JP5214131B2 - 吸水伸長性複合糸および布帛 - Google Patents

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Description

本発明は吸水時伸長する複合糸に関し、より詳細には、着用発汗時に快適な布帛の製造に適した複合糸および布帛に関する。
従来の衣服は、スポーツなどの運動により発汗した際には布帛が吸汗し、肌と布帛が密着して、いわゆるべとつき感や蒸れ感を生じる。これを防止するために種々の布帛が開発されているが、布帛構造のみでは吸汗時の快適性に限界があり、これを解消するために使用する繊維の検討が進められ、吸汗時に伸長する繊維を使用した布帛が各種提案されている。例えば、特許文献1には、吸汗時に自己伸長する繊維を使用して、ニットループが吸水時に大きくなり、通気性が向上する生地が提案されているが、糸長比の制約があり、製法上複雑となる。また、特許文献2、3には、吸汗時に捲縮率が異なる繊維をサイドバイサイド型に接合した繊維を使用する布帛が開示されている。しかし、これらに用いる繊維は吸湿性がなく、身体の不感蒸泄による水分は吸収しないため、不快感があり、さらに、発汗時にもべとつき感や、蒸れ感が残るものであった。また、セルロース繊維を使用すれば吸湿性がよく、通常の着用時では快適であることが知られているが、運動などによる発汗時には吸汗量が不足して、べとつき感や蒸れ感を覚える。従って着用時、発汗時共に快適となる繊維は見当たらないのが現状である。
特開2005−36374公報 特開2006−112009公報 特開2005−23431公報
本発明の課題は、着用時快適で、かつ、発汗時にもべとつき感や蒸れ感のない布帛製造に適した複合糸、及び該複合糸により製造された布帛を提供することである。
本発明者は、上記課題を達成するため着用テストなどを含み鋭意検討した結果、吸汗時に自己伸長する画期的なセルロース繊維を含有する複合糸を使用した布帛により、上記課題が達成されることを見出した。
すなわち本願で特許請求される発明は以下のとおりである。
(1)ポリエステル系繊維とセルロース繊維とからなる複合糸において、該複合糸の捲縮伸長率が5〜20%であり、吸水伸長率が4%以上であることを特徴とする複合糸。
(2)少なくともポリエステル系繊維が仮撚り加工され、ポリエステル系繊維とセルロース繊維と流体混繊加工された複合糸であることを特徴とする(1)記載の複合糸。
(3)流体混繊加工されたポリエステル系繊維とセルロース繊維との混繊糸が仮撚り加工されてなることを特徴とする(2)記載の複合糸の製造方法。
(4)仮撚り加工されたポリエステル系繊維が、セルロース繊維と流体混繊加工されてなることを特徴とする(2)記載の複合糸の製造方法。
(5)仮撚り加工が、1ヒーター仮撚り法であることを特徴とする(3)または(4)に記載の複合糸の製造方法。
(6)仮撚り加工が、2ヒーター仮撚り法であることを特徴とする(3)または(4)に記載の複合糸の製造方法。
(7)流体混繊加工が、インターレースノズルを用いて行なうことを特徴とする(3)または(4)記載の複合糸の製造方法。
(8)流体混繊加工が、流体乱流ノズルを用いて行なうことを特徴とする(3)または(4)記載の複合糸の製造方法。
)ポリエステル系繊維とセルロース繊維とを複合したのち、アルカリ水溶液20g/L以上、20〜40、5分以上浸漬処理することを特徴とする(1)または(2)に記載の複合糸の製造方法。
10)(1)または(2)に記載の複合糸により製造された布帛。
