JP5216372B2 - 無電解錫めっき浴及び無電解錫めっき方法 - Google Patents

無電解錫めっき浴及び無電解錫めっき方法 Download PDF

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Description

本発明は、電子部品等の表面処理に適用される無電解錫めっき浴に関し、特に、還元剤を含有した還元タイプの無電解錫めっき浴及びめっき方法に関する。
従来より、プリント基板やチップ部品等の電子部品に錫めっき皮膜を形成する表面処理が広く実施されている。特に、電子基板の材料として用いられる銅の溶出を防止しながら、錫めっき処理を行う方法が検討されている。
電子部品に対する錫めっき法としては、電気めっき法と無電解めっき法が採用されている。しかし、近年の電子部品の微細化、細密化の要求の高まりに伴い、電気めっき法では、均一に錫めっき皮膜を形成することが困難であることから、無電解めっき法が望まれている。
一方、無電解めっき法では、めっき皮膜を均一に形成させることが可能となり、細密、微小部分に好適に利用することができ、独立したパターンへのめっき処理が望まれるプリント基板やICパッケージ等においては、無電解めっき法による処理が要求されている(例えば、特許文献1参照)。
特許第2611364号
しかし、従来の無電解錫めっきの析出反応は、下地銅との置換反応であるため、析出した金属錫の膜厚に略相当する銅が溶解してしまうという欠点がある。すなわち、一般的に、錫めっき皮膜としては1.0〜2.0μm程度の膜厚が形成されることが要求されていることから、この膜厚の錫めっき皮膜の析出に伴って、下地の銅回路を形成している銅皮膜の約1.0〜2.0μmが同時に溶解してしまうこととなっていた。
一方で、近年の銅回路のファイン化に伴い、その銅回路の銅膜厚は薄くなる傾向にあり、その銅回路を下地として、1.0〜2.0μm程度の錫めっき皮膜を形成させると、その銅回路の大部分が溶解してしまうこととなり、はんだ濡れ性や接続信頼性を大幅に低下させるとともに、緻密な錫めっき皮膜も形成させることが困難となり、細密・微細化の要求に充分に対応することができなくなっている。
本発明は、これら従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、下地の銅の溶解量を抑制させることが可能な無電解錫めっき浴及びめっき方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、還元剤を組成しためっき浴によってめっき処理を施すことにより、下地の銅回路における銅溶解量を減少させることができることを見出した。
すなわち、本発明に係る無電解錫めっき浴は、無電解めっき法により、被めっき物上に錫めっき皮膜を形成させるための無電解錫めっき浴において、少なくとも、錫化合物と、還元反応により錫化合物から錫金属を被めっき物上に析出させる還元剤としての水素化ホウ素ナトリウム、アミノカルボン酸と、アルカノールアミンとを含有し、pHが9〜11の範囲であって、上記アミノカルボン酸が、シクロヘキサンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレントリアミン六酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ジヒドロキシエチルイミノ酢酸、ジヒドロキシエチルエチレンジアミン二酢酸、グリシン、イミノ酢酸、ニトリロトリ酢酸から選択される1以上であり、上記アルカノールアミンが、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンから選択される1以上であることを特徴とする。
また、本発明に係る無電解錫めっき方法は、被めっき物上に錫めっき皮膜を形成させるための無電解錫めっき方法において、上述した無電解めっき浴を用いて、上記水素化ホウ素化合物による還元反応により錫めっき皮膜を形成させることを特徴とする。
本発明に係る無電解錫めっき浴及びこの無電解錫めっき浴を用いた無電解錫めっき方法によれば、下地となる銅回路の銅溶解量を減少させることができ、はんだ濡れ性と接続性に優れた皮膜を形成することができる。
以下、本実施形態に係る無電解錫めっき浴及びめっき方法について、詳細に説明する。
本実施の形態に係る無電解錫めっき浴は、少なくとも、2価の錫イオンと、還元剤とを含有し、当該還元剤の還元反応により、被めっき物上に錫めっき皮膜を析出させることを特徴としている。
錫塩(錫塩(II))としては、特に限定されるものではないが、イセチオン酸錫(II)等のアルカノールスルホン酸錫(II)、メタンスルホン酸錫(II)等のアルカンスルホン酸錫(II)などの有機スルホン酸錫(II)、硫酸錫(II)、塩化錫(II)、臭化錫(II)、ヨウ化錫(II)、酸化錫(II)、リン酸錫(II)、ピロリン酸錫(II)、酢酸錫(II)、クエン酸錫(II)、グルコン酸錫(II)、酒石酸錫(II)、乳酸錫(II)、コハク酸錫(II)、スルファミン酸錫(II)、ホウフッ化錫(II)、ギ酸錫(II)、ケイフッ化錫(II)等が挙げられる。なお、浴中の錫イオン量は、1〜100g/L、特に、1〜30g/Lとすることが好ましい。
