JP5180759B2 - 引抜ダイス - Google Patents

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この発明は、押出管等の長尺なワークを引抜加工するようにした引抜ダイスおよびその関連技術に関する。なおこの明細書において、「アルミニウム」の語は、アルミニウムおよびアルミニウム合金の両方を含む意味で用いられる。
複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリ等の電子写真装置の感光ドラムとしては、アルミニウム管の外周面に、均一なOPC(有機光導電体)等の感光層用材料が塗工されたものが用いられている。この感光ドラム基体の感光層は、優れた画像品質を得るために、薄くかつ均一な厚さで高精度に形成する必要があり、そのためには、ベースとなるアルミニウム管の表面にも高い平滑性が要求され、鏡面に近い表面状態に仕上げられることが望まれる。
従来、このような感光ドラム基体用のアルミニウム管は、表面を切削することにより鏡面仕上げするようにしていたが、切削加工は、非効率的であり、生産効率の低下およびコストの増大を招くことになる。
そこで近年では、切削加工を行わずに得られる無切削管、例えばアルミニウム圧延板をしごき加工したDI管や、押出加工によって得られるアルミニウム素管をしごき加工したEI管、アルミニウム素管を引抜加工したED管等が、感光ドラム基体用のアルミニウム管として多用されるようになってきた。中でもED管は、他の無切削管と異なり、1回の加工で、10本以上の感光ドラム基体を取得できる長さのアルミニウム管を生産できるため、量産性に優れており、市場拡大に伴う大量生産に適した製法として注目されている。
ED管を製造するには、まず、アルミニウム製のビレットを用いて押出加工を行ってアルミニウム素管を得、その素管を所定の長さに切断した後、引抜加工を行って、外径、内径、肉厚等が規定サイズに調整された所定形状のアルミニウム管を得る。その後、アルミニウム管を切断して、端部の面取り加工や、洗浄等を行った後、寸法検査や外観検査等の所定の検査を行って、ED管として用いるようにしている。
ところが、ED管の製造過程において、押出加工によって得られるアルミニウム素管の表面には、細溝状ダイスライン等の筋状表面欠陥が発生する場合がある。
このダイスラインは、引抜加工によって縮径加工されたとしても、周方向の幅が狭くなるだけで、深さは変化せず、極細皺状の表面欠陥として残存してしまい、表面平滑性が損なわれて、OPCを均一かつ高精度に塗工することが困難になってしまう。
そこで下記特許文献1においては、押出加工後のアルミニウム素管に対し、ブラシ等で払拭して表面を清浄化した後、引抜加工を行うことにより、アルミニウム管の表面状態を改善する技術が開示されている。
また下記特許文献2では、引抜ダイスのダイス孔内周面におけるテーパ面に、周方向に沿って凹部(周溝)を形成し、引抜加工時に、アルミニウム管にしごき加工を行って、表面粗さを減少させる技術が開示されている。
特開2006−159288号 特開平8−66715号
しかしながら、上記特許文献1,2に示すアルミニウム管の製造方法においてはいずれも、押出加工時に生じるダイスライン等の筋状表面欠陥を修正することができず、表面平滑性に優れたアルミニウム管を確実に得ることができない、という問題があった。
この発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、表面平滑性に優れたアルミニウム管等の引抜加工品を効率良く得ることができる引抜ダイスおよびその関連技術を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は以下の構成を要旨とするものである。
[1] ダイス孔を有し、長尺なワークを前記ダイス孔に通過させるように引っ張って引抜加工を行うようにした引抜ダイスであって、
前記ダイス孔の内周面に、溝部および突条部のうち少なくともいずれか一方によって構成される線条部が、軸心に対し、ねじれた方向に沿って設けられたことを特徴とする引抜ダイス。
[2] 前記線条部が、前記ダイス孔の内周面に螺旋状に複数条設けられる前項1に記載の引抜ダイス。
[3] 前記ダイス孔の内周面は、その引抜方向の上流側にアプローチ部が設けられるとともに、下流側にベアリング部が設けられ、
前記アプローチ部および前記ベアリング部のいずれか一方に、前記線条部が設けられる前項1または2に記載の引抜ダイス。
[4] 前記線条部が、溝部によって構成され、その溝幅が0.1〜3mmに設定される前項1〜3のいずれか1項に記載の引抜ダイス。
[5] 前記線条部が、V字形状、U字形状、矩形状、半円形状またはそれらに近似する形状の断面を有する前項4に記載の引抜ダイス。
[6] 前記線条部の両側開口縁部が、曲率半径0.1mm以上の円弧状に形成される前項4または5に記載の引抜ダイス。
[7] 前記線条部が、突条部によって構成され、その高さが0.1〜1mmに設定される前項1〜3のいずれか1項に記載の引抜ダイス。
[8] 前記線条部が、逆V字形状、逆U字形状、矩形状、半円形状またはそれらに近似する形状の断面を有する前項7に記載の引抜ダイス。
[9] 前記線条部が、断面多角形状の突条部によって構成されるとともに、その線条部の角部が、曲率半径0.1mm以上の円弧状に形成される前項1〜3のいずれか1項に記載の引抜ダイス。
