JP2005256212A - 耐熱性複合紡績糸およびそれを用いてなる布帛 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐熱性が高く可縫製に優れた縫い糸および、布帛表面の毛羽が少なく耐切創性、耐熱性が高く精密作業性の良好な作業手袋、腕カバーなどの防護材およびアウトドアスポーツ衣料に有用な耐熱高機能繊維捲縮加工糸を含む複合紡績糸を提供すること、また、かかる複合紡績糸を用いた縫い糸の提供および、耐切創性の高い編織物等の繊維構造物、およびそれらからなる防護衣料、防護シート等の防護材に好ましく用いることのできる布帛を提供すること。
【解決手段】芯成分に合成繊維、化学繊維、あるいは天然繊維の短繊維を含み、鞘成分に耐熱高機能繊維を含む芯鞘型複合紡績糸であって、該耐熱高機能繊維が耐熱高機能繊維フィラメント糸の捲縮糸である複合紡績糸と、該糸からなる布帛、縫い糸。
【選択図】図1
【解決手段】芯成分に合成繊維、化学繊維、あるいは天然繊維の短繊維を含み、鞘成分に耐熱高機能繊維を含む芯鞘型複合紡績糸であって、該耐熱高機能繊維が耐熱高機能繊維フィラメント糸の捲縮糸である複合紡績糸と、該糸からなる布帛、縫い糸。
【選択図】図1
Description
本発明は、毛羽が少なく耐切創性、耐熱性に優れた芯鞘型の複合紡績糸に関し、さらに、該紡績糸からなる可縫性に優れた縫い糸、および作業性の良好な防護被服を実現する布帛に関する。さらに詳しくは、切創、擦過溶融、火傷の危険の高い職場に用いられる防護被服やアウトドアスポーツなどの過酷な環境下で着用に耐える防護被服素材に用いると好適な複合紡績糸および布帛に関する。
近年、産業界の高度進展に伴い、作業効率化、高速化、省力化、高スケール化が進み、そうした中、一方で安全性意識向上も強いものとなっている。また、スポーツ界においても、多種多様のスポーツにわたり愛好者が増えて活発になり、スノーボード、フィッシング、登山などのアウトドアスポーツへの参加人口の伸びが著しく、それに伴いスポーツ衣料素材も従来以上に耐久性、機能性が要求されるようになり、特に、耐切創性、耐熱性などの機能性に優れた素材が求められている。また、吸湿性、プリーツ性、縫糸可縫性等のの観点から、糸表面、布帛表面の平滑性などの優れたものが求められている。
一方、耐切創性の実現を主にねらった防護被服などの縫製に用いられる全芳香族ポリアミド短繊維100%縫い糸では、糸表面の毛羽が多く、縫製中に毛羽が針穴、縫い目に詰まり可縫性に劣り、縫製速度の減速や縫い目が乱れるという欠点があり、毛羽数が少なく平滑性の優れた縫い糸の実現が望まれていた。
これに対して、耐熱性が高く、耐切創性に優れ、耐薬品性、糸強度が高い全芳香族ポリアミド繊維などの耐熱高機能繊維が広く用いられるている。例えば、パラ系アラミド繊維100%のフィラメント糸や紡績糸を部分的に用いて交織したものが提案されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。しかし、これらは、いずれも引裂抵抗性、耐切創性は向上するが、パラ系アラミド繊維は本質的に耐熱性繊維であるため熱セット性が乏しく、縫製された衣服のプリーツ性に乏しく、着用感が劣る欠点がある。
また、芯部にパラ系アラミド繊維、鞘部にポリエステル繊維を配置した芯鞘型複合紡績糸(特許文献4)や、ポリエステル短繊維とパラ系アラミド短繊維の均一混紡糸(特許文献5)や、ポリエステル短繊維と芳香族ポリアミド繊維とセルロース系繊維の均一混紡糸(特許文献6)が提案されている。
しかしながら、これら提案の従来技術では、紡績糸、布帛表面の毛羽数減少は得られず、また、該紡績糸を用いた布帛表面の優れた平滑性は得られないのが現状である。
実公平1−36600号公報
特公昭62−26900号公報
特開平2−292036号公報
特開平3−830号公報
特開平6−220730号公報
特開平4−50340号公報
本発明の目的は、耐熱性が高く可縫製に優れた縫い糸、および布帛表面の毛羽が少なく耐切創性、耐熱性が高く精密作業性の良好な作業手袋、腕カバーなどの防護材およびアウトドアスポーツ衣料に有用な耐熱高機能繊維捲縮加工糸を含む複合紡績糸を安定的に提供せんとするものである。
本発明の他の目的は、かかる複合紡績糸を用いた縫い糸を提供すること、および耐切創性の高い編織物等の繊維構造物、およびそれらからなる防護衣料、防護シート等の防護材に好ましく用いることができる布帛を提供することにある。
上記目的を達成する本発明の芯鞘型長短複合紡績糸は、次の構成からなる。
(1)芯成分に合成繊維、化学繊維、あるいは天然繊維の短繊維を含み、鞘成分に耐熱高機能繊維を含む芯鞘型複合紡績糸であって、該耐熱高機能繊維が耐熱高機能繊維フィラメント糸の捲縮糸であることを特徴とする複合紡績糸。
(2)鞘成分の耐熱高機能繊維フィラメント捲縮糸の複合紡績糸中に占める割合が10〜40重量%であることを特徴とする前記(1)に記載の複合紡績糸。
(3)芯成分の合成繊維、化学繊維、あるいは、天然繊維の短繊維の複合紡績糸中に占める割合が60〜90重量%であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の複合紡績糸。
