JP2009214172A - アルミニウム押出管及びアルミニウム引抜管 - Google Patents

アルミニウム押出管及びアルミニウム引抜管 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた真円度を有するアルミニウム引抜管を成形可能なアルミニウム押出管を提供する。
【解決手段】アルミニウム若しくはアルミニウム合金からなるアルミニウム材料を用いたポートホール押出しにより成形されてなり、且つ押出方向に直角な断面の積分強度を広角X線回折法にて求めたときに、最大ピーク高さを示す結晶方位について、溶着部12で求められた積分強度:Iwと、該溶着部以外の管壁部分14で求められた積分強度:Inとの比:Iw/Inが、0.7〜1.0の範囲内の値となるように構成した。
【選択図】図1

Description

本発明は、円筒状を呈する、アルミニウム製(純アルミニウム製)若しくはアルミニウム合金製の押出管(以下、アルミニウム押出管と言う)及びアルミニウム製若しくはアルミニウム合金製の引抜管(以下、アルミニウム引抜管と言う)に係り、特に、ポートホール押出しによって成形されるアルミニウム押出管と、かかるアルミニウム押出管に対する引抜加工を実施して得られるアルミニウム引抜管のそれぞれの改良に関するものである。
従来から、アルミニウム製若しくはアルミニウム合金製の円筒管(以下、アルミニウム円筒管と言う)が、各種の配管や様々な装置の円筒状基体等として、多く使用されてきている。例えば、各種の熱交換器用配管、或いは電子写真方式を利用した複写機やプリンター、ファクシミリ等に装備される感光体(感光ドラム)の基体やマグネットロール等に、用いられている。
そして、そのようなアルミニウム円筒管の成形方法の一種として、アルミニウム若しくはアルミニウム合金からなるアルミニウム材料(ビレット)に対する押出加工を実施して、円筒状のアルミニウム押出管を成形し、その後、このアルミニウム押出管に対する引抜加工を行って、円筒状のアルミニウム引抜管を成形することにより、目的とするアルミニウム円筒管を得る方法がある。この手法によれば、比較的に高い表面平滑性を有するアルミニウム円筒管が、容易に得られることとなる。
ところで、かくの如き押出加工と引抜加工とを組み合わせた従来のアルミニウム円筒管の成形方法では、引抜加工が実施されるアルミニウム押出管が、一般に、アルミニウム材料に対して、マンドレル方式の押出加工(マンドレル押出し)か、或いはポートホール方式の押出加工(ポートホール押出し)を実施することによって、成形される。しかしながら、マンドレル押出しによって成形された押出管には、偏肉(周方向での肉厚のバラツキ)が生じやすいといった問題が内在していた。また、ポートホール押出しによって成形される押出管は、偏肉の発生が回避されるものの、引抜加工後の真円度が低いものとなってしまう傾向があった。
かかる状況下、特許文献1には、引抜ダイスのダイス穴の形状やプラグの形状を変更し、且つ特定の潤滑油を用いて、アルミニウム押出管に対する引抜加工を実施する技術が、開示されている。このような技術によれば、アルミニウム引抜管の真円度の向上が図られ得る。ところが、そのような従来技術を実施する場合には、アルミニウム押出管の引抜加工に際して、従来より一般に用いられるものとは構造や種類等が異なる特別な引抜ダイスやプラグ、潤滑油等を新たに準備しなければならなかった。
そのため、偏肉がなく且つ優れた真円度を有するアルミニウム引抜管を得るために、例えば、ポートホール押出しによって成形されたアルミニウム押出管に対する引抜加工を、上記の従来技術によって行おうとすると、特別な引抜ダイスやプラグ、潤滑油等の準備のために、余分な経済負担や作業負担が強いられるといった問題が生ずることが避けられなかったのである。
特開2000−75531号公報
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、特別な治具や工具等を何等用いることのない、従来と同様な引抜加工の実施によって、優れた真円度を有するアルミニウム引抜管を得ることが出来る、ポートホール押出しによって成形されたアルミニウム押出管を提供することにある。また、本発明にあっては、優れた真円度を有するアルミニウム引抜管を提供することをも、その解決課題とするところである。
そして、それらの課題の解決のために、本発明者等が、鋭意研究を行った結果、ポートホール押出によって成形されるアルミニウム押出管では、周上の複数箇所において押出方向の全長に連続して延びるように形成された溶着部と、かかる溶着部以外の管壁部分との間で、それぞれの加工履歴の違いにより、各々の組織、特に、結晶方位が大きく異なるようになること、更には、そのような結晶方位の違いによって、引抜加工時における溶着部の形状変化と溶着部以外の管壁部分の形状変化との間に著しい差異が生ぜしめられ、それが、引抜管の真円度に多大な悪影響を及ぼすことを見出したのである。