[10] ワークが、アルミニウムまたはその合金からなる押出管によって構成される前項1〜9のいずれか1項に記載の引抜ダイス。
[11] ダイス孔を有し、長尺なワークを前記ダイス孔に通過させるように引っ張って引抜加工を行うようにした引抜ダイスを準備する工程と、
前記ダイス孔の内周面に、溝部および突条部のうち少なくともいずれか一方によって構成され、かつ軸心に対し、ねじれた方向に沿って配置される線条部を形成する工程と、を含み、
前記線条部を、放電加工によって形成するようにしたことを特徴とする引抜ダイスの製造方法。
[12] ダイス孔を有し、長尺なワークを前記ダイス孔に通過させるように引っ張って引抜加工を行うようにした引抜ダイスを準備する工程と、
前記ダイス孔の内周面に、溝部および突条部のうち少なくともいずれか一方によって構成され、かつ軸心に対し、ねじれた方向に沿って配置される線条部を形成する工程と、を含み、
前記線条部を、薬品を用いたエッチング処理によって形成するようにしたことを特徴とする引抜ダイスの製造方法。
[13] 長尺なワークを引抜加工するための引抜加工方法であって、
ダイス孔を有し、そのダイス孔の内周面に、溝部および突条部のうち少なくともいずれか一方によって構成される線条部が、軸心に対し、ねじれた方向に沿って設けられた引抜ダイスを準備しておき、
ワークを前記引抜ダイスのダイス孔に通過させるように引っ張って成形するようにしたことを特徴とする引抜加工方法。
[14] 押出加工によって得られる押出管を引抜加工して得られる引抜管であって、
管表面に沿って周方向に流動された管構成材料が、押出管の表面欠陥上にオーバーハングされることによって、表面欠陥修正部が設けられたことを特徴とする引抜管。
発明[1]の引抜ダイスによれば、ワークの表面欠陥が修正されて、良好な表面平滑性を有する引抜加工品を効率良く得ることができる。
発明[2][3]の引抜ダイスによれば、上記の効果を、より確実に得ることができる。
発明[4]〜[6]の引抜ダイスによれば、ワークの表面に付着した異物等も除去することができる。
発明[6]〜[10]の引抜ダイスによれば、上記の効果を、より一層確実に得ることができる。
発明[11][12]の引抜ダイスの製造方法によれば、上記発明[1]〜[10]の引抜ダイスを確実に製造することができる。
発明[13]の引抜加工方法によれば、ワークの表面欠陥が修正されて、良好な表面平滑性を有する引抜加工品を効率良く得ることができる。
発明[14]の引抜加工品によれば、表面欠陥が修正されて、良好な表面平滑性を備えている。
図1はこの発明の実施形態である感光ドラム基体用アルミニウム管の製造手順を示す工程図である。同図に示すように、この製造方法は、押出工程と、切断工程と、引抜工程とを基本的な構成要素として含むものであり、切削加工を行わずに、引抜加工品としてのアルミニウム管(引抜管)を製造するようにしている。
まず押出加工においては、アルミニウムの押出材料(ビレット)を熱間押出加工することによって、長尺なワークとしてのアルミニウム素管(押出管)が得られる。このアルミニウム素管の大きさは特に限定されるものではないが、例えば直径が10〜300mmに設定されている。
アルミニウム押出材料としては、耐食性、加工性、強度等を考慮すると、例えばJIS1000系、3000系、5000系、6000系のものを好適に用いることができる。
なお図16(a)に示すように、押出加工によって得られたアルミニウム素管(1)の表面には、既述したように、筋状表面欠陥としての細溝状のダイスライン(11)が発生する場合がある。このダイスライン(11)は例えば、押出ダイスのベアリングへの異物付着、ベアリングのコーティング不良、ベアリング面の磨耗、劣化等によるベアリングの不良等に起因して発生し、それ以外にも例えば、押出材料の品質不良(均質性不良)等に起因しても発生する。
後に詳述するように、本実施形態においては、押出加工時に発生したダイスライン(11)を、引抜加工時に修正して、表面平滑性に優れたアルミニウム管を製造するものである。
図1に示すように、押出工程に続いて行われる切断工程においては、アルミニウム素管(1)を所定の長さに切断する。この切断長さは特に限定されるものではないが、2000〜6000mm程度の長さに切断されるのが通例である。
こうして所定長さに切断されたアルミニウム素管(1)に対し、引抜加工を行って、感光ドラム基体用のアルミニウム管(管状引抜加工品)を得るものである。
図2は引抜加工を行うための引抜装置の要部を示す断面図、図3はその引抜装置に適用された引抜ダイス(5)を示す斜視図である。両図に示すように、この引抜装置は、引抜ダイス(5)と、その内部に配置される引抜プラグ(51)とを備えている。
引抜ダイス(5)は、アルミニウム素管(1)を通過させて縮径加工するためのダイス孔(6)を有している。このダイス孔(6)は、引抜方向の上流側に設けられるアプローチ部(61)と、下流側に設けられるベアリング部(62)とを備えている。
アプローチ部(61)は、下流側に向かうに従って次第に縮径するようにテーパー状(円錐台状)に形成されている。またベアリング部(62)は、軸心方向の位置にかかわらず、内径が一定の円筒形に形成されている。
そしてアルミニウム素管(1)を、その内部に引抜プラグ(51)を配置した状態で、引抜ダイス(5)のダイス孔(6)に通過させるように下流側から引っ張って縮径変形させることにより、引抜管としてのアルミニウム管(2)を得るものである。
