本発明に係る一実施形態の硬貨処理機を図面を参照して以下に説明する。
図1に示すように、本実施形態の硬貨処理機10は、装置本体11の前部に入金部12(搬送部)およびカルトン載置部13を有している。入金部12は、硬貨が外部から金種混合状態で一括して投入されると共に投入された硬貨を一枚ずつ分離して搬送する。図示は略すが、入金部12には、入金部12を外部に対し開閉するシャッタが設けられている。入金部12は、シャッタが開かれた状態で硬貨が外部から投入可能となり、シャッタが閉じられた状態では硬貨が外部から投入不可となると共に内部の硬貨の外部への取り出しも不可となる。入金部12は、底面がベルトコンベアで構成されており、このベルトコンベアで後述する入金側搬送部15側に搬送される硬貨を、入金側搬送部15側の端部で通過を一枚ずつに制限して一枚ずつに分離する。カルトン載置部13には、装置本体11とは別体の機外のカルトン14が抜き差し可能に載置される。
硬貨処理機10は、装置本体11の側部に入金側搬送部15(搬送部)を有している。入金側搬送部15は、前後方向に延在しており、入金部12に投入等され入金部12で一枚ずつ搬送される硬貨を受け入れて一枚ずつ後方に向けて搬送する。入金側搬送部15は、入金部12と駆動源が共通であり、常に入金部12と同期して駆動される。入金部12の入金側搬送部15側の端部に、入金部12から入金側搬送部15への硬貨の搬送の許容および規制を切り替える開閉部65が設けられている。すなわち、開閉部65は、開状態で入金部12から入金側搬送部15への硬貨の一枚ずつの搬送を許容し、閉状態では入金部12から入金側搬送部15への硬貨の一切の移動を規制する。言い換えれば、シャッタが閉じられた状態の入金部12に硬貨を一時貯留する仕組みとなっている。開閉部65は、通常は開状態であり、駆動されて閉状態となる。
硬貨処理機10は、入金側搬送部15の位置に、前から順に、識別部20、放出案内部21、カセット案内部22、通過センサ23A、1円硬貨用の還流案内部23、100円硬貨用の還流案内部24、10円硬貨用の還流案内部25、50円硬貨用の還流案内部26、5円硬貨用の還流案内部27、500円硬貨用の還流案内部28、通過センサ29Aおよびスタッカ案内部29を有している。識別部20は、入金側搬送部15で搬送される硬貨の真偽および金種を搬送中に識別しつつ計数する。放出案内部21、カセット案内部22、還流案内部23〜28およびスタッカ案内部29は、入金側搬送部15で入金部12側から搬送されてきた硬貨を、識別部20の識別結果に基づいて入金側搬送部15から分流させるように案内する。
硬貨処理機10は、入金部12の後側に、前から順に、いずれも硬貨を収納する部位である、プールカセット32(一時貯留部)と、1円硬貨用の還流部33と、100円硬貨用の還流部34と、10円硬貨用の還流部35と、50円硬貨用の還流部36と、5円硬貨用の還流部37と、500円硬貨用の還流部38と、プールスタッカ39と、を有している。これらの中で、硬貨の搬送経路上、入金部12から最も遠い位置にプールスタッカ39が配置されており、これよりも入金部12に近い位置にプールカセット32が配置されている。
放出案内部21は、開閉可能であり、開状態で入金側搬送部15から、カルトン載置部13に載置されたカルトン14へ硬貨を落下させる。放出案内部21は、閉状態では入金側搬送部15から硬貨を落下させることはなく、そのまま硬貨を入金側搬送部15でプールスタッカ39側に移動させる。放出案内部21は、通常は閉状態であり、カルトン14へ落下させるべき硬貨が識別部20で検出されると、この検出タイミングと入金側搬送部15の搬送速度とに基づくタイミングで開かれて硬貨を落下させ、その後閉じられる。放出案内部21は、入金側搬送部15を硬貨が入金部12から離れる方向に移動する場合のみこの硬貨をカルトン14に案内可能となっている。言い換えれば、放出案内部21は、入金側搬送部15を硬貨が入金部12に近づく方向に移動する場合にはこの硬貨をカルトン14に案内不可となっている。放出案内部21は、例えば、識別部20の識別結果から真硬貨と判定できなかった受け入れ不可なリジェクト硬貨を入金側搬送部15からカルトン14に案内する。
カセット案内部22は、開閉可能であり、開状態で入金側搬送部15から、プールカセット32へ硬貨を落下させる。カセット案内部22は、閉状態では入金側搬送部15から硬貨を落下させることはなく、そのまま硬貨を入金側搬送部15でプールスタッカ39側に移動させる。カセット案内部22は、通常は閉状態であり、プールカセット32へ落下させるべき硬貨が識別部20で検出されると、この検出タイミングと入金側搬送部15の搬送速度とに基づくタイミングで開かれて硬貨を落下させ、その後閉じられる。カセット案内部22は、入金側搬送部15を硬貨が入金部12から離れる方向に移動する場合のみこの硬貨をプールカセット32に案内可能となっている。カセット案内部22は、識別部20で真硬貨と判定された受け入れ可能な硬貨を入金側搬送部15からプールカセット32に案内する。プールカセット32は、装置本体11に対し着脱可能であり、硬貨を金種混合で繰り出し可能に収納する。プールカセット32は、収納している硬貨を一枚ずつ分離して計数しつつ繰り出す繰出部42を有している。繰出部42は、通常は硬貨の繰り出しを停止しており、駆動されて硬貨の繰り出しを行う。
1円硬貨用の還流案内部23は、開閉可能であり、開状態で入金側搬送部15から、1円硬貨用の還流部33へ硬貨を落下させる。還流案内部23は、閉状態では入金側搬送部15から硬貨を落下させることはなく、そのまま硬貨を入金側搬送部15でプールスタッカ39側に移動させる。還流案内部23は、通常は閉状態であり、識別部20で検出された還流部33へ落下させるべき硬貨が通過センサ23Aで検知されると、この検知タイミングと入金側搬送部15の搬送速度とに基づくタイミングで開かれて硬貨を落下させ、その後閉じられる。還流案内部23は、入金側搬送部15を硬貨が入金部12から離れる方向に移動する場合のみこの硬貨を還流部33に案内可能となっている。還流案内部23は、識別部20で真硬貨と判定された受け入れ可能な硬貨のうち1円硬貨のみを入金側搬送部15から還流部33に案内する。1円硬貨用の還流部33は、装置本体11に対し着脱不可であり、1円硬貨のみを収納する。1円硬貨用の還流部33は、収納している硬貨を一枚ずつ分離して計数しつつ繰り出す繰出部43を有している。繰出部43は、通常は硬貨の繰り出しを停止しており、駆動されて硬貨の繰り出しを行う。
100円硬貨用の還流案内部24は、開閉可能であり、開状態で入金側搬送部15から、100円硬貨用の還流部34へ硬貨を落下させる。還流案内部24は、閉状態では入金側搬送部15から硬貨を落下させることはなく、そのまま硬貨を入金側搬送部15でプールスタッカ39側に移動させる。還流案内部24は、通常は閉状態であり、識別部20で検出された還流部34へ落下させるべき硬貨が通過センサ23Aで検知されると、この検知タイミングと入金側搬送部15の搬送速度とに基づくタイミングで開かれて硬貨を落下させ、その後閉じられる。還流案内部24は、入金側搬送部15を硬貨が入金部12から離れる方向に移動する場合のみこの硬貨を還流部34に案内可能となっている。還流案内部24は、識別部20で真硬貨と判定された受け入れ可能な硬貨のうち100円硬貨のみを入金側搬送部15から還流部34に案内する。100円硬貨用の還流部34は、装置本体11に対し着脱不可であり、100円硬貨のみを収納する。100円硬貨用の還流部34は、収納している硬貨を一枚ずつ分離して計数しつつ繰り出す繰出部44を有している。繰出部44は、通常は硬貨の繰り出しを停止しており、駆動されて硬貨の繰り出しを行う。
10円硬貨用の還流案内部25は、開閉可能であり、開状態で入金側搬送部15から、10円硬貨用の還流部35へ硬貨を落下させる。還流案内部25は、閉状態では入金側搬送部15から硬貨を落下させることはなく、そのまま硬貨を入金側搬送部15でプールスタッカ39側に移動させる。還流案内部25は、通常は閉状態であり、識別部20で検出された還流部35へ落下させるべき硬貨が通過センサ23Aで検知されると、この検知タイミングと入金側搬送部15の搬送速度とに基づくタイミングで開かれて硬貨を落下させ、その後閉じられる。還流案内部25は、入金側搬送部15を硬貨が入金部12から離れる方向に移動する場合のみこの硬貨を還流部35に案内可能となっている。還流案内部25は、識別部20で真硬貨と判定された受け入れ可能な硬貨のうち10円硬貨のみを入金側搬送部15から還流部35に案内する。10円硬貨用の還流部35は、装置本体11に対し着脱不可であり、10円硬貨のみを収納する。10円硬貨用の還流部35は、収納している硬貨を一枚ずつ分離して計数しつつ繰り出す繰出部45を有している。繰出部45は、通常は硬貨の繰り出しを停止しており、駆動されて硬貨の繰り出しを行う。
