JP7050441B2 - ダブルニット - Google Patents
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Description
第1の編糸は、第1のポリウレタン糸および第1のポリウレタン糸以外の非弾性糸を含む複合糸を含む。
複合糸は、第1のポリウレタン糸と、第1のポリウレタン糸以外の非弾性糸と、を含む。
複合糸の形態は、特に限定されず、例えば、カバリング糸、合撚糸、あるいは交絡糸(例えば、エア交絡糸)等が挙げられる。なかでも、複合糸は、カバリング糸であることが好ましい。これにより、第1のポリウレタン糸の伸縮性が発揮され易くなる。
第1のポリウレタン糸の繊度は、11~56dtexであることが好ましく、15~44dtexであることがより好ましい。繊度が11dtex以上であると、第1の編糸および第2の編糸を含むダブルニットを熱セットする場合の断糸が抑制され易く、ダブルニットの伸長回復性や伸縮力の低下が生じ難い。繊度が56dtex以下であると、編立性が向上し易く、また、ダブルニットの伸縮力が過剰になることが抑制される。
熱応力試験機(例えば、旧鐘紡エンジニアリング(株)製、KE-2S)を用いて測定することができる。試験機の上下に、フックを有する治具を取り付け、上下のフック間に測定するポリウレタン糸を10回綛(カセ)巻きする。綛巻きされたポリウレタン糸に初期荷重を20cN掛けた状態で、ポリウレタン糸の周囲を2.2℃/秒で加熱し、綛巻きされたポリウレタン糸にかかる荷重が再び20cNになる温度を測定する。この測定を2回行い、2回の測定値の平均値を熱変形開始温度とする。
第1の編糸に含まれる非弾性糸は、例えば、第1のポリウレタン糸よりも小さい弾性率を有する繊維である。このような繊維としては、ポリエステル、ナイロン、アクリル、ポリビニルアルコール等の合成繊維;レーヨン等の再生セルロース繊維;綿、麻、羊毛、絹等の天然繊維;およびこれらの複合繊維が用いられる。特に、ポリエステル、ナイロンおよび再生セルロース繊維が好ましい。非弾性糸は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、ダブルニットに対して、後述するスルホン酸塩処理および熱セット処理を行う場合、非弾性糸は、ポリエステル、ナイロンおよび再生セルロース繊維を含むことが好ましい。スルホン酸塩を含む処理液を付与した後、高温(例えば、195~205℃)で熱セットしても、黄変等の糸の脆化が抑制され易いためである。
第2の編糸は、第2のポリウレタン糸を含む。第2の編糸には、第2のポリウレタン糸以外に、第1の編糸において、複合糸以外の糸として例示した糸を含んでもよい。ただし、目ムキが生じ難く、かつ従来のダブルニットと同等以上の伸縮力が得られ易い点で、第2の編糸中、第2のポリウレタン糸が占める割合は、90質量%以上であることが好ましい。
第2のポリウレタン糸の繊度は、11~56dtexであることが好ましく、17~44dtexであることがより好ましい。繊度が11dtex以上であると、第1の編糸および第2の編糸を含むダブルニットを熱セットする場合の断糸が抑制され易く、ダブルニットの伸長回復性や伸縮力の低下が生じ難い。繊度が56dtex以下であると、編立性が向上し易く、また、ダブルニットの伸縮力が過剰になることが抑制される。
本実施形態のダブルニットは、第1の編糸がダブルニットの両方の表面に配置され、ダブルニット内側に第2の編糸が配置されるようにプレーティング編成されたダブルニットである。
パワー値は、例えば、下記のようにして測定される。
ダブルニットから幅2.5cm、長さ16cmの試験片を、緯方向および経方向にそれぞれ3枚切り出す。緯方向に長さ16cmの試験片は、緯方向のパワー値を求める場合に用い、経方向に長さ16cmの試験片は、経方向のパワー値を求める場合に用いる。このような大きさの試験片が測定対象のダブルニットから切り出せない場合、これより小さいサイズの試験片を用いても差し支えない。ただし、試験片が小さくなるほど、測定誤差が大きくなるため、可能な範囲で上記サイズに近い試験片を切り出して採取し、測定することが好ましい。
