JP5179308B2 - ポリビニルアセタール - Google Patents

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本発明は、ポリビニルアセタールに関する。さらに詳しくは、架橋性官能基を有するポリビニルアセタールに関する。
ポリビニルブチラールに代表される非水溶性のポリビニルアセタールは、製造後の水洗による精製が容易であること、また柔軟であり、さまざまな有機・無機基材に対する接着性や各種化合物との相溶性、有機溶剤への溶解性に優れ、さらに高い耐候性を有していることから、種々の接着剤やセラミック用バインダー、各種インク、塗料等や、建築用・自動車用の安全ガラス中間膜として広範に利用されている。
近年、ポリビニルアセタールに種々の官能基を導入することによる、高機能化に関する研究が行われている。ポリビニルアセタールに種々の官能基を導入する方法としては、特にポリビニルアセタールが有するヒドロキシル基、またはポリビニルアセタールの原料であるポリビニルアルコールが有するヒドロキシル基と、種々の化合物を反応させる方法が一般的な方法の一つである。
高機能化ポリビニルアセタールのひとつに、架橋性を付与したポリビニルアセタール、特にα、β−不飽和カルボニル基を導入したポリビニルアセタールが知られている。
例えば特許文献1には、ポリビニルアルコールと不飽和カルボン酸を水中で脱水エステル化反応させ、続いてアセタール化することでα、β−不飽和カルボニル基を導入したポリビニルアセタールを得る方法が開示されている。ところがこのような方法でポリビニルアセタールを得る場合には、ポリビニルアルコールと不飽和カルボン酸の脱水エステル化反応が効率よく進行しないため、生産性の面で問題があった。
一方、ポリビニルアセタールを有機溶剤に溶解し、不飽和酸無水物と反応を行なうことで得られるα、β−不飽和カルボニル基を導入したポリビニルアセタール(特許文献2)、またはグリシジルメタクリレートと反応させることで得られるα、β−不飽和カルボニル基を導入したポリビニルアセタール(特許文献3)も知られている。ところがこれらのポリビニルアセタールは、架橋性官能基導入反応を有機溶剤中で行なわなければならないため環境面で好ましくなく、またポリビニルアセタールが反応の際に用いる有機溶剤の溶液として得られるため、反応の際に用いる触媒や未反応化合物、副生成化合物を取り除くためには、再沈殿などさらに煩雑な工程が必要となるなど、生産面で好ましくなかった。
さらに、炭素炭素二重結合をアセタール化反応で導入したポリビニルアセタールも知られている(特許文献4)が、特許文献4記載のポリビニルアセタールに導入された炭素炭素二重結合はα、β−不飽和カルボニル基ではなく、後述する比較例2からも明らかなように、このポリビニルアセタールは十分な架橋性能を有していない。
ところで、ポリビニルアセタールは、粉体塗料として使用することができる(特許文献5)が、一般にポリビニルアセタールは極性有機溶剤、特にエタノール、プロパノールなどの低級アルコールに溶解しやすい性質を有している。これらの有機溶剤は家庭用消毒剤、除菌剤や洗浄液、あるいはウェットティッシュなどに使われている。そのためこれらを用いて、ポリビニルアセタールから得られた塗膜を拭いたり、あるいは洗浄液に塗膜を浸漬したりすると、塗膜表面が白化して外観を損なう、あるいは塗膜が溶解し基材が剥き出しになるといった問題が起こる。
また、従来のポリビニルブチラールを用いたグリーンシートの表面に回路を印刷する際には、ポリビニルブチラールの一部が、導体ペースト中の有機溶剤に溶解するという問題が生じており、ポリビニルブチラールを用いたグリーンシートは、耐溶剤性が高いことが望まれている。さらに近年、積層セラミックコンデンサにおいては、小型化、薄膜化の要求がますます高まっており、小型化、薄膜化したグリーンシートの強度を高めるために、高重合度のポリビニルブチラールを用いる検討がなされている。ところが、用いるポリビニルブチラールの分子量が大きいため、セラミックスラリーの溶液粘度が高くなりすぎて作業性が低下している。したがって、積層セラミックコンデンサへの応用も考慮に入れれば、ポリビニルブチラールの分子量を大きくしなくても、高いグリーンシートの強度を得られることが求められている。
特公昭60−8043号公報 特開平09−249712号公報 特開2004−339370号公報 特開昭62−141003号公報 特開2007−177211号公報
本発明は、上記課題を解決することを目的としたもので、非水溶性であるために製造後の水洗による精製が容易で、ポリビニルアセタールが本来有する柔軟性、接着性、耐候性を有しつつ、かつ洗浄性、および有機溶剤への溶解性に優れ、さらに架橋後の耐溶剤性に優れるポリビニルアセタールを提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、一般式(1)〜(4)で示される構成単位をそれぞれ1種類以上含有し、かつ主鎖中のエチレンパートの量に基づいて計算した(1)で示される構成単位の合計量をaモル%、(2)で示される構成単位の合計量をbモル%、(3)で示される構成単位の合計量をcモル%、(4)で示される構成単位の合計量をdモル%としたとき、a、b、c、d間の構成比が、aが40〜85モル%、bが0.1〜40モル%、cが10〜50モル%、dが0.1〜30モル%である、ポリビニルアセタールを見出し、本発明を完成させるに至った。
Figure 0005179308
は水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を表す。R、Rは水素原子またはメチル基を表す。
Figure 0005179308
は一般式(5)または(6)で表される官能基を含む基を表す。R、Rは水素原子またはメチル基を表す。
Figure 0005179308
は水素原子またはメチル基を表す。
Figure 0005179308
は水素原子またはメチル基を表す。Rは水素原子または炭素数1〜9の炭化水素基を表す。
Figure 0005179308
はO、SおよびNR12からなる群から選ばれる基を表す。
10は水素原子、メチル基、CHCOOR13およびCHCOOMからなる群から選ばれる基を表す。
11は水素原子、COOR14およびCOOMからなる群から選ばれる基を表す。
12、R13およびR14は、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を表し、同一であっても異なってもよい。
およびMは、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアンモニウム基のいずれかを表し、同一であっても異なってもよい。
Figure 0005179308
はO、SおよびNR16からなる群から選ばれる基を表す。
15はCOOR17 またはCOOMを表す。
16およびR17は、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を表し、同一であっても異なってもよい。
はアルカリ金属、アルカリ土類金属またはアンモニウム基のいずれかを表す。
本発明では、一般式(5)において、XがNR12、R10が水素原子またはメチル基、R11が水素原子であることがより好適である。
また、本発明のポリビニルアセタールは、平均粒子径が30〜1000μm、かさ密度が0.12〜0.5g/mLであることも好適である。
本発明のポリビニルアセタールは、非水溶性であるために製造後の水洗による精製が容易で、ポリビニルアセタールが本来有する柔軟性、接着性、耐候性を有しつつ、かつ洗浄性が良く、また有機溶剤への溶解性に優れ、さらに架橋後の耐溶剤性に優れるという特長を有する。
ここで「洗浄性が良い」とは、反応後に得られる樹脂を水洗あるいは適当な有機溶剤で洗浄し乾燥を行うことで、ポリビニルアセタールに含まれる不純物などを容易に取り除けることを意味する。
また「有機溶剤への溶解性に優れる」とは、ポリビニルアセタールがポリビニルアセタールを溶解する溶剤、例えばエタノール、プロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、クロロホルム、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどに短時間で溶解することを意味する。
さらに「架橋後の耐溶剤性に優れる」とは、ポリビニルアセタールから得られる塗膜、フィルムなどに熱処理、あるいは電子線、紫外線などの光照射を行うことで、ポリビニルアセタール分子間に架橋構造が形成され、ポリビニルアセタールを溶解する溶剤、例えばエタノール、プロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、クロロホルム、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどへの耐溶剤性に優れることを意味する。
また、本発明のポリビニルアセタールを含有する粉体塗料を用いて塗装を行い、その後熱処理、または光照射を行うことで、ポリビニルアセタール分子間に架橋構造が形成され、塗膜に耐溶剤性が付与されるという特長を有する。
本発明のポリビニルアセタールは、一般式(1)〜(4)で示される構成単位をそれぞれ1種類以上含有し、かつ主鎖中のエチレンパートの量に基づいて計算した(1)で示される構成単位の合計量をaモル%、(2)で示される構成単位の合計量をbモル%、(3)で示される構成単位の合計量をcモル%、(4)で示される構成単位の合計量をdモル%とした場合に、a,b,c,dの間でそれぞれの構成単位が次の範囲であることが重要である。
aは40〜85モル%であり、より好ましくは50〜85モル%、さらに好ましくは55〜85モル%である。bは0.1〜40モル%であり、より好ましくは1〜35モル%、さらに好ましくは2〜30モル%である。cは10〜50モル%であり、より好ましくは10〜45モル%、さらに好ましくは10〜40モル%である。dは0.1〜30モル%であり、より好ましくは0.1〜25モル%、さらに好ましくは0.1〜15モル%である。
a、b、c、dが上記範囲である場合、非水溶性であるために製造後の水洗による精製が容易で、ポリビニルアセタールが本来有する柔軟性、接着性、耐候性を有しつつ、かつ洗浄性が良く、また有機溶剤への溶解性に優れ、さらに架橋後の耐溶剤性に優れるポリビニルアセタールを得ることができる。なお、本発明においては特に断りのない限り、(1)および(2)の環構造を表す「アセタール」は6員環および5員環の両方を指すものとする。ただし、通常6員環が大部分を占めるため、式中では6員環のみを示す。
なお、主鎖中のエチレンパートとは、(−CH−CH−)の部分を指す。
