JP5249625B2 - 表示装置前板用粘着シート - Google Patents
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Description
又、特許文献2に記載の液晶表示装置は、液晶パネルとパネルガイドの間にクッション材を具備している。
このようなクッション材や衝撃吸収材料として、詳細な検討も行われつつある。例えば特許文献3には、ゴム系発泡体と、気泡含有粘着層を有する衝撃吸収シートが開示されている。又、この衝撃吸収シートを、画像表示パネルと透明前面板の間に介在させることが記載されている。
薄型の表示パネルにおいては、用いられるクッション材も薄型でありながら高い衝撃吸収能が求められる。又、特に携帯用電子部品に用いられる表示パネルや水回りで使用される家電に用いられる表示パネルについては、薄型化とともに益々の止水性が求められる。
しかしながら、薄型でありながら優れた衝撃吸収性及び止水性を両立させることは困難であった。
しかし、上記架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの場合、上記のように高温から常温又は低温にとの温度差が繰り返し負荷されると、ヘタリが生じて止水性、衝撃吸収性に問題が生じるおそれがあった。
上記本発明を以下に詳細に説明する。
本発明の表示装置前板用粘着シートは、架橋度が5〜60重量%でありかつ気泡のアスペクト比(MDの平均気泡径/CDの平均気泡径)が0.25〜1である架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートからなる基材層を有する。
このような架橋ポリオレフィン系発泡樹脂シートを基材層として用いることにより、本発明の表示装置前板用粘着シートは、薄型であっても極めて優れた衝撃吸収性を有し、かつ、止水性にも優れたものとなる。
架橋度(重量%)=100×(B/A)
詳細には、上記架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートにおけるMDの平均気泡径とCDの平均気泡径との比、即ち、気泡のアスペクト比(MDの平均気泡径/CDの平均気泡径)が、小さいと、発泡倍率が低下して柔軟性が低下したり或いは架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの厚み、柔軟性及び引張強度にばらつきが発生することがある一方、大きいと、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの柔軟性が低下するので、0.25〜1に限定され、0.25〜0.60が好ましい。
しかる後、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの切断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて60倍に拡大し、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートのVDの全長が収まるように写真撮影する。
次に、上記直線上に位置する気泡数を目視により数え、下記式に基づいて気泡のMDの平均気泡径を算出する。
MDの平均気泡径(μm)=2500(μm)/気泡数(個)
得られた写真において、写真撮影された架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの切断面をMDに四分割する三本の直線を、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの表面に対して直交する方向(VD)に発泡シートの全長に亘って描く。
しかる後、各直線の長さを測定するとともに各直線上に位置する気泡数を目視により数え、下記式に基づいて各直線毎に気泡のVDの平均気泡径を算出し、これらの相加平均を気泡のVDの平均気泡径とする。
VDの平均気泡径(μm)=写真上における直線の長さ(μm)
/(60×気泡数(個))
しかる後、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの切断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて60倍に拡大し、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの厚み方向の全長が収まるように写真撮影する。
そして、得られた写真に基づいて、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートのMDの平均気泡径を測定した時と同様の要領で、CDの平均気泡径を算出する。