本発明の複合糸を使用すれば、着用時快適で発汗時にもべとつき感や蒸れ感のない布帛が製造可能で、スポーツウェア、インナー、アウターなどの衣服に製造した時に、快適な着用感が得られる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明によるポリエステル系繊維とは、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維をいい、断面形状については任意で、丸断面の他、W型断面、あるいは中空糸などの異型糸の使用が可能である。さらに、これらポリエステル系繊維の仮撚り加工糸、押し込み加工糸などの加工糸が使用でき、特に限定されないが、仮撚り加工糸の使用が好ましい。繊維の太さについては、11dt(デシテックス:以下、同じ記号を使用)〜400dt、特に40dtから170dtが扱いやすく好ましい。
また、本発明によるセルロース繊維とは、キュプラ、レーヨン、竹繊維、綿などであり、特に再生セルロースが好ましい。また、複合糸とするためには、これらの長繊維の使用が好ましく、繊維の太さは11dt(デシテックス)〜400dt、特に40dtから170dtが扱いやすく好ましい。
本発明の複合糸におけるポリエステル系繊維とセルロース系繊維の混率は任意に設定可能であるが、好ましいセルロース繊維の混率は20〜80%、より好ましくは25〜75%である。
本発明の複合糸は、吸水伸長率が4%以上、好ましくは5%以上である。吸水伸長率が4%未満では、発汗時にべとつき感や蒸れ感が低減するのに必要な伸長性が得られない。セルロース繊維が吸水して伸長することにより吸水伸長率が4%以上の複合糸が得られる。この場合、通常のセルロース繊維とポリエステル系繊維との複合糸では、吸水伸長率が4%以上の複合糸が得られないが、本発明の複合糸をアルカリ水溶液中で処理することにより、セルロース繊維が吸水伸長する繊維となり、吸水伸長率が4%以上の複合糸とすることが出来る。
なお、セルロース繊維をアルカリ処理することは従来より知られており、例えばシルケット加工が最も一般的なものである。ところが本発明では、従来の常識を打ち破り、過酷なアルカリ処理により吸水時に伸長するセルロース繊維の製造に成功し、具体的には、例えばセルロース繊維を水酸化ナトリウムを20g/L(リットル)以上の水溶液で20℃以上の水中で、5分以上浸漬処理することにより吸水伸長する繊維が得られる。吸水伸長率の制御はこれら条件のコントロールにより可能で、アルカリ濃度、温度、時間など処理条件が弱いほど吸水伸長率は小さくなるが、処理条件を強くしすぎても、ある限度以上の吸水伸長率を有するセルロース繊維は得られない。またアルカリ処理剤としては公知のものが使用でき、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の使用が可能である。
アルカリ濃度としては20〜200g/L水溶液相当がより好ましく、処理温度、時間はそれぞれ20〜110℃で、5〜120分間処理することがより好ましい。また、アルカリ処理について、複合糸の状態で行う方法、布帛製造後に行う方法など任意であるが、布帛製造後に行うほうが容易である。
本発明において、複合糸の吸水伸長率の測定法は、20℃65%RH下の環境で、0.088cN/dtの荷重下で繊維長を測定(A)し、次いで、繊維を水に浸して2分後の長さを0.088cN/dtの荷重下で測定(B)し、下記式(2)により吸水伸長率を求める。尚、複合糸の吸水伸長率測定は、染色仕上げ後の布帛中より繊維を抜き出してから測定する。

吸水伸長率(%)=((B−A)/A)×100 (1)

本発明の複合糸は、捲縮伸長率が5〜20%、好ましくは、8〜18%である。捲縮伸長率が5%未満の場合には、吸汗時に十分な伸長性が得られず本発明の目的は達成されない。また20%を越える場合には、複合糸の捲縮性は十分であるが、捲縮が強すぎて吸汗時、セルロース繊維が伸張しても捲縮が伸びず、複合糸としては伸長性が十分に得られない。なお、複合糸の捲縮伸長率は、複合仮撚り後の複合糸を下記条件にて測定したものである。
