bから発生するノイズがスイッチング素子3に伝搬するのを抑制でき、且つ、スイッチング素子3から発生するノイズがリアクトル21a、21bに伝搬するのを抑制できる。
上部64は、パワーモジュール30上に配置されている部位である。パワーモジュール30と回路基板40とは、上部64を介して対向配置されている。固定壁63は、上部64からパワーモジュール30側に突出して設けられている。なお、上部64には、回路基板40を載置するための突起が設けられていてもよい。
第2ケース70は、第2固定フランジ71、第2フランジ72、リアクトル収容部73、底部74などを備えている。第2ケース70は、平滑コンデンサ4、収容部10、リアクトル21a、21bが固定されている。第2ケース70は、アルミニウムなどの金属を主成分として構成されている。よって、第2ケース70は、樹脂を主成分として構成されたケースよりも熱伝導性がよい。なお、第2ケース70は、例えば、ダイキャスト法などによって製造することができる。
第1固定フランジ61は、第1ケース60と第2ケース70とを固定するための部位である。第1ケース60は、第1固定フランジ61と第2ケース70の第2固定フランジ71とが対向配置され、第1固定フランジ61と第2固定フランジ71とがねじなどの固定部材で固定されることで、第2ケース70に取り付けられている。第1フランジ62は、第1ケース60と第1カバー80とを固定するための部位である。
リアクトル収容部73は、上記のように構成されている。また、リアクトル収容部73は、X方向において、固定壁63と対向して設けられている。つまり、電力変換装置100は、リアクトル収容部73と固定壁63との間に対向領域が形成されている。なお、リアクトル収容部73は、一部が固定壁63と対向していればよい。
また、リアクトル収容部73と固定壁63との間に対向領域は、Y方向において、第1ケース60一部と第2ケース70の一部とによって挟み込まれている。さらに、リアクトル収容部73と固定壁63との間に対向領域は、Z方向において、第1ケース60一部と第2ケース70の一部とによって挟み込まれていてもよい。このように、電力変換装置100は、第1ケース60と第2ケース70とが組み付けられることで、第1ケース60と第2ケース70とで囲まれる領域が形成される。
底部74は、リアクトル収容部73と連続的に設けられており、平滑コンデンサ4及び収容部10が配置されている。平滑コンデンサ4及び収容部10は、例えば、ねじなどの固定部材によって底部74に固定されている。また、底部74の上方には、パワーモジュール30が配置されている。
なお、後程説明するが、第2ケース70は、水路w10を構成する部位が形成されている。また、第2ケース70は、水路w10への冷却水の出入り口である第3水路口31c、第4水路口31dが取り付けられている。第3水路口31cと第4水路口31dは、第2ケース70の一部であってもよいし、第2ケース70と別体であってもよい。
第1カバー80は、第1カバー側フランジ81、コネクタ用開口部82などを備えている。第1カバー80は、第1ケース60の開口を覆う部材である。第1カバー80と第1ケース60とは、Y方向において積層されて配置されている。第1カバー80は、回路基板40に取り付けられた低圧信号コネクタ41を筐体の外部に露出させるための貫通穴であるコネクタ用開口部82が設けられている。第1カバー80は、第1カバー側フランジ81と第1フランジ62とが対向配置され、第1カバー側フランジ81と第1フランジ62とがねじなどの固定部材で固定されることで、第1ケース60に取り付けられている。
第2カバー90は、第2カバー側フランジ91、凸部92などを備えている。第2カバー90は、第2ケース70の開口を覆う部材である。第2カバー90と第2ケース70とは、Y方向において積層されて配置されている。第2カバー90は、第2カバー側フランジ91と第2フランジ72とが対向配置され、第2カバー側フランジ91と第2フランジ72とがねじなどの固定部材で固定されることで、第2ケース70に取り付けられている。
第2カバー90は、収容空間とは反対側に突出した凸部92が設けられている。凸部92は、周辺よりも第2ケース70とは反対側に突出して設けられている。つまり、第2カバー90は、モータ部300と対向する外側に、モータ部300の外形に対応して周辺よりも突出した凸部92が設けられている。第2カバー90は、例えば、凸部92の周辺の外表面が平坦面となっている。詳述すると、凸部92は、電力変換装置100が取り付けられるモータ部300の外形に沿って周辺よりも突出している。
なお、モータ部300は、外形が曲面形状(円弧形状)を有している。このため、モータ部300は、平坦面と対向配置された場合、平坦面とモータ部300の曲面との間に空間(三角隙間)が形成される。