本発明のポリビニルアセタールの一般式(1)〜(4)で示される構成単位の含有量は、後述する実施例1記載の方法(JIS K6728による分析でa+b、c、dの各値を計算し、1H−NMRによる分析でbの値を計算する)により求められる。
本発明において、一般式(1)〜(4)におけるR、R、R〜Rは水素原子またはメチル基を表すが、いずれも特に水素原子が好適である。
本発明において、一般式(1)で示される構成単位のRは、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基であれば特に限定されない。ただし、Rにはヘテロ原子は含まれない。炭素数1〜10の炭化水素基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、2−ペンチル基、n−ヘプチル基、3−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基などのアルキル基、またフェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、4−エチルフェニル基、4−n−ブチルフェニル基などのアリール基の他、3−シクロヘキセニル基、4−シクロヘキセニル基、ベンジル基などが挙げられ、これらのうちn−プロピル基が特に好適である。
本発明において、一般式(2)で示される構成単位のRは、一般式(5)または(6)で表される官能基を含む基である。
Figure 0005179308
一般式(5)において、XはO、SおよびNR12からなる群から選ばれる基であれば特に限定されないが、これらのうち特にOまたはNR12が好適である。ここでR12は、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基であれば特に限定されない。炭素数1〜10の炭化水素基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、2−ペンチル基、n−ヘプチル基、3−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基などのアルキル基、またフェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、4−エチルフェニル基、4−n−ブチルフェニル基などのアリール基の他、ベンジル基などが挙げられるが、これらのうち水素原子またはメチル基が特に好適である。
10は水素原子、メチル基、CHCOOR13およびCHCOOMからなる群から選ばれる基であれば特に限定されず、またR11は水素原子、COOR14およびCOOMからなる群から選ばれる基であれば特に限定されない。ここでR13およびR14は、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基であれば特に限定されず、炭素数1〜10の炭化水素基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、2−ペンチル基、n−ヘプチル基、3−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基などのアルキル基、またフェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、4−エチルフェニル基、4−n−ブチルフェニル基などのアリール基の他、ベンジル基などが挙げられ、これらのうち特に水素原子または炭素数1〜4のアルキル基が好適である。また、MおよびMは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどのアルカリ金属、またはマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどのアルカリ土類金属、またはトリエチルアンモニウム基、ピリジニウム基などのアンモニウム基のいずれかであれば特に限定されない。これらのうち特にアルカリ金属、またはアルカリ土類金属が好適である。
これら一般式(5)で表される官能基を含む基のうち、特にXがNR12、R10が水素原子またはメチル基、R11が水素原子である場合が最も好ましい。
Figure 0005179308
一般式(6)において、XはO、SおよびNR16からなる群から選ばれる基であれば特に限定されないが、これらのうち特にOまたはNR16が好適である。ここでR16は水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基であれば特に限定されない。炭素数1〜10の炭化水素基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、2−ペンチル基、n−ヘプチル基、3−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基などのアルキル基、またフェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、4−エチルフェニル基、4−n−ブチルフェニル基などのアリール基の他、ベンジル基などが好適であるが、これらのうち水素原子、またはメチル基が特に好適である。
15はCHCOOR17またはCHCOOMであれば特に限定されない。ここでR17は、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基であれば特に限定されない。炭素数1〜10の炭化水素基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、2−ペンチル基、n−ヘプチル基、3−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基などのアルキル基、またフェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、4−エチルフェニル基、4−n−ブチルフェニル基などのアリール基の他、ベンジル基などが好適である。これらのうち特に水素原子または炭素数1〜4のアルキル基が好適である。
またMは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどのアルカリ金属、またはマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどのアルカリ土類金属、またはトリエチルアンモニウム基、ピリジニウム基などのアンモニウム基のいずれかであれば特に限定されない。これらのうち特にアルカリ金属、またはアルカリ土類金属が好適である。
一般式(5)または(6)で表される基は、R10、R11およびR15の種類にかかわらず、いずれの場合にも反応性の高いα、β−不飽和カルボニル基を有している。本発明のポリビニルアセタールは、α、β−不飽和カルボニル基を必須構成単位として含むため、高い架橋性能を有している。
本発明において、一般式(4)で示される構成単位のRは、水素原子または炭素数1〜9の炭化水素基であれば特に限定されない。炭素数1〜10の炭化水素基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、2−ペンチル基、n−ヘプチル基、3−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基などのアルキル基、またフェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、4−エチルフェニル基などのアリール基の他、ベンジル基などが挙げられるが、これらのうちメチル基が特に好適である。
本発明のポリビニルアセタールには、本発明の目的を阻害しない限り、一般式(1)〜(4)で表される構成単位以外の構成単位を含んでいても構わない。その場合、一般式(1)〜(4)で表される構成単位以外の構成単位の種類は特に限定されず、後述するポリビニルアルコール由来のビニルエステル系単量体以外の単量体単位、或いはポリビニルアセタールに含まれる一般式(1)および(2)で示される構成単位以外のアセタール単位などが挙げられる。
この時、一般式(1)〜(4)で表される構成単位以外の構成単位の量は、本発明で規定する一般式(1)〜(4)で表される構成単位の合計量を計算する際には、考慮されない。一般式(1)〜(4)で表される構成単位以外の構成単位の量は特に限定されないが、主鎖中のエチレンパートの量に基づいて計算した一般式(1)〜(4)で表される構成単位の合計を100モル%とした場合、一般式(1)〜(4)以外の構成単位の量は主鎖中のエチレンパートに対して10モル%未満であることが好ましい。
次に本発明のポリビニルアセタールの製法について述べる。
本発明のポリビニルアセタールを合成する方法は特に限定されないが、ポリビニルアルコールを後述するポリビニルアルコールのアセタール化反応に従ってアセタール化する際、アルデヒドとして、ホルムアルデヒド、または炭素数1〜10の炭化水素基がホルミル基に直接結合したアルデヒド、またはそれらアルデヒドのジアルキルアセタールと、一般式(5)または(6)で示される官能基を有するアルデヒド、またはそれらのジアルキルアセタールとの両者を用いて共アセタール化する方法が最も簡便である。
炭素数1〜10の炭化水素基がホルミル基に直接結合したアルデヒド、またはそれらアルデヒドのジアルキルアセタールは特に限定されないが、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−ペンチルアルデヒド、3−メチルブチルアルデヒド、2−メチルブチルアルデヒド、2,2−ジメチルプロピオンアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、2−メチルペンチルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n−デシルアルデヒド、n−ウンデシルアルデヒドなどの脂肪族アルデヒド、またベンズアルデヒド、2−メチルベンズアルデヒド、3−メチルベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、4−エチルベンズアルデヒド、4−n−ブチルベンズアルデヒドなどの芳香族アルデヒドの他、フェニルアセトアルデヒド、およびn−ブチルアルデヒドジメチルアセタール、n−ブチルアルデヒドジエチルアセタールなどが挙げられるが、これらのうちn−ブチルアルデヒドが特に好適である。
炭素数1〜10の炭化水素基がホルミル基に直接結合したアルデヒド、またはそれらアルデヒドのジアルキルアセタールは1種類だけ用いても良いし、また必要に応じて2種類以上を用いても構わない。