20℃65%RH下の環境で24時間放置した複合糸を、張力0.088cN/dtで枠周1mの検尺機にて10周巻取り、小綛にし、小綛下端に0.26×10-3cN/dtの荷重をかけたまま乾燥機にて90℃×15分の乾熱処理を行う。処理終了後、0.26×10-3cN/dtの荷重を取り外し、20℃65%RH下の環境で24時間放置する。次いで、小綛の上端を固定し、小綛下端に1.77×10-3cN/dtの荷重をかけ、30秒後の長さ(A)を測定する。次いで、1.77×10-3cN/dtの荷重を取り外し、0.088cN/dtの荷重をかけ、30秒後の長さ(B)を測定し、下記式(2)により捲縮伸長率を求める。

捲縮伸長率(%)=((B−A)/A)×100 (2)

本発明における複合糸の製造方法としては、仮撚り機を使用して仮撚り加工と流体混繊加工を同時に行う方法や、別途用意した加工糸を流体混繊加工機を使用して複合する方法があげられる。前者の方法では、仮撚り加工前に流体混繊加工を行っても、仮撚加工後に流体混繊加工を行ってもよい。仮撚り加工方法としては一般に用いられているピンタイプ、ディスクフリクションタイプ、ニップベルトタイプ、エアー加撚タイプ等どの方法でもよい。また、ヒーターについては1ヒーター仮撚り法、2ヒーター仮撚り法のどちらでもよいが、複合糸の吸汗時の伸長性を阻害しないためには1ヒーター仮撚り法が好ましい。
本発明におけるポリエステル系繊維とセルロース繊維の複合方法としては、流体混繊加工や複合撚糸加工等があげられるが、吸水伸長性を阻害しない点から、例えばインターレースノズルや流体乱流ノズルを用いた、流体混繊加工が好ましい。
複合糸の流体混繊加工において、インターレースノズルを用いた流体混繊加工により得られる交絡数は50〜120個/mが好ましい。50個/m未満では布帛とした際にセルロースの目ムキが生じ易く、また120個/mより多いと、ポリエステル系繊維とセルロース繊維との絡みつきが多くなりすぎ、吸汗時の伸長性を阻害することがある。この時のポリエステル系繊維とセルロース繊維のフィード率は同率で良いが、フィード差を0〜5%程度で加工することも可能である。また、流体乱流ノズルを用いた流体混繊加工では、糸ずれしない交絡強度があり、且つ、解舒性に問題ない形態が得られるような混繊条件であればよく、例えば芯糸のフィード率が1〜5%、鞘糸のフィード率が5〜15%、芯糸と鞘糸のフィード率差が3〜10%程度が好ましい。
本発明における複合糸の仮撚り加工において、第1ヒーター温度は120〜230℃が好ましい。230℃より高いとポリエステル系繊維の融着や著しい強度低下、糸切れが発生し、120℃未満では吸汗時に伸長するのに必要な捲縮が得られない。仮撚り数においては一般に用いられる範囲でよく、下記式にて算出される。この場合、仮撚り数の係数Kの値が18500〜37000の範囲であることが好ましい。
仮撚り数(T/M)=K/(仮撚り糸の繊度(dtex))1/2
延伸倍率については、走行性や加工性に支障をきたさない範囲で、加撚張力として10〜30cNが好ましい。
また必要に応じて、第1ヒーターに第2ヒーターを併用し、2ヒーター仮撚り糸としても良い。この時の第2ヒーター温度は100〜200℃が好ましく、200℃より高いと捲縮性が低下し、吸汗時のセルロース繊維の伸長性が阻害され、100℃未満では捲縮性が高いため、同様に吸汗時のセルロース繊維の伸長性が阻害される。
本発明による布帛は、捲縮伸長率が5〜20%であり、吸水伸長率が4%以上である前記複合糸を使用して製造される。この布帛は、該複合糸100%使いでも良く、また、非吸水伸長繊維と交編、交織して布帛製造することも可能である。本発明の複合糸の布帛中の混率については、布帛設計により得られる本発明の効果を加味して任意に設定可能である。