本発明の一実施形態の貨幣入出金機を図面を参照して以下に説明する。
図1に示すように、本実施形態の貨幣入出金機10は、硬貨入出金装置11と紙幣入出金装置12とが一体に並設されたもので、例えばPOSレジ等の上位機に接続されて釣銭機として用いられるものである。なお、以下の説明において、前は貨幣入出金機10の操作者側、後は貨幣入出金機10の操作者に対し反対側、左は貨幣入出金機10の操作者から見て左、右は貨幣入出金機10の操作者から見て右である。
硬貨入出金装置11は貨幣入出金機10の左右方向における一側具体的には右側に設けられており、紙幣入出金装置12は左右方向における逆側具体的には左側に設けられている。
硬貨入出金装置11には、前側つまり操作者側の上部の右側に、機外からバラ硬貨が金種が混在する状態で一括して投入される硬貨入金口(入金口)15が設けられ、この硬貨入金口15の左側に、操作者による操作入力が行われる操作部16および操作者への表示を行う案内表示部(案内手段)17が前後に並んで設けられている。また、硬貨入出金装置11には、これら硬貨入金口15、操作部16および案内表示部17の下側つまり前側の中間部の右側に、内部からバラ硬貨が機外に取出可能に出金される硬貨出金口(出金部)18が設けられ、この硬貨出金口18の左側にリジェクトされたリジェクト硬貨が排出される硬貨リジェクト口(リジェクト口)19が設けられている。さらに、硬貨入出金装置11には、これら硬貨出金口18および硬貨リジェクト口19の下側に硬貨回収庫(第2収納部)20が着脱可能に設けられている。
紙幣入出金装置12は、前側つまり操作者側の上部に、バラ紙幣が金種が混在する状態で機外から一括して投入される紙幣入金口(入金口)22が設けられており、その下側つまり前側の中間部に内部からバラ紙幣が金種が混在する状態で出金される紙幣出金口(出金部)23が設けられていて、この紙幣出金口23の下側に、着脱可能な紙幣回収庫(第2収納部)24が設けられている。
まず、紙幣入出金装置12について主に図2〜図13を参照して説明する。
紙幣入出金装置12は、図2に示すように、紙幣入金口22に投入された紙幣を一枚ずつに分離して繰り出す入金紙幣繰出部(繰出部)30と、この入金紙幣繰出部30で繰り出された紙幣を搬送する入金紙幣搬送路(貨幣搬送手段)31と、入金紙幣搬送路31の途中に設けられて紙幣の真偽、金種および正損等を識別しかつ真紙幣を金種毎に計数する紙幣識別部(識別部)32とを有している。
また、紙幣入出金装置12は、入金紙幣搬送路31の紙幣識別部32よりも下流側に設けられた振分部34と、入金紙幣搬送路31の振分部34の位置から分岐するリジェクト紙幣搬送路(貨幣搬送手段)35とを有している。リジェクト紙幣搬送路35は紙幣出金口23に接続する出金紙幣搬送路(貨幣搬送手段)36に合流しており、振分部34は、紙幣識別部32の識別結果に応じて、偽券、汚損券および判別不能とされた紙幣を振分部材34Aによってリジェクト紙幣搬送路35側へと振り分ける。そして、該偽券、汚損券および判別不能とされた紙幣は、入金紙幣搬送路31からリジェクト紙幣搬送路35へと搬送され、出金紙幣搬送路36を介して機外へ取出可能となるように紙幣出金口23に繰り出される。一方、振分部34は、真券でありかつ汚損のない正券とされた紙幣を振分部材34Aによってそのまま入金紙幣搬送路31の下流側へと導く。紙幣入出金装置12は、この入金紙幣搬送路31の振分部34よりも下流側に、紙幣識別部32の識別結果に基づいて紙幣を選別収納する入出金可能な複数具体的には三つの収納部としてのスタッカ(第1収納部)38〜40を有している。
つまり、紙幣入出金装置12は、入金紙幣搬送路31の振分部34よりも下流側に、振分部材42Aによって紙幣を分岐紙幣搬送路43側に振り分けて最も上流側のスタッカ38へと導く振分部42を有しており、入金紙幣搬送路31の振分部42よりも下流側に、振分部材44Aによって紙幣を分岐紙幣搬送路45側に振り分けて中間のスタッカ39へと導く振分部44を有している。そして、入金紙幣搬送路31の振分部44よりも下流側には最も下流側のスタッカ40が接続されている。
スタッカ38は、上部の受入口38aから紙幣が一枚ずつ入金され、出金紙幣繰出部38bが下部の繰出口38cから紙幣を一枚ずつ分離して出金させる。スタッカ39も、上部の受入口39aから紙幣が一枚ずつ入金され、出金紙幣繰出部39bが下部の繰出口39cから紙幣を一枚ずつ分離して出金させる。スタッカ40も、上部の受入口40aから紙幣が一枚ずつ入金され、出金紙幣繰出部40bが下部の繰出口40cから紙幣を一枚ずつ分離して出金させる。
スタッカ38の下部の繰出口38cは繰出紙幣搬送路50を介して、上記した紙幣出金口23につながる出金紙幣搬送路36に接続されている。スタッカ39の下部の繰出口39cは繰出紙幣搬送路51を介して出金紙幣搬送路36に接続されており、スタッカ40の下部の繰出口40cは繰出紙幣搬送路52を介して出金紙幣搬送路36に接続されている。
紙幣入出金装置12は、出金紙幣搬送路36におけるリジェクト紙幣搬送路35の合流位置よりも下流側に設けられた振分部54と、出金紙幣搬送路36の振分部54の位置から分岐する分岐紙幣搬送路55とを有しており、この分岐紙幣搬送路55には入金のみが可能な上記した紙幣回収庫24が接続されている。振分部54は、振分部材54Aによって紙幣回収庫24に収納させるべき紙幣を分岐紙幣搬送路55側へ、またそれ以外の紙幣をそのまま出金紙幣搬送路36の下流側へと振り分ける。
また、紙幣入出金装置12は、出金紙幣搬送路36における振分部54よりも下流側に設けられた振分部57と、出金紙幣搬送路36の振分部57の位置から分岐する分岐紙幣搬送路58とを有しており、この分岐紙幣搬送路58には入金のみが可能な紙幣リジェクト庫59が接続されている。振分部57は、振分部材57Aによって紙幣リジェクト庫59に収納させるべき紙幣を分岐紙幣搬送路58側へ、またそれ以外の紙幣をそのまま出金紙幣搬送路36の下流側つまり紙幣出金口23側へと振り分ける。
ここで、紙幣回収庫24は、貨幣入出金機10から取り外されると、分岐紙幣搬送路55に接続される図示せぬ入金口シャッタがこの取り外し動作に連動して閉じられることになる。この状態から図示せぬキーのキー操作によって図示せぬ扉を開くことにより中に収納された紙幣が取り出し可能となる。
さらに、紙幣入出金装置12は、紙幣搬送路31,35,36,43,45,50〜52,55,58に設けられて、搬送される紙幣の状態やタイミングを確認するための複数のセンサ61〜73を有している。
センサ61は、入金紙幣搬送路31における入金紙幣繰出部30と紙幣識別部32との間にあって、入金紙幣繰出部30によって入金紙幣搬送路31上に一枚ずつ繰り出された紙幣を確認するものであり、センサ62は、入金紙幣搬送路31における紙幣識別部32の位置にあって紙幣識別部32を通過する紙幣を確認するものであって、センサ63は、リジェクト紙幣搬送路35における振分部34の直後位置にあって振分部34でリジェクト紙幣搬送路35に振り分けられた紙幣を確認するものである。
また、センサ64はスタッカ38の受入口38aの直前位置の分岐紙幣搬送路43にあって振分部42で振り分けられてスタッカ38に入金される紙幣を確認するものであり、センサ65はスタッカ39の受入口39aの直前位置の分岐紙幣搬送路45にあって振分部44で振り分けられてスタッカ39に入金される紙幣を確認するものであって、センサ66はスタッカ40の受入口40aの直前位置の入金紙幣搬送路31にあってスタッカ40に入金される紙幣を確認するものである。
さらに、センサ67はスタッカ38の繰出口38cの直後位置の繰出紙幣搬送路50にあってスタッカ38から繰り出された紙幣を確認するものであり、センサ68はスタッカ39の繰出口39cの直後位置の繰出紙幣搬送路51にあってスタッカ39から繰り出された紙幣を確認するものであり、センサ69はスタッカ40の繰出口40cの直後位置の繰出紙幣搬送路52にあってスタッカ40から繰り出された紙幣を確認するものである。
