以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図9は、本実施の形態による貨幣処理機を示す図である。このうち、図1は、貨幣処理機の紙幣処理機構および硬貨処理機構の構成を示す斜視図であり、図2および図3は、それぞれ、図1に示す貨幣処理機の紙幣処理機構および硬貨処理機構の構成を概略的に示す上面図である。また、図4乃至図6は、それぞれ、貨幣処理機の硬貨処理機構に設けられた異物保留部の構成例を示す側断面図であり、図7は、図1に示す貨幣処理機の制御系の構成を示す機能ブロック図である。また、図8および図9は、それぞれ、入出金処理または補充処理において貨幣処理機の投入部に投入された異物を筐体の外部に排除するときの動作の流れを説明するためのフローチャートである。なお、図1において、貨幣処理機の紙幣投入部に投入された紙幣を参照符号Pで示している。
本実施の形態による貨幣処理機100は、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗に設置されるようになっている。具体的には、上記の店舗おいて、顧客が立ち入ることができるフロント領域には様々な商品が陳列された商品棚が設置されている。また、このフロント領域の精算所には貨幣処理機100が設置されている。また、貨幣処理機100は、紙幣処理機構200および硬貨処理機構300等から構成されている(図1等参照)。顧客がこのような精算所で精算処理を行う際に、店員は、顧客から受け取った商品の代金としての貨幣を貨幣処理機100の紙幣処理機構200や硬貨処理機構300に入金する。また、店員は、釣銭としての貨幣を紙幣処理機構200や硬貨処理機構300から出金して顧客に返却する。このようなフロント領域の精算所に設置された貨幣処理機100の構成の詳細について以下に説明する。
図1等に示すように、貨幣処理機100は筐体10を備えており、紙幣の入出金処理を行う紙幣処理機構200および硬貨の入出金処理を行う硬貨処理機構300がそれぞれ筐体10の内部に配置されている。また、紙幣処理機構200および硬貨処理機構300は、本体部分をそれぞれ筐体10から手前側(具体的には、図2および図3における左側)に引き出すことができるようになっている。
また、図2に示すように、紙幣処理機構200は、紙幣投入部210、紙幣排出部220、3つの紙幣収納部250、出金リジェクト部260、紙幣回収カセット270および紙幣精査用収納部280を備えている。また、これらの各構成要素が紙幣搬送部230を介して接続されるようになっている。
また、紙幣投入部210には立位状態の紙幣が投入されるようになっている。より具体的には、紙幣投入部210の下部には棒状の支持部材212が所定の距離だけ離れた状態で複数配置されている。そして、立位状態で紙幣投入部210に投入された紙幣の下端縁が各支持部材212により支持されるようになっている。また、紙幣投入部210には、当該紙幣投入部210の内部に紙幣が存在しているか否かを検知する光センサ等の投入検知センサ(図示せず)が設けられている。投入検知センサにより紙幣投入部210に紙幣が投入されたことが検知されると紙幣繰出部210aが駆動される。このことにより、紙幣投入部210に投入された紙幣が1枚ずつ紙幣搬送部230に繰り出される。
また、紙幣投入部210の各支持部材212の間には開口212aが形成されている。そして、紙幣投入部210に投入された紙幣以外の異物は各開口212aを介して落下させられ、後述する異物保留部390に送られるようになっている。なお、立位状態の紙幣の下端縁を支持するとともに、開口を介して異物を落下させることができる形状のものであれば網状の支持部材や一部に穴が設けられた板状の支持部材など、棒状の支持部材212とは異なる形状の支持部材が用いられてもよい。
また、紙幣搬送部230には紙幣識別部240が設けられている。紙幣識別部240は、当該紙幣識別部240を通過する紙幣の金種、真偽、正損、新旧、搬送状態等の識別を行うようになっている。また、各紙幣収納部250は、紙幣識別部240の識別結果に基づいて紙幣を金種別に収納するとともに収納されている紙幣を紙幣搬送部230に1枚ずつ繰り出すようになっている。また、紙幣投入部210から筐体10の内部に取り込まれた紙幣のうち、汚損等により紙幣識別部240で正常に識別することができない紙幣は入金リジェクト紙幣として紙幣排出部220に送られるようになっている。なお、上述したように紙幣投入部210には紙幣が立位状態で投入される一方、紙幣排出部220からは略水平状態の紙幣が排出されるようになっている。また、紙幣排出部220には、紙幣排出部220に紙幣が存在しているか否かを検知する残留検知センサ(図示せず)が設けられている。
出金リジェクト部260は、紙幣の出金処理が行われる際に各紙幣収納部250から繰り出された紙幣のうち、斜行や重送等の搬送異常により紙幣識別部240で正常に識別することができなかった紙幣を出金リジェクト紙幣として収納するようになっている。また、紙幣回収カセット270は、貨幣処理機100の筐体10に対して着脱可能となるよう設置されている。また、各紙幣収納部250に収納されている紙幣が回収される際に、各紙幣収納部250から繰り出された紙幣が紙幣回収カセット270に収納されるようになっている。そして、紙幣処理機構200の本体部分が筐体10から手前側に引き出された後、紙幣が収納された状態の紙幣回収カセット270が筐体10から取り外されるようになっている。出金リジェクト部260に収納された出金リジェクト紙幣を取り出す動作や、紙幣回収カセット270を筐体10から取り外す動作は、店舗の店長や管理者等の所定の権限を有する者により行なわれるようになっている。