50円硬貨用の還流案内部26は、開閉可能であり、開状態で入金側搬送部15から、50円硬貨用の還流部36へ硬貨を落下させる。還流案内部26は、閉状態では入金側搬送部15から硬貨を落下させることはなく、そのまま硬貨を入金側搬送部15でプールスタッカ39側に移動させる。還流案内部26は、通常は閉状態であり、識別部20で検出された還流部36へ落下させるべき硬貨が通過センサ23Aで検知されると、この検知タイミングと入金側搬送部15の搬送速度とに基づくタイミングで開かれて硬貨を落下させ、その後閉じられる。還流案内部26は、入金側搬送部15を硬貨が入金部12から離れる方向に移動する場合のみこの硬貨を還流部36に案内可能となっている。還流案内部26は、識別部20で真硬貨と判定された受け入れ可能な硬貨のうち50円硬貨のみを入金側搬送部15から還流部36に案内する。50円硬貨用の還流部36は、装置本体11に対し着脱不可であり、50円硬貨のみを収納する。50円硬貨用の還流部36は、収納している硬貨を一枚ずつ分離して計数しつつ繰り出す繰出部46を有している。繰出部46は、通常は硬貨の繰り出しを停止しており、駆動されて硬貨の繰り出しを行う。
5円硬貨用の還流案内部27は、開閉可能であり、開状態で入金側搬送部15から、5円硬貨用の還流部37へ硬貨を落下させる。還流案内部27は、閉状態では入金側搬送部15から硬貨を落下させることはなく、そのまま硬貨を入金側搬送部15でプールスタッカ39側に移動させる。還流案内部27は、通常は閉状態であり、識別部20で検出された還流部37へ落下させるべき硬貨が通過センサ23Aで検知されると、この検知タイミングと入金側搬送部15の搬送速度とに基づくタイミングで開かれて硬貨を落下させ、その後閉じられる。還流案内部27は、入金側搬送部15を硬貨が入金部12から離れる方向に移動する場合のみこの硬貨を還流部37に案内可能となっている。還流案内部27は、識別部20で真硬貨と判定された受け入れ可能な硬貨のうち5円硬貨のみを入金側搬送部15から還流部37に案内する。5円硬貨用の還流部37は、装置本体11に対し着脱不可であり、5円硬貨のみを収納する。5円硬貨用の還流部37は、収納している硬貨を一枚ずつ分離して計数しつつ繰り出す繰出部47を有している。繰出部47は、通常は硬貨の繰り出しを停止しており、駆動されて硬貨の繰り出しを行う。
500円硬貨用の還流案内部28は、開閉可能であり、開状態で入金側搬送部15から、500円硬貨用の還流部38に硬貨を落下させる。還流案内部28は、閉状態では入金側搬送部15から硬貨を落下させることはなく、そのまま硬貨を入金側搬送部15でプールスタッカ39側に移動させる。還流案内部28は、通常は閉状態であり、識別部20で検出された還流部38へ落下させるべき硬貨が通過センサ23Aで検知されると、この検知タイミングと入金側搬送部15の搬送速度とに基づくタイミングで開かれて硬貨を落下させ、その後閉じられる。還流案内部28は、入金側搬送部15を硬貨が入金部12から離れる方向に移動する場合のみこの硬貨を還流部38に案内可能となっている。還流案内部28は、識別部20で真硬貨と判定された受け入れ可能な硬貨のうち500円硬貨のみを入金側搬送部15から還流部38に案内する。500円硬貨用の還流部38は、装置本体11に対し着脱不可であり、500円硬貨のみを収納する。500円硬貨用の還流部38は、収納している硬貨を一枚ずつ分離して計数しつつ繰り出す繰出部48を有している。繰出部48は、通常は硬貨の繰り出しを停止しており、駆動されて硬貨の繰り出しを行う。
スタッカ案内部29は、開閉可能であり、開状態で入金側搬送部15から、プールスタッカ39に硬貨を落下させる。スタッカ案内部29は、通常は閉状態であり、識別部20で検出されたプールスタッカ39へ落下させるべき硬貨が通過センサ29Aで検知されると、この検知タイミングと入金側搬送部15の搬送速度とに基づくタイミングで開かれて硬貨を落下させ、その後閉じられる。スタッカ案内部29は、入金側搬送部15を硬貨が入金部12から離れる方向に移動する場合のみこの硬貨をプールスタッカ39に案内可能となっている。プールスタッカ39は、装置本体11に対し着脱不可であり、硬貨を金種混合で繰り出し可能に収納する。プールスタッカ39は、収納している硬貨を一枚ずつ分離して計数しつつ繰り出す繰出部49を有している。繰出部49は、通常は硬貨の繰り出しを停止しており、駆動されて硬貨の繰り出しを行う。
いずれも硬貨を繰り出し可能に収納するプールカセット32、1円硬貨用の還流部33、100円硬貨用の還流部34、10円硬貨用の還流部35、50円硬貨用の還流部36、5円硬貨用の還流部37、500円硬貨用の還流部38およびプールスタッカ39のうち、プールカセット32のみが装置本体11に対し着脱可能となっている。そして、プールカセット32は、硬貨の収納容量、言い換えれば満杯状態での硬貨量が、1円硬貨用の還流部33、100円硬貨用の還流部34、10円硬貨用の還流部35、50円硬貨用の還流部、5円硬貨用の還流部37およびプールスタッカ39のそれぞれの硬貨の収納容量よりも大きくなっており、これらそれぞれの4倍程度となっている。
硬貨処理機10は、装置本体11の入金側搬送部15とは反対側の側部に出金側搬送部55(搬送部)を有している。出金側搬送部55は、前後方向に延在しており、繰出部42〜49から繰り出された硬貨を入金部12に搬送する。
硬貨処理機10は、図2に示すように、入金部12、入金側搬送部15、識別部20、放出案内部21、カセット案内部22、還流案内部23〜28、スタッカ案内部29、開閉部65、繰出部42〜49、出金側搬送部55、通過センサ23Aおよび通過センサ29Aを制御する制御部61と、操作入力を受け付けると共に画面表示を行うタッチパネル式の操作表示部62(表示部)と、入出金データ等を記憶する記憶部63とを有している。
入金側搬送部15は、図3,図4に示すように、一対の壁部71,72を有しこれら壁部71,72の間の通路面73で硬貨を搬送させる搬送通路74を有している。搬送通路74は、通路面73が直線状であり、装置本体11の前後方向に延在している。ここで、図3は、入金側搬送部15の図1に示す入金部12側の端部近傍を示している。図3に示すように、入金側搬送部15の入金部12側の端部には、入金部12から繰り出された硬貨を受け入れる受入口77が、搬送通路74の延在方向に直交して設けられている。搬送通路74は、その入金部12側の端部が通路面73から立ち上がる一端壁部81となっており、この一端壁部81は、通路面73の延在方向に対し直交して広がっている。一方の壁部71はこの一端壁部81と繋がっている。他方の壁部72は、この一端壁部81から離間しており、間に受入口77を形成している。
図4は、入金側搬送部15の図1に示す入金部12とは反対側の端部近傍を示している。図4に示すように、搬送通路74は、その入金部12とは反対側の端部が、通路面73から立ち上がる他端壁部82となっており、この他端壁部82は、通路面73の延在方向に対し直交して広がっている。
入金側搬送部15は、図3に示すように、搬送通路74の一端壁部81の近傍の上側にプーリ85を有しており、図4に示すように、搬送通路74の他端壁部82の近傍の上側にプーリ86を有している。入金側搬送部15は、これらプーリ85,86に掛けられる搬送ベルト87を有している。プーリ85,86はタイミングプーリであり、搬送ベルト87は、無端の桟付きのタイミングベルトである。搬送ベルト87は、通路面73の上方に通路面73と平行に配置されており、通路面73上の硬貨Cを通路面73とで挟持する。搬送ベルト87は、正逆回転することによって、通路面73上の硬貨Cを通路面73に押し付けながら正逆搬送する。
他端壁部82の近傍のプーリ86は、ステッピングモータ91で正逆駆動されることになり、これにより、搬送ベルト87が正逆回転する。他端壁部82の近傍にはプーリ86と一体に回転する検知板92と、検知板92を検知するフォトインタラプタ93とが設けられている。検知板92には周方向に等間隔でスリット96が形成されており、よって、周方向に等間隔でスリット96間の検知部97が形成されている。フォトインタラプタ93は、スリット96または検知部97を検知することでプーリ86および搬送ベルト87の回転数を検知する。制御部61は、フォトインタラプタ93がスリット96または検知部97を所定の一定時間間隔で検知すると、プーリ86および搬送ベルト87が正常に回転していることを検知する。
ここで、搬送ベルト87が搬送通路74の硬貨Cを一端壁部81側から他端壁部82に向けて搬送する方向のステッピングモータ91、検知板92、プーリ85,86および搬送ベルト87の回転を正回転とし、搬送ベルト87が搬送通路74の硬貨Cを他端壁部82側から一端壁部81に向けて搬送する方向のステッピングモータ91、検知板92、プーリ85,86および搬送ベルト87の回転を逆回転とする。
ステッピングモータ91による搬送ベルト87の逆回転で硬貨Cを通路面73上において一端壁部81に近づく方向に搬送している最中に、図3に示すように硬貨Cが一端壁部81に当接して停止すると、搬送ベルト87の回転数も下がり、ステッピングモータ91が脱調する。制御部61は、搬送ベルト87の逆回転中に、フォトインタラプタ93がスリット96または検知部97を検知する時間間隔が所定時間以上になると、硬貨Cが一端壁部81に当接して停止していることを検知する。言い換えれば、制御部61は、搬送ベルト87の逆回転中に、フォトインタラプタ93がスリット96または検知部97を検知する時間間隔が所定時間以上になると、硬貨Cが一端壁部81に当接する入金側搬送部15の一端位置に位置することを検知する。