加えて、センサ70は出金紙幣搬送路36の繰出紙幣搬送路50〜52よりも下流側にあってすべてのスタッカ38〜40から繰り出された紙幣を確認するものであり、センサ71は紙幣回収庫24の直前位置の分岐紙幣搬送路55にあって振分部54で振り分けられて紙幣回収庫24に導入される紙幣を確認するものであって、センサ72は紙幣リジェクト庫59の直前位置の分岐紙幣搬送路58にあって振分部57で振り分けられて紙幣リジェクト庫59に導入される紙幣を確認するものである。さらに、センサ73は、出金紙幣搬送路36の紙幣出金口23と振分部57との間にあって紙幣出金口23に繰り出される紙幣を確認するものである。
センサ61〜73は、光学式センサであって、配置された場所における紙幣の残留検知のみならず、タイミングを計ったり、搬送の状況(重送、斜行等)を見たり、計数を行ったりと、複数の機能を有する。また、紙幣出金口23には、紙幣出金口23に残存する紙幣を検出するセンサ23aが設けられており、紙幣入金口22にも、紙幣入金口22に残存する紙幣を検出するセンサ22aが設けられている。さらにスタッカ38に内部の紙幣を検出するセンサ38dが、スタッカ39に内部の紙幣を検出するセンサ39dが、スタッカ40に内部の紙幣を検出するセンサ40dがそれぞれ設けられている。
貨幣入出金機10の制御部(制御手段)75は、硬貨入出金装置11と紙幣入出金装置12とを制御するもので、図3に示すように、制御プログラムが記憶されたROM(記憶手段)76と、紙幣識別部32の識別に基づく金種別の紙幣枚数等を記憶するRAM77と、入金紙幣繰出部30と、入金紙幣搬送路31および分岐紙幣搬送路43,45を駆動する入金紙幣搬送駆動部78と、各スタッカ38〜40の出金紙幣繰出部38b,39b,40bと、出金紙幣搬送路36および繰出紙幣搬送路50〜52を駆動する出金紙幣搬送駆動部79と、リジェクト紙幣搬送路35を駆動するリジェクト紙幣搬送駆動部80と、紙幣識別部32と、振分部34,42,44,54,57と、センサ61〜73,22a,23a,38d,39d,40dと、操作部16と、案内表示部17とが通信可能に接続されている。
制御部75は、紙幣入出金装置12を還流運用モードおよび非還流運用モードの二つのモードで運用することが可能であり、そのため、ROM76には、紙幣入出金装置12を還流運用モードで作動させるための還流運用モード用の制御プログラムと、紙幣入出金装置12を非還流運用モードで作動させるための非還流運用モード用の制御プログラムとが記憶されている。
例えば、還流運用モードが選択された状態では、還流運用モード用の制御プログラムがROM76から制御部75に読み出されており、制御部75はこの制御プログラムに基づいて紙幣入出金装置12を制御する。
この還流運用モードでは、三つのスタッカ38〜40はすべて金種別とされ、例えば、万円券がスタッカ38に、千円券がスタッカ39に、五千円券がスタッカ40にそれぞれ収納されるようになっている。なお、スタッカ38〜40の金種設定はこれに限らず変更可能である。
還流運用モードでの運用時に、紙幣入金口22に紙幣が投入された状態で操作部16に入金操作が入力されると、制御部75は、入金動作を開始させる。つまり、図4に太線で示すように、紙幣入金口22の紙幣を入金紙幣繰出部30で一枚ずつ分離して入金紙幣搬送路31に繰り出し、紙幣識別部32で識別する。そして、紙幣識別部32の識別結果に基づき、偽券、損券および判別不能とされた紙幣は、振分部34にて入金紙幣搬送路31からリジェクト紙幣搬送路35に振り分けられ、さらに振分部54および振分部57にて出金紙幣搬送路36を介して紙幣出金口23に繰り出されることで、機外にリジェクトされる。
他方、紙幣識別部32の識別結果に基づき、振分部34は、真券かつ正券とされた紙幣をそのまま入金紙幣搬送路31の下流側に導き、スタッカ38〜40のうちの金種に応じたいずれかに上部から収納させる。つまり、万円券であれば、振分部42で振り分けられて分岐紙幣搬送路43からスタッカ38に案内され、千円券であれば、振分部42および振分部44で振り分けられて分岐紙幣搬送路45からスタッカ39に案内され、五千円券であれば、振分部42および振分部44で振り分けられて入金紙幣搬送路31を介してスタッカ40に案内される。なお、制御部75は、各スタッカ38〜40に収納された紙幣の数を把握しておりこの紙幣数から割り出されるスタッカ38〜40に収納しきれないオーバーフロー紙幣と、取り扱い数が最少の二千円券とについては、振分部34にて入金紙幣搬送路31からリジェクト紙幣搬送路35に振り分けられ、出金紙幣搬送路36を介してさらに振分部54にて分岐紙幣搬送路55に振り分けられて、紙幣回収庫24に収納される。
ここで、制御部75は、紙幣識別部32の識別結果つまり金種毎の計数値をRAM77に一時的に記憶させており、紙幣入金口22に投入されたすべての紙幣がスタッカ38〜40、紙幣出金口23および紙幣回収庫24のいずれかに案内されると、案内表示部17に紙幣識別部32の計数結果を表示させるとともに、その後の処理を促す表示を行う。すなわち、追加入金をするか、入金取消をするか、入金確定をするかを問う。
追加入金のために、紙幣入金口22に紙幣が投入されて操作部16に追加入金操作が入力されると、制御部75は、上記と同様にして、入金紙幣繰出部30で紙幣を入金紙幣搬送路31に繰り出し、紙幣識別部32で識別して、紙幣識別部32の識別結果に基づき、紙幣出金口23、スタッカ38〜40および紙幣回収庫24のいずれかに導き、案内表示部17に紙幣識別部32の計数結果を表示させて、その後の処理を促す表示を行う。
操作者が入金確定操作を操作部16に入力すると、制御部75は、入金を確定し、入金動作を終了する。ただし、この還流運用モードでは制御部75の処理上において入金が確定するのみで、紙幣の移動はない。
操作者が追加入金操作および入金確定操作ではなく入金取消操作を操作部16に入力すると、制御部75は、返却動作を行わせる。つまり、図5に太線で示すように、入金された金額と同金額の入金された紙幣とは別の紙幣をスタッカ38〜40から出金紙幣繰出部38b,39b,40bによって出金紙幣搬送路36に繰り出させ、振分部54および振分部57で振り分けて紙幣出金口23に繰り出させる。その後、紙幣出金口23から紙幣が取り除かれたことがセンサ23aで検出されると制御部75は入金動作を終了する。なお、返却動作中にセンサ67〜70で多重搬送等の搬送不良紙幣が検出されると、搬送不良紙幣を振分部57で分岐紙幣搬送路58側に振り分けて紙幣リジェクト庫59に収納させる。
還流運用モードでの運用時に、操作部16に出金操作が入力されると、制御部75は、出金動作を行わせる。すなわち、図5に太線で示すように、操作部16に入力された金額の紙幣をスタッカ38〜40からセンサ67〜69で計数しつつ出金紙幣繰出部38b,39b,40bによって出金紙幣搬送路36に繰り出させ、振分部54および振分部57で振り分けて紙幣出金口23に繰り出させる。その後、紙幣出金口23から紙幣が取り除かれたことがセンサ23aで検出されると制御部75は出金動作を終了する。なお、出金動作中にセンサ67〜70で多重搬送等の搬送不良紙幣が検出されると、この搬送不良紙幣を振分部57で振り分けて紙幣リジェクト庫59に収納させる。
還流運用モードでの運用時に、紙幣入金口22に補充紙幣が投入されて操作部16に補充操作が入力されると、制御部75は、補充動作を行わせる。すなわち、図4に太線で示すように、上記した入金動作と同様にして紙幣入金口22からスタッカ38〜40に紙幣を補充する。