電力変換装置100は、この空間がデッドスペースとなることを抑制するために、凸部92が形成されている。よって、電力変換装置100は、三角隙間に凸部92が配置されるように、モータ部300に取り付けられる。このため、電力変換装置100は、モータ部300の頂点から外れた位置に凸部92が位置するように配置される。また、電力変換装置100は、凸部92が三角隙間に配置されるようにモータ部300に取り付けられると、電力変換装置100とモータ部300とからなる構造体の高さを抑えることができるので好ましい。高さは、Y方向の長さである。
凸部92は、図1、図2に示すように、内側におけるリアクトル収容部73に対向する位置に、周辺よりも凹んだ凹部が形成されている。第2カバー90は、第2ケース70に取り付けられた状態で、リアクトル収容部73の一部が凹部に配置される。
この凹部は、後程説明する第2水路形成部w2に相当する。第2水路形成部w2は、第2カバー90の内側に形成された溝とも言える。本実施形態では、図2に示すように、収容部10に対向する位置にも凹部(第1水路形成部w1)が形成された第2カバー90を採用している。
なお、本実施形態では、Y方向において、第1カバー80から第2カバー90へ向かう方向を下方向、第2カバー90から第1カバー80へ向かう方向を上方向と称する。よって、第2カバー90は、第1カバー80よりも下側に設けられていると言える。逆に、第1カバー80は、第2カバー90よりも上側に設けられていると言える。下方向は、重力方向と一致していてもよいし、一致していなくてもよい。
また、第2ケース70は、第2カバー90との間に水路w10が形成されている。このため、第2ケース70は、第2カバー90側から第1ケース70側へ冷却水が漏れないように構成されている。よって、電力変換装置100は、第2ケース70と第1ケース60との間の空間と、第2ケース70と第2カバー90との間の空間とが、第2ケース70によって、冷却水が漏れないように区画されている。なお、リアクトル収容部73が第2ケース70と別体の場合、第2ケース70は、Oリングなどの環状のパッキンを介してリアクトル収容部73が取り付けられる。また、リアクトル収容部73が第2ケース70の一部として一体的に形成されている場合、第2ケース70は、貫通穴などが形成されないようすることで、第2カバー90側から第1ケース70側へ冷却水が漏れないようにすることができる。
ここで、図1、図2を用いて、電力変換装置100における冷却水が流れる構成に関して説明する。電力変換装置100は、パワーモジュール30の冷却器31に加えて、冷却器31とは異なる位置に水路w10が形成されている。
第1水路口31a~第4水路口31dは、冷却器31及び水路w10への冷却水の出入り口である。第1水路口31aと第2水路口32bは、冷却器31への冷却水の出入り口である。一方、第3水路口31cと第4水路口32dは、水路w10への冷却水の出入り口である。本実施形態では、一例として、第1水路口31aが冷却器31への冷却水の入口、第2水路口31bが冷却器31からの冷却水の出口、第3水路口31cが水路w10への冷却水の入口、第4水路口31dが水路w10からの冷却水の出口である例を採用する。なお、図1、図2では、連結水路31eを介した第2水路口31bと第3水路口31cとの連結構造を明確にするために、第1水路口31aと第4水路口31dを省略している。
しかしながら、本開示は、これに限定されない。本開示は、第2水路口31bが冷却器31への冷却水の入口、第1水路口31aが冷却器31からの冷却水の出口、第4水路口31dが水路w10への冷却水の入口、第3水路口31cが水路w10からの冷却水の出口であっても採用することができる。
図1、図2に示すように、第2水路口31bと第3水路口32cは、冷却水が流れる連結水路31eが取り付けられている。連結水路31eは、一端側に第2水路口31bが取り付けられ、他端側に第3水路口31cが取り付けられて、冷却器31と水路w10との間で冷却水が流れるように、第2水路口31bと第3水路口31cとを連結している。
このため、電力変換装置100は、冷却器31内と水路w10とが連結水路31eを介して連通した一続きの水路が形成されている。冷却水は、第1水路口31aから冷却器31内へ流入して、冷却器31内を流れて第2水路口31bから連結水路31eへと流出する。さらに、冷却水は、連結水路31eを通り、第3水路口31cから水路w10内へ流入して、水路w10内を流れて第4水路口31dから流出する。