一般式(5)または(6)で示される官能基を有するアルデヒド、またはそれらのジアルキルアセタールは特に限定されないが、一般式(5)または(6)で示される官能基と、ホルミル基またはジアルキルアセタール基が、アルキレン基、アリーレン基、カルボニル基、アミド基、アミノ基、エーテル結合、エステル結合、尿素結合、ウレタン結合から選ばれる1種以上の官能基または結合からなる基を介して連結されていることが好ましく、アルキレン基、アリーレン基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、尿素結合、ウレタン結合から選ばれる1種以上の官能基または結合からなる基を介して連結されていることがより好ましく、アルキレン基で連結されていることが最も好ましい。さらに一般式(5)または(6)で示される官能基とホルミル基またはジアルキルアセタール基を連結する基は、アルキル基、アリール基、ヒドロキシル基、カルボキシル基などの官能基を含んでいても良い。
一般式(5)または(6)で示される官能基を有するアルデヒド、またはそれらのジアルキルアセタールの分子量は特に限定されないが、1000以下であることが好ましく、より好ましくは500以下である。
一般式(5)または(6)で示される官能基を有するアルデヒドまたはそれらのジアルキルアセタールとしては、例えばN−(2,2−ジメトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(ホルミルメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2,2−ジエトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2,2−ジイソプロポキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2,2−ジブトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2,2−ジ−t−ブトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ホルミルエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(3,3−ジメトキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(3,3−ジエトキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(3,3−ジイソプロポキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(3,3−ジブトキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(3,3−ジ−t−ブトキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(3−ホルミルプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(4,4−ジメトキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N−4,4−(ジエトキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N−(4,4−ジイソプロポキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N−(4,4−ジブトキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N−(4,4−ジ−t−ブトキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−(2,2−ジメトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−(ホルミルメチル)(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−(2,2−ジエトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−(2,2−ジイソプロポキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−(2,2−ジブトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−(2,2−ジ−t−ブトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、などが好適なものとして挙げられ、さらにまた、4−(ホルミルメチル)アミノ−4−オキソ−2−シス−ブテン酸、4−(ホルミルメチル)アミノ−4−オキソ−2−トランス−ブテン酸、4−(2,2−ジメトキシエチル)アミノ−4−オキソ−2−シス−ブテン酸、4−(2,2−ジメトキシエチル)アミノ−4−オキソ−2−シス−ブテン酸ナトリウム、4−(2,2−ジメトキシエチル)アミノ−4−オキソ−2−シス−ブテン酸カリウム、ビス{4−(2,2−ジメトキシエチル)アミノ−4−オキソ−2−シス−ブテン酸}カルシウム、4−(2,2−ジメトキシエチル)アミノ−4−オキソ−2−シス−ブテン酸アンモニウム、4−(2,2−ジメトキシエチル)アミノ−4−オキソ−2−シス−ブテン酸メチル4−(2,2−ジメトキシエチル)アミノ−4−オキソ−2−トランス−ブテン酸、4−(2,2−ジエトキシエチル)アミノ−4−オキソ−2−シス−ブテン酸、4−(2,2−ジエトキシエチル)アミノ−4−オキソ−2−トランス−ブテン酸、4−(ホルミルメチル)アミノ−4−オキソ−3−メチレン−ブタン酸、4−(2,2−ジメトキシエチル)アミノ−4−オキソ−3−メチレン−ブタン酸、4−(2,2−ジメトキシブチル)アミノ−4−オキソ−3−メチレン−ブタン酸、4−(2,2−ジメトキシエチル)アミノ−4−オキソ−3−メチレン−ブタン酸ナトリウム、4−(2,2−ジメトキシエチル)アミノ−4−オキソ−3−メチレン−ブタン酸カリウム、ビス{4−(2,2−ジメトキシエチル)アミノ−4−オキソ−3−メチレン−ブタン酸}カルシウム、4−(2,2−ジメトキシエチル)アミノ−4−オキソ−3−メチレン−ブタン酸メチル、4−(2,2−ジメトキシエチル)アミノ−4−オキソ−3−メチレン−ブタン酸アンモニウム、4−(ホルミルメチル)アミノ−4−オキソ−2−メチレン−ブタン酸、4−(2,2−ジメトキシエチル)アミノ−4−オキソ−2−メチレン−ブタン酸、4−(2,2−ジメトキシブチル)アミノ−4−オキソ−2−メチレン−ブタン酸、4−(2,2−ジメトキシエチル)アミノ−4−オキソ−2−メチレン−ブタン酸ナトリウム、4−(2,2−ジメトキシエチル)アミノ−4−オキソ−2−メチレン−ブタン酸カリウム、ビス{4−(2,2−ジメトキシエチル)アミノ−4−オキソ−2−メチレン−ブタン酸}カルシウム、4−(2,2−ジメトキシエチル)アミノ−4−オキソ−2−メチレン−ブタン酸アンモニウム、4−(2,2−ジメトキシエチル)アミノ−4−オキソ−2−メチレン−ブタン酸メチル、N−(4−ホルミルフェノキシカルボニル)−N−{2−(メタ)アクリロキシエチル}アミン、N−(4−ホルミルフェニルチオカルボニル)−N−{2−(メタ)アクリロキシエチル}アミン、2−(ホルミルメチル)アミノ−3−(メタ)アクリロキシ−1−プロパノール、1−(ホルミルメチル)アミノ−3−(メタ)アクリロキシ−2−プロパノール、1−ホルミルメチル−3−{2−(メタ)アクリロキシエチル}尿素、1−(2,2−ジメトキシエチル)−3−{2−(メタ)アクリロキシエチル}尿素、1−(4,4−ジメトキシブチル)−3−{2−(メタ)アクリロキシエチル}尿素、3−ヒドロキシ−2−(メタ)アクリロキシプロピルグリオキシレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルグリオキシレート、3−ヒドロキシ−2−(メタ)アクリロキシプロピルテレフタルアルデヒデート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルテレフタルアルデヒデート、4−(メタ)アクリロキシベンズアルデヒド、4−(4−ホルミルフェノキシ)−4−オキソ−2−シス−ブテン酸、4−(4−ホルミルフェノキシ)−4−オキソ−2−トランス−ブテン酸、4−(4−ホルミルフェノキシ)−4−オキソ−3−メチレン−ブタン酸、4−(4−ホルミルフェノキシ)−4−オキソ−2−メチレン−ブタン酸、2−(4−ホルミルフェノキシ)−3−(メタ)アクリロキシ−1−プロパノール、1−(4−ホルミルフェノキシ)−3−(メタ)アクリロキシ−2−プロパノール、2−(4−ホルミルフェノキシカルボニルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロキシアセトアルデヒド、4−(ホルミルメトキシ)−4−オキソ−2−シス−ブテン酸、4−(ホルミルメトキシ)−4−オキソ−2−トランス−ブテン酸、4−(ホルミルメトキシ)−4−オキソ−3−メチレン−ブタン酸、4−(ホルミルメトキシ)−4−オキソ−2−メチレン−ブタン酸、2−(ホルミルメトキシ)エチル(メタ)アクリレート、4−ジメトキシメチルフェニルチオ−4−オキソ−2−シス−ブテン酸、4−ジメトキシメチルフェニルチオ−4−オキソ−2−メチレン−ブタン酸、(2,2−ジメトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、4−ジメトキシメチル安息香酸2−(3−ヒドロキシ−1−メタクリロキシ)プロピルエステル、4−ジメトキシメチル安息香酸1−(3−ヒドロキシ−1−メタクリロキシ)プロピルエステルなども挙げられるが、これに限定されない。
一般式(5)または(6)で示される官能基を有するアルデヒドまたはそれらのジアルキルアセタールは1種類だけを用いても良く、また必要に応じて2種類以上を用いても構わない。
後述するポリビニルアルコールのアセタール化反応において、炭素数1〜10の炭化水素基がホルミル基に直接結合したアルデヒド、またはそれらアルデヒドのジアルキルアセタールと、(5)または(6)で示される官能基を有するアルデヒド、またはそれらのジアルキルアセタールとを添加する方法は特に限定されず、例えば使用するすべてのアルデヒドおよびアルデヒドのジアルキルアセタールを混合して添加しても良いし、また別々に添加してもよい。
一般式(5)または(6)で表される官能基を有するアルデヒド、またはそれらのジアルキルアセタールの入手方法は特に限定されない。たとえば、次に示す「原料化合物1」から任意に選んだ化合物と、「原料化合物3」から任意に選んだ化合物との反応、または「原料化合物2」から任意に選んだ化合物と、「原料化合物4」から任意に選んだ化合物との反応により得ることができるが、中でも「原料化合物1」の(メタ)アクリル酸クロリドと、「原料化合物3」のα−アミノアセトアルデヒド、α−アミノアセトアルデヒドジメチルアセタール、γ−アミノブチルアルデヒド、γ−アミノブチルアルデヒドジメチルアセタールから選ばれる化合物との反応により得られるものが、特に好適である。