また、上述したように、本実施の形態に係る無電解錫めっき浴には、還元剤が含有されており、還元剤としては、ホウ素化合物を用いることができ、特に水素化ホウ素化合物を用いることが好ましい。このホウ素化合物としては、特に限定されるものではないが、具体的には水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、ジメチルアミノホウ素、ジエチルアミノホウ素等から選択することができ、特に水素化ホウ素ナトリウムを選択することが好ましい。なお、還元剤のめっき浴中への添加量は、1〜100g/L、特に、10〜50g/Lとすることが好ましい。
このように、本実施の形態に係る無電解錫めっき浴においては、そのめっき浴中に還元剤を含有しており、この還元剤の還元作用を利用することによって、金属錫の析出反応に必要な電子の供給を受けるようにしている。すなわち、上述のような還元剤の作用により、めっき浴中の錫イオンが還元されて、被めっき物である銅皮膜に錫が析出するようになる。これにより、本実施の形態に係る無電解錫めっき浴を用いためっき処理では、従来のような下地となっている銅回路の銅皮膜との置換反応による皮膜形成ではなく、還元剤による還元作用を利用した析出を可能としているので、下地の銅回路を形成している銅皮膜を溶解させることなく錫めっき皮膜を形成させることが可能となり、薄膜化の傾向にある銅回路を過度に溶解させることなく、接続信頼性を向上させためっき処理を施すことが可能となっている。
さらに、本実施の形態に係る無電解錫めっき浴によれば、このように還元剤を含有しており、還元タイプの錫めっき皮膜形成を可能にとしているので、無電解錫めっき浴の各成分を補充管理することによって、任意の膜厚を有するめっき皮膜を形成させることができる。すなわち、従来の置換反応に基づく無電解錫めっき処理においては、錫が被めっき物の全体に析出したところで反応が止まってしまうため、所望とする膜厚を有しためっき皮膜を形成させるのには限界があり、厚付け錫めっきは不可能であったが、還元反応によってめっき皮膜形成を可能にする本実施の形態に係る無電解錫めっき浴では、浴中の各成分を補充管理することにより、反応を止めさせることなく、所望とする厚みまで還元反応を進行させ、被めっき物上に所望とする膜厚を有した錫めっき皮膜を形成させることが可能となる。
なお、上述した水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤に加えて、さらに、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸ニッケル等のリン化合物からなる還元剤を一緒に使用するようにしてもよい。これらのリン化合物をさらに含有させることにより、めっきの密着性を高めることが可能となる。
本実施の形態に係る無電解錫めっき浴には、さらにアミノカルボン酸を含有させることができる。アミノカルボン酸としては、特に限定されるものではないが、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、シクロヘキサンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、トリエチレントリアミン六酢酸(TTHA)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIMDA)、ジヒドロキシエチルイミノ酢酸(DHEIMA)、ジヒドロキシエチルエチレンジアミン二酢酸(DHEDDA)、グリシン、イミノ酢酸、ニトリロトリ酢酸(NTA)等が挙げられ、これらのアミノカルボン酸を1種または2種以上を添加することが可能である。特に、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)が好適に用いられる。このようにして、無電解錫めっき浴中に、エチレンジアミン四酢酸等のアミノカルボン酸を含有させることにより、銅回路表面における金属錫の析出を促進させることが可能となる。このようにして、無電解錫めっき浴中に、アミノカルボン酸を含有させることにより、無電解錫めっき浴の安定性を向上させ、銅めっき皮膜上に、良好な外観を有する錫めっき皮膜を、良好な析出速度でもって、形成させることを可能となる。なお、浴中のアミノカルボン酸量は、1〜100g/L、特に10〜60g/Lであることが好ましい。
