JP5255573B2 - 硬貨処理機 - Google Patents

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Description

本発明は、硬貨処理機に関する。
従来、切符や食券等を発行する券売機、物品を販売する自動販売機、入出金処理を行うATM(Auto Tellers Machine)やCD(Cash Dispenser)、係員機等、硬貨を取り扱う様々な硬貨処理機においては、一対のベルトで硬貨を挟持して搬送する硬貨搬送装置が多く用いられている。
このような硬貨搬送装置を用いて硬貨を搬送する際、硬貨詰りが発生した場合に、詰まった硬貨を自動的に取り出して復旧する硬貨搬送装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
この硬貨搬送装置では、一対のベルトで硬貨を挟持して上方に搬送する第1の搬送路と、ベルト上面に載置される硬貨を第1の搬送路の入口へ搬送する第2の搬送路とで一連の搬送路が構成されている。第2の搬送路の上方にローラとこのローラの両側面にガイドを配置し、ガイドにより第1の搬送路を形成する一方のベルトとローラとの間に硬貨が進入するのを防止している。また、硬貨がローラと第2の搬送路との間で詰まったときは、搬送路を逆転させて詰まった硬貨を取り出すことを可能としている。
特開2002−367013号公報(第1頁、図1−2)
しかしながら、従来の硬貨搬送装置では、硬貨を一対のベルトで挟持して搬送するため、硬貨に付着したゴミ、異物等もベルトに挟み込まれ、搬送路に堆積することが多く、これらのゴミ、異物等が原因による搬送不良の発生も多いものとなっている。
また、一対のベルトで硬貨を挟持して搬送することは、ベルトと硬貨との摩擦を利用したものであるが、硬貨の汚れ具合や付着物に起因する摩擦係数の変化、さらに、周囲の温度変化や経年変化に起因するベルト自体の摩擦係数の変化によって、硬貨を挟み込むグリップ力が変化して、硬貨の搬送状態が不安定になり、正確な硬貨識別、選別等の搬送処理が行えなくなってしまう。
本発明は、これらを鑑みなされたものであり、ゴミ、異物等が原因による硬貨の搬送不良を防止するとともに、従来のような硬貨と搬送ベルトとの摩擦係数の変動を原因とする硬貨の搬送状態の不安定さがなく、硬貨の搬送状態を安定させることができ、さらに、硬貨搬送中に搬送通路内で硬貨詰まりが発生した場合、搬送通路内で詰まった硬貨を自動的に取り出して復旧可能となる操作性、利便性に優れた硬貨処理機を提供することを目的とする。
求項記載の硬貨処理機は、硬貨を処理する硬貨処理機において、硬貨を非整列状態で貯留するとともに、貯留硬貨を1枚ずつ繰り出す繰出手段と、前記繰出手段から繰り出された硬貨を受け入れるとともに受け入れた硬貨を金種別に分岐する複数の分岐部を備えた搬送通路と、前記繰出手段から前記搬送通路内に繰り出された硬貨を受け取り、前記搬送通路内を1枚ずつ押動搬送可能とする複数の突起体を備えた搬送体と、前記搬送体を駆動する搬送体駆動手段と、前記繰出手段に設けられ、閉状態では前記繰出手段内に硬貨を貯留可能にするとともに、開状態では前記繰出手段内の硬貨を外部へ排出可能とする排出ゲートと、前記排出ゲートを駆動する排出ゲート駆動手段と、前記排出ゲートから排出された硬貨を受け止めるとともに、受け止めた硬貨を前記硬貨処理機外から取り出し可能に形成された硬貨出金部と、前記硬貨を搬送する際、前記繰出手段を駆動させて硬貨を前記搬送通路内に繰り出すとともに、前記搬送体駆動手段を駆動させて前記搬送体により前記搬送通路内の硬貨を搬送し、この硬貨搬送中に前記搬送通路内で硬貨詰まりが発生した場合、前記繰出手段の駆動を停止させ、前記排出ゲート駆動手段を駆動させて前記排出ゲートを開状態とし、前記搬送体駆動手段を搬送方向とは逆方向に駆動させて前記搬送体により前記搬送通路内に詰まった硬貨を前記繰出手段に戻し、前記排出ゲートを介して前記硬貨出金部に硬貨を排出させる制御部とを具備しているものである。
請求項記載の硬貨処理機は、請求項記載の硬貨処理機において、前記繰出手段は、硬貨の出入りが可能な硬貨出入口と、回転軸に取り付けられ水平方向に対して所定角度で傾斜する位置で回転される回転円盤と、前記回転円盤の表面側に硬貨を貯留するホッパと、前記回転円盤の表面から突出し、貯留硬貨を1枚ずつ拾い上げる拾上部材と、前記硬貨出入口近傍に配設され、前記拾上部材によって所定間隔毎に1枚ずつ拾い上げられる硬貨を受け取るとともに、1枚ずつ前記搬送体へ受け渡す小径円盤とを備えたものである。
請求項記載の硬貨処理機は、請求項記載の硬貨処理機において、前記排出ゲートは、前記ホッパの下側の一部を形成するものである。
請求項記載の硬貨処理機は、請求項記載の硬貨処理機において、外部機器と通信可能な通信手段を備え、前記制御部は、硬貨搬送中に硬貨詰まりが発生した後、前記通信手段を介して前記外部機器から指令された復旧指令に従って、前記排出ゲート駆動手段を駆動させて前記排出ゲートを開状態とし、前記搬送体駆動手段を搬送方向とは逆方向に駆動させて前記搬送体により前記搬送通路内に詰まった硬貨を前記繰出手段に戻し、前記排出ゲートを介して前記硬貨出金部に硬貨を排出させるものである。
請求項記載の硬貨処理機は、請求項記載の硬貨処理機において、硬貨を収納するとともに、前記通信手段を介して前記外部機器から指令された出金指令に従って、収納硬貨を前記硬貨出金部に払出可能とする硬貨収納部を備え、前記硬貨出金部は、前記硬貨収納部から払い出された硬貨を受け止めるとともに、受け止めた硬貨を前記硬貨処理機外から取り出し可能に形成されているものである。