「原料化合物1」に属する化合物は、(メタ)アクリル酸クロリド、無水マレイン酸、無水イタコン酸、グリシジルメタクリレート、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
「原料化合物2」に属する化合物は、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、デカエチレングリコールモノアクリレートが挙げられる。
「原料化合物3」に属する化合物は、α−アミノアセトアルデヒド、α−アミノアセトアルデヒドジメチルアセタール、γ−アミノブチルアルデヒド、γ−アミノブチルアルデヒドジメチルアセタール、グリオキシル酸、グリオキシル酸ジメチルアセタール、テレフタルアルデヒド酸、テレフタルアルデヒド酸ジメチルアセタール、4−ヒドロキシベンズアルデヒド、4−ヒドロキシベンズアルデヒドジメチルアセタール、4−メルカプトベンズアルデヒドが挙げられる。
「原料化合物4」に属する化合物は、α−クロロアセトアルデヒド、α−クロロアセトアルデヒドジメチルアセタールが挙げられる。
「原料化合物1」から任意に選んだ化合物と、「原料化合物3」から任意に選んだ化合物との反応、または「原料化合物2」から任意に選んだ化合物と、「原料化合物4」から任意に選んだ化合物との反応を行う際の条件は、用いる原料化合物の種類に応じて適宜選択できるが、適当な溶剤中あるいはニート条件下、原料化合物を混合し、反応温度−30〜200℃、好ましくは−10〜100℃の温度で10分〜50時間、好ましくは1〜10時間反応を行う。ここでニート条件とは溶剤を用いない条件を表す。また必要に応じて、酢酸、p−トルエンスルホン酸などの有機酸、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸、ピリジン、トリエチルアミンなどの有機塩基、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどの無機塩基を反応触媒として添加しても良く、ヒドロキノン、4−メトキシフェノール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、2,2−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチルー4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、ジラウリルチオジプロピオネート、トリフェニルホスファイト、フェノチアジン、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシなどを重合禁止剤として添加しても良い。
ポリビニルアセタールの原料として用いるポリビニルアルコールは、従来公知の方法、すなわちビニルエステル系単量体を重合し、得られた重合体をけん化することによって得ることができる。ビニルエステル系単量体を重合する方法としては、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法など、従来公知の方法を採用することができる。重合に用いる触媒としては、採用される重合方法に応じて、アゾ系触媒、過酸化物系触媒、レドックス系触媒などが適宜選ばれる。けん化反応は、従来公知のアルカリ触媒または酸触媒を用いる加アルコール分解、加水分解などにより行うことができ、この中でもメタノールを溶剤として用い、苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)を触媒とするけん化反応が簡便であり、最も好ましい。
ビニルエステル系単量体としては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、オレイン酸ビニル、安息香酸ビニル、酢酸イソプロペニルなどが挙げられるが、とりわけ酢酸ビニルが好ましい。
また、前記ビニルエステル系単量体は、本発明の主旨を損なわない範囲で他の単量体単位と共重合させて用いることができる。その単量体単位の例として、例えばエチレン、プロピレン、N−ブテン、イソブチレンなどのα−オレフィン;アクリル酸およびその塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸N−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸N−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシルなどのアクリル酸エステル類;メタクリル酸およびその塩;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸N−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸N−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシルなどのメタクリル酸エステル類;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩、その4級塩、N−メチロールアクリルアミドおよびその誘導体などのアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩、その4級塩、N−メチロールメタクリルアミドおよびその誘導体などのメタクリルアミド誘導体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、N−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、N−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル類;塩化ビニル、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル;塩化ビニリデン、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニリデン;酢酸アリル、塩化アリルなどのアリル化合物;マレイン酸およびその塩、そのエステルまたは無水物、ビニルトリメトキシシランなどのビニルシリル化合物などが挙げられる。これらの単量体単位は、反応に用いるビニルエステル系単量体に対して100モル%未満の割合で用いて重合を行い、また得られるポリビニルアルコールの主鎖エチレンパートに対して10モル%未満の含有量であることが好ましい。
ポリビニルアルコールにおける、ビニルエステル系単量体の好ましい重合度は、100〜3000であり、さらに好ましくは200〜2000である。
次にポリビニルアルコールのアセタール化反応について説明する。
まず、3〜15重量%濃度のビニルアルコール系重合体の水溶液を、80〜100℃の
温度範囲に調整し、その温度を10〜60分かけて徐々に冷却する。温度が−10〜30℃まで低下したところで、アルデヒドおよび酸触媒を添加し、温度を一定に保ちながら、30〜300分間アセタール化反応を行う。その後、反応液を30〜200分かけて、40〜80℃の温度まで昇温し、その温度を60〜360分保持する。次に、反応液を、好適には室温まで冷却し、必要に応じて水洗、中和を行い、乾燥する。
アセタール化反応に用いられる酸触媒としては特に限定されず、有機酸および無機酸のいずれでも使用することが可能であり、例えば、酢酸、パラトルエンスルホン酸、硝酸、硫酸、塩酸等が挙げられる。これらの中でも、より一般的には塩酸、硫酸、硝酸が用いられ、とりわけ塩酸が好ましく用いられる。
以上のような方法により得られた本発明のポリビニルアセタールにカルボキシル基、カルボキシレート基が含まれている場合、カルボキシル基とカルボキシレート基の比率は目的に応じて適宜選択して良いが、カルボキシル基とカルボキシレート基が合計0.1モル%以上含み、かつそれらの含有比率を下記式(7)の範囲に調節することが、ポリビニルアセタールの吸湿性を抑制し、例えば本発明のポリビニルアセタールを用いて作成した塗膜の吸湿による白濁、あるいは吸湿による変形を防ぐ観点から好適である。
0≦[カルボキシレート基量/(カルボキシル基とカルボキシレート基の合計量)]≦0.3 (7)
本発明において、カルボキシレート基とは、カルボキシル基(−COOH)のプロトンを一価または多価のアルカリ(土類)金属イオン、または種々のアンモニウムイオンに置き換えた基を意味する。カルボキシレート基は、本発明においては、典型的には、カルボキシル基が、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属塩、水酸化マグネシウムなどのアルカリ土類金属塩、およびアンモニア、ピリジンなどのアミン類により中和されて生成する。
上記式(7)の測定方法は後述するとおり、ポリビニルアセタールをエタノールに溶解させて、指示薬を用いて水酸化ナトリウム水溶液および塩酸にて滴定することで求めることができる。
なおここでのカルボキシル基、カルボキシレート基はポリビニルアセタールの主鎖、側鎖のいずれに導入されたものをも含む。またカルボキシル基とカルボキシレート基の合計導入量はポリビニルアセタールの主鎖エチレンパートに基づいて計算した値であり、さらに上記含有比率は、カルボキシル基、カルボキシレート基のモル比率に基づいて計算された値である。
本発明のポリビニルアセタールは、平均粒子径30〜1000μm、好適には30〜500μm、さらに好適には30〜300μm、また、かさ密度が0.12〜0.5g/mL、好適には0.12〜0.4g/mL、さらに好適には0.12〜0.3g/mLである多孔質粉体の形状であることが好ましい。ポリビニルアセタールが、上記平均粒子径およびかさ密度を有する多孔質粉体で得られる場合、ポリビニルアセタールの粒子内部に水、あるいは有機溶剤が浸透しやすくなり、かつ溶剤に溶解しようとした際にママコが生成しにくいため、洗浄性および溶剤溶解性に優れる。
ポリビニルアセタールの平均粒子径は、例えばレーザー回折法による測定により求めることができる。測定に用いることができる装置として、例えば、(株)島津製作所製の粒度分布測定装置SALD2200等を挙げることができる。
またポリビニルアセタールのかさ密度は、例えばJIS K6721に基づいて測定することができる。
上記の平均粒子径およびかさ密度を有するポリビニルアセタールを得る方法は限定されないが、既述のポリビニルアルコールのアセタール化反応によって得られるポリビニルアセタールが上記範囲を満たしている場合にはそのまま用いることができる。また粉砕法、篩い分けなどの方法により、平均粒子径およびかさ密度を上記範囲に調整することも可能である。