また、本実施の形態に係る無電解錫めっき浴には、上記したアミノカルボン酸以外に、さらにアミノ化合物を含有させることができる。アミノ化合物としては、特に限定されるものではないが、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、アミルアミン、グリシン、アラニン、アミノ-n-酪酸、バリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ヒドロキシルアミン、ヒドラジン、硫酸ヒドラジニウム、硫酸ヒドロキシルアンモニウム、尿素等が挙げられ、これらのアミノ化合物を1種または2種以上を添加することが可能である。特に、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンが好適に用いられる。このようにして、無電解錫めっき浴中に、アミノ化合物を含有させることによって、2価の錫イオンの4価の錫イオンへの酸化を抑制することが可能となり、めっき皮膜を形成したときに発生するスラッジの生成を防止することができる。また、めっき浴の安定性を向上させることが可能であるとともに、上記のアルカノールアミンを含有させることによって、錫めっき皮膜の析出速度を向上させることが可能となる。なお、アミノ化合物のめっき浴中への添加量は、10〜100g/L、特に、10〜50g/Lとすることが好ましい。
また、本実施の形態に係る無電解錫めっき浴は、アルカリ性の性質を有し、めっき浴の安定性等の観点から、そのpHは9〜11の間に維持することが好ましい。すなわち、pH<9の場合には錫めっき皮膜を析出させることができず、またpH>11の場合には当該無電解錫めっき浴において自己分解反応が促進してしまう。したがって、この無電解錫めっき浴のpHを、9<pH<11とすることによって、長時間のめっき処理においても自己分解を抑制し、安定した状態で当該めっき浴を維持させることができ、また所望とする厚みを有した錫めっき皮膜を析出形成させることが可能となる。このpHの水準を維持するために、当該無電解錫めっき浴に、pH安定化剤、pH緩衝剤、pH調整剤等を含有させるようにしてもよい。例えば、pH安定化剤としては、特に限定されるものではないが、具体的にはホウ酸、ホウ酸アンモニウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸リチウム、ホウ酸マグネシウム、アンモニア等が挙げられ、またこれらの含水塩を用いるようにしてもよい。このように、当該めっき浴をアルカリ性に安定的に維持させることによって、めっき浴の安定性を向上させることができるとともに、金属錫と下地となっている銅回路の金属銅との間に起こる置換反応を抑制させることも可能となり、より一層に銅の溶解を抑制させることが可能となる。
また、本実施の形態に係る無電解錫めっき浴には、必要に応じて錯化剤を含有させるようにしてもよい。含有させることが可能な錯化剤としては、特に限定されないが、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、チオ硫酸アンモニウム、リン酸、ホウ酸、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、エチレンジアミン、トリエタノールアミン、グリシン、アラニン、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロトリ三酢酸、アミノトリメチレンホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)等を挙げることができる。
なお、本実施の形態に係る無電解錫めっき浴には、チオ尿素類、ベンゾキノンオキシム類、メルカプトベンゾチアゾール等を含有させてもよい。これらの化合物は、めっき浴を安定化するとともに、金属錫の結晶を微細化させ、析出速度を促進させる効果がある。浴中の含有量については、その含有量が少なすぎると析出促進効果が充分に発揮されないが、含有量が多すぎると析出速度を大きく低下させることになることから、浴1Lあたり、30〜130g、特に、50〜110gとすることが好ましい。
なお、本実施の形態に係る無電解錫めっき浴を用いてめっき処理を行うことができる基板(被めっき物)の種類は、特に限定されず、銅、銅合金等の金属等の導電性材料、又はこれらの導電性材料とセラミック、ガラス、プラスチック、フェライト等の絶縁性材料とが複合したものであってもよい。具体的には、半導体パッケージ、プリント基板の回路、チップ部品、バンプ、コネクタ、リードフレーム等のあらゆる電子機器構成部品等にめっき皮膜を形成させることができる。なお、これらの基板は、脱脂処理や活性化処理等の所定の適切な前処理を施した上で、めっき処理が実行される。
