本発明に係る貨幣処理装置の一実施形態である硬貨出金装置を図面を参照して以下に説明する。図1に示す本実施形態の硬貨出金装置11は、貨幣のうちバラの硬貨を出金するものであり、両替機にその一部の硬貨払出ユニットとして組み込まれるものである。よって、硬貨出金装置11の制御部(制御手段)12は、両替機の硬貨出金装置11を除く両替機本体13の本体制御部14と通信可能であり、本体制御部14を介して、両替機本体13に設けられた操作部15からの操作入力信号を受けたり、両替機本体13の表示部16に表示を行ったりする。なお、以下の説明では、硬貨出金装置11の機体20の操作者側を「前」、操作者とは反対側を「後」、操作者から見て左を「左」、操作者から見て右を「右」とする。
図1および図2に示すように、硬貨出金装置11内には、それぞれが所定の単一金種の硬貨のみを出金可能に収納する複数、具体的には四カ所の金種別硬貨収納部(金種別貨幣収納部)21A〜21Dが設けられている。これら金種別硬貨収納部21A〜21Dは、前後方向に並んで配置されている。また、これら金種別硬貨収納部21A〜21Dより後方には、補充硬貨収納部(補充貨幣収納部)21Eが一つのみ設けられている。
4カ所の金種別硬貨収納部21A〜21Dは、硬貨出金装置11の機体20に対し着脱不可であり、補充硬貨収納部21Eは、機体20内の後部に設けられた装填部25に対し着脱可能となっている。例えば、図1に示すように、補充硬貨収納部21Eは、機体20の左方に図示略のスライドレールの案内で引き出し可能となっており、引き出された状態でスライドレールから取り外し可能となっている。機体20内の装填部25の上方には、装填部25に装填された補充硬貨収納部21Eの画像を検出し、この画像から補充硬貨収納部21E内が硬貨のない空の状態であるか否かを検知する空状態検知部26が設けられている。
金種別硬貨収納部21A〜21Dは、同様の構成となっており、上部が開口し硬貨をこの上部から収納する。金種別硬貨収納部21Aは払出部30Aによって、金種別硬貨収納部21Bは払出部30Bによって、金種別硬貨収納部21Cは払出部30Cによって、金種別硬貨収納部21Dは払出部30Dによって、それぞれ収納している硬貨を一枚ずつ払い出す。補充硬貨収納部21Eも、金種別硬貨収納部21A〜21Dと同様の構成となっており、上部が開口し硬貨をこの上部から収納すると共に、収納している硬貨を払出部30Eによって一枚ずつ払い出す。
金種別硬貨収納部21Aは、上下に開口する枠状の囲壁部32Aと、囲壁部32Aの下部開口を閉塞するように配置されるベルトコンベア式の底部33Aとを有しており、これら囲壁部32Aおよび底部33Aで、硬貨を上部から受け入れる収納空間34Aを形成している。図3に示すように、ベルトコンベア式の底部33Aは、払出部30A側が上側に位置するように傾斜しており、この払出部30A側に向けて硬貨を搬送する。
図1に示すように、金種別硬貨収納部21Aと同様に、金種別硬貨収納部21Bは収納空間34Bを形成する囲壁部32Bおよび底部33Bを、金種別硬貨収納部21Cは収納空間34Cを形成する囲壁部32Cおよび底部33Cを、金種別硬貨収納部21Dは収納空間34Dを形成する囲壁部32Dおよび底部33Dを、補充硬貨収納部21Eも収納空間34Eを形成する囲壁部32Eおよび底部33Eを、それぞれ有している。
図3に示すように、払出部30Aは、底部33Aで搬送される硬貨を一枚ずつに分離する分離ローラ35Aと、分離ローラ35Aよりも底部33Aの搬送方向先側の通路を開閉するソレノイド駆動式の開閉部37Aとを有している。つまり、払出部30Aは、収納空間34Aに収納した硬貨を、移動する底部33Aで底部33A側のものから分離ローラ35A側に搬送することになり、分離ローラ35Aで重なりを解除して一列状に並べる。そして、開閉部37Aが、一列状に並べられて底部33Aと共に移動する硬貨を引っ込んだ状態で通過させる一方、底部33A側に突出した状態で停止させる。よって、払出部30Aは、金種別硬貨収納部21Aの硬貨を底部33A側のものから一枚ずつ払い出す。払出部30Aは、開閉部37Aを通過する硬貨を計数すると共に開閉部37Aの開閉作動のタイミングを計るための硬貨センサ38Aを有している。
図1に示すように、払出部30Aと同様に、払出部30Bは、分離ローラ35B、開閉部37Bおよび硬貨センサ38Bを、払出部30Cは、分離ローラ35C、開閉部37Cおよび硬貨センサ38Cを、払出部30Dは、分離ローラ35D、開閉部37Dおよび硬貨センサ38Dを、払出部30Eは、分離ローラ35E、開閉部37Eおよび硬貨センサ38Eを、それぞれ有している。
加えて、払出部30Eには、開閉部37Eを通過した硬貨、つまり補充硬貨収納部21Eから払い出される過程の硬貨の金種判別および計数を、画像データあるいは材質データに基づいて行う判別部40が設けられている。この判別部40は、補充硬貨収納部21Eの払出部30Eのみに設けられており、金種別硬貨収納部21A〜21Dには設けられていない。
金種別硬貨収納部21A〜21Dのすべての払出部30A〜30Dは、右側に設けられており、これら払出部30A〜30Dの硬貨払い出し方向の先側には、これら払出部30A〜30Dから払い出された硬貨を受け入れて前方および後方へ向けて選択的に搬送するベルトコンベア式の可逆搬送部44が配置されている。可逆搬送部44の前部の上方には、可逆搬送部44で搬送される硬貨の重なりを解除して一枚ずつに分離する分離ローラ45が設けられており、可逆搬送部44の分離ローラ45よりも前側の前端部の上方には、一列状に並んでこの前端部を通過する硬貨の金種識別および計数を、画像データあるいは材質データに基づいて行う識別部46が設けられている。