また、ステッピングモータ91による搬送ベルト87の正回転で硬貨Cを通路面73上において他端壁部82に近づく方向に搬送している最中に、図4に示すように硬貨Cが他端壁部82に当接して停止すると、搬送ベルト87の回転数も下がり、ステッピングモータ91が脱調する。制御部61は、搬送ベルト87の正回転中に、フォトインタラプタ93がスリット96または検知部97を検知する時間間隔が所定時間以上になると、硬貨Cが他端壁部82に当接して停止していることを検知する。言い換えれば、制御部61は、搬送ベルト87の正回転中に、フォトインタラプタ93がスリット96または検知部97を検知する時間間隔が所定時間以上になると、硬貨Cが他端壁部82に当接する入金側搬送部15の他端位置に位置することを検知する。すなわち、ステッピングモータ91、検知板92およびフォトインタラプタ93が、ステッピングモータ91の回転方向および回転数に基づいて入金側搬送部15の両端部にて硬貨Cを検知する端位置硬貨検知部99(検知手段)を構成している。
本実施形態において、硬貨処理機10は以下の動作モードで動作する。
[動作モード]
本実施形態の動作モードでは、制御部61は、入金側搬送部15の端位置に接続されたプールスタッカ39よりも収納容量が大のプールカセット32を、入金処理時に入金部12に投入され識別部20で識別された硬貨を金種混合で繰り出し可能に一時貯留する一時貯留部とし、プールカセット32よりも収納容量が小のプールスタッカ39を、収納処理時にプールカセット32から繰り出された硬貨のうち、各還流部33〜38に収納しきれないオーバーフロー硬貨を金種混合で繰り出し可能に収納する一括収納部とする。すなわち、本実施形態の動作モードでは、入金側搬送部15の途中から分岐するプールカセット32を一時貯留部とする。言い換えれば、本実施形態の動作モードでは、プールカセット32が、入金側搬送部15で搬送される硬貨を、入金側搬送部15の途中から分岐して一時貯留する。
以下、いずれも本実施形態の動作モードで実行される、入金処理、返却処理、収納処理、カセット補充処理、ダイレクト補充処理、入金部補充処理、出金処理およびカルトン収集処理について説明する。
「入金処理」
制御部61は、入金処理を開始すると、まず、入金部12の図示略のシャッタを開く。そして、この入金部12に硬貨が投入されたことを図示略の入金部センサで検出すると、入金部12のシャッタを閉じ、開閉部65が開状態の入金部12で硬貨を一枚ずつに分離しながら入金側搬送部15に搬送する。そして、入金側搬送部15の正方向に回転する搬送ベルト87で硬貨をさらに搬送し識別部20で識別および計数する。その結果、識別部20で識別されて受け入れ可能と識別された真硬貨を、図5に太実線で示すように入金側搬送部15およびカセット案内部22でプールカセット32へ搬送しプールカセット32に一時貯留する。すなわち、制御部61は、識別部20で受け入れ可能と識別された硬貨に対しては、カセット案内部22を開状態として、プールカセット32に落下させる。
その一方で、制御部61は、識別部20で識別されて受け入れ不可と識別されたリジェクト硬貨を、図5に太破線で示すように、放出案内部21でカルトン14に搬送する。すなわち、制御部61は、識別部20で受け入れ不可と識別された硬貨に対しては、放出案内部21を開状態として、カルトン14に落下させる。
このように入金部12に投入された硬貨を識別部20で識別しながら、受け入れ不可と識別されたリジェクト硬貨をカルトン14に、受け入れ可能と識別された硬貨を一時貯留部としてのプールカセット32へ搬送する処理が、入金処理の第1処理となる。制御部61は、この第1処理中に、図示略の入金部センサ、識別部20、通過センサ23Aの検出結果から、入金部12に投入された硬貨が全て正常に搬送されてプールカセット32およびカルトン14のいずれかに搬送されたと判断すると、識別部20で受け入れ可能と識別された真硬貨の合計金額および金種別の枚数等を操作表示部62に表示させて、操作表示部62への確定指示操作、返却指示操作を待機する状態となって、入金処理を終了する。このように、入金処理では、プールカセット32が、入金部12に投入され識別部20で識別された硬貨を金種混合で繰り出し可能に一時貯留する一時貯留部となる。
上記した入金処理の第1処理中に、硬貨の搬送異常が発生すると、制御部61は、入金部12および入金側搬送部15による硬貨の搬送を停止させる。それと共に、制御部61は、操作表示部62に、図6に示す装置異常報知画面62Aを表示させる。装置異常報知画面62Aは、例えば「装置異常が発生しました。」と表示される、異常が発生した旨のテキスト表示62aと、例えば「リセットを押して、異常復旧処理を行って下さい。」と表示される、異常復旧処理が必要な旨のテキスト表示62bと、を表示させて、操作者に案内表示を行う。すなわち、制御部61は、後述する異常復旧処理を行う前に、この異常復旧処理を行う旨の表示を操作表示部62に表示させる。
加えて、制御部61は、操作表示部62に、例えば「リセット」と表示される、リセット入力領域62cを表示させる。言い換えれば、操作表示部62が、操作者に、異常復旧処理が必要な旨のテキスト表示62bと、リセット入力領域62cとを含む操作案内を表示する。操作者はこの案内表示を確認した後に、操作表示部62のリセット入力領域62cを押圧操作することになる。
ここで、入金処理における硬貨の搬送異常としては、識別部20においてカルトン14に搬送するべきと識別された硬貨が、放出案内部21の誤動作等でカルトン14に搬送されず放出案内部21を通り越して入金側搬送部15をそのまま走行し、通過センサ23Aで検知される場合と、識別部20においてプールカセット32に搬送するべきと識別された硬貨が、カセット案内部22の誤動作等でプールカセット32に搬送されずカセット案内部22を通り越して入金側搬送部15をそのまま走行し、通過センサ23Aで検知される場合と等がある。すなわち、カルトン14に搬送するべき硬貨あるいはプールカセット32に搬送するべき硬貨の入金側搬送部15での滞留である。本実施形態では、このような搬送異常となった搬送異常硬貨を、再びカルトン14に放出し、あるいはプールカセット32に貯留するようになっている。ここで、通過センサ23Aの配置位置については、カセット案内部22が誤動作して、プールカセット32に搬送されず入金側搬送部15をそのまま走行してしまった硬貨を即座に検知して搬送動作を停止可能なように、カセット案内部22の下流側すぐの位置に設けるのが好ましい。
装置異常報知画面62Aに対しリセット入力領域62cが押圧操作されると、制御部61は、入金処理の第1処理中に硬貨の搬送異常が発生した後の異常復旧処理の一部として、まず、開閉部65を閉状態として、入金側搬送部15のステッピングモータ91、検知板92、プーリ85,86および搬送ベルト87を逆方向に回転させる。すると、搬送通路74上の硬貨が一端壁部81側に搬送される。そして、制御部61は、端位置硬貨検知部99のフォトインタラプタ93においてスリット96または検知部97を検知する時間間隔が所定時間以上になることで、入金側搬送部15上で最も一端壁部81側にある硬貨が、図3に示すように一端壁部81に当接する入金側搬送部15の一端位置にあることを検知すると、ステッピングモータ91を停止させると共に、入金側搬送部15においてカセット案内部22のみを開状態として、ステッピングモータ91、検知板92、プーリ85,86および搬送ベルト87を正方向に回転させる。これにより、今回のステッピングモータ91の停止時点でカセット案内部22よりも一端壁部81側にあった硬貨が、プールカセット32に落下することになる。一方で、今回のステッピングモータ91の停止時点でカセット案内部22よりも他端壁部82側にあった硬貨は、この搬送ベルト87の正方向の回転で、他端壁部82側に搬送されることになる。
そして、制御部61は、この搬送ベルト87の正方向の回転中に、端位置硬貨検知部99のフォトインタラプタ93のスリット96または検知部97を検知する時間間隔が所定時間以上になることで、入金側搬送部15上で最も他端壁部82側にある硬貨が、図4に示すように他端壁部82に当接する入金側搬送部15の他端位置にあることを検知すると、ステッピングモータ91を停止させると共に、カセット案内部22を閉状態として、ステッピングモータ91、検知板92、プーリ85,86および搬送ベルト87を逆方向に回転させる。これにより、入金側搬送部15上の硬貨が一端壁部81側に再び移動する。
制御部61は、この搬送ベルト87の逆方向回転中に、端位置硬貨検知部99のフォトインタラプタ93のスリット96または検知部97を検知する時間間隔が所定時間以上になることで、入金側搬送部15上で最も一端壁部81側にある硬貨が、一端壁部81に当接する一端位置にあることを検知すると、ステッピングモータ91を停止させると共に、カセット案内部22を開状態として、ステッピングモータ91、検知板92、プーリ85,86および搬送ベルト87を正方向に回転させる。これにより、今回のステッピングモータ91の停止時点でカセット案内部22よりも一端壁部81側にあった硬貨が、プールカセット32に落下することになる。一方で、今回のステッピングモータ91の停止時点でカセット案内部22よりも他端壁部82側にあった硬貨は、他端壁部82側に搬送されることになる。