即ち、気泡同士は、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの切断面においては気泡壁によって互いに完全に分離しているように見えても、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの切断面以外の部分において互いに連通しているような場合もあるが、本発明においては、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの切断面以外の部分において互いに連通しているか否かについて考慮せず、写真上に表れた気泡膜断面のみに基づいて気泡形態を判断し、写真上に表れた気泡膜断面により完全に囲まれた一個の空隙部分を一個の気泡として判断する。
なお、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの切断面を写真撮影する際、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの切断面を着色すると気泡の判別が容易になるとともに、2500μmの目盛りを一緒に拡大して写真撮影しておくと、写真上における直線長さを特定し易くなる。
そこで、ポリオレフィン系樹脂として、上記メタロセン化合物を用いて得られたポリエチレン系樹脂を40重量%以上含有するものを用いることによって、ポリオレフィン系樹脂に粘着性を増加させることなく柔軟性を付与し、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの気泡のアスペクト比を所定範囲内として機械的強度を向上させているとともに柔軟性を優れたものとしている。
。
そして、ポリオレフィン系樹脂中における、重合触媒として四価の遷移金属を含むメタロセン化合物を用いて得られたポリエチレン系樹脂の含有量は、40重量%以上に限定され、50重量%以上が好ましく、60重量%以上がより好ましく、100重量%が特に好ましい。なお、上記メタロセン化合物を用いて得られたポリエチレン系樹脂の含有量が100重量%とは、ポリオレフィン系樹脂として、上記メタロセン化合物を用いて得られたポリエチレン系樹脂のみを用いた場合を意味する。
なお、上記α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテンなどが挙げられる。
又、メタロセン化合物とは、一般に、遷移金属をπ電子系の不飽和化合物で挟んだ構造の化合物をいい、ビス(シクロペンタジエニル)金属錯体が代表的なものである。
このような四価の遷移金属を含むメタロセン化合物としては、例えば、シクロペンタジエニルチタニウムトリス(ジメチルアミド)、メチルシクロペンタジエニルチタニウムトリス(ジメチルアミド)、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−t−ブチルアミドジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−t−ブチルアミドハフニウムジクロリド、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−p−n−ブチルフェニルアミドジルコニウムクロリド、メチルフェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−t−ブチルアミドハフニウムジクロリド、インデニルチタニウムトリス(ジメチルアミド)、インデニルチタニウムトリス(ジエチルアミド)、インデニルチタニウムトリス(ジ−n−プロピルアミド)、インデニルチタニウムビス(ジ−n−ブチルアミド)(ジ−n−プロピルアミド)などが挙げられる。
具体的には、重合は、通常、これらメタロセン化合物に共触媒としてメチルアルミノキサン(MAO)、ホウ素系化合物などを加えた触媒系で行われる。なお、メタロセン化合物に対する共触媒の使用割合は、10〜1,000,000モル倍が好ましく、50〜5,000モル倍がより好ましい。
そして、ポリエチレン系樹脂の重合方法としては、特に限定されず、例えば、不活性媒体を用いる溶液重合法、実質的に不活性媒体の存在しない塊状重合法、気相重合法などが挙げられる。なお、重合温度は、通常、−100℃〜300℃で行なわれ、重合圧力は、通常、常圧〜100kg/cm2で行なわれる。
更に、重合触媒として四価の遷移金属を含むメタロセン化合物を用いて得られたポリエチレン系樹脂以外のポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂などが挙げられる。
更に、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートにおけるMD又はCDの少なくとも一方向における23℃での引張強度は、小さいと、貼り合せ作業中に架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートが切断するおそれがあるので、1.96×106Pa以上が好ましく、大き過ぎると、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートを表示装置前板用粘着シートの基材層として用いた場合に、取り扱い性が低下することがあるので、2.2×106〜8.0×106Paがより好ましい。