図2に示すように、可逆搬送部44の前端部の下方には、可逆搬送部44で前方に搬送されその前端部から落下する硬貨を受け入れるバケット50が設けられている。このバケット50は、可逆搬送部44から落下する硬貨を受け入れる図2に示す姿勢が基本姿勢となっており、この基本姿勢から後部を下方に位置させるように左右軸回りに回動可能となっている。バケット50の前方には、機体20の前面の開口部51およびこの開口部51を開閉するシャッタ52が設けられており、基本姿勢にあるバケット50に受け入れた硬貨は、シャッタ52が開かれた状態の開口部51を介して機外に取り出し可能となる。つまり、バケット50、開口部51およびシャッタ52が、可逆搬送部44で前方に搬送された硬貨を受け入れて機体20の外に取り出し可能とする出金口53を構成している。よって、上記した識別部46は、金種別硬貨収納部21A〜21Dから払い出された硬貨を、出金口53への搬送過程で識別することになる。
上記した基本姿勢からバケット50が回動すると、バケット50内にあった硬貨は、その下方に設けられた返却収納部55に放出されることになり、この返却収納部55が受け入れて返却可能に収納することになる。返却収納部55は、機体20に対し着脱可能であり、図1に示すように右方に取り外し可能となっている。なお、バケット50は、回動するのではなく、分割されていて、少なくとも一の分割体が移動して、バケット50内にあった硬貨を返却収納部55に落下させるようにしても良い。
図2に示すように、可逆搬送部44の後方には、可逆搬送部44で後方に搬送されその後端部から落下する硬貨を受け入れてさらに後方に向けて搬送するベルトコンベア式の後方搬送部58が設けられている。装填部25に装填された状態の補充硬貨収納部21Eの払出部30Eも、右側に設けられており、この払出部30Eの硬貨払い出し方向の前方に、この払出部30Eから払い出された硬貨を受け入れるように後方搬送部58が設けられている。つまり、後方搬送部58は、可逆搬送部44で後方に搬送された硬貨および補充硬貨収納部21Eから払い出された硬貨を受け入れて後方に向けて搬送する。
図1に示すように、後方搬送部58の後端位置には、後方に移動する硬貨の移動方向を左向きに変える方向転換壁部59が立設されており、後方搬送部58の後端部の左側には、方向転換壁部59で向きが変えられた硬貨を上方に向けて搬送するベルトコンベア式の上方搬送部60が設けられている。上方搬送部60の左方には、左方に移動する硬貨の方向を前向きに変える方向転換壁部61が立設されており、上方搬送部60の左方には、方向転換壁部61で向きが変えられた硬貨を前方に向けて搬送する前方搬送部62の後端部が設けられている。図2に示すように、前方搬送部62は、上方搬送部60の上端部から硬貨を受け入れる前後方向に延在する硬貨通路63と、硬貨通路63の上方に設けられ硬貨を硬貨通路63に押し付けながら前方に搬送する搬送ベルト64とを有している。
上記した後方搬送部58、方向転換壁部59、上方搬送部60、方向転換壁部61および前方搬送部62が、可逆搬送部44で後方に搬送された硬貨および補充硬貨収納部21Eから払い出された硬貨を受け入れて、後方に搬送し、さらに上方へ向けて搬送した後に前方へ向けて搬送する補充搬送部65を構成している。なお、後方搬送部58の後部には、通過する硬貨を一枚ずつに分離する分離ローラ66が設けられており、よって、その下流側の上方搬送部60および前方搬送部62は、硬貨を一列状に並べて搬送することになる。
図1に示すように、前方搬送部62の硬貨通路63は、金種別硬貨収納部21A〜21Dおよび装填部25に装填された状態の補充硬貨収納部21Eの上方を横切るように前後方向に延在して水平に配置されている。硬貨通路63には、前方搬送部62で搬送される硬貨を一枚ずつ、金種別硬貨収納部21A〜21Dの上部開口部および装填部25に装填された状態の補充硬貨収納部21Eの上部開口部へ選択的に受け渡す受渡部70が設けられている。
受渡部70は、金種別硬貨収納部21Aの鉛直上方位置に設けられた落下孔71Aおよびこれを開閉するシャッタ72Aと、金種別硬貨収納部21Bの鉛直上方位置に設けられた落下孔71Bおよびこれを開閉するシャッタ72Bと、金種別硬貨収納部21Cの鉛直上方位置に設けられた落下孔71Cおよびこれを開閉するシャッタ72Cと、金種別硬貨収納部21Dの鉛直上方位置に設けられた落下孔71Dおよびこれを開閉するシャッタ72Dと、装填部25に装填された状態の補充硬貨収納部21Eの鉛直上方位置に設けられた落下孔71Eおよびこれを開閉するシャッタ72Eと、を有している。
また、受渡部70は、硬貨通路63のシャッタ72Aの上流側に隣接配置されて硬貨を計数すると共にシャッタ72Aの開閉作動のタイミングを計るための硬貨センサ74Aと、シャッタ72Bの上流側に隣接配置されて硬貨を計数すると共にシャッタ72Bの開閉作動のタイミングを計るための硬貨センサ74Bと、シャッタ72Cの上流側に隣接配置されて硬貨を計数すると共にシャッタ72Cの開閉作動のタイミングを計るための硬貨センサ74Cと、シャッタ72Dの上流側に隣接配置されて硬貨を計数すると共にシャッタ72Dの開閉作動のタイミングを計るための硬貨センサ74Dと、シャッタ72Eの上流側に隣接配置されて硬貨を計数すると共にシャッタ72Eの開閉作動のタイミングを計るための硬貨センサ74Eと、を有している。