還流運用モードでの運用時に、操作部16に回収指示操作が入力されると、制御部75は、回収動作を行わせる。すなわち、図6に太線で示すように、すべてのスタッカ38〜40において出金紙幣繰出部38b,39b,40bによって全紙幣を出金紙幣搬送路36に繰り出させ、振分部54で振り分けて紙幣回収庫24に案内する。スタッカ38〜40内のすべての紙幣が紙幣回収庫24に収納されたことが検出されると制御部75は回収動作を終了する。その後、操作者は紙幣回収庫24を取り外して紙幣を取り出す。なお、回収動作においてすべての紙幣を紙幣出金口23に繰り出すようにしても良い。この場合、各金種別に回収することができる。また、いずれの回収動作においても、回収動作中にセンサ67〜70で多重搬送等の搬送不良紙幣が検出されると、この搬送不良紙幣を振分部57で振り分けて紙幣リジェクト庫59に収納させる。
上記した還流運用モードが選択された状態から操作者によって操作部16に非還流運用モードを選択する操作が入力されると、制御部75は、非還流運用モード用の制御プログラムをROM76から読み出す。制御部75はこの非還流運用モード用の制御プログラムに基づいて紙幣入出金装置12を制御する。
この非還流運用モードでは、三つのスタッカ38〜40のうちの一つは一時貯留部とされ、残り二つが金種別とされる。例えば、スタッカ38が一時貯留部とされる一方、還流運用モードと同様、千円券がスタッカ39に、五千円券がスタッカ40にそれぞれ収納されるようになっている。なお、スタッカ38〜40に対する一時貯留部の設定および金種設定はこれに限られず変更可能であり、スタッカ39を一時貯留部としたり、スタッカ40を一時貯留部としたりすることも可能である。
非還流運用モードでの運用時に、紙幣入金口22に紙幣が投入された状態で操作部16に入金操作が入力されると、制御部75は、入金動作を開始させる。すなわち、図7に太線で示すように、入金紙幣繰出部30で紙幣入金口22の紙幣を一枚ずつ分離して入金紙幣搬送路31に繰り出し、紙幣識別部32で識別する。そして、紙幣識別部32の識別結果に基づき、偽券、損券および判別不能とされた紙幣は、振分部34にて入金紙幣搬送路31からリジェクト紙幣搬送路35に振り分けられ、さらに振分部54および振分部57にて出金紙幣搬送路36を介して紙幣出金口23に繰り出される。
他方、紙幣識別部32の識別結果に基づき、振分部34は、真券かつ正券とされた紙幣をすべてそのまま入金紙幣搬送路31の下流側に導き、振分部42が、最も上流側の一時貯留部に設定されたスタッカ38に上部から導入し一時貯留させる。
ここで、制御部75は、紙幣識別部32の識別結果つまり金種毎の計数値をRAM77に一時的に記憶させており、紙幣入金口22に投入されたすべての紙幣がスタッカ38および紙幣出金口23のいずれかに案内されると、案内表示部17に紙幣識別部32の計数結果を表示させるとともに、その後の処理を促す表示を行う。すなわち、追加入金をするか、入金取消をするか、入金確定をするかを問う。
追加入金のために、紙幣入金口22に紙幣が投入されて操作部16に追加入金操作が入力されると、制御部75は、上記と同様にして、入金紙幣繰出部30で紙幣を入金紙幣搬送路31に繰り出し、紙幣識別部32で識別して、紙幣識別部32の識別結果に基づき、紙幣出金口23およびスタッカ38のいずれかに導き、案内表示部17に紙幣識別部32の計数結果を表示させて、その後の処理を促す表示を行う。
操作者が入金確定操作を操作部16に入力すると、制御部75は、入金を確定し、続いて、図8に太線で示すように、スタッカ38に一時貯留させていた紙幣を出金紙幣繰出部38bで出金紙幣搬送路36に繰り出させ、振分部54で振り分けて紙幣回収庫24に収納させる収納動作を行う。そして、スタッカ38にあったすべての一時貯留紙幣が紙幣回収庫24に収納されると制御部75は収納動作を含む入金動作を終了する。つまり、スタッカ38に一時貯留させた紙幣を他のスタッカ39,40に金種別に振り分けて収納することは構造上不可能であることから、入金確定後の紙幣は一括して紙幣回収庫24に収納させることになる。これにより、入金した紙幣を出金用に使用する還流式ではない非還流式となる。なお、出金用の識別部が設けられていないため、制御部75は、上記のように入金確定前にRAM77に記憶した計数データを入金確定後一括して紙幣入出金装置12内の在高合計データに加算することになる。
操作者が追加入金操作および入金確定操作ではなく入金取消操作を操作部16に入力すると、制御部75は、図9に太線で示すように、スタッカ38に一時貯留されていた紙幣をすべてスタッカ38から出金紙幣繰出部38bで出金紙幣搬送路36に繰り出させ、振分部54および振分部57で振り分けて紙幣出金口23に繰り出させることで返却する返却動作を行う。そして、紙幣出金口23から紙幣が取り除かれたことがセンサ23aで検出されると制御部75は返却動作を含む入金動作を終了する。これにより、紙幣入金口22に入金された紙幣そのものが紙幣出金口23から繰り出されることになる。このとき、制御部75は、入金取消操作前にRAM77に記憶した計数データを入金取消操作時に一括して消去することになる。
ここで、非還流運用モードにおいて入金確定の収納動作時に、搬送途中でジャム等の搬送異常が発生しスタッカ38の下部の繰出口38cから紙幣回収庫24までに設けられたセンサ67,70,71のいずれかで紙幣の滞留等のジャムが検出された場合に、制御部75は、紙幣搬送路31,35,36,43,45,50〜52,55,58の駆動を停止させ、案内表示部17に、操作者にジャム紙幣を取り除く旨の指示を出す。
つまり、ジャムが発生している場所を案内表示部17に位置表示する等して操作者にその位置を知らせ、操作者がジャムの発生場所を容易に発見できるようにする。すると、操作者は、その案内にしたがってジャム発生場所の機体ユニットを引き出し、紙幣搬送路31,35,36,43,45,50〜52,55,58毎に開放可能に形成されている図示略の上下のベルト搬送部を部分的に開放することで、ジャム紙幣および搬送路上の残留紙幣を直接取り除くことになる。このとき、取り除いた紙幣は、上記のように入金確定済みで装置側管理下にあるため、操作者はスタッカ38内に戻すことになる。その後、操作者が収納動作再開のための操作部16への再開操作(操作部16のリセットスイッチの押下等)を行うと、制御部75は紙幣搬送路31,35,36,43,45,50〜52,55,58を駆動させ、スタッカ38内の紙幣を紙幣回収庫24へと搬送する。
なお、入金取消操作により実行される返却動作中にジャムが発生した場合も上記と同様のジャム処理を行うことになるが、この場合は、すべての紙幣が未確定の操作者側管理下にあるため、取り除いた紙幣は再度スタッカ38に戻す必要はなく、操作者管理の下に保管し、収納動作再開のための指示を経て、出金口23に繰り出された他の紙幣と合わせることになる。
以上のように、複数あるスタッカ38〜40のうちの一つのスタッカ38を一時貯留部として使用することで、入金確定動作の前後で紙幣の所在および管理が明確になり、より厳密な運用が可能になる。
非還流運用モードでの運用時に、操作部16に出金操作が入力されると、制御部75は、出金動作を開始させる。すなわち、図10に太線で示すように、操作部16に入力された金額の紙幣をスタッカ39,40の出金紙幣繰出部39b,40bでセンサ68,69により計数しつつ出金紙幣搬送路36に繰り出させ、振分部54および振分部57で振り分けて紙幣出金口23に繰り出させる。その後、紙幣出金口23から紙幣が取り除かれたことがセンサ23aで検出されると制御部75は出金動作を終了する。この場合は、二金種の紙幣(千円券および五千円券)のみが出金用として繰り出されることになる。なお、センサ68,69,70で多重搬送等の搬送不良紙幣が検出されると、これを振分部57で振り分けて紙幣リジェクト庫59に収納させる。