次に、本実施の形態に係る無電解錫めっき浴を用いた無電解めっき処理方法について、基板において銅回路を構成する銅皮膜上にめっき処理を施す具体例に基づいて詳細に説明する。本実施の形態に係る無電解めっき方法は、基板において銅回路を構成する銅皮膜上に錫めっき皮膜を形成するものであって、その金属銅とめっき浴中に含有される金属錫との置換反応によって錫めっき皮膜を形成する従来のめっき処理方法とは異なり、還元剤を含有した上述の無電解錫めっき浴を用いて、還元反応によって金属錫を被めっき物上に析出させる還元タイプの無電解めっき方法である。
<下地銅皮膜(銅回路)の形成>
下地となる銅回路は、常法に基づいて、無電解めっき方法又は電気めっき方法によって、銅皮膜を形成させることができるが、特に均一な皮膜を形成させることが可能な無電解めっきにより行うことが好ましい。なお、下地銅を形成する基板の種類は、上述したように特に限定させるものではない。
無電解銅めっき浴としては、例えば、その組成の一例として、硫酸銅(5g/L)、EDTA(15g/L)、ホルマリン(10ml/L)を含有し、水酸化ナトリウム(5g/L)によってpH12.5に調整されている無電解銅めっき液を使用することができる。また、錯化剤としてロッシェル塩を用いた無電解銅めっき液を使用してもよい。そして、この無電解銅めっき液中に、基板を、例えば60〜80℃の温度条件で20〜60分間浸漬し、膜厚として3μm程度の銅めっき皮膜を形成させ、銅回路を構成させる。なお、この無電解銅めっき処理を施すにあたって、常法に基づいて、脱脂処理、中和処理、活性化処理等の所定の前処理を行い、さらに所望とする配線パターンを形成させるためのめっきレジストやソルダーレジスト等を施した上で、無電解錫めっき処理を行ってもよいことは勿論である。
<前処理方法>
無電解銅めっき処理によって、基板上に銅回路を形成させると、次工程として、本実施の形態に係る無電解錫めっき浴によって錫めっき皮膜を形成させる前に、被めっき物に物理的及び化学的な表面浄化処理を行う(前処理工程)。この前処理工程は、基板上に形成された銅皮膜と錫めっき皮膜との密着性やめっき外観を向上させる目的で行われる。また、このように前処理を行うことによって、接続信頼性の向上しためっき皮膜を形成させることが可能となる。
前処理工程は、被めっき面上に付着している油脂を取り除くための脱脂工程と、被めっき面上に形成されている酸化皮膜を取り除き、めっき皮膜の密着性を向上させるための活性化工程とに区別することができる。脱脂工程は、有機溶剤による方法の他、電解法を利用した方法を採用することができる。例えば、脱脂溶液として酸性溶液を用い、脱脂溶液中に、例えば65℃で5分間、基板を浸漬し、銅めっき皮膜上の油脂等を脱脂する。また、活性化処理は、被めっき物を溶解することができるような溶液を用いて素材ごとに酸化皮膜を取り除く方法や、硫酸、硝酸等を利用して、酸化皮膜を除去する方法、またはこれらの両者を行う方法等が通常採用されている。具体的には、例えば、硫酸や塩酸の10%溶液からなる酸性溶液等を用いて、酸性の溶液中に基板を5〜10秒間浸漬させて行う。なお、これらの前処理工程のほか、錫めっき皮膜を形成させるめっき処理面状を酸性溶液等を用いて、ソフトエッチング処理を施してめっき面上を粗化し、めっき皮膜の密着性を向上させる処理を行ってもよい。
<無電解錫めっき処理>
上述のようにして、銅回路が形成された基板を前処理すると、次に、上で詳細に説明した本実施の形態に係る無電解錫めっき浴を用いて、錫めっき皮膜を形成する。本実施の形態に係る無電解錫めっき浴を用いためっき方法では、そのめっき浴中に還元剤が含有されており、下地となっている銅回路を構成する銅皮膜との置換反応による皮膜形成ではなく、還元反応を利用しためっき方法を実現させることができるようになっている。
具体的に、本実施の形態に係る無電解錫めっき方法に用いることが可能な無電解錫めっき浴の組成の一例としては、塩化錫(30g/L)、EDTA・2Na(50g/L)、トリエタノールアミン(50g/L)、エチレンジアミン(20g/L)、そして還元剤として、水素化ホウ素ナトリウム(40g/L)を含有し、pH安定化剤としてのホウ酸ナトリウム(10g/L)によってpHが約10に維持された無電解錫めっき浴を用いることができる。そして、この無電解錫めっき浴中に、銅回路を形成した後に所定の前処理を施した基板を浸漬させることによって、還元反応を利用した錫めっき皮膜形成を行う。そのめっき処理における温度条件としては、例えば、約50℃の温度条件を設定して行う。なお、上記組成は、その一例であり、当然これに限定されるものではなく、形成させる膜厚や、密着性の観点から所望とする組成に変更させることができる。