受渡部70は、硬貨センサ74Aによる硬貨の検知タイミングに基づいてシャッタ72Aを開くと、この硬貨を落下孔71Aから金種別硬貨収納部21Aの収納空間34Aに落下させることになり、硬貨センサ74Bによる硬貨の検知タイミングに基づいてシャッタ72Bを開くと、この硬貨を落下孔71Bから金種別硬貨収納部21Bの収納空間34Bに落下させることになり、硬貨センサ74Cによる硬貨の検知タイミングに基づいてシャッタ72Cを開くと、この硬貨を落下孔71Cから金種別硬貨収納部21Cの収納空間34Cに落下させることになり、硬貨センサ74Dによる硬貨の検知タイミングに基づいてシャッタ72Dを開くと、この硬貨を落下孔71Dから金種別硬貨収納部21Dの収納空間34Dに落下させることになり、硬貨センサ74Eによる硬貨の検知タイミングに基づいてシャッタ72Eを開くと、この硬貨を落下孔71Eから装填部25に装填された状態の補充硬貨収納部21Eの収納空間34Eに落下させることになる。
硬貨通路63の前端位置には、落下孔75が形成されており、落下孔75の下方には、落下孔75から落下する硬貨を収納するリジェクト収納部76が設けられている。つまり、リジェクト収納部76には、金種別硬貨収納部21A〜21Dおよび補充硬貨収納部21Eに落下しなかった硬貨が収納される。リジェクト収納部76は機体20に対し着脱可能となっており、左方に取り外し可能となっている。硬貨通路63の落下孔75の上流側には硬貨を計数する硬貨センサ77が隣接配置されている。
後述するように、金種別硬貨収納部21A〜21Dのいずれかに、装填部25に装填された状態の補充硬貨収納部21Eから繰り出され、判別部40で正常と判別された硬貨が、補充搬送部65を介して収納されることになり、リジェクト収納部76には、補充硬貨収納部21Eから繰り出され、判別部40で正常と判別されなかった硬貨が、補充搬送部65を介して収納されることになる。
制御部12は、金種別硬貨収納部21A〜21Dのそれぞれに補充した硬貨の数と、金種別硬貨収納部21A〜21Dのそれぞれから払い出した硬貨の数とから、金種別硬貨収納部21A〜21Dのそれぞれの在高を把握している。
装填部25には、補充硬貨収納部21Eに差し替えて、判別部40を持たない回収箱21Fが装填可能となっている。回収箱21Fは、判別部40以外にも、硬貨を繰り出すためのベルトコンベア式の底部33Eおよび払出部30Eを有しておらず、単なる容器状となっている。
機体20には、装填部25に補充硬貨収納部21Eが装填されているのか、回収箱21Fが装填されているのかを、補充硬貨収納部21Eの被検知部(差替検知手段)79Eあるいは回収箱21Fの被検知部(差替検知手段)79Fを検知することで、判断する装填種類検知センサ(差替検知手段)80が設けられている。つまり、装填種類検知センサ80は、装填部25に対する補充硬貨収納部21Eと回収箱21Fとの差し替えを検知可能となっている。例えば補充硬貨収納部21Eには被検知部79EとしてカセットIDが設けられ、回収箱21Fには被検知部79Fとして別のカセットIDが設けられ、さらに装填部25の近傍に装填種類検知センサ80としてのIDリーダが設けられている。
なお、可逆搬送部44および補充搬送部65の配置から、これらとの干渉を避けるために補充硬貨収納部21Eを機体20から左方に引き抜くようになっているが、いずれの方向に取り出すようにしても良い。例えば、補充搬送部65の前方搬送部62を可動として、補充硬貨収納部21Eを上方に引き抜くようにしても良い。
金種別硬貨収納部21A〜21Dおよび補充硬貨収納部21Eには、いずれの金種の硬貨を収納することも可能であり、基本的に、それぞれが単一金種の硬貨を収納するように決められている。これら金種別硬貨収納部21A〜21Dおよび補充硬貨収納部21Eのそれぞれの収納金種は制御部12に設定記憶される。ただし、補充硬貨収納部21Eには、金種別硬貨収納部21A〜21Dのいずれかと同一金種の硬貨を補充用として収納する必要があるため、設定記憶時に金種別硬貨収納部21A〜21Dのいずれとも同一とはならない金種が設定されるとエラーを発生させるようになっている。
例えば、金種別硬貨収納部21Aに500円硬貨を、金種別硬貨収納部21Bに100円硬貨を、金種別硬貨収納部21Cに100円硬貨を、金種別硬貨収納部21Dに50円硬貨を、それぞれ収納したり、金種別硬貨収納部21Aに500円硬貨を、金種別硬貨収納部21Bに500円硬貨を、金種別硬貨収納部21Cに100円硬貨を、金種別硬貨収納部21Dに100円硬貨を、それぞれ収納したり、金種別硬貨収納部21Aに500円硬貨を、金種別硬貨収納部21Bに100円硬貨を、金種別硬貨収納部21Cに100円硬貨を、金種別硬貨収納部21Dに100円硬貨を、それぞれ収納したりすることが可能となる。
以下、具体例を説明する場合、金種別硬貨収納部21Aに500円硬貨を、金種別硬貨収納部21Bに100円硬貨を、金種別硬貨収納部21Cに100円硬貨を、金種別硬貨収納部21Dに50円硬貨を、それぞれ収納し、補充硬貨収納部21Eに100円硬貨を収納しているものとする。
上記構成の硬貨出金装置11の作動を各処理別に説明する。
「出金処理」
硬貨出金装置11の制御部12は、両替機本体13の操作部15への入力に応じて本体制御部14から、出金硬貨の金種別の枚数を含む出金動作指令が入力されると、この出金動作指令に基づいて、金種別硬貨収納部21A〜21Dの適宜のものから所定金種の硬貨を所定枚数払い出し、払い出した硬貨を可逆搬送部44で前方に搬送し出金口53の基本姿勢にあるバケット50に放出させる出金処理を行う。