(4)鞘成分の耐熱高機能繊維フィラメント捲縮糸の伸縮伸長率が5〜80%であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の複合紡績糸。
(5)耐熱高機能繊維フィラメント捲縮糸の単繊維繊度が0.55〜6.7デシテックスであり、複合紡績糸の撚係数がK=2.5〜5.5である前記(1)〜(4)のいずれかに記載の複合紡績糸。
(6)鞘成分の耐熱高機能繊維が全芳香族ポリアミド繊維であることを特徴とする(1)〜(5)に記載の複合紡績糸。
(7)鞘成分の全芳香族ポリアミド繊維がパラ系全芳香族ポリアミド繊維であることを特徴とする前記(6)に記載の複合紡績糸。
(8)芯成分の合成繊維が染色された全芳香族ポリアミド短繊維であることを特徴とする前記(7)に記載の複合紡績糸。
(9)前記(1)〜(8)のいずれかに記載の複合紡績糸を布帛重量の30〜100重量%の範囲で用いてなることを特徴とする布帛。
(1)芯成分に合成繊維、化学繊維、あるいは天然繊維の短繊維を含み、鞘成分に耐熱高機能繊維を含む芯鞘型複合紡績糸であって、該耐熱高機能繊維が耐熱高機能繊維フィラメント糸の捲縮糸であることを特徴とする複合紡績糸。
(2)鞘成分の耐熱高機能繊維フィラメント捲縮糸の複合紡績糸中に占める割合が10〜40重量%であることを特徴とする前記(1)に記載の複合紡績糸。
(3)芯成分の合成繊維、化学繊維、あるいは、天然繊維の短繊維の複合紡績糸中に占める割合が60〜90重量%であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の複合紡績糸。
(4)鞘成分の耐熱高機能繊維フィラメント捲縮糸の伸縮伸長率が5〜80%であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の複合紡績糸。
(5)耐熱高機能繊維フィラメント捲縮糸の単繊維繊度が0.55〜6.7デシテックスであり、複合紡績糸の撚係数がK=2.5〜5.5である前記(1)〜(4)のいずれかに記載の複合紡績糸。
(6)鞘成分の耐熱高機能繊維が全芳香族ポリアミド繊維であることを特徴とする(1)〜(5)に記載の複合紡績糸。
(7)鞘成分の全芳香族ポリアミド繊維がパラ系全芳香族ポリアミド繊維であることを特徴とする前記(6)に記載の複合紡績糸。
(8)芯成分の合成繊維が染色された全芳香族ポリアミド短繊維であることを特徴とする前記(7)に記載の複合紡績糸。
(9)前記(1)〜(8)のいずれかに記載の複合紡績糸を布帛重量の30〜100重量%の範囲で用いてなることを特徴とする布帛。
本発明の芯鞘型複合紡績糸および布帛は、全芳香族ポリアミド繊維フイラメント糸捲縮加工糸の持つ耐切創性、耐熱などの優れた高機能特性を損なうことなく表面毛羽の少ない可縫性に優れた縫い糸や全芳香族ポリアミド繊維の持つ欠点であるプリーツ性、防しわ性などの形態保持性を大幅に改善し着用感に優れて高機能特性の要求される消防服、作業服等の防護被服用分野やアウトドアスポーツ衣料に好適な布帛を提供することができるものである。
以下、更に詳しく本発明について、説明する。
本発明の、芯鞘型複合紡績糸は、芯成分として合成繊維、化学繊維、あるいは天然繊維の短繊維を含み、その周りを耐熱高機能繊維フィラメント捲縮糸による鞘成分で被覆して構成される。
鞘成分の耐熱高機能繊維フィラメント捲縮糸が、芯成分である合成繊維、化学繊維、あるいは天然繊維の短繊維を覆うように旋回加撚することによって複合紡績糸表面の毛羽数が減少し、複合紡績糸、およびそれらからなる布帛表面の平滑性、光沢が向上する。
複合紡績糸の芯成分にプリーツ性の良好な合成繊維、化学繊維、あるいは吸湿性の高い天然繊維の短繊維を配置することにより、吸湿性、プリーツ性を良好なものとし、一方、鞘成分の耐熱高機能繊維フィラメント捲縮糸により耐切創性、耐熱性の機能を与えるものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、耐熱高機能繊維とは、高い難燃性、熱分解温度および耐切創性を有する繊維をいう。
本発明の耐熱高機能繊維としては、限界酸素指数25以上の難燃性と、熱分解点が400℃以上の耐熱性を持つ繊維であることが好ましい。例えば、全芳香族ポリアミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維[クラレ(株)製商品名・ベクトラン]、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維[東洋紡績(株)商品名・ザイロン]、ポリベンズイミダゾール繊維、ポリアミドイミド繊維[ローヌプーラン社、商品名ケルメル]などがあげられる。全芳香族ポリアミド繊維には、メタ系アラミド繊維とパラ系アラミド繊維があり、前者としては、例えばポリメタイソフタルアミド繊維[デュポン社、商品名ノーメックス]などのメタ系全芳香族ポリアミド繊維が挙げられる。後者としては、例えば、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維[東レ・デュポン(株)製商品名ケブラー(R)]、およびコポリパラフェニレン−3,4′−オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維[帝人(株)製商品名・テクノーラ]などのパラ系全芳香族ポリアミド繊維が挙げられる。中でもポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維は、引っ張り強度が高く、かつ耐切創性が高く、また難燃性で熱分解点が高いので望ましい。また、難燃性で熱分解点が高いメタ系全芳香族ポリアミド繊維も好ましい。