請求項記載の硬貨処理機は、請求項記載の硬貨処理機において、硬貨搬送中に硬貨詰まりが発生した後、前記外部機器から復旧指令が指令されるのを待って復旧するか、前記外部機器から復旧指令が指令されるのを待たずに復旧するかを設定する設定手段を備え、前記制御部は、前記設定手段によって前記外部機器から復旧指令が指令されるのを待たずに復旧するように設定されている場合、硬貨搬送中に硬貨詰まりが発生した後、前記通信手段を介して前記外部機器から復旧指令が指令されるのを待たず、前記搬送通路内に詰まった硬貨を前記硬貨出金部に排出させるものである。
請求項記載の硬貨処理機は、請求項記載の硬貨処理機において、前記制御部は、前記搬送通路内に詰まった硬貨を前記硬貨出金部に排出する際、前記搬送体駆動手段を搬送方向への駆動よりも遅い速度で搬送方向とは逆方向に駆動させるものである。
求項記載の硬貨処理機によれば、搬送体の突起体で搬送通路内の硬貨を1枚ずつ押動搬送するため、ゴミ、異物等が原因による硬貨の搬送不良を防止できるとともに、従来のような硬貨と搬送ベルトとの摩擦係数の変動を原因とする硬貨の搬送状態の不安定さがなく、硬貨の搬送状態を安定させることができ、さらに、硬貨搬送中に硬貨詰まりが発生した場合、繰出手段の駆動を停止させ、排出ゲート駆動手段を駆動させて排出ゲートを開状態とし、搬送体駆動手段を搬送方向とは逆方向に駆動させて搬送体により搬送通路内に詰まった硬貨を繰出手段に戻し、排出ゲートを介して硬貨出金部に硬貨を排出させるため、搬送通路内で詰まった硬貨を自動的に取り出して復旧でき、操作性、利便性に優れた硬貨処理機を提供できる。
請求項記載の硬貨処理機によれば、請求項記載の硬貨処理機の効果に加えて、水平方向に対して所定角度で傾斜する回転円盤とホッパとの間に貯留した硬貨を、回転円盤の拾上部材で1枚ずつ拾い上げるとともに小径円盤によって1枚ずつ搬送体に受け渡すため、ゴミ、異物等が搬送通路に繰り出されるのを防止でき、ゴミ、異物等が原因による硬貨の搬送不良を防止できる。
請求項記載の硬貨処理機によれば、請求項記載の硬貨処理機の効果に加えて、ホッパの下側の一部を形成する排出ゲートを開状態とすることにより、回転円盤とホッパとの間から硬貨を確実に排出できる。
請求項記載の硬貨処理機によれば、請求項記載の硬貨処理機の効果に加えて、外部機器と通信可能な場合には、硬貨搬送中に硬貨詰まりが発生した後、通信手段を介して外部機器から指令された復旧指令に従って、搬送通路内に詰まった硬貨を硬貨出金部に排出することができる。
請求項記載の硬貨処理機によれば、請求項記載の硬貨処理機の効果に加えて、搬送通路内に詰まった硬貨を排出する硬貨出金部は、外部機器から指令された出金指令に従って硬貨収納部から出金する硬貨を払い出す硬貨出金部と共通とするため、使い勝手を良くできる。
請求項記載の硬貨処理機によれば、請求項記載の硬貨処理機の効果に加えて、設定手段によって、硬貨搬送中に硬貨詰まりが発生した後、外部機器から復旧指令が指令されるのを待って復旧するか、外部機器から復旧指令が指令されるのを待たずに復旧するかを任意に選択できる。
請求項記載の硬貨処理機によれば、請求項記載の硬貨処理機の効果に加えて、搬送通路内に詰まった硬貨を硬貨出金部に排出する際、搬送体駆動手段を搬送方向への駆動よりも遅い速度で搬送方向とは逆方向に駆動させるため、詰まっている硬貨が噛み込んだ状態にあっても、その噛み込み状態を確実に解消できる。
本発明の第1の実施の形態であって硬貨処理機の内部構造を示す平面図である。 同上硬貨処理機の内部構造を示す側面図である。 同上硬貨処理機の内部構造を示す正面図である。 同上硬貨処理機の受入繰出部の回転円盤に垂直な方向から見た側面図である。 同上硬貨処理機の受入繰出部の排出機構を閉じた状態の断面図である。 同上硬貨処理機の受入繰出部の排出機構を開いた状態の断面図である。 同上硬貨処理機の分岐部で硬貨を通過させる状態の断面図である。 同上硬貨処理機の分岐部で硬貨を分岐する状態の断面図である。 同上硬貨処理機の斜視図である。 同上硬貨処理機のブロック図である。 本発明の第2の実施の形態の硬貨処理機を示し、(a)は硬貨処理機の一部の断面図、(b)は硬貨処理機の背面にスリットを設けた場合の背面図、(c)は硬貨処理機の背面にゲートを設けた場合の側面部、(d)は硬貨処理機の背面に排出ガイドを取り付けた場合の側面図である。 本発明の第3の実施の形態の硬貨処理機を示し、(a)は硬貨処理機の一部の断面図、(b)は硬貨処理機の背面にスリットを設けた場合の背面図、(c)は硬貨処理機の背面にゲートを設けた場合の側面部、(d)は硬貨処理機の背面に排出ガイドを取り付けた場合の側面図である。
以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照して説明する。
図9には、本発明の一実施の形態である硬貨搬送装置を用いた硬貨の入金処理に加えて出金処理も可能な硬貨処理機11の斜視図を示す。この硬貨処理機11は、例えば、外部機器としてのPOSレジスタと電気的に接続され、POSレジスタからの指令に基づいて自動的に硬貨の入金や出金が可能な釣銭自動支払出し装置として用いることができる。
硬貨処理機11の機体12は、前面を開口した枠体13と、この枠体13の前面から引出可能とする本体ユニット14とを備えている。本体ユニット14の前面には、枠体13に収納した本体ユニット14を鍵で施錠、解錠する施錠部15が設けられている。
枠体13の前部から突出する本体ユニット14の上面右側には、機体12外から硬貨を投入する投入口16が形成された凹状の硬貨受入口部17が配設されている。この投入口16の近傍位置には、入金動作を指令させる入金開始ボタン18が押下操作可能に配設されている。