すなわち、本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものであって、その要旨とするところは、アルミニウム若しくはアルミニウム合金からなるアルミニウム材料を用いたポートホール押出しにより成形されて、周上の複数箇所において押出方向の全長に連続して延びるように形成された溶着部を有する円筒状のアルミニウム押出管であって、押出方向に直角な断面の積分強度を広角X線回折法にて求めたときに、最大ピーク高さを示す結晶方位について、前記溶着部で求められた積分強度:Iwと、該溶着部以外の管壁部分で求められた積分強度:Inとの比:Iw/Inが、0.7〜1.0の範囲内の値となっていることを特徴とするアルミニウム押出管にある。
また、本発明にあっては、上記せる如き特徴を備えたアルミニウム押出管に対する引抜加工を実施することによって成形されていることを特徴とする円筒状のアルミニウム引抜管をも、その要旨とするところである。
要するに、本発明に従うアルミニウム押出管にあっては、溶着部と溶着部以外の管壁部分との間での結晶方位の違いが、可及的に解消されている。それによって、そのような結晶方位の違いに起因して引抜加工時に生ずる溶着部の形状変化と溶着部以外の管壁部分の形状変化との差異も、有利に小さくされ、その結果、引抜加工によって得られる引抜管の真円度に対して、溶着部と溶着部以外の管壁部分との形状変化の差異によって及ぼされる悪影響の大きさも、効果的に低く抑えられ得る。
それ故、かかるアルミニウム押出管を用いれば、特別な形状のダイス穴を有する引抜ダイスや、特殊な形状のプラグ、或いは特定の潤滑油等を、何等準備することなく、そのため、そのような特別な治具や工具等を準備するための余分な経済負担や作業負担が課せられることもなしに、単に、従来から用いられる一般的な引抜ダイスやプラグ等の治具や工具等を用いた引抜加工を行うだけで、優れた真円度を有するアルミニウム引抜管が、有利に得られることとなる。
従って、本発明に従うアルミニウム押出管にあっては、引抜加工が実施されることで得られるアルミニウム引抜管の真円度の向上が、極めて効果的に且つ工業的に有利に実現され得るのである。
また、本発明に従うアルミニウム引抜管にあっては、上述せる如き優れた特徴を発揮するアルミニウム押出管を用いて成形されているところから、真円度の改善が、引抜条件の変更等を行うことなく、極めて効果的に且つ工業的に有利に達成され得るのである。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
先ず、図1には、本発明に従う構造を有するアルミニウム押出管の一実施形態が、その斜視形態において部分的に示されている。かかる図1から明らかなように、本実施形態のアルミニウム押出管10は、全体として円筒形状を呈しており、周方向の3箇所に、溶着部12が、軸方向の全長に連続して延びるように形成されている。換言すれば、本実施形態のアルミニウム押出管10は、溶着部12以外の分割円筒形状を呈する3個の管壁部分(以下、単に管壁部分と言う)14,14,14が、周方向の端部同士において互いに突き合わされると共に、それらの突合せ部分が、溶着部12にてそれぞれ相互に溶着されることによって形成された円筒体にて、構成されている。
そして、そのようなアルミニウム押出管10は、純アルミニウム若しくはアルミニウム合金からなるアルミニウム材料を用いたポートホール押出しによって成形されている。
より具体的には、このアルミニウム押出管10の成形材料たるアルミニウム材料は、その種類が特に限定されるものではないものの、一般には、成形性等を考慮して、ポートホール押出管の成形に適したアルミニウム材料、例えば、JIS A1000系アルミニウム、JIS A3000系アルミニウム合金、JIS A4000系アルミニウム合金、JIS A6000系アルミニウム合金等が、好適に使用される。
また、そのようなアルミニウム材料を用いたポートホール押出の実施には、例えば、図2乃至図4に示される如く、オス型18とメス型20とを有し、且つそれらオス及びメスの両型18,20が互いに組み付けられてなる、従来と同様な基本構造を備えた押出ダイス16が、用いられる。
この押出ダイス16のオス型18は、図2及び図3に示される如く、略厚肉の円筒状のリング部22と、このリング部22の内孔内に、径方向(軸直角方向)内方に離間して、同軸的に配された円柱状のマンドレル24とを、更に有している。また、それらリング部22とマンドレル24との間には、リング部22の周方向に等間隔を隔てた三つの位置において、リング部22とマンドレル24とを互いに一体的に連結するブリッジ26が、軸方向に延びるように、それぞれ設けられている。そして、そのような三つのブリッジ26,26,26にて、リング部22の内周面とマンドレル24の外周面との間に形成される空間が三つに仕切られて、それら三つの空間が、それぞれエントリーポート28とされている。
一方、メス型20は、図2及び図4に示される如く、全体として、リング部22と同一の外径を有する、略厚肉の円板形状を呈しており、その中心部に、円形の貫通孔30が、軸方向に真っ直ぐに延びるように形成されている。また、このメス型20には、一方の面において開口する凹所32が、その底部の中心に貫通孔30が位置するように形成されている。
