JP4192971B2 - 金属管の冷間圧延方法 - Google Patents

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本発明は、ピルガー圧延による金属管の冷間圧延方法に関し、さらに詳しくは、ピルガー圧延による最終仕上後の寸法精度、特に管内面の寸法形状(真円度)および平面性状に優れ、管内面側の渦流探傷に際し十分に大きいS/N比を得ることができる金属管の冷間圧延方法に関するものである。
通常、金属管の冷間加工法として、ドローベンチによる冷間引抜法とピルガーミルによる冷間圧延法とが慣用されている。特に、ピルガーミルによる冷間圧延法は、冷間引抜法に比べ、高加工度で素管を冷間加工できるという特徴を有していることから、高強度材で難加工性の素管を用いた金属管の製造では、一般的にピルガーミル(ピルガー圧延)による冷間圧延法が用いられる。
図1は、ピルガー圧延に用いられる一対のロールダイスの全体構成を説明する図である。ピルガー圧延では、周面に孔型を形成された上下一対のロールダイスを配置し、ロールダイスの間に先端に向かって径が小さくなるテーパーを有するマンドレルが備えられる。ロールダイス10は、その周面に孔型11が形成され、軸心に設けられた回転軸により、ロールスタンド12に支持される。回転軸の一端には回転径がロールダイス10の外径とほぼ同等のピニオンギア13が、水平なラックギア14に噛み合った状態で設けられる。
ロールダイス10は、ピニオンギア13を介して矢印A方向に往復移動するラックギア14の駆動にともない矢印B方向に往復回転する。このとき、ロールダイス10の周面に形成された孔型11は、ロールダイス10の往復回転にともなって被加工材となる素管を圧延する。
図2は、ピルガー圧延により素管を圧延する方法を説明するために、ロールダイスの孔型を展開した図である。同図において、ロールダイス10の孔型底11eが素管1を圧下しつつ、ロールダイスの上死点Saから下死点Sbに至る全長に亘り展開した状態を示している。
ロールダイス10の周面に形成された孔型11は、断面形状が長径側を孔型の幅方向とする略楕円形からなり、加工開始点aから加工終了点bに向かって孔型径が連続的に小さくなる加工部11aと、それに続く加工終了点bから仕上終了点cまで孔型径が等しい仕上部11bとからなり、これらの加工部11aおよび仕上部11bの両端に上死点Sa側に逃げ部11dおよび下死点Sb側に逃げ部11cが形成される。
一対のロールダイス10の間には、先端に向かって外径が小さくなるように加工部21および仕上部22を有するマンドレル20が設けられ、加工部21はテーパーθ1からなり、仕上部22はテーパーθ2からなる。このマンドレル20の加工部21および仕上部22は、孔型11の加工部11aおよび仕上部11bの移動領域に対向させて配置される。
一方、被加工材である素管1には、ロールダイス10が往復回転する間(1パス当たり)に所定の送り量が加えられるとともに、所定角度だけ回転されながら、順次、縮径および減肉しつつ加工される。すなわち、ロールダイス10に設けられた孔型11の加工部11aと、マンドレル20の加工部21との間で縮径および減肉の加工が施こされ、その後孔型11の仕上部11bとマンドレル20の仕上部22とで仕上加工される。このとき、冷間圧延された素管1は、圧延伸びと圧延送り量に応じて伸管され、目標の成品寸法に最終仕上圧延される。
ピルガー圧延による冷間圧延は、上記図1、2に示す圧延機構で構成されていることから、被加工材に高加工度を負荷することが可能になり、前述の通り、冷間引抜法に比べ高加工度で素管を冷間加工できる。通常、ピルガー圧延による冷間圧延では、生産性を確保しつつ高加工度を負荷するため、素管の送り量Fは比較的大きい条件、例えば、1パス当たり4mm程度を確保しつつ、断面リダクション率を70〜90%を負荷していた。
図3は、ロールダイスの孔型設計に用いられるロールモデルを示す図である。同図では、ロールダイス10の孔型底11eが、マンドレル20によって内面を保持された素管1を圧下した状態を示している。このロールダイスの孔型設計において、ピルガー圧延による最終仕上後の寸法精度に及ぼす要因として、図3に示す孔型径Dxとサイドリリーフ量Fxが管理される。