本体ユニット14の前面右側には、機体12内から硬貨が放出される払出口19が形成され、この払出口19から放出される硬貨を受け止めるとともに受け止めた硬貨を外部から取り出し可能とする硬貨取出部および硬貨出金部としての受皿20が形成されている。
また、硬貨処理機11の下部には、必要に応じて、硬貨カセットユニット22が組み合わされている。この硬貨カセットユニット22は、前面を開口した枠体23と、この枠体23の前面から引出可能とする硬貨カセット24とを備えている。硬貨カセット24の前面には、枠体23に収納した硬貨カセット24を鍵で施錠、解錠する施錠部25が設けられている。硬貨カセット24には、硬貨処理機11の本体ユニット14から排出される満杯硬貨および回収硬貨などを収納する。
次に、図1ないし図3において、本体ユニット14は、投入口16から受け入れた硬貨(図中に符号Cで示す)を1枚ずつ分離して繰り出す繰出手段としての繰出部31と、この繰出部31から繰り出された硬貨を機体12の一側面である左側面に沿って前側から後方へ向けて搬送する入金搬送部32と、この入金搬送部32で搬送する硬貨を識別する識別部33と、この識別部33の識別結果に応じて入金搬送部32で搬送する硬貨を分岐する複数の分岐部34と、機体12の前面側から後面側に向けて順に配設されていて金種別の分岐部34で分岐される硬貨を金種別に収納するとともに収納した硬貨を機体12の他側面である右側面の方向に1枚ずつ放出可能とする金種別の硬貨収納部35と、機体12の右側面に沿って配設されていて硬貨収納部35から放出される硬貨を払出口19へ搬送する出金搬送部36とを備えている。
そして、図1ないし図6に示すように、繰出部31は、水平方向に対して所定角度で傾斜する位置で回転軸39を中心に回転可能な回転円盤40と、この回転円盤40の表面側との間で投入口16から投入された硬貨を非整列状態に貯留するホッパ41と、回転円盤40の上部側から入金搬送部32に硬貨を繰り出す位置に配設された小径円盤42とを備えている。繰出部31は、払出口19の受皿20より上方に位置している。
回転円盤40は、機体12側に回転可能に取り付けられた回転軸39により、機体12の前面から見て、水平方向に対して所定角度で右方向に傾斜するように配設されている。この回転円盤40は、硬貨を入金搬送部32に繰り出す繰出回転方向(図1、図2および図4の反時計回り方向)にモータ44で回転駆動するものであり、硬貨詰まりの発生時などにはその硬貨詰まりの解消のために繰出回転方向と反対方向に回転駆動される。
回転円盤40の表面には、中央域に円形の高位部45が形成され、この高位部45の外周域に環状の低位部46が形成されている。回転円盤40の低位部46には、回転円盤40の表面から突出する複数の拾上部材48が、内周側の円周方向と外周側の円周方向との2列の円周方向に沿って所定ピッチで配置されている。そして、回転円盤40の繰出回転方向への回転時に、拾上部材48により、硬貨を所定間隔毎に1枚ずつ回転円盤40の上部域に拾い上げ、その拾い上げた硬貨を回転円盤40の上部から押し出して小径円盤42に受け渡すように構成されている。また、拾上部材48は、回転円盤40が繰出方向に回転するときには硬貨を引っ掛けて拾い上げることができるが、回転円盤40が繰出方向とは逆方向に回転するときには硬貨が引っ掛からない形状に形成されている。
回転円盤40の上部域には、拾上部材48で回転円盤40の上部域に拾い上げた硬貨を入金搬送部32に1枚ずつ繰り出すとともに入金搬送部32から戻される硬貨を受け入れ可能とする硬貨出入口50を構成する案内通路51が形成されている。この案内通路51は、回転円盤40の上部から略U字形に湾曲して入金搬送部32の前端部に接続されており、硬貨の一面が接触した状態で搬送する通路面52と、この通路面52上を搬送する硬貨の両側を案内するガイド部53,54とで形成されている。通路面52は、回転円盤40の表面と面一であり、すなわち水平方向に対して所定角度で傾斜する状態に配設されている。
一方のガイド部53は、回転円盤40の上部域から小径円盤42の中央部に対向する領域にわたって配設されている。他方のガイド部54は、回転円盤40の低位部46の表面に硬貨が入り込まない間隙をあけて対向する領域から入金搬送部32の前端部にわたって湾曲するように設けられている。ガイド部54の低位部46に対向する面には、回転移動する各拾上部材48が通過可能とする溝部55が形成されている。そして、ガイド部54により、拾上部材48で拾い上げた硬貨を受け取って入金搬送部32に案内するように構成されている。
回転円盤40の低位部46には、複数の検知孔57が円周方向に沿って所定ピッチで形成されている。回転円盤40の下部側に対向する位置には、回転する回転円盤40の検知孔57を通じて硬貨の有無とともに繰り出されずに残留する硬貨や異物を検知する残留検知手段としての残留検知センサ58が配設されている。
また、ホッパ41は、回転円盤40の表面側に対向して覆うとともに投入口16から硬貨を受け入れ可能に上方に向けて開口された形状に形成されている。ホッパ41の下部には、繰出部31内の硬貨などを排出する排出機構60が設けられている。この排出機構60では、ホッパ41の下部に排出口61が形成され、この排出口61に排出ゲート62が上部側の軸62aを支点として開閉可能に取り付けられている。排出ゲート62は、軸62aを介して排出ゲート駆動手段としての排出ゲート駆動モータ63により開閉駆動される。そして、排出ゲート62を開放し、さらに回転円盤40を交互に正逆回転させることにより、硬貨などをホッパ41から下方へ排出する。このホッパ41の排出口61および排出ゲート62の下方には、排出された硬貨を払出口19の受皿20に導くシュート64が配設されている。