そして、図2に示されるように、かかるメス型20の凹所32が、オス型18にて覆蓋され、且つメス型20の貫通孔30内に、オス型18のマンドレル24の先端部が突入せしめられた状態で、オス型18とメス型20とが互いに組み付けられることによって、押出ダイス16が構成されている。また、それによって、かかる押出ダイス16内に、メス型20の凹所32からなるチャンバ34が、オス型18の各エントリーポート28が開口せしめられた状態で形成されると共に、オス型18のマンドレル24の先端部外周面とメス型20の貫通孔30の内周面との間に、円環状のダイス穴36が、各エントリーポート28がチャンバ34を通じて連通するように形成されている。
そして、このような構造とされた押出ダイス16を用いて、ポートホール押出しを実施する際には、図示されてはいないものの、先ず、かかる押出ダイス16が、コンテナの押出口側に取り付けられる。次いで、かかるコンテナ内に収容されたビレットに対して、押圧力が、ラムにより加えられることによって、ビレットのメタルが、押出ダイス16のオス型18内で、三つのブリッジ26,26,26にて、三つに分割されて、三つのエントリーポート28,28,28内をそれぞれ流動せしめられた後、それら三つに分割されたメタル同士が、チャンバ34内において再び溶着され、その後、ダイス穴36を通じて押し出される。これによって、ダイス穴36の形状に応じた円筒形状を呈する、図1に示される如きアルミニウム押出管10が形成されるのである。
このような押出ダイス16を用いたポートホール押出しでは、三つのブリッジ26,26,26にて三分割されたビレットの三つのメタルが三つのエントリーポート28,28,28内をそれぞれ流動せしめられる際に、各ブリッジ26と、それに接触せしめられる各メタルの接触部分との間で、大きな摩擦が生ぜしめられる。一方、そのようなブリッジ26との接触部分以外のメタル部分は、然程大きな摩擦抵抗を受けることなく、各エントリーポート28内を比較的にスムーズに流動せしめられる。
そして、大きな摩擦抵抗を受けた三つのメタルの各ブリッジ26との接触部分同士が、各エントリーポート28内の流動後に、チャンバ34内で溶着されて、それら互いに溶着された各メタルの各ブリッジ26との接触部分同士が、押出成形されるアルミニウム押出管10の溶着部12とされる。つまり、ここでは、溶着部12が、三つのメタルのブリッジ26との接触面からなる溶着面に沿った溶着線13(図1に二点鎖線で示す)を含む、アルミニウム押出管10の軸方向に真っ直ぐに延びる狭幅部分にて、形成されている。また、大きな摩擦抵抗を受けることなく、各エントリーポート28内をスムーズに流動せしめられた、ブリッジ26との接触部分以外のメタル部分、つまりブリッジ26との接触部分とは加工履歴が異なるメタル部分が、アルミニウム押出管10の三つの溶着部12以外の部分からなる三つの管壁部分14とされる。
このため、そのようなポートホール押出しによって成形されるアルミニウム押出管10にあっては、各溶着部12の結晶方位がランダムになり易く、その一方、各管壁部分14は、結晶方位のランダム性が、溶着部12よりも低いものとなる。そして、かかるアルミニウム押出管10において、溶着部12の結晶方位と管壁部分14の結晶方位とが大きく異なる場合には、そのようなアルミニウム押出管10に対する引抜加工を行った際に、溶着部12と管壁部分14との間において、形状変化に大きな差異が生ずるようになる。
それ故、本実施形態のアルミニウム押出管10にあっては、押出方向(軸方向)に直角な断面の積分強度を広角X線回折法にて求めたときに、最大ピーク高さを示す結晶方位について、溶着部12で求められた積分強度:Iwと、管壁部分14で求められた積分強度:Inとの比:Iw/Inが、0.7〜1.0の範囲内の値とされていなければならないのである。
何故なら、そのような溶着部12で求められた積分強度:Iwと管壁部分14で求められた積分強度:Inとの比:Iw/Inの値が0.7を下回る場合には、溶着部12の結晶方位と管壁部分14の結晶方位とが大きく異なるものとなり、そのために、アルミニウム押出管10に対する引抜加工を実施した際に、溶着部12と管壁部分14との間で、例えば、伸張方向や収縮方向或いは伸張量や収縮量等が互いに著しく異なるようになる等、それぞれの形状変化に大きな差異が生じ、その結果、引抜加工によって得られる引抜管の真円度が低いものとなってしまうからである。
また、前記せる如く、溶着部12は、押出加工時における押出ダイス16のブリッジ26との摩擦により、結晶方位がランダムになり易い。これに対して、管壁部分14は、結晶方位のランダム性が、溶着部12よりも低いものとなる。それ故、溶着部12で求められる、最も大きなピークを示す結晶方位の積分強度:Iwが、管壁部分14で求められる、最も大きなピークを示す結晶方位の積分強度:Inよりも大きな値となることはない。それ故、それら溶着部12で求められた積分強度:Iwと管壁部分14で求められた積分強度:Inとの比:Iw/Inは、理論上、常に1.0以下の値となる。従って、本実施形態では、かかる積分強度の比:Iw/Inが、0.7〜1.0の範囲内の値とされているのである。