本発明の芯鞘型複合紡績糸は、前記耐熱高機能繊維からなる衣料用縫い糸の大きな欠点である縫い糸の毛羽による可縫性(縫製性)の低下や縫い目の乱れの改善、および防護衣服表面の毛羽による作業性の低下などの改善について耐熱性繊維の持つ機能特性を損なうことなく実現すべく、鋭意検討し本発明に至った。本発明に用いる耐熱高機能繊維フィラメント捲縮糸は、例えば耐熱高機能繊維フィラメント糸を加撚後アルミなどの耐熱性ボビンに巻き上げ、特定温度範囲内での高温雰囲気下で所定時間処理を行って熱セットし撚りを固定し、次いで、前記撚りとは逆の方向の撚を与えて解撚させることにより得られる。
前記捲縮加工された耐熱高機能繊維フィラメント捲縮糸を複合糸の鞘部に用い、芯部に吸湿性、プリーツ性の良好な合成繊維、化学繊維、あるいは天然繊維の短繊維を用い、芯部を耐熱高機能繊維フィラメント捲縮糸でこより状に包み込み複合糸とすることで、可縫性に悪影響を与える5mm以上の紡績糸の長い毛羽数を大幅に減少させ、吸湿性、プリーツ性を飛躍的に向上させるものである。
耐熱高機能繊維の特徴である耐切創性、耐熱性の機能を十分に発揮させ、紡績糸表面の毛羽数を減少させ良好な可縫性を有する縫い糸および優れた吸湿性、プリーツ性を得るには、種々検討した結果、芯鞘型複合紡績糸の鞘部に耐切創性、耐熱性の高い耐熱高機能繊維フィラメント捲縮糸を配置し、芯部に吸湿性、染色性良好な合成繊維、化学繊維、あるいは天然繊維の短繊維を配置するのが効果が高く、最適であることを見出だしたのである。
また防護衣服の仕立て栄え、プリーツ性、防しわ性などの形態保持性を得るにはポリエステル繊維の優れた熱セット性を利用するのが効果が高く最適であり、いかに全芳香族ポリアミド繊維と混紡組み合わせるか種々検討した結果、芯鞘型複合紡績糸の芯部にポリエステル繊維を配置して、鞘部を全芳香族ポリアミド繊維フィラメント捲縮糸で構成させることで、ポリエステル繊維の耐切創性、耐熱性の低さを改善し、かつポリエステル繊維の持つ熱セット性を十分に発揮できることを見出だしたのである。
また、鞘成分に用いる耐熱高機能繊維フィラメント捲縮糸の伸縮伸長率は好ましくは5〜80%の範囲で構成されるものである。伸縮伸長率が5%未満では、複合紡績糸、防護衣服へ満足するストレッチ性を付与することができず好ましくない。耐熱高機能繊維フィラメント捲縮糸の伸縮伸長率が80%を超えると、耐熱高機能繊維フィラメント捲縮糸の伸縮性が高くなり、発現捲縮による複合加工性、布帛加工性の悪化が生じ好ましくない。
さらに好ましくは、耐熱高機能繊維フィラメント捲縮糸の伸縮伸長率は6%〜60%の範囲である。より好ましくは耐熱高機能繊維フィラメント捲縮糸の伸縮伸長率は10%〜50%の範囲である。
本発明の芯鞘型複合紡績糸は、鞘成分が全芳香族ポリアミド繊維フィラメント捲縮糸で構成され、鞘成分の全芳香族ポリアミド繊維フィラメント捲縮糸が紡績糸に占める割合が10〜40重量%の範囲で構成されるものであることが好ましい。耐熱高機能繊維フィラメント捲縮糸が10重量%未満では鞘成分の耐熱高機能繊維フィラメント捲縮糸で芯成分の合成繊維、化学繊維、あるいは天然繊維の短繊維を十分に被覆することが難しくなり、紡績糸、防護衣服表面の毛羽数を減少できず良好な耐熱性、耐切創性、可縫性を得ることができず好ましくない。耐熱高機能繊維フィラメント捲縮糸が40重量%を超えると、芯成分の合成繊維、化学繊維、あるいは天然繊維の短繊維の混紡率が低く十分な吸湿性、プリーツ性を得ることができず好ましくない。鞘成分の耐熱高機能繊維フィラメント捲縮糸が紡績糸に占める割合が15〜30重量%の範囲がより好ましい。それぞれ要求される縫い糸、防護衣服特性により選定するのがよい。
また、鞘成分に捲縮加工を施さない耐熱高機能繊維フィラメント糸を用いた場合、複合紡績加工性の悪化が生じ、紡績糸、防護衣服表面の毛羽数を減少および良好な耐熱性、耐切創性は得られるが、紡績糸、布帛が硬くソフト性、柔軟性に欠けるものとなり好ましくない。
一方、芯成分は合成繊維、化学繊維、あるいは、天然繊維の短繊維で構成されているものである。芯成分の紡績糸に占める割合は60〜90重量%の範囲が好ましい、芯成分の合成繊維、化学繊維、あるいは、天然繊維の短繊維が紡績糸に占める割合が60重量%以下になると、芯成分の合成繊維、化学繊維、あるいは、天然繊維の短繊維混紡率が低く十分な吸湿性、プリーツ性を得ることができず好ましくない、また、芯成分の紡績糸に占める割合が90重量%を越えると、鞘成分の耐熱高機能繊維フィラメント捲縮糸の混紡率が低く芯成分の合成繊維、化学繊維、あるいは、天然繊維の短繊維を十分に被覆することが難しくなり、紡績糸、防護衣服の表面の毛羽数を減少できず良好な耐熱性、耐切創性、可縫性を得ることができず好ましくない、より好ましくは芯成分の紡績糸に占める割合が65〜80重量%の範囲である。