ダブルニットから幅2.5cm、長さ16cmの試験片を、緯方向および経方向にそれぞれ3枚切り出す。緯方向に長さ16cmの試験片は、緯方向の定荷重伸度の測定に用い、経方向に長さ16cmの試験片は、経方向の定荷重伸度の測定に用いる。定荷重伸度は、定速伸長型引張試験機(オートグラフ、(株)島津製作所製、AG-500D)を用いて測定する。引張試験機の試験片つかみ部に、つかみ間隔が10cmとなるように試験片を取り付け、その後、伸長速度300mm/分で試験片を緯方向または経方向に14.7N荷重時の伸度を測定する。測定時の環境は温度20℃、相対湿度65%にする。
ダブルニットから幅2.5cm、長さ16cmの試験片を、緯方向および経方向にそれぞれ3枚切り出す。緯方向に長さ16cmの試験片は、緯方向の伸長回復率の測定に用い、経方向に長さ16cmの試験片は、経方向の伸長回復率の測定に用いる。伸長回復率は、定速伸長型引張試験機(オートグラフ、(株)島津製作所製、AG-500D)を用いて測定する。試験機の試験片つかみ部には、歯形状のチャック治具を用いる。上部つかみ長が2.5cm、下部つかみ長が3.5cmになるようにして、試験片を試験機に取り付け、定荷重伸度に応じて表1の条件で伸度を測定する。30±2cm/分の速度で伸長回復を3回繰り返し、伸長回復曲線を描く。設定伸度および残留伸度を読み取り、下記の式(1)により回復率を計算する。
回復率(%)=(L-L0)/L×100 (1)
(式中、Lは設定伸度、L0は残留伸びである。)
本実施形態のダブルニットは、平編、ゴム編、パール編、丸編、インターロック編等の緯編により適宜編成される。なかでも、ダブルニットは、インターロック編を基に編成されることが好ましい。これにより、組織が表裏同一であり、なめらかで適度な伸縮力を有するダブルニットを得ることができる。
ダブルニットは、熱セットされる場合、非弾性糸の黄変や脆化が抑制される点で、スルホン酸塩処理することが好ましい。
スルホン酸塩処理は、ダブルニットを、スルホン酸塩を含む処理液に浸漬することにより行われる。スルホン酸塩を含む処理液とは、スルホン酸塩、不揮発性酸、キレート剤等を含む水溶液である。スルホン酸塩としては、ベンゼンスルホン酸ナトリウム等が用いられる。不揮発性酸としては、酒石酸等が用いられる。キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等が用いられる。処理液の成分およびそれらの濃度は、ダブルニットに含まれる糸の種類等に応じて適宜調整されるが、例えば、ベンゼンスルホン酸ナトリウムを4質量%、酒石酸を1質量%、EDTAを0.1質量%含む水溶液を処理液として用いることができる。
ダブルニットは熱セットされることが好ましい。熱セットを行うことにより、第1のポリウレタン糸同士、第2のポリウレタン糸同士が接触して変形した状態で適度に固定される。これにより、ランやカールのないダブルニットが得られる。
ダブルニットには、従来公知の方法により、精練、染色、樹脂加工、起毛、シレー加工等の通常、編地に施される加工が行われてもよい。最後に、仕上密度が設計値になるように、熱処理等のファイナルセットが施される。
(1)複合糸の作製
複合糸としてカバリング糸を作製した。カバリング糸の芯糸として22dtexのポリウレタン糸(第1のポリウレタン糸、東レ・オペロンテックス(株)製、 ライクラ(登録商標)T-127C、熱変形開始温度178℃)、鞘糸として22dtex/7fのナイロンフィラメント糸(非弾性糸)を用いた。カバリング機を使用し、芯糸をドラフト比2.3で延伸しつつ、撚り数300T/mで、芯糸にZ撚で鞘糸を巻きつけ、シングルカバリング糸(複合糸)を得た。複合糸の繊度は28.6dtexであった。
(1)で得た複合糸および22dtex/7fのナイロンフィラメント糸を第1の編糸、33dtexのポリウレタン糸(第2のポリウレタン糸、熱変形開始温度178℃)を第2の編糸として用いた。
(株)福原精機製作所製のダブル丸編み機(303.07cm径、40ゲージ)を用いて、第1の編糸および第2の編糸を、同じフィーダからダイヤル・シリンダ両面の針に同時に給糸し、プレーティング編にて編み込み、編地内側に第2のポリウレタン糸が配置されるようにスムース編み組織にてダブルニットを編成した。22dtex/7fのナイロンフィラメント糸は、(1)で得た複合糸と1本ずつ交互に配列するよう交編させた。
得られたダブルニットを精練した後、ベンゼンスルホン酸ナトリウム4質量%、酒石酸(不揮発性酸)1質量%、EDTA(キレート剤)0.1質量%を含む水溶液に、常温で5秒間浸漬した。その後、ダブルニットを195℃で1分間、乾熱セットした。
得られたダブルニットについて以下の評価を行った。結果を表2に示す。