なお、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートのMD又はCDにおける23℃での引張強度は、JIS K6767に準拠して測定されたものをいう。
上記発泡シートを延伸することによって、発泡シートの気泡を所定方向に延伸し変形させて、気泡のアスペクト比が所定範囲内となった架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートを製造することができる。
発泡シートのMDにおける延伸倍率(倍)=V/F
発泡シートのCDにおける延伸倍率(倍)=W2/W1
そして、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートからなる基材層の厚みとしては特に限定はされないが、薄いと、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの、柔軟性や引張強さなどが低下して、得られる表示装置前板用粘着シートの衝撃吸収性、風合いや機械的強度などが低下する一方、厚くしても、表示装置前板用粘着シートの性能の向上を見込めず、経済性が低下するので、0.1〜3mmが好ましい。
本発明の表示装置前板用粘着シートは、アクリル系粘着剤層がアクリル系重合体100重量部に対し、軟化点が130℃以上である粘着付与樹脂を1〜30重量部含有するアクリル系粘着剤からなる必要がある。すなわち、軟化点が130℃未満の粘着付与樹脂を配合した場合、粘着剤層の耐熱性が劣ってしまい、例えば温度サイクル試験を行った場合に、粘着力が不足したり、粘着剤層がへたってしまう場合がある。粘着力の不足や粘着剤層のへたりが生じると、被着体間にすきまができてしまう場合があり、結果、温度サイクルをかけた場合等に衝撃吸収性が著しく劣ってしまったり、止水性が著しく低下する場合がある。軟化点は、好ましくは135〜150℃である。
なお、粘着付与樹脂の軟化点は、JIS K2871に記載の環球法に準拠して測定されたものをいう。
このため、アクリル系重合体100重量部に対して1〜30重量部であり、好ましくは5〜30重量部であり、特に好ましくは10〜20重量部である。
又、粘着付与樹脂は、重量平均分子量が600以下の揮発性成分の含有量が13重量%以下であることが好ましい。このような粘着付与樹脂を用いることによって、粘着物性を損なうことなく粘着付与樹脂によって生じる揮発性成分を低く抑えることができ、粘着物性を改善し且つアウトガス発生を極力抑えたアクリル系粘着剤を得ることができる。しかも、基材層との密着性を高め、結果、止水性のより高いテープを得る事ができる。なお、上記粘着付与樹脂の重量平均分子量及びその含有量はGPCにより測定し、ポリスチレン換算値及び面積比により算出できる。
粘着付与樹脂を加熱溶融する場合には、空気中の酸素との酸化反応を防ぐために、窒素、ヘリウムなどの不活性ガス中で加熱することが好ましく、又、加熱時間は、加熱による粘着付与樹脂の分解を避けるために1〜5時間が好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能なモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸などのカルボキシル基含有モノマー;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、n−メチロールアクリルアミドなどの水酸基含有モノマー;グリシジルアクリレート、アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有モノマーなどが挙げられ、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
なお、アクリル系重合体の重量平均分子量は、GPC(Gel Permeation Chromatography:ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)法によりポリスチレン換算分子量として測定されたものをいう。
具体的には、アクリル系重合体の重量平均分子量は、アクリル系重合体をテトラヒドロフラン(THF)によって50倍希釈して得られた希釈液をフィルターで濾過し、得られた濾液に基づいて、アクリル系重合体のポリスチレン換算分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフによって測定することにより得ることができる。上記ゲルパーミエーションクロマトグラフとしては、例えば、Water社から商品名「2690 Separations Model」で市販されているものなどが使用できる。