ピルガー圧延による冷間圧延において、孔型径Dxはパススケジュールに応じて選択され、サイドリリーフ量Fxは、管外面に発生するひれ状突起、いわゆるオーバーフィルを防止するため、一般的にその比率が2%程度になるように設計される。また、使用するマンドレルは基本テーパー、すなわち加工部のテーパーθ1および仕上部のテーパーθ2は0.3°とされ、マンドレル加工部と仕上部の境界が加工終了点となるように設計される。
ところが、ピルガー圧延による冷間圧延では、高加工度で素管を冷間加工できるだけでなく、加工された金属管の用途に応じた寸法精度や平面性状を要求されるようになる。このため、従来から種々の装置を用いて、冷間圧延された金属管の寸法精度等を向上させることが提案されている。
例えば、特許文献1では、ロールダイに設けられている加工管ガイドに続いて加工管の押込み整形用ダイを設けたコールドピルガーミルを提案している。この整形用ダイは、加工管の通過径路からわずかに偏心しても、軸直角方向に変位可能であり自動的に修正され、また回転可能であることから、加工管と共に回転して加工管の回転に支障はない構造となっている。このため、コールドピルガーミルによる圧延加工に、提案の押込み整形ダイを組合せることにより、引抜き加工を行わなくても同程度の良好な精度で管を加工できるとしている。
また、特許文献2では、冷間圧延時の定常温度まで予め低周波のインダクションヒーターを用いて加熱した圧延ロールを使用する冷間圧延方法を提案している。すなわち、圧延ロールが冷間加工時の定常温度になるように、インライン組み込みから圧延開始までに自然冷却する温度を予知し、定常温度以上に予めオフラインで加熱して圧延する方法であり、ダイスの寸法変化がなく被圧延材の寸法変化もなくすことができることから、寸法精度の優れた管を得ることができる。
しかしながら、特許文献1、2で提案されるコールドピルガーミルや冷間圧延方法では、新たな押込み整形装置やインダクション加熱装置を必要とするものである。このため、これらをピルガー圧延による冷間圧延に適用することによって、所定の寸法精度を確保できるものの、新たな設備改造が必要となり、冷間圧延された金属管の製造コストを増加させる要因となる。
実開平06―19902号公報 特開2001―105009号公報
ピルガー圧延による冷間圧延で仕上加工される金属管として、原子力発電プラント用の蒸気発生管(SG管)がある。この蒸気発生管は、仕上外径が23mm以下と小径管であることから、ドローベンチによる冷間引抜法によって仕上加工を行うこともできるが、引抜き時にスリップやスティックが発生し易く、加工不良による製品歩留まりが低下するという問題がある。このため、蒸気発生管はピルガー圧延による冷間圧延によって、効率的に製造することが必要になる。
図4は、原子力発電プラント用の蒸気発生管の定期検査に適用される内面渦流探傷のモデル構成を示す図である。上記蒸気発生管では、図4に示すような渦流探傷装置2(プローブ2aおよびコイル2bで構成)を管内面に走行させ、管内面での欠陥の有無を定期的に検査されるが、内面渦流探傷時に管内面の平面性状が悪化し、例えば、内面に凹凸形成があるとそれがノイズとなり、本質的な欠陥信号がノイズ中に隠れてしまい、有害な欠陥を見落とす懸念がある。
そのため、内面渦流探傷に際し、S/N比(人工欠陥の信号とノイズ信号の比)が大きい条件、すなわち、ノイズ信号の小さい条件で探傷すれば、本質的な欠陥信号が確実に検出することができ、有害な欠陥を見落とすことがない。その目安として、上記図4に示すように、リファレンス管3に0.66mmφの貫通ドリルホール3aを設けて、これを欠陥信号とした場合に、S/N比を15以上とすることが必要になる。
ピルガー圧延による冷間圧延された金属管の内面渦流探傷におけるノイズの発生に関し、本発明者らが詳細に調査、検討した結果、次の第1および第2の要因によって発生する管長手方向の寸法変化が、ノイズの原因であることが明らかになる。