以上を適宜繰り返すことにより、入金処理の第1処理中に硬貨の搬送異常が発生した時点で入金側搬送部15に滞留していた全ての硬貨を、図7に太実線で示すように、プールカセット32に搬送する。この処理が、入金処理のリセット第2処理の前段処理である。すなわち、このリセット第2処理の前段処理は、開閉部65を閉状態として入金側搬送部15の全体を逆転および正転させながら、端位置硬貨検知部99で入金側搬送部15の一端位置に硬貨が位置することと入金側搬送部15の他端位置に硬貨が位置することとを検知してカセット案内部22を開閉することにより、リセット第2処理の開始時点で入金側搬送部15にあった、搬送異常硬貨を含む全ての硬貨を、入金側搬送部15の途中から分岐する一時貯留部としてのプールカセット32に搬送する。
ここで、リセット第2処理の開始時点で入金側搬送部15にあった硬貨のうちの最後の硬貨を一時貯留部としてのプールカセット32に搬送すると、その直前に端位置硬貨検知部99で入金側搬送部15の一端位置に硬貨が位置することを検知した後、入金側搬送部15の他端位置に硬貨が位置することを検知するのに十分な時間が経過しても、入金側搬送部15の他端位置に硬貨が位置することを検知しないことになる。この状態になると、制御部61は、リセット第2処理の開始時点で入金側搬送部15にあった、搬送異常硬貨を含む全ての硬貨を一時貯留部としてのプールカセット32に搬送したと判定する。これにより、このリセット第2処理の前段処理を終了する。
なお、入金側搬送部15上の硬貨の存在を検知する仕組みは、これに限らず、例えば、入金側搬送部15の一端壁部81側に、硬貨Cが一端壁部81に当接して停止していることを検知する光学センサや磁気センサを設けるようにしても良く、入金側搬送部15の他端壁部82側に、硬貨Cが他端壁部82に当接して停止していることを検知する光学センサや磁気センサを設けるようにしても良い。このようにしても、上記と同様に、搬送ベルト87の正転動作および逆転動作によって、入金側搬送部15に残留する硬貨は確実に検知されることになると共に、残留する全ての硬貨をプールカセット32に搬送することができる。
続いて、制御部61は、開閉部65を開状態とし、リセット第2処理開始時点で入金部12内に残存していた全ての硬貨を、図8に太実線で示すように、入金部12、入金側搬送部15およびカセット案内部22でプールカセット32に搬送するリセット第2処理の後段処理を行う。そして、制御部61は、このリセット第2処理の後段処理によって、入金部12内に硬貨がなくなったことを図示略の入金部センサで検知した時点から、入金側搬送部15の硬貨を搬送する搬送ベルト87を、入金側搬送部15上にある全ての硬貨をプールカセット32に搬送するのに十分な所定角度または所定時間、搬送方向下流側へ回転させる。これによって、制御部61は、リセット第2処理開始時点で入金部12内および入金側搬送部15上にあった全ての硬貨を、プールカセット32に搬送したと判断して、入金部12のベルトコンベアおよび入金側搬送部15の搬送ベルト87の駆動を停止させて、入金処理における異常復旧処理のリセット第2処理の後段処理すなわちリセット第2処理を終了する。
このリセット第2処理の終了後に、制御部61は、入金処理における異常復旧処理の残りの一部として、図9に太実線で示すように、リセット第2処理においてプールカセット32に一時貯留した全ての硬貨を機外へ搬送するリセット第3処理を行う。このリセット第3処理では、制御部61は、繰出部42、出金側搬送部55、入金部12、入金側搬送部15および放出案内部21を駆動する。このリセット第3処理により、リセット第2処理においてプールカセット32に一時貯留した全ての硬貨を1枚ずつ繰出部42で繰り出し、出金側搬送部55、シャッタが閉じられ開閉部65が開かれた状態の入金部12および入金側搬送部15で搬送して、放出案内部21でカルトン14に搬送する。すなわち、制御部61は、このリセット第3処理で、放出案内部21を開状態として、プールカセット32に一時貯留した全ての硬貨をカルトン14に落下させる。
リセット第3処理中、制御部61は、プールカセット32に残留する硬貨がなくなったことを図示略のプールカセットセンサで検知した時点から、出金側搬送部55の硬貨を搬送する図示略の搬送ベルトを、出金側搬送部55上の全ての硬貨を入金部12に搬送するのに十分な所定角度または所定時間、搬送方向下流側へ回転させてこの搬送ベルトの駆動を停止させる。その後、制御部61は、入金部12内に硬貨がなくなったことを図示略の入金部センサで検知した時点から、入金側搬送部15の硬貨を搬送する搬送ベルト87を、入金側搬送部15上の硬貨をカルトン14に搬送するのに十分な所定角度または所定時間、搬送方向下流側へ回転させて、入金部12のベルトコンベアおよび入金側搬送部15の搬送ベルト87の駆動を停止させる。
以上の入金処理における異常復旧処理によって、入金処理の第1処理中にカルトン14に搬送するべきと識別されたものの放出案内部21を通り過ぎて機外のカルトン14に搬送されなかった搬送異常硬貨を含む硬貨、あるいは、入金処理の第1処理中にプールカセット32に搬送するべきと識別されたもののカセット案内部22を通り過ぎてプールカセット32に搬送されなかった搬送異常硬貨を含む硬貨が、カルトン14に搬送される。
以上により、入金処理において、入金側搬送部15で硬貨を搬送する第1処理中に硬貨の搬送異常が発生した際に、搬送異常硬貨を含む入金側搬送部15にある全ての硬貨と、それ以前の第1処理で既にプールカセット32に正常に搬送された全ての硬貨と、入金部12に残っていた未計数の全ての硬貨とを、一旦、リセット第2処理でプールカセット32に搬送し纏めた後、リセット第3処理でカルトン14に放出する。
「返却処理」
入金処理の第1処理の終了後、操作表示部62へ返却指示操作が入力されると、制御部61は、返却処理を開始する。つまり、図9に太実線で示す入金処理のリセット第3処理と同様に、プールカセット32の全ての硬貨を、繰出部42で繰り出し、出金側搬送部55、シャッタが閉じられ開閉部65が開かれた状態の入金部12および入金側搬送部15で搬送して、放出案内部21でカルトン14に落下させる。すなわち、制御部61は、放出案内部21を開状態として、プールカセット32の全ての硬貨を、出金側搬送部55、入金部12および入金側搬送部15で搬送して、カルトン14に落下させる。そして、プールカセット32の全ての硬貨が正常に搬送されて、プールカセット32、出金側搬送部55、入金部12および入金側搬送部15に硬貨がなくなると、返却処理を終了する。このようにプールカセット32内の硬貨をカルトン14に全て搬送して、操作者に取り出させる。
このようにプールカセット32の全ての硬貨を出金側搬送部55、入金部12および入金側搬送部15でカルトン14へ搬送する処理が、返却処理の第1処理となる。この第1処理中に、硬貨の搬送異常が発生すると、制御部61は、繰出部42による硬貨の繰り出しと、出金側搬送部55、入金部12および入金側搬送部15による硬貨の搬送とを停止させる。それと共に、制御部61は、入金処理時と同様、操作表示部62に、図6に示す、異常が発生した旨のテキスト表示62aと、異常復旧処理が必要な旨のテキスト表示62bと、リセット入力領域62cと、を含む装置異常報知画面62Aを表示させる。ここで、返却処理における硬貨の搬送異常としては、放出案内部21でカルトン14に落下させるべき硬貨が、通過センサ23Aで検知される場合がある。
装置異常報知画面62Aに対しリセット入力領域62cが押圧操作されると、制御部61は、返却処理の第1処理中に硬貨の搬送異常が発生した後の異常復旧処理の一部として、繰出部42は停止状態のまま、まず、図7に太実線で示す入金処理のリセット第2処理の前段処理と同様に、開閉部65を閉じた後、入金側搬送部15の正逆回転、および、これに連動するカセット案内部22の開閉によって、入金側搬送部15上にある、搬送異常硬貨を含む全ての硬貨をカセット案内部22でプールカセット32へ搬送する、返却処理のリセット第2処理の前段処理を行う。この前段処理では、リセット第2処理開始時点で入金側搬送部15にあった、搬送異常硬貨を含む全ての硬貨と、リセット第2処理開始時点でプールカセット32に残存していた全ての硬貨とをプールカセット32で纏める。
入金側搬送部15に硬貨がなくなると、制御部61は、開閉部65を開状態として、出金側搬送部55、入金部12および入金側搬送部15による硬貨の搬送動作を再開させて、出金側搬送部55上および入金部12内にある全ての硬貨を、図10に太実線で示すように、出金側搬送部55、シャッタが閉じられ開閉部65が開かれた状態の入金部12および入金側搬送部15で搬送して、カセット案内部22でプールカセット32に搬送する、返却処理のリセット第2処理の後段処理を行う。すなわち、制御部61は、カセット案内部22を開状態として、この後段処理開始時に出金側搬送部55上および入金部12内にあった全ての硬貨をプールカセット32に落下させる。
このリセット第2処理の後段処理中、制御部61は、出金側搬送部55の硬貨を搬送する図示略の搬送ベルトを、出金側搬送部55上にある全ての硬貨を入金部12に搬送するのに十分な所定角度または所定時間、搬送方向下流側へ回転させる。その後、制御部61は、入金部12内に硬貨がなくなったことを図示略の入金部センサで検知した時点から、入金側搬送部15の硬貨を搬送する搬送ベルト87を、入金側搬送部15上の全ての硬貨をプールカセット32に搬送するのに十分な所定角度または所定時間、搬送方向下流側へ回転させる。これにより、リセット第2処理の後段処理、すなわちリセット第2処理を終了する。このリセット第2処理の後段処理では、リセット第2処理の前段処理でプールカセット32に纏められた全ての硬貨に、リセット第2処理開始時点で出金側搬送部55上および入金部12内にあった全ての硬貨を、プールカセット32で纏める。