芯成分に用いられるこれらの短繊維は染色されたものでなく、複合紡績糸として、または、布帛とした後染色してもよい、また、あらかじめ染色した短繊維を用いてもよい。
上記、芯鞘型複合紡績糸の芯成分を構成する短繊維束について説明する。本発明の短繊維束は、合成繊維、化学繊維、あるいは、天然繊維の短繊維で構成されているものである。耐熱性、耐切創性を強く必要とする場合はメタ系アラミド繊維や全芳香族ポリアミド短繊維混紡品を、耐熱性、耐切創性、染色性を強く必要とする場合は染色されたメタ系アラミド繊維や全芳香族ポリアミド短繊維混紡品を、プリーツ性、形態保持性を必要とする場合はポリエステル短繊維を、吸湿性を必要とする場合は木綿やレーヨンを用いる等、要求される縫い糸、防護衣服特性により選定するのがよい。
芯成分を構成する短繊維束の合成繊維、化学繊維、あるいは、天然繊維の短繊維は通常の短繊維紡績工程である打綿、梳綿、練条、粗紡、精紡の各工程を通すことにより作成されるスライバーや粗糸である。また、繊維長を長くして(76〜160mm)一般のソ毛紡績を通したスライバーや粗糸でもよい、短繊維の繊度は1.1〜6.7デシテックスが好ましく1.3〜4.4デシテックスがより望ましい、繊維長については特に限定されないが、紡績方法に合わせ最適な繊維長を選ぶのが良い。
本発明の耐熱高機能繊維フィラメント捲縮糸は、どのような方法で製造されても良いが、例えば、特開2001−248027号公報に示されるように、次の方法で得られる。すなわち、耐熱高機能繊維等に先ず第一の(SまたはZのいずれか)の撚りを加え、これをアルミなどの耐熱性ボビンに巻き上げ、特定温度範囲での高温高圧水蒸気処理または、高温雰囲気下で所定時間処理を行って熱セットし撚りを固定し、次いで、前記撚りとは逆方向の第2の撚り(ZまたはS)を与えて解撚させることにより捲縮糸を製造する。また、次の方法によってもよい水分率15%以上のパラ系アラミド繊維に撚りを加え、次いで加熱乾燥して撚りをセットした後、撚り数をほぼ0まで解撚することによっても得られる。水分率15%以下では撚のセット性が低く捲縮糸の伸縮性が低い。
その際、始めに加える撚りは、次式で示す撚り係数Kdの値として16000〜35000である。
撚り係数Kd=t×D1/2
[ただし、t:撚り数(回/m)、D:水分込み繊度(デシテックス)]
撚り係数Kd=t×D1/2
[ただし、t:撚り数(回/m)、D:水分込み繊度(デシテックス)]
芯鞘型複合紡績糸の鞘成分を構成する連続糸条は耐熱高機能繊維フィラメント捲縮糸であって、フィラメントカバリング糸を含み、フィラメント糸はモノフィラメント、マルチフィラメントいずれでも良いが、複合加工性、芯、鞘のずれ防止の観点からマルチフィラメント糸がより好ましい。
また、鞘成分に用いる耐熱高機能繊維フィラメント捲縮糸の単繊維繊度は0.55〜6.7デシテックスであることが好ましい。0.55デシテックス以上であれば、捲縮加工工程での毛羽立ちの問題や複合加工において引っ掛かりなどの問題が生じることがなく、また、6.7デシテックス以下であれば、撚りトルクが大きくなって捲縮加工性が悪化することもないので好ましいものである。単繊維繊度は、より好ましくは0.7〜5.0デシテックスの範囲である。
本発明の芯鞘型複合紡績糸の撚方向はS、Zいずれでも良い、撚数は特に限定されないが、撚数(t/25.4mm)=K×綿番手1/2 の式で定められる撚係数Kは一般の紡績糸よりやや高めにするのが芯部を覆う点で好ましく、K=2.5〜5.5の範囲が望ましい、K=2.5より低くすると芯、鞘の複合加工性が悪化し好ましくない。K=5.5より高くすると強撚になりすぎ、二重撚の発生が強く加工性が悪化して好ましくない。好ましくはK=3.1〜4.5の範囲がより好ましい。
次に、本発明の芯鞘型複合紡績糸の製造方法について説明するが、本発明は特にこれに限定されるものではない。
すなわち、芯成分の短繊維束がスライバーや粗糸の場合、例えば一対のテーパーローラーからなるフロントトップローラーおよびフロントボトムローラーを有するリング精紡機により、トランペットを介してバックローラー、エプロンローラーを経て、フロントローラーの送り出し量の低い側へ通し、鞘成分の連続糸条をフロントローラーの送り出し量の高い側へガイドを介して通した後、短繊維束と同時にフロントローラーより紡出し、短繊維束を中心に連続糸条が実撚付与時に順時巻回され、芯成部の短繊維束をこより状に包み込む状態で糸形成させるものである。
図1は、本発明の芯鞘型複合紡績糸の製造方法の一例を示す概略図である。精紡機のドラフト、加撚の概要を示すもので、精紡機に供給される短繊維束Aがトランペット1を介してバックローラー2に供給され、エプロンドラフト3を経て一対のテーパーフロントローラー4の送り出し量の低い側(径の小さい側)に把持される。一方、連続糸条Bはフロントローラーの送り出し量の高い側(径の大きい側)へガイド5を介して供給する。フロントローラーに把持され出てきた両成分を間隔3〜15mmの範囲にとり合体させ、リング6、トラベラ7で実撚を付与し通常の方法で管糸に巻き取る。芯、鞘両繊維糸条の合体時の間隔は両成分の送り出し量の差すなわち短繊維束の巻回状態を変えるものであり、重なり状態や複合糸の物性をみて決めるのがよい。