この出金処理において、可逆搬送部44の前端位置に設けられた識別部46が、可逆搬送部44で一列状に移動する硬貨を一枚ずつ識別し、出金動作指令に基づいて出金する硬貨がすべて正常と識別されると、制御部12は、これらがすべてバケット50に落下するタイミングで、出金処理中に閉状態にあったシャッタ52を開いて開口部51を開放しバケット50内の硬貨の機外への取り出しを可能とする。このようにして、出金動作指令の金種別の所定枚数の硬貨が出金口53に放出される。
他方、出金動作指令に基づいて出金する硬貨の中に、識別部46で正常と識別されなかった硬貨があると、制御部12は、出金処理中に閉状態にあったシャッタ52を開くことなく、バケット50を回動させてバケット50の硬貨を返却収納部55に収納する。その後、バケット50を基本姿勢に戻し、再度、出金動作指令に基づいて、金種別硬貨収納部21A〜21Dの適宜のものから所定金種の硬貨を所定枚数払い出してバケット50に搬送する。なお、出金動作指令に基づいて出金する硬貨がすべて正常と識別されるまで上記作動を繰り返すことになる。
「補充処理」
硬貨出金装置11の制御部12は、例えば、上記した出金処理の最中および出金処理の終了時に、金種別硬貨収納部21A〜21Dの中の、装填部25に装填された状態の補充硬貨収納部21Eと同金種の硬貨を収納している金種別硬貨収納部の硬貨の量が、補充が必要と判断される所定の補充開始量以下になると、この金種別硬貨収納部を補充対象とする補充動作指令を自ら発令する。そして、制御部12は、硬貨が収納された状態の補充硬貨収納部21Eが装填部25に装填されているか否かを、装填種類検知センサ80および空状態検知部26の検知結果から判断する。硬貨が収納された状態の補充硬貨収納部21Eが装填部25に装填されていなければ、硬貨が収納された状態の補充硬貨収納部21Eの装填を促す表示を本体制御部14を介して両替機本体13の表示部16に表示させる。これを見て、操作者は例えば補充硬貨収納部21Eを硬貨が収納された状態のものに入れ替える等する。
硬貨が収納された状態の補充硬貨収納部21Eが装填部25に装填されていると、制御部12は、上記補充動作指令に基づいて補充硬貨収納部21Eから払出部30Eで硬貨を払い出す動作を行い、判別部40で正常と判定された硬貨を補充搬送部65で搬送して受渡部70から、補充対象の金種別硬貨収納部に収納する補充処理を行う。つまり、制御部12は、金種別硬貨収納部21A〜21Dの中の、装填部25に装填された状態の補充硬貨収納部21Eと同金種の硬貨を収納している金種別硬貨収納部の硬貨の量が所定量以下になると、自動的に、この金種別硬貨収納部に対し出金処理と並行して補充硬貨収納部21Eからの補充処理を行う。
例えば、出金処理において、金種別硬貨収納部21Bから100円硬貨を底部33B側のものから一枚ずつ払出部30Bで払い出し可逆搬送部44で前方に搬送している最中に、この金種別硬貨収納部21Bの100円硬貨の量が所定の補充開始量以下になると、金種別硬貨収納部21Bからの100円硬貨の払い出しは停止することなく継続し、これと並行して、補充硬貨収納部21Eから100円硬貨を底部33E側のものから一枚ずつ払出部30Eで払い出し、補充搬送部65で搬送して受渡部70のシャッタ72Bを開いて落下孔71Bから落下させ、金種別硬貨収納部21Bに上部から補充する。
また、制御部12は、出金処理の最中および出金処理の終了時に、金種別硬貨収納部21A〜21Dの中の、装填部25に装填された状態の補充硬貨収納部21Eとは異金種の硬貨を収納している金種別硬貨収納部の硬貨の量が、補充が必要と判断される所定の補充開始量以下になると、本体制御部14を介して両替機本体13の表示部16にアラーム表示を表示させる。具体的には、補充が必要な金種の硬貨を収納した補充硬貨収納部21Eへ交換を促す表示を行う。そして、補充硬貨収納部21Eが取り外され、再度装着されたことを装填種類検知センサ80で検知し、両替機本体13の操作部15によって、補充が必要な金種が補充硬貨収納部21Eに対して設定されると、制御部12は、この金種別硬貨収納部を補充対象とする補充動作指令を自ら発令し、この補充動作指令に基づいて補充硬貨収納部21Eから硬貨を払い出す動作を行い、判別部40で正常と判定された硬貨を補充搬送部65で搬送して受渡部70から、補充対象の金種別硬貨収納部に収納する補充処理を行う。
例えば、出金処理において、金種別硬貨収納部21Aから500円硬貨を底部33A側のものから一枚ずつ払出部30Aで払い出し可逆搬送部44で前方に搬送している最中に、この金種別硬貨収納部21Aの500円硬貨の量が所定の補充開始量以下になると、金種別硬貨収納部21Aからの500円硬貨の払い出しは停止することなく継続し、アラーム表示を表示させる。そして、補充硬貨収納部21Eが取り外され、再度装着されたことを装填種類検知センサ80で検知し、両替機本体13の操作部15によって、補充が必要な金種である500円が補充硬貨収納部21Eに対して設定されると、補充硬貨収納部21Eから500円硬貨を底部33E側のものから一枚ずつ払出部30Eで払い出し補充搬送部65で搬送して受渡部70のシャッタ72Aを開いて落下孔71Aから落下させ、金種別硬貨収納部21Aに上部から補充する。