このリセット第2処理の終了後に、制御部61は、返却処理における異常復旧処理の残りの一部として、リセット第2処理においてプールカセット32に一時貯留した全ての硬貨を機外のカルトン14へ搬送する、図9に太実線で示す返却処理の第1処理のリトライ処理を行う。
以上の返却処理においては、機外のカルトン14に搬送するべきであったもののカルトン14に搬送されなかった搬送異常硬貨を含む硬貨が、異常復旧処理によってカルトン14に搬送される。
以上により、返却処理において、出金側搬送部55、入金部12および入金側搬送部15で硬貨を搬送する第1処理中に硬貨の搬送異常が発生した際に、出金側搬送部55、入金部12および入金側搬送部15にある、搬送異常硬貨を含む全ての硬貨を、一旦、リセット第2処理でプールカセット32に搬送し、プールカセット32に残存していた全ての硬貨と纏めた後、第1処理のリトライ処理でカルトン14に放出する。
「収納処理」
入金処理の第1処理の終了後、操作表示部62へ確定指示操作が入力されると、制御部61は、収納処理を開始する。つまり、図11に太実線で示すように、プールカセット32の硬貨を、繰出部42で繰り出し、出金側搬送部55、シャッタが閉じられ開閉部65が開かれた状態の入金部12および入金側搬送部15で搬送して識別部20で識別する。そして、この識別部20の識別結果および通過センサ23Aの検知結果に基づいて、各金種の硬貨を還流案内部23〜28の対応する金種のもので、還流部33〜38の対応する金種のものに収納する。すなわち、1円硬貨を1円硬貨用の還流案内部23の開作動で1円硬貨用の還流部33に、100円硬貨を100円硬貨用の還流案内部24の開作動で100円硬貨用の還流部34に、10円硬貨を10円硬貨用の還流案内部25の開作動で10円硬貨用の還流部35に、50円硬貨を50円硬貨用の還流案内部26の開作動で50円硬貨用の還流部36に、5円硬貨を5円硬貨用の還流案内部27の開作動で5円硬貨用の還流部37に、500円硬貨を500円硬貨用の還流案内部28の開作動で500円硬貨用の還流部38に、それぞれ収納する。なお、識別部20の識別結果に基づいて、各還流部33〜38のオーバーフロー硬貨、汚損硬貨および旧500円硬貨は、図11に太破線で示すように、スタッカ案内部29でプールスタッカ39に収納する。そして、プールカセット32の全ての硬貨が正常に搬送されて、プールカセット32、出金側搬送部55、入金部12および入金側搬送部15に硬貨がなくなると、収納処理を終了する。
このようにプールカセット32の硬貨を出金側搬送部55、入金部12および入金側搬送部15で搬送しつつ、識別部20の識別結果に基づいて、還流案内部23〜28で還流部33〜38の対応する金種のものに搬送したり、スタッカ案内部29でプールスタッカ39に搬送する処理が、収納処理の第1処理となる。この収納処理の第1処理中に、硬貨の搬送異常が発生すると、制御部61は、繰出部42による硬貨の繰り出しと、出金側搬送部55、入金部12および入金側搬送部15による硬貨の搬送とを停止させる。
それと共に、制御部61は、操作表示部62に、図12に示す装置異常報知画面62Bを表示させる。装置異常報知画面62Bは、例えば「装置異常が発生しました。」と表示される、異常が発生した旨のテキスト表示62dと、例えば「リセットを押して、異常復旧処理を行うか、または、リトライを押して、リトライ処理を行って下さい。」と表示される、異常復旧処理のリセット処理およびリトライ処理が選択可能な旨のテキスト表示62eと、を表示させて、操作者に案内表示を行う。すなわち、制御部61は、後述する第1,第2異常復旧処理を行う前に、リトライ処理およびリセット処理の両方の選択が可能な旨の表示を操作表示部62に表示させる。
加えて、制御部61は、操作表示部62に、例えば「リセット」と表示される、リセット入力領域62fと、例えば「リトライ」と表示される、リトライ入力領域62gと、を表示させる。言い換えれば、操作表示部62が、操作者に、異常復旧処理が必要な旨のテキスト表示62eと、リセット入力領域62fおよびリトライ入力領域62gとを含む操作案内を表示する。操作者はこの案内表示を確認した後に、操作表示部62のリセット入力領域62fおよびリトライ入力領域62gのうちの一方を選択して押圧操作することになる。ここで、収納処理における硬貨の搬送異常としては、還流案内部23〜28で還流部33〜38に落下させるべき硬貨が、通過センサ29Aで検知される場合と、スタッカ案内部29でプールスタッカ39に落下させるべき硬貨が、端位置硬貨検知部99で他端位置に検知される場合と等がある。
装置異常報知画面62Bに対し、リセット入力領域62fが押圧操作されると、制御部61は、収納処理の第1処理中に硬貨の搬送異常が発生した後の第1異常復旧処理として、図7に太実線で示す入金処理のリセット第2処理の前段処理と同様のリセット第2処理の前段処理と、図10に太実線で示す返却処理のリセット第2処理の後段処理と同様のリセット第2処理の後段処理と、図9に太実線で示す入金処理のリセット第3処理と同様のリセット第3処理と、を順に行う。
以上により、収納処理において、出金側搬送部55、入金部12および入金側搬送部15で硬貨を搬送する第1処理中に硬貨の搬送異常が発生した際に、その後の第1異常復旧処理として、出金側搬送部55、入金部12および入金側搬送部15にある、搬送異常硬貨を含む全ての硬貨を、一旦、リセット第2処理でプールカセット32に搬送して纏めた後、リセット第3処理でカルトン14に放出する。
以上の収納処理における第1異常復旧処理によって、還流部33〜38の対応するものに落下させるべきと識別されたものの対応するものに落下されなかった搬送異常硬貨、あるいはプールスタッカ39に落下させるべきと識別されたもののプールスタッカ39に落下されなった搬送異常硬貨を含む硬貨がカルトン14に搬送される。
他方、装置異常報知画面62Bに対し、リトライ入力領域62gが押圧操作されると、制御部61は、収納処理の第1処理中に硬貨の搬送異常が発生した後の第2異常復旧処理として、図7に太実線で示す収納処理のリセット第2処理の前段処理と同様のリトライ第2処理の前段処理と、図10に太実線で示す収納処理のリセット第2処理の後段処理と同様のリトライ第2処理の後段処理と、図11に太線で示す収納処理の第1処理のリトライ処理と、を順に行う。
以上により、収納処理において、出金側搬送部55、入金部12および入金側搬送部15で硬貨を搬送する第1処理中に硬貨の搬送異常が発生した際に、その後の第2異常復旧処理として、出金側搬送部55、入金部12および入金側搬送部15にある、搬送異常硬貨を含む全ての硬貨を、一旦、リトライ第2処理でプールカセット32に搬送し纏めた後、再度の第1処理のリトライ処理で、出金側搬送部55、入金部12および入金側搬送部15で搬送して、識別部20で識別し、その結果に基づいて、還流案内部23〜28で還流部33〜38の対応する金種のものに搬送したり、スタッカ案内部29でプールスタッカ39に搬送する。
以上の収納処理における第2異常復旧処理によって、還流部33〜38の対応するものに落下させるべきと識別されたものの対応するものに搬送されなかった搬送異常硬貨を含む硬貨、あるいは、スタッカ案内部29でプールスタッカ39に落下させるべきと識別されたもののプールスタッカ39に落下されなった搬送異常硬貨が、再び識別部20で識別され、その識別結果に基づいて還流部33〜38およびプールスタッカ39の対応するものに落下させられる。
「カセット補充処理」
カセット補充処理は、硬貨処理機10の外部で予めプールカセット32に収納された硬貨を、金種別の還流部33〜38に補充する処理である。カセット補充処理を開始すると、制御部61は、図11に太実線で示すように、収納処理の第1処理と同様に、プールカセット32の硬貨を、繰出部42で繰り出し、出金側搬送部55、シャッタが閉じられ開閉部65が開かれた状態の入金部12および入金側搬送部15でさらに搬送して、識別部20の識別結果および通過センサ23Aの検知結果に基づいて、各金種の硬貨を還流案内部23〜28の対応する金種のもので、還流部33〜38の対応する金種のものに収納する。なお、識別部20の識別および計数結果に基づいて、各還流部33〜38でオーバーフローするオーバーフロー硬貨は、図11に太破線で示すように、スタッカ案内部29でプールスタッカ39に搬送する。また、受け入れ不可な硬貨は、放出案内部21でカルトン14に搬送する。
上記のようにプールカセット32の硬貨を出金側搬送部55、入金部12および入金側搬送部15で搬送しつつ、識別部20で識別して、還流案内部23〜28で還流部33〜38の対応する金種のものに搬送したり、スタッカ案内部29でプールスタッカ39に搬送したり、放出案内部21でカルトン14に搬送する処理が、カセット補充処理の第1処理となる。このカセット補充処理の第1処理中に、硬貨の搬送異常が発生すると、制御部61は、繰出部42による硬貨の繰り出しと、出金側搬送部55、入金部12および入金側搬送部15による硬貨の搬送とを停止させる。