ここで本実施形態においては、引抜ダイス(5)のダイス孔内周面におけるアプローチ部(61)およびベアリング部(62)の少なくともいずれか一方に、ダイスライン修正用の複数の線条部(7)が形成されている。
例えば図4に示す引抜ダイス(5)では、複数の線条部(7)がアプローチ部(61)に形成されている。さらに図5に示す引抜ダイス(5)では、複数の線条部(7)がベアリング部(62)に形成されている。
なお言うまでもなく、本発明においては、線条部(7)を、引抜ダイス(5)のアプローチ部(61)およびベアリング部(62)の両方に形成するようにしても良い。線条部(7)をアプローチ部(61)およびベアリング部(62)の両方に形成する場合には、アプローチ部(61)の線条部(7)と、ベアリング部(62)の線条部(7)とは、繋げずに、別々に形成するのが良い。すなわちアプローチ部(61)の線条部(7)と、ベアリング部(62)の線条部(7)とを繋げようとすると、加工が困難になり、コストの増大を来すおそれがあるため、コスト上の観点から、アプローチ部(61)の線条部(7)と、ベアリング部(62)の線条部(7)とは、繋げずに別々に形成するのが良い。
また線条部(7)は図6に示すように、ダイス孔内周面から突出した突条部によって構成するようにしても良いし、図7に示すように、ダイス孔内周面に刻設された溝部(溝状部)によって構成するようにしても良い。
さらに線条部(7)はその断面形状は、特に限定されるものではなく、例えば突条部によって構成される場合には、図8(a)に示すように逆V字形状(三角形状、山型形状)のもの、同図(b)に示すように逆U字形状のもの、同図(c)に示すように矩形状(四角形状、上向きコ字状)のもの、同図(d)に示すように半円形状のもの、これらに近似した形状のものや、さらにこれらの形状を組み合わせた形状のものを好適に採用することができる。
なお突条部により構成された線条部(7)の外周面に、角部が形成されるような場合には、その角部の先端にアール(R)を付けて丸みを持たせるのが良い。例えば図8(a)(c)に示すように三角形状や四角形状等の多角形状の突条部からなる線条部(7)では、バリを除去した上で、角部(71)の先端を、R面取りして円弧状に形成するのが良い。このR面取り部の曲率半径は、0.1mm以上とするのが良い。
さらに図6,8に示すように線条部(7)を突条部により構成する場合には、その高さを、0.1〜1mm、より好ましくは0.3〜0.7mmに設定するのが良い。すなわちこの高さが高過ぎる場合には、引抜加工品としてのアルミニウム管(2)の表面平滑性が低下するおそれがあり、逆に高さが低過ぎる場合には、後述するように、ダイスライン(11)の修正を確実に行うことが困難になるおそれがある。
さらに線条部(7)を突条部により構成する場合には、突条部の幅(最大幅)を0.3mm以上に設定するのが良い。この幅が狭過ぎると、突条部の磨耗や破損が生じ易くなり、ダイスライン等の筋状欠陥の修復効果を損なうおそれがある。
なお線条部(7)の間隔は、狭い方が、線条部(7)の数が増加し、修復効果が向上するものの、加工コストが上昇するので、費用対効果を考慮して、線条部(7)の数や決定し、必要以上の線条部を形成するのは好ましくない。
また線条部(7)が例えば溝部によって構成される場合には、図9(a)に示すようにV字形状(逆三角形状)のもの、同図(b)に示すようにU字形状のもの、同図(c)に示すように矩形状(四角形状)のもの、同図(c)に示すように半円形状のもの、これらに近似した形状のものや、これらの形状を組み合わせた形状のものを好適に採用することができる。
なお溝部により構成された線条部(7)の両側開口縁部(72)には、アール(R)を付けて丸みを持たせるのが良い。例えば線条部(7)の両側開口縁部(72)を、バリを除去した上で、R面取りして円弧状に形成するのが良い。このR面取り部の曲率半径は、0.1mm以上とするのが良い。
さらに図7,9に示すように線条部(7)を溝部により構成する場合には、その幅を、0.1〜3mm、より好ましくは0.3〜0.7mmに設定するのが良い。すなわちこの溝幅が広過ぎる場合には、引抜加工品としてのアルミニウム管(2)の表面平滑性が低下するおそれがあり、逆に溝幅が狭過ぎる場合には、後述するように、ダイスライン(11)の修正を確実に行うことが困難になるおそれがある。
さらに線条部(7)を溝部により構成する場合には、溝深さを0.3mm以上に設定するのが良い。すなわち溝深さが浅過ぎると、ダイスライン等の筋状欠陥を確実に修復することが困難になるおそれがある。なお溝深さは、深い方が良いが、加工コストが上昇するので、費用対効果を考慮して、溝深さを決定するのが良い。
また図4,5に示すように線条部(7)は、延設方向を、軸心(X)に対し、ねじれた方向に設定する必要があり、換言すれば、引抜材料としてのアルミニウム素管(1)の表面が、ダイス孔内周面に沿って摺接しながら移動する際に、そのアルミニウム素管表面の摺接移動方向(Fa)(Fb)に対し、ダイス孔内周面上の線条部(7)は、直交せずに、交差するように配置されている。なお言うまでもなく、アプローチ部(61)において、アルミニウム素管表面の摺接移動方向(Fa)は、軸心(X)に対し傾斜しているのに対し、ベアリング部(62)において、摺接移動方向(Fb)は、軸心(X)に対し平行に配置されている。