非還流運用モードでの運用時に、紙幣入金口22に補充紙幣が投入されて操作部16に補充操作が入力されると、制御部75は、補充動作を開始させる。すなわち、図11に太線で示すように、紙幣入金口22の紙幣を入金紙幣繰出部30で一枚ずつ分離して入金紙幣搬送路31に繰り出し、紙幣識別部32で識別する。そして、紙幣識別部32の識別結果に基づき、偽券、損券および判別不能とされた紙幣は、振分部34にて入金紙幣搬送路31からリジェクト紙幣搬送路35に振り分けられ、さらに振分部54および振分部57にて出金紙幣搬送路36を介して紙幣出金口23に繰り出される。他方、紙幣識別部32の識別結果に基づき、振分部34は、真券かつ正券とされた紙幣をそのまま入金紙幣搬送路31の下流側に導き、金種に応じたスタッカ39,40に上部から収納させる。つまり、千円券であれば、振分部42および振分部44で振り分けて入金紙幣搬送路31および分岐紙幣搬送路45を介してスタッカ39に案内し、五千円券であれば、振分部42および振分部44で振り分けて入金紙幣搬送路31を介してスタッカ40に案内する。なお、オーバーフロー紙幣および補充の必要がない万円券および二千円券が混入していた場合については、例えば、すべてリジェクト紙幣搬送路35および出金紙幣搬送路36を介して紙幣出金口23に返却する。紙幣入金口22のすべての紙幣がスタッカ39,40および紙幣出金口23のいずれかに案内され、操作者が補充確定操作を操作部16に入力すると、補充動作での計数データを補充確定後一括して紙幣入出金装置12内の在高合計データに加算する。
非還流運用モードでの運用時に、操作部16に回収指示操作が入力されると、制御部75は、回収動作を開始させる。すなわち、図12に太線で示すように、一時貯留部を構成するスタッカ38を除くスタッカ39,40において全紙幣を出金紙幣繰出部39b,40bで出金紙幣搬送路36に繰り出させ、振分部54で振り分けて紙幣回収庫24に収納させる。スタッカ39,40内にあったすべての紙幣が紙幣回収庫24に収納されたことが検出されると制御部75は回収動作を終了する。その後、操作者は紙幣回収庫24を取り外して紙幣を取り出す。なお、回収動作においてすべての紙幣を紙幣出金口23に繰り出すようにしても良い。この場合、各金種別に回収することができる。また、いずれの回収動作においても、センサ68〜70で多重搬送等の搬送不良紙幣が検出されると、これを振分部57で振り分けて紙幣リジェクト庫59に収納させる。
なお、還流運用モードおよび非還流運用モードのいずれにおいても、紙幣入金口22に紙幣が投入された状態で操作部16に整理計数操作が入力されると、制御部75は、整理計数動作を開始させる。すなわち、図13に太線で示すように、入金紙幣繰出部30で紙幣入金口22の紙幣を一枚ずつ分離して入金紙幣搬送路31に繰り出し、振分部34で振り分けてリジェクト搬送路35に搬送するとともに、紙幣識別部32の識別結果に基づき、指定金種が無い場合には、偽券、損券および判別不能とされた紙幣を振分部54および振分部57で振り分けて出金紙幣搬送路36を介して紙幣出金口23に繰り出させ、また、真券かつ正券とされた紙幣をすべて振分部54で振り分けて紙幣回収庫24に収納させる。
他方、指定金種がある場合には、操作部16にて金種指定を行った指定金種の真券かつ正券とされた紙幣を振分部54で振り分けて紙幣回収庫24に収納させ、それ以外の紙幣をすべて振分部54および振分部57で振り分けて出金紙幣搬送路36を介して紙幣出金口23に繰り出させる。そして、案内表示部17に紙幣識別部32の計数結果を表示させる。
ここで、還流運用モードから非還流運用モードへの切り換え、および非還流運用モードから還流運用モードへの切り換えは、操作部16への所定の切換操作でそれぞれの制御プログラムがROM76から読み出されることで行われる。つまり、制御部75がROM76から還流運用モード用の制御プログラムを読み出すことで還流運用モードが実行可能となり、制御部75がROM76から非還流運用モード用の制御プログラムを読み出すことで非還流運用モードが実行可能となる。なお、モードの切り換えは、操作部16への所定の操作入力ではなく、別体のキーを有する切換装置を設けて、この切換装置のキー操作により行うようにしても良い。
還流運用モードから非還流運用モードへの切り換え時には、金種別収納部として使用されていたスタッカ38を一時貯留部として使用することになるため、このスタッカ38を空にしなければならない。このため、操作者が操作部16へ還流運用モードから非還流運用モードへ切り換えるための所定の切換操作を行うと、制御部75は、ROM76からスタッカ38を一時貯留部として使用する非還流運用モード用の制御プログラムを読み出し、同時に、RAM77に記憶された計数データおよびスタッカ38に設けられたセンサ38dによって一時貯留部に設定されるスタッカ38内に紙幣があるか否かの確認を行う。そして、このスタッカ38内に紙幣が存在する場合に、制御部75は、図8に太線で示すように、一時貯留部に設定されたスタッカ38の紙幣を自動的に紙幣回収庫24に収納させる。つまり、非還流運用モードにおける入金確定後の収納動作と同様に、スタッカ38内の紙幣をすべて出金紙幣繰出部38bで出金紙幣搬送路36に繰り出させ、振分部54で振り分けて紙幣回収庫24に収納させる。そして、スタッカ38内の全ての紙幣が紙幣回収庫24内に移動してスタッカ38内が空になると、非還流運用モードでの運用を開始させる。勿論、上記確認でスタッカ38内に紙幣がない場合、そのまま非還流運用モードでの運用を開始させることになる。すなわち、入金、出金、補充、回収等、操作者による操作部16への次の入力が行われるまで待機する。以上により、還流運用モードおよび非還流運用モードの両方の運用が問題なく可能となる。
他方、操作者が操作部へ非還流運用モードから還流運用モードへ切り換えるための所定の切換操作を行うと、制御部75は、ROM76からスタッカ38を金種別収納部として使用する還流運用モード用の制御プログラムを読み出す。この場合は、前段の作業で、一時貯留部としてのスタッカ38に紙幣が残ったまま次の作業に移ることはなく、しかもモードの切り換えは全ての動作が終了している場合にのみ可能であることから、それまでの処理においてスタッカ38内に一時貯留された紙幣がそのまま留まっていることはない。このため、スタッカ38の紙幣を紙幣回収庫24へ移動させる処理は必要ない。そして、そのまま還流運用モードでの運用を開始させることになる。すなわち、入金、出金、補充、回収等、操作者による操作部16への次の入力が行われるまで待機する。
なお、スタッカ38に収納する紙幣の金種は任意に設定可能であり、スタッカ39を千円券に設定し、スタッカ40を五千円券に設定していることから、スタッカ38には上記のように万円券を設定するか、あるいは二千円券を設定することが可能である。
また、過去の設定状況を記憶しておき、非還流運用モードから還流運用モードへ切り換え時に前回の還流運用モードでの設定金種を自動的に設定することも可能である。さらには、これを修正可能としても良い。つまり、非還流運用モードから還流運用モードに切り換えられた時に、非還流運用モードで一時貯留部に設定されていたスタッカ38を、操作部16において複数金種の中から選択入力された金種の金種別収納部に設定可能としても良い。このように構成すれば、複数のスタッカ38〜40に、すべて異なる金種の貨幣を収納させたり、同じ金種の貨幣をスタッカ38〜40のうちの複数に収納させたりすることが可能となる。つまり、多金種化、大容量化等、ユーザーの要望に応じて最適な環境に設定することができる。
なお、新たに還流式の金種別収納部となったスタッカ38に対しては、還流運用モードの動作開始に当たって、紙幣を補充させるようにしても良いが、釣銭としての出金のみを行う場合、万円券を出金させることがないので補充しなくても良い。