なお、ここでは、溶着部12で求められる積分強度:Iwと管壁部分14で求められる積分強度:Inとを、それぞれ、最大ピーク高さを示す結晶方位で評価しているが、これは、最大ピーク高さの結晶方位が、アルミニウム押出管10における押出方向に直角な断面において最も大きな面積を占めて、引抜加工時における溶着部12や管壁部分14の形状変化に対して、最も大きな影響を及ぼすからである。
また、アルミニウム押出管10の溶着部12における押出方向に直角な断面の積分強度:Iwは、アルミニウム押出管10から切り出した溶着部12の試料、具体的には、溶着線13を間に挟んだアルミニウム押出管10の周方向の両側部位を含む溶着部12部位を、押出方向に直角な断面を有するように、アルミニウム押出管10から切り出した試料と、公知のX線回折測定装置とを用いて、かかる試料における押出方向に直角な断面の積分強度をX線回折測定装置にて測定することによって決定されるものである。
なお、そのような溶着部12の積分強度の測定用試料の大きさは、特に限定されるものではなく、使用されるX線回折測定装置の試料ホルダーに収容可能な大きさであれば良いが、なるべく小さい方が好ましい。何故なら、大きな試料を用いた場合には、その試料中に、溶着部12とは結晶方位が異なる管壁部分14が含まれるようになって、溶着部12の積分強度の正確な測定が困難となる恐れがあるからである。また、このような懸念を払拭するためには、溶着部12の積分強度の測定用試料が、2mm程度の幅を有し、且つ溶着線13が幅方向の中心に位置するように、換言すれば、溶着線13を中心として周方向にそれぞれ1mm程度の幅で、アルミニウム押出管10から切り出したものであることが、より望ましい。溶着線13からの周方向の離間量が1mm以内とされた溶着部12部位は、結晶方位が、押出ダイス16のブリッジ26との摩擦の影響を十分に受けて、よりランダムとされているため、溶着部12の結晶方位を代表していると考えられるからである。
一方、アルミニウム押出管10の管壁部分14における押出方向に直角な断面の積分強度:Inは、アルミニウム押出管10から押出方向に直角な断面を有するように切り出した管壁部分14の試料と、公知のX線回折測定装置とを用いて、かかる試料における押出方向に直角な断面の積分強度をX線回折測定装置にて測定することによって決定されるものである。
なお、このような管壁部分14の積分強度の測定用試料としては、好ましくは、周方向に互いに隣り合う溶着線13同士の周方向の中央に位置する、管壁部分14の周方向中央部分が、アルミニウム押出管10から切り出されて、用いられる。また、かかる試料の大きさは、溶着部12の積分強度の測定用試料と同程度の大きさとされる。
このように、上記の如き溶着部12の積分強度の測定用試料と管壁部分14の積分強度の測定用試料とを用いることにより、溶着部12と管壁部分14のうちで最も加工履歴の異なる部分同士を相互に比較することが可能となる。また、その結果、溶着部12で求められる積分強度:Iwと管壁部分14で求められる積分強度:Inとの比:Iw/Inが、より大きな差異を有する二つの積分強度:Iw、Inとにて決定されることとなるのである。
ところで、本実施形態のアルミニウム押出管10における前記溶着部12と管壁部分14での積分強度の比:Iw/Inを、確実に0.7〜1.0の範囲内の値と為すには、ポートホール押出によるアルミニウム押出管10の押出成形時に、結晶方位がランダムなビレットを用いることが好ましく、また、そのようなビレットに対する押出成形を、粗大な再結晶粒が発生しないような条件で実施することが望ましい。換言すれば、押出方向(軸方向)に直角な断面の積分強度を広角X線回折法にて求めたときに、最大ピーク高さを示す結晶方位について、溶着部12で求められた積分強度:Iwと、管壁部分14で求められた積分強度:Inとの比:Iw/Inが、0.7〜1.0の範囲内の値とされた本実施形態のアルミニウム押出管10は、例えば、結晶方位がランダムなビレットを粗大な再結晶粒が発生し難いように押し出すことによって、確実に得られることとなるのである。
なお、結晶方位がランダムなビレットとは、以下のものを言う。即ち、押し出されるビレットのうちで、少なくとも、中心から切り出された試料と、互いに周方向に30°ずつの位相差を有するビレットの周上の12箇所のそれぞれにおいて、径方向の中心から径方向の外方に、半径の1/4だけ離隔した部分から切り出された試料と、半径の1/2だけ離隔した部分から切り出された試料と、半径の3/4だけ離隔した部分から切り出された試料とを用いて、それらの試料における押出方向に直角な断面の積分強度を広角X線回折法にて求めたときに、2θ(ブラッグ角)=38.5°のピークの積分強度(I2θ=38.5°)と、2θ=44.7°のピークの積分強度(I2θ=44.7°)と、2θ=65.1°のピークの積分強度(I2θ=65.1°)の比(I2θ=38.5°:I2θ=44.7°:I2θ=65.1°)が、全て、下式<1>を満たす値となっているビレットを言う。