なお、上記非吸水伸長繊維とは、本発明による吸水伸長率測定法で測定した結果、吸水伸長率が4%未満の繊維をいい、ポリエステル、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリウレタン系繊維、セルロース系繊維、アセテート、綿、ウールなど、任意の繊維の長繊維、あるいは短繊維であり、これらの断面形状も任意で、丸断面の他、W型断面、あるいは中空糸などの異型糸の使用が可能である。これら任意の繊維との交編、交織により、本発明の複合糸が吸汗した際、布帛を構成する編目や織糸が伸びて大きくなり、吸汗部分の密度が下がるように設計すれば、運動などの発汗時に蒸れ感を覚えない衣服製造が可能となる。この蒸れ感を覚えない衣服を製造する場合は、織物よりも編物の方が高い効果が得られる。
本発明による衣服は、着用発汗時には複合糸が伸長して吸汗部分の密度が低下し、蒸れ感を覚えないが、その機能を十分発揮するためには、吸汗時の通気性が10%以上増加するように布帛設計するのが好ましく、例えば、フライス組織で、非吸水伸長繊維と本発明の複合糸との構成を、1本交互や3本に1本の割合で配置するなどの設計が考慮される。
本発明の、複合糸を含む布帛の染色加工方法は、糸状態、布帛状態とも通常の染色仕上げ工程が使用でき、使用する染色機も複合糸状態での加工はチーズ染色機の使用、布帛状態での加工は液流染色機、ウインス染色機など任意な染色機の使用ができる。ただし、染色加工工程中にアルカリ処理が必要であり、本発明の場合は、染色機を使用し染色前にアルカリ処理を行い、その後、繊維素材に応じた染色条件による染色を行うのが好ましい。また、布帛状態での加工において、仕上げセットは布帛乾燥時に皺になったり、突っ張ったりしないように仕上げればよい。また、仕上げ剤として、吸水剤の付与を行うと、より吸汗性が向上し好ましい。
以下、実施例により本発明を詳述する。無論、本発明はこれに限定されるものではない。
なお、実施例における評価は以下の方法により測定した。
(1)着用快適性
実施例による布帛で運動シャツを縫製し、発汗するまで運動して、着用快適性を10名
の被験者で官能評価し、その平均値を着用快適性とした。
実際に問題ないのは下記3以上である。
5 : 発汗しても衣服のべとつき感や、蒸れ感がなく極めて快適
4 : 発汗時、べとつき感、蒸れ感を覚えない
3 : 発汗時、僅かに衣服がややべとつくが快適である
2 : 発汗時、べとつき感、蒸れ感を覚える
1 : 発汗時、かなりべとつき、蒸れ感も甚だしく不快である
[実施例1]
キュプラ繊維(Cuと表記)56dt/30fとポリエステルW型断面糸56dt/30fとを、仮撚り加工前に阿波スピンドル社製インターレースノズルMK−2にて80個/mの交絡を入れた後に、TMTマシナリー社製マッハ33Hニップベルトタイプ仮撚り機にて加工速度300m/分、第1ヒーター温度200℃、ツイスターベルト角95°、延伸倍率0.984倍の条件で1ヒーター仮撚にて複合糸を試作した。この複合糸の捲縮伸長率は12.1%であった。この複合糸と非吸水繊維84dt/36fのポリエステル繊維(PETと表記)の2ヒーター仮撚り加工糸を28ゲージの丸編機を使用して交互になるよう配置して編成したフライス編地を下記条件にて染色仕上げ加工を行い、その布帛から複合糸を抜き出し吸水伸長率を測定したところ6.3%であった。
編成した生機を液流染色機に投入し、80℃×20分精練し排水後、水酸化ナトリウムを60g/Lの濃度で30℃×20分間アルカリ処理した。次いで、130℃でエステル側のみ染色を行い、染色上がりの編地は凹凸状となっているため、ショートループドライヤーを使用して乾燥後、ピンテンターにて編地のしわが取れる程度に伸長して170℃×60秒にて仕上げセットを行った。
得られた編地の運動発汗時の、快適性着用試験を行った。着用試験の結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1において、第1ヒーター温度を150℃とした以外は同じ糸種、同じ仮撚り条件で複合糸を試作した。この複合糸の捲縮伸長率は5.7%であった。この複合糸と非吸水繊維84dt/36fのポリエステル繊維の2ヒーター仮撚り加工糸を28ゲージの丸編機を使用して交互になるよう配置して編成したフライス編地を下記条件にて染色仕上げ加工を行い、その布帛から複合糸を抜き出し吸水伸長率を測定したところ5.3%であった。