以上に述べた貨幣入出金機10の紙幣入出金装置12によれば、複数の入出金可能なスタッカ38〜40をすべて金種別収納部として使用し、紙幣入金口22に投入され紙幣識別部32で識別および計数された紙幣を金種別に選別して、一時貯留させることなく金種別収納部である各スタッカ38〜40に収納する還流運用モードでの運用を選択することで、一時貯留部が不要な構成にでき、小型化、簡素化および低コスト化が図られた還流式の機械となる。そして、必要に応じて、複数の入出金可能なスタッカ38〜40のうちのいずれか一つであるスタッカ38を一時貯留部として使用し、紙幣入金口22に投入され紙幣識別部32で識別および計数された紙幣を金種混合状態で一時貯留部であるスタッカ38に一時貯留させ、この一時貯留部であるスタッカ38に一時貯留された紙幣を、操作部16への入金確定操作後にスタッカ39,40には収納せずに紙幣回収庫24に収納する一方、操作部16への返却操作後に紙幣出金口23に返却する非還流運用モードを選択することで、操作者側管理の貨幣と機械側管理の貨幣との区別を明確する運用が可能となる。
また、ROM76から還流運用モード用の制御プログラムを読み出すことで還流運用モードが実行可能とされ、ROM76から非還流運用モード用の制御プログラムを読み出すことで非還流運用モードが実行可能とされるため、ROM76の制御プログラムの切り換えのみで、還流運用モードでの運用および非還流運用モードでの運用が切り換え可能となる。したがって、スタッカや搬送路等のハードについては切り換えが不要であり、還流運用モードでの運用および非還流運用モードでの運用が容易に切り換え可能となる。
さらに、還流運用モードから非還流運用モードに切り換えられた時に、一時貯留部に設定されたスタッカ38の紙幣を自動的に紙幣回収庫24に収納させることになるため、一時貯留部に設定されたスタッカ38に還流運用モードでの紙幣が残存した状態でこれに非還流運用モードでの一時貯留紙幣が混ざってしまうことがなくなる。
なお、還流運用モード用の制御プログラムと非還流運用モード用の制御プログラムとが記憶されたROM76からモード切り換え時に制御部75が対応するモード用の制御プログラムを読み出すのではなく、還流運用モード用の制御プログラムが記憶されたROMと非還流運用モード用の制御プログラムが記憶されたROMとを用意し、モード切り換え時に対応するモード用のROMに交換するようにしても良い。この場合、ROMを交換する際に、全ての動作を終了させ、紙幣入出金装置12内の紙幣をすべて回収し紙幣入出金装置12内の紙幣を空にしてから行うことになる。
次に、硬貨入出金装置11について主に図14〜図26を参照して説明する。
硬貨入出金装置11は、図15に示すように、硬貨入金口15に投入された硬貨を側方具体的には左方に搬送する第1搬送部101と、この第1搬送部101の下流側具体的には左側に接続され、この第1搬送部101から硬貨を受け取り水平方向において鋭角に折り返しつつ後方に搬送する第2搬送部102とを有する入金硬貨搬送部(貨幣搬送手段)103を備えている。
硬貨入金口15は、バラ硬貨が外から投入されるとともに投入された硬貨を下方に案内する筒状のホッパ部105と、硬貨入金口15の底部を形成するようにホッパ部105の下方に設けられこの位置から側方具体的には左方に延出して正転時にこの延出方向に硬貨を搬送する無端のベルトコンベア106と、ベルトコンベア106の上側に配置され、正転時に、正転するベルトコンベア106の搬送方向とは逆方向に対向部分を移動させる図示せぬ分離ローラと、ベルトコンベア106および分離ローラを正逆駆動する共通の駆動源である図17に示す入金硬貨繰出駆動部107とを有している。そして、硬貨入金口15は、ホッパ部105を介して投入されたバラ硬貨を入金硬貨繰出駆動部107の駆動力で正転するベルトコンベア106によりその延在方向に送り途中位置に設けられた正転する図示せぬ分離ローラで一枚ずつに分離してさらに下流側に繰り出す。
硬貨入金口15にはベルトコンベア106上の残留硬貨を検出する図17に示すセンサ108が設けられている。
硬貨入金口15のベルトコンベア106は、硬貨入金口15を構成する一方で、この硬貨入金口15に投入された硬貨を搬送する上記した第1搬送部101をも構成している。ベルトコンベア106で構成される第1搬送部101の終点部には、ベルトコンベア106から硬貨を受け取って機体後方に搬送する第2搬送部102の搬送路111の上流側部分つまり始点部が互いに鋭角をなすように接続されている。
第2搬送部102は、第1搬送部101のベルトコンベア106から搬送路111上に移送された硬貨を搬送路111に上側から押し付けながら両側の壁部113,114で案内しつつ搬送路111に沿って搬送する複数の移送ベルト115,116と、これら移送ベルト115,116を駆動する図17に示す入金硬貨搬送駆動部117とを有している。
移送ベルト115,116は、直線状に延在する搬送路111に対し若干傾斜する直線状に設けられており、硬貨を幅寄せするように左側の壁部113に押し付けながら搬送するようになっている。
搬送路111には、その上流側に、通過する硬貨の磁気的性質や画像あるいは外径等を検出することでその真偽および金種の識別および金種別の計数を行う硬貨識別部(識別部)120が設けられ、この硬貨識別部120の下流側には硬貨識別部120の識別結果に基づいて硬貨を搬送路111から排除可能な開閉リジェクト部121が設けられている。この開閉リジェクト部121は、搬送路111に形成されたリジェクト孔123およびこれを開閉させるシャッタ124を有している。
また、搬送路111には、この開閉リジェクト部121の下流側に、硬貨を搬送路111から落下可能な開閉選別部130が設けられている。この開閉選別部130は、搬送路111に形成された全金種の硬貨を落下可能な選別孔131およびこれを開閉させるシャッタ132を有している。
さらに、搬送路111には、この開閉選別部130の下流側に選別孔133〜137が形成されている。これら選別孔133〜137は硬貨を外径で選別する。つまり、基準面となる左側の壁部113で案内されて移動する硬貨を外径の小さい順に選別するように、硬貨の搬送方向に沿って上流側から下流側に、1円硬貨用の選別孔133、50円硬貨用の選別孔134、5円硬貨用の選別孔135、100円硬貨用の選別孔136、10円硬貨用の選別孔137がこの順番に形成されている。
開閉リジェクト部121、開閉選別部130および各選別孔133〜137のそれぞれの上流側の直前位置には各部で落下した硬貨の数を計数するための入金計数センサ138が設けられている。
開閉選別部130および各金種別の選別孔133〜137の直下には、それぞれ図14に示すシュート139が設けられており、その下側には図16に示すようにそれぞれが前後方向に沿う状態で左右方向に並べられた複数具体的には6カ所の硬貨出金収納部(第1収納部)140〜145が設けられている。そして、最も前側の開閉選別部130の選別孔131から落下された硬貨は最も左側の硬貨出金収納部140に収納される。前から二番目の1円硬貨用の選別孔133で落下された1円硬貨は左側から二番目の硬貨出金収納部141に収納され、前から三番目の50円硬貨用の選別孔134で落下された50円硬貨は左側から三番目の硬貨出金収納部142に収納され、前から四番目の5円硬貨用の選別孔135で落下された5円硬貨は左側から四番目の硬貨出金収納部143に収納され、前から五番目の100円硬貨用の選別孔136で落下された100円硬貨は左側から五番目の100円硬貨用の硬貨出金収納部144に収納され、最も後側の10円硬貨用の選別孔137で落下された10円硬貨は最も右側の硬貨出金収納部145に収納される。なお、開閉リジェクト部121で落下された硬貨は図14に示すリジェクトシュート146で前側の硬貨リジェクト口19に案内される。