2θ=38.5°:I2θ=44.7°:I2θ=65.1°=1:(0.8〜1.2):(0.8〜1.2)
・・・・ <1>
そのような結晶方位がランダムなビレットの作製手法は、何等限定されるものでなはく、公知の手法が何れも採用されるが、例えば、ビレットの作製手法として一般に採用されるDC鋳造によって作製されたビレットは、「軽金属学会第101回秋季大会講演概要(2001),P229-230」等に記載されるように、結晶方位が鋳造方向に揃い易く、ランダムとはならない。そのため、そのようなDC鋳造法等にて作製された、結晶方位がランダムでないビレットは、例えば、屈曲した金型に棒材を押し込んで、材料全体に単純剪断変形を加えることで結晶粒を微細化する、公知のECAP法等により加工歪みが加えられることによって、結晶方位がランダムとされた上で、上記せる溶着部12と管壁部分14での積分強度の比:Iw/Inが0.7〜1.0の範囲内の値とされたアルミニウム押出管10、即ち、本発明に従う構造を有するアルミニウム押出管10を成形するためのビレットとして、使用されることとなる。
また、よく知られているように、溶融した金属の液滴群を基板上に堆積させながら急冷凝固させて、板状又は棒状のプリフォームを製造するスプレーフォーミング法を採用して作製されたビレットは、ランダムな結晶方位を有する。それ故、そのようなスプレーフォーミング法によって作製されたビレットについては、特別な後加工を、何等施すことなく、作製されたままの状態で、本発明に従う構造を有するアルミニウム押出管10を成形するためのビレットとして、有利に使用されるのである。
さらに、かくして作製されたビレットに対する均質化処理は、再結晶温度以上で短時間保持するのが良い。何故なら、均質化処理時間が長くなると、押出成形時に、粗大な再結晶粒が生ずる恐れが大きくなるからである。なお、均質化処理時間は、0.5〜2時間程度であることが、より好ましい。
また、「T.Sheppard,EXTRUSION of ALUMINIUM ALLOYS(1999),P156-159」や、「日本金属学会誌、Vol.63(1999),P859-865」等に記載されるように、アルミニウム材料からなるビレットの押出に際して、粗大な再結晶粒が発生しないようにするには、平均結晶粒径が小さくなるように、つまり押出時におけるZener-Hollomon因子を大きくすれば良いことが、知られている。即ち、押出時におけるZener-Hollomon因子の値が、予め設定されたしきい値よりも大きな値となるように、押出条件(ラム速度、コンテナ径、押出比、及びビレット温度)を決定することによって、押出時における粗大な再結晶粒が発生を防止することが出来るのである。
ここで、かかるしきい値は、ビレットの構成成分や、その均質化処理条件等で変化するため、一般には、実験により求められることとなる。そのため、本発明者等が、純アルミニウムや各種のアルミニウム合金からなるビレットを様々な条件で押出成形して、その際に、粗大な再結晶粒が生ずるか否かを確かめる実験を行った。その結果、例えば、下式<2>を満足するように、押出条件(ラム速度、コンテナ径、押出比、及びビレット温度)を決定することによって、押出時における粗大な再結晶粒の発生の防止が可能となることが判明した。
20≦ln(Z)≦40 ・・・・ <2>
[但し、Z:Zener-Hollomon因子]
なお、よく知られているように、Zener-Hollomon因子:Z は、下式<3>によって求められる。
Z=(dε/dt)exp(Q/RT) ・・・・ <3>
[但し、dε/dt:歪み速度(s-1
Q:活性化エネルギー(37300cal/mol)
R:気体定数(1.978cal/mol・K)
T:ビレットの絶対温度(K)]
また、上記の式<3>中における押出時の歪み速度は、「軽金属,VOL.37(1987),P345-352 」の記載等から、下式<4>にて、求められる。
dε/dt=(4V/D)×N1.5 ・・・・ <4>
[但し、V:ラム速度(mm/s)
D:コンテナ径(mm)
N:押出比]
要するに、押出方向(軸方向)に直角な断面の積分強度を広角X線回折法にて求めたときに、最大ピーク高さを示す結晶方位について、溶着部12で求められた積分強度:Iwと、管壁部分14で求められた積分強度:Inとの比:Iw/Inが、0.7〜1.0の範囲内の値とされた本実施形態のアルミニウム押出管10は、例えば、前記せる如くして作製された結晶方位がランダムなビレットに対して、上記の式<2>を満たすような押出条件で、図2乃至図4に示される如き構造を有する押出ダイス16を用いたポートホール押出を実施することによって、確実に得られることとなるのである。
そして、かくして得られたアルミニウム押出管10にあっては、上記の如き溶着部12で求められた積分強度:Iwと、管壁部分14で求められた積分強度:Inとの比:Iw/Inが、0.7〜1.0の範囲内の値とされているところから、溶着部12と管壁部分14との間での組織の差、特に結晶方位の違いが、可及的に解消されているのである。