本発明のポリビニルアセタールを用いて、必要に応じて架橋開始剤とともに溶融するかまたは溶剤に溶解して基材上にキャストし、乾燥することにより塗膜を形成させることができる。乾燥は、10〜150℃の温度条件下で10分〜24時間実施するのが好適である。このようにして得られた塗膜に、UV照射、電子線照射、熱処理などの処理を施すことにより硬化物を得ることができる。
架橋開始剤の種類としては特に限定されないが、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイルなどの過酸化アシロイル;クメンヒドロパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、i−プロピルパーアセテートなどのアルキル過酸エステル;ジ−t−ブチルパーオキサイドなどのジアルキルパーオキサイド;α,α−アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、2,2−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリルなどのアゾ化合物、さらにベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4'−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−メチルプロピオフェノン、α,α−ジメトキシ−α−モノフォリノ−メチルチオフェニルアセトフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルホスフィンオキシド、チオキサントン、テトラメチルチウラムジサルファイドなどの光重合開始剤が挙げられる。
このようにして得られた硬化物は、ポリビニルアセタールを溶解する溶剤、例えばエタノール、プロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、クロロホルム、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどに対する耐溶剤性に優れており、その耐溶剤性に優れている程度を、たとえば50℃に保たれたエタノールに2時間浸漬したときの硬化物(フィルムなど)の残存率を指標にして表すならば、残存率は好適には70〜100%、さらに好適には80〜100%である。
本発明のポリビニルアセタールは、粉体塗料として有用である。以下これを説明する。
粉体塗料に用いるポリビニルアセタールとしては、上記した平均粒子径のものが好適に用いられるが、さらには平均粒子径が150μm以下であることが好適であり、より好適には130μm以下、最適には100μm以下である。ポリビニルアセタールがこのような平均粒子径を有する粉体で得られる場合には、そのまま粉体塗料として用いることが可能であり、また必要に応じて粉砕法、スプレードライ法、VAMP法、篩い分けなどの方法により、平均粒子径に調整することも可能である。平均粒子径がこの範囲を満たす場合に、粉体塗装後の塗膜がより均一な厚みで得られる。
粉体塗料に用いるポリビニルアセタール粉体の平均粒子径は、例えばレーザー回折法による測定により求めることができる。
粉体塗料には、必要に応じて前述の架橋開始剤が添加される。架橋開始剤の添加方法については特に限定されないが、ポリビニルアセタールに含まれていても良いし、ポリビニルアセタールと、架橋開始剤がドライブレンドされていてもかまわない。
粉体塗料には、ポリビニルアセタールが樹脂成分の必須成分として使用されるが、これ以外の他の樹脂、さらには染色顔料、酸化防止剤、可塑剤、流動改質剤、その他の添加剤を、本発明の目的が阻害されない範囲で、必要に応じ使用することもできる。それらの添加方法については特に限定されないが、ポリビニルアセタールに含まれていても良いし、ポリビニルアセタールと、添加剤がドライブレンドされていてもかまわない。
粉体塗料に用いられるポリビニルアセタールは、形成される塗膜の表面平滑性の観点から、水分量が2.5重量%以下であることが好ましく、さらに2.0重量%以下であることが好ましい。ポリビニルアセタールの水分量を2.5重量%以下にする方法としては、ポリビニルアセタールを、水または水/アルコールの混合溶液等により洗浄した後、乾燥することにより、水分を規定の量以下にまで除去する方法等が挙げられる。
粉体塗料は、種々の方法により基材に塗装することが可能である。その方法としては、流動浸漬法、静電塗装法、溶射法等が挙げられる。塗装する際の温度条件は、採用される塗装方法や、用いられるポリビニルアセタールの種類により異なるが、100〜300℃程度が好ましい。
塗装の対象となる基材としては、鋼管、鋼板などの金属のほか、陶器、セラミック、ガラス、プラスチックなどを挙げることができる。通常、これらの金属に粉体塗装を施す場合には、金属と塗膜との接着性、金属の耐食性、外観などが改善されることを期待して、脱脂、リン酸塩処理、メッキなどの前処理、プライマー処理を目的とするエポキシ系樹脂等の塗布が必要に応じて実施される。本発明のポリビニルアセタールを主成分とする粉体塗料を、基材の表面に塗装することで多層構造体が得られる。この時、必要に応じて他の樹脂層との多層化を行うこともできる。多層化を行う方法としては特に限定されないが、粉体塗装を複数回行う方法、本発明の粉体塗料と他の樹脂からなる混合物を溶融させ、親和性の差により相分離させて一度の塗装で2層以上の樹脂層を得る方法などが例示される。これらの内、粉体塗装を複数回行う方法が、樹脂間の親和性等を考慮する必要がなく好適である。
本発明のポリビニルアセタールは、UV照射、電子線照射、熱処理により、耐溶剤性に優れた硬化物となるので、各種用途に適用できる。たとえば、硬化性セラミック組成物、感光性組成物、硬化性インク組成物(凸版印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、インクジッエト印刷用)、硬化性粉体塗料、硬化性塗料、自動車または建築のガラスの硬化性中間膜、無機材料用硬化性バインダー、硬化性接着剤などに適用できるが、特に硬化性粉体塗料として好適に用いることができる。本発明のポリビニルアセタールは、これらの組成物のバインダーまたは接着剤として使用される。これらの各用途には、各用途に必要な成分を適宜配合して使用される。また必要に応じ、希釈溶剤、顔料、フイラー、酸化防止剤、可塑剤などを配合して使用することができる。
また本発明記載のポリビニルアセタールは、特にグリーンシート用などの架橋性セラミック組成物のバインダーとして有用である。すなわち、本発明のポリビニルアセタールを用いて調製したセラミック組成物(スラリー)は、本発明のポリビニルアセタールと同程度の重合度を有しておりつつ、かつ一般式(2)で示される構成単位を含まないポリビニルアセタールを用いて得られる組成物(スラリー)と同程度の粘度を有しており、作業性に優れる。この組成物を用いて架橋性セラミックグリーンシートを作製した後、UV架橋、電子線架橋、熱架橋などを施すことで、セラミックグリーンシートを得ることができる。このセラミックグリーンシートは、架橋により高強度化されているため、小型、薄膜のセラミックグリーンシートとして好適であり、また同時に耐溶剤性を付与することができるので、グリーンシートの表面に回路を印刷する際、極めて鮮明で、かつグリーンシート溶解により発生するピンホールなどの不具合がない印刷を実現することができる。
本発明のセラミック組成物は、本願記載のポリビニルアセタール、セラミック粉末を適切な溶剤に分散、溶解して得ることができる。ここでポリビニルアセタールは、セラミック組成物に対して1〜20重量%、好適には3〜17重量%含まれていることが好ましい。
本発明のセラミック組成物に使用される溶剤は、ポリビニルアセタール、および後述する可塑剤、分散剤、架橋開始剤、その他添加剤を溶解する溶剤であれば特に限定されないが、エタノール、プロパノール、ブタノール、メタノール、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、酢酸エチルなどが好適に用いられ、これら溶剤を2種以上混合して使用することも可能である。これら溶剤の使用量はセラミック組成物中において10〜80重量%が好ましく、より好適には15〜70重量%である。
本発明のセラミック組成物に使用されるセラミックス粉末の種類は特に限定されないが、例えば、チタン酸バリウム、アルミナ、ジルコニア、ケイ酸アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、マグネシア、サイアロン、スピネル、ムライト、ガラス、炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミニウム等の粉末が挙げられ、これらは2種以上組み合わせて用いることも可能である。
セラミック粉末の使用量は特に限定されないが、セラミック組成物中において20〜80重量%使用することが好ましく、より好適には30〜75重量%である。
上記セラミックス粉末の平均粒径は、作製するセラミックグリーンシートの厚さに応じて適宜選択され、好ましくは10μm以下であり、1μm以下のものがより好ましい。
本発明のセラミック組成物には必要に応じて可塑剤を添加することができる。添加する可塑剤の種類は特に限定されないが、フタル酸ジオクチル、フタル酸ベンジルブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジ(2−エチルブチル)などのフタル酸系可塑剤、アジピン酸ジヘキシルなどのアジピン酸系可塑剤、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどのグリコール系可塑剤、トリエチレングリコールジブチレート、トリエチレングリコールジ(2−エチルブチレート)、トリエチレングリコールジ(2−エチルヘキサノエート)などのグリコールエステル系可塑剤などが挙げられ、これらは2種以上組み合わせて用いることも可能である。可塑剤の使用量は特に限定されないが、セラミック組成物中において0.1〜10重量%使用することが好ましく、より好適には1〜8重量%である。
本発明のセラミック組成物には、必要に応じて架橋開始剤を添加することができる。添加できる架橋開始剤の種類は架橋方法に応じて適宜選択可能であり、例えば前述の架橋開始剤などが挙げられる。架橋開始剤の使用量は特に限定されないが、セラミック組成物中において0.001〜1重量%使用することが好ましく、より好適には0.01〜0.5重量%である。