なお、以上の補充処理の最中に、補充硬貨収納部21Eから払い出す硬貨の中に判別部40で正常と判定されなかった硬貨が含まれる場合には、これを補充搬送部65で搬送して落下孔75からリジェクト収納部76に収納する。ここで、判別部40で正常と判定されない硬貨は、補充硬貨収納部21Eに収納されるべき金種(言い換えれば、補充対象の金種別硬貨収納部へ収納されるべき金種)の硬貨以外であり、判別不能硬貨は勿論、他金種の硬貨も含まれる。つまり、機外で硬貨が充填されて機体20に装填される補充硬貨収納部21Eには、収納されるべき金種以外の他金種の硬貨が混入する可能性があり、この他金種の硬貨も正常な硬貨ではないと判別する。
ここで、上記補充処理においては、例えば補充硬貨収納部21Eから補充搬送部65への硬貨の受け渡しの際に、判別部40で正常と判定されなかった硬貨と、正常と判定された硬貨との搬送の順番が入れ替わる可能性がある。このため、一枚目の硬貨を補充硬貨収納部21Eから払い出した後、この一枚目の硬貨が、金種別硬貨収納部21A〜21Dのうちの補充対象の金種別硬貨収納部に到達するタイミング(補充搬送部65の搬送速度から算出可能)の前までに補充硬貨収納部21Eから払い出すことができる所定枚数(例えば10枚)を補充単位枚数とする。そして、補充処理では、この補充単位枚数の硬貨を連続して補充硬貨収納部21Eから払い出して補充対象の金種別硬貨収納部(またはリジェクト収納部76)に収納する補充単位処理を、並行することがないように断続的に順次行う。つまり、補充単位枚数の硬貨を連続して補充硬貨収納部21Eから払い出すと、開閉部37Eにより硬貨の払い出しを一旦停止させて、既に払い出された硬貨が補充対象の金種別硬貨収納部(またはリジェクト収納部76)にすべて収納されると、開閉部37Eにより次の硬貨の払い出しを開始させて補充単位枚数の硬貨を連続して補充硬貨収納部21Eから払い出す、という作動を適宜繰り返す。
そして、補充処理中、一の補充単位処理において補充単位枚数の硬貨の中に判別部40で正常と判定されなかった硬貨が発生すると、制御部12は、この硬貨を含んで今回の一の補充単位処理で補充硬貨収納部21Eから払い出す補充単位枚数分の硬貨をすべて補充搬送部65で搬送して落下孔75から落下させてリジェクト収納部76に収納して、今回の一の補充単位処理を終了する。その後、次の補充単位処理を行う。他方、制御部12は、一の補充単位処理で補充硬貨収納部21Eから払い出した補充単位枚数の硬貨の中に判別部40で正常と判別されなかった硬貨が含まれなければ、これら所定の補充単位枚数分の硬貨を、補充搬送部65および受渡部70ですべて補充対象の金種別硬貨収納部へ搬送して、一の補充単位処理を終了する。そして、必要により、次の補充単位処理を行う。
制御部12は、判別部40、硬貨センサ38E,74A〜74E,77の硬貨の計数値から、硬貨の補充量を算出しつつ、上記した補充単位処理を適宜繰り返すことにより、金種別硬貨収納部21A〜21Dのうちの補充対象の金種別硬貨収納部の硬貨量が、十分な補充が完了したと判断できる所定の補充終了量以上になる条件、または、補充硬貨収納部21Eの硬貨が空になったことが空状態検知部26で検知される条件、のいずれかの条件が整うと補充処理を終了する。ここで、補充対象の金種別硬貨収納部の硬貨量が、十分な補充が完了したと判断できる所定の補充終了量以上になる条件ではなく、補充硬貨収納部21Eからの硬貨の払い出し枚数が所定の補充枚数(正常と判定されなかった硬貨があった補充単位処理の補充単位枚数は含んでも含まなくても良い)に達する条件、または、補充動作指令を自ら発令してから所定の補充時間経過する条件、のいずれかの条件が整うと補充処理を終了するようにしても良い。
なお、補充処理中に、補充硬貨収納部21Eの硬貨が空になったことを空状態検知部26で検知すると、制御部12は、出金処理を停止させることなく、補充処理を一旦中断し、本体制御部14を介して両替機本体13の表示部16にアラーム表示を表示させて、空の補充硬貨収納部21Eを、硬貨の充填された補充硬貨収納部21Eへ交換するように促すようにしても良い。この場合、アラーム表示後、補充硬貨収納部21Eが取り外され、再度装着されたことを装填種類検知センサ80で検知し、両替機本体13の操作部15によって、補充が必要な金種が補充硬貨収納部21Eに対して設定されると、制御部12は、補充処理を再開して、この補充硬貨収納部21Eから残りの硬貨を、金種別硬貨収納部21A〜21Dのうちの補充対象の金種別硬貨収納部に収納するようにする。つまり、一つの出金処理に並行して、順次複数の補充硬貨収納部21Eから、補充対象の金種別硬貨収納部に補充処理を行っても良い。この場合、空の補充硬貨収納部21Eを、硬貨の充填された別の補充硬貨収納部21Eへ交換しても良く、空の補充硬貨収納部21Eに機外で硬貨を補充して、この補充硬貨収納部21Eを装填部25に再度装填しても良い。
また、補充処理において、補充硬貨収納部21Eの硬貨が所定の数枚(例えば3枚)連続して、設定された金種以外の他の同一金種の硬貨であることを判別部40が判別した場合、制御部12は、補充硬貨収納部21E内の硬貨が設定金種以外の金種の硬貨であると判定し、その時点で、補充硬貨収納部21Eからの硬貨の払い出しを中止すると共に、すでに払い出した数枚の硬貨を、すべて補充搬送部65で搬送してリジェクト収納部76に収納し、表示部16にアラーム表示を表示させて、補充硬貨収納部21Eに補充が必要な金種を表示させて交換を促す。