例えば本実施形態では、線条部(7)を例えば、ダイス孔内周面に沿って、1〜複数条の螺旋状に形成するようにしている。
ここで線条部(7)が描く形状を具体例を挙げて説明すると、アプローチ部(61)に形成する場合図10に示す例では、軸心方向に沿って上流側から見た状態において、複数の直線状の線条部(7)が、アルミニウム素管表面の摺接移動方向(Fa)に対し、傾斜するように設けられている。また線条部(7)は必ずしも直線状に形成する必要はなく、図11や図12に示すよう複数の線条部(7)を、曲線状に形成するようにしても良い。図11に示す例では、線条部(7)の径方向に対する傾斜が、中心(軸心X)に近づくに従って次第に小さくなるような曲線状に形成されており、図12に示す例では、線条部(7)の径方向に対する傾斜が、中心(軸心X)に近づくに従って次第に大きくような曲線状に形成されている。
なお図20に示すように、アルミニウム素管表面の摺接移動方向(Fa)に平行に延びる線条部(7a)や、図21に示すように周方向に平行で、摺接移動方向(Fa)に対し直交する線条部(7a)は、軸心に対し、ねじれた方向ではないものとし、本発明には含まれない。
またベアリング部(62)に形成する場合図13に示す例では、ベアリング部(62)を展開して径方向内側から見た状態で、複数の直線状の線条部(7)が、アルミニウム素管表面の摺接移動方向(Fb)に対し、傾斜するように設けられている。図14に示す例では、複数の曲線状の線条部(7)が、軸心方向に対し傾斜する方向に沿ってそれぞれ設けられている。
なお図22に示すように、アルミニウム素管表面の摺接移動方向(Fb)に平行に延びる線条部(7b)や、図23に示すように周方向に平行で、摺接移動方向(Fb)に対し直交する線条部(7b)は、軸心に対し、ねじれた方向ではないものとし、本発明には含まれない。
また線条部(7)は、必ずしも、アプローチ部(61)およびベアリング部(62)における軸心方向の全域にわたって形成する必要はなく、線条部(7)を軸心方向の一部の領域にのみ形成するようにしても良い。例えば図15に示すように、線条部(7)を、ベアリング部(62)における軸心方向の一部の領域(上流側の領域)にのみ形成するようにしても良い。
また本発明において、図11,12,14,15に示すように線条部(7)を曲線状に形成する場合、部分的であれば、線条部(7)が、軸心(X)に対し直交したり、あるいは平行に配置されていても良い。要は線条部(7)の一部が、軸心(X)に対しねじれた方向に配置されていれば良い。もっとも本発明においては、線条部(7)の全域が、軸心(X)に対しねじれた方向に配置されている場合には、ダイスライン等の表面欠陥の修正を、より一層確実に行うことができる。
また本発明においては、アプローチ部(61)やベアリング部(62)に形成される線条部(7)は、1〜数本程度であっても良い。例えば図18に示すように、アプローチ部(61)に、1条螺旋状に1本の線条部(7)を形成するようにしても良いし、図19に示すように、2条螺旋状に2本の線条部(7)を形成するようにしても良い。言うまでもなく、ベアリング部(62)においても、線条部(7)の形成数を、1〜数本程度に設定するようにしても良い。
本実施形態において、引抜ダイス(5)に線条部(7)は、例えばエッチング処理や、放電加工によって形成するものである。エッチング処理では例えば、形成しようとする線条部(7)の形状に対応したパターン孔を有するマスクを準備し、そのマスクを線条部形成領域に配置して、薬品によりパターン孔に対応する領域をエッチングするようにすれば良い。放電加工では、線条部(7)の断面形状に対応する形状を有する電極を用いて、線条部形成領域の所定部分を加工するようにすれば良い。
本実施形態においては、以上の構成の引抜ダイス(5)を用いて、アルミニウム素管(1)に対して引抜加工を行うものである。
すなわち図2に示すように、アルミニウム素管(1)を、引抜ダイス(5)のダイス孔(6)に通過させるように下流側から引っ張って成形加工し、所定寸法のアルミニウム管(2)を得るものである。
そしてこの引抜加工時には、図16(a)および図17(a)に示すようにアルミニウム素管(1)の外周面にダイスライン(11)等の表面欠陥が形成されていようとも、そのダイスライン(11)が修正されるものである。すなわち引抜ダイス(5)におけるダイス孔内周面に、ねじれ方向に複数の線条部(7)が形成されているため、アルミニウム素管(1)が引抜加工されると図17(b)に示すように、ダイスライン(11)の溝幅が小さくなりつつ、線条部(7)によって、アルミニウム素管(7)の表面が周方向に擦り寄せられて、アルミニウム素管(7)の表面における素管構成材料(金属材料)が、周方向に流動していく。こうして金属材料が周方向に流動していき最終的には図16(b)および図17(c)に示すように、ダイスライン(11)が閉じ合わされた状態で周方向に曲成し、その閉じ合わされた曲線状のダイスライン(11)上に金属材料がオーバーハングされる。こうしてダイスライン(11)が金属材料によって完全に被覆されて、アルミニウム管(2)の表面に、表面欠陥修正部(21)が形成される。