電力変換装置100は、第2ケース70と第2カバー90とで水路w10が形成されている。つまり、水路w10は、第2ケース70に対して第2カバー90が取り付けられることで形成される。水路w10は、第3水路口31c及び連結水路31eを介して冷却器31の水路と連通している。水路w10は、第3水路口31cから流入した冷却水が第4水路口31dから流出するように、U字形状に設けられている。この水路w10は、冷却水路に相当する。
第2ケース70や第2カバー90は、水路w10を形成するための第1水路形成部w1、第2水路形成部w2、第3水路形成部w3、第4水路形成部w4、第5水路形成部w5が形成されている。第1水路形成部w1~第5水路形成部w5のそれぞれは、周辺よりも凹んだ凹部である。また、第1水路形成部w1~第5水路形成部w5のそれぞれは、第2ケース70や第2カバー90に形成された溝とも言える。
第1水路形成部w1は、第2ケース70と第2カバー90とにおける、互いに対向する部位に形成されている。また、第1水路形成部w1は、第2ケース70における収容部10が配置された部位の下側に形成されている。よって、第1水路形成部w1は、Y方向において、収容部10と対向する位置に形成されている。
第2水路形成部w2は、リアクトル収容部73の下側に形成されている。よって、第2水路形成部w2は、Y方向において、リアクトル21a、21bと対向する位置に形成されている。
第3水路形成部w3は、リアクトル収容部73に形成されている。つまり、第3水路形成部w3は、第1区画部73aと、第1区画部73aに隣り合う部位との間に形成されている。第3水路形成部w3は、第1リアクトル21aと隣り合って形成されている。
第4水路形成部w4は、リアクトル収容部73に形成されている。つまり、第4水路形成部w4は、第1区画部73aと第2区画部73bとの間に形成されている。よって、第4水路形成部w4は、第1リアクトル21aと第2リアクトル21bとの間に形成されている。
第5水路形成部w5は、リアクトル収容部73と第2ケース70の側壁との間に形成されている。よって、第5水路形成部w5は、第2リアクトル21bと第2ケース70との間において、第2リアクトル21bと隣り合って形成されている。
このように、第2水路形成部w2~第5水路形成部w5は、リアクトル収容部73の周辺に設けられている。第2ケース70と第2カバー90は、水路w10に冷却水が流れることで冷やされている。また、リアクトル21a、21bは、第2ケース70の区画部73、73bに配置されているため、冷却水で冷やされた区画部73a、73bによって冷却される。リアクトル21a、21bは、特に、第2水路形成部w2~第5水路形成部w5に冷却水が流れることで冷却される。
また、第1リアクトル21aと第2リアクトル21bとの間には、第4水路形成部w4が形成されている。このため、電力変換装置100は、第1リアクトル21aと第2リアクトル21bとの間における熱干渉を抑制することができる。
第2水路形成部w2~第5水路形成部w5は、リアクトル21a、21bを冷却するために設けられていると言える。なお、第2水路形成部w2~第5水路形成部w5は、冷却機構に相当する。また、第4水路形成部w4は、区画部73a、73b間に設けられた冷却機構の一部に相当する。
また、図2、図3、図4に示すように、第1リアクトル21aと第2リアクトル21bに電気的及び機械的に接続された共通リアクトルバスバb1は、リアクトル収容部73と固定壁63との間に一部が配置されている。つまり、共通リアクトルバスバb1の一部は、リアクトル収容部73と固定壁63との対向領域に配置されている。特に、共通リアクトルバスバb1の一部は、リアクトル収容部73と固定壁63と接することなく対向領域に配置されている。本実施形態では、共通リアクトルバスバb1におけるY方向に延びる部位がリアクトル収容部73と固定壁63との間に配置された例を採用している。
共通リアクトルバスバb1は、リアクトル21a、21bに電気的に接続されている。このため、共通リアクトルバスバb1は、リアクトル21a、21bが発熱すると、リアクトル21a、21bの熱が伝達されて発熱することになる。そこで、電力変換装置100は、このように発熱する共通リアクトルバスバb1をリアクトル収容部73と固定壁63とで冷却する。
ここで、共通リアクトルバスバb1の冷却に関して説明する。上記のように、リアクトル収容部73は、周辺に水路w10が設けられているため、水路w10を流れる冷却水によって冷やされている。一方、固定壁63は、冷却器31を備えたパワーモジュール30を固定しているため、冷却器21によって冷やされている。このため、リアクトル収容部73と固定63との対向領域は、リアクトル収容部73と固定63とで冷やされた領域となる。