また、小径円盤42は、案内通路51と入金搬送部32の始端部とにまたがった位置に、小径円盤42の表面が通路面52と面一となるように回転可能に配置されている。小径円盤42の外周縁部には、硬貨に当接して回転円盤40側から入金搬送部32側へ押しながら繰り出す一対の突起体65が突設されている。
次に、図4に示すように、入金搬送部32は、案内通路51に連続して、機体12内の左側上部に沿って前側から後方へ伸延するように形成された搬送通路67を備えている。この搬送通路67は、案内通路51に連続して、硬貨の一面が接触した状態で搬送する通路面52と、この通路面52上を搬送する硬貨の両側を案内するガイド部53,54とで形成されている。搬送通路67の通路面52は、回転円盤40の表面と面一であるため、回転円盤40の傾斜と同様に、水平方向に対して所定角度で傾斜する状態に配設されている。したがって、この搬送通路67内を搬送する硬貨は、この硬貨の周縁が低い位置にある一方のガイド部53に載った状態で搬送することになる。
また、搬送通路67の始端部と終端部とには、機体12側に回転可能に取り付けられた回転軸68によりプーリ69が配設されている。これらプーリ69により、搬送体としての入金搬送ベルト70が搬送通路67に沿って懸架されている。入金搬送ベルト70は、プーリ69を駆動する搬送体駆動手段としての入金搬送ベルト駆動モータ71(図10参照)により、搬送通路67の始端側から終端側へ向けて硬貨を搬送する搬送方向に回転するとともに、硬貨詰まりの検知時に搬送方向とは逆方向に回転可能とする。
入金搬送ベルト70の通路面52に対向する面には、硬貨を1枚ずつ押動搬送する突起体72(図3参照)がベルト長手方向に沿って所定ピッチで突設されている。複数の突起体72のベルト長手方向の間隔は、ベルト長手方向前後の突起体72間に硬貨を1枚ずつ受け入れて搬送可能とする寸法とされている。入金搬送ベルト70と通路面52との間には硬貨処理機11で取り扱う最大厚み硬貨を受け入れ可能とする間隙が形成され、突起体72と通路面52との間には硬貨処理機11で取り扱う最少厚み硬貨の厚みより小さい寸法の間隙が形成されている。
入金搬送ベルト70の回転と繰出部31の回転円盤40および小径円盤42による硬貨の繰り出しとは連動されており、入金搬送ベルト70の隣り合う突起体72間に繰出部31から繰り出される硬貨が1枚ずつ受け入れられる。
また、搬送通路67には、識別部33、複数の分岐部34が順に配設されている。
次に、識別部33は、硬貨の材質、径などを検出して、機体12内に受け入れ可能な硬貨かどうか、受け入れ可能な硬貨の金種などを識別する。
次に、搬送通路67の搬送方向最上流の分岐位置に位置する分岐部34は機体12内に受け入れ不可能な硬貨を分岐するリジェクト用の分岐部34であり、それより搬送方向下流側の分岐部34は機体12内に受入可能な硬貨を金種別に分岐する金種別の分岐部34であり、いずれも同一構造に形成されている。なお、搬送方向最下流の分岐位置には、分岐部34の機構は配設されないが、いずれの分岐部34でも分岐しないことにより搬送通路67の終端部から分岐するものである。
図4、図7および図8に示すように、各分岐部34は、通路面52から下側のガイド部53にかけて形成された開口部76を開閉する分岐部材77を備えている。この分岐部材77は、下部が搬送方向に平行な軸78を支点とし、開口部76に嵌り込んで開口部76を閉塞する硬貨通過位置と、開口部76内から通路面52の表面方向に突出して開口部76を開放する硬貨分岐位置との間で揺動可能に支持されている。
この分岐部材77は、図7に示す開口部76に嵌り込んで閉塞した硬貨通過位置で、分岐部材77の表面が通路面52と面一となり、その分岐部材77の表面に硬貨の周縁部を支えるガイド部53の一部として機能する支え部79が突出形成されている。また、搬送方向下流側に対応した分岐部材77の縁部から裏面側に向けてガイド部80が突設されている。このガイド部80は、図8に示す分岐部材77が硬貨分岐位置に揺動した状態で、搬送通路67内に突出して搬送通路67内を入金搬送ベルト70で搬送してくる硬貨を開口部76内に強制的に落とし込んで分岐する。
ガイド部80には通路面52の裏面側に配設されるソレノイド81が連結され、このソレノイド81の駆動により分岐部材77が硬貨通過位置と硬貨分岐位置とに切り換えられる。
また、搬送方向最上流のリジェクト用の分岐部34の位置には、この分岐部34で分岐した硬貨を払出口19の受皿20に導くシュート82aが配設されている。
金種別の分岐部34の位置には、金種別の各分岐部34で分岐した硬貨を金種別の硬貨収納部35に導く金種別のシュート82bが配設されている。搬送方向最下流の分岐部34の位置には、搬送通路67の終端部から放出される硬貨を機体12の最後部に位置する硬貨収納部35に導くシュート82cが配設されている。
次に、図1に示すように、金種別の硬貨収納部35は、機体12の前面側から後面側に向けて順に並設されている。図3に示すように、各硬貨収納部35は、硬貨を非整列状態で収納する収納枠84を備えている。この収納枠84の上部には、搬送通路67から分岐部34で分岐されてくる硬貨を受け入れる受入口85が形成されている。収納枠84の底部には、非整列状態で収納する硬貨を支えるベルト86が配設されている。このベルト86は、機体12に対し水平方向に軸支されて回転可能なローラ87によって、機体12の左右方向に沿って懸架されるとともに、硬貨の搬送方向上流側から下流側すなわち左側の入金搬送部32側から右側の出金搬送部36側に向かうに従って上昇傾斜するように懸架されている。
ベルト86の搬送方向下流側には、収納した硬貨を出金搬送部36に放出する放出口88が形成されている。
ベルト86の放出口88の上方域には、ベルト86の搬送方向に対して逆方向に回転してベルト86上の非整列状態の硬貨を1層1列状態に整列させて放出口88より放出させる逆転ローラ89が配設されている。