各硬貨出金収納部140〜145は、それぞれの底部を形成するように前後方向に延在する状態で左右方向に並設されて正転時に硬貨出金口18側に硬貨を搬送する無端のベルトコンベア147と、正転時に正転するベルトコンベア147の搬送方向とは逆方向に対向部分を移動させるように回転する分離ローラ148と、ベルトコンベア147および分離ローラ148を正逆駆動する共通の駆動源である図17に示す出金硬貨搬送駆動部149とを有している。
ここで、ベルトコンベア147は、下流側が上側に位置するように傾斜しており、その上部側所定位置に上記した分離ローラ148が配置されている。
そして、硬貨出金収納部140〜145は、出金硬貨搬送駆動部149の駆動力によりすべてのベルトコンベア147を一度に正転させることでバラ硬貨を硬貨出金口18側に搬送することになり、このとき出金硬貨搬送駆動部149の駆動力で共通の分離ローラ148を正転させることで、硬貨出金口18側に搬送されるバラ硬貨を一枚ずつに分離する。
各硬貨出金収納部140〜145は、それぞれ、分離ローラ148よりも下流側でベルトコンベア147に向けて上から図示せぬピンを進退させることで硬貨の繰り出しを規制および許容するソレノイド151と、ソレノイド151の駆動でベルトコンベア147から硬貨出金口18に出金される硬貨を計数する図17に示す出金計数センサ152と、内部の残留硬貨を検出するセンサ153とを有している。
硬貨出金収納部140〜145と硬貨出金口18との間には、硬貨出金収納部140〜145から繰り出された硬貨を案内するシュート154が設けられており、このシュート154には、振分部材155をソレノイド等の電気的駆動で揺動させることで、硬貨を硬貨回収庫20に案内する状態と硬貨出金口18に案内する状態とに切り換える振分部156が設けられている。ここで、硬貨回収庫20は、硬貨入出金装置11内で入金のみが可能な金種混合の収納部であり、硬貨入出金装置11に取り付けられた状態でシュート154の硬貨回収庫20側の端部に図示せぬ上部の入金口シャッタが開いて接続され、硬貨出金収納部140〜145から繰り出された硬貨がシュートを介して投入される。また、硬貨回収庫20は、硬貨入出金装置11から取り外されると、この取り外し動作に連動して図示せぬ入金口シャッタが閉じられる。この状態から図示せぬキーのキー操作によって図示せぬ扉を開くことにより中に収納された硬貨が取り出し可能となる。硬貨出金口18には、硬貨出金口18内の硬貨を検出する図17に示すセンサ158が設けられている。
硬貨入出金装置11は紙幣入出金装置12と共通の制御部75で制御されることになり、制御部75には、紙幣入出金装置12と共通のROM76、RAM77、操作部16および案内表示部17と、入金硬貨繰出駆動部107、センサ108、入金硬貨搬送駆動部117、硬貨識別部120、開閉リジェクト部121、開閉選別部130、入金計数センサ138、出金硬貨搬送駆動部149、ソレノイド151、出金計数センサ152、センサ153、振分部156およびセンサ158とが通信可能に接続されている。
制御部75は、硬貨入出金装置11についても還流運用モードおよび非還流運用モードの二つのモードで運用することが可能であり、そのため、ROM76には、硬貨入出金装置11を還流運用モードで作動させるための還流運用モード用の制御プログラムと、硬貨入出金装置11を非還流運用モードで作動させるための非還流運用モード用の制御プログラムとが記憶されている。
例えば、還流運用モードが選択された状態では、還流運用モード用の制御プログラムがROM76から制御部75に読み出されており、制御部75はこの制御プログラムに基づいて硬貨入出金装置11を制御する。
この還流運用モードでは、硬貨出金収納部140〜145はすべて金種別とされている。つまり、硬貨出金収納部140に500円硬貨が収納され、硬貨出金収納部141に1円硬貨が、硬貨出金収納部142に50円硬貨が、硬貨出金収納部143に5円硬貨が、硬貨出金収納部144に100円硬貨が、硬貨出金収納部145に10円硬貨が、それぞれ収納されるようになっている。
還流運用モードでの運用時に、硬貨入金口15に硬貨が投入された状態で操作部16に入金操作が入力されると、制御部75は、入金動作を開始させる。つまり、図18(a)および(b)に太線で示すように、硬貨入金口15の硬貨をベルトコンベア106および図示せぬ分離ローラで一枚ずつ分離して入金硬貨搬送部103に繰り出し、入金硬貨搬送部103で搬送しつつ硬貨識別部120で識別する。そして、硬貨識別部120の識別結果に基づき、偽硬貨、汚損硬貨および判別不能とされた硬貨は、開閉リジェクト部121がリジェクト孔123から落下させ硬貨リジェクト口19に繰り出させることで、機外にリジェクトされる。
他方、硬貨識別部120の識別結果に基づき、真硬貨かつ汚損のない正硬貨とされた硬貨は、閉じられた開閉リジェクト部121によってそのまま入金硬貨搬送部103の下流側に移動させられる。その結果、真硬貨かつ汚損のない正硬貨とされた硬貨は、開閉選別部130および選別孔133〜137の対応するもので選別されて硬貨出金収納部140〜145の対応するものに収納される。つまり、500円硬貨であれば開閉選別部130の開作動で硬貨出金収納部140に収納され、1円硬貨であれば選別孔133で硬貨出金収納部141に収納され、50円硬貨であれば選別孔134で硬貨出金収納部142に収納され、5円硬貨であれば選別孔135で硬貨出金収納部143に収納され、100円硬貨であれば選別孔136で硬貨出金収納部144に収納され、10円硬貨であれば選別孔137で硬貨出金収納部145に収納される。
ここで、制御部75は、硬貨識別部120の識別結果つまり金種毎の計数値をRAM77に一時的に記憶させており、硬貨入金口15に投入されたすべての硬貨が硬貨出金収納部140〜145および硬貨リジェクト口19のいずれかに案内されると、案内表示部17に硬貨識別部120の計数結果を表示させるとともに、その後の処理を促す表示を行う。すなわち、追加入金をするか、入金取消をするか、入金確定をするかを問う。
追加入金のために、硬貨入金口15に硬貨が投入されて操作部16に追加入金操作が入力されると、制御部75は、上記と同様にして、硬貨を入金硬貨搬送部103に繰り出し、硬貨識別部120で識別して、硬貨識別部120の識別結果に基づき、硬貨出金収納部140〜145および硬貨リジェクト口19のいずれかに導き、案内表示部17に硬貨識別部120の計数結果を表示させて、その後の処理を促す表示を行う。
操作者が入金確定操作を操作部16に入力すると、制御部75は、入金を確定し、入金動作を終了する。ただし、この還流運用モードでは制御部75の処理上において入金が確定するのみで、硬貨の移動はない。
操作者が追加入金操作および入金確定操作ではなく入金取消操作を操作部16に入力すると、制御部75は、返却動作を行わせる。つまり、図19(a)および(b)に太線で示すように、入金された金額の硬貨を硬貨出金収納部140〜145から出金計数センサ152で計数しつつベルトコンベア147、分離ローラ148およびソレノイド151によってシュート154に繰り出させ、振分部156で硬貨出金口18に繰り出させる。その後、硬貨出金口18から硬貨が取り除かれたことがセンサ158で検出されると制御部75は入金動作を終了する。
還流運用モードでの運用時に、操作部16に出金操作が入力されると、制御部75は、出金動作を行わせる。すなわち、図19(a)および(b)に太線で示すように、操作部16に入力された金額の硬貨を、出金計数センサ152で計数しつつ硬貨出金収納部140〜145からベルトコンベア147、分離ローラ148およびソレノイド151によってシュート154に繰り出させ、振分部156で硬貨出金口18に繰り出させる。その後、硬貨出金口18から硬貨が取り除かれたことがセンサ158で検出されると制御部75は出金動作を終了する。
還流運用モードでの運用時に、硬貨入金口15に補充硬貨が投入されて操作部16に補充操作が入力されると、制御部75は、補充動作を行わせる。すなわち、図18(a)および(b)に太線で示すように、硬貨入金口15から上記した入金動作と同様にして硬貨出金収納部140〜145に硬貨を補充する。