<パワー値>
得られたダブルニットから幅2.5cm、長さ16cmの試験片を、緯方向および経方向にそれぞれ3枚切り出した。緯方向に長さ16cmの試験片は、緯方向のパワー値を求める場合に用い、経方向に長さ16cmの試験片は、経方向のパワー値を求める場合に用いた。上部つかみ長を2.5cm、下部つかみ長を3.5cm、つかみ間隔を10cmとし、定速伸長型引張試験機(オートグラフ、(株)島津製作所製、AG-500D)を用いて測定した。
また、緯方向に伸長させた場合において、得られたパワー値P1(30)およびP1(15)を、ダブルニットの目付で除した値と、SR1(15)を、ダブルニットの目付で除した値を求めた。
得られたダブルニットから幅2.5cm、長さ16cmの試験片を、緯方向および経方向にそれぞれ3枚切り出した。緯方向に長さ16cmの試験片は、緯方向の定荷重伸度の測定に用い、経方向に長さ16cmの試験片は、経方向の定荷重伸度の測定に用いた。定速伸長型引張試験機(オートグラフ、(株)島津製作所製、AG-500D)に、つかみ間隔が10cmとなるように試験片を取り付け、伸長速度300mm/分で試験片を緯方向または経方向に14.7N荷重時の伸度を測定した。測定時の環境は温度20℃、相対湿度65%であった。
ダブルニットから幅2.5cm、長さ16cmの試験片を、緯方向および経方向にそれぞれ3枚切り出した。緯方向に長さ16cmの試験片は、緯方向の伸長回復率の測定に用い、経方向に長さ16cmの試験片は、経方向の伸長回復率の測定に用いた。伸長回復率は、定速伸長型引張試験機(オートグラフ、(株)島津製作所製、AG-500D)により測定した。試験機の試験片つかみ部には、歯形状のチャック治具を用いた。上部つかみ長が2.5cm、下部つかみ長が3.5cmとなるようにして試験片を試験機に取り付け、表1の条件で伸度を測定した。その後、30±2cm/分の速度で伸長回復を3回繰り返し、伸長回復曲線を描いた。設定伸度および残留伸度を読み取り、式(1)により回復率を計算した。
締め付け感を、緯方向における応力SR1(15)の値より、下記基準により評価した。
最良: SR1(15)が25~50cNである
良 : SR1(15)が20cN以上25cN未満、または、
50cNより大きく100cN以下である
不良: SR1(15)が20cN未満、または、100cNより大きい
着用感を、上記締め付け感評価に、経方向における応力SR2(15)の値を下記基準により評価した結果を加味し、評価した。具体的には、応力SR1(15)に関する上記評価および応力SR2(15)に関する下記評価のうち、低い方の評価を着用感の評価とした。
最良: SR2(15)が25~50cNである
良 : SR2(15)が10以上25cN未満、または、
50cNより大きく100cN以下である
不良: SR2(15)が10cN未満、または、100cNより大きい
ダブルニットをタテおよびヨコに30%伸長し、目視により目ムキを判断した
最良: 目ムキが少なく、ギラツキがほとんど見られない。
良 : 目ムキにより、少しギラツキが見られる。
不良: 目ムキにより、ギラツキが強く見られる。
第2の編糸として、22dtexのポリウレタン糸(第2のポリウレタン糸、熱変形開始温度178℃)を用いた以外は、実施例1と同様にして、編地内側に第2のポリウレタン糸が配置されるようにダブルニットを作製した。ダブルニットは、仕上密度が134コース/インチ、57ウエル/インチ、厚みは440μm、目付は135g/m2であった。ダブルニット全体において、非弾性糸と、第1のポリウレタン糸および第2のポリウレタン糸との質量比は2.2であった。得られたダブルニットを評価した結果を表2に示す。
実施例1で得た複合糸を第1の編糸、22dtexのポリウレタン糸(第2のポリウレタン糸、熱変形開始温度178℃)を第2の編糸とした以外は、実施例1と同様にして、編地内側に第2のポリウレタン糸が配置されるようにダブルニットを作製した。ダブルニットは、仕上密度が138コース/インチ、57ウエル/インチ、厚みは410μm、目付は179g/m2であった。ダブルニット全体において、非弾性糸と、第1のポリウレタン糸および第2のポリウレタン糸との質量比は1.1であった。得られたダブルニットを評価した結果を表2に示す。