上記補充処理において、上記のように補充単位処理を断続的に行うのではなく、判別部40で正常と判定されなかった硬貨が発生しなければ、補充処理の開始から終了まで連続して硬貨を補充硬貨収納部21Eから払い出して、金種別硬貨収納部21A〜21Dのうちの補充対象の金種別硬貨収納部に収納するようにしても良い。
この場合、判別部40で正常と判定されなかった硬貨が発生した時点で、すでに払い出した硬貨が、補充対象の金種別硬貨収納部に到達している可能性がある。このため、判別部40で正常と判定されなかった硬貨が発生すると、この硬貨より後の硬貨の補充硬貨収納部21Eからの硬貨の払い出しを開閉部37Eにより一旦停止させて、この正常と判定されなかった硬貨が、補充対象の金種別硬貨収納部に収納されることなくリジェクト収納部76に収納されるように、受渡部70を制御する。
具体的には、補充搬送部65の搬送速度から、判別部40で正常と判定されなかった硬貨の可能性がないと考えられる硬貨をすべて補充対象の金種別硬貨収納部に収納し、その後、判別部40で正常と判定されなかった硬貨の可能性がある硬貨をすべてリジェクト収納部76に収納する。次いで、補充硬貨収納部21Eからの硬貨の払い出しを再開させて、その後の判別部40で正常と判定された硬貨については、補充対象の金種別硬貨収納部に収納する。このようにして、補充硬貨収納部21Eから硬貨を補充対象の金種別硬貨収納部に収納する。この場合は、硬貨センサ74A〜74E,77の硬貨の計数値から、硬貨の補充量を算出する。
「精査処理」
硬貨出金装置11の制御部12は、両替機本体13の操作部15への入力に応じて本体制御部14から、金種別硬貨収納部21A〜21Dのいずれか精査対象の指定を含む自己計数指令が入力されると、装填部25に空の状態の補充硬貨収納部21Eが装填されているか否かを、装填種類検知センサ80および空状態検知部26の検知結果から判断する。装填部25に空の状態の補充硬貨収納部21Eが装填されていなければ、空の状態の補充硬貨収納部21Eの装填を促す表示を本体制御部14を介して両替機本体13の表示部16に表示させる。これを見て、操作者は補充硬貨収納部21Eを空の状態のものに入れ替える。
装填部25に空の状態の補充硬貨収納部21Eが装填されていると、これを条件として、制御部12は、金種別硬貨収納部21A〜21Dのうちの精査対象の金種別硬貨収納部から、硬貨を可逆搬送部44に払い出させ、可逆搬送部44で後方に搬送し、補充搬送部65で搬送して、受渡部70のシャッタ72Eで落下孔71Eを開いて一旦すべて補充硬貨収納部21Eに収納させる。その後、補充硬貨収納部21Eのすべての硬貨を補充硬貨収納部21Eから一枚ずつ払出部30Eで払い出し判別部40で判別して、補充搬送部65で搬送し、元の精査対象の金種別硬貨収納部へ戻す。この精査処理中の、判別部40、硬貨センサ38E,74A〜74E,77の硬貨の計数値から、精査対象の金種別硬貨収納部の硬貨量を確定する。
なお、精査処理において、金種別硬貨収納部21A〜21Dのうちの精査対象の金種別硬貨収納部から硬貨を一旦すべて補充硬貨収納部21Eに移動させる際には、精査対象の金種別硬貨収納部からすべての硬貨が補充硬貨収納部21Eに移動するまで連続的に搬送を行う。
他方、補充硬貨収納部21Eの硬貨を、金種別硬貨収納部21A〜21Dのうちの精査対象の金種別硬貨収納部へ戻す最中に、判別部40で正常と判定されなかった硬貨が含まれる場合には、これを補充搬送部65で搬送し、落下孔75から落下させてリジェクト収納部76に収納することになる。このため、上記した補充処理と同様の処理を行う。この場合も、判別部40で正常と判定されない硬貨は、精査対象の金種別硬貨収納部へ収納されるべき金種の硬貨以外であり、判別不能硬貨は勿論、他金種の硬貨も含まれる。
つまり、精査処理においても、判別部40で正常と判定されなかった硬貨と、正常と判定された硬貨との搬送の順番が入れ替わる可能性がある。このため、一枚目の硬貨を補充硬貨収納部21Eから払い出した後、この一枚目の硬貨が、金種別硬貨収納部21A〜21Dのうちの精査対象の金種別硬貨収納部に到達するタイミングの前までに補充硬貨収納部21Eから払い出すことができる所定枚数(例えば10枚)を精査単位枚数とする。そして、精査処理では、この精査単位枚数の硬貨を連続して補充硬貨収納部21Eから払い出して精査対象の金種別硬貨収納部(またはリジェクト収納部76)に収納する精査単位処理を、並行することがないように断続的に順次行う。つまり、精査単位枚数の硬貨を連続して補充硬貨収納部21Eから払い出すと、開閉部37Eにより硬貨の払い出しを一旦停止させて、既に払い出された硬貨が精査対象の金種別硬貨収納部(またはリジェクト収納部76)にすべて収納されると、開閉部37Eにより次の硬貨の払い出しを開始させて精査単位枚数の硬貨を連続して補充硬貨収納部21Eから払い出す、という作動を適宜繰り返す。
そして、精査処理中、一の精査単位処理において精査単位枚数の硬貨の中に判別部40で正常と判定されなかった硬貨が発生すると、制御部12は、この硬貨を含んで今回の一の精査単位処理で補充硬貨収納部21Eから払い出す精査単位枚数分の硬貨をすべて補充搬送部65で搬送して落下孔75から落下させてリジェクト収納部76に収納して、今回の一の精査単位処理を終了する。その後、次の精査単位処理を行う。他方、制御部12は、一の精査単位処理で補充硬貨収納部21Eから払い出した精査単位枚数の硬貨の中に判別部40で正常と判別されなかった硬貨が含まれなければ、これら所定の精査単位枚数分の硬貨を、補充搬送部65および受渡部70ですべて精査対象の金種別硬貨収納部へ搬送して、一の精査単位処理を終了する。そして、必要により、次の精査単位処理を行う。このようにして、補充硬貨収納部21Eにあった硬貨を、すべて精査対象の金種別硬貨収納部あるいはリジェクト収納部76に収納する。補充硬貨収納部21Eにあった硬貨が、すべて精査対象の金種別硬貨収納部あるいはリジェクト収納部76に収納されると、制御部12は、精査処理を終了する。