編成した生機を液流染色機に投入し、80℃×20分精練し排水後、水酸化ナトリウムを60g/Lの濃度で30℃×20分間アルカリ処理した。次いで、130℃でエステル側のみ染色を行い、染色上がりの編地は凹凸状となっているため、ショートループドライヤーを使用して乾燥後、ピンテンターにて編地のしわが取れる程度に伸長して170℃×60秒にて仕上げセットを行った。
得られた編地の運動発汗時の、快適性着用試験を行った。着用試験の結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1において、第1ヒーター温度を220℃、ツイスターベルト角を105°とした以外は同じ糸種、同じ仮撚り条件で複合糸を試作した。この複合糸の捲縮伸長率は18.8%であった。この複合糸と非吸水繊維84dt/36fのポリエステル繊維の2ヒーター仮撚り加工糸を28ゲージの丸編機を使用して交互になるよう配置して編成したフライス編地を下記条件にて染色仕上げ加工を行い、その布帛から複合糸を抜き出し吸水伸長率を測定したところ5.0%であった。
編成した生機を液流染色機に投入し、80℃×20分精練し排水後、水酸化ナトリウムを60g/Lの濃度で30℃×20分間アルカリ処理した。次いで、130℃でエステル側のみ染色を行い、染色上がりの編地は凹凸状となっているため、ショートループドライヤーを使用して乾燥後、ピンテンターにて編地のしわが取れる程度に伸長して170℃×60秒にて仕上げセットを行った。
得られた編地の運動発汗時の、快適性着用試験を行った。着用試験の結果を表1に示す。
[実施例4]
キュプラ繊維56dt/30fとポリエステルW型断面糸56dt/30fとを、仮撚り加工前に阿波スピンドル社製インターレースノズルMK−2にて80個/mの交絡を入れた後に、TMTマシナリー社製マッハ33Hニップベルトタイプ仮撚り機にて加工速度300m/分、第1ヒーター温度200℃、ツイスターベルト角95°、延伸倍率0.984倍、第2ヒーター温度150℃、第2フィード率5.0%の条件で2ヒーター仮撚にて複合糸を試作した。この複合糸の捲縮伸長率は8.4%であった。この複合糸と非吸水繊維84dt/36fのポリエステル繊維の2ヒーター仮撚り加工糸を28ゲージの丸編機を使用して交互になるよう配置して編成したフライス編地を下記条件にて染色仕上げ加工を行い、その布帛から複合糸を抜き出し吸水伸長率を測定したところ7.2%であった。
編成した生機を液流染色機に投入し、80℃×20分精練し排水後、水酸化ナトリウムを60g/Lの濃度で30℃×20分間アルカリ処理した。次いで、130℃でエステル側のみ染色を行い、染色上がりの編地は凹凸状となっているため、ショートループドライヤーを使用して乾燥後、ピンテンターにて編地のしわが取れる程度に伸長して170℃×60秒にて仕上げセットを行った。
得られた編地の運動発汗時の、快適性着用試験を行った。着用試験の結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例1において、ツイスターベルト角を105°とした以外は同じ糸種、同じ仮撚り条件で複合糸を試作した。この複合糸の捲縮伸長率は16.1%であった。この複合糸と非吸水繊維84dt/36fのポリエステル繊維の2ヒーター仮撚り加工糸を28ゲージの丸編機を使用して交互になるよう配置して編成したフライス編地を下記条件にて染色仕上げ加工を行い、その布帛から複合糸を抜き出し吸水伸長率を測定したところ6.8%であった。