紙幣精査用収納部280は、各紙幣収納部250に収納されている紙幣の金種毎の枚数を計数する精査処理が行われる際に用いられるようになっている。より具体的には、紙幣精査用収納部280は、紙幣収納部250により1枚ずつ紙幣搬送部230へ繰り出された紙幣を収納するとともに収納された紙幣を1枚ずつ繰り出すことができるようになっている。精査処理においては、ある紙幣収納部250から1枚ずつ全ての紙幣を繰り出して紙幣識別部240により識別した後、当該紙幣を紙幣精査用収納部280に収納させる。その後、この紙幣精査用収納部280から紙幣を1枚ずつ繰り出して元の紙幣収納部250に戻す。このような処理が全ての紙幣収納部250について行われることにより、各紙幣収納部250に収納されている紙幣の金種毎の枚数が計数されるようになっている。
次に、硬貨処理機構300の構成について具体的に説明する。図1および図3に示すように、硬貨処理機構300は、硬貨投入部310、硬貨排出部320、入金硬貨搬送部330、硬貨識別部340、6つの硬貨収納部350、出金硬貨搬送部360、リジェクト硬貨搬送部370および硬貨精査用収納部380を備えている。
硬貨投入部310には、当該硬貨投入部310に投入された硬貨を搬送する入金硬貨搬送部330が接続されている。ここで、硬貨投入部310には、当該硬貨投入部310に投入された硬貨を1枚ずつ入金硬貨搬送部330に繰り出す硬貨繰出部310aとして搬送ベルト等が設けられている。また、硬貨投入部310には、当該硬貨投入部310内に硬貨が存在しているか否かを検知する光センサ等の投入検知センサ(図示せず)が設けられている。投入検知センサにより硬貨投入部310に硬貨が投入されたことが検知されると硬貨繰出部310aが駆動される。このことにより、硬貨投入部310に投入された硬貨が入金硬貨搬送部330に1枚ずつ繰り出されるようになっている。
図3に示すように、入金硬貨搬送部330には、硬貨の金種、真偽、正損、新旧、搬送状態等の識別を行う硬貨識別部340が設けられている。また、硬貨投入部310から筐体10の内部に取り込まれた硬貨のうち、汚損等により硬貨識別部340で正常に識別することができなかった硬貨は入金リジェクト硬貨として硬貨排出部320に送られるようになっている。具体的には、入金リジェクト硬貨は、分岐部(図示せず)により入金硬貨搬送部330からリジェクト硬貨搬送部370に分岐させられる。その後、入金リジェクト硬貨はリジェクト硬貨搬送部370により出金硬貨搬送部360に送られ、当該出金硬貨搬送部360により硬貨排出部320に搬送されるようになっている。
一方、正常硬貨等の筐体10の内部に収納されるべき硬貨は入金硬貨搬送部330により各硬貨収納部350へ搬送されるようになっている。各硬貨収納部350は、硬貨識別部340の識別結果に基づいて硬貨を金種別に収納するとともに収納されている硬貨を出金硬貨搬送部360に1枚ずつ繰り出すようになっている。また、出金硬貨搬送部360は、各硬貨収納部350から繰り出された正常硬貨を硬貨排出部320へ搬送するようになっている。
また、出金硬貨搬送部360には硬貨精査用収納部380が接続されている。硬貨精査用収納部380は、各硬貨収納部350に収納されている硬貨の金種毎の枚数を計数する精査処理が行われる際に用いられるようになっている。より具体的には、硬貨精査用収納部380は、硬貨収納部350から1枚ずつ出金硬貨搬送部360へ繰り出された硬貨を収納するとともに収納された硬貨を硬貨投入部310に送ることができるようになっている。精査処理においては、ある硬貨収納部350から出金硬貨搬送部360に1枚ずつ全ての硬貨を繰り出す。そして、繰り出された硬貨を出金硬貨搬送部360から硬貨精査用収納部380に分岐させる。その後、硬貨精査用収納部380から硬貨投入部310に硬貨を送り、当該硬貨投入部310から入金硬貨搬送部330に硬貨を繰り出して硬貨識別部340により識別する。そして、識別された硬貨を元の硬貨収納部350に戻す。このような処理が全ての硬貨収納部350について行われることにより、各硬貨収納部350に収納されている硬貨の金種毎の枚数が計数されるようになっている。
図7に示すように、硬貨排出部320には、当該硬貨排出部320の内部に硬貨や貨幣以外の異物(例えば、クリップ等)が存在しているか否かを検知する残留検知センサ320aが設けられている。具体的には、残留検知センサ320aは例えば発光素子および受光素子を含む光センサからなる。そして、発光素子から発せられた光が、硬貨排出部320の内部に存在する硬貨または異物によって遮られて受光素子により受けられなくなったときに、硬貨や異物が硬貨排出部320の内部に存在していることが残留検知センサ320aにより検知される。
本実施の形態の貨幣処理機100においては、紙幣処理機構200の紙幣投入部210から投入された異物は、筐体10の内部で一時的に保留される。その後、所定の条件が満たされたと制御部110(後述)により判定されたときに、保留された異物が硬貨処理機構300の硬貨排出部320に案内されて筐体10の外部に排出されるようになっている。このような、紙幣処理機構200の紙幣投入部210に投入された異物を所定のタイミングで筐体10の外部に排出するための構成について以下に詳細に説明する。