本発明の芯鞘型複合紡績糸は、該紡績糸中に占める鞘成分の耐熱高機能繊維フィラメント捲縮糸の割合が10〜40重量%の範囲であり、耐熱高機能繊維フイラメント捲縮糸の連続糸条と短繊維糸条の合成繊維、化学繊維、あるいは、天然繊維の短繊維束の構成比率を適宜設定することによって本発明の芯鞘型複合紡績糸を得ることができる。
次に、本発明の芯鞘型複合紡績糸を単糸、あるいは単糸を2本以上引き揃えあるいは撚り合わせた、双糸あるいは三子糸として織物や編物などの布帛にしてもよい、縫い糸および布帛への加工において、該糸100%使いでも良いが、フィラメント、加工糸、弾性繊維などとの交編、交織を行うこともできる。さらに耐熱、耐切創が要求される特定の部分に本発明の複合紡績糸を用いてもよい。
本発明の複合紡績糸は、その特徴を良好に発揮させるために、編織物など布帛中での使用割合は、該布帛全体重量の30〜100%の範囲で用いるのが好ましく、さらに好ましくは50〜100重量%であり、最も好ましくは70〜100重量%の範囲である。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例における特性値等の測定法は、次の通りである。
<切創抵抗力(切れにくさ)>
ISO 13997法に記載の試験方法により測定した。一定の移動距離で刃が試験片を貫通する(切る)とき、切れにくい素材ほど重い荷重が必要である。刃に加える荷重Lにおいて、刃の移動距離20mmで刃が試験片を貫通するとき、荷重Lを切創抵抗値とする。刃はAmerican Safety Razor Co.,品番No.88−0121を使用した。測定値はN(ニュートン)で表し、数値が大きいほど切れにくいことを示す。
<プリーツ性>
織、編物のタテ方向に長さ25cmの試料を切り取り、長さ方向5cm間隔で印をつけ(4箇所)中央部の15cmを折り込み、5cmの長さで試料が3重になるように折り、通常のプレス機でプレス温度140℃、プレス圧力0.5kg/cm2 で10秒間プレスしたのちバキューム処理を10分間行い試料を冷却する。プリーツ性(プリーツのつき方)は肉眼で級判定した。判定基準を下記する。(5級:非常にシャープなプリーツ。4級:シャープなプリーツ。3級:プリーツがある。2級:プリーツが少しある。1級:プリーツがほとんどない。)
<プリーツ保持性>
プリーツ性を評価した試料を用いJIS L0217−103法に基づき洗濯後試料のプリーツ性を評価した。結果をプリーツ保持性として級判定した。
<熱溶融性>
360℃に加熱された金属棒(直径約0.6cmの先端に6×6cmの試料を自重のもとに水平に5秒間接触させた時、熱によって布にできた穴あきの程度を金属棒の断面積と相対比較して級で判定する。
5級:穴あきなし、4級:1/4穴あき、3級:1/2穴あき、2級:3/4穴あき、1級:完全に穴があく。
<布帛風合い(官能評価)>
布帛を次の4段階に官能評価した。(◎:ソフトでふくらみがあり適度の張り、腰があるもの。○:これに準ずる良好なもの。△:ソフト感、ふくらみに欠け、硬く劣るもの。×:粗硬で劣るもの。)
<伸縮伸長率>
JIS L 1013:1999化学繊維フィラメント試験方法8.11伸縮性に従って測定した。測定前の試料の調整は次のように行った。測定試料を綛状にしてガーゼに包んだまま、90℃20分間の温水処理を行い、室温で自然乾燥させた。
<布帛伸長率>
JIS L 1096 「一般織物試験方法」伸長率A法(定速伸長法)に従って測定した。
<限界酸素指数>
JIS K 7201:1999酸素指数法による高分子材料の燃焼試験方法により測定した。
<熱分解点>
JIS K 7120:1987プラスチックの熱重量測定方法により測定した。
<毛羽数>
毛羽数カウンター、FRAY COUNTER MODEL DT−104東レ(株)製を使用して、3mm以上の毛羽を25m/分で20秒間を6回測定して1m当たりの本数で表示した。
<フィット性(官能評価)>
手袋の5名による着用により次の4段階に官能評価した。(◎:非常にフィット感良好なもの。○:これに準ずる良好なもの。△:少しフィット感に欠けるもの。×:ゴワゴワしたり弛みがありフィット感に劣るもの。)
<織物表面毛羽数(官能評価)>
布帛表面毛羽数を次の4段階に官能評価した。(◎:非常に少なく、光沢があり表面が滑らかであるもの。○:これに準ずる良好なもの。△:少し多く、光沢、滑らかさに欠けるもの。×:非常に多く劣るもの。)
<切創抵抗力(切れにくさ)>
ISO 13997法に記載の試験方法により測定した。一定の移動距離で刃が試験片を貫通する(切る)とき、切れにくい素材ほど重い荷重が必要である。刃に加える荷重Lにおいて、刃の移動距離20mmで刃が試験片を貫通するとき、荷重Lを切創抵抗値とする。刃はAmerican Safety Razor Co.,品番No.88−0121を使用した。測定値はN(ニュートン)で表し、数値が大きいほど切れにくいことを示す。
<プリーツ性>