編成した生機を液流染色機に投入し、80℃×20分精練し排水後、水酸化ナトリウムを60g/Lの濃度で30℃×20分間アルカリ処理した。次いで、130℃でエステル側のみ染色を行い、染色上がりの編地は凹凸状となっているため、ショートループドライヤーを使用して乾燥後、ピンテンターにて編地のしわが取れる程度に伸長して170℃×60秒にて仕上げセットを行った。
得られた編地の運動発汗時の、快適性着用試験を行った。着用試験の結果を表1に示す。
[実施例6]
実施例1において、第1ヒーター温度を220℃とした以外は同じ糸種、同じ仮撚り条件で複合糸を試作した。この複合糸の捲縮伸長率は12.2%であった。この複合糸と非吸水繊維84dt/36fのポリエステル繊維の2ヒーター仮撚り加工糸を28ゲージの丸編機を使用して交互になるよう配置して編成したフライス編地を下記条件にて染色仕上げ加工を行い、その布帛から複合糸を抜き出し吸水伸長率を測定したところ5.7%であった。
編成した生機を液流染色機に投入し、80℃×20分精練し排水後、水酸化ナトリウムを60g/Lの濃度で30℃×20分間アルカリ処理した。次いで、130℃でエステル側のみ染色を行い、染色上がりの編地は凹凸状となっているため、ショートループドライヤーを使用して乾燥後、ピンテンターにて編地のしわが取れる程度に伸長して170℃×60秒にて仕上げセットを行った。
得られた編地の運動発汗時の、快適性着用試験を行った。着用試験の結果を表1に示す。
[実施例7]
レーヨン繊維(Raと表記)84dt/31fと、ポリエステルW型断面糸84dt/30fとを、仮撚り加工前に阿波スピンドル社製インターレースノズルMK−2にて80個/mの交絡を入れた後に、TMTマシナリー社製マッハ33Hニップベルトタイプ仮撚り機にて加工速度300m/分、第1ヒーター温度200℃、ツイスターベルト角95°、延伸倍率0.984倍の条件で1ヒーター仮撚にて複合糸を試作した。この複合糸の捲縮伸長率は15.0%であった。この複合糸と非吸水繊維167dt/72fのポリエステル2ヒーター仮撚り加工糸を22ゲージの丸編機を使用して交互になるよう配置して編成したフライス編地を下記条件にて染色仕上げ加工を行い、その布帛から複合糸を抜き出し吸水伸長率を測定したところ11.5%であった。
編成した生機を液流染色機に投入し、80℃×20分精練し排水後、水酸化ナトリウムを60g/Lの濃度で30℃×20分間アルカリ処理した。次いで、130℃でエステル側のみ染色を行い、染色上がりの編地は凹凸状となっているため、ショートループドライヤーを使用して乾燥後、ピンテンターにて編地のしわが取れる程度に伸長して170℃×60秒にて仕上げセットを行った。
得られた編地の運動発汗時の、快適性着用試験を行った。着用試験の結果を表1に示す。
[実施例8]
ポリエステルW型断面糸56dt/60fを、TMTマシナリー社製ATF−21ディスクフリクションタイプ仮撚り機にて加工速度400m/分、第1ヒーター温度180℃、ウレタンディスク枚数4枚、延伸倍率1.050倍の条件で仮撚り加工し得られた1ヒーター仮撚糸とキュプラ繊維56dt/30fとを仮撚り後にヘバライン社製インターレースノズルP−142にて70個/mの交絡を入れて複合糸とした。この複合糸の捲縮伸長率は12.1%であった。この複合糸と非吸水繊維84dt/36fのポリエステル繊維の2ヒーター仮撚り加工糸を28ゲージの丸編機を使用して2本置きになるよう配置して編成したスムース編地を下記条件にて染色仕上げ加工を行い、その布帛から複合糸を抜き出し吸水伸長率を測定したところ4.5%であった。
編成した生機を液流染色機に投入し、80℃×20分精練し排水後、水酸化ナトリウム
50g/Lの濃度で40℃×30分間アルカリ処理した。次いで、130℃でエステル側のみ染色を行い、染色上がりの編地は凹凸状となっているため、ショートループドライヤーを使用して乾燥後、ピンテンターにて編地のしわが取れる程度に伸長して170℃×60秒にて仕上げセットを行った。