上記精査処理においても、上記のように精査単位処理を断続的に行うのではなく、判別部40で正常と判定されなかった硬貨が発生しなければ、精査処理の終了まで連続して硬貨を補充硬貨収納部21Eから払い出して、金種別硬貨収納部21A〜21Dのうちの精査対象の金種別硬貨収納部に収納するようにしても良い。
この場合も、判別部40で正常と判定されなかった硬貨が発生した時点で、すでに払い出した硬貨が、精査対象の金種別硬貨収納部に到達している可能性がある。このため、判別部40で正常と判定されなかった硬貨が発生すると、この硬貨より後の硬貨の補充硬貨収納部21Eからの硬貨の払い出しを開閉部37Eにより一旦停止させて、この正常と判定されなかった硬貨が、精査対象の金種別硬貨収納部に収納されることなくリジェクト収納部76に収納されるように、受渡部70を制御する。
具体的には、補充搬送部65の搬送速度から、判別部40で正常と判定されなかった硬貨の可能性がないと考えられる硬貨をすべて精査対象の金種別硬貨収納部に収納し、その後、判別部40で正常と判定されなかった硬貨の可能性がある硬貨をすべてリジェクト収納部76に収納する。次いで、補充硬貨収納部21Eからの硬貨の払い出しを再開させて、その後の判別部40で正常と判定された硬貨については、精査対象の金種別硬貨収納部に収納する。このようにして、補充硬貨収納部21Eから硬貨を精査対象の金種別硬貨収納部に収納する。この場合は、精査処理中の、硬貨センサ74A〜74E,77の硬貨の計数値から、精査対象の金種別硬貨収納部の硬貨量を確定する。
「回収処理」
硬貨出金装置11の制御部12は、両替機本体13の操作部15への入力に応じて本体制御部14から、金種別硬貨収納部21A〜21Dのいずれか回収対象の指定を含む回収指令が入力されると、装填部25に回収箱21Fが装填されているか否かを、装填種類検知センサ80の検知結果から判断する。装填部25に回収箱21Fが装填されていなければ、回収箱21Fの装填を促す表示を本体制御部14を介して両替機本体13の表示部16に表示させる。これを見て、操作者は補充硬貨収納部21Eを回収箱21Fに入れ替える。なお、補充硬貨収納部21Eが装填部25に装填されたことを装填種類検知センサ80が検知している場合、回収処理を行うことはない。言い換えれば、制御部12は、装填種類検知センサ80が装填部25への回収箱21Fの装填を確認した場合に、金種別硬貨収納部21A〜21Dの硬貨の回収箱21Fへの回収処理のみを許諾する。
装填部25に回収箱21Fが装填されていると、これを条件として、制御部12は、金種別硬貨収納部21A〜21Dのうちの回収対象の金種別硬貨収納部の硬貨を回収箱21Fに回収する回収処理を行う。つまり、回収対象の金種別硬貨収納部のすべての硬貨を、連続的に、可逆搬送部44に払い出し、可逆搬送部44で後方に搬送して、補充搬送部65に受け渡し、補充搬送部65で搬送し、受渡部70のシャッタ72Eを開いて落下孔71Eから回収箱21Fに落下させる。
以上に述べた本実施形態によれば、硬貨を金種別硬貨収納部21A〜21Dから払い出し可逆搬送部44で前方に搬送すると共に、識別部46の識別結果から、正常と識別された硬貨を出金口53へ受け渡す一方、正常と識別されなかった硬貨を返却収納部55に収納することで、所定枚数の正常と識別された硬貨を出金口53に出金することができる。また、硬貨を補充硬貨収納部21Eから判別部40で判別しつつ払い出し、補充搬送部65で搬送して、判別部40で正常と判別された硬貨を受渡部70によって金種別硬貨収納部21A〜21Dのうちの補充対象の金種別硬貨収納部に受け渡す一方、判別部40で正常と判別されなかった硬貨をリジェクト収納部76に収納することで、硬貨を金種別硬貨収納部21A〜21Dのうちの補充対象の金種別硬貨収納部に補充することができる。このように、金種別硬貨収納部21A〜21Dから出金口53および返却収納部55へ硬貨を搬送する可逆搬送部44による出金のためのルートと、補充硬貨収納部21Eから金種別硬貨収納部21A〜21Dおよびリジェクト収納部76に硬貨を補充する補充搬送部65による補充のためのルートとを別のルートにできるため、出金処理と補充処理とを並行して行うことができる。したがって、顧客取引である出金処理には何の支障も発生せずに、硬貨を補充できるため、利便性が向上する。加えて、出金処理と並行する補充処理中に補充硬貨収納部21Eを取り外して、これに硬貨を補充したり、硬貨が充填された別の補充硬貨収納部21Eに入れ替えたりすることも可能となり、顧客取引には何の支障も発生せずに、大量の硬貨の補充可能となって、利便性がさらに向上する。
また、補充硬貨収納部21Eが空の状態で、金種別硬貨収納部21A〜21Dのうちの精査対象の金種別硬貨収納部から一旦すべての硬貨を払い出し、可逆搬送部44で後方に搬送した後、補充搬送部65で搬送しつつ受渡部70によって補充硬貨収納部21Eにすべて収納し、その後、補充硬貨収納部21Eから判別部40で判別しつつすべての硬貨を払い出し、補充搬送部65で搬送しつつ、判別部40で正常と判別された硬貨を受渡部70によって精査対象の金種別硬貨収納部に戻す一方、判別部40で正常と判別されなかった硬貨をリジェクト収納部76に収納することにより、精査対象の金種別硬貨収納部の硬貨量を確定できる。また、金種別硬貨収納部21A〜21Dのうちの回収対象の金種別硬貨収納部から払い出されたすべての硬貨を可逆搬送部44で後方に搬送し、その後、補充搬送部65で搬送しつつ着脱可能な回収箱21Fに収納することにより、回収対象の金種別硬貨収納部の硬貨を回収できる。なお、回収箱21Fではなく補充硬貨収納部21Eに硬貨を収納して回収することも可能である。