t1/2+5≦T≦t1/2+25・・・式(1)
(t1/2:重合開始剤の10時間半減期温度)
本発明の表示装置前板用粘着シートは、これを90℃で30分間に亘って加熱した際に、下記式(2)により算出される揮発成分濃度が500ppm未満であることが好ましい。すなわち、揮発成分濃度が500ppm未満であると、粘着テープから発生する揮発成分量は劇的に少ないと評価でき、表示装置内の電子部品への悪影響を防止することができる。又、上述した基材層との密着性に非常に優れたものとなる。
揮発成分濃度(ppm)
=揮発成分重量X(μg)/加熱前の表示装置前板用粘着シート重量(g)・・式(2)
(但し、式(2)中、揮発成分重量Xはヘキサデカン換算重量を表す。)
GC−MS装置において、無極性のキャピラリーカラム(アジレントテクノロジー社製商品名「HP−1」、0.32mm×60m×0.25μm)を使用し、キャピラリーカラムの温度を40℃にて4分間に亘って維持した後、キャピラリーカラムを毎分5℃の昇温速度にて100℃まで昇温し、しかる後、キャピラリーカラムを毎分10℃の昇温速度にて320℃まで昇温した後、320℃にて3分間に亘って保持する。なお、MS測定範囲は30〜400amu、ヘリウム流量は1.5ミリリットル/分、イオン化電圧は70eV、イオン源は230℃、インターフェイスは250℃、トランスファーラインは225℃とする。揮発成分の重量は、得られたピーク面積を、n−ヘキサデカンにより作成した絶対検量線に基づいて重量換算することによって算出することができる。
なお、熱脱着装置は、例えば、パーキンエルマー社から商品名「ATD−400」にて市販されており、GC−MS装置は、例えば、日本電子社から商品名「AutomassII−15」にて市販されている。
揮発トルエン濃度(ppm)
=揮発トルエン重量Y(μg)/加熱前の両面粘着テープ重量(g)・・式(3)
(但し、式(3)中、揮発トルエン重量Yはヘキサデカン換算重量を表す。)
なお、揮発トルエン濃度は、揮発成分重量Xと同様の要領にて揮発トルエン重量Yを測定し、この揮発トルエン重量Yを両面粘着テープの重量で除することによって算出することができる。
本発明の表示装置前板用粘着シートの製造方法としては、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートからなる基材層の少なくとも一面に粘着剤を塗布して粘着剤層を積層一体化させる方法が挙げられる。
塗布して粘着剤層を積層一体化させる方法としては例えば、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの少なくとも一面にコーターなどの塗工機を用いて粘着剤を塗布する方法、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの少なくとも一面にスプレーを用いて粘着剤を噴霧、塗布する方法、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの少なくとも一面に刷毛を用いて粘着剤を塗布する方法などが挙げられる。
本発明の表示装置前板用粘着シートは、種々の表示パネル又は表示筐体と表示装置用前面板とを固定する用途に用いることができる。特に、表示板がアクリル樹脂板である場合が好ましい。
したがって、耐久性に優れた表示装置を提供することができる。
(アクリル系粘着剤の作製)
温度計、攪拌機、冷却管、滴下漏斗及び窒素ガス導入管を備えた反応器に、n−ブチルアクリレート70重量部、2-エチルヘキシルアクリレート27重量部、アクリル酸3重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート0.1重量部及びドデカンチオール0.05重量部からなるモノマー混合物と、酢酸エチル80重量部とを供給した上で攪拌することによって、酢酸エチルにモノマー混合物を溶解させてモノマー混合溶液を作製した。
還流点において、重合開始剤としてラウロイルパーオキサイド(10時間半減期温度:62℃)4mmolを重合開始〜4時間に加え、重合させた。
得られたアクリル系重合体(固体)100重量部に、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製 商品名「コロネートL」、有効成分:55重量%)1.6重量部と、粘着付与樹脂として重量平均分子量が600以下の揮発性成分を除去した(含有量9.6重量%)軟化点140℃のロジンエステル化合物19重量部とを加えて攪拌してアクリル系粘着剤Aを得た。
重合触媒として四価の遷移金属を含むメタロセン化合物を用いて得られた直鎖状低密度ポリエチレン(エクソン・ケミカル社製、商品名「EXACT3027」、密度:0.900g/cm3、重量平均分子量:2.0、融点:98℃、軟化点:85℃)100重量部、アゾジカルボンアミド5重量部、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.3重量部及び酸化亜鉛1重量部からなる発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物を押出機に供給して130℃で溶融混練し、幅が200mmで且つ厚さが0.8mmの長尺状の発泡性ポリオレフィン系樹脂シートに押出した。