本発明のセラミック組成物には、必要に応じて分散剤、潤滑剤、帯電防止剤、消泡剤等を含有させてもよい。これらの添加量はセラミック組成物に対して0.1〜3重量%使用することが好ましく、より好適には0.1〜1重量%である。
本発明のセラミック組成物は、本願記載のポリビニルアセタール、セラミック粉末、その他添加剤を適切な溶剤と混合し、0〜100℃で1〜100時間、ボールミルなどを用いて混合し、必要に応じて脱泡した後、ポリエステルフィルムなどの剥離性に優れる基材上に塗布し、有機溶剤を乾燥することで、架橋性セラミックグリーンシートを与える。
得られた架橋性セラミックグリーンシートは、UVなどの光照射、電子線照射、熱処理などにより光あるいは熱架橋されたセラミックグリーンシートを与える。これらはセラミックグリーンシートの高強度化、耐溶剤性付与の観点から好適である。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例において「%」および「部」は特に断りのない限り、「重量%」および「重量部」を意味する。
実施例1
(架橋性官能基を有するアルデヒドのジメチルアセタールの合成)
3Lセパラブルフラスコにアセトン2Lを入れ、0℃に冷却した。ここにメタクリル酸クロリド196g、α−アミノアセトアルデヒドジメチルアセタール205g、トリエチルアミン200gを添加し、0℃に保ったまま3時間反応を行った。反応終了後、アセトンを減圧留去し、水/酢酸エチルで抽出、溶剤を減圧留去してN−(2,2−ジメトキシエチル)メタクリルアミド223gを得た。
(ポリビニルアセタールの合成)
還流冷却器、温度計、イカリ型攪拌翼を備えた5Lのガラス製容器に、イオン交換水3375g、ポリビニルアルコール(PVA−1:重合度300、けん化度98モル%)275gを仕込み(PVA濃度7.5%)、全体を95℃に昇温して完全に溶解した。次に120rpmで攪拌下、7℃まで約30分かけて徐々に冷却後、溶液を7℃に保ってn−ブチルアルデヒド157g、N−(2,2−ジメトキシエチル)メタクリルアミド110gと20%の塩酸200mLを添加し、アセタール化反応を150分間行った。その後、60分かけて50℃まで昇温し、50℃にて120分間保持した後、室温まで冷却した。析出した樹脂をイオン交換水で洗浄後、水酸化ナトリウム水溶液を添加して中和し、再洗浄後、乾燥して、ポリビニルアセタール(PVB−1)を得た。得られたPVB−1のアセタール化度は81モル%{n−ブチルアルデヒドによるアセタール化度(a)66モル%、N−(2,2−ジメトキシエチル)メタクリルアミドによるアセタール化度(b)15モル%}、ビニルアルコール基含有量(c)は17モル%、ビニルエステル基含有量(d)は2モル%であった。またPVB−1の平均粒子径は83μm、かさ密度は0.19g/mLであった。
(ポリビニルアセタールのアセタール化度(a+bモル%)、ビニルアルコール基含有量(cモル%)、ビニルエステル基含有量(dモル%)の測定)
JIS K6728に基づき測定した。
(ポリビニルアセタールの集合粒子の平均粒子径)
(株)島津製作所製の粒度分布測定装置SALD2200を用いて測定した。
(ポリビニルアセタールのかさ密度の測定)
JIS K6721に基づき測定した。
(架橋性官能基の導入量)
ポリビニルアセタールについて、以下の方法にしたがって架橋性官能基の導入量(bモル%)を測定した。またここで求めたb値と上記で求めた(a+b)値との差からa値を求めた。
ポリビニルアセタール(PVB−1)の2%ジメチルスルホキシド−d6(0.05v/v%テトラメチルシラン含有)溶液を調製した。80℃で1H−NMRを測定し、得られたチャートから架橋性官能基の導入量(bモル%)を算出した。以下にPVB−1の1H−NMR測定により得られる主要なピークのケミカルシフトを示す。なおケミカルシフトはテトラメチルシランのケミカルシフトを0ppmとしたときの値である。
δ=0.74〜0.97ppm(PVB−1のブチラール環プロピル基中の末端メチル基プロトン)
δ=0.97〜1.80ppm(PVB−1の主鎖のメチレン基プロトン、およびブチラール環プロピル基中のメチレン基プロトン)
δ=5.20〜5.40ppmおよび5.50〜5.70ppm(メタクリル基中のCH=C基プロトン)
(残存モノマー含有量)
バイアル瓶にポリビニルアセタール(PVB−1)1g、内部標準として0.4%オクタン/アセトン溶液10μLを添加して、ヘッドスペースガスクロマトグラフィーを測定し、以下の式にしたがって求めた。
(残存モノマー量)=(残存モノマーのエリア値の合計)/(オクタンのエリア値)
(溶剤溶解性の評価)
500mLセパラブルフラスコにエタノール200mLを入れ、50℃に保ちながら200rpmの撹拌下に、6gのポリビニルアセタール(PVB−1)を投入し(投入完了時を溶解時間測定開始点とする)、溶解までに要した時間を測定し、以下の基準にしたがって評価した。
◎:15分以内で溶解完了。
○:15〜30分以内で溶解完了。
△:30分〜2時間で溶解完了。
×:2時間後でも溶解が完了していない。
なお、溶解の完了は目視で固体が見えなくなった時点とした。
(UV硬化フィルムの作成)
エタノール50gに、ポリビニルアセタール(PVB−1)を2g、 2−ヒドロキシ−4'−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−メチルプロピオフェノン を0.05g溶解し、この溶液を10cm×10cmの型枠に流した後、乾燥させて厚さ100μmのキャストフィルムを得た。このキャストフィルムを型枠からはがし、(株)東芝製の紫外線照射装置TOSCURE1000でUV光を照射し(2メートル/分の速度で10回)、UV硬化フィルムを作成した。
(熱硬化フィルムの作成)
エタノール50gに、ポリビニルアセタール(PVB−1)を2g、α,α−アゾビスイソブチロニトリルを0.05g溶解し、この溶液を10cm×10cmの型枠に流した後、乾燥させて厚さ100μmのキャストフィルムを得た。このキャストフィルムを型枠からはがし、80℃で1時間熱処理し、熱硬化フィルムを作成した。
このようにして得られた2種類の硬化フィルムについて、以下の方法にしたがって耐溶剤性を評価した。
(硬化フィルムの耐溶剤性の評価)
エタノール100gに硬化フィルム0.3gを浸漬し、50℃で2時間静置した。エタノール中に残存している硬化フィルムを取り出して、重量を測定した(乾燥前フィルムの重量)。さらにその取り出したフィルムを105℃にて3時間乾燥後、重量を測定(乾燥後フィルムの重量)して膨潤度、残存率を下式により算出した。
(膨潤度)=(乾燥前のフィルムの重量)/(乾燥後のフィルムの重量)×100(%)
(残存率)=(乾燥後フィルムの重量)/(硬化フィルムの重量)×100(%)
また、エタノール中に残存している硬化フィルムの形状を目視で観察し、以下の基準にしたがって評価した。
(残存している硬化フィルムの目視評価)
○:硬化フィルムが残っており、かつその形状も残っている
△:硬化フィルムが残っているが、形状が崩れている。
×:硬化フィルムが残っていない。または残っているがドロドロのゲル状である。
評価結果を表1に示す。
(ポリビニルアセタールの吸水量評価)
乾燥した(含水量:0.1重量%以下)5gのポリビニルアセタール(PVB−1)を、40℃、90%RHの条件下で48時間処理し、処理前後の重量変化から、ポリビニルアセタールの吸水量を測定した。
(ポリビニルアセタールフィルムのヘイズ評価)
ポリビニルアセタール(PVB−1)1gをエタノール20gに溶解した後、10cm×10cmの型枠にキャスト、乾燥してキャストフィルムを得た。これを40℃、90%RH雰囲気下で48時間処理した時のヘイズを、スガ試験機製ヘイズメーターHZ−1を用いて評価した。
(光架橋開始剤粉体の調製)
2−ヒドロキシ−4'−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−メチルプロピオフェノンをミキサーで十分に粉砕した後、60メッシュ(目開き250μm)の金網でふるい、250μm以上の粒子を取り除き、光架橋開始剤粉体を得た。
(ポリビニルアセタールを主成分とする粉体塗料の調製)
ポリビニルアセタール(PVB−1)を60メッシュ(目開き250μm)の金網を用いてふるい、250μm以上の粒子を取り除いた。この樹脂100gに光架橋開始剤粉体1gを添加して、粉体塗料とした。
(粉体塗料の平均粒子径)
(株)島津製作所製の粒度分布測定装置SALD2200を用いて測定した。
(粉体塗料を用いた基材の塗装)
0.8mm(厚)×50mm×100mmのステンレス板(SAS304)の表面を洗剤を用いて洗浄して脱脂した後、イオン交換水で十分に洗浄して基材とした。この基材に対して、以下の方法により粉体塗料−1を用い、流動浸漬法により塗装を行った。
多孔板および円筒状の塗装室(流動室)(高さ50cm、直径30cm)を備えた容器に上記粉体塗料を入れ、空気を多孔板を通して塗装室に吹き込むことで、粉体塗料を流動させた。前記ステンレス板からなる基材を予熱し(温度230℃、10分間)、これを粉体塗料の流動層中に懸垂し、10秒経過した後取り出し、230℃の温度条件で10分間加熱して塗装物を得た。
(塗装物の光架橋)
上記方法により得られた塗装物にUV光を照射して((株)東芝製紫外線照射装置TOSCURE1000、2メートル/分の速度で10回)、光架橋塗装物を得た。
(光架橋塗装物の耐溶剤性評価)
エタノールを含浸させたガーゼで光架橋塗装物表面を5回ふき取り、そのときの塗膜の状態を目視により確認した。
○:塗膜表面に変化が見られない。
×:塗膜表面の白化や溶解が見られる。
(セラミック組成物およびセラミックグリーンシート(H)の作製)
粒子径0.1μmのチタン酸バリウム(堺化学工業株式会社製、BT−01)25g、エタノール15g、トルエン15g、ポリビニルブチラール(PVB−1)を1g、分散剤としてマリアリムAKM(日油株式会社製)0.5g、可塑剤としてフタル酸ベンジルブチル1g、および架橋開始剤としてα,α−アゾビスイソブチロニトリル0.01gをボールミルに入れ、20℃、100rpmで20時間混合しセラミック組成物(H1)を得た。これを、乾燥後の厚さが25μmになるようにPET上に塗布し、30℃で5時間乾燥して、架橋性セラミックグリーンシート(H1)を得た。これを90℃で1時間熱処理を行い、熱架橋されたセラミックグリーンシート(H1)を得た。
(セラミックグリーンシート(H)の強度評価)
得られたセラミックグリーンシート(H1)を8cm×1cmの大きさに切り、(株)島津製オートグラフ、AG−ISを使用し、8mm/分の速度で180°で破断するまで引張試験を行なったところ、破断時の応力は5.6N/mm2であった。
(セラミック組成物およびセラミックグリーンシート(P)の作製)