第1の要因は、前記図1、2に示す装置構成で説明したように、ピルガー圧延による冷間圧延では、被圧延材である素管が管周方向に回転されながら送られて圧延されるため、管内面が楕円形状となり、その楕円形状が管長手方向の全長に亘り螺旋状に推移する。このように、管内面が楕円形状になることにより、内面渦流探傷の際にS/N比が劣化する。したがって、S/N比を大きくするには、管をより真円に近い形状にすることが必要になる。
第2の要因は、同様に前記図1、2を用いて説明したように、ピルガー圧延による冷間圧延では、間歇的なロールダイスの往復運動で素管を圧延するため、管長手方向の内面に一定のピッチでノコ刃状の微小凹凸が形成され、この凹凸により内面渦流探傷の際にS/N比が劣化する。
図5は、ピルガー圧延による冷間圧延で管内面に形成されるノコ刃状の微小凹凸を模式的に示す図である。ノコ刃状の微小凹凸4は、間歇的なロールダイスの往復運動に基づくものであるから、ロールダイスの往復ピッチに応じて発生することになる。このため、 高いS/N比を満足するためには、管内面に形成される凹凸を小さくし、またはなくすことが必要になる。
上述の通り、ピルガー圧延による冷間圧延された金属管のS/N比を大きくするには、管内面の寸法形状(真円度)および平面性状(ノコ刃状の微小凹凸を抑制)を改善することが必要になる。このためには、途中工程までピルガー圧延による冷間圧延を行い、最終仕上加工で冷間引抜き加工を施すことができるが、冷間引抜き時に潤滑性能に起因するスリップやスティックが発生し易く、加工不良が増加することがある。また、特許文献1で提案の押込み整形装置も検討できるが、新たな設備改造や製造コストを増加等の問題もある。
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、新たな設備装置を必要とすることなく、さらに製品歩留まりの低下や製造コストの増加を生じることなく、ピルガー圧延による最終仕上後の寸法精度、特に管内面の寸法形状および平面性状に優れ、内面渦流探傷に際し十分に大きいS/N比を得ることができる金属管の冷間圧延方法を提供することを目的としている。
そこで、本発明者らは、上記課題を解決するため、工具形状(ロールダイス、マンドレル)および冷間圧延の条件について種々の検討を加えた結果、ピルガー圧延による最終仕上後の管内面の寸法形状(真円度)を保持し、優れた平面性状を確保するには、管内面の楕円形状の防止対策およびノコ刃状の微小凹凸の防止対策を相互に関連づけながら、それぞれを最適な条件で行う必要があることに着目した。
具体的には、管内面の楕円形状を防止する対策として、ロールダイスのサイドリリーフ率SRや送り量Fの最適化があり、管内面のノコ刃状の微小凹凸を防止する対策として、マンドレルにおける加工部および仕上部の低テーパー化、さらに送り量Fの適正化がある。これらの関係を明確にするため、次の(実験1)および(実験2)を行った。
(実験1)
まず、本発明者らは、楕円形状の防止しに有効と思われるサイドリリーフ率SRと送り量Fとの関係について実験を行った。供試材としてJIS規格のNCF690TB相当鋼(30Cr−60Ni)のビレットを準備し、熱間押出にて外径55mm×内径32mmに製管した後、外面研磨を施し外径54.75mm×内径32mmのピルガー圧延用素管を加工した。
得られた素管を一次圧延して外径25mm×内径19mmの途中素管に加工し、その後の最終仕上圧延において、サイドリリーフ率SRを0%、0.5%、1.0%、1.5%および2.0%(5種)に変更したロールダイスと、基本テーパーからなるマンドレルを用い、送り量Fを1.5mm、2.0mm、2.5mm、3.0mmおよび3.5mm(5種)に変更し冷間圧延を行った。
冷間圧延の条件は、マンドレルの加工部テーパーθ1、仕上げ部テーパーθ2ともに0.3°とし、外径25mm×内径19mmの途中素管から、外径12.85mm×内径10.67mmの金属管を圧延した。得られた金属管の内面を、周波数750kHz、自己比較型の条件で渦流探傷し、0.66mmφの貫通ドリルホールを基準の人工欠陥として、それぞれのS/N比を調査した。その結果を表1に示す。
Figure 0004192971