ベルト86の放出口88の上方域で逆転ローラ89の位置より搬送方向下流側には、放出口88より放出する硬貨の放出を1枚ずつに規制するストッパ90が配設されている。このストッパ90は、機体12側に取り付けられたソレノイド91によって、放出口88に上方から進退可能とし、進出時に硬貨の放出を規制し、退避時に硬貨の放出を許容する。
放出口88には、この放出口88を通過する硬貨を検出することにより、放出口88から放出した硬貨数量を検出するための検出部92が配設されている。
ベルト86の下方には、ベルト86および逆転ローラ89を回転駆動するモータ93が配設されている。
また、図4に示すように、複数の硬貨収納部35を貫通するように検出光を投光し、硬貨収納部35内の硬貨を検出する複数の硬貨検出センサ94が配設されている。複数の硬貨検出センサ94のうち、1つの硬貨検出センサ94は、受入口85の近傍に配置され、硬貨収納部35に収納された硬貨の満杯を検出する満杯検出部の一部として構成されている。
次に、図1ないし図3に示すように、出金搬送部36は、複数の硬貨収納部35の放出口88側の側部で、機体12の前後方向に沿って配設された無端状の出金搬送ベルト100を備えている。この出金搬送ベルト100は、図示しないモータの駆動で出金搬送ベルト100の上面が前方の払出口19へ向けて移動するように回転する。出金搬送ベルト100は、両側面の通路壁101,102と上面の通路壁103とによって囲まれている。
また、図1および図2に示すように、出金搬送部36の出金搬送ベルト100の搬送方向下流側と払出口19との間には、出金搬送ベルト100によって搬送してきた硬貨を落下させて機体12外に排出可能とする排出口107が形成されている。この排出口107には、出金搬送ベルト100で搬送してきた硬貨の搬送先を払出口19と排出口107とに切り換える切換部材108が配設されている。排出口107の下方に位置する本体ユニット14の底板111には、排出口107から排出された硬貨を硬貨カセット24に収納させる開口部112が形成されている。そして、硬貨収納部35が満杯となった場合や硬貨収納部35内の硬貨の回収時に、硬貨収納部35から硬貨を1枚ずつ放出させ、この硬貨収納部35から放出した硬貨を出金搬送部36によって排出口107へ搬送して硬貨カセット24に回収することができる。
次に、図10に硬貨処理機11のブロック図を示し、121は硬貨処理機11全体を制御する制御部である。この制御部121には、識別部33、硬貨処理機11内の各位置で硬貨を検知する各種のセンサを含むセンサ群122、各種の設定を行う設定手段123、POSレジスタと通信可能な通信手段124が接続されている。
センサ群122には、例えば、繰出部31の残留検知センサ58、搬送通路67に沿って設けられこの搬送通路67内を搬送する硬貨の位置を検出する複数の硬貨位置検出センサ125(図4参照)、硬貨収納部35の検出部92および硬貨検出センサ94などが含まれる。
設定手段123は、繰出部31から繰り出される硬貨を搬送通路67によって搬送している硬貨搬送中に硬貨詰まりを検知した後、POSレジスタから復旧指令が指令されるのを待って復旧するか、POSレジスタから復旧指令が指令されるのを待たずに復旧するかを選択して設定することを可能としている。
また、制御部121により、繰出部31、入金搬送部32、分岐部34、硬貨収納部35、出金搬送部36および排出機構60などを制御する。
そして、制御部121は、POSレジスタからの指令に基づいて硬貨処理機11を制御するもので、この硬貨処理機11を制御する各種の機能を有しているが、一部の機能を次に示す。
識別部33および複数の硬貨位置検出センサ125の検知や、入金搬送ベルト駆動モータ71の駆動状況などに基づき、繰出部31から繰り出される硬貨を搬送通路67によって搬送している硬貨搬送中に硬貨が詰まったことを検知する硬貨詰まり検知手段126の機能。
予め排出ゲート駆動モータ63を駆動して排出ゲート62を閉状態とした繰出部31に硬貨を貯留させ、繰出部31と入金搬送ベルト駆動モータ71を駆動させて入金搬送ベルト70により搬送通路67内の硬貨を搬送し、硬貨搬送中に硬貨詰まり検知手段126で硬貨詰まりが検知された場合、繰出部31の駆動を停止させ、排出ゲート駆動モータ63を駆動させて排出ゲート62を開状態とし、回転円盤40および小径円盤42を繰出方向とは逆方向に回転させるとともに、入金搬送ベルト駆動モータ71を搬送方向とは逆方向に駆動させて入金搬送ベルト70により搬送通路67内に詰まった硬貨を繰出部31に戻し、開状態の排出ゲート62を介して払出口19の受皿20に硬貨を排出させる機能。
設定手段123によってPOSレジスタから復旧指令が指令されるのを待って復旧するように設定されている場合には、硬貨搬送中に硬貨詰まりが検知された後、通信手段124を介してPOSレジスタから復旧指令が指令されるのを待って、搬送通路67内に詰まった硬貨を繰出部31に戻して払出口19の受皿20に排出させ、一方、設定手段123によってPOSレジスタから復旧指令が指令されるのを待たずに復旧するように設定されている場合には、硬貨搬送中に硬貨詰まりが検知された後、通信手段124を介してPOSレジスタから復旧指令が指令されるのを待たず、搬送通路67内に詰まった硬貨を繰出部31に戻して払出口19の受皿20に排出させる機能。
搬送通路67内に詰まった硬貨を繰出部31に戻して払出口19の受皿20に排出する際、入金搬送ベルト駆動モータ71を搬送方向への駆動よりも遅い速度で搬送方向とは逆方向に駆動させる機能。
次に、本実施の形態の硬貨処理機11の作用を説明する。