図4等に示すように、貨幣処理機100には、紙幣処理機構200の紙幣投入部210から筐体10の内部に投入されるべき貨幣(具体的には、紙幣)以外の異物を一時的に保留するための異物保留部390が設けられている。そして、紙幣投入部210に投入され各支持部材212の間に形成された各開口212aを介して落下した異物が、異物保留部390により一時的に保留されるようになっている。より具体的には、各開口212aから落下した異物は、紙幣処理機構200の内部から外部に異物を排出するための第一の異物排出通路214に沿って案内され、紙幣投入部210の下方に設けられた異物保留部390により一時的に保留されるようになっている。
また、異物保留部390には当該異物保留部390を駆動可能な駆動部392が設けられている。そして、後述する所定の条件が満たされたと判定されたときに駆動部392が駆動されることによって異物保留部390から硬貨排出部320に異物が送られるようになっている。図4に示す例においては、駆動部392は無端状のベルト394を含んでいる。また、紙幣投入部210に投入され、開口212aを介して落下した異物は、ベルト394の上に載置されることによって異物保留部390に一時的に保留されるようになっている。モータ(図示ぜす)によりベルト394が図4における反時計回りの方向に回転駆動されると、当該ベルト394上に載置された異物が側方に移動させられる。このことにより、異物保留部390により保留されていた異物は硬貨処理機構300の第二の異物排出通路314に送られ、当該第二の異物排出通路314により案内されて硬貨排出部320に排出されるようになっている。
なお、図4に示すような異物保留部390の代わりに、図5および図6に示すような異物保留部390aが用いられるようになっていてもよい。より詳細には、異物保留部390aには、当該異物保留部390aを駆動可能な駆動部392としてシャッタ等の阻止部材396が設けられている。また、紙幣投入部210に投入され、開口212aを介して落下した異物は、阻止部材396の上に載置されることによって異物保留部390aに一時的に保留されるようになっている。また、阻止部材396は、モータ(図示ぜす)等により、図5に示す位置と図6に示す位置との間で移動可能となるよう構成されている。そして、阻止部材396が図5に示す位置から図6に示す位置に向かって移動することにより、阻止部材396上に載置された異物が硬貨処理機構300の第二の異物排出通路314を介して硬貨排出部320に排出されるようになっている。
本実施の形態においては、図4乃至図6に示すように、紙幣処理機構200の第一の異物排出通路214と、硬貨処理機構300の第二の異物排出通路314とが鉛直方向(具体的には、図4乃至図6における上下方向)から見てそれぞれ重ならない位置に配置されている。そして、異物保留部390、390aは、異物保留部390、390aに保留されている異物を少なくとも側方に移動させることにより、当該異物を硬貨排出部320に送るようになっている。このような構成とすることにより、異物保留部390,390aにより保留されている異物を所定のタイミングで硬貨排出部320に送ることができるようになる。
なお、異物保留部390、390aに異物が保留されているか否かを検知する保留異物検知センサが貨幣処理機100に設けられていてもよい。また、異物保留部390、390aに異物が保留されていることが保留異物検知センサにより検知されたときに、例えば「異物保留部に異物が保留されています」等のメッセージを操作表示部104(後述)に表示するようにしてもよい。また、保留異物検知センサにより異物が検知されていない場合に、異物保留部390、390aの駆動部392を駆動する動作を省略するようにしてもよい。この場合には、駆動部392を駆動する動作を省略することができるため貨幣をより迅速に処理することができるようになる。
図7に示すように、貨幣処理機100は制御部110を有しており、この制御部110に紙幣処理機構200および硬貨処理機構300の各構成要素等が接続されている。より詳細には、紙幣処理機構200の紙幣繰出部210a、紙幣搬送部230、紙幣識別部240、各紙幣収納部250および紙幣精査用収納部280がそれぞれ制御部110に接続されている。また、硬貨処理機構300の硬貨繰出部310a、残留検知センサ320a、入金硬貨搬送部330、硬貨識別部340、各硬貨収納部350、出金硬貨搬送部360、リジェクト硬貨搬送部370、硬貨精査用収納部380および異物保留部390、390aの駆動部392がそれぞれ制御部110に接続されている。また、紙幣識別部240および硬貨識別部340による紙幣や硬貨の識別結果や、投入検知センサ(図示せず)および残留検知センサ320a等による貨幣や異物の検知結果が制御部110に送られるようになっている。このような制御部110から紙幣処理機構200や硬貨処理機構300の各構成要素に指令が送られることにより、紙幣処理機構200や硬貨処理機構300において紙幣や硬貨の入出金処理が行われるようになっている。
また、制御部110は、残留検知センサ320aによる検知結果に基づいて、硬貨排出部320の内部に硬貨や異物が存在するか否かを判定するようになっている。また、制御部110により硬貨排出部320の内部に貨幣が存在しないと判定された場合に、制御部110により上述した所定の条件が満たされたと判定されるようになっている。また、制御部110により上述した所定の条件が満たされたと判定されると、異物保留部390、390aの駆動部392が駆動される。このことにより、異物保留部390、390aに一時的に保留されている異物が第二の異物排出通路314を介して硬貨排出部320に送られるようになっている。