このようなアルミニウム押出管10は、そのままの状態で、各種の配管や様々な装置のパイプ部品や円筒状部品等として使用される他、公知の引抜ダイスを用いた、一般的な引抜加工(冷間加工)が行われて、アルミニウム引抜管とされた後に、例えば、電子写真方式を利用した複写機やプリンター、ファクシミリ等に装備される感光体の基体やマグネットロール等として、使用されることとなる。
なお、アルミニウム押出管10に対する引抜加工を実施する際には、それに先立って、アルミニウム押出管10の熱処理を特に行う必要がない。勿論、そのようなアルミニウム押出管10に対する熱処理を行っても、何等差し支えない。但し、熱処理に際し、粗大な再結晶粒が発生しないように、熱処理温度及び保持時間を調整する必要がある。
また、アルミニウム押出管10に対する引抜加工後に、必要に応じて、仕上げ焼鈍を行っても良い。仕上げ焼鈍を行うことによって、加工組織を回復させて、引抜加工による残留応力を低下させることが出来、以て、引抜加工後の引抜管を所定の寸法に切断したときの引抜管の形状変化を軽減することが可能となる。
このような仕上げ焼鈍を実施する際の焼鈍温度は、再結晶温度よりも低い温度であれば、特に限定されるものではなく、例えば、アルミニウム押出管10の成形材料たるアルミニウム材料の種類等に応じて適宜に決定されるものではあるが、好ましくは、加工組織の回復が十分に可能な温度以上で、且つ固溶元素の過剰な析出を抑制可能な温度以下とされる。また、焼鈍時間は、例えば、固溶元素の過剰な析出を抑制できる時間以下とされる。
そして、前述せる如く、本実施形態のアルミニウム押出管10においては、溶着部12と管壁部分14との間での結晶方位の違いが可及的に解消されているところから、引抜加工が行われた際に、そのような結晶方位の違いによって、溶着部12と管壁部分14との間で、顕著な形状変化が生ずることが、有利に解消され得る。また、それによって、アルミニウム押出管10の引抜加工時に生ずる溶着部12と管壁部分14との間の形状変化の差異が、かかる引抜加工によって得られる引抜管の真円度に対して、重大な悪影響を及ぼすことが、効果的に抑制され得る。
従って、かくの如き本実施形態のアルミニウム押出管10を用いれば、特別な構造とされた引抜ダイスを使用することなく、また特殊な条件を採用することもなしに、単に、従来から公知の一般的な引抜加工を実施するだけで、パス数に関係なく、優れた真円度を有するアルミニウム引抜管を得ることが出来るのである。
ところで、アルミニウム押出管10を押出成形によって成形する際に用いられる押出ダイス16の構造は、ポートホール押出に使用可能なものであれば、その構造が、例示のものに、何等限定されるものではない。例えば、エントリーポート28やダイス穴36のそれぞれの個数や形状等は、適宜に変更され得るところである。
そして、アルミニウム押出管10の溶着部12や管壁部分14の周上の位置や個数も、使用される押出ダイス16のエントリーポート28及びブリッジ26の位置や個数等によって、決定されるものである。
以下に、本発明の実施例を幾つか示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記した具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等が加え得るものであることが、理解されるべきである。
<ビレットの作製>
先ず、JIS A6063合金を用いて、公知のスプレーフォーミング法を行うことにより、直径が270mmで、高さが1300mmの円柱状のプリフォームを作製した後、このプリフォームを外削して、直径が152mmで、高さが300mmの円柱形状を呈するビレット(ビレットA)を作製した。また、それとは別に、JIS A6063合金を用いて、DC鋳造を行うことによって、大きさと形状と材質とが、上記ビレットAと同じビレット(ビレットB)を作製した。それらビレットAとビレットBのそれぞれの化学組成を、下記表1に示した。
Figure 2009214172
<アルミニウム押出管の成形>
そして、それら2種類のビレット(ビレットA及びB)のそれぞれに対して、550℃で1時間均質化処理を施した。その後、図5及び図6に示される如き構造を有する押出ダイス38、即ち、メス型20に、3個のダイス穴36が設けられると共に、オス型18に、エントリーポート28とブリッジ26とが、メス型20のダイス穴36の1個のものに対してそれぞれ3個ずつ対応位置するように配設されてなる押出ダイス38を用いて、均質化処理されたビレットAとビレットBのそれぞれに対するポートホール押出しを実施した。それによって、図1に示されるように、3個の溶着部12と3個の管壁部分14とを有し、且つ外径が25mm、内径が22mmで大きさは互いに同じであるものの、結晶方位のランダムさ、即ち、結晶方位分布状態が各々異なる2種類のアルミニウム押出管を得た。そして、それら2種類のアルミニウム押出管のうち、ビレットAを用いて押出成形されたものを、アルミニウム押出管Aとし、また、ビレットBを用いて押出成形されたものを、アルミニウム押出管Bとした。なお、それらアルミニウム押出管Aとアルミニウム押出管Bのそれぞれの成形時の押出条件は、何れも、ビレット温度:400℃、コンテナ径:160mm、押出速度(ラム速度):10m/分とした。