織、編物のタテ方向に長さ25cmの試料を切り取り、長さ方向5cm間隔で印をつけ(4箇所)中央部の15cmを折り込み、5cmの長さで試料が3重になるように折り、通常のプレス機でプレス温度140℃、プレス圧力0.5kg/cm2 で10秒間プレスしたのちバキューム処理を10分間行い試料を冷却する。プリーツ性(プリーツのつき方)は肉眼で級判定した。判定基準を下記する。(5級:非常にシャープなプリーツ。4級:シャープなプリーツ。3級:プリーツがある。2級:プリーツが少しある。1級:プリーツがほとんどない。)
<プリーツ保持性>
プリーツ性を評価した試料を用いJIS L0217−103法に基づき洗濯後試料のプリーツ性を評価した。結果をプリーツ保持性として級判定した。
<熱溶融性>
360℃に加熱された金属棒(直径約0.6cmの先端に6×6cmの試料を自重のもとに水平に5秒間接触させた時、熱によって布にできた穴あきの程度を金属棒の断面積と相対比較して級で判定する。
5級:穴あきなし、4級:1/4穴あき、3級:1/2穴あき、2級:3/4穴あき、1級:完全に穴があく。
<布帛風合い(官能評価)>
布帛を次の4段階に官能評価した。(◎:ソフトでふくらみがあり適度の張り、腰があるもの。○:これに準ずる良好なもの。△:ソフト感、ふくらみに欠け、硬く劣るもの。×:粗硬で劣るもの。)
<伸縮伸長率>
JIS L 1013:1999化学繊維フィラメント試験方法8.11伸縮性に従って測定した。測定前の試料の調整は次のように行った。測定試料を綛状にしてガーゼに包んだまま、90℃20分間の温水処理を行い、室温で自然乾燥させた。
<布帛伸長率>
JIS L 1096 「一般織物試験方法」伸長率A法(定速伸長法)に従って測定した。
<限界酸素指数>
JIS K 7201:1999酸素指数法による高分子材料の燃焼試験方法により測定した。
<熱分解点>
JIS K 7120:1987プラスチックの熱重量測定方法により測定した。
<毛羽数>
毛羽数カウンター、FRAY COUNTER MODEL DT−104東レ(株)製を使用して、3mm以上の毛羽を25m/分で20秒間を6回測定して1m当たりの本数で表示した。
<フィット性(官能評価)>
手袋の5名による着用により次の4段階に官能評価した。(◎:非常にフィット感良好なもの。○:これに準ずる良好なもの。△:少しフィット感に欠けるもの。×:ゴワゴワしたり弛みがありフィット感に劣るもの。)
<織物表面毛羽数(官能評価)>
布帛表面毛羽数を次の4段階に官能評価した。(◎:非常に少なく、光沢があり表面が滑らかであるもの。○:これに準ずる良好なもの。△:少し多く、光沢、滑らかさに欠けるもの。×:非常に多く劣るもの。)
実施例1〜2、比較例1
通常の方法で得られた固有粘度ηinh=6.5のポリパラフェニレンテレフタルアミド(以下PPTAと記す)を99.9%の濃硫酸に溶かし、ポリマー濃度19.0%、温度80℃のドープとし、孔径0.06mmの細孔数多数を有する口金から押し出し、6mmの空気間隔を通した後、4℃の水中に導いて凝固させ、ネルソンローラに導き、10%の水酸化ナトリュウム水溶液で中和処理し、水洗後、ホットローラで乾燥してボビンに巻き取り、水分率4.5%の水分込み繊度116デシテックス(絶乾換算111デシテックス、単糸繊度絶乾換算1.67デシテックス)のPPTA繊維糸条(1)を得た。
通常の方法で得られた固有粘度ηinh=6.5のポリパラフェニレンテレフタルアミド(以下PPTAと記す)を99.9%の濃硫酸に溶かし、ポリマー濃度19.0%、温度80℃のドープとし、孔径0.06mmの細孔数多数を有する口金から押し出し、6mmの空気間隔を通した後、4℃の水中に導いて凝固させ、ネルソンローラに導き、10%の水酸化ナトリュウム水溶液で中和処理し、水洗後、ホットローラで乾燥してボビンに巻き取り、水分率4.5%の水分込み繊度116デシテックス(絶乾換算111デシテックス、単糸繊度絶乾換算1.67デシテックス)のPPTA繊維糸条(1)を得た。
この糸条にリング撚糸機で撚数1950回/m(Kd=24800)、撚り方向S撚りの撚りを加え、直径4mmの穴を多数もつアルミボビンに巻き取った。ついでこの糸量200g巻きのボビンを200℃の飽和水蒸気で15分間処理し室温まで冷却後、リング撚糸機で撚り方向Z撚りの撚りを与えて撚り数0になるまで解撚し、PPTA繊維捲縮糸である糸条(2)を得た。
糸条(1)、(2)の熱的特性は、限界酸素指数28、熱分解温度537℃、であった。
これらの糸物性を表1に示す。伸縮伸長率は数字が大きいほど糸の伸縮性が大きいことを示す。
糸条(1)、(2)の熱的特性は、限界酸素指数28、熱分解温度537℃、であった。
これらの糸物性を表1に示す。伸縮伸長率は数字が大きいほど糸の伸縮性が大きいことを示す。
糸条(2)のPPTA繊維捲縮糸は、伸縮伸長率が29.0%と大きく伸縮性に優れたフィラメント糸であった。糸条(1)の捲縮加工を施さないPPTA繊維フィラメント糸は伸縮伸長率が0%と小さく伸縮性に劣るものであった。
実施例1として、PPTA繊維捲縮糸である糸条(2)を連続糸条Aとして、一対のフロントテーパーローラーを有するリング精紡機の送り出し量の高い供給側へガイドを介して供給し、一方のポリエステル繊維、1.7デシテックス、38mm原綿100%の短繊維束Bの粗糸をトランペットを通してフロントローラーの送り出し量の低い側へバックローラーから供給し、両糸条の間隔を5mmになるようにトランペットとガイドの間隔およびコレクターで調整した後、粗糸を精紡トータルドラフト27.8倍でドラフトして連続糸条Bと合体させ、撚りを掛けながら通常の方法で管糸に巻き取ってPPTA繊維捲縮糸が鞘成分である複合紡績糸を得た。PPTA繊維捲縮糸である糸条(2)は、リング精紡機に供給する際、テンション管理が容易で芯鞘型複合紡績糸の加工性に適した糸条であった。