また、本実施の形態に係る無電解錫めっき浴を用いためっき処理では、上述したように、還元反応を利用しためっき処理を行うことが可能であることから、当該無電解錫めっき浴の各成分を補充管理し、適切な時間条件でめっき処理を施すことによって、任意の膜厚を有する錫めっき皮膜を析出させることが可能となる。例えば、2μm程度の膜厚を形成させる場合には、上記の組成を有した無電解錫めっき浴を用いて約50℃の温度条件の下、約2時間のめっき処理を施すことにより、緻密なめっき皮膜を形成させることが可能となる。置換反応により錫めっき皮膜を形成させていた従来の無電解錫めっき浴を用いためっき処理では、銅めっきが成膜された基板等の被めっき物上の全体に錫めっき皮膜が形成された時点で金属錫の析出は飽和し、めっき処理を継続させてもそれ以上の厚みを有しためっき皮膜を形成させることはできないが、上述したように本実施の形態に係る無電解錫めっき浴によれば、還元剤を含有し、この還元剤に基づく還元反応によって金属錫を析出させる作用機構が働くので、めっき浴中の各成分を補充管理することによって、めっき時間に略比例してその錫めっき皮膜の膜厚を所望とする厚みにすることが可能となる。
さらに、従来のように置換反応によって錫めっき皮膜を析出させるのではなく、本実施の形態に係る無電解錫めっき浴に含有された還元剤を利用し、還元反応によって錫めっき皮膜を析出させるようにしているので、下地となっている銅の一部に腐食を発生させる等のダメージを与えることなく、2〜3μm以上の緻密な錫めっき皮膜を形成させることができるとともに、銅回路を構成している下地の銅皮膜に対するソフトエッチングによって浸食された部位を介して、その銅皮膜に、又は銅皮膜上に形成させたソルダーマスクの下部に、錫めっきの液が潜り込むことを防止することができ、微細な回路パターンを形成しても、接続信頼性を低下させることのない基板を形成することが可能となる。
図1は、銅回路11を構成しパターンを形成した基板10上にソルダーマスク12をその所定部位に施し、その後に銅回路11表面をソフトエッチングして、本実施の形態に係る無電解錫めっき浴を用いて無電解めっき処理をした場合と、従来の無電解錫めっき浴で無電解めっき処理をした場合との、錫めっき皮膜形成の様子を説明するための概略図である。この図1に示すように、銅回路11表面をソフトエッチング処理することにより、ソルダーマスク(S/M)12の下部であって銅回路11表面の一部が浸食され、図1(b)中丸囲み部に示すようなギャップ13が生じてしまうことが多々起こり得る。このような場合において、従来の無電解錫めっき浴によるめっき処理では、図1(c)に示すように、ソルダーマスク(S/M)12下部の当該ギャップ13を介して、無電解錫めっき液が銅回路11内に潜り込み、その結果、緻密な銅回路11及び錫めっき皮膜30を形成させることができなくなっていた。また同時に、接続信頼性の低下した基板10が形成されてしまっていた。しかしながら、このようにソフトエッチング処理によって銅回路11表面が浸食されてギャップ13が生じてしまった場合でも、本実施の形態に係る無電解錫めっき浴を用いた無電解錫めっき処理によれば、図1(d)に示すように、当該無電解錫めっき浴に含有される還元剤による還元作用に基づいて錫めっき皮膜20が析出されていくので、ソフトエッチングに際して生じたギャップ13を介しての無電解錫めっき液の潜り込みが起こらず、緻密な錫めっき皮膜20を形成させることができるとともに、接続信頼性の向上した基板10を形成させることが可能となる。
また、一般的に、析出させた錫めっき皮膜に、時間経過により発生するウィスカーを防止するために、析出させた錫めっき皮膜を加熱することによって溶融し、その後急冷させるリフロー処理が行われるが、従来の無電解錫めっき浴を用いて処理された場合では、このリフロー処理において高温加熱することによって錫めっき皮膜が酸化され、下地の金属である銅と析出させた錫とが合金化し、錫めっき皮膜層が減少してしまうという問題があった。さらに、錫めっき皮膜のはんだ濡れ性は錫めっきの膜厚に依存することが知られていることから、従来の無電解錫めっき浴を用いて処理することによって錫めっき皮膜層が
減少していくと、それに伴ってはんだ濡れ性も低下してしまっていた。しかしながら、本実施の形態に係る無電解錫めっき浴を用いた無電解錫めっき処理によれば、リフロー処理を行って、析出させた錫めっき皮膜を高温加熱したときの、下地金属である銅と当該錫との合金化の速度、すなわち錫めっき皮膜層の減少速度を低下させることが可能となっているので、これにより、従来のめっき浴を用いためっき処理に対して、錫めっき皮膜層の薄膜化を抑制させることでき、この薄膜化速度の減少に伴って、はんだ濡れ性の低下をも大幅に抑制させることが可能となっている。
以上説明したように、本実施の形態に係る無電解錫めっき浴によれば、浴中に含有されている還元剤に基づいて還元反応によって錫めっき皮膜を形成させることが可能となっているので、従来の置換反応によってめっき皮膜を形成させていたときの、銅回路等の下地金属に与えるダメージや、過度の溶解を抑制させることができ、接続信頼性の向上した配線基板を形成させることが可能となる。また、めっき浴中の各成分の補充管理により、所望とする厚みの膜厚を形成させることが可能となり、さらにウィスカー防止のためのリフロー処理を行っても、形成させた錫めっき皮膜の急速な膜厚減少を抑制することができるとともに、めっき濡れ性の低下を大幅に抑制させることが可能となる。
