JP5305079B2 - 還元型無電解金めっき用前処理液及び無電解金めっき方法 - Google Patents
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即ち、本発明は下記の項目に係る発明を提供することである。
(1)亜硫酸及びその塩からなる群より選ばれた少なくとも1種類の成分と、チオ硫酸及びその塩からなる群より選ばれた少なくとも1種類の成分とを単独もしくは両方を含んだ水溶液に、フェニル化合物、アスコルビン酸化合物、ヒドラジン化合物、チオ尿素化合物から選ばれた1種類以上の成分を配合して成ることを特徴とする還元型無電解金めっき用前処理液。
(2)pHが4〜10であることを特徴とする上記(1)記載の還元型無電解金めっき用前処理液。
(3)置換金めっきが施された被めっき物を、上記(1)または(2)記載の還元型無電解金めっき用前処理液に浸漬させた後、水洗工程を行わないで直接、還元型無電解金めっき液に浸漬することを特徴とする無電解金めっき方法。
(還元型無電解金めっき用前処理液)
本発明の還元型無電解金めっき用前処理液は、亜硫酸及びその塩からなる群より選ばれた少なくとも1種類の成分と、チオ硫酸及びその塩からなる群より選ばれた少なくとも1種類の成分とを単独もしくは両方を含んだ水溶液に、更に、フェニル化合物、アスコルビン酸化合物、ヒドラジン化合物、チオ尿素化合物から選ばれた1種類以上の成分(化合物)を配合して成る。
亜硫酸塩はフェニル化合物、アスコルビン酸化合物、ヒドラジン化合物、チオ尿素化合物などの還元剤の酸化反応を防止するために使用される。使用できる亜硫酸塩としては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム等を挙げることができるが、これらの成分に限定されるものではない。添加量としては10〜100g/Lが好適であるが、10g/L未満であると添加した還元剤の酸化を抑制する効果が不十分で、還元剤が酸化されてしまい、長期間使用できない危険性がある。一方、100g/Lを超えると溶解性が低くなり、再結晶化が起こってしまう可能性がある。従って、より好適には20〜60g/L、更に好適には30〜50g/Lである。
チオ硫酸塩は上記亜硫酸塩と同様の効果を示す。使用できるチオ硫酸塩としてはチオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、チオ硫酸アンモニウム等を挙げることができるが、これらの成分に特に限定されるものではない。添加量としては10〜100g/Lが好適であるが、10g/L未満であると添加した還元剤の酸化を抑制する効果が不十分で、還元剤が酸化されてしまい、長期間使用できない危険性がある。一方、100g/Lを超えると溶解性が低くなり、再結晶化が起こってしまう可能性がある。従って、より好適には20〜60g/L、更に好適には30〜50g/Lである。
これらの物質は、一般的に、非シアン系の無電解金めっき液に使用されている還元剤である。無電解金めっき処理では、置換金めっき後、水洗を行い、更に上記還元型無電解金めっき用処理液に浸漬した後、水洗工程を行わないでそのまま、無電解金めっき液に入る。このため、還元剤が無電解金めっき液に持ち込まれるため、使用している無電解金めっきの還元剤と還元型無電解金めっき用前処理液の還元剤は同じ成分を使用したほうが好適であるが、しかし、これに特に限定されるものではない。
本発明の還元型無電解金めっき用前処理液のpHは、4〜10の範囲で使用することが好ましい。pHが4未満で使用した場合、還元剤成分の安定剤である亜硫酸ナトリウムやチオ硫酸ナトリウムが酸化されて、硫酸に変化してしまい効果が減少してしまうためである。また、pHを10超で使用する場合、弱アルカリ性であるため電子部品のレジスト等を痛め易くなるためである。
また、pHの調整の際には特に限定しないが、酸性に調整する場合は塩酸や硫酸、硝酸等の無機酸類やクエン酸、コハク酸、リンゴ酸等の有機酸を薄めた溶液で調整することができる。また、アルカリ性に調整する場合は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア溶液等を使用可能である。これらの液もある程度薄めて使用することが好ましい。
本発明の還元型無電解金めっき用前処理液にはpH緩衝剤を添加すると好ましい。使用できるpH緩衝剤は特に限定されるものではないが、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸等の有機酸類やエチレンジアミンやEDTA、ポリアミンカルボン酸、塩化アンモン等の水溶性アミン類、リン酸類、四ホウ酸ナトリウム等のホウ酸類も使用できる。使用濃度は10〜100g/Lの範囲で使用できる。10g/L未満であると、pH緩衝作用が少なく安定して長期間処理液を使用できない可能性がある。また、100g/Lを超えると塩濃度が高くなり、液中に再結晶化してしまう可能性がある。好適には20〜50g/Lで使用することが好ましい。