それと共に、制御部61は、操作表示部62に、図12に示す、異常が発生した旨のテキスト表示62dと、異常復旧処理のリセット処理およびリトライ処理が選択可能な旨のテキスト表示62eと、リセット入力領域62fと、リトライ入力領域62gと、を含む装置異常報知画面62Bを表示させる。ここで、カセット補充処理における硬貨の搬送異常としては、放出案内部21でカルトン14に落下させるべき硬貨が、搬送する通過センサ23Aで検知される場合や、還流案内部23〜28で還流部33〜38に落下させるべき硬貨が、通過センサ29Aで検知される場合や、スタッカ案内部29でプールスタッカ39に落下させるべき硬貨が端位置硬貨検知部99で他端位置に検知される場合等がある。
装置異常報知画面62Bに対し、リセット入力領域62fが押圧操作されると、制御部61は、操作表示部62に、プールカセット32を空のものに交換するように指示するテキスト表示を表示させる。そして、プールカセット32が空のものに交換されると、制御部61は、カセット補充処理の第1処理中に硬貨の搬送異常が発生した後の第1異常復旧処理として、図7に太実線で示す収納処理における第1異常復旧処理のリセット第2処理の前段処理と同様のリセット第2処理の前段処理と、図10に太実線で示す収納処理における第1異常復旧処理のリセット第2処理の後段処理と同様のリセット第2処理の後段処理と、図9に太実線で示す収納処理における第1異常復旧処理のリセット第3処理と同様のリセット第3処理と、を順に行う。
以上により、カセット補充処理において、出金側搬送部55、入金部12および入金側搬送部15で硬貨を搬送する第1処理中に硬貨の搬送異常が発生した際に、その後の第1異常復旧処理として、出金側搬送部55、入金部12および入金側搬送部15にある、搬送異常硬貨を含む全ての硬貨を、一旦、リセット第2処理で空のプールカセット32に搬送し纏めた後、リセット第3処理でカルトン14に放出する。
以上のカセット補充処理における第1異常復旧処理によって、放出案内部21でカルトン14に落下させるべき硬貨と識別されたもののカルトン14に搬送されなかった硬貨、あるいは還流部33〜38の対応するものに落下させるべきと識別されたものの対応するものに搬送されなかった硬貨、あるいはスタッカ案内部29でプールスタッカ39に落下させるべきと識別されたもののプールスタッカ39に搬送されなかった硬貨を含む硬貨が、放出案内部21でカルトン14に搬送される。
他方、装置異常報知画面62Bに対し、リトライ入力領域62gが押圧操作されると、制御部61は、カセット補充処理の第1処理中に硬貨の搬送異常が発生した後の第2異常復旧処理として、図7に太実線で示す収納処理のリトライ第2処理の前段処理と同様のリトライ第2処理の前段処理と、図10に太実線で示す収納処理のリトライ第2処理の後段処理と同様のリトライ第2処理の後段処理と、図11に太線で示す収納処理における第2異常復旧処理と同様の、収納処理の第1処理のリトライ処理と、を順に行う。
以上により、カセット補充処理において、出金側搬送部55、入金部12および入金側搬送部15で硬貨を搬送する第1処理中に硬貨の搬送異常が発生した際に、その後の第2異常復旧処理として、出金側搬送部55、入金部12および入金側搬送部15にある、搬送異常硬貨を含む全ての硬貨を、一旦、リトライ第2処理でプールカセット32に搬送し纏めた後、収納処理の第1処理のリトライ処理で、プールカセット32の硬貨を出金側搬送部55、入金部12および入金側搬送部15で搬送しつつ、識別部20の識別結果に基づいて、カルトン14、還流部33〜38およびプールスタッカ39の対応するものに搬送する。
以上のカセット補充処理における第2異常復旧処理によって、放出案内部21でカルトン14に落下させるべき硬貨と識別されたもののカルトン14に搬送されなかった硬貨、あるいは還流部33〜38の対応するものに落下させるべきと識別されたものの対応するものに搬送されなかった硬貨、あるいはスタッカ案内部29でプールスタッカ39に落下させるべきと識別されたもののプールスタッカ39に搬送されなかった硬貨を含む硬貨が、再び識別部20で識別され、その識別結果に基づいて、カルトン14、還流部33〜38およびプールスタッカ39の対応するものに落下させられる。
カセット補充処理の第1,第2異常復旧処理後に、プールカセット32を元に戻して、図11に太実線で示すカセット補充処理の第1処理を行って、プールカセット32に残っている硬貨を、出金側搬送部55、入金部12および入金側搬送部15で搬送しつつ、識別部20で識別して、カルトン14、還流部33〜38およびプールスタッカ39の対応するものに搬送する。
「ダイレクト補充処理」
ダイレクト補充処理は、入金部12に投入された硬貨を、プールカセット32を介さずに還流部33〜38に補充する処理である。制御部61は、ダイレクト補充処理を開始すると、まず、入金部12の図示略のシャッタを開き、この入金部12に硬貨が投入されたことを図示略の入金部センサで検出すると、入金部12で硬貨を入金側搬送部15に搬送する。そして、図13に太実線で示すように、入金部12から開状態の開閉部65を通って搬送された硬貨を入金側搬送部15で搬送し、識別部20の識別結果および通過センサ23A,29Aの検知結果に基づいて、各金種の硬貨を還流案内部23〜28の対応する金種のもので、還流部33〜38の対応する金種のものに収納する。なお、識別部20の識別および計数結果に基づいて、各還流部33〜38でオーバーフローするオーバーフロー硬貨は、図13に太破線で示すように、スタッカ案内部29でプールスタッカ39に収納する。そして、入金部12に投入された全ての硬貨が正常に搬送されて、入金部12および入金側搬送部15に硬貨がなくなると、ダイレクト補充処理を終了する。なお、識別部20の識別結果に基づいて、受け入れ不可と識別されたリジェクト硬貨、汚損硬貨および旧500円硬貨は、放出案内部21でカルトン14に搬送する。
このように入金部12の硬貨を入金側搬送部15で搬送しつつ、還流案内部23〜28で還流部33〜38の対応する金種のものに搬送したり、スタッカ案内部29でプールスタッカ39に搬送したり、放出案内部21でカルトン14に搬送する処理が、ダイレクト補充処理の第1処理となる。このダイレクト補充処理の第1処理中に、硬貨の搬送異常が発生すると、制御部61は、入金部12および入金側搬送部15による硬貨の搬送を停止させる。
それと共に、制御部61は、操作表示部62に、図12に示す装置異常報知画面62Bを表示させる。ここで、ダイレクト補充処理における硬貨の搬送異常としては、放出案内部21でカルトン14に落下させるべき硬貨が通過センサ23Aで検知される場合、還流案内部23〜28で還流部33〜38に落下させるべき硬貨が、通過センサ29Aで検知される場合、スタッカ案内部29でプールスタッカ39に落下させるべき硬貨が端位置硬貨検知部99で他端位置に検知される場合等がある。
装置異常報知画面62Bに対し、リセット入力領域62fが押圧操作されると、制御部61は、ダイレクト補充処理の第1処理中に硬貨の搬送異常が発生した後の第1異常復旧処理として、図7に太実線で示す入金処理のリセット第2処理の前段処理と同様のリセット第2処理の前段処理と、図8に太実線で示す入金処理のリセット第2処理の後段処理と同様のリセット第2処理の後段処理と、図9に示す入金処理のリセット第3処理と同様のリセット第3処理と、を順に行う。
以上により、ダイレクト補充処理において、入金部12および入金側搬送部15で硬貨を搬送する第1処理中に硬貨の搬送異常が発生した際に、その後の第1異常復旧処理として、入金部12および入金側搬送部15にある、搬送異常硬貨を含む全ての硬貨を、一旦、リセット第2処理でプールカセット32に搬送し纏めた後、リセット第3処理で機外のカルトン14に放出する。
他方、装置異常報知画面62Bに対し、リトライ入力領域62gが押圧操作されると、制御部61は、ダイレクト補充処理の第1処理中に硬貨の搬送異常が発生した後の第2異常復旧処理として、図7に太実線で示すダイレクト補充処理のリセット第2処理の前段処理と同様のリトライ第2処理の前段処理と、図8に太実線で示すダイレクト補充処理のリセット第2処理の後段処理と同様のリトライ第2処理の後段処理と、図11に太線で示す収納処理の第1処理と同様のリトライ処理と、を順に行う。
以上により、ダイレクト補充処理において、入金部12および入金側搬送部15で硬貨を搬送する第1処理中に硬貨の搬送異常が発生した際に、その後の第2異常復旧処理として、搬送異常を含む入金部12および入金側搬送部15にある全ての硬貨を、一旦、リトライ第2処理でプールカセット32に搬送し纏めた後、リトライ処理によって、出金側搬送部55、入金部12および入金側搬送部15で搬送し識別部20で識別して、その結果に基づいて、カルトン14、還流部33〜38およびプールスタッカ39の対応するものに搬送する。
以上のダイレクト補充処理における第2異常復旧処理によって、放出案内部21でカルトン14に落下させるべき硬貨と識別されたもののカルトン14に搬送されなかった硬貨、あるいは還流部33〜38の対応するものに落下させるべきと識別されたものの対応するものに搬送されなかった硬貨、あるいは、スタッカ案内部29でプールスタッカ39に落下させるべきと識別されたもののプールスタッカ39に搬送されなかった硬貨を含む硬貨が、再び識別部20で識別され、その識別結果に基づいて、カルトン14、還流部33〜38およびプールスタッカ39の対応するものに落下させられる。
「入金部補充処理」