このダイスライン(11)の修正部(21)は、他の部分と比べても、表面平滑性に遜色がなく、引抜加工品としてのアルミニウム管(2)は十分な表面平滑性を得ることができ、鏡面に近い表面状態に仕上げることができる。従ってこのアルミニウム管(2)は、外周面に、薄くかつ均一にOPCを塗工できて高品質の感光層を形成できて、感光ドラム基体用として好適に採用することができる。
また本実施形態において、ダイス孔内周面に設けられる線条部(7)を図7に示すように溝部によって形成する場合には、アルミニウム素管(1)の外周面にAlカス等の異物が付着していたとしても、引抜加工時に、異物が線条部(7)の溝内に収容されることにより除去される。このため、異物付着による不具合、例えば引抜加工後のアルミニウム管(2)の表面に、異物が立ち上がって形成される欠陥突起の発生を有効に防止することができる。
なお本実施形態で得られたアルミニウム管(2)に対し、超音波洗浄等を行うと、ダイスライン上にオーバーハングされた修正部(21)の金属材料が立ち上がって、不具合が生じるおそれがある。従って本実施形態のアルミニウム管(2)は、超音波を用いて表面仕上げを行うのは好ましくないが、アルマイト処理等を用いれば、何ら不具合なく、表面仕上げを行うことができる。
さらにアルマイト処理等によって、アルミニウム管(2)の表面に、陽極酸化皮膜を形成するような場合には、オーバーハング部の固化(安定化)の観点から、膜厚を1μm以上に設定するのが良い。
また本実施形態の引抜装置において、引抜ダイス(5)は、ダイスボックスの中でねじ止め固定される一方、アルミニウム管(2)の先端はチャックで固定され、後方はプラグロッドと中子で位置決めされているため、引抜動作中に、アルミニウム素管(1)やアルミニウム管(2)が引抜ダイス(5)に対し回転するようなことはない。
次にこの発明に関連した実施例と、本発明の要旨を逸脱する比較例とを行うに際して、以下の構成のアルミニウム素管(1)を準備した。
すなわちMn:1.12質量%、Si:0.11質量%、Fe:0.39質量%、Zn:0.01質量%、Mg:0.02質量%を含み、残部がアルミニウムおよび不可避不純物からなるビレットを、ポートホールダイスを用い、押出温度が520℃、押出速度が10m/分の押出条件で、外径28mm、肉厚1.3mmの円管状に押出加工を行った。
こうして連続押出される長尺なアルミニウム素管を切断機で切断して、長さが2mのアルミニウム素管(1)を多数製造した。こうして得られた各アルミニウム素管の表面を、倍率10倍のルーペでそれぞれ観察し、多数のアルミニウム素管(1)の中から、明瞭にダイスライン(11)が形成されていたものを選別し、そのダイスライン付きのアルミニウム素管(1)を用いて、以下の実施例および比較例を行った。
<実施例1>
上記図2と同様な引抜装置を準備した。この引抜装置の引抜ダイス(5)として、アプローチ部(61)の軸心(X)に対する角度(アプローチ角)が15°、ベアリング部(62)の軸心方向長さ(ベアリング長さ)が15mmに設定され、さらにアプローチ部(61)に、V字状の溝部からなる線条部(7)が、図10に示す形状に形成されたもの(図10凹型)を準備した。この場合、線条部(7)の溝幅を0.5mmに設定し、線条部(7)の両側開口縁部(72)に、バリを除去した上で、曲率半径0,1mmのR面取り部を形成しておいた。なおこの引抜ダイス(5)のベアリング部(62)には、格別な加工を行わず、現状通り平坦のままにしてある。
また引抜プラグ(51)としては、アプローチ角が7°、ベアリング長さが2mmのものを準備した。
この引抜装置を用いて、上記ダイスライン付きのアルミニウム素管(1)に対し引抜加工を行い、ED管としての外径24mm、肉厚1.0mmのアルミニウム管(2)を作製した。なおこのときの引抜条件は、引抜速度を30m/分、引抜回数を1回、潤滑油の粘度を140cstとした。
こうして得られたアルミニウム管(2)の表面全域を、倍率10倍のルーペで観察し、ダイスラインに起因する皺状欠陥等の表面欠陥の有無を確認した。さらにその表面欠陥の有無を参考にしつつ、他の要素も考慮して、アルミニウム管(2)の総合的な評価を行った。その結果および引抜ダイス(5)の主構成を以下の表1に示す。
なお表1において、評価の「◎」は表面欠陥が全く認められず、表面平滑性に優れ、感光ドラム基体用として最適なもの、「○」は僅少な表面欠陥は認められるものの、ある程度の表面平滑性を有し、感光ドラム基体用として利用できるもの、「×」は表面欠陥が認められ、表面平滑性に劣り、感光ドラム基体用として利用することが困難なものを示す。
Figure 0005180759
<実施例2>
引抜ダイス(5)として、アプローチ部(61)に、溝部からなる線条部(7)が、図11に示す形状で形成され、その他の構成は、上記実施例1と同様のもの(図11凹型)を準備した。
そしてこの引抜ダイス(5)を用いて、上記と同様の引抜条件で引抜加工を行って、アルミニウム管(2)を得、同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
<実施例3>
引抜ダイス(5)として、アプローチ部(61)に、溝部からなる線条部(7)が、図12に示す形状で形成され、その他の構成は、上記実施例1と同様のもの(図12凹型)を準備した。
そしてこの引抜ダイス(5)を用いて、上記と同様の引抜条件で引抜加工を行って、アルミニウム管(2)を得、同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