ここで、アルミニウム押出管Aとアルミニウム押出管Bの成形時の押出条件等から、前記せるln(Z)を求めたところ、その値が31.5であった。これは、押出時における粗大な再結晶粒の発生が防止可能な条件である20≦ln(Z)≦40を満たす値となっている。また、アルミニウム押出管Aとアルミニウム押出管Bの平均結晶粒径を、JIS G 0552に規定される鋼のフェライト結晶粒度試験方法の比較法に準拠して測定した結果、アルミニウム押出管A、B共に、平均結晶粒径は100μm程度であり、粗大な再結晶粒が検出されなかった。なお、それらアルミニウム押出管Aとアルミニウム押出管Bの平均結晶粒径の測定に際しては、その測定用試料を、押出管A、Bの溶着部と管壁部分から、それぞれ取り出して、押出方向に直角な断面を、400番の耐水研磨紙と、600番の耐水研磨紙と、800番の耐水研磨紙と、1000番の耐水研磨紙とにて、順次、研磨した後、バフ研磨により鏡面に仕上げて、作製した。その後、かくして作製された各試料を、純水500mL、フッ酸27mL(46%)、ホウ酸11gを混合した溶液中で、電圧25〜30Vで45〜60秒間電解し、光学顕微鏡で偏光ミクロ組織を撮影した後、比較法により測定した。
次に、上記のようにして成形されたアルミニウム押出管Aとアルミニウム押出管Bとを用いて、それら2種類の押出管における押出方向に対して直角となる端面を、400番の耐水研磨紙と、600番の耐水研磨紙と、800番の耐水研磨紙と、1000番の耐水研磨紙とにて、順次、研磨した後、それらアルミニウム押出管Aとアルミニウム押出管Bの研磨された端面を含む端部を、それぞれ、硝酸200mL、塩酸300mL、フッ酸50mLを混合した混合液中に20秒間浸漬して、かかる端部に対するマクロエッチングを行った。
その後、研磨後にマクロエッチングされたアルミニウム押出管Aとアルミニウム押出管Bの各端面から、溶着線を中心として2mmの幅を有する部分を切り出して、アルミニウム押出管Aとアルミニウム押出管Bのそれぞれの溶着部のサンプルを得ると共に、周方向に隣り合う二つの溶着線同士の周方向の中心を含む部分を2mmの幅で切り出して、アルミニウム押出管Aとアルミニウム押出管Bのそれぞれの管壁部分のサンプルを得た。
そして、かくして得られたアルミニウム押出管Aとアルミニウム押出管Bの溶着部と管壁部分のそれぞれのサンプルと、市販のX線回折装置[M03X-HF (株式会社マック・サイエンス製)]とを用いて、公知の広角X線回折法により、アルミニウム押出管Aとアルミニウム押出管Bの溶着部と管壁部分のそれぞれの押出方向に直角な断面のX線回折を行って、それら各断面における回折線の最大ピークを調べた。また、それと共に、アルミニウム押出管Aとアルミニウム押出管Bの溶着部と管壁部分のそれぞれの押出方向に直角な断面の積分強度を測定した。
広角X線回折法にて求めた、アルミニウム押出管Aとアルミニウム押出管Bの溶着部と管壁部分のそれぞれの押出方向に直角な断面の回折線のピークを、下記表2に示した。また、最大ピーク高さを示す結晶方位について、アルミニウム押出管Aとアルミニウム押出管Bの溶着部と管壁部分のそれぞれの押出方向に直角な断面の積分強度を測定して得られた値と、それらの測定値に基づいて算出された、溶着部の積分強度:Iwと管壁部分の積分強度:Inとの比:Iw/Inとを、下記表3に併せて示した。なお、各断面における回折線の最大ピークやその積分強度の測定に際しては、X線源として、CuKα線 を用い、また、管電圧を40kV、管電流を40mA、サンプリング間隔を0.01°として、ブラッグ角:2θ=10〜70°(格子面間隔:d=1.34〜8.84Å)の範囲で、各サンプルの全断面においてX線回折を実施した。また、各ピークの積分強度は、回折ピークの半値幅の積分強度として、求めた。
Figure 2009214172
Figure 2009214172
表2から明らかなように、アルミニウム押出管Aとアルミニウム押出管Bのそれぞれの溶着部と管壁部分の何れにおいても、それらの回折パターンに示される2θ=44.7°(d=2.02Å)付近に出現する{200}面に対応する回折線のピークが、最も高かった。そして、表3から明らかなように、アルミニウム押出管Aの溶着部と管壁部分とにおいて、ピーク高さが最大となる、2θ=44.7°(d=2.02Å)付近に出現する{200}面に対応する回折線の積分強度を測定した値から求められた積分強度比:Iw/Inが、0.79であって、本発明において規定される範囲内の値となっている。これに対して、アルミニウム押出管Bの溶着部と管壁部分とにおいて、ピーク高さが最大となる、2θ=44.7°(d=2.02Å)付近に出現する{200}面に対応する回折線の積分強度を測定した値から求められた積分強度比:Iw/Inが、0.48であって、本発明において規定される範囲内の値とは異なる値となっている。
これらの結果から、結晶方位がランダムなビレットを粗大な再結晶粒が発生しないように、ポートホール押出しにより押し出して、アルミニウム押出管を成形することによって、かかるアルミニウム押出管における前記溶着部の積分強度:Iwと前記管壁部分の積分強度:Inとの比:Iw/Inが、本発明において規定される範囲内の値となることが、明確に認識され得るのである。