入金部補充処理は、入金処理と同様に、入金部12に投入された硬貨を、プールカセット32に一時貯留した後に、収納処理と同様に、プールカセット32に一時貯留した硬貨を還流部33〜38に補充する処理である。すなわち、入金部補充処理は、入金処理と収納処理との複合処理である。
制御部61は、入金部補充処理において入金処理の第1処理中に硬貨の搬送異常が発生すると、入金処理の上記した異常復旧処理を行うことになり、入金部補充処理において収納処理の第1処理中に硬貨の搬送異常が発生すると、収納処理の上記した第1,第2異常復旧処理の選択された一方を行うことになる。
「出金処理」
出金処理は、操作表示部62に入力された出金データに基づいて、図14に太実線で示すように、金種別に設けられた還流部33〜38の対応する金種のものから、繰出部43〜48の対応する金種のものによって、硬貨を、計数しつつ出金側搬送部55に繰り出し、出金側搬送部55、シャッタが閉じられ開閉部65が開かれた状態の入金部12および入金側搬送部15で搬送して、識別部20で識別および計数しつつ放出案内部21でカルトン14へ放出する。還流部33〜38の対応する金種のものから出金データの全ての硬貨が繰り出された後、全ての硬貨が正常に搬送されて、出金側搬送部55、入金部12および入金側搬送部15に硬貨がなくなると、出金処理を終了する。ここで、識別部20の識別および計数結果から、リジェクト硬貨が検出されると、この硬貨については、図14に太破線で示すように、入金側搬送部15およびスタッカ案内部29でプールスタッカ39へ搬送し収納する。
このように還流部33〜38の対応する金種のものの硬貨を、繰出部43〜48の対応する金種のもので繰り出し、出金側搬送部55、入金部12および入金側搬送部15で搬送しつつ、放出案内部21でカルトン14に搬送したり、スタッカ案内部29でプールスタッカ39へ搬送する処理が、出金処理の第1処理となる。この出金処理の第1処理中に、硬貨の搬送異常が発生すると、制御部61は、繰出部43〜48の硬貨の繰り出しを行っていたものの繰り出しを停止させ、出金側搬送部55、入金部12および入金側搬送部15による硬貨の搬送を停止させる。
それと共に、制御部61は、操作表示部62に、図12に示す装置異常報知画面62Bを表示させる。ここで、出金処理における硬貨の搬送異常としては、放出案内部21でカルトン14に落下させるべき硬貨が通過センサ23Aで検知される場合と、スタッカ案内部29でプールスタッカ39へ落下させるべき硬貨が端位置硬貨検知部99で検知される場合等がある。
装置異常報知画面62Bに対し、リセット入力領域62fが押圧操作されると、制御部61は、出金処理の第1処理中に硬貨の搬送異常が発生した後の第1異常復旧処理として、図7に太実線で示す返却処理のリセット第2処理の前段処理と同様のリセット第2処理の前段処理と、図10に太実線で示す返却処理のリセット第2処理の後段処理と同様のリセット第2処理の後段処理と、図9に太実線で示す返却処理のリセット第3処理と同様のリセット第3処理と、を順に行う。
以上により、出金処理において、出金側搬送部55、入金部12および入金側搬送部15で硬貨を搬送する第1処理中に硬貨の搬送異常が発生した際に、その後の第1異常復旧処理として、リセット第2処理の前段処理で、開閉部65を閉状態として、入金側搬送部15にある、搬送異常硬貨を含む全ての硬貨を、一旦、プールカセット32に搬送し、次に、リセット第2処理の後段処理で、出金側搬送部55および入金部12にある、全ての硬貨を、一旦、プールカセット32に搬送する。このようにして、搬送異常が発生した際に入金側搬送部15、出金側搬送部55および入金部12にあった全ての硬貨を、一時貯留部であるプールカセット32に一旦纏めた後、リセット第3処理でカルトン14に放出する。
他方、装置異常報知画面62Bに対し、リトライ入力領域62gが押圧操作されると、制御部61は、出金処理の第1処理中に硬貨の搬送異常が発生した後の第2異常復旧処理として、図7に太実線で示す出金処理のリセット第2処理の前段処理と同様のリトライ第2処理の前段処理と、図10に太実線で示す出金処理のリセット第2処理の後段処理と同様のリトライ第2処理の後段処理と、図11に太線で示す収納処理の第1処理と同様のリトライ第3処理と、図14に太線で示す出金処理の第1処理のリトライ処理と、を順に行う。
ここで、出金処理において、還流部33〜38が、出金側搬送部55、入金部12および入金側搬送部15で搬送される硬貨の搬送始発部である第1の部位であり、カルトン14が、入金側搬送部15で搬送される硬貨の搬送終着部である第2の部位である。そして、還流部33〜38から、カルトン14に向けて、出金側搬送部55、入金部12および入金側搬送部15で硬貨を搬送する出金処理の第1処理中に硬貨の搬送異常が発生した際に、その後の第2異常復旧処理として、リトライ第2処理の前段処理で、開閉部65を閉状態として、入金側搬送部15にある、搬送異常硬貨を含む全ての硬貨を、一旦、プールカセット32に搬送し、次に、リトライ第2処理の後段処理で、出金側搬送部55および入金部12にある、全ての硬貨を、一旦、プールカセット32に搬送する。このようにして、搬送異常が発生した際に入金側搬送部15、出金側搬送部55および入金部12にあった全ての硬貨を、一時貯留部であるプールカセット32に一旦纏めた後、リトライ第3処理で、出金側搬送部55、入金部12および入金側搬送部15で搬送し、識別部20の識別結果に基づいて、還流案内部23〜28の対応する金種のもので、第1の部位である還流部33〜38の対応する金種のものに収納する。なお、出金処理のリトライ第2処理でプールカセット32に搬送する硬貨を、識別部20の識別結果に基づいて、枚数および金種を検出し、第1処理中に硬貨の搬送異常が発生した際に、正常に出金処理が行われずに機内にある全ての硬貨の理論上の枚数および金種とを比較して一致を確認することも可能である。そして、この一致を確認できれば、硬貨の搬送異常が発生した際に機内にある全ての硬貨をプールカセット32に搬送する排除処理した結果の信頼性が高まることになる。
その後、出金処理の第1処理のリトライ処理を行う。すなわち、還流部33〜38の対応する金種のものの硬貨を、繰出部43〜48の対応する金種のものから繰り出し、出金側搬送部55、入金部12、入金側搬送部15および放出案内部21でカルトン14に搬送する出金処理の第1処理で、出金データの残りの硬貨を、カルトン14に出金する。すなわち、制御部61は、出金データと、搬送異常の発生前にカルトン14に正常に払い出した硬貨のデータとを記憶部63から読み出し、出金データから搬送異常の発生前にカルトン14に正常に払い出した硬貨のデータを金種別に減算して、払い出しが必要な残りの硬貨のデータを算出し、このデータの分、還流部33〜38の対応する金種のものの硬貨を、繰出部43〜48の対応する金種のものから繰り出し、出金側搬送部55、入金部12、入金側搬送部15および放出案内部21でカルトン14に搬送する。
「カルトン収集処理」
カルトン収集処理は、カルトン14による回収動作であり、全回収の他、金額指定での一部回収も可能となっている。操作者が金額指定(金種および枚数)の一部回収か、全回収かを操作表示部62に入力すると、制御部61は、図15に太実線で示すように、還流部33〜38およびプールスタッカ39から、指定分の硬貨を繰り出す。すなわち、カルトン収集処理は、オーバーフロー硬貨等を収納するプールスタッカ39からも硬貨を繰り出し可能である点以外は、出金処理と同様であり、プールスタッカ39から繰り出す場合も含め、硬貨の搬送異常が発生したときの異常復旧処理も、出金処理の第1,第2異常復旧処理と同様である。
以上に述べた本実施形態の硬貨処理機によれば、制御部61が、入金処理において、入金部12に投入された硬貨を入金側搬送部15で搬送し識別部20で識別しながら一時貯留部であるプールカセット32へ搬送する第1処理中に硬貨の搬送異常が発生した後の異常復旧処理として、入金側搬送部15にある硬貨を全てプールカセット32に搬送するリセット第2処理の前段処理と、入金部12にある硬貨を全てプールカセット32に搬送するリセット第2処理の後段処理と、このリセット第2処理の後段処理の終了後にプールカセット32内の全ての硬貨を機外のカルトン14へ搬送するリセット第3処理と、を行うため、操作者が入金側搬送部15を開放する必要がなくなる。よって、操作者の作業負担を軽減することが可能となる。しかも、入金側搬送部15の途中から分岐して硬貨を一時貯留するプールカセット32に対し、リセット第2処理の前段処理において、入金側搬送部15にある全ての硬貨を、入金側搬送部15を逆転および正転させながら端位置硬貨検知部99で検知してプールカセット32に搬送するため、良好に硬貨を搬送できる。
また、制御部61が、入金処理において、異常復旧処理を行う前に、この異常復旧処理を行う旨の表示を操作表示部62に表示させるため、異常復旧処理を行う旨を操作者に認識させることができる。