<実施例4>
引抜ダイス(5)として、アプローチ部(61)に、溝幅が0.1mmの溝部からなる線条部(7)が、図12に示す形状で形成され、その他の構成は、上記実施例1と同様のもの(図12凹型)を準備した。
そしてこの引抜ダイス(5)を用いて、上記と同様の引抜条件で引抜加工を行って、アルミニウム管(2)を得、同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
<実施例5>
引抜ダイス(5)として、アプローチ部(61)に、溝幅が3.0mmの溝部からなる線条部(7)が、図12に示す形状で形成され、その他の構成は、上記実施例1と同様のもの(図12凹型)を準備した。
そしてこの引抜ダイス(5)を用いて、上記と同様の引抜条件で引抜加工を行って、アルミニウム管(2)を得、同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
<実施例6>
引抜ダイス(5)として、アプローチ部(61)に、逆V字状(山状)の突条部(7)からなる線条部(7)が、図10に示す形状で形成されたもの(図10凸型)を準備した。この場合、線条部(7)の高さを0.5mmに設定し、線条部(7)の山頂部(角部71)に、曲率半径0,1mmのR面取り部を形成した。その他の構成は、上記実施例1と同様である。
そしてこの引抜ダイス(5)を用いて、上記と同様の引抜条件で引抜加工を行って、アルミニウム管(2)を得、同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
<実施例7>
引抜ダイス(5)として、アプローチ部(61)に、突条部(7)からなる線条部(7)が、図11に示す形状で形成され、その他の構成は、上記実施例6と同様のもの(図11凸型)を準備した。
そしてこの引抜ダイス(5)を用いて、上記と同様の引抜条件で引抜加工を行って、アルミニウム管(2)を得、同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
<実施例8>
引抜ダイス(5)として、アプローチ部(61)に、突条部(7)からなる線条部(7)が、図12に示す形状で形成され、その他の構成は、上記実施例6と同様のもの(図12凸型)を準備した。
そしてこの引抜ダイス(5)を用いて、上記と同様の引抜条件で引抜加工を行って、アルミニウム管(2)を得、同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
<実施例9>
引抜ダイス(5)として、アプローチ部(61)に、高さが0.1mmの突条部(7)からなる線条部(7)が、図12に示す形状で形成され、その他の構成は、上記実施例6と同様のもの(図12凸型)を準備した。
そしてこの引抜ダイス(5)を用いて、上記と同様の引抜条件で引抜加工を行って、アルミニウム管(2)を得、同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
<実施例10>
引抜ダイス(5)として、アプローチ部(61)に、高さが1.5mmの突条部(7)からなる線条部(7)が、図12に示す形状で形成され、その他の構成は、上記実施例6と同様のもの(図12凸型)を準備した。
そしてこの引抜ダイス(5)を用いて、上記と同様の引抜条件で引抜加工を行って、アルミニウム管(2)を得、同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
<実施例11>
引抜ダイス(5)として、ベアリング部(62)に、V字状の溝部からなる線条部(7)が、図13に示す形状に形成されたもの(図13凹型)を準備した。この場合、線条部(7)の溝幅を0.5mmに設定し、線条部(7)の両側開口縁部(72)に、バリを除去した上で、曲率半径0,1mmのR面取り部を形成しておいた。なおこの引抜ダイス(5)のアプローチ部(61)には、格別な加工を行わず、現状通り平坦のままにしてある。その他の構成は上記各実施例と同様である。
そしてこの引抜ダイス(5)を用いて、上記と同様の引抜条件で引抜加工を行って、アルミニウム管(2)を得、同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
Figure 0005180759
<実施例12>
引抜ダイス(5)として、ベアリング部(62)に、溝部からなる線条部(7)が、図14に示す形状で形成され、その他の構成は、上記実施例11と同様のもの(図14凹型)を準備した。
そしてこの引抜ダイス(5)を用いて、上記と同様の引抜条件で引抜加工を行って、アルミニウム管(2)を得、同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
<実施例13>
引抜ダイス(5)として、ベアリング部(62)に、溝部からなる線条部(7)が、図15に示す形状で形成され、その他の構成は、上記実施例11と同様のもの(図15凹型)を準備した。
そしてこの引抜ダイス(5)を用いて、上記と同様の引抜条件で引抜加工を行って、アルミニウム管(2)を得、同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
<実施例14>
引抜ダイス(5)として、ベアリング部(62)に、溝幅が0.1mmの溝部からなる線条部(7)が、図14に示す形状で形成され、その他の構成は、上記実施例11と同様のもの(図14凹型)を準備した。