より具体的には、本実施の形態による貨幣処理機100においては、まず、紙幣処理機構200の紙幣投入部210および硬貨処理機構300の硬貨投入部310に商品の代金としての貨幣が入金される。その後、入金された貨幣の金額に基づいて計算された釣銭としての金額分の貨幣が紙幣処理機構200の紙幣排出部220および硬貨処理機構300の硬貨排出部320にそれぞれ送られる。また、紙幣排出部220に設けられた残留検知センサ(図示せず)および硬貨排出部320に設けられた残留検知センサ320aにより釣銭としての紙幣や硬貨が検知されるようになっている。この状態において、少なくとも残留検知センサ320aにより検知されていた硬貨が検知されなくなったときに、操作者により硬貨排出部320から硬貨が取り出されたと制御部110により判定される。言い換えると、残留検知センサ320aにより検知されていた硬貨が検知されなくなったときに、硬貨排出部320の内部には硬貨が存在しなくなり、よって上記の所定の条件が満たされたと制御部110により判定されるようになっている。このような構成とすることにより、硬貨処理機構300の硬貨排出部320に釣銭として出金された硬貨と、紙幣処理機構200の紙幣投入部210に投入された異物とが硬貨排出部320において混合されてしまうことを確実に防ぐことができる。
また、上述したように、紙幣処理機構200および硬貨処理機構300は、本体部分をそれぞれ筐体10から手前側(具体的には、図2および図3における左側)に引き出すことができるようになっている。本実施の形態においては、紙幣処理機構200および硬貨処理機構300の少なくともいずれか一方の本体部分が筐体10から手前側に引き出されているときには、制御部110により異物保留部390、390aの駆動部392が駆動されないようになっている。このことにより、紙幣投入部210に投入された異物を異物保留部390、390aから硬貨排出部320により確実に排出することができるようになる。
また、貨幣処理機100は、記憶部102および操作表示部104を有している。紙幣処理機構200や硬貨処理機構300における硬貨や紙幣の処理履歴や、紙幣処理機構200や硬貨処理機構300の在高等の様々な情報が記憶部102に記憶されるようになっている。また、店員等の操作者は、操作表示部104を操作することにより制御部110に対して様々な指令を与えることができるようになっている。また、操作表示部104は、紙幣処理機構200や硬貨処理機構300における紙幣や硬貨の処理状況や、紙幣処理機構200や硬貨処理機構300の在高を表示するようになっている。なお、プリンタ等から構成される印字部が貨幣処理機100に設けられていてもよい。この場合には、取引内容や、紙幣処理機構200や硬貨処理機構300の在高等の様々な情報をレシートに印字することができるようになる。
次に、このような構成からなる貨幣処理機100の動作、具体的には紙幣処理機構200や硬貨処理機構300において硬貨や紙幣の入金処理や出金処理および補充処理を行う際の動作について以下に説明する。
まず、紙幣処理機構200において商品の代金としての紙幣の入金処理が行われる際の動作について説明する。紙幣処理機構200の紙幣投入部210に立位状態の紙幣が投入されると、紙幣投入部210に設けられている投入検知センサ(図示せず)により投入された紙幣が検知される。また、投入検知センサにより紙幣が検知されると、紙幣繰出部210aが動作させられることによって紙幣投入部210に投入された紙幣が1枚ずつ紙幣搬送部230に繰り出される。この際に、紙幣識別部240により紙幣の識別が行われる。また、紙幣識別部240により識別が行われた紙幣のうち正常な紙幣であると判別された紙幣は、その金種に対応する各紙幣収納部250に送られ、これらの紙幣収納部250に収納される。具体的には、ある紙幣収納部250には千円札が収納され、別の紙幣収納部250には二千円札および五千円札が混合状態で収納され、更に別の紙幣収納部250には一万円札が収納される。一方、紙幣識別部240による識別結果により正常な紙幣ではないと判別された紙幣は入金リジェクト紙幣として紙幣搬送部230により紙幣排出部220に送られる。このため、操作者は、入金リジェクト紙幣を紙幣排出部220から取り出して紙幣投入部210に再投入することができる。
次に、紙幣処理機構200において釣銭としての紙幣の出金処理が行われる際の動作について説明する。出金される紙幣の合計金額あるいは金種別の枚数等の情報を含む出金処理の開始指令が制御部110から出力されると、各紙幣収納部250に収納されている紙幣が1枚ずつ紙幣搬送部230に繰り出される。この際に、紙幣識別部240により紙幣の金種、真偽、正損、新旧、搬送状態等の識別が行われる。紙幣識別部240により識別が行われた紙幣のうち正常な紙幣であると判別された紙幣は紙幣排出部220に搬送され、この紙幣排出部220に集積される。一方、紙幣識別部240による識別結果により正常な紙幣ではないと判別された紙幣(例えば、重送や斜行等の搬送異常の紙幣)は出金リジェクト紙幣として紙幣搬送部230により出金リジェクト部260に搬送され、この出金リジェクト部260に収納される。そして、出金されるべき紙幣が各紙幣収納部250から紙幣排出部220に送られると、操作者は、出金紙幣を紙幣排出部220から取り出すことができるようになる。