しかる後、得られた発泡シートを発泡炉から連続的に送り出した後、この発泡シートをその両面の温度が200〜250℃となるように維持した状態で、そのCDに延伸させるとともに、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートの発泡炉への送り込み速度(供給速度)よりも速い巻取速度でもって発泡シートを巻き取ることによって発泡シートをMDに延伸させて、発泡シートの気泡をCD及びMDに延伸して変形させ、幅1050mm、厚み0.1mm、架橋度25重量%、発泡倍率4.7倍の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートかたなる基材Aを得た。
基材Aの両面に上記アクリル系粘着剤Aを乾燥後厚みが50μmになるよう塗布し、105℃で5分間に亘って乾燥させて、基材Aの一方の面にアクリル系粘着剤Aからなる厚み50μmの粘着剤層が積層一体化されてなる表示装置前板用粘着シートを作製した。
架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの厚みを、巻取速度を調整することにより0.2mmにした以外は実施例1と同様にして基材Bを得た。そして、実施例1同様にこの基材Bとアクリル系粘着剤Aを用いて表示装置前板用粘着シートを作製した。
実施例1で用いたロジンエステル化合物の配合量を25重量部としたこと以外は実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤Bを得た。アクリル系粘着剤Bを用いた以外は実施例1と同様にして、表示装置前板用粘着シートを作製した。
揮発成分を除去していない軟化点140℃のロジンエステル化合物19重量部を用いた以外は実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤Cを得た。アクリル系粘着剤Cを用いた以外は実施例1と同様にして、表示装置前板用粘着シートを作製した。
(実施例5)
揮発成分を除去していない軟化点140℃のロジンエステル化合物2重量部を用いた以外は実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤Dを得た。アクリル系粘着剤Dを用いた以外は実施例1と同様にして、表示装置前板用粘着シートを作製した。
架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートのかわりに、ポリウレタンフォーム(イノアック社製「ポロンSR」、厚み0.2mm)を基材Cとして用いた以外は実施例1と同様にして、表示装置前板用粘着シートを作製した。
実施例1で用いたロジンエステル化合物と同じものを32重量部配合したこと以外は実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤Eを得た。アクリル系粘着剤Eを用いた以外は実施例1と同様にして、表示装置前板用粘着シートを作製した。
実施例1で用いたロジンエステル化合物に替えて、軟化点が125℃の粘着付与樹脂(編成テルペン重合物、ヤスハラケミカル社製「YSレジンPX」)を19重量部配合したこと以外は実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤Fを得た。アクリル系粘着剤Fを用いた以外は実施例1と同様にして、表示装置前板用粘着シートを作製した。
なお、アスペクト比、25%圧縮強度、止水性、衝撃伝導率、耐冷熱サイクル性、VOC、くもりについては、以下の評価方法によって評価した。
〔アスペクト比〕
上記した方法で得られた架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートにおけるMD、CDの平均気泡径を求めたのち、以下の式により算出した。
アスペクト比=MDの平均気泡径/CDの平均気泡径
JIS K6767に準拠した25%圧縮強度を求めた。
150mm×150mm×5mmのアクリル板を2枚用意した。一方のアクリル板には、直径7mmの孔を設けた。
実施例及び比較例で得られた表示装置前板用粘着シートを、外径60mm、内径50mmのドーナツ型に切り出し、サンプル片とした。
このドーナツ型のサンプル片を用いて2枚のアクリル板を貼り合せた。
その後、孔にホースを取り付け、基材層を構成する架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの圧縮率が20%になるように圧縮した状態で、ドーナツ内径にあたる部分に水を10kPaの圧になるように満たした。そして、10kPaの圧をかけたままで、JISC0920 IPX7に準拠し、漏水を評価した。