さらに、補充処理時に正常でないと判別された硬貨を、専用のリジェクト収納部76へ収納するので、補充硬貨収納部21Eとリジェクト収納部76の貨幣は、在高として反映されない機外管理の貨幣として厳密に管理できる。
また、制御部12が、出金処理時に、出金動作指令に基づいて金種別硬貨収納部21A〜21Dの所定のものから所定枚数硬貨を払い出し、払い出した硬貨を可逆搬送部44で出金口53へ向けて搬送し、識別部46の識別結果から正常と識別された硬貨を出金口53へ受け渡す。また、補充処理時に、補充動作指令に基づいて補充硬貨収納部21Eから所定枚数硬貨を払い出し、判別部40で正常と判定された硬貨を補充搬送部65で搬送して受渡部70から金種別硬貨収納部21A〜21Dの所定のものに収納する。これにより、顧客取引である出金処理には何の支障も発生せずに、出金処理と補充処理とを並行して行うことができ、利便性が向上する。
また、金種別硬貨収納部21A〜21Dのいずれかの硬貨の量が所定量以下になると、この金種別硬貨収納部を補充対象として補充硬貨収納部21Eから補充処理を開始すると共に、この補充対象の金種別硬貨収納部の硬貨量が所定量以上になる条件、または、補充硬貨収納部21Eの硬貨が空になる条件、または、補充硬貨収納部21Eからの硬貨の払い出し枚数が所定枚数に達する条件、または、補充動作指令を自ら発令してから所定時間経過する条件、のいずれかの条件が整うと補充処理を終了することになるため、補充対象の金種別硬貨収納部への補充処理の自動での開始および終了を適正に制御することができる。
また、制御部12が、補充処理において、判別部40で正常と判別された金種の硬貨は金種別硬貨収納部21A〜21Dのうちの補充対象の金種別硬貨収納部へ搬送し、他金種の硬貨を含む正常と判別されなかった硬貨はリジェクト収納部76へ搬送するため、他金種の硬貨を含む正常と判別されなかった硬貨があっても、補充処理を停止させることなく完了することができる。
また、制御部12が、補充硬貨収納部21Eが空であることを条件に、金種別硬貨収納部21A〜21Dのうちの精査対象の金種別硬貨収納部の硬貨を可逆搬送部44および補充搬送部65で搬送して一旦すべて補充硬貨収納部21Eに移動させた後に、補充硬貨収納部21Eから判別部40で判別しつつ補充搬送部65で搬送して元の金種別硬貨収納部へ戻すことになるため、金種別硬貨収納部21A〜21Dの在高を確定する自己精査処理を行うことができ、金種別貨幣収納部21A〜21Dの在高を確定することができる。
また、判別部40を有する補充硬貨収納部21Eを、判別部40を持たない回収箱21Fに差し替えたことを装填種類検知センサ80が被検知部79Fを検知することで確認すると、制御部12は、金種別硬貨収納部21A〜21Dのうちの回収対象の金種別硬貨収納部の硬貨を回収箱21Fへ収納する回収処理を行うことになるため、金種別硬貨収納部21A〜21Dの硬貨を容易に機外に回収することができる。なお、制御部12は、金種別硬貨収納部21A〜21Dのうちの回収対象の金種別硬貨収納部の硬貨を回収箱21Fへ搬送する回収処理のみを許諾するため、回収箱21Fが装填された状態で補充処理や精査処理を行う誤動作を防止できる。
また、制御部12が、補充動作指令に基づいて補充硬貨収納部21Eから所定の補充単位枚数分の硬貨を払い出す動作を行い、この補充単位枚数の硬貨の中に判別部40で正常と判別されなかった硬貨が含まれる場合には、この払い出した補充単位枚数分の硬貨をすべてリジェクト収納部76へ搬送する一方、この補充単位枚数の硬貨の中に判別部40で正常と判別されなかった硬貨が含まれない場合には、この払い出した補充単位枚数分の硬貨をすべて金種別硬貨収納部21A〜21Dのうちの補充対象の金種別硬貨収納部へ搬送することになるため、正常硬貨とリジェクト硬貨とが搬送途中で順番が逆になることがあっても、リジェクト硬貨を確実にリジェクト収納部76へ搬送することができる。つまり、所定の補充単位枚数(例えば10枚)の硬貨を1区切りとして補充硬貨収納部21Eから払い出して、リジェクト硬貨の有無で、リジェクト収納部76あるいは金種別硬貨収納部21A〜21Dの補充対象の金種別硬貨収納部に搬送し収納する動作を、並行しないように繰り返す。これにより、リジェクト硬貨が発生した際にこのリジェクト硬貨を先に排除しない安価な構成となり、コストを低減することができる。
なお、図5に示すように、リジェクト収納部76を設けずに、補充搬送部65の落下孔75から落下する硬貨をシュート90で返却収納部55の位置の共用リジェクト収納部91に収納するようにしても良い。つまり、返却収納部55とリジェクト収納部76とを、一つの共用リジェクト収納部91で構成しても良い。これにより、小型化・低コスト化が可能となる。
以上の実施形態では、貨幣として硬貨を出金する硬貨出金装置11を例にとり説明したが、硬貨を入出金する硬貨入出金装置にも適用可能であることは勿論のこと、貨幣として紙幣を出金する紙幣出金装置や、紙幣を入出金する紙幣入出金装置にも適用可能である。