次に、硬貨処理機構300において商品の代金としての硬貨の入金処理を行う場合の動作について以下に説明する。硬貨処理機構300の硬貨投入部310に硬貨が投入されると、硬貨投入部310に設けられている投入検知センサ(図示せず)によりこの硬貨が検知される。そして、投入検知センサにより硬貨が検知されると、硬貨繰出部310aが動作させられることによって硬貨投入部310に投入された硬貨が1枚ずつ入金硬貨搬送部330に繰り出される。この際に、硬貨識別部340により硬貨の識別が行われる。硬貨識別部340による硬貨の識別結果に基づいて、入金リジェクト硬貨等の、正常に識別することができなかった硬貨は、分岐部(図示せず)により入金硬貨搬送部330からリジェクト硬貨搬送部370に分岐させられる。また、リジェクト硬貨搬送部370は入金リジェクト硬貨を出金硬貨搬送部360に送るようになっている。そして、出金硬貨搬送部360により入金リジェクト硬貨が硬貨排出部320に搬送される。一方、硬貨識別部340による硬貨の識別結果に基づいて、正常硬貨等の機体内に収納されるべき硬貨であると識別された硬貨は、入金硬貨搬送部330により硬貨収納部350へ搬送され、当該硬貨収納部350に金種別に収納される。
次に、硬貨処理機構300において釣銭としての硬貨の出金処理を行う場合の動作について以下に説明する。出金される硬貨の合計金額あるいは金種別の枚数等の情報を含む出金処理の開始指令が制御部110から出力されると、硬貨収納部350に収納されている硬貨が当該硬貨収納部350から繰り出される。そして、繰り出された硬貨は出金硬貨搬送部360により硬貨排出部320へ搬送される。このようにして、操作者は、硬貨排出部320から硬貨を取り出すことができるようになる。
次に、上述した貨幣処理機100において、商品の代金としての貨幣を入金する入金処理と、釣銭としての貨幣を出金する出金処理とを行う際に、紙幣処理機構200の紙幣投入部210に異物が投入された場合の動作の流れについて図8を参照して説明する。
入金処理が開始されると、紙幣処理機構200の紙幣投入部210には紙幣が投入され、硬貨処理機構300の硬貨投入部310には硬貨がそれぞれ投入される(STEP1)。投入された紙幣および硬貨は、それぞれ上述した動作によって貨幣処理機100の筐体10の内部に繰り出され、識別された後に各紙幣収納部250および各硬貨収納部350に収納される。一方、入金リジェクト紙幣や入金リジェクト硬貨が存在する場合には、入金リジェクト紙幣や入金リジェクト硬貨はそれぞれ紙幣排出部220および硬貨排出部320に送られ、残留検知センサ320a等により検知される(STEP2のYES)。この場合には、紙幣排出部220や硬貨排出部320に残留物がある旨のメッセージが操作表示部104に表示され、紙幣排出部220や硬貨排出部320に入金リジェクト紙幣や入金リジェクト硬貨が存在していることが操作者に通知される(STEP3)。一方、入金リジェクト紙幣や入金リジェクト硬貨が存在しない場合には(STEP2のNO)、入金処理を終了させ(STEP4)、釣銭として払出すべき貨幣が存在するか否かを判定する(STEP5)。STEP5において払出すべき貨幣が存在すると判定されると(STEP5のYES)、釣銭の払出動作が開始される(STEP6)。一方、STEP5において払出すべき貨幣が存在すると判定されると(STEP5のNO)、後述する異物の払出動作が開始される。
釣銭としての紙幣や硬貨が紙幣排出部220または硬貨排出部320に排出されると、釣銭としての紙幣や硬貨が紙幣排出部220や硬貨排出部320に存在していることが残留検知センサ320a等によりに検知される(STEP7のYES)。この際に、紙幣排出部220や硬貨排出部320に残留物がある旨のメッセージが操作表示部104に表示され、紙幣排出部220や硬貨排出部320に釣銭として出金された紙幣や硬貨が存在していることが操作者に通知される(STEP8)。そして、紙幣排出部220や硬貨排出部320から紙幣や硬貨が取り出されて残留検知センサ320a等により検知されなくなると(STEP7のNO)、釣銭の払出動作が終了する(STEP9)。
釣銭の払出動作が終了すると、次に異物の払出動作が開始される(STEP10)。具体的には、異物保留部390、390aの駆動部392が駆動されることにより、異物保留部390、390aのベルト394や阻止部材396の上に載置されていた異物が第二の異物排出通路314を介して硬貨排出部320に送られる。硬貨排出部320に送られた異物が残留検知センサ320aに検知されると(STEP11のYES)、硬貨排出部320に残留物が存在している旨のメッセージが操作表示部104に表示される。このことにより、硬貨排出部320に異物が存在していることが操作者に通知される(STEP12)。そして、硬貨排出部320から異物が取り出されて残留検知センサ320a等により検知されなくなると(STEP11のNO)、異物の払出動作が終了する(STEP13)。このようにして、商品の代金としての貨幣が入金され、釣銭としての貨幣が出金された後、異物を硬貨排出部320に排出する動作が完了する。