そして、共通リアクトルバスバb1は、このリアクトル収容部73と固定壁63との間に配置されている。つまり、共通リアクトルバスバb1の一部は、リアクトル収容部73と固定壁63とで冷やされた領域に配置されている。言い換えると、共通リアクトルバスバb1の一部は、リアクトル収容部73と固定壁63とで冷やされた冷気に晒される。
よって、電力変換装置100は、伝熱部材などを用いることなく、共通リアクトルバスバb1をリアクトル収容部73と固定壁63との間に配置するだけで、共通リアクトルバスバb1を冷却することができる。このように、電力変換装置100は、リアクトル21a、21bだけでなく、共通リアクトルバスバb1も冷却することができる。従って、電力変換装置100は、部品点数を増加させることなく、リアクトル21a、21bからの伝熱を抑制できる。
また、例えば、リアクトル21a、21bの耐熱が150℃で、リアクトル21a、21bと接続されるフィルタコンデンサ6が耐熱100℃だとした場合、リアクトル21a、21bの発熱は、100℃まで抑える必要がある。このように、発熱を抑えるためには、リアクトル21a、21bの体格が大型化する可能性がある。
しかしながら、電力変換装置100は、リアクトル21a、21bに加えて共通リアクトルバスバb1を冷却しており、リアクトル21a、21b及び共通リアクトルバスバb1からフィルタコンデンサ6などの他部品への伝熱を抑制している。このため、電力変換装置100は、リアクトル21a、21bを150℃まで使い切ることができ、リアクトル21a、21bが大型化することを抑制できる。
また、電力変換装置100は、リアクトル収容部73と固定壁63とで冷やされた領域に共通リアクトルバスバb1を配置するだけで、共通リアクトルバスバb1を冷却することができる。つまり、電力変換装置100は、共通リアクトルバスバb1をリアクトル収容部73や固定壁63に接触させる必要がない。このため、電力変換装置100は、共通リアクトルバスバb1を高精度に製造したり取り付けたりすることなく、共通リアクトルバスバb1を冷却することができる。言い換えると、電力変換装置100は、共通リアクトルバスバb1の製造ばらつきや、取り付けばらつきが生じた場合であっても、共通リアクトルバスバb1を冷却することができる。
本実施形態では、一例として、ケース60、70の一部であるリアクトル収容部73と固定壁63を採用している。そして、共通リアクトルバスバb1は、リアクトル収容部73と固定壁63との間に配置され、且つ、ケース60、70におけるリアクトル収容部73と固定壁63とは異なる複数の部位の間に配置されていると好ましい。つまり、共通リアクトルバスバb1は、リアクトル収容部73と固定壁63との間に配置され、且つ、第1ケース60の上部64と第2ケース70の底部74の間に配置されている。
上部64は、固定壁63と連続的に設けられているため、固定壁63を介して、冷却器31によって冷やされている。一方、底部74は、水路w10に流れる冷却水によって冷やされている。よって、リアクトル収容部73、固定壁63、上部64、底部74で囲まれた領域は、冷却空間となっている。
このため、電力変換装置100は、上部64と底部74との間に配置されていない場合よりも、共通リアクトルバスバb1を冷却しやすい。また、これによって、電力変換装置100は、リアクトル21a、21bから発せられた熱が空気によって伝熱することも抑制できる。しかしながら、本開示は、これに限定されず、リアクトル収容部73と固定壁63との間に共通リアクトルバスバb1が配置されていればよい。
なお、本実施形態では、図3、図4に示すように、平滑コンデンサ4に電気的及び機械的に接続されたコンデンサ用バスバb11の一部に関しても、リアクトル収容部73と固定壁63との間に配置された例を採用している。これによって、電力変換装置100は、コンデンサ用バスバb11に関しても、リアクトル収容部73と固定壁63とで冷却することができる。
第2カバー90は、凸部92の内側に、凹状の部位である第2水路形成部w2が形成されている。このため、電力変換装置100は、リアクトル収容部73の一部を第2水路形成部w2内に配置することができる。よって、電力変換装置100は、リアクトル収容部73が第2水路形成部w2に配置されていない場合よりも、リアクトル収容部73と冷却水との接触面積を増やすことができリアクトル21a、21bを冷却しやすい。言い換えると、電力変換装置100は、リアクトル21a、21bの熱を放熱しやすい。さらに、電力変換装置100は、リアクトル21a、21bが第2水路形成部w2に配置されていない場合よりも、筐体60~90内の空間を有効に使うことができる。
なお、本実施形態では、回路部の一部として、リアクトル収容部73の一部が第2水路形成部w2に配置されている例を採用している。しかしながら、本開示は、これに限定されず、回路部の他の一部が第2水路形成部w2に配置されていてもよい。