表1の結果から、従来の基本テーパーからなるマンドレルを用いる場合は、サイドリリーフ率SRが大きくなるほどS/N比が悪化する。しかし、サイドリリーフ率SRが小さくなり0.5%未満になると、管外面にひれ状突起ができ、オーバーフィルを起こすことになる。
サイドリリーフ率SRと送り量Fとの関係では、サイドリリーフ率SRを少なくするほど、また送り量Fを少なくするほど、高いS/N比を得ることができる。したがって、サイドリリーフ率SRと管送り量Fとの関係において、一般的にF≦α−SR(すなわち、F+SR≦α)の条件を満足する場合に、高いS/N比を確保できることが分かる。例えば、表1の結果では、S/N比≧15を得るには、F≦2.5−SR(α=2.5)の関係を満足する必要がある。
(実験2)
次に、本発明者らは、冷間圧延でマンドレルの加工部テーパーθ1と仕上部テーパーθ2とをそれぞれに変更させた条件で実験した。実験1と同様に、供試材としてJIS規格のNCF690TB相当鋼(30Cr−60Ni)からなる途中素管を準備し、その後の最終仕上圧延では、サイドリリーフ率SRを0.5%としたロールダイスを用い、送り量Fを2.5mmとして、外径25mm×内径19mmの途中素管から、外径12.85mm×内径10.67mmの金属管を圧延した。
このとき、マンドレルの加工部テーパーθ1を0.1°〜0.3°(4種)および仕上部テーパーθ2を0.01°〜0.3°(4種)に変更した。実験1と同条件で、得られた金属管のS/N比を調査し、その結果を表2に示す。
Figure 0004192971
表2の結果から、加工部テーパーθ1および仕上部テーパーθ2が、それぞれ小さくなるほど、高いS/N比が得られることが分かる。このことは、マンドレルを基本テーパーとし(実験1)、サイドリリーフ率SRが0.5%、送り量Fが2.5mmの場合には、S/N比は12に留まっていたが、加工部テーパーθ1および仕上部テーパーθ2を小さくすることによって、高いS/N比を確保できることを明らかにしている。
換言すれば、前記実験1で示したサイドリリーフ率SRと送り量Fとの関係、すなわち、S/N比≧15を得るにはF≦2.5−SRを満足することが必要であるとする条件は、マンドレルが基本テーパーであることを前提にするものであり、マンドレルの低テーパー化を図れば、これらの関係をより広い範囲で適用できることを示している。
本発明は上記検討に基づいて完成されたものであり、下記の金属管の冷間圧延方法を要旨としている。
すなわち、孔型径Dxおよびサイドリリーフ量Fxで構成される孔型からなる一対のロールダイスを用い、そのロールダイスの間にマンドレルを備えたピルガー圧延による冷間圧延方法において、前記ロールダイスの下記(1)式で表されるサイドリリーフ率SRを0.5〜1.5%の範囲とし、前記マンドレルにおける加工部のテーパーθ1を0.25°以下で、同マンドレルにおける仕上部のテーパーθ2を0.1°以下とし、さらに被加工材の送り量F(1パス当たり)を1.0〜2.5mmとし、かつサイドリリーフ率SRとの関係で下記(2)式を満足させて最終仕上圧延することを特徴とする金属管の冷間圧延方法である。
SR(%)={(2×Fx)/(2×Fx+Dx)}×100 ・・・ (1)
F≦3.0−SR ・・・ (2)
本発明の金属管の冷間圧延方法によれば、ロールダイスのサイドリリーフ率SR、マンドレルにおける加工部のテーパーθ1および仕上部のテーパーθ2、および被加工材の送り量Fを最適化すると同時に、サイドリリーフ率SRと管送り量Fとの関係を適正にすることにより、新たな設備装置を必要とすることなく、さらに製品歩留まりの低下や製造コストの増加を生じることなく、ピルガー圧延による最終仕上後の管内面の寸法形状(真円形状)を保持し、優れた平面性状を確保することができる。これにより、原子力発電プラント用の蒸気発生管の内面渦流探傷に際し、十分に大きいS/N比を保証することができる。
本発明の冷間圧延方法では、管内面の寸法形状(真円度)を保持し、優れた平面性状を確保するため、ピルガー圧延による最終仕上圧延において、管内面の楕円形状の防止対策とノコ刃状の微小凹凸の防止対策の最適化を図るとともに、これら相互の関連も適切に選択することを特徴としている。以下に、その内容を説明する。