得られた複合紡績糸は、繊度295デシテックス(綿番手20s/1相当)、撚数15.7回/25.4mmのZ撚りで、鞘成分37.6%、芯成分62.4%の芯鞘型複合紡績糸である。この複合紡績糸は毛羽数が78.6本/m と少なく、伸縮伸長率が6.7%と高く、滑らかで伸縮性に優れた芯鞘型複合紡績糸であった。
次いで、この複合紡績糸を90℃×20分間の撚止めセットを行い、タテ糸60本/25.4mm、ヨコ糸52本/25.4mmの複合紡績糸100%の平織物(目付け145g/m2 )を作成した。製織に際してタテ糸には糊剤を付与した。
得られた織物は、伸長率がタテ1.9%、ヨコ2.1%と高く毛羽が少なく表面が滑らかであり、コーテング基布やスポーツ衣料に用いるに適した織物であった。
比較例1として芯成分に糸条(1)、すなわち捲縮加工を施さないPPTA繊維フィラメント糸を用いた以外実施例1と同様の方法で芯鞘型複合紡績糸を作成した。この複合紡績糸は毛羽数が76.9本/mと少ないが、伸縮伸長率が0.3%と、低いものであった。ついで同複合紡績糸を用いて実施例1と同様の織物構造の織物を得た。得られた織物は、伸長率がタテ0.2%、ヨコ0.3%と低く、実施例1の織物に比べ表面毛羽数は同程度少ないが硬くて、ソフト感がなく、しなやかさに欠け、風合いの劣る織物であった。
実施例2として、実施例1で使用したPPTA繊維フィラメント捲縮糸である糸条(1)を2本用い、粗糸のドラフト24倍、撚数15.7/25.4mmとした以外は実施例1と同様の方法により、繊度295デシテックス(綿番手20s/1相当)、芯成分24.8%、PPTA繊維捲縮糸である鞘成分75.2%の芯鞘型複合紡績糸を得た。
得られた複合紡績糸の毛羽数が60.3本/mと非常に少ないが伸縮伸長率が5.5%であった。得られた複合紡績糸を実施例1と同様に織物加工して、織物表面への毛羽の出現状態、耐切創性、耐熱性を評価し表2に示した。
実施例1は織物表面毛羽が非常に少なく、滑らかでソフトな風合いの優れた布帛であった。比較例1と実施例2は織物表面毛羽は少ないがプリーツ性に劣り硬い布帛であった。
実施例3
実施例1で用いたと同様の複合紡績糸を二本引き揃え、下撚りと逆方向に下撚りの70%の撚りで双糸加工して、295(デシテックス)×2、(綿番20s/2)を得た。さらに、これを5本引き揃えてSFG−7ゲージタイプの手袋編み機(株式会社島精機製作所製)に供給して7ゲージの手袋を編み上げ、目付530g/m2 の手袋を作成した。
実施例1で用いたと同様の複合紡績糸を二本引き揃え、下撚りと逆方向に下撚りの70%の撚りで双糸加工して、295(デシテックス)×2、(綿番20s/2)を得た。さらに、これを5本引き揃えてSFG−7ゲージタイプの手袋編み機(株式会社島精機製作所製)に供給して7ゲージの手袋を編み上げ、目付530g/m2 の手袋を作成した。
比較例2
綿100%の紡績糸295(デシテックス)×2、(綿番20s/2)を5本引き揃えて、実施例3と同様の方法で目付530g/m2 の手袋を作成した。
綿100%の紡績糸295(デシテックス)×2、(綿番20s/2)を5本引き揃えて、実施例3と同様の方法で目付530g/m2 の手袋を作成した。
比較例3
市販のパラ系アラミド短繊維[東レ・デュポン社製“ケブラー”]を用い、番手20s(綿番手)、撚係数K=3.6(Z撚り11.4T/25.4mm)の紡績糸を得て実施例1と同様の方法で目付530g/m2 の手袋を作成した。
手袋の表面毛羽数、耐切創性、柔軟性、フイット感を比較評価した結果を表3に示した。
市販のパラ系アラミド短繊維[東レ・デュポン社製“ケブラー”]を用い、番手20s(綿番手)、撚係数K=3.6(Z撚り11.4T/25.4mm)の紡績糸を得て実施例1と同様の方法で目付530g/m2 の手袋を作成した。
手袋の表面毛羽数、耐切創性、柔軟性、フイット感を比較評価した結果を表3に示した。
実施例3の手袋は、表面毛羽が少なく柔軟性に優れ、手によくフイットし精密作業性に優れ耐切創性も良好であり、非常に優れた手袋であった。比較例2の手袋は切創抵抗が実施例3に比べ低かった。比較例3の手袋は、柔軟性に優れているが表面の毛羽が多く精密作業性に劣るものであった。
実施例4〜5、比較例4〜5
縫い糸とするために、実施例1、実施例2、比較例1および比較例3において精紡工程の撚り方向をS撚り(15.7T/25.4mm)とし、上撚りをZ撚り(12.6T/25.4mm)として双糸加工した、実施例4、実施例5、比較例4および比較例5の295(デシテックス)×2、綿番手20s/2の紡績糸を得た。次いで、これらの糸に100℃×30分の撚止めセットを実施し縫糸とした。
縫い糸とするために、実施例1、実施例2、比較例1および比較例3において精紡工程の撚り方向をS撚り(15.7T/25.4mm)とし、上撚りをZ撚り(12.6T/25.4mm)として双糸加工した、実施例4、実施例5、比較例4および比較例5の295(デシテックス)×2、綿番手20s/2の紡績糸を得た。次いで、これらの糸に100℃×30分の撚止めセットを実施し縫糸とした。