本発明では、プリント配線板の微細回路やスルーホールパット部分、ランド及びその他の電子部品接触部分、半導体パッケージのワイヤーボンディング端子、はんだボール接続部分や各種電子部品の端子部分を被めっき物とするのが好ましい。
また、本発明の還元型無電解金めっき用前処理液の使用方法は、まず、置換金めっきを形成した被めっき物に、本発明に記載されている還元型無電解金めっき用前処理液に被めっき物を接触させる。その後、水洗工程を行わない状態で、そのまま無電解金めっき液に浸漬する。水洗工程を行った場合、微小パット部分が再酸化されてしまい、微小部分に無電解金めっきが析出しない恐れがあるためである。
パット径50μm、ピッチ100μmのエリアアレイ状に形成された、5cm×5cm×1.0mmの独立した銅配線パットが形成されたBGA基板と比較用の銅板(2cm×2cm、板厚0.7mm)を使用した。このBGA基板と銅板に、一般的に独立回路基板専用の処理で使用されている無電解ニッケルめっき(中リン:5〜8%)を用いて、無電解ニッケルめっきを約5μm施した後、水洗し、更に一般的なプリント基板用置換金めっきを施し、無電解ニッケル上に置換金皮膜を0.05μm施した。その後、下記表1に示す各種還元型無電解金めっき用前処理液に浸漬した後、水洗工程を行わないで下記表1に示す無電解金めっき液に浸漬した。
BGA基板及び銅板の評価は、金属顕微鏡で目視観察をし、更に、蛍光X線膜厚計を用いて膜厚を測定した。また50μmパット部分は、20ヶ所測定して、一番薄い部分を比較することにより、前処理液の効果を確認した。
表1に実施例1〜4を示す。
実施例1は還元剤にフェニル化合物としてヒドロキノンを使用した。
実施例2は還元剤にアスコルビン酸ナトリウム、実施例3には硫酸ヒドラジン、実施例4にはチオ尿素を使用した。還元型無電解金めっき用前処理液には無電解金めっきのpHが液の持ち込みにより大きく変動しないように、塩酸を用いて7.5に調整して使用した。処理温度も基板表面の温度が大きく変動しないように、無電解金めっきとほぼ同じ65℃で使用した、また処理時間は5分とした。
表1に比較例1〜4に示す。比較例では、処理液中に含まれる還元剤を安定化させるための添加剤として亜硫酸ナトリウム及びチオ硫酸ナトリウムを添加しない条件で還元型無電解金めっき用前処理液を調合した。
実施例4のチオ尿素は、初期は溶解したものの時間が経過するに従って、液が白色に濁ってしまった。更に、常温(25℃)で保存や温度を65℃にすると沈殿物が発生した。これらの薬液を還元型無電解金めっき用前処理に用いて、水洗工程を行わないで表1に示す無電解金めっきを行った。
その結果、比較例1のヒドロキノン、比較例2のアスコルビン酸ナトリウム、比較例3の硫酸ヒドラジン、比較例4のチオ尿素ともに銅板上での析出は正常であったが、50μmパット部分では析出速度が若干上昇したものの、正常な銅板と比較して、約1/4しか金膜厚を得ることができなかった。
また、液に沈殿や濁りの発生しなかった比較例3の硫酸ヒドラジンも微小パット部分では析出し難いことが分かった。これは、沈殿物は生成されなかったものの、硫酸ヒドラジンの加水分解が発生して、微小パット部分の活性効果が低くなってしまったものと推定される。
従って、置換金めっき後これら処理液で処理を行い、水洗工程を行わないでそのまま無電解金めっきで処理することにより、微小で独立したパット部分へのめっきを安定して確保でき、プリント基板やパッケージ基板、半導体などの電子部品の更なる小型化、高性能化が可能となる。
Claims (3)
- 亜硫酸及びその塩からなる群より選ばれた少なくとも1種類の成分と、チオ硫酸及びその塩からなる群より選ばれた少なくとも1種類の成分とを単独もしくは両方を含んだ水溶液に、フェニル化合物、アスコルビン酸化合物、ヒドラジン化合物、チオ尿素化合物から選ばれた1種類以上の成分を配合して成ることを特徴とする還元型無電解金めっき用前処理液。
- pHが4〜10であることを特徴とする請求項1に記載の還元型無電解金めっき用前処理液。
- 置換金めっきが施された被めっき物を、請求項1または2に記載の還元型無電解金めっき用前処理液に浸漬させた後、水洗工程を行わないで直接、還元型無電解金めっき液に浸漬することを特徴とする無電解金めっき方法。
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