なお、本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の変更があっても本発明に含まれる。
本実施の形態においては、当該無電解錫めっき浴を用いて、下地となる銅回路の上に錫めっき皮膜を形成させることについて説明したが、これに限られるものでなく、例えば、ニッケルめっき皮膜を形成した上に、無電解銅めっき浴を用いて銅めっき皮膜を形成し、その上に無電解錫めっき処理を行って錫めっき皮膜を形成させるようにしてもよい。
また、上述の説明において記載しためっき浴の組成や、めっき処理等における温度や時間とうの条件に関しては、その一例を示したものであり、当然にそれらの限定されるものではなく、適宜、組成や条件等に関して変更してもよいことは言うまでもない。
以下、本発明の具体的な実施例について説明する。なお、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
常法により前処理を施した後、下記組成の無電解銅めっき浴を用いて約3μmの銅めっき皮膜を形成し、その銅皮膜上に下記組成の無電解錫めっき浴を用いて約2μmの錫めっき皮膜を形成させた。なお、基板には、エポキシ樹脂からなる基板を使用した。
無電解銅めっき浴
Figure 0005216372
無電解錫めっき浴
Figure 0005216372
(比較例1)
下記の無電解錫めっき浴を用いて行った以外は、所定の常法に従った前処理を施し、実施例1と同様の無電解銅めっき浴を用いて約3μmの銅めっき皮膜を形成し、その後に無電解錫めっき処理を行うという同様の方法により、約2μmの錫めっき皮膜を形成させた。
無電解錫めっき浴
Figure 0005216372
(比較例2)
比較例2においては、めっき浴温度を50℃と設定した以外は、比較例1と同様の処理を施して、錫めっき皮膜を形成させた。なお、組成の記載は省略する。
<銅溶解量の評価>
実施例1及び比較例1のそれぞれにおいて、上記したそれぞれの組成を有する無電解銅めっき処理及び無電解錫めっき処理を行い、クロスカット法により無電解錫めっき処理によって溶解した銅膜厚を測定した。
その結果、還元剤として水素化ホウ素ナトリウムを含有させた実施例1においては、銅の溶解量がクロスカット法による測定限界以下であったのに対し、従来の組成を有する無電解錫めっき浴を用いた比較例1の無電解錫めっき処理では、膜厚にして2μm以上の銅が溶解してしまった。
この結果から判断できるように、本実施の形態に係る無電解錫めっき浴によれば、水素化ホウ素化合物のような還元剤を含有させることにより、還元反応を利用した錫めっき皮膜の析出が可能となり、従来の置換反応によるめっき処理に比して、下地である銅回路の溶解量を大幅に減少させることができると結論付けられる。
<錫めっき皮膜の膜厚評価>
上記の実施例1及び比較例1(浴温度:70℃)、比較例2(浴温度:50℃)のそれぞれの組成を有する無電解錫めっき浴で、めっき処理時間のみを、30分、60分、90分、120分、150分、180分と順次変更させて、上記と同様の方法でめっき処理を施し、各処理時間に対する形成された錫めっき皮膜の膜厚を測定した。
図2は、上記実験の測定結果を示すグラフである。このグラフに示されるように、従来の組成を有した無電解錫めっき浴を用いてめっき処理を行った比較例1及び2では、めっき処理時間が90分程度までは、処理時間の増加と共に形成される錫めっき皮膜の膜厚も厚くなっていった。しかしながら、比較例2では、120分以上になると処理時間を増加させても、その形成されるめっき皮膜の膜厚は厚くならず、2.5μm程度でほぼ飽和状態になってしまった。また、めっき浴温度が70℃の比較例1では、80分程度までは上述のように再現性よく処理時間の増加と共にめっき皮膜の膜厚も厚くなっていったが、めっき処理時間をさらに延ばすと、めっき皮膜の析出速度の再現性が著しく低下し、安定的に所望とする膜厚を有するめっき皮膜を形成させることができなかった。この再現性の低下は、高温の70℃というめっき浴温度で処理する場合においては、その析出速度が回路パターンの大きさや攪拌速度に大きく影響を受けることによると考えられる。また、テストピース等によってもその再現性は大きく影響する。このことから、従来のめっき浴では、浴温度を高温にすることによって短時間である程度の膜厚のめっき皮膜を形成できるものの、パターンの大きさや攪拌速度、さらにテストピースの除去等、めっき浴の管理を厳密に行う必要があり、容易に所望とする膜厚のめっき皮膜を形成することはできない。