これらの縫い糸の可縫性を、パラ系アラミド短繊維100%平織り:目付け480g/m2 の縫製生地を用いてジューキ製本縫いミシンを用いて可縫性を評価した。
具体的には、縫製速度800sp、縫目ピッチ2mmで縫製生地を3枚重ねで1mを各5枚縫製し、糸切れ、目飛びの有無を調べた結果を表4に示した。縫い縮み率はパラ系アラミド短繊維100%平織り:目付け480g/m2 の1枚を縫製し、縫製前後の寸法変化率を求めた。
実施例4の縫い糸は糸切れ、目飛び、パッカリングもなく縫い縮み率も低く、良好な可縫性を示した。比較例4はパッカリングはないが、糸の対金属摩擦が高く目飛びが発生し比較例5は糸切れ、目飛びが発生し、縫い糸として劣るものであった。
実施例6〜8
実施例1の20s複合紡績糸を織物全体重量の25%(実施例6)、30%(実施例7)、100%(実施例8)になるように経糸、緯糸に均一に用い平織地を作成した、ベース糸としてポリエステル100%で20s、K=3.4を用い、織成に際して経糸には糊剤を付与した。織密度は経糸58本/in、緯糸43本/inであり織幅112cmのものであった。布帛評価結果を表5に示した。
実施例1の20s複合紡績糸を織物全体重量の25%(実施例6)、30%(実施例7)、100%(実施例8)になるように経糸、緯糸に均一に用い平織地を作成した、ベース糸としてポリエステル100%で20s、K=3.4を用い、織成に際して経糸には糊剤を付与した。織密度は経糸58本/in、緯糸43本/inであり織幅112cmのものであった。布帛評価結果を表5に示した。
本発明にかかる複合紡績糸を25%使用した実施例6の織物は、風合い良好で、プリーツ性などの形態保持性は良好であったが、耐熱、耐切創の全芳香族ポリアミド繊維の高機能特性が劣るものであった。実施例7、実施例8は全芳香族ポリアミド繊維の高機能特性を十分に発揮し、滑らかで光沢に優れプリーツ性などの形態保持性をも兼ね備えた優れた布帛であった。
また、実施例6、実施例7の布帛をスラックスに仕立て、仕立て栄えを目視評価した。
また、実施例6、実施例7の布帛をスラックスに仕立て、仕立て栄えを目視評価した。
その結果、ポリエステル繊維の持つシャープなプリーツを有するものであり、仕立て栄えの良さが現われた風合いの良好なスラックスであった。このスラックスの実際着用評価をパネラー10名にて実施した結果、耐熱性、耐切創性はもちろん膝の折り曲げが楽でプリーツ保持性も良好であるとの好評価であった。
1:トランペット
2:バックローラ
3:エプロンドラフト
4:テーパーフロントローラー
5:ガイド
6:リング
7:トラベラ
A:短繊維束
B:連続糸条
2:バックローラ
3:エプロンドラフト
4:テーパーフロントローラー
5:ガイド
6:リング
7:トラベラ
A:短繊維束
B:連続糸条
Claims (10)
- 芯成分に合成繊維、化学繊維、あるいは天然繊維の短繊維を含み、鞘成分に耐熱高機能繊維を含む芯鞘型複合紡績糸であって、該耐熱高機能繊維が耐熱高機能繊維フィラメント糸の捲縮糸であることを特徴とする複合紡績糸。
- 前記鞘成分の耐熱高機能繊維フィラメント捲縮糸の複合紡績糸中に占める割合が10〜40重量%であることを特徴とする請求項1に記載の複合紡績糸。
- 前記芯成分の合成繊維、化学繊維、あるいは、天然繊維の短繊維の複合紡績糸中に占める割合が60〜90重量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の複合紡績糸。
- 前記鞘成分の耐熱高機能繊維フィラメント捲縮糸の伸縮伸長率が5〜80%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の複合紡績糸。
- 前記耐熱高機能繊維フィラメント捲縮糸の単繊維繊度が0.55〜6.7デシテックスであり、複合紡績糸の撚係数がK=2.5〜5.5であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の複合紡績糸。
- 前記鞘成分の耐熱高機能繊維が全芳香族ポリアミド繊維であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の複合紡績糸。
- 前記鞘成分の全芳香族ポリアミド繊維がパラ系全芳香族ポリアミド繊維であることを特徴とする請求項6に記載の複合紡績糸。
- 前記パラ系全芳香族ポリアミド繊維がポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維であることを特徴とする請求項7に記載の複合紡績糸。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の複合紡績糸を布帛重量の30〜100重量%の範囲で用いてなることを特徴とする布帛。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の複合紡績糸を用いてなることを特徴とする縫い糸。
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