そしてこの引抜ダイス(5)を用いて、上記と同様の引抜条件で引抜加工を行って、アルミニウム管(2)を得、同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
<実施例15>
引抜ダイス(5)として、ベアリング部(62)に、溝幅が3.0mmの溝部からなる線条部(7)が、図14に示す形状で形成され、その他の構成は、上記実施例11と同様のもの(図14凹型)を準備した。
そしてこの引抜ダイス(5)を用いて、上記と同様の引抜条件で引抜加工を行って、アルミニウム管(2)を得、同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
<実施例16>
引抜ダイス(5)として、ベアリング部(62)に、逆V字状(山状)の突条部(7)からなる線条部(7)が、図13に示す形状で形成されたもの(図13凸型)を準備した。この場合、線条部(7)の高さを0.5mmに設定し、線条部(7)の山頂部(角部71)に、曲率半径0,1mmのR面取り部を形成した。その他の構成は、上記実施例11と同様である。
そしてこの引抜ダイス(5)を用いて、上記と同様の引抜条件で引抜加工を行って、アルミニウム管(2)を得、同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
<実施例17>
引抜ダイス(5)として、ベアリング部(62)に、突条部(7)からなる線条部(7)が、図14に示す形状で形成され、その他の構成は、上記実施例16と同様のもの(図14凸型)を準備した。
そしてこの引抜ダイス(5)を用いて、上記と同様の引抜条件で引抜加工を行って、アルミニウム管(2)を得、同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
<実施例18>
引抜ダイス(5)として、ベアリング部(62)に、突条部(7)からなる線条部(7)が、図15に示す形状で形成され、その他の構成は、上記実施例16と同様のもの(図15凸型)を準備した。
そしてこの引抜ダイス(5)を用いて、上記と同様の引抜条件で引抜加工を行って、アルミニウム管(2)を得、同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
<実施例19>
引抜ダイス(5)として、ベアリング部(62)に、高さが0.1mmの突条部(7)からなる線条部(7)が、図14に示す形状で形成され、その他の構成は、上記実施例16と同様のもの(図14凸型)を準備した。
そしてこの引抜ダイス(5)を用いて、上記と同様の引抜条件で引抜加工を行って、アルミニウム管(2)を得、同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
<実施例20>
引抜ダイス(5)として、ベアリング部(62)に、高さが1.5mmの突条部(7)からなる線条部(7)が、図14に示す形状で形成され、その他の構成は、上記実施例16と同様のもの(図14凸型)を準備した。
そしてこの引抜ダイス(5)を用いて、上記と同様の引抜条件で引抜加工を行って、アルミニウム管(2)を得、同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
<実施例21>
溝状線条部(7)における両側開口縁部(72)にR面取り部を形成しない点を除き、上記実施例3と同様の引抜ダイス(5)を準備した。
そしてこの引抜ダイス(5)を用いて、上記と同様の引抜条件で引抜加工を行って、アルミニウム管(2)を得、同様の評価を行った。その結果を表3に示す。
Figure 0005180759
<実施例22>
突条の線条部(7)における先端角部(71)にR面取り部を形成しない点を除き、上記実施例7と同様の引抜ダイス(5)を準備した。
そしてこの引抜ダイス(5)を用いて、上記と同様の引抜条件で引抜加工を行って、アルミニウム管(2)を得、同様の評価を行った。その結果を表3に示す。
<実施例23>
突条の線条部(7)における先端角部(71)にR面取り部を形成しない点を除き、上記実施例8と同様の引抜ダイス(5)を準備した。
そしてこの引抜ダイス(5)を用いて、上記と同様の引抜条件で引抜加工を行って、アルミニウム管(2)を得、同様の評価を行った。その結果を表3に示す。
<比較例1>
従来の引抜ダイス、つまりアプローチ部およびベアリングに、格別な加工を行わずに、現状通り平坦のままの引抜ダイスを準備した。
そしてこの引抜ダイスを用いて、上記と同様の引抜条件で引抜加工を行って、アルミニウム管を得、同様の評価を行った。その結果を表4に示す。
Figure 0005180759
<比較例2>
引抜ダイスとして、アプローチ部に、幅0.5mmのV字状の溝部からなる線条部が、図20に示す形状に形成され、その他の構成は、上記実施例1と同様のもの(図20凹型)を準備した。
そしてこの引抜ダイスを用いて、上記と同様の引抜条件で引抜加工を行って、アルミニウム管を得、同様の評価を行った。その結果を表4に示す。
<比較例3>
引抜ダイスとして、アプローチ部に、幅0.5mmの逆V字状(山状)の突条部からなる線条部が、図20に示す形状に形成され、その他の構成は、上記比較例2と同様のもの(図20凸型)を準備した。