ここで、従来の貨幣処理機では、紙幣投入部の下方に設けられた開口を介して排出された異物を一時的に保留せずに硬貨排出部に送るようになっていた。このため、硬貨排出部に送られた入金リジェクト硬貨や釣銭として出金された硬貨と、硬貨排出部に送られた異物とが硬貨排出部において混合されてしまう場合があるという問題があった。例えば、待機状態において紙幣投入部に異物が投入されると、この異物は一時的に保留されずに硬貨排出部に送られて硬貨排出部に設けられた検知センサにより検知されるようになる。この場合には、硬貨排出部に残留物が存在するために入金処理を開始することができないという問題があった。また、入金処理を開始した後に異物が投入されると、この異物は一時的に保留されずに硬貨排出部に送られて検知センサにより検知されるようになる。この場合には、硬貨排出部に残留物が存在するために出金処理を開始することができないという問題があった。
これに対し、本実施の形態の貨幣処理機100によれば、筐体10の内部に投入されるべき貨幣以外の異物(例えば、クリップ等)は、異物保留部390、390aにより一時的に保留される。そして、所定の条件が満たされたと判定されたときに当該異物保留部390、390aにより一時的に保留された異物を硬貨排出部320に送るようになっている。このことにより、入金リジェクト硬貨や釣銭として出金された硬貨と異物とが硬貨排出部320において混合されてしまうことを防ぐことができる。また、入金リジェクト硬貨や、釣銭として出金される硬貨を、硬貨排出部320に異物を送る動作とは異なるタイミングで硬貨排出部320に送るようになっている。このことにより、操作者は、硬貨排出部320の残留検知センサ320aにより検知された物体が入金リジェクト硬貨であるのか、釣銭として出金された硬貨であるのか、あるいは紙幣投入部210に投入された異物であるのかを容易に判断することができる。また、貨幣処理機100は、異物保留部390、390aにより異物を一時的に保留して入金処理や出金処理を行うようになっている。このため、投入された異物が硬貨排出部320に送られて検知されることによって入金処理や出金処理が開始されないような状態が発生してしまうことを確実に防ぐことができる。
なお、上記の説明では、異物払出動作が釣銭払出動作の終了後に行われるようになっているが、異物払出動作が入金処理の終了後に行われるようになっていてもよい。この場合には、筐体10の内部に投入された異物が異物保留部390、390aから硬貨排出部320に送られ、当該異物が硬貨排出部320から取り出されたことが検知された後、釣銭としての硬貨が硬貨排出部320に送られるようになる。このため、硬貨排出部320において入金リジェクト硬貨や釣銭として出金される硬貨と異物とが混合されてしまうことを防止することができる。
また、紙幣排出部220や硬貨排出部320に残留物がある旨のメッセージを操作表示部104に表示する例について説明したが、それぞれのSTEP5、8、12においてより具体的なメッセージを操作表示部104に表示するようにしてもよい。例えば、図8のSTEP5において、入金リジェクト紙幣や入金リジェクト硬貨が紙幣排出部220や硬貨排出部320に存在している旨のメッセージを操作表示部104に表示するようにしてもよい。また、図8のSTEP8において、釣銭として出金された紙幣や硬貨が紙幣排出部220や硬貨排出部320に存在している旨のメッセージを操作表示部104に表示するようにしてもよい。また、図8のSTEP12において、紙幣投入部210から投入された異物が硬貨排出部320に送られた旨のメッセージを操作表示部104に表示するようにしてもよい。
次に、貨幣処理機100に対して釣銭としての貨幣を補充する補充処理を行う場合において、紙幣処理機構200の紙幣投入部210に異物が投入された場合の動作の流れについて図9を参照して説明する。
補充処理が開始されると、紙幣処理機構200の紙幣投入部210には紙幣が投入され、硬貨処理機構300の硬貨投入部310には硬貨がそれぞれ投入される(STEP101)。投入された紙幣および硬貨は、それぞれ上述した動作によって貨幣処理機100の筐体10の内部に繰り出され、識別された後に各紙幣収納部250および各硬貨収納部350に収納される。この際に、入金リジェクト紙幣や入金リジェクト硬貨が存在する場合には、入金リジェクト紙幣や入金リジェクト硬貨はそれぞれ紙幣排出部220および硬貨排出部320に送られ、残留検知センサ320a等によりそれぞれ検知される(STEP102のYES)。この場合には、紙幣排出部220や硬貨排出部320に残留物がある旨のメッセージが操作表示部104に表示さる。このことにより、紙幣排出部220や硬貨排出部320に入金リジェクト紙幣や入金リジェクト硬貨が存在していることが操作者に通知される(STEP103)。一方、入金リジェクト紙幣や入金リジェクト硬貨が存在しない場合には(STEP102のYES)、補充処理を終了させる(STEP104)。
そして、補充処理が終了すると、異物の払出動作が開始される(STEP105)。具体的には、異物保留部390、390aの駆動部392が駆動される。このことにより、異物保留部390、390aのベルト394や阻止部材396の上に載置されていた異物が第二の異物排出通路314を介して硬貨排出部320に送られる。硬貨排出部320に送られた異物が残留検知センサ320aに検知されると(STEP106のYES)、硬貨排出部320に残留物が存在している旨のメッセージが操作表示部104に表示される。このことにより、硬貨排出部320に異物が存在していることが操作者に通知される(STEP107)。そして、硬貨排出部320から異物が取り出されて残留検知センサ320a等により検知されなくなると(STEP106のNO)、異物の払出動作が終了する(STEP108)。このようにして、補充処理において紙幣投入部210に投入された異物を硬貨排出部320に排出する動作が完了する。このため、補充処理においても、硬貨排出部320に排出された入金リジェクト硬貨と異物とが硬貨排出部320の内部で混合されてしまうことを防止することができる。なお、STEP107において、硬貨排出部320に異物が存在している旨のメッセージを操作表示部104に表示するようにしてもよい。