粒子径0.1μmのチタン酸バリウム(堺化学工業株式会社製、BT−01)25g、エタノール15g、トルエン15g、ポリビニルブチラール(PVB−1)を1g、分散剤としてマリアリムAKM(日油株式会社製)0.5g、可塑剤としてフタル酸ベンジルブチル1g、および架橋開始剤として2−ヒドロキシ−4’−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−メチルプロピオフェノン0.02gをボールミルに入れ、100rpmで20時間混合しセラミック組成物(P1)を得た。これを、乾燥後の厚さが25μmになるようにPET上に塗布し、40℃で3時間乾燥後、70℃で5時間乾燥して、架橋性セラミックグリーンシート(P1)を得た。これに(株)東芝製の紫外線照射装置TOSCURE1000でUV光を照射し(2メートル/分の速度で10回)、光架橋されたセラミックグリーンシート(P1)を得た。
(セラミックグリーンシート(P)の強度評価)
得られたセラミックグリーンシート(H1)を8cm×1cmの大きさに切り、(株)島津製オートグラフAG−ISを使用し、8mm/分の速度で180°で破断するまで引張試験を行なったところ、破断時の応力は6.0N/mm2であった。
実施例2
実施例1のポリビニルアセタールの合成において、N−(2,2−ジメトキシエチル)メタクリルアミドの使用量を110gから55gに変更した以外は同様に行い、PVB−2を得た。
実施例1と同様の方法で、PVB−2、UV硬化フィルム、熱硬化フィルムおよびPVB−2を用いて調製した粉体塗料を使用して作成した光架橋塗装物、およびセラミックグリーンシート(H、P)の分析、評価を行った。結果を表1に示す。
実施例3
実施例1のポリビニルアセタールの合成において、N−(2,2−ジメトキシエチル)メタクリルアミドの使用量を110gから11gに変更した以外は同様に行い、PVB−3を得た。
実施例1と同様の方法で、PVB−3、UV硬化フィルム、熱硬化フィルムおよびPVB−3を用いて調製した粉体塗料を使用して作成した光架橋塗装物、およびセラミックグリーンシート(H、P)の分析、評価を行った。結果を表1に示す。
実施例4
実施例1のポリビニルアセタールの合成において、n−ブチルアルデヒドの使用量を157gから174g、N−(2,2−ジメトキシエチル)メタクリルアミドの使用量を110gから22gに変更した以外は同様に行い、PVB−4を得た。
実施例1と同様の方法で、PVB−4、UV硬化フィルム、熱硬化フィルムおよびPVB−4を用いて調製した粉体塗料を使用して作成した光架橋塗装物、およびセラミックグリーンシート(H、P)の分析、評価を行った。結果を表1に示す。
実施例5
実施例1のポリビニルアセタールの合成において、n−ブチルアルデヒドの使用量を157gから127g、N−(2,2−ジメトキシエチル)メタクリルアミドの使用量を110gから22gに変更した以外は同様に行い、PVB−5を得た。
実施例1と同様の方法で、PVB−5、UV硬化フィルム、熱硬化フィルムおよびPVB−5を用いて調製した粉体塗料を使用して作成した光架橋塗装物、およびセラミックグリーンシート(H、P)の分析、評価を行った。結果を表1に示す。
実施例6
実施例2のポリビニルアセタールの合成において、PVA−1の代わりにPVA−2(重合度300、けん化度88モル%)を使用し、n−ブチルアルデヒドの使用量を157gから140gに変更した以外は同様に行い、PVB−6を得た。
実施例1と同様の方法で、PVB−6、UV硬化フィルム、熱硬化フィルムおよびPVB−6を用いて調製した粉体塗料を使用して作成した光架橋塗装物、およびセラミックグリーンシート(H、P)の分析、評価を行った。結果を表1に示す。
実施例7
(架橋性官能基を有するアルデヒドジメチルアセタールの合成)
2Lセパラブルフラスコにアセトン1Lを入れ、20℃に調整した。ここに無水マレイン酸98g、α−アミノアセトアルデヒドジメチルアセタール118gを添加し、20℃に保ったまま8時間反応を行った。反応終了後、アセトンを減圧留去し、粗生成物207gを得た。得られた固体を水/アセトン=1/1溶剤で再結晶して、4−(2,2−ジメトキシエチル)アミノ−4−オキソ−2−シス−ブテン酸143gを得た。
(ポリビニルアセタールの合成)
還流冷却器、温度計、イカリ型攪拌翼を備えた5Lのガラス製容器に、イオン交換水3375g、ポリビニルアルコール(PVA−1)275gを仕込み(PVA濃度7.5%)、全体を95℃に昇温して完全に溶解した。次に120rpmで攪拌下、7℃まで約30分かけて徐々に冷却後、溶液を7℃に保ってn−ブチルアルデヒド128g、4−(2,2−ジメトキシエチル)アミノ−4−オキソ−2−シス−ブテン酸64gと20%の塩酸200mLを添加し、アセタール化反応を150分間行った。その後、60分かけて50℃まで昇温し、50℃にて150分間保持した後、室温まで冷却した。析出した樹脂をイオン交換水で洗浄後、50℃にて大過剰の水酸化ナトリウム水溶液を添加して中和し、再洗浄後、乾燥して、ポリビニルアセタール(PVB−7)を得た。得られたポリビニルアセタール(PVB−7)のアセタール化度は63モル%{n−ブチルアルデヒドによるアセタール化度56モル%、4−(2,2−ジメトキシエチル)アミノ−4−オキソ−2−シス−ブテン酸によるアセタール化度7モル%}、ビニルアルコール基含有量は35モル%、酢酸ビニル基含有量は2モル%であった。またPVB−7の平均粒子径は72μm、かさ密度は0.18g/mLであった。
実施例1と同様の方法で、PVB−7、UV硬化フィルム、熱硬化フィルムおよびPVB−7を用いて調製した粉体塗料を使用して作成した光架橋塗装物、およびセラミックグリーンシート(H、P)の分析、評価を行った。結果を表2に示す。
([(カルボキシレート基量)/(カルボキシル基とカルボキシレート基の合計量)]の測定)
3gのPVB−7をエタノール100gに溶解した。フェノールフタレイン溶液を2滴添加し、0.1モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液で滴定した。続いてブランクサンプルとして、エタノール100gにフェノールフタレイン溶液を2滴添加し、0.1モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液で滴定した。いずれの場合も、終点は溶液が薄いピンク色になった時点とした。両滴定で要した0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液の滴定量の差を、滴定量A[mL]とする。
続いて、3gのPVB−7をエタノール100gに溶解し、チモールブルー溶液を2滴添加し、0.1モル/L塩酸水溶液で滴定した。続いてブランクサンプルとして、エタノール100gにチモールブルー溶液を2滴添加し、0.1モル/Lの塩酸水溶液で滴定した。いずれの場合も終点は溶液が黄色→オレンジ色になった時点とした。両滴定で要した0.1モル/L塩酸水溶液の滴定量の差を、滴定量B[mL]とする。
下記式に従い計算した。結果を表2に示す。
[(カルボキシレート基量)/(カルボキシル基とカルボキシレート基の合計量)]=(滴定量B)/(滴定量A+滴定量B)
実施例8
(架橋性官能基を有するアルデヒドのジメチルアセタールの合成)
2Lセパラブルフラスコにテトラヒドロフラン1Lをいれ、60℃まで加熱した。ここに2−ヒドロキシエチルメタクリレート118g、α−クロロアセトアルデヒドジメチルアセタール128g、トリエチルアミン5gを添加し、60℃に保ったまま8時間反応を行った。反応終了後、テトラヒドロフランを減圧留去し、水/酢酸エチルで抽出を行い、得られた有機層から溶剤を減圧留去して、(2,2−ジメトキシエトキシ)エチルメタクリレート198gを得た。
(ポリビニルアセタールの合成)
還流冷却器、温度計、イカリ型攪拌翼を備えた5Lのガラス製容器に、イオン交換水3375g、ポリビニルアルコール(PVA−1)275gを仕込み(PVA濃度7.5%)、全体を95℃に昇温して完全に溶解した。次に120rpmで攪拌下、7℃まで約30分かけて徐々に冷却後、溶液を7℃に保ってn−ブチルアルデヒド157g、(2,2−ジメトキシエトキシ)エチルメタクリレート72gと20%の塩酸120mLを添加し、アセタール化反応を130分間行った。その後、60分かけて50℃まで昇温し、50℃にて200分間保持した後、室温まで冷却した。析出した樹脂をイオン交換水で洗浄後、水酸化ナトリウム水溶液を添加して中和し、再洗浄後、乾燥して、ポリビニルアセタール(PVB−8)を得た。得られたポリビニルアセタール(PVB−8)のアセタール化度は72モル%(n−ブチルアルデヒドによるアセタール化度66モル%、(2,2−ジメトキシエトキシ)エチルメタクリレートによるアセタール化度6モル%)、ビニルアルコール基含有量は26モル%、ビニルエステル基含有量は2モル%であった。またPVB−8の平均粒子径は88μm、かさ密度は0.20g/mLであった。
実施例1と同様の方法で、PVB−8、UV硬化フィルム、熱硬化フィルムおよびPVB−8を用いて調製した粉体塗料を使用して作成した光架橋塗装物、およびセラミックグリーンシート(H、P)の分析、評価を行った。結果を表2に示す。
実施例9
(架橋性官能基を有するアルデヒドの合成)
2Lセパラブルフラスコにテトラヒドロフラン1Lをいれ、60℃まで加熱した。ここにグリシジルメタクリレート142g、グリオキシル酸90g、トリエチルアミン5gを添加し、60℃に保ったまま6時間反応を行った。反応終了後、テトラヒドロフランを減圧留去し、水/酢酸エチルで抽出を行い、得られた有機層から溶剤を減圧留去して、2−(3−ヒドロキシ−1−メタクリロキシ)プロピルグリオキシレートと1−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシ)プロピルグリオキシレートの混合物174gを得た。
(ポリビニルアセタールの合成)
還流冷却器、温度計、イカリ型攪拌翼を備えた5Lのガラス製容器に、イオン交換水3375g、ポリビニルアルコール(PVA−1)275gを仕込み(PVA濃度7.5%)、全体を95℃に昇温して完全に溶解した。次に120rpmで攪拌下、8℃まで約30分かけて徐々に冷却後、溶液を8℃に保ってn−ブチルアルデヒド140g、2−(3−ヒドロキシ−1−メタクリロキシ)プロピルグリオキシレートと1−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシ)プロピルグリオキシレートの混合物69gと20%の塩酸120mLを添加し、アセタール化反応を150分間行った。その後、60分かけて50℃まで昇温し、50℃にて180分間保持した後、室温まで冷却した。析出した樹脂をイオン交換水で洗浄後、水酸化ナトリウム水溶液を添加して中和し、再洗浄後、乾燥して、ポリビニルアセタール(PVB−9)を得た。得られたポリビニルアセタール(PVB−9)のアセタール化度は67モル%(n−ブチルアルデヒドによるアセタール化度61モル%、2−(3−ヒドロキシ−1−メタクリロキシ)プロピルグリオキシレートと1−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシ)プロピルグリオキシレートによるアセタール化度6モル%)、ビニルアルコール基含有量は31モル%、酢酸ビニル基含有量は2モル%であった。またPVB−9の平均粒子径は79μm、かさ密度は0.20g/mLであった。