還流運用モードでの運用時に、操作部16に回収指示操作が入力されると、制御部75は、回収動作を行わせる。すなわち、図20(a)および(b)に太線で示すように、すべての硬貨出金収納部140〜145から、硬貨をベルトコンベア147、分離ローラ148およびソレノイド151によってシュート154に繰り出させ、振分部156で硬貨回収庫20に案内する。硬貨出金収納部140〜145内のすべての硬貨が硬貨回収庫20に収納されたことが検出されると制御部75は回収動作を終了する。その後、操作者は硬貨回収庫20を取り外して硬貨を取り出す。なお、回収動作においてすべての硬貨を硬貨出金口18に繰り出すようにしても良い。この場合、各金種別に回収することができる。
上記した還流運用モードが選択された状態から操作者によって操作部16に非還流運用モードを選択する操作が入力されると、制御部75は、非還流運用モード用の制御プログラムをROM76から読み出す。制御部75はこの非還流運用モード用の制御プログラムに基づいて硬貨入出金装置11を制御する。
この非還流運用モードでは、六つの硬貨出金収納部140〜145のうちの一つは一時貯留部とされ、残り五つが金種別とされる。すなわち、還流運用モードにおける500円硬貨用の硬貨出金収納部140が一時貯留部とされる。
非還流運用モードでの運用時に、硬貨入金口15に硬貨が投入された状態で操作部16に入金操作が入力されると、制御部75は、入金動作を開始させる。つまり、図21(a)および(b)に太線で示すように、硬貨入金口15の硬貨をベルトコンベア106および図示せぬ分離ローラで一枚ずつ分離して入金硬貨搬送部103に繰り出し、入金硬貨搬送部103で搬送しつつ硬貨識別部120で識別する。そして、硬貨識別部120の識別結果に基づき、偽硬貨、汚損硬貨および判別不能とされた硬貨は、開閉リジェクト部121がリジェクト孔123から落下させ硬貨リジェクト口19に繰り出させることで、機外にリジェクトされる。
他方、硬貨識別部120の識別結果に基づき、真硬貨かつ汚損のない正硬貨とされた硬貨は、閉じられた開閉リジェクト部121をそのまま入金硬貨搬送部103の下流側に通過し、開閉選別部130ですべて硬貨出金収納部140に落下され一時貯留される。
ここで、制御部75は硬貨識別部120の識別結果つまり金種毎の計数値をRAM77に一時的に記憶させており、硬貨入金口15に投入されたすべての硬貨が硬貨出金収納部140および硬貨リジェクト口19のいずれかに案内されると、制御部75は、案内表示部17に硬貨識別部120の計数結果を表示させるとともに、その後の処理を促す表示を行う。すなわち、追加入金をするか、入金取消をするか、入金確定をするかを問う。
追加入金のために、硬貨入金口15に硬貨が投入されて操作部16に追加入金操作が入力されると、制御部75は、上記と同様にして、硬貨を入金硬貨搬送部103に繰り出し、硬貨識別部120で識別して、硬貨識別部120の識別結果に基づき、硬貨出金収納部140および硬貨リジェクト口19のいずれかに導き、案内表示部17に硬貨識別部120の計数結果を表示させて、その後の処理を促す表示を行う。
操作者が入金確定操作を操作部16に入力すると、制御部75は、入金を確定し、続いて、図22(a)および(b)に太線で示すように、硬貨出金収納部140に一時貯留させていた硬貨をベルトコンベア147、分離ローラ148および硬貨出金収納部140のソレノイド151によってシュート154に繰り出させ、振分部156で硬貨回収庫20に収納させる収納動作を行う。そして、硬貨出金収納部140内のすべての一時貯留硬貨が硬貨回収庫20に収納されると制御部75は収納動作を含む入金動作を終了する。つまり、硬貨出金収納部140に一時貯留させた硬貨を他の硬貨出金収納部141〜145に金種別に振り分けて収納することは構造上不可能であることから、入金確定後の硬貨は一括して硬貨回収庫20に収納させることになる。これにより、入金した硬貨を出金用に使用する還流式ではない非還流式となる。なお、出金用の識別部が設けられていないため、制御部75は、上記のように入金確定前にRAM77に記憶した計数データを入金確定後一括して硬貨入出金装置11内の在高合計データに加算することになる。
操作者が追加入金操作および入金確定操作ではなく入金取消操作を操作部16に入力すると、制御部75は、図23(a)および(b)に太線で示すように、硬貨出金収納部140に一時貯留されていた硬貨をすべて硬貨出金収納部140からベルトコンベア147、分離ローラ148および硬貨出金収納部140のソレノイド151によってシュート154に繰り出させ、振分部156で硬貨出金口18に繰り出させることで返却する返却動作を行う。そして、硬貨出金口18から硬貨が取り除かれたことがセンサ158で検出されると制御部75は返却動作を含む入金動作を終了する。これにより、硬貨入金口15に入金された硬貨そのものが硬貨出金口18に繰り出され返却されることになる。このとき、制御部75は、入金取消操作前にRAM77に記憶した計数データを入金取消操作時に一括して消去することになる。
以上のように、複数ある硬貨出金収納部140〜145のうちの一つの硬貨出金収納部140を一時貯留部として使用することで、入金確定動作の前後で硬貨の所在および管理が明確になり、より厳密な運用が可能になる。
非還流運用モードでの運用時に、操作部16に出金操作が入力されると、制御部75は、出金動作を開始させる。すなわち、図24(a)および(b)に太線で示すように、操作部16に入力された金額の硬貨を、一時貯留部を構成する硬貨出金収納部140を除く硬貨出金収納部141〜145から出金計数センサ152で計数しつつベルトコンベア147、分離ローラ148およびソレノイド151によってシュート154に繰り出させ、振分部156で硬貨出金口18に繰り出させる。その後、硬貨出金口18から硬貨が取り除かれたことがセンサ158で検出されると制御部75は出金動作を終了する。この場合は、五金種の硬貨(1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨および100円硬貨)のみが出金用として繰り出されることになる。
非還流運用モードでの運用時に、硬貨入金口15に補充硬貨が投入されて操作部16に補充操作が入力されると、制御部75は、補充動作を開始させる。すなわち、図25(a)および(b)に太線で示すように、硬貨入金口15の硬貨を硬貨入金口15から一枚ずつ分離して入金硬貨搬送部103で搬送し、硬貨識別部120で識別する。そして、硬貨識別部120の識別結果に基づき、偽硬貨、汚損硬貨および判別不能とされた硬貨は、開閉リジェクト部121が入金硬貨搬送部103から硬貨リジェクト口19に繰り出させる。他方、硬貨識別部120の識別結果に基づき、真硬貨でありかつ汚損でない正硬貨とされた硬貨は、閉じられた開閉リジェクト部121および開閉選別部130をそのまま入金硬貨搬送部103の下流側に通過し、金種に応じた硬貨出金収納部141〜145に収納される。つまり、1円硬貨であれば選別孔133で落下して硬貨出金収納部141に収納され、50円硬貨であれば選別孔134で落下して硬貨出金収納部142に収納され、5円硬貨であれば選別孔135で落下して硬貨出金収納部143に収納され、100円硬貨であれば選別孔136で落下して硬貨出金収納部144に収納され、10円硬貨であれば選別孔137で落下して硬貨出金収納部145に収納される。なお、オーバーフロー硬貨および補充の必要がない500円硬貨が混入していた場合については、例えば、すべて開閉リジェクト部121を介して硬貨リジェクト口19に返却する。硬貨入金口15のすべての硬貨が硬貨出金収納部141〜145および硬貨リジェクト口19のいずれかに案内され、操作者が補充確定操作を操作部16に入力すると、補充動作での計数データを補充確定後一括して硬貨入出金装置11内の在高合計データに加算する。