以上のような構成からなる本実施の形態の貨幣処理機100によれば、筐体10の内部に貨幣を投入するための紙幣投入部210および硬貨投入部310と、筐体10の内部から外部に貨幣を排出するための紙幣排出部220および硬貨排出部320と、紙幣投入部210から筐体10の内部に投入されるべき紙幣以外の異物を一時的に保留するための異物保留部390、390aと、異物保留部390、390aにより保留された異物を硬貨排出部320に排出するための第一の異物排出通路214および第二の異物排出通路324がそれぞれ設けられている。また、所定の条件が満たされたと判定されたときに異物保留部390、390aに保留されている異物が第二の異物排出通路314を介して排出部に送られるよう異物保留部390、390aを制御するための制御部110を有している。このため、硬貨と異物とが硬貨排出部320において混合されてしまうことを防ぐことができる。
また、本実施の形態の貨幣処理機100においては、上述したように、硬貨排出部320の内部に硬貨が存在しないと判定された場合に、所定の条件が満たされたと制御部110により判定される。このため、硬貨と異物とが硬貨排出部320において混合されてしまうことをより確実に防ぐことができる。また、異物保留部390、390aには当該異物保留部390、390aを駆動可能な駆動部392が設けられている。そして、上記の所定の条件が満たされたと判定されたときに制御部110により駆動部392が駆動される。このようにして、異物保留部390、390aから硬貨排出部320に異物が送られるようになっている。具体的には、図4に示す例では、駆動部392は無端状のベルト394を有しており、紙幣投入部210に投入された異物はベルト394の上に載置されるようになっている。また、上記の所定の条件が満たされたと判定されたときに、制御部110によりベルト394が駆動される。このことにより、ベルト394上に載置された異物が第二の異物排出通路314を介して硬貨排出部320に送られるようになっている。また、図5および図6に示す例では、駆動部392はシャッタ等の阻止部材396を有している。そして、紙幣投入部210に投入された異物は阻止部材396の上に載置されるようになっている。また、所定の条件が満たされたと判定されたときに、阻止部材396が図5に示す位置から図6に示す位置に移動するよう制御部110によって駆動される。このことにより、阻止部材396の上に載置された異物が第二の異物排出通路314を介して硬貨排出部320に送られるようになっている。また、上述したように、貨幣処理機100の投入部(具体的には、紙幣投入部210)には紙幣が投入されるようになっている。また、排出部(具体的には、硬貨排出部320)からは硬貨が排出されるようになっている。
なお、本実施の形態による貨幣処理機100やこのような貨幣処理機100による貨幣処理方法は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
例えば、異物保留部390が、硬貨処理機構300の内部に設けられるような構成に限定されることはない。紙幣処理機構200の紙幣投入部210から投入された異物を一時的に保留するための異物保留部が紙幣処理機構200の内部に配置されていてもよい。あるいは、紙幣処理機構200と硬貨処理機構300との境目に異物保留部が配置されていてもよい。
また、上述した例では、第一の異物排出通路214と第二の異物排出通路314が鉛直方向から見てそれぞれ重ならない位置に配置されている構成について説明した。しかしながら、このような構成に限定されることはなく、鉛直方向からみて少なくとも部分的に重なる位置に第一の異物排出通路および第二の異物排出通路が配置されていてもよい。あるいは、第一の異物排出通路および第二の異物排出通路が鉛直方向からみて完全に重なる位置に配置されていてもよい。この場合には、阻止部材として、略水平方向に延びる軸を中心として回転可能となるよう構成された板状部材を備えた異物保留部が設けられていてもよい。このような構成によれば、板状部材を略水平姿勢に保つことにより、当該阻止部材に異物を載置して一時的に保留することができる。そして、上記の軸を中心として板状部材を略水平姿勢から回転させることにより、阻止部材に載置されている異物を当該阻止部材から落下させて第二の異物排出通路に送ることができる。
また、紙幣処理機構200の紙幣投入部210に投入された異物を硬貨処理機構300の硬貨排出部320に送るような構成について説明したが、紙幣投入部210に投入された異物を紙幣排出部220に送るようにしてもよい。また、紙幣処理機構200の紙幣投入部210に立位状態の紙幣が投入される構成について説明したが、略水平姿勢の紙幣が側方から挿入されるような紙幣投入部が用いられるようになっていてもよい。