硬貨処理機11は、POSレジスタに接続され、POSレジスタの指令により動作する。このPOSレジスタは、レジ係員が操作する運用の場合と、顧客自身が操作する運用の場合とがあり、いずれの運用の場合にも同じ動作となる。
まず、入金動作について説明する。
レジ係員または顧客である操作者によりPOSレジスタで購入商品などの精算が行われ、精算金を顧客が支払う。POSレジスタから硬貨処理機11に精算金の金額が入力される。
レジ係員または顧客である操作者により精算金として支払われる硬貨を投入口16に投入し、入金開始ボタン18を押下する。
入金開始ボタン18が押下されたら、繰出部31および入金搬送部32を駆動して入金動作を開始する。
投入口16に投入された硬貨は、ホッパ41内に落下して回転円盤40の表面に倒れ込むように導かれる。繰出部31では、入金動作の開始により、回転円盤40および小径円盤42が回転し、回転円盤40の表面から突出する各拾上部材48で硬貨を1枚ずつ拾い上げるとともに回転円盤40の上部から案内通路51に送り込んで小径円盤42に1枚ずつ受け渡す。小径円盤42の突起体65で受け取った硬貨を入金搬送部32の搬送通路67に1枚ずつ送り込む。このようにすることにより、投入口16に硬貨とともに投入されたゴミ、異物等が搬送通路67に繰り出されるのを防止でき、ゴミ、異物等が原因による硬貨の搬送不良を防止できる。
入金搬送部32では、入金動作の開始により、入金搬送ベルト70が回転し、繰出部31の小径円盤42の突起体65で1枚ずつ送り込まれる硬貨を入金搬送ベルト70の隣り合う突起体72間に受け入れ、突起体72で硬貨を押しながら搬送方向下流側へ向けて搬送通路67内を搬送する。
このように、入金搬送ベルト70の突起体72で搬送通路67内の硬貨を1枚ずつ押動搬送することにより、ゴミ、異物等が原因による硬貨の搬送不良を防止できるとともに、従来のような硬貨と搬送ベルトとの摩擦係数の変動を原因とする硬貨の搬送状態の不安定さがなく、硬貨の搬送状態を安定させることができる。
そして、搬送通路67内を搬送する硬貨を識別部33で識別する。
識別部33での識別の結果、機体12内に受け入れ不可能な正常でない硬貨や識別不能な硬貨、あるいは予め入金が許可されていない硬貨などのリジェクト硬貨であった場合、搬送方向最上流に位置するリジェクト用の分岐部34で搬送通路67から分岐する。
すなわち、リジェクト硬貨がリジェクト硬貨用の分岐部34に到達するタイミングに合わせて、図8に示すように、ソレノイド81を駆動し、分岐部材77を開口部76内から通路面52の表面方向に突出させて開口部76を開放する硬貨振分位置に揺動させ、搬送通路67内を入金搬送ベルト70で搬送してくる硬貨を分岐部材77のガイド部80で開口部76内に強制的に落とし込んで分岐する。このリジェクト用の分岐部34で分岐した硬貨は、シュート82aを通じて払出口19の受皿20に返却し、操作者が取出可能とする。
識別部33で識別の結果、機体12内に受け入れ可能な正常な硬貨であった場合、その硬貨を予め設定されている該当金種の分岐部34の位置まで搬送して搬送通路67から金種別に分岐する。このとき、該当種類の分岐部34より上流側に位置する各分岐部34では、分岐部材77が開口部76に嵌り込んで開口部76を閉塞する硬貨通過位置にあるため、硬貨が上流側に位置する各分岐部34の位置を通過し、該当種類の分岐部34で分岐可能とする。この種類別の分岐部34での分岐動作は、リジェクト硬貨用の分岐部34と同様である。これら金種別の分岐部34で分岐した硬貨は、該当金種の硬貨収納部35内に落下して収納される。
そして、回転円盤40上の硬貨などを検出する残留検知センサ58からの検知信号の出力が所定時間なく、かつ識別部33での硬貨の識別が所定時間なければ、投入口16に投入された硬貨の処理が完了したものと判断し、繰出部31および入金搬送部32の駆動を停止する。
また、硬貨とともに異物が投入された場合、回転円盤40の拾上部材48で回転円盤40の下部側から回転円盤40の上部側に異物を拾い上げる途中で落下したり、拾上部材48で異物を拾い上げても小径円盤42の突起体64に異物を受け渡すことができずに落下するため、回転円盤40上に異物が残留する。なお、異物としては、外形に変形が生じている変形硬貨なども含まれる。
このような場合、回転円盤40上の硬貨などを検知する残留検知センサ58からの検知信号の出力があるにもかかわらず、識別部33での硬貨の識別が所定時間なくなるため、異物が残留していると判断する。異物が残留している場合には、図6に示すように、ホッパ41の排出ゲート62を開放し、ホッパ41の排出口61を開放して回転円盤40上の異物を排出する。繰出部31から排出した異物は、シュート64を通じて払出口19の受皿20に返却し、操作者が取出可能とする。
また、硬貨搬送中に、硬貨収納部35に収納された硬貨枚数のカウント値あるいは硬貨検出センサ94の検出によって硬貨収納部35の満杯になったことを検知した場合、そのオーバーフロー硬貨を硬貨収納部35に収納できないため、硬貨収納部35からの硬貨の回収動作を行わないと、次の入金取引が行えず、満杯検知による入金取引の休止が効率的な運用を妨げる一要因となっている。そこで、硬貨搬送中において、硬貨収納部35の満杯になったことを検知した場合には、出金搬送部36の切換部材108を排出口107側へ硬貨を案内する向きに切り換え、満杯を検知した硬貨収納部35から硬貨を1枚ずつ放出させ、この硬貨収納部35から放出した硬貨を出金搬送部36によって排出口107へ搬送して硬貨カセット24に回収する。これにより、入金取引を中断させることなく、処理を継続できることも可能である。