実施例1で得た複合糸および22dtex/7fのナイロンフィラメント糸を含む第1の編糸と、56dtex/48fのナイロンフィラメント糸とを、編糸として用いた。(株)福原精機製作所製のダブル丸編み機(271.17cm径、40ゲージ)を用いて、第1の編糸を、56dtex/48fのナイロンフィラメント糸と同じフィーダからダイヤル・シリンダ両面の針に同時に給糸し、プレーティング編にて編み込み、編地内側に56dtex/48fのナイロンフィラメント糸が配置されるようにスムース編み組織にてダブルニットを作製した。22dtex/7fのナイロンフィラメント糸は、実施例1で得た複合糸と1本ずつ交互に配列するよう交編させた。ダブルニットは、仕上密度が102コース/インチ、56ウエル/インチ、厚みは570μm、目付は250g/m2であった。得られたダブルニットを評価した結果を表2に示す。
44dtexのポリウレタン糸と、33dtex/34fのナイロンフィラメント糸とを編糸として用いた。(株)福原精機製作所製のダブル丸編み機(303.07cm径、40ゲージ)を用いて、44dtexのポリウレタン糸と33dtex/34fのナイロンフィラメント糸を同じフィーダからダイヤル・シリンダ両面の針に同時に給糸し、プレーティング編にて編み込み、編地内側にポリウレタン糸が配置されるようにスムース編み組織にてダブルニットを作製した。ダブルニットは、仕上密度が112コース/インチ、77ウエル/インチ、厚みは595μm、目付は254g/m2であった。得られたダブルニットを評価した結果を表2に示す。
33dtex/34fのナイロンフィラメント糸に代えて、22dtex/20fのナイロンフィラメント糸を用いた以外は比較例2と同様にして同じフィーダからダイヤル・シリンダ両面の針に同時に給糸し、プレーティング編にて編み込み、編地内側にポリウレタン糸が配置されるようにスムース編み組織にてダブルニットを作製した。ダブルニットは、仕上密度が120コース/インチ、63ウエル/インチ、厚みは510μm、目付は183g/m2であった。得られたダブルニットを評価した結果を表2に示す。
Claims (10)
- 第1の編糸と、第2の編糸とを、プレーティング編成したダブルニットであって、
前記第1の編糸が、第1のポリウレタン糸と、前記第1のポリウレタン糸以外の非弾性糸と、を含む複合糸を含み、
前記第2の編糸が、第2のポリウレタン糸を含み、
前記ダブルニット全体において、前記非弾性糸と、前記第1のポリウレタン糸および前記第2のポリウレタン糸との質量比:非弾性糸/(第1のポリウレタン糸および第2のポリウレタン糸)が、0.75~4である、ダブルニット。 - 前記複合糸の繊度が、19~112dtexである、請求項1に記載のダブルニット。
- 前記第1のポリウレタン糸の繊度が、11~56dtexである、請求項1または2に記載のダブルニット。
- 前記非弾性糸の繊度が、8~56dtexである、請求項1~3のいずれか一項に記載のダブルニット。
- 前記第1のポリウレタン糸および前記第2のポリウレタン糸の熱変形開始温度が、150~190℃である、請求項1~4のいずれか一項に記載のダブルニット。
- 前記ダブルニットを、緯方向に引張り速度300±20mm/分で伸度80%まで伸長させた後、速度300±20mm/分で元の状態に回復させる処理を3回行い、前記処理の3回目に伸度30%まで伸長させた時点における応力ST1(30)と、前記処理の3回目に伸度30%まで収縮回復させた時点における応力SR1(30)との合計を2で除したパワー値P1(30)が、70~180cNである、請求項1~5のいずれか一項に記載のダブルニット。
- 前記パワー値P1(30)を、前記ダブルニットの単位面積当たりの質量で除した値が、0.55~1.1cN・m2/gである、請求項6に記載のダブルニット。
- 前記ダブルニットを、緯方向に引張り速度300±20mm/分で伸度80%まで伸長させた後、速度300±20mm/分で元の状態に回復させる処理を3回行い、前記処理の3回目に伸度15%まで収縮回復させた時点における応力SR1(15)が、20~100cNである、請求項1~7のいずれか一項に記載のダブルニット。
- 前記応力SR1(15)を、前記ダブルニットの単位面積当たりの質量で除した値が、0.07~1cN・m2/gである、請求項8に記載のダブルニット。
- 前記ダブルニットの単位面積当たりの質量が、100~260g/m2である、請求項1~9のいずれか一項に記載のダブルニット。
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