また、上記の説明では、貨幣処理機100は顧客が立ち入ることができるフロント領域の精算所に設置されており、店舗の店員が貨幣処理機100を操作する態様について説明したが、このような態様に限定されることはない。顧客が精算所で精算処理を行う際に、商品の代金としての貨幣を顧客自身が貨幣処理機100の紙幣処理機構200や硬貨処理機構300に入金したり、釣銭として出金された貨幣を顧客自身が貨幣処理機100から取り出すような運用を行うようにしてもよい。このような場合にも、貨幣処理機100の硬貨排出部320において硬貨と異物とが混合されないため、顧客が不快感を覚えるような事態が発生してしまうことを防止することができる。
また、本発明に係る他の例の貨幣処理装置400として、上述した紙幣処理機構200および硬貨処理機構300とがそれぞれ紙幣処理機500および硬貨処理機600として別個に独立した装置となっているものが用いられるようになっていてもよい。この場合には、硬貨処理機600の上面に紙幣処理機500が載置されることにより、貨幣処理装置400が構成される。このような貨幣処理装置400について図10および図11を参照して以下に説明する。図10は、貨幣処理装置400の概略的な構成を示す斜視図であり、図11は、図10に示す貨幣処理装置400の硬貨処理機600における第二の異物排出通路614に設けられた異物保留部690の構成例を示す側断面図である。また、図10において、貨幣処理装置400の紙幣処理機500の紙幣投入部510に投入された紙幣を参照符号Pで示している。
なお、紙幣処理機500および硬貨処理機600における貨幣の入出金処理を行うための構成については上述した紙幣処理機構200および硬貨処理機構300と同様であるため詳しい説明を省略する。
図10および図11に示すように、紙幣処理機500は、第一の筐体500aと、第一の筐体500aの内部に紙幣を投入するための紙幣投入部510と、紙幣投入部510から第一の筐体500aの内部に投入されるべき紙幣以外の異物を第一の筐体500aの内部から外部に排出するための第一の異物排出通路514とを有している。また、硬貨処理機600は、第二の筐体600aと、第二の筐体600aの内部に硬貨を投入する硬貨投入部610と、硬貨投入部610から投入された硬貨を収納するとともに収納された硬貨を繰り出す収納繰出部650と、収納繰出部650から繰り出された硬貨を第二の筐体600aの内部から外部に排出する硬貨排出部620と、第一の異物排出通路514から送られた異物を硬貨排出部620に送るための第二の異物排出通路614とを有している。また、硬貨処理機600の第二の異物排出通路614には異物を一時的に保留するための異物保留部690が設けられており、貨幣処理機100について上述した所定の条件が満たされたと判定されたときに異物保留部690に保留されている異物が第二の異物排出通路614を介して硬貨排出部620に送られるよう異物保留部690を制御する制御部(図示せず)が紙幣処理機500または硬貨処理機600に設けられている。このような貨幣処理装置400によっても、入金リジェクト硬貨や釣銭として出金された硬貨と異物とが硬貨排出部620において混合されてしまうことを防ぐことができる。
また、貨幣処理装置400においては、紙幣処理機500の第一の異物排出通路514と硬貨処理機600の第二の異物排出通路614とが鉛直方向(図11における上下方向)から見てそれぞれ重ならない位置に配置されている。また、制御部は、異物保留部690に保留されている異物が少なくとも側方に移動させられることにより硬貨排出部620に送られるよう異物保留部690を制御するようになっている。より具体的には、制御部は、異物保留部690に設けられた無端状のベルト694を図11に示す反時計回りの方向に回転駆動するよう駆動部(図示せず)を制御するようになっている。このことにより、ベルト694の上に載置された異物が側方に移動させられ、硬貨処理機600の第二の異物排出通路614に送られた後、当該第二の異物排出通路614により案内されて硬貨排出部620に排出されるようになっている。
なお、紙幣処理機500の第一の異物排出通路514に異物を一時的に保留するための異物保留部が設けられていてもよい。また、異物保留部として、図5および図6に示すような構成のものが用いられてもよい。
また、本発明に係る貨幣処理システムとして、上述した紙幣処理機500および硬貨処理機600に加えて、これらの装置を制御する図示しない制御装置(例えば、POSレジスタ)を備えたものが用いられるようになっていてもよい。このような貨幣処理システムにおいては、制御装置は、貨幣処理機100について上述した所定の条件が満たされたと判定されたときに異物保留部690に保留されている異物が第一の異物排出通路514および第二の異物排出通路614を介して硬貨排出部620に送られるよう異物保留部690を制御するようにしてもよい。このような貨幣処理システムによっても、入金リジェクト硬貨や釣銭として出金された硬貨と異物とが硬貨排出部620において混合されてしまうことを防ぐことができる。また、上記の貨幣処理システムにおいて、釣銭として払い出すべき貨幣が存在するか否かを制御装置により判定するようにしてもよい。また、紙幣処理機500や硬貨処理機600における硬貨や紙幣の処理履歴や、紙幣処理機500や硬貨処理機600の在高等の様々な情報が制御装置の記憶部に記憶されるようになっていてもよい。また、記憶部に記憶された情報が制御装置の操作画面に表示されるようになっていてもよい。また、制御装置に、例えばプリンタから構成される印字部が設けられていてもよい。この場合には、この印字部により取引内容がレシートに印字されたり、紙幣処理機500や硬貨処理機600の在高等の様々な情報がレシートに印字されたりするようになる。