これに対し、本実施の形態に係る、還元剤を含有させた無電解錫めっき浴を用いてめっき処理を行った実施例1では、処理時間に対する膜厚の増加速度は相対的に遅いものの、120分を超えてもその形成されるめっき皮膜の膜厚は飽和状態にならず、処理時間の増加に伴って、再現性よく、そのめっき膜厚も厚くなっていった。特に、180分のめっき処理では、3.30μmもの厚みを有する錫めっき皮膜を形成させることができた。なお、図3(A)及び(B)は、実施例1の無電解錫めっき浴を用いて、銅回路上に180分以上のめっき処理によって形成させた錫めっき皮膜の収束イオンビーム(FIB:Focused Ion Beam)で断面加工した箇所についての走査イオン(SIM:Scanning Ion Microscope)画像である。
この結果からも判るように、本実施の形態に係る無電解錫めっき浴によれば、還元反応により金属錫の被めっき物上への析出が進行していくので、用いる無電解錫めっき浴中の各成分を適切に補充管理することにより、所望とする膜厚を有する錫めっき皮膜を容易に、かつ再現性よく、形成させることが可能となる。また、図3に示すSIM画像からも判るように、3μm以上の錫めっき皮膜を形成させた場合でも、下地の銅回路に対して浸食やめっき液の潜り込み等のダメージを与えることなく、緻密なめっき皮膜を形成させることができ、接続信頼性に富んだ回路基板を形成させることができると結論付けられる。
<リフロー処理に基づくはんだ濡れ性評価>
上記の実施例1及び比較例1に記載した各組成を有する無電解錫めっき浴を用いて、基板に配線パターンを構成する銅回路を形成し、さらにその銅回路の上に錫めっき皮膜を形成した後に、リフロー処理(RF)を行い、当該錫めっき皮膜のはんだ広がり性について測定した。測定にあたっては、はんだボールはSn-3.0Ag-0.5Cu/0.76mm dia.エコソルダー(千住金属工業社製)を用い、フラックスは529D-1RMA-type(千住金属工業社製)を用い、1回のリフロー条件として260℃のホットプレートで60秒間行った。このリフロー処理を、行わなかった場合(RF×0)、1回行った場合(RF×1)、3回行った場合(RF×3)、5回行った場合(RF×5)で、それぞれの場合のはんだ広がり性と、錫めっき皮膜の膜厚を測定した。なお、はんだ広がり性については、下記の式(I)に基づき計算した。
Figure 0005216372
図4は、その測定結果を示すグラフである。このグラフに示されるように、上記の実施例1及び比較例1に記載した各組成を有する無電解錫めっき浴を用いためっき処理の両方において、リフロー処理の回数を増やすほど、はんだ広がり性及び錫めっき皮膜層の膜厚が減少しているのが判る。しかしながら、リフロー処理を1回行った場合と、3回行った場合では特に、実施例1と比較例1との間において、はんだ広がり性及び錫めっき皮膜層の膜厚において、1.7倍程度の差が生じているがわかる。このことから、実施例1に記載した無電解錫めっき浴を用いて錫めっき皮膜を形成させると、リフロー処理の回数を増やすほど、その形成された錫めっき皮膜のはんだ広がり性及び膜厚は減少していくものの、比較例1の場合に比して、その減少速度は抑えられ、膜厚及びはんだ広がり性の減少を大幅に抑制できることが判った。
また、はんだ濡れ性は、形成した錫めっき皮膜の膜厚に依存していることが判明していることから、上述のように比較例1に比して大幅に膜厚の減少を抑えることができる実施例1では、そのはんだ濡れ性の低下をも大幅に抑制させることができると結論付けることができる。
<ソルダーマスク及び下地銅への影響評価>
次に、ソルダーマスク及び下地となっている銅皮膜への影響を調べた。操作は、まず上記の実施例1及び比較例1に記載した無電解銅めっき浴を用いて、エポキシ樹脂からなる基板に膜厚が3μmの導電層となる銅めっき皮膜を形成した。その後、この導電層上の所定部位にスクリーン印刷法で厚さ10μmとなるようにソルダーレジストを形成した。
次に、基板をクリーナーACL−007(上村工業社製)を用いて、50℃で5分間、基板を洗浄し、さらに錫めっき皮膜の密着性を向上させるために、ソルダーマスク(S/M)が形成された基板表面を、25℃で1分間ソフトエッチング処理(SPS(上村工業社製)使用)し、その後、10%硫酸溶液内に常温で1分間基板を浸漬させて表面を活性化させた。
そして、このようにして前処理を行った基板に、上記実施例1及び比較例1に記載した無電解錫めっき浴を用いて、それぞれで錫めっき皮膜を析出させた。
図5は、本実験における基板の収束イオンビーム(FIB:Focused Ion Beam)で断面加工した箇所についての走査イオン(SIM:Scanning Ion Microscope)画像であり、図5(A)は、銅めっき皮膜上にソルダーマスク(S/M)を形成させ、基板をソフトエッチングした後のSIM画像であり、図5(B)は、ソフトエッチング処理後、実施例1に記載の無電解錫めっき浴を用いて錫めっき皮膜を形成させた後のSIM画像であり、図5(C)は、ソフトエッチング処理後、比較例1に記載の無電解錫めっき浴を用いて錫めっき皮膜を形成させた後のSIM画像である。