また、硬貨搬送中に、例えば、硬貨がある分岐部34の分岐部材77と開口部76との間に挟まって詰まるなど、搬送通路67で硬貨詰まりが発生した場合、識別部33および複数の硬貨位置検出センサ125の検知や入金搬送ベルト駆動モータ71の駆動状況などに基づき、硬貨詰まりが発生したことを硬貨詰まり検知手段126によって検知する。硬貨詰まりを検知したことは、通信手段124を通じてPOSレジスタに送信し、POSレジスタの報知手段で報知する。
そして、硬貨搬送中に硬貨詰まりが検知された後、予め設定手段123によってPOSレジスタから復旧指令が指令されるのを待って復旧するように設定されている場合には、硬貨詰まりの発生を確認した操作者がPOSレジスタで復旧を指令する操作を行い、通信手段124を介してPOSレジスタから復旧指令が指令されることにより、復旧動作を開始する。一方、予め設定手段123によってPOSレジスタから復旧指令が指令されるのを待たずに復旧するように設定されている場合には、硬貨搬送中に硬貨詰まりが検知された後、通信手段124を介してPOSレジスタから復旧指令が指令されるのを待たず、復旧動作を開始する。
復旧動作では、繰出部31および入金搬送部32の駆動を停止させた後、繰出部31の排出ゲート駆動モータ63を駆動させて排出ゲート62を開状態とし、回転円盤40および小径円盤42を繰出方向とは逆方向に回転させるとともに、入金搬送部32の入金搬送ベルト駆動モータ71を搬送方向とは逆方向に駆動して入金搬送ベルト70を搬送方向とは逆方向に回転させる。
回転円盤40を繰出方向とは逆方向に回転させることにより、回転円盤40の拾上部材48で繰出途中の硬貨を回転円盤40の下部に移動させて排出させることができる。小径円盤42を繰出方向とは逆方向に回転させることにより、小径円盤42の突起体65で繰出途中の硬貨および搬送通路67から戻される硬貨を繰出部31内に取り込むことができる。
入金搬送ベルト70を搬送方向とは逆方向に回転させることにより、入金搬送ベルト70の突起体72で、搬送通路67内に詰まっている硬貨を含む、搬送通路67内に残留している硬貨を繰出部31へ向けて押動搬送し、繰出部31に戻す。このとき、入金搬送ベルト駆動モータ71を搬送方向への駆動よりも遅い速度で搬送方向とは逆方向に駆動させることにより、入金搬送ベルト駆動モータ71のトルクを確保し、詰まっている硬貨が強く噛み込んだ状態にあってもその噛み込み状態を確実に解消でき、さらに、搬送方向とは逆方向に移動させる硬貨の噛み込みが発生するのを防止できる。
繰出部31内の繰り出される前の硬貨および搬送通路67から繰出部31に戻された硬貨は、排出ゲート62が開放されて開口した排出口61から排出され、シュート64を介して払出口19の受皿20に返却される。
そして、残留検知センサ58、識別部33および複数の硬貨位置検出センサ125で硬貨を検知しなくなれば、回転円盤40および小径円盤42の回転を停止させるとともに、入金搬送部32の入金搬送ベルト70の回転を停止させ、繰出部31の排出ゲート駆動モータ63を駆動させて排出ゲート62を閉状態とする。
そして、操作者により、払出口19の受皿20に返却された硬貨を取り出し、投入口16に再投入すれば、入金処理を継続して再開させることができる。
このように、硬貨搬送中に硬貨詰まりが発生しても、操作者の手作業による復旧が必要なく、自動復旧できて復旧までの時間短縮が図れ、操作性、保守性の優れた利便性の良い硬貨処理機11を提供できる。
また、搬送通路67内に詰まった硬貨を排出する場所は、硬貨収納部35から出金する硬貨を払い出す払出口19の受皿20と共通とするため、操作者にとって使い勝手を良くできる。
次に、出金動作について説明する。
釣銭の払い出し時などには、POSレジスタからの出金指令の信号により、出金する該当金種の硬貨収納部35から硬貨を1枚ずつ放出し、出金搬送部36を通じて払出口19の受皿20に払い出す。
すなわち、該当種類の硬貨収納部35では、モータ93の駆動でベルト86を回転させるとともに逆転ローラ89を逆回転させ、ベルト86上の非整列状態の硬貨を逆転ローラ89で1層1列に整列させて放出口88から放出させる。このとき、ソレノイド91によりストッパ90を放出口88から退避させておき、放出する硬貨を検出部92で検出して放出枚数を計数する。該当金種の硬貨の放出枚数が出金枚数に達したら、ソレノイド91によりストッパ90を放出口88に侵入させて硬貨の放出を強制的に停止させるとともに、モータ93の駆動を停止して放出動作を停止する。
硬貨収納部35の放出口88から放出された硬貨は、出金搬送部36の出金搬送ベルト100により払出口19の受皿20に払い出す。
また、硬貨搬送中において、硬貨収納部35の満杯になったことを検知した場合には、そのオーバーフロー硬貨を機体12の背面から外部に排出するようにしてもよい。これは、例えば、硬貨処理機11の下側に硬貨カセットユニット22を配置しない運用の場合などに適用できる。
図11には、オーバーフロー硬貨を機体12の背面から外部に排出する第2の実施の形態を示す。硬貨処理機11は、硬貨搬送中において、硬貨収納部35の満杯になったことを検知した場合、オーバーフロー硬貨を搬送通路67の後端まで搬送して、機体12の背面に設けられたスリット131(図11(b)参照)や、機体12の背面に開閉可能に設けられたゲート132(図11(c)参照)や、機体12の背面に取り付けられた排出ガイド133(図11(d)参照)から外部に排出する。機体12の背面には排出されるオーバーフロー硬貨を収納する収納部を配置しておく。