得られた編地の運動発汗時の、快適性着用試験を行った。着用試験の結果を表1に示す。
[実施例9]
ポリエステル丸型断面糸56dt/36fを、TMTマシナリー社製ATF−21ディスクフリクションタイプ仮撚り機にて加工速度500m/分、第1ヒーター温度220℃、ウレタンディスク枚数4枚、延伸倍率1.050倍、第2ヒーター温度190℃、第2フィード率5.0%の条件で仮撚り加工し得られた2ヒーター仮撚糸とキュプラ繊維56dt/30fとを仮撚り後にヘバライン社製流体乱流ノズルT−311にてキュプラ繊維のフィード率4%、ポリエステル1ヒーター仮撚り糸のフィード率12%で交絡処理をし、複合糸とした。この複合糸の捲縮伸長率は16.1%であった。この複合糸と非吸水繊維84dt/36fのポリエステル繊維の2ヒーター仮撚り加工糸を22ゲージの丸編機を使用して交互になるよう配置して編成したフライス編地を下記条件にて染色仕上げ加工を行い、その布帛から複合糸を抜き出し吸水伸長率を測定したところ4.2%であった。
編成した生機を液流染色機に投入し、80℃×20分精練し排水後、水酸化ナトリウムを60g/Lの濃度で20℃×15分間アルカリ処理した。次いで、130℃でエステル側のみ染色を行い、染色上がりの編地は凹凸状となっているため、ショートループドライヤーを使用して乾燥後、ピンテンターにて編地のしわが取れる程度に伸長して170℃×60秒にて仕上げセットを行った。
得られた編地の運動発汗時の、快適性着用試験を行った。着用試験の結果を表1に示す。
[比較例1]
ポリエステルW型断面糸56dt/30fを、TMTマシナリー社製ATF−21ディスクフリクションタイプ仮撚り機にて加工速度400m/分、第1ヒーター温度200℃、ウレタンディスク枚数5枚、延伸倍率1.050倍の条件で仮撚り加工し得られた1ヒーター仮撚糸とキュプラ繊維56dt/30fとを仮撚り後にヘバライン社製インターレースノズルP−142にて70個/mの交絡を入れて複合糸とした。この複合糸の捲縮伸長率は21.9%であった。この複合糸と非吸水繊維84dt/36fのポリエステル繊維の2ヒーター仮撚り加工糸を28ゲージの丸編機を使用して2本置きになるよう配置して編成したスムース編地を下記条件にて染色仕上げ加工を行い、その布帛から複合糸を抜き出し吸水伸長率を測定したところ8.7%であった。
編成した生機を液流染色機に投入し、80℃×20分精練し排水後、水酸化ナトリウム
50g/Lの濃度で40℃×30分間アルカリ処理した。次いで、130℃でエステル側のみ染色を行い、染色上がりの編地は凹凸状となっているため、ショートループドライヤーを使用して乾燥後、ピンテンターにて編地のしわが取れる程度に伸長して170℃×60秒にて仕上げセットを行った。
得られた編地の運動発汗時の、快適性着用試験を行った。着用試験の結果を表1に示す。
[比較例2]
ポリエステルW型断面糸56dt/30fを、TMTマシナリー社製ATF−21ディスクフリクションタイプ仮撚り機にて加工速度500m/分、第1ヒーター温度220℃、ウレタンディスク枚数4枚、延伸倍率1.050倍、第2ヒーター温度190℃、第2フィード率5.0%の条件で仮撚り加工し得られた2ヒーター仮撚糸とキュプラ繊維56dt/30fとを仮撚り後にヘバライン社製インターレースノズルP−142にて70個/mの交絡を入れて複合糸とした。この複合糸の捲縮伸長率は3.0%であった。この複合糸と非吸水繊維84dt/36fのポリエステル繊維の2ヒーター仮撚り加工糸を22ゲージの丸編機を使用して交互になるよう配置して編成したフライス編地を下記条件にて染色仕上げ加工を行い、その布帛から複合糸を抜き出し吸水伸長率を測定したところ1.1%であった。