また、水路w10は、フィルタコンデンサ6の下側にも形成されている。つまり、フィルタコンデンサ6は、Y方向において、水路w10の一部である第1水路形成部w1と対向配置されていると言える。このため、電力変換装置100は、水路w10に冷却水が流れることで、冷却水によって、フィルタコンデンサ6を冷却することができる。また、水路w10は、フィルタコンデンサ6の冷却と、リアクトル21a、21bの冷却に兼用することができる。
このように構成された電力変換装置100は、図1、2に示すように、第1モータ310、第2モータ320を備えたモータ部300に取り付け可能に構成されている。なお、電力変換装置100は、第1モータ310及び第2モータ320などを収容しているモータケースにねじなどの固定部材によって固定される。モータ部300は、被取付体に相当する。
モータ部300は、第1モータ310や第2モータ320が、ロータが回転することで発熱する。このため、電力変換装置100は、モータ部300に取り付けられた場合、モータ部300が発する熱が伝達される可能性がある。
また、図1、図2に示すように、電力変換装置100は、第2カバー90がモータ部300に対向する状態で、モータ部300に取り付けられる。よって、電力変換装置100は、第1カバー80側よりも第2カバー90側の方が、モータ部300からの熱が伝わりやすい。
パワーモジュール30は、第2カバー90よりも第1カバー80に近い位置に配置されている。このため、パワーモジュール30は、モータ部300からの熱が比較的伝わりにくい位置に配置されている。また、パワーモジュール30の半導体装置32は、冷却器31に取り付けられているため、冷却器31によって冷却することができる。
一方、収容部10に収容されたフィルタコンデンサ6は、第1カバー80よりも第2カバー90に近い位置に配置されている。また、リアクトル21a、21bは、第1カバー80側から第2カバー90側にわたって配置されている。よって、リアクトル21a、21bの一部は、第1カバー80よりも第2カバー90に近い位置に配置されている。このため、フィルタコンデンサ6、リアクトル21a、21bは、モータ部300からの熱が比較的伝わりやすい位置に配置されている。
しかしながら、電力変換装置100は、フィルタコンデンサ6、リアクトル21a、21bと第2カバー90との間に水路w10が形成されている。つまり、電力変換装置100は、モータ部300に取り付けられた状態で、モータ部300とフィルタコンデンサ6、リアクトル21a、21bとの間に水路w10が配置される。
このため、モータ部300から発せられた熱は、第2カバー90を介して水路w10を流れる冷却水に伝達(放熱)される。よって、電力変換装置100は、フィルタコンデンサ6、リアクトル21a、21bに、モータ部300からの熱が伝わることを抑制できる。つまり、電力変換装置100は、水路w10が設けられていない場合よりも、フィルタコンデンサ6、リアクトル21a、21bがモータ部300から受熱することを抑制できる。また、電力変換装置100は、モータ部300からフィルタコンデンサ6、リアクトル21a、21bへの受熱を水路w10で遮蔽するとも言える。これによって、電力変換装置100は、フィルタコンデンサ6、リアクトル21a、21bが、モータ部300からの熱によって加熱されることを抑制できる。
また、電力変換装置100は、モータ部300に対応するように凸部92を設けているため、凸部92が設けられていない構成よりも、モータ部300との距離を近くすることができる。このため、電力変換装置100は、水路w10を流れる冷媒によって、モータ部300を冷却することもできる。
さらに、電力変換装置100は、フィルタコンデンサ6が冷却器31と水路w10との間に配置されている。よって、フィルタコンデンサ6は、底面が水路w10と対向配置され、且つ、上面が冷却器31と対向配置されている。つまり、電力変換装置100は、フィルタコンデンサ6を両面から冷却できる構成となっている。言い換えると、電力変換装置100は、フィルタコンデンサ6から発せられる熱を冷却器31と水路w10に放熱して、フィルタコンデンサ6を冷やすことができる。よって、電力変換装置100は、フィルタコンデンサ6を片面からのみ冷却する構成よりも、放電抵抗5及びフィルタコンデンサ6の冷却性能を向上することができる。
電力変換装置100は、収容部10が第3水路形成部w3とも隣り合っている。つまり、フィルタコンデンサ6は、側面も水路w10と対向配置される。このため、電力変換装置100は、フィルタコンデンサ6を両面からだけでなく、側面からも冷却することができる。つまり、電力変換装置100は、フィルタコンデンサ6をY方向からだけでなくX方向からも冷却することができる。よって、電力変換装置100は、フィルタコンデンサ6を両面からだけ冷却する構成よりも、フィルタコンデンサ6の冷却性能を向上することができる。