図12には、オーバーフロー硬貨を機体12の背面から外部に排出する第3の実施の形態を示す。硬貨処理機11は、硬貨搬送中において、硬貨収納部35の満杯になったことを検知した場合、該当硬貨を対応する金種の硬貨収納部35から収納するが、その硬貨収納部35から収納されている硬貨をオーバーフロー硬貨の代替して出金搬送部36に放出し、出金搬送部36を搬送方向とは逆方向に駆動し、オーバーフロー硬貨を出金搬送部36の後端まで搬送して、機体12の背面に設けられたスリット141(図12(b)参照)や、機体12の背面に開閉可能に設けられたゲート142(図12(c)参照)や、機体12の背面に取り付けられた排出ガイド143(図12(d)参照)から外部に排出する。機体12の背面には排出されるオーバーフロー硬貨を収納する収納部を配置しておく。
これらのようにオーバーフロー硬貨を機体12の背面から外部に排出するか否かは設定手段123によって任意に設定できるようにしてもよい。また、例えば、排出ガイド133,143を機体12に取り付けた場合に、それを検知して自動的にオーバーフロー硬貨を機体12の背面から外部に排出する運用に切り換えるようにしてもよい。
本発明は、硬貨入金機や硬貨入出金機などの硬貨処理機に利用される他、硬貨と紙幣の両方が処理が可能な貨幣処理機などの硬貨処理装置としても利用される。
11 硬貨処理機
20 貨出金部としての受皿
31 繰出手段としての繰出部
34 分岐部
35 硬貨収納部
39 回転軸
40 回転円盤
41 ホッパ
42 小径円盤
48 拾上部材
50 硬貨出入口
62 排出ゲート
63 排出ゲート駆動手段としての排出ゲート駆動モータ
67 搬送通路
70 搬送体としての入金搬送ベルト
71 搬送体駆動手段としての入金搬送ベルト駆動モータ
72 突起体
121 制御部
123 設定手段
124 通信手段

Claims (7)

  1. 硬貨を処理する硬貨処理機において、
    硬貨を非整列状態で貯留するとともに、貯留硬貨を1枚ずつ繰り出す繰出手段と、
    前記繰出手段から繰り出された硬貨を受け入れるとともに受け入れた硬貨を金種別に分岐する複数の分岐部を備えた搬送通路と、
    前記繰出手段から前記搬送通路内に繰り出された硬貨を受け取り、前記搬送通路内を1枚ずつ押動搬送可能とする複数の突起体を備えた搬送体と、
    前記搬送体を駆動する搬送体駆動手段と、
    前記繰出手段に設けられ、閉状態では前記繰出手段内に硬貨を貯留可能にするとともに、開状態では前記繰出手段内の硬貨を外部へ排出可能とする排出ゲートと、
    前記排出ゲートを駆動する排出ゲート駆動手段と、
    前記排出ゲートから排出された硬貨を受け止めるとともに、受け止めた硬貨を前記硬貨処理機外から取り出し可能に形成された硬貨出金部と、
    前記硬貨を搬送する際、前記繰出手段を駆動させて硬貨を前記搬送通路内に繰り出すとともに、前記搬送体駆動手段を駆動させて前記搬送体により前記搬送通路内の硬貨を搬送し、この硬貨搬送中に前記搬送通路内で硬貨詰まりが発生した場合、前記繰出手段の駆動を停止させ、前記排出ゲート駆動手段を駆動させて前記排出ゲートを開状態とし、前記搬送体駆動手段を搬送方向とは逆方向に駆動させて前記搬送体により前記搬送通路内に詰まった硬貨を前記繰出手段に戻し、前記排出ゲートを介して前記硬貨出金部に硬貨を排出させる制御部と
    を具備していることを特徴とする硬貨処理機。
  2. 前記繰出手段は、
    硬貨の出入りが可能な硬貨出入口と、
    回転軸に取り付けられ水平方向に対して所定角度で傾斜する位置で回転される回転円盤と、
    前記回転円盤の表面側に硬貨を貯留するホッパと、
    前記回転円盤の表面から突出し、貯留硬貨を1枚ずつ拾い上げる拾上部材と、
    前記硬貨出入口近傍に配設され、前記拾上部材によって所定間隔毎に1枚ずつ拾い上げられる硬貨を受け取るとともに、1枚ずつ前記搬送体へ受け渡す小径円盤とを備えた
    ことを特徴とする請求項記載の硬貨処理機。
  3. 前記排出ゲートは、前記ホッパの下側の一部を形成する
    ことを特徴とする請求項記載の硬貨処理機。
  4. 外部機器と通信可能な通信手段を備え、
    前記制御部は、硬貨搬送中に硬貨詰まりが発生した後、前記通信手段を介して前記外部機器から指令された復旧指令に従って、前記排出ゲート駆動手段を駆動させて前記排出ゲートを開状態とし、前記搬送体駆動手段を搬送方向とは逆方向に駆動させて前記搬送体により前記搬送通路内に詰まった硬貨を前記繰出手段に戻し、前記排出ゲートを介して前記硬貨出金部に硬貨を排出させる
    ことを特徴とする請求項記載の硬貨処理機。
  5. 硬貨を収納するとともに、前記通信手段を介して前記外部機器から指令された出金指令に従って、収納硬貨を前記硬貨出金部に払出可能とする硬貨収納部を備え、
    前記硬貨出金部は、前記硬貨収納部から払い出された硬貨を受け止めるとともに、受け止めた硬貨を前記硬貨処理機外から取り出し可能に形成されている
    ことを特徴とする請求項記載の硬貨処理機。
  6. 硬貨搬送中に硬貨詰まりが発生した後、前記外部機器から復旧指令が指令されるのを待って復旧するか、前記外部機器から復旧指令が指令されるのを待たずに復旧するかを設定する設定手段を備え、
    前記制御部は、前記設定手段によって前記外部機器から復旧指令が指令されるのを待たずに復旧するように設定されている場合、硬貨搬送中に硬貨詰まりが発生した後、前記通信手段を介して前記外部機器から復旧指令が指令されるのを待たず、前記搬送通路内に詰まった硬貨を前記硬貨出金部に排出させる
    ことを特徴とする請求項記載の硬貨処理機。
  7. 前記制御部は、前記搬送通路内に詰まった硬貨を前記硬貨出金部に排出する際、前記搬送体駆動手段を搬送方向への駆動よりも遅い速度で搬送方向とは逆方向に駆動させる
    ことを特徴とする請求項記載の硬貨処理機。
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