編成した生機を液流染色機に投入し、80℃×20分精練し排水後、水酸化ナトリウムを60g/Lの濃度で20℃×15分間アルカリ処理した。次いで、130℃でエステル側のみ染色を行い、染色上がりの編地は凹凸状となっているため、ショートループドライヤーを使用して乾燥後、ピンテンターにて編地のしわが取れる程度に伸長して170℃×60秒にて仕上げセットを行った。
得られた編地の運動発汗時の、快適性着用試験を行った。着用試験の結果を表1に示す。
[比較例3]
実施例1と同じ複合糸を使用し、この複合糸と非吸水繊維84dt/36fのポリエステル繊維の2ヒーター仮撚り加工糸を28ゲージの丸編機を使用して交互になるよう配置して編成したフライス編地を下記条件にて染色仕上げ加工を行い、その布帛から複合糸を抜き出し吸水伸長率を測定したところ2.3%であった。
編成した生機を液流染色機に投入し、80℃×20分精練し排水後、アルカリ処理をしないで130℃でエステル側のみ染色を行い、染色上がりの編地は凹凸状となっているため、ショートループドライヤーを使用して乾燥後、ピンテンターにて編地のしわが取れる程度に伸長して170℃×60秒にて仕上げセットを行った。
得られた編地の運動発汗時の、快適性着用試験を行った。着用試験の結果を表1に示す。
[比較例4]
実施例1と同じ複合糸を使用し、この複合糸と非吸水繊維84dt/36fのポリエステル繊維の2ヒーター仮撚り加工糸を28ゲージの丸編機を使用して交互になるよう配置して編成したフライス編地を下記条件にて染色仕上げ加工を行い、その布帛から複合糸を抜き出し吸水伸長率を測定したところ2.2%であった。
編成した生機を液流染色機に投入し、80℃×20分精練し排水後、水酸化ナトリウムを10g/Lの濃度で10℃×3分間アルカリ処理した。次いで、130℃でエステル側のみ染色を行い、染色上がりの編地は凹凸状となっているため、ショートループドライヤーを使用して乾燥後、ピンテンターにて編地のしわが取れる程度に伸長して170℃×60秒にて仕上げセットを行った。
得られた編地の運動発汗時の、快適性着用試験を行った。着用試験の結果を表1に示す。
Figure 0005214131
本発明による複合糸を使用して布帛を製造すれば、着用時快適で、かつ、発汗時にもべとつき感や蒸れ感のない衣服が製造可能で、スポーツウェア、インナー、アウターなど衣服に於いて、快適な着用感が得られる。

Claims (10)

  1. ポリエステル系繊維とセルロース繊維とからなる複合糸において、該複合糸の捲縮伸長率が5〜20%であり、吸水伸長率が4%以上であることを特徴とする複合糸。
  2. 少なくともポリエステル系繊維が仮撚り加工され、ポリエステル系繊維とセルロース繊維と流体混繊加工された複合糸であることを特徴とする請求項1記載の複合糸。
  3. 流体混繊加工されたポリエステル系繊維とセルロース繊維との混繊糸が仮撚り加工されてなることを特徴とする請求項2記載の複合糸の製造方法。
  4. 仮撚り加工されたポリエステル系繊維が、セルロース繊維と流体混繊加工されてなることを特徴とする請求項2記載の複合糸の製造方法。
  5. 仮撚り加工が、1ヒーター仮撚り法であることを特徴とする請求項3または4に記載の複合糸の製造方法。
  6. 仮撚り加工が、2ヒーター仮撚り法であることを特徴とする請求項3または4に記載の複合糸の製造方法。
  7. 流体混繊加工が、インターレースノズルを用いて行なうことを特徴とする請求項3または4記載の複合糸の製造方法。
  8. 流体混繊加工が、流体乱流ノズルを用いて行なうことを特徴とする請求項3または4記載の複合糸の製造方法。
  9. ポリエステル系繊維とセルロース繊維とを複合したのち、アルカリ水溶液20g/L以上、20〜40、5分以上浸漬処理することを特徴とする請求項1または2に記載の複合糸の製造方法。
  10. 請求項1または2に記載の複合糸により製造された布帛。
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