厚さが2mmで、かつ100×100mmの鉄板を2枚準備した。一方の鉄板に衝撃ピックアップ装置を取り付け、それを下方鉄板として用いた。この下方鉄板の中央部に、実施例及び比較例で作製した表示装置前板用粘着シートを50×50mmに切断したものを搭載し、表示装置前板用粘着シートの上にもう一方の鉄板を載せた。
次に、基材層を構成する架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの圧縮率が40%になるように圧縮した状態で、重さが15gの鉄球を、垂直に10cmはなれたところから上側の鉄板の中心部に自然落下させて、衝撃加速度を衝撃ピックアップ装置で測定し、その正負の最大値の絶対値を平均したものを衝撃伝導率1とした。
また、衝撃ピックアップ装置を取り付けた鉄板のみに上記鉄球を落下させた場合の衝撃伝導率2を測定し、表示装置前板用粘着シートが介在する場合の衝撃吸収率を以下の式により求めた。なお、衝撃吸収率が小さいほど、表示装置前板用粘着シートにより衝撃を吸収できたことを意味する。
衝撃吸収率=((衝撃伝導率1/衝撃伝導率2)×100)
表示装置前板用粘着シートから、外側が80mm×80mmの長方形であり、内部から50mm×50mmの長方形がくりぬかれた形状であり、幅が25mmの粘着シート枠片を作製した。
100×100mm×(厚み5mm)のアクリル樹脂透明板とアルミニウム板を2枚用意した。一方の板の中央部に、粘着シート片の粘着剤層を貼り付け、他方の板を基材層側から粘着シート片に積層した。そして、12本のボルトを用いて、発泡基材の圧縮率が20%になる厚さで2枚の板を固定し、試験片を作製した。
この試験片を、冷熱サイクル試験機(ESTEC社製)にて−20℃2時間/80℃2時間を1サイクルとして30サイクル行った。
30サイクルの後、深さ20cmまで40℃の水が入った水層に試験片を漬けた。水温を40℃に保ち、24時間浸漬させた。その後試験片を取り出して、目視で粘着シート枠片の内側に水が侵入しているかどうか確認し、水が侵入しているものを×、水が侵入していないものを○とした。
得られた表示装置前板用粘着シートについて、前述の式(2)により算出される揮発成分濃度及び式(3)により算出される揮発トルエン濃度を上述の要領で測定した。揮発分の揮発を促進する目的で、90℃にて測定を行った。
内容量100mlのガラス瓶中に約20gの表示装置前板用粘着シートを入れ、ガラス板で蓋をし、120℃で24時間加熱し、ガラス板の変化を目視により評価した。なお、評価の判断基準は以下の通りである。
○:変化無し。
△:微量の曇りがある。
×:はっきりと確認できる曇りがある。
また、実施例1〜3のように、粘着付与樹脂中の重量平均分子量が600以下の揮発性成分を除去するようにすれば、VOCの発生も少なく抑えられることがわかる。
Claims (6)
- 基材層の少なくとも片面にアクリル系粘着剤層が積層一体化されており、表示パネルと、前記表示パネルを保護するための透明前面板の間に介在させる表示装置前面板用粘着シートであって、
前記基材層は、架橋度が5〜60重量%でありかつ気泡のアスペクト比(MDの平均気泡径/CDの平均気泡径)が0.25〜1である架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートであり、
前記アクリル系粘着剤層は、アクリル系共重合体100重量部に対し、軟化点が130℃以上である粘着付与樹脂を1〜30重量部含有するアクリル系粘着剤からなることを特徴とする、表示装置前板用粘着シート。 - 基材層の片面にのみ粘着剤層が形成されている、請求項1に記載の表示装置前板用粘着シート。
- 粘着付与樹脂は、重量平均分子量が600以下の成分の含有量が13%以下である、請求項1記載の表示装置前板用粘着シート。
- 90℃で30分間に亘って加熱した際に、式(1)により算出される揮発成分濃度が500ppm未満である、請求項1または請求項3に記載の表示装置前板用粘着シート。
揮発成分濃度(ppm)
=揮発成分重量X(μg)/加熱前の表示装置前板用粘着シート重量(g)・・式(1)
(但し、式(1)中、揮発成分重量Xはヘキサデカン換算重量を表す。) - アクリル系粘着剤は、(メタ)アクリル酸と、アルキル基の炭素数が4〜12である(メタ)アクリル酸アルキルエステルとを含有するモノマーを重合させてなる共重合体を含む、請求項1、請求項3または請求項4のいずれか1項に記載の表示装置前板用粘着シート。
- アクリル系重合体は、重合開始剤として10時間半減期温度が80℃以下であるものを選択し且つ重合温度を重合開始剤の10時間半減期温度よりも高い温度として共重合されたものである、請求項1、請求項3〜請求項5のいずれか1項に記載の表示装置前板用粘着シート。
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