図5(A)SIM画像に示されるように、ソフトエッチング処理を施すことによって、ソルダーマスク(S/M)の下部にまで銅めっき皮膜表面が浸食されてしまうことが往々にして生じる。このようにマスクの下部にまで銅めっき皮膜表面が浸食されてしまった状態で錫めっき皮膜を形成させた場合、図5(B)SIM画像に示すように、実施例1に記載の無電解錫めっき浴を用いたときには、その浸食された部位を介しためっき液の潜り込み等が生じることなく、緻密なめっき皮膜を形成させることができた。一方、これに対して、図5(C)SIM画像に示すように、比較例1に記載の無電解錫めっき浴を用いたときには、浸食された部位を介して銅皮膜内にまで、無電解錫めっき液の潜り込みが生じ、また図5(C)SIM画像中の太線で囲んで示したように、銅めっき皮膜内の深くまで掘ら穴形状のダメージを与え、さらにソルダーマスク(S/M)にもダメージを与えてしまっていた。このようにしてダメージを与えてしまった回路基板では、そのダメージ部位に起因して断線等が生じ、接続信頼性の低下した回路基板となってしまう。
これらから明瞭に判るように、比較例1の従来の置換反応に基づくめっき処理と異なって、本実施の形態に係る無電解錫めっき浴を用いた実施例1に記載の無電解錫めっき浴を用いためっき処理によれば、その浴中に還元剤を含有しているので、還元反応を利用しためっき処理が可能となり、下地の銅めっきやソルダーマスク(S/M)にダメージを与えることなく、緻密な錫めっき皮膜を形成させることが可能となり、接続信頼性に富んだ回路基板を形成することが可能となる。
なお、下記の表1は、実施例1と比較例1に記載した各無電解錫めっき浴の処理条件や、析出時間、さらにソルダーマスクと下地銅への影響の大きさを比較した表である。
Figure 0005216372
上記した実験結果及びこの表1に示すように、本実施の形態に係る無電解錫めっき浴を用いてめっき処理(実施例1)を行えば、ソルダーマスク(S/M)へのダメージを抑制することができるとともに、下地となった銅回路へのダメージをなくすことが可能となる。また、本実施の形態に係る無電解錫めっき浴によれば、金属錫の析出時間は相対的に遅いものの、浴中の各成分を補充管理することによって所望の厚みの皮膜を形成することが可能となっている。さらに、従来の無電解錫めっき浴(比較例1)では、下地の金属として適用することが可能な金属は、銅のみに限られていたが、本実施の形態に係る無電解錫めっき浴によれば、銅だけではなく、ニッケル、錫、銀等の種々の金属を下地金属とした基板等に用いて、上述のような緻密で、下地の金属にダメージを与えることのない錫めっき皮膜を形成させることができる。
銅回路とソルダーレジストをその所定部位に施した基板をソフトエッチングし、本実施の形態に係る無電解錫めっき浴を用いて無電解めっき処理をした場合と、従来の無電解錫めっき浴で無電解めっき処理をした場合との、錫めっき皮膜形成の様子を説明するための概略図である。 めっき処理時間に対する形成可能なめっき膜厚の変化を示すグラフである。 本実施の形態に係る無電解錫めっき浴を用いて180分以上のめっき処理によって形成させた錫めっき皮膜のSIM画像であり、(B)は(A)の拡大画像である。 リフロー処理回数に対する錫めっき膜厚及びはんだ広がり性の変化を示すグラフである。 銅回路とソルダーレジストをその所定部位に施した基板をソフトエッチングし無電解錫めっき皮膜を形成したときのSIM画像であり、(A)はソフトエッチング処理後であって無電解錫めっき処理前の銅層とソルダーマスクを示す画像であり、(B)はソフトエッチング後に実施例1に記載の無電解錫めっき処理を施したときの画像であり、(C)はソフトエッチング後に比較例1に記載の無電解錫めっき処理を施したときの画像である。

Claims (1)

  1. 無電解めっき法により、被めっき物上に錫めっき皮膜を形成させるための無電解錫めっき浴において、
    少なくとも、錫化合物と、還元反応により錫化合物から錫金属を被めっき物上に析出させる還元剤としての水素化ホウ素ナトリウム、アミノカルボン酸と、アルカノールアミンとを含有し、pHが9〜11の範囲であって、
    上記アミノカルボン酸が、シクロヘキサンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレントリアミン六酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ジヒドロキシエチルイミノ酢酸、ジヒドロキシエチルエチレンジアミン二酢酸、グリシン、イミノ酢酸、ニトリロトリ酢酸から選択される1以上であり、
    上記アルカノールアミンが、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンから選択される1以上である
    ことを特徴とする無電解錫めっき浴。
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