<アルミニウム引抜管の成形>
次に、溶着部と管壁部分との組織差、特に結晶方位の違いが、押出管に対する引抜加工によって得られる引抜管の真円度にどのような影響を及ぼすかを調べるために、上記せる溶着部の積分強度:Iwと管壁部分の積分強度:Inとの比:Iw/Inが本発明において規定される範囲内の値とされたアルミニウム押出管Aと、かかる積分強度比:Iw/Inが本発明において規定される範囲内の値とは異なる値とされたアルミニウム押出管Bとを用いて、それら各押出管に対して、常温での引抜加工を行って、アルミニウム押出管Aを引抜加工してなるアルミニウム引抜管Aと、アルミニウム押出管Bを引抜加工してなるアルミニウム引抜管Bとを、それぞれ成形した。それらアルミニウム引抜管Aとアルミニウム引抜管Bの公称寸法は、何れも、外径が23mmで、内径が20.4mmであった。
なお、アルミニウム押出管Aとアルミニウム押出管Bとに対する引抜加工前には、それら各押出管に対する熱処理を、何等行わなかった。また、各押出管に対する引抜加工は、ダイス半角を10°、ベアリング長さを7mmに設定した円錐ダイスと、アプローチ角を7°、ベアリング長さを2mmに設定したテーパプラグとにて構成された引抜用金具を用いた、公知の浮きプラグ方式にて実施した。更に、引抜条件は、引抜速度:206mm/秒、パス数:1回、潤滑油の動粘度:40℃で6000mm2 /秒とした。
そして、市販の接触式真円度測定器[ロンコーダ EC-1000 (株式会社小坂研究所製)]を用いて、アルミニウム引抜管Aとアルミニウム引抜管Bのそれぞれの管内周の真円度(引抜管の長手方向の任意位置での軸直角断面の直径の最大値と最小値の差)を測定した。また、それらアルミニウム引抜管Aとアルミニウム引抜管Bのそれぞれの内周面形状を調べて、評価した。
その結果、アルミニウム引抜管Aの真円度は7μmであり、アルミニウム引抜管Bの真円度は11μmであった。また、アルミニウム引抜管Aの内周面形状を概略的に示す図7の(a)と、アルミニウム引抜管Bの内周面形状を概略的に示す図7の(b)から明らかなように、アルミニウム引抜管Aの内周面形状は、「滑らかな形状である」と評価され、アルミニウム引抜管Bの内周面形状は、「いびつな形状である」と評価された。なお、図7中の▼は、各引抜管の溶着部を表している。
これらの結果から、上記せる溶着部の積分強度:Iwと管壁部分の積分強度:Inとの比:Iw/Inが本発明において規定される範囲内の値とされたアルミニウム押出管Aに対して、単に、公知の引抜加工を実施するだけで、優れた真円度を有する引抜管が得られることが、明確に認識され得るのである。
本発明に従う構造を有するアルミニウム押出管の一実施形態を示す部分斜視説明図である。 図1に示されたアルミニウム押出管の押出成形に用いられる押出ダイスの一例を示す断面説明図であって、図3のII−II断面に相当する図である。 図2に示された押出ダイスのオス型の、図2での右側面に相当する図である。 図2におけるIV−IV断面説明図である。 図1に示されたアルミニウム押出管の押出成形に用いられる押出ダイスの別の例を示す正面説明図であって、図3に対応する図である。 図5に示された押出ダイスの断面説明図であって、図4に対応する図である。 製造過程が互いに異なる2種類のビレットと、図5及び図6に示された押出ダイスを用いて成形された2種類のアルミニウム押出管に対する引抜加工を行って得られた2種類のアルミニウム引抜管の内周面形状をそれぞれ示す測定結果であって、(a)は、積分強度比:Iw/Inが、本発明において規定される範囲内の値とされたアルミニウム引抜管の内周面形状の測定結果を示し、(b)は、積分強度比:Iw/Inが、本発明において規定される範囲内の値とは異なる値とされたアルミニウム引抜管の内周面形状の測定結果を示している。
符号の説明
10 アルミニウム押出管 12 溶着部
13 溶着線 14 管壁部分
16,38 押出ダイス 18 オス型
20 メス型 26 ブリッジ
28 エントリーポート 36 ダイス穴

Claims (2)

  1. アルミニウム若しくはアルミニウム合金からなるアルミニウム材料を用いたポートホール押出しにより成形されて、周上の複数箇所において押出方向の全長に連続して延びるように形成された溶着部を有する円筒状のアルミニウム押出管であって、
    押出方向に直角な断面の積分強度を広角X線回折法にて求めたときに、最大ピーク高さを示す結晶方位について、前記溶着部で求められた積分強度:Iwと、該溶着部以外の管壁部分で求められた積分強度:Inとの比:Iw/Inが、0.7〜1.0の範囲内の値となっていることを特徴とするアルミニウム押出管。
  2. 前記請求項1に記載のアルミニウム押出管に対する引抜加工を実施することによって成形されていることを特徴とする円筒状のアルミニウム引抜管。
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