非還流運用モードでの運用時に、操作部16に回収指示操作が入力されると、制御部75は、回収動作を開始させる。すなわち、図26(a)および(b)に太線で示すように、一時貯留部を構成する硬貨出金収納部140を除く硬貨出金収納部141〜145において全硬貨をベルトコンベア147、分離ローラ148およびソレノイド151によってシュート154に繰り出させ、振分部156で硬貨回収庫20に繰り出させる。硬貨出金収納部141〜145内にあったすべての硬貨が硬貨回収庫20に収納されたことが検出されると制御部75は回収動作を終了する。その後、操作者は硬貨回収庫20を取り外して硬貨を取り出す。なお、回収動作においてすべての硬貨を硬貨出金口18に繰り出すようにしても良い。この場合、各金種別に回収することができる。
ここで、硬貨入出金装置11においても、還流運用モードから非還流運用モードへの切り換え、および非還流運用モードから還流運用モードへの切り換えは、操作部16への所定の切換操作でそれぞれの制御プログラムがROM76から読み出されることで行われる。つまり、制御部75がROM76から還流運用モード用の制御プログラムを読み出すことで還流運用モードが実行可能となり、制御部75がROM76から非還流運用モード用の制御プログラムを読み出すことで非還流運用モードが実行可能となる。なお、モードの切り換えは、操作部16への所定の操作入力ではなく、別体のキーを有する切換装置を設けて、この切換装置のキー操作により行うようにしても良い。
還流運用モードから非還流運用モードへの切り換え時には、金種別収納部として使用されていた硬貨出金収納部140を一時貯留部として使用することになるため、この硬貨出金収納部140を空にしなければならない。このため、操作者が操作部16へ還流運用モードから非還流運用モードへ切り換えるための所定の切換操作を行うと、制御部75は、ROM76から硬貨出金収納部140を一時貯留部として使用する非還流運用モード用の制御プログラムを読み出し、同時に、RAM77に記憶された計数データおよび硬貨出金収納部140に設けられたセンサ153によって一時貯留部に設定される硬貨出金収納部140内に硬貨があるか否かの確認を行う。そしてこの硬貨出金収納部140内に硬貨が存在する場合に、制御部75は、一時貯留部に設定された硬貨出金収納部140の硬貨を自動的に硬貨回収庫20に収納させる。つまり、図22(a)および(b)に太線で示す非還流運用モードにおける入金確定後の収納動作と同様に、硬貨出金収納部140内の硬貨をすべて、ベルトコンベア147、分離ローラ148および硬貨出金収納部140のソレノイド151によってシュート154に繰り出させ、振分部156で硬貨回収庫20に収納させる。そして、硬貨出金収納部140内の全ての硬貨が硬貨回収庫20内に移動して硬貨出金収納部140内が空になると、非還流運用モードでの運用を開始させる。勿論、上記確認で硬貨出金収納部140内に硬貨がない場合、そのまま非還流運用モードでの運用を開始させることになる。すなわち、入金、出金、補充、回収等、操作者による操作部16への次の入力が行われるまで待機する。以上により、還流運用モードおよび非還流運用モードの両方の運用が問題なく可能となる。
他方、操作者が操作部へ非還流運用モードから還流運用モードへ切り換えるための所定の切換操作を行うと、制御部75は、ROM76から硬貨出金収納部140を金種別収納部として使用する還流運用モード用の制御プログラムを読み出す。この場合は、前段の作業で、一時貯留部としての硬貨出金収納部140に硬貨が残ったまま次の作業に移ることはなく、しかもモードの切り換えは全ての動作が終了している場合にのみ可能であることから、それまでの処理において硬貨出金収納部140内に一時貯留された硬貨がそのまま留まっていることはない。このため、硬貨出金収納部140の硬貨を硬貨回収庫20へ移動させる処理は必要ない。そして、そのまま還流運用モードでの運用を開始させることになる。すなわち、入金、出金、補充、回収等、操作者による操作部16への次の入力が行われるまで待機する。
なお、還流運用モードで硬貨出金収納部140に収納する硬貨の金種は上記したように500円硬貨である。
また、新たに還流式の金種別収納部となった硬貨出金収納部140に対しては、還流運用モードの動作開始に当たって、硬貨を補充させるようにするのが良い。
以上に述べた貨幣入出金機10の硬貨入出金装置11によれば、複数の入出金可能な硬貨出金収納部140〜145をすべて金種別収納部として使用し、硬貨入金口15に投入され硬貨識別部120で識別および計数された硬貨を金種別に選別して、一時貯留させることなく金種別収納部である各硬貨出金収納部140〜145に収納する還流運用モードでの運用を選択することで、一時貯留部が不要な構成にでき、小型化、簡素化および低コスト化が図られた還流式の機械となる。そして、必要に応じて、複数の入出金可能な硬貨出金収納部140〜145のうちのいずれか一つである硬貨出金収納部140を一時貯留部として使用し、硬貨入金口15に投入され硬貨識別部120で識別および計数された硬貨を金種混合状態で一時貯留部である硬貨出金収納部140に一時貯留させ、この一時貯留部である硬貨出金収納部140に一時貯留された硬貨を、操作部16への入金確定操作後に硬貨出金収納部141〜145には収納せずに硬貨回収庫20に収納する一方、操作部16への返却操作後に硬貨出金口18に返却する非還流運用モードを選択することで、操作者側管理の硬貨と機械側管理の硬貨との区別を明確する運用が可能となる。
また、ROM76から還流運用モード用の制御プログラムを読み出すことで還流運用モードが実行可能とされ、ROM76から非還流運用モード用の制御プログラムを読み出すことで非還流運用モードが実行可能とされるため、ROM76の制御プログラムの切り換えのみで、還流運用モードでの運用および非還流運用モードでの運用が切り換え可能となる。したがって、ハードについては切り換えが不要であり、還流運用モードでの運用および非還流運用モードでの運用が容易に切り換え可能となる。
さらに、還流運用モードから非還流運用モードに切り換えられた時に、一時貯留部に設定された硬貨出金収納部140の硬貨を自動的に硬貨回収庫20に収納させることになるため、一時貯留部に設定された硬貨出金収納部140に還流運用モードでの硬貨が残存した状態でこれに非還流運用モードでの一時貯留硬貨が混ざってしまうことがなくなる。
加えて、非還流運用モードから還流運用モードに切り換えられた時に、非還流運用モードで一時貯留部に設定されていた硬貨出金収納部140を500円硬貨の金種別収納部として自動設定するため、非還流運用モードでの一時貯留部となる硬貨出金収納部140を、還流運用モードでの500円硬貨用と共通にすることで、金種別収納部が少ない非還流運用モードにおいて、出金頻度が高い少額硬貨を出金可能にすることができる。
なお、硬貨入出金装置11においても、還流運用モード用の制御プログラムと非還流運用モード用の制御プログラムとが記憶されたROM76からモード切り換え時に制御部75が対応するモード用の制御プログラムを読み出すのではなく、還流運用モード用の制御プログラムが記憶されたROMと非還流運用モード用の制御プログラムが記憶されたROMとを用意し、モード切り換え時に対応するモード用のROMに交換するようにしても良い。この場合、ROMを交換する際に、全ての動作を終了させ、硬貨入出金装置11内の硬貨をすべて回収し硬貨入出金装置11内の硬貨を空にしてから行うことになる。
以上においては、硬貨入出金装置11と紙幣入出金装置12とを備えた貨幣入出金機10を例にとり説明したが、勿論、硬貨のみを入出金させる貨幣入出金機および紙幣のみを入出金させる貨幣入出金機のいずれにも適用可能である。