本発明の冷間圧延方法では、前記図3に示すように、孔型径Dxおよびサイドリリーフ量Fxとした場合に、下記(1)で表されるサイドリリーフ率SRを0.5〜1.5%とする必要がある。
サイドリリーフ率SRを小さくすることによって、管内面の楕円形状を抑制することができるが、それが0.5%未満であると、管外面にひれ状の突起が発生し、いわゆるオーバーフィルを起こし、冷間圧延を行うことができない。一方、サイドリリーフ率SRが1.5%を超えるようになると、管内面の楕円形状が顕著となりS/N比が劣化する。望ましいサイドリリーフ率SRは、0.5〜1.0%である。
SR(%)={(2×Fx)/(2×Fx+Dx)}×100 ・・・ (1)
本発明で規定するサイドリリーフ率SRは、少なくともロールダイスの最終圧延部に相当する位置、すなわち、前記図2に示す加工終了点bにおける孔型形状(Dx、Fx)によって算出されるものであればよい。その他のロールダイスの加工範囲では特に規定しないが、サイドリリーフ率SRを0.5〜1.5%とするのが望ましい。
本発明の冷間圧延方法では、管内面のノコ刃状の微小凹凸を抑制するため、マンドレルにおける加工部のテーパーθ1を0.25°以下とし、同マンドレルにおける仕上部のテーパーθ2を0.1°以下とする。さらに、加工部のテーパーθ1を0.2°以下とし、仕上部のテーパーθ2を0.05°以下とするのが望ましい。
前記図2に示すように、マンドレルの加工部および仕上部が連続してテーパーを有している場合には、ロールダイスの往復圧延毎に管内面へのノコ刃状の凹凸の転写が行われるが、それぞれのテーパーを小さくするほど、微小凹凸の形成が抑制され、高S/N比が得られるためである。
本発明の冷間圧延方法では、マンドレルの加工部テーパーθ1と仕上部テーパーθ2の下限は0°とするが、加工部テーパーθ1については、素管の縮径加工の際にマンドレルの加工部の形状に沿って加工することにより高寸法精度が確保できることから、テーパー形状を維持するのが好適である。このため、加工部テーパーθ1の下限を0.1°とするのがさらに望ましい。
一方、仕上部テーパーθ2についても、若干のテーパー形状にすれば、圧延加工後の管内面がマンドレルと接触し焼きつき疵やすり疵を発生するのを防止するのに有効である。このため、仕上部テーパーθ2の下限を0.01°とするのがさらに望ましい。
さらに、本発明の冷間圧延方法では、管内面の楕円形状の抑制とともに、ノコ刃状の微小凹凸を抑制するため、被加工材の送り量F(1パス当たり)を適正にすることが必要になる。
被加工材の送り量Fを低減すると、楕円量を低減し、管内面への微小凹凸の形成を抑制することができるが、生産性が低下し生産ベースとならない。一方、送り量Fを増加すると、生産性を向上させることができるが、管内面に形成される微小凹凸が大きくなり、S/N比が小さくなる。そのため、本発明の冷間圧延方法では、被加工材の送り量Fを1.0〜2.5mmとした。さらに、望ましい送り量を1.0〜2.0mmとした。
本発明の冷間圧延方法では、被加工材の送り量Fはサイドリリーフ率SRとの関係で下記(2)式を満足する必要がある。
F≦3.0−SR ・・・ (2)
前記実験1、2の結果が示すように、上記(2)式の関係を満足することにより、上記マンドレルの加工部および仕上部における低テーパー化を前提として、効果的に高いS/N比を確保することができる。さらに、確実に高いS/N比を保証するには、被加工材の送り量Fは、サイドリリーフ率SRとの関係で下記(3)式を満足するのが望ましい。
F≦2.5−SR ・・・ (3)
実施例では、本発明方法によって仕上圧延された金属管のS/N比を調査した。供試材としてJIS規格のNCF690TB相当鋼(30Cr−60Ni)のビレットを準備し、熱間押出にて外径55mm×内径32mmに製管した後、外面研磨を施し外径54.75mm×内径32mmのピルガー圧延用素管を加工した。