また、制御部61が、出金処理において、第1の部位である還流部33〜38から第2の部位であるカルトン14へ硬貨を、出金側搬送部55、入金部12および入金側搬送部15にて搬送する第1処理中に硬貨の搬送異常が発生した後の第2異常復旧処理の際に、入金側搬送部15にある硬貨を全てプールカセット32に搬送するリトライ第2処理の前段処理と、入金部12にある硬貨を全てプールカセット32に搬送するリトライ第2処理の後段処理と、このようにプールカセット32に搬送された全ての硬貨を、このリトライ第2処理の後段処理の終了後に第1の部位である還流部33〜38へ搬送するリトライ第3処理と、このリトライ第3処理の終了後の第1処理のリトライ処理と、を行うため、操作者が出金側搬送部55、入金部12および入金側搬送部15を開放する必要がなくなる。加えて、操作者が機外に搬送された硬貨をセットしなおす必要もなくなる。よって、操作者の作業負担を軽減することが可能となる。しかも、入金側搬送部15の途中から分岐して硬貨を一時貯留するプールカセット32に対し、リセット第2処理の前段処理において、入金側搬送部15にある全ての硬貨を、入金側搬送部15を逆転および正転させながら端位置硬貨検知部99で検知してプールカセット32に搬送するため、良好に硬貨を搬送できる。
また、制御部61が、出金処理において、リトライ第2処理およびリトライ第3処理の終了後の第1処理のリトライ処理と、リトライ第2処理すなわちリセット第2処理の終了後に一時貯留部であるプールカセット32内の全ての硬貨を機外へ搬送するリセット処理と、が選択設定可能であるため、異常復旧処理のバリエーションが増える。異常復旧処理を行う前に、リトライ処理およびリセット処理の両方の選択が可能な旨を操作表示部62に表示させるため、リトライ処理およびリセット処理の両方の選択が可能であることを操作者に認識させることができる。
上記実施形態を以下の変形例1のように変更することも可能である。
{変形例1}
上記した入金処理において、入金部12からプールカセット32へ入金側搬送部15にて硬貨を搬送する第1処理では、入金部12が、入金側搬送部15で搬送される硬貨の搬送始発部である第1の部位であり、一時貯留部であるプールカセット32が、入金側搬送部15で搬送される硬貨の搬送終着部である第2の部位である。この第1処理中に、上記と同様の硬貨の搬送異常が発生すると、制御部61は、上記と同様に入金部12および入金側搬送部15による硬貨の搬送を停止させる。
それと共に、制御部61は、操作表示部62に、図12に示す装置異常報知画面62Bを表示させる。すなわち、制御部61は、異常復旧処理を行う前に、リトライ処理およびリセット処理の両方の選択が可能な旨を操作表示部62に表示させる。
装置異常報知画面62Bに対し、リセット入力領域62fが押圧操作されると、制御部61は、入金処理の第1処理中に硬貨の搬送異常が発生した後の第1異常復旧処理の一部として、開閉部65を閉状態として、図7に太実線で示す上記と同様のリセット第2処理を行う。このリセット第2処理では、開閉部65が閉状態であるため、入金部12の硬貨は、そのまま入金部12に残る。
このリセット第2処理の終了後に、制御部61は、第1異常復旧処理の残りの一部として、図16に太実線で示すように、このリセット第2処理においてプールカセット32に一時貯留した全ての硬貨を、第1の部位としての入金部12に搬送する変形例1のリセット第3処理を行う。このリセット第3処理において、制御部61は、開閉部65を閉状態のまま、繰出部49および出金側搬送部55を駆動する。これにより、変形例1のリセット第2処理においてプールカセット32に一時貯留した全ての硬貨を1枚ずつ繰出部42から繰り出して、出金側搬送部55で、シャッタおよび開閉部65が閉じられた状態の入金部12に搬送し一時貯留する。
このリセット第3処理の終了後に、制御部61は、異常復旧処理のさらに残り一部として、図17に太実線で示すように、このリセット第3処理において入金部12に搬送された全ての硬貨を機外へ搬送する変形例1のリセット処理を行う。このリセット処理において、制御部61は、開閉部65を開状態として、入金部12および入金側搬送部15を駆動する。これにより、リセット第3処理において入金部12に貯留した全ての硬貨を、入金部12および入金側搬送部15で搬送し、放出案内部21でカルトン14に搬送する。このリセット処理で、前回の第1処理の搬送異常硬貨を含む硬貨がカルトン14に搬送される。
以上により、変形例1では、入金処理において、入金部12に投入された硬貨を識別部20で識別しながら一時貯留部であるプールカセット32へ入金側搬送部15で硬貨を搬送する第1処理中に硬貨の搬送異常が発生した際に、その後の第1異常復旧処理として、入金側搬送部15にある、搬送異常硬貨を含む全ての硬貨と、それ以前の第1処理で既にプールカセット32に正常に搬送された全ての硬貨とを、一旦、リセット第2処理で一時貯留部であるプールカセット32に搬送して纏めた後、プールカセット32内の全ての硬貨をリセット第3処理およびリセット処理で機外のカルトン14に放出する。
言い換えれば、変形例1では、入金処理において、第1の部位である入金部12から第2の部位であるプールカセット32に入金側搬送部15で硬貨を搬送する第1処理中に硬貨の搬送異常が発生した際に、その後の第1異常復旧処理として、入金側搬送部15にある、搬送異常硬貨を含む全ての硬貨を、一旦、リセット第2処理で一時貯留部であるプールカセット32に搬送し、それ以前の第1処理で既にプールカセット32に正常に搬送された全ての硬貨と纏めた後、リセット第3処理で第1の部位である入金部12に搬送して入金部12に残っていた未計数の全ての硬貨と纏める。そして、リセット第3処理の終了後のリセット処理で、第1の部位である入金部12内の全ての硬貨を、機外のカルトン14に放出する。
ここでは、異常復旧処理のリセット第3処理の終了後にリセット処理を行うようにしたが、リセット第3処理の開始時点で、開閉部65を開くと共に入金部12および入金側搬送部15を駆動して、入金部12の硬貨の、入金部12、入金側搬送部15および放出案内部21によるカルトン14への搬送と、プールカセット32の硬貨の、出金側搬送部55、入金部12、入金側搬送部15および放出案内部21によるカルトン14への搬送とを並行して行うようにしても良い。
他方、装置異常報知画面62Bに対し、リトライ入力領域62gが押圧操作されると、制御部61は、第2異常復旧処理の一部として、図7の太実線で示す変形例1のリセット第2処理と同様の変形例1のリトライ第2処理を行う。このときも、開閉部65が閉状態であるため、入金部12の硬貨は、そのまま入金部12に残る。このリトライ第2処理の終了後に、制御部61は、第2異常復旧処理の残りの一部として、図16に太実線で示す変形例1のリセット第3処理と同様のリトライ第3処理を行う。
このリトライ第3処理の終了後に、制御部61は、第2異常復旧処理のさらに残りの一部として、このリトライ第3処理において入金部12に搬送された全ての硬貨について、図5に太実線で示す第1処理のリトライ処理を行う。この第1処理のリトライ処理では、制御部61は、開閉部65を開状態として、入金部12および入金側搬送部15を駆動する。そして、制御部61は、リトライ第3処理において入金部12に貯留した全ての硬貨を、入金部12および入金側搬送部15で搬送して、識別部20で識別しつつプールカセット32へ搬送させる。このリセット処理で、前回の第1処理でカルトン14に搬送するべきと識別されたもののカルトン14に搬送されなかった硬貨は、識別部20で識別されて、放出案内部21でカルトン14に搬送される。
以上により、変形例1では、入金処理において、第1の部位である入金部12から第2の部位であるプールカセット32に入金側搬送部15で硬貨を搬送する第1処理中に硬貨の搬送異常が発生した際に、その後の第2異常復旧処理として、入金側搬送部15にある、搬送異常硬貨を含む全ての硬貨を、リセット第2処理で一時貯留部であるプールカセット32に搬送して、それ以前の第1処理で既にプールカセット32に正常に搬送された全ての硬貨と一旦、一時貯留部であるプールカセット32で纏めた後、リセット第3処理で第1の部位である入金部12に搬送して入金部12に残っていた未計数の全ての硬貨と纏める。そして、リセット第3処理の終了後の第1処理のリトライ処理で、第1の部位である入金部12内の全ての硬貨を第2の部位であるプールカセット32に搬送する。
変形例1によれば、制御部61が、入金処理において、第1の部位である入金部12から第2の部位であるプールカセット32へ硬貨を入金側搬送部15にて搬送する第1処理において、この第1処理中に硬貨の搬送異常が発生した後の第2異常復旧処理の際に、入金側搬送部15にある硬貨を全て一時貯留部であるプールカセット32に搬送するリトライ第2処理と、リトライ第2処理の終了後に、リトライ第2処理でプールカセット32に搬送された全ての硬貨を第1の部位である入金部12へ搬送するリトライ第3処理と、このリトライ第3処理の終了後の第1処理のリトライ処理と、を行うため、操作者が入金側搬送部15を開放する必要がなくなる。加えて、操作者が機外に搬送された硬貨をセットしなおす必要もなくなる。よって、操作者の作業負担を軽減することが可能となる。
また、変形例1によれば、制御部61が、入金処理において、リトライ第2処理およびリトライ第3処理の終了後の第1処理のリトライ処理と、リトライ第2処理すなわちリセット第2処理の終了後に一時貯留部であるプールカセット32および第1の部位である入金部12にある全ての硬貨を機外のカルトン14へ搬送するリセット第3処理およびリセット処理と、が選択設定可能であるため、異常復旧処理のバリエーションが増える。異常復旧処理を行う前に、リトライ処理およびリセット処理の両方の選択が可能な旨を操作表示部62に表示させるため、リトライ処理およびリセット処理の両方の選択が可能であることを操作者に認識させることができる。