また、フィルタコンデンサ6は、金属製の第2ケース70に形成された凹部に配置されている。このため、電力変換装置100は、大電流の交流を通電することにより、フィルタコンデンサ6から発生するノイズを、第2ケース70で遮蔽することができるので好ましい。
電力変換装置100は、リアクトル21a、21bやフィルタコンデンサ6などを備えているため、ノイズバイブレーションが発生しうる。しかしながら、電力変換装置100は、局部的に突出した凸部92を備えることで第2カバー90の剛性を向上させることができるため、ノイズバイブレーションを低減することができる。また、電力変換装置100は、第2ケース70及び第2カバー90において、X方向及びY方向に水路w10が形成されているため、第2ケース70及び第2カバー90の剛性を構成させることができ、ノイズバイブレーションを低減することができる。
電力変換装置100は、モータ部300の直上に搭載されるためモータ部300から振動を受けることもある。しかしながら、電力変換装置100は、第2ケース70や第2カバー90の剛性を向上させることができるため、モータ部300から振動を受けた場合であっても破損を抑制することができる。
電力変換装置100は、モータ部300と別体に構成されている。このため、電力変換装置100は、モータ部300と一体的に構成されている場合よりも、モータ部300からの振動や熱の影響を低減することができる。また、電力変換装置100は、搭載される車種が変更になった場合など、異なるモータ部300であっても同様の効果を奏することができる。つまり、本開示は、電力変換装置100が同一で別モータ部との組み合わせであっても同様の効果を奏することができる。
なお、本実施形態では、被取付体として、外形が曲面形状のモータ部300を採用した。しかしながら、本開示は、これに限定されず、外形が曲面形状のモータ部や、トランスミッション装置などを被取付体として採用することもできる。つまり、電力変換装置100は、外形が曲面形状のモータ部や、トランスミッション装置などにも取り付けられる。このような場合であっても、電力変換装置100は、上記効果を奏することができる。
以上、本開示の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本開示は、上記実施形態に何ら制限されることはなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能である。以下に、本開示のその他の形態として、変形例1、2に関して説明する。上記実施形態及び変形例1、2は、それぞれ単独で実施することも可能であるが、適宜組み合わせて実施することも可能である。本開示は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。
(変形例1)
変形例1の電力変換装置は、固定壁63aの構成が上記実施形態と異なる。固定壁63aは、固定壁63と同様に、リアクトル21a、21bとスイッチング素子3との間において、ノイズを遮蔽する部位として機能する。
このため、固定壁63aは、できる限り、リアクトル21a、21bとスイッチング素子3との間における広範囲に設けると好ましい。例えば、固定壁63aは、図7に示すように、第1ねじb31や第2ねじb32と接触しない範囲で、第1ねじb31や第2ねじb32の近くまで設けられると好ましい。これによって、固定壁63aは、固定壁63よりもノイズの遮蔽性能を向上できる。
(変形例2)
変形例2の電力変換装置は、共通リアクトルバスバb1aの構成が上記実施形態と異なる。図8に示すように、共通リアクトルバスバb1aは、リアクトル収容部73と固定壁63との間に配置された部位の少なくとも一部が凹凸形状をなしている。本変形例では、一例として、凸部と凹部が連続して形成され、且つ、凸部と凹部が曲面形状の共通リアクトルバスバb1aを採用している。しかしながら、共通リアクトルバスバb1aは、凸部と凹部が曲面形状でなくてもよい。
これによって、共通リアクトルバスバb1aは、共通リアクトルバスバb1よりも、冷気との接触面積を増やすことができる。つまり、共通リアクトルバスバb1aは、共通リアクトルバスバb1よりも放熱面積を増やすことができる。よって、変形例2の電力変換装置は、上記実施形態よりも共通リアクトルバスバb1aを冷却しやすい。また、変形例2の電力変換装置は、渦電流がケース60、70に流れにくくなり、渦電流に伴う発熱も抑制できる。