得られた素管を一次圧延して外径25mm×内径19mmの途中素管に加工した。その後の最終仕上圧延では、サイドリリーフ率SRを0.5%、1.0%、1.5%および2.0%(4種)に変更したロールダイスと、加工部テーパーθ1を0.25°および仕上部テーパーθ2を0.1°としたマンドレルを用い、外径12.85mm×内径10.67mmの金属管を仕上加工した。このとき、送り量Fを1.0mm、1.5mm、2.0mmおよび2.5mm(4種)に変更した。
上記条件で最終仕上圧延された金属管の内面を、周波数750kHz、自己比較型の条件で渦流探傷し、0.66mmφの貫通ドリルホールを基準の人工欠陥として、それぞれのS/N比を調査した。その結果を表3に示す。
Figure 0004192971
表3の結果より、サイドリリーフ率SRが大きくなるほど管内面の楕円量が増加し、また送り量Fが大きくなるほど管内面の楕円量が増加するとともに、ノコ刃状の微小凹凸の形成が促進され、それに応じてS/N比が低下することが分かる。
図6は、実施例で調査したS/N比とサイドリリーフ率SRとの関係(上記表3の結果)を、送り量Fをパラメータとして示した図である。同図からも明らかなように、サイドリリーフ率SRを0.5〜1.5%とし、送り量Fを1.0〜2.5mmとする条件、さらに望ましくは送り量Fを1.0〜2.0mmとする条件であれば、高いS/N比を確保できるが、すべての条件でS/N比≧15を満足することができない。
したがって、本発明方法では、マンドレルにおける加工部のテーパーθ1が0.25°以下、仕上部のテーパーθ2が0.1°以下の場合に、S/N比≧15を確実に確保するには、サイドリリーフ率SRおよび送り量Fは、上記の数値限定に加え、さらにF≦3.0−SRの関係を満足することが必要になる。
本発明の金属管の冷間圧延方法によれば、ロールダイスのサイドリリーフ率SR、マンドレルにおける加工部のテーパーθ1および仕上部のテーパーθ2、および被加工材の送り量Fを最適化すると同時に、サイドリリーフ率SRと管送り量Fとの関係を適正にすることにより、新たな設備装置を必要とすることなく、さらに製品歩留まりの低下や製造コストの増加を生じることなく、ピルガー圧延による最終仕上後の管内面の寸法形状(真円形状)を保持し、優れた平面性状を確保することができる。これにより、内面渦流探傷に際し大きいS/N比を発揮する蒸気発生管の製造に広く適用することができる。
ピルガー圧延に用いられる一対のロールダイスの全体構成を説明する図である。 ピルガー圧延により素管を圧延する方法を説明するために、ロールダイスの孔型を展開した図である。 ロールダイスの孔型設計に用いられるロールモデルを示す図である。 原子力発電プラント用の蒸気発生管の定期検査に適用される内面渦流探傷のモデル構成を示す図である。 ピルガー圧延による冷間圧延で管内面に形成されるノコ刃状の微小凹凸を模式的に示す図である。 実施例で調査したS/N比とサイドリリーフ率SRとの関係を、送り量Fをパラメータとして示した図である。
符号の説明
1:素管、 2:内面渦流探傷装置
3:リファレンス管、 4:ノコ刃状の微小凹凸
10:ロールダイス、 11:孔型
12:ロールスタンド、 13:ピニオンギア
14:ラックギア
20:マンドレル、 21:マンドレル加工部
22:マンドレル仕上部

Claims (1)

  1. 孔型径Dxおよびサイドリリーフ量Fxで構成される孔型からなる一対のロールダイスを用い、そのロールダイスの間にマンドレルを備えたピルガー圧延による冷間圧延方法において、
    前記ロールダイスの下記(1)式で表されるサイドリリーフ率SRを0.5〜1.5%の範囲とし、
    前記マンドレルにおける加工部のテーパーθ1を0.25°以下で、同マンドレルにおける仕上部のテーパーθ2を0.1°以下とし、
    さらに被加工材の送り量F(1パス当たり)を1.0〜2.5mmとし、かつサイドリリーフ率SRとの関係で下記(2)式を満足させて最終仕上圧延することを特徴とする金属管の冷間圧延方法。
    SR(%)={(2×Fx)/(2×Fx+Dx)}×100 ・・・ (1)
    F≦3.0−SR ・・・ (2)
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