そしてこの引抜ダイスを用いて、上記と同様の引抜条件で引抜加工を行って、アルミニウム管を得、同様の評価を行った。その結果を表4に示す。
<比較例4>
引抜ダイスとして、ベアリング部に、溝幅0.5mmのV字状の溝部からなる線条部が、図22に示す形状に形成され、その他の構成は、上記実施例6と同様のもの(図22凹型)を準備した。
そしてこの引抜ダイスを用いて、上記と同様の引抜条件で引抜加工を行って、アルミニウム管を得、同様の評価を行った。その結果を表4に示す。
<比較例5>
引抜ダイスとして、ベアリング部に、高さ0.5mmの逆V字状(山状)の突条部からなる線条部が、図22に示す形状に形成され、その他の構成は、上記比較例4と同様のもの(図22凸型)を準備した。
そしてこの引抜ダイスを用いて、上記と同様の引抜条件で引抜加工を行って、アルミニウム管を得、同様の評価を行った。その結果を表4に示す。
<評価>
以上の実施例および比較例から明らかなように、本発明に関連した実施例1〜23のアルミニウム管は、表面欠陥を修正できて、良好な表面平滑性を得ることができた。従って実施例のアルミニウム管は、感光ドラム基体用として好適に用いることができる。
実施例の中でも特に線条部(7)の溝幅や山高さを特定値に設定したアルミニウム管は、より確実に表面欠陥を修正できて、より一層優れた表面平滑性を得ることができた。
これに対し、本発明の要旨を逸脱する比較例1〜5のアルミニウム管は、表面欠陥を確実に修正できず、良好な表面平滑性を得ることができなかった。
この発明の引抜ダイスは、押出管等の長尺なワークに対し引抜加工を行う際に利用可能である。
この発明の実施形態であるアルミニウム管の製造手順を示す工程図である。 実施形態に適用された引抜装置の要部を示す側面断面図である。 実施形態に適用された引抜ダイスを示す斜視図である。 実施形態に適用可能な引抜ダイスの一例を示す側面断面図である。 実施形態に適用可能な引抜ダイスの他の例を示す側面断面図である。 実施形態の引抜ダイスに形成された突条部からなる線条部を斜視図である。 実施形態の引抜ダイスに形成された溝部からなる線条部を示す斜視図である。 実施形態の引抜ダイスにおける突条部からなる線条部の周辺を示す断面図である。 実施形態の引抜ダイスにおける溝部からなる線条部の周辺を示す断面図である。 実施形態の第1例の線条部が形成された引抜ダイスのアプローチ部を軸心方向に沿って上流側から見た状態での正面図である。 第2例の線条部が形成された引抜ダイスのアプローチ部を示す正面図である。 第3例の線条部が形成された引抜ダイスのアプローチ部を示す正面図である。 実施形態の第4例の線条部が形成された引抜ダイスのベアリング部を展開して内周側から見た状態での側面図である。 第5例の線条部が形成された引抜ダイスのベアリング部を示す側面図である。 第6例の線条部が形成された引抜ダイスのベアリング部を示す側面図である。 実施形態の引抜ダイスによって引抜加工されるアルミニウム管の一部を示す斜視図であって、同図(a)は引抜加工前の状態での斜視図、同図(b)は引抜加工後の状態での斜視図である。 実施形態の引抜ダイスによって引抜加工されるアルミニウム管の一部を示す正面断面であって、同図(a)は引抜加工前の状態での正面断面図、同図(b)は引抜加工途中の状態での正面断面図、同図(c)は引抜加工後の状態での正面断面図である。 第7例の線条部が形成された引抜ダイスのアプローチ部を示す正面図である。 第8例の線条部が形成された引抜ダイスのアプローチ部を示す正面図である。 この発明の要旨を逸脱する線条部が形成された引抜ダイスのアプローチ部の一例を示す正面図である。 この発明の要旨を逸脱する線条部が形成された引抜ダイスのアプローチ部の他の例を示す正面図である。 この発明の要旨を逸脱する線条部が形成された引抜ダイスのベアリング部の一例を示す側面図である。 この発明の要旨を逸脱する線条部が形成された引抜ダイスのベアリング部の他の例を示す側面図である。
符号の説明
1…アルミニウム素管(ワーク、押出管)
11…ダイスライン(表面欠陥)
2…アルミニウ素管(引抜加工品、引抜管)
21…表面欠陥修正部
5…引抜ダイス
6…ダイス孔
61…アプローチ部
62…ベアリング部
X…軸線

Claims (3)

  1. ダイス孔を有し、長尺なワークを前記ダイス孔に通過させるように引っ張って引抜加工を行うことにより、感光ドラム基体用の引抜加工品を得るようにした引抜ダイスであって、
    前記ダイス孔の内周面に、溝幅が0.1〜3mmに設定された溝部によって構成され、かつワーク表面の金属材料を周方向に擦り寄せて表面欠陥を修復するための線条部が、軸心に対し、ねじれた方向に沿って設けられ
    前記線条部が、前記ダイス孔の内周面に螺旋状に複数条設けられ、
    前記ダイス孔の内周面は、その引抜方向の上流側にアプローチ部が設けられるとともに、下流側にベアリング部が設けられ、
    前記アプローチ部および前記ベアリング部のいずれか一方に、前記線条部が設けられたことを特徴とする引抜ダイス。
  2. 前記線条部が、V字形状、U字形状、矩形状、半円形状またはそれらに近似する形状の断面を有する請求項に記載の引抜ダイス。
  3. 前記線条部の両側開口縁部が、曲率半径0.1mm以上の円弧状に形成される請求項1または2に記載の引抜ダイス。
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