実施例1と同様の方法で、PVB−9、UV硬化フィルム、熱硬化フィルムおよびPVB−9を用いて調製した粉体塗料を使用して作成した光架橋塗装物、およびセラミックグリーンシート(H、P)の分析、評価を行った。結果を表2に示す。
実施例10
(架橋性官能基を有するアルデヒドジメチルアセタールの合成)
2Lセパラブルフラスコにテトラヒドロフラン1Lをいれ、60℃まで加熱した。ここにγ−アミノブチルアルデヒドジメチルアセタール67g、2−イソシアナトエチルメタクリレート75g、トリエチルアミン5gを添加し、60℃に保ったまま6時間反応を行った。反応終了後、テトラヒドロフランを減圧留去し、水/酢酸エチルで抽出を行い、得られた有機層から溶剤を減圧留去して、1−(4,4−ジメトキシブチル)−3−(2−メタクリロキシエチル)尿素138gを得た。
(ポリビニルアセタールの合成)
還流冷却器、温度計、イカリ型攪拌翼を備えた5Lのガラス製容器に、イオン交換水3375g、ポリビニルアルコール(PVA−1)275gを仕込み(PVA濃度7.5%)、全体を95℃に昇温して完全に溶解した。次に120rpmで攪拌下、8℃まで約30分かけて徐々に冷却後、溶液を8℃に保ってn−ブチルアルデヒド140g、1−(4,4−ジメトキシブチル)−3−(2−メタクリロキシエチル)尿素90gと20%の塩酸120mLを添加し、アセタール化反応を150分間行った。その後、60分かけて50℃まで昇温し、50℃にて150分間保持した後、室温まで冷却した。析出した樹脂をイオン交換水で洗浄後、水酸化ナトリウム水溶液を添加して中和し、再洗浄後、乾燥して、ポリビニルアセタール(PVB−10)を得た。得られたポリビニルアセタール(PVB−10)のアセタール化度は68モル%(n−ブチルアルデヒドによるアセタール化度61モル%、1−(4,4−ジメトキシブチル)−3−(2−メタクリロキシエチル)尿素によるアセタール化度7モル%)、ビニルアルコール基含有量は30モル%、酢酸ビニル基含有量は2モル%であった。またPVB−10の平均粒子径は77μm、かさ密度は0.20g/mLであった。
実施例1と同様の方法で、PVB−10、UV硬化フィルム、熱硬化フィルムおよびPVB−10を用いて調製した粉体塗料を使用して作成した光架橋塗装物、およびセラミックグリーンシート(H、P)の分析、評価を行った。結果を表2に示す。
実施例11
(架橋性官能基を有するアルデヒドのジメチルアセタールの合成)
2Lセパラブルフラスコにアセトン1Lをいれ、60℃まで加熱した。ここに2−イソシアナトエチルメタクリレート80g、4−ヒドロキシベンズアルデヒド62g、トリエチルアミン5gを添加し、60℃に保ったまま8時間反応を行った。反応終了後、アセトンを減圧留去して、N−(4−ホルミルフェノキシカルボニル)−N−(2−アクリロキシエチル)アミン143gを得た。
(ポリビニルアセタールの合成)
還流冷却器、温度計、イカリ型攪拌翼を備えた5Lのガラス製容器に、イオン交換水3375g、ポリビニルアルコール(PVA−1)275gを仕込み(PVA濃度7.5%)、全体を95℃に昇温して完全に溶解した。次に120rpmで攪拌下、7℃まで約30分かけて徐々に冷却後、溶液を7℃に保ってn−ブチルアルデヒド140g、N−(4−ホルミルフェノキシカルボニル)−N−(2−アクリロキシエチル)アミン80gと20%の塩酸120mLを添加し、アセタール化反応を130分間行った。その後、60分かけて50℃まで昇温し、50℃にて200分間保持した後、室温まで冷却した。析出した樹脂をイオン交換水で洗浄後、水酸化ナトリウム水溶液を添加して中和し、再洗浄後、乾燥して、ポリビニルアセタール(PVB−11)を得た。得られたポリビニルアセタール(PVB−11)のアセタール化度は66モル%(n−ブチルアルデヒドによるアセタール化度60モル%、N−(4−ホルミルフェノキシカルボニル)−N−(2−アクリロキシエチル)アミンによるアセタール化度6モル%)、ビニルアルコール基含有量は32モル%、ビニルエステル基含有量は2モル%であった。また、PVB−11の平均粒子径は88μm、かさ密度は0.20g/mLであった。
実施例1と同様の方法で、PVB−11、UV硬化フィルム、熱硬化フィルムおよびPVB−11を用いて調製した粉体塗料を使用して作成した光架橋塗装物、およびセラミックグリーンシート(H、P)の分析、評価を行った。結果を表2に示す。
実施例12
(架橋性官能基を有するアルデヒドの合成)
2Lセパラブルフラスコにアセトン1Lをいれ、60℃まで加熱した。ここに2−イソシアナトエチルメタクリレート80g、4−メルカプトベンズアルデヒド62g、トリエチルアミン5gを添加し、60℃に保ったまま8時間反応を行った。反応終了後、アセトンを減圧留去して、N−(4−ホルミルフェニルチオカルボニル)−N−(2−アクリロキシエチル)アミン143gを得た。
(ポリビニルアセタールの合成)
還流冷却器、温度計、イカリ型攪拌翼を備えた5Lのガラス製容器に、イオン交換水3375g、ポリビニルアルコール(PVA−1)275gを仕込み(PVA濃度7.5%)、全体を95℃に昇温して完全に溶解した。次に120rpmで攪拌下、7℃まで約30分かけて徐々に冷却後、溶液を10℃に保ってn−ブチルアルデヒド158g、N−(4−ホルミルフェニルチオカルボニル)−N−(2−アクリロキシエチル)アミン90gと20%の塩酸120mLを添加し、アセタール化反応を130分間行った。その後、60分かけて50℃まで昇温し、50℃にて200分間保持した後、室温まで冷却した。析出した樹脂をイオン交換水で洗浄後、水酸化ナトリウム水溶液を添加して中和し、再洗浄後、乾燥して、ポリビニルアセタール(PVB−12)を得た。得られたポリビニルアセタール(PVB−12)のアセタール化度は71モル%(n−ブチルアルデヒドによるアセタール化度67モル%、N−(4−ホルミルフェニルチオカルボニル)−N−(2−アクリロキシエチル)アミンによるアセタール化度4モル%)、ビニルアルコール基含有量は27モル%、ビニルエステル基含有量は2モル%であった。またPVB−12の平均粒子径は84μm、かさ密度は0.19g/mLであった。
実施例1と同様の方法で、PVB−12、UV硬化フィルム、熱硬化フィルムおよびPVB−12を用いて調製した粉体塗料を使用して作成した光架橋塗装物、およびセラミックグリーンシート(H、P)の分析、評価を行った。結果を表2に示す。
実施例13
(架橋性官能基を有するアルデヒドジメチルアセタールの合成)
2Lセパラブルフラスコにアセトン1Lをいれ、60℃まで加熱した。ここにデカエチレングリコールモノメタクリレート120g、α−クロロアセトアルデヒドジメチルアセタール30g、トリエチルアミン5gを添加し、60℃に保ったまま8時間反応を行った。反応終了後、アセトンを減圧留去して、デカエチレングリコールモノメタクリレートモノ(2,2−メトキシエチル)エーテル135gを得た。
(ポリビニルアセタールの合成)
還流冷却器、温度計、イカリ型攪拌翼を備えた5Lのガラス製容器に、イオン交換水3375g、ポリビニルアルコール(PVA−1)275gを仕込み(PVA濃度7.5%)、全体を95℃に昇温して完全に溶解した。次に120rpmで攪拌下、7℃まで約30分かけて徐々に冷却後、溶液を7℃に保ってn−ブチルアルデヒド140g、デカエチレングリコールモノメタクリレートモノ(2,2−メトキシエチル)エーテル135gと20%の塩酸120mLを添加し、アセタール化反応を130分間行った。その後、60分かけて50℃まで昇温し、50℃にて200分間保持した後、室温まで冷却した。析出した樹脂をイオン交換水で洗浄後、水酸化ナトリウム水溶液を添加して中和し、再洗浄後、乾燥して、ポリビニルアセタール(PVB−13)を得た。得られたポリビニルアセタール(PVB−13)のアセタール化度は66モル%(n−ブチルアルデヒドによるアセタール化度60モル%、デカエチレングリコールモノメタクリレートモノ(2,2−メトキシエチル)エーテルによるアセタール化度6モル%)、ビニルアルコール基含有量は32モル%、ビニルエステル基含有量は2モル%であった。またPVB−13の平均粒子径は80μm、かさ密度は0.18g/mLであった。
実施例1と同様の方法で、PVB−13、UV硬化フィルム、熱硬化フィルムおよびPVB−13を用いて調製した粉体塗料を使用して作成した光架橋塗装物、およびセラミックグリーンシート(H、P)の分析、評価を行った。結果を表2に示す。
実施例14
(架橋性官能基を有するアルデヒドジメチルアセタールの合成)
2Lセパラブルフラスコにアセトン1Lをいれ、60℃まで加熱した。ここに無水イタコン酸115g、γ−アミノブチルアルデヒドジメチルアセタール135g、トリエチルアミン5gを添加し、60℃に保ったまま8時間反応を行った。反応終了後、アセトンを減圧留去して、4−(2,2−ジメトキシブチル)アミノ−4−オキソ−3−メチレン−ブタン酸と4−(2,2−ジメトキシブチル)アミノ−4−オキソ−2−メチレン−ブタン酸の混合物245gを得た。
(ポリビニルアセタールの合成)
還流冷却器、温度計、イカリ型攪拌翼を備えた5Lのガラス製容器に、イオン交換水3375g、ポリビニルアルコール(PVA−1)275gを仕込み(PVA濃度7.5%)、全体を95℃に昇温して完全に溶解した。次に120rpmで攪拌下、7℃まで約30分かけて徐々に冷却後、溶液を7℃に保ってn−ブチルアルデヒド140g、4−(2,2−ジメトキシブチル)アミノ−4−オキソ−3−メチレン−ブタン酸と4−(2,2−ジメトキシブチル)アミノ−4−オキソ−2−メチレン−ブタン酸の混合物75gと20%の塩酸120mLを添加し、アセタール化反応を130分間行った。その後、60分かけて50℃まで昇温し、50℃にて200分間保持した後、室温まで冷却した。析出した樹脂をイオン交換水で洗浄後、水酸化ナトリウム水溶液を添加して中和し、再洗浄後、乾燥して、ポリビニルアセタール(PVB−14)を得た。得られたポリビニルアセタール(PVB−14)のアセタール化度は66モル%(n−ブチルアルデヒドによるアセタール化度61モル%、4−(2,2−ジメトキシブチル)アミノ−4−オキソ−3−メチレン−ブタン酸と4−(2,2−ジメトキシブチル)アミノ−4−オキソ−2−メチレン−ブタン酸の混合物によるアセタール化度5モル%)、ビニルアルコール基含有量は32モル%、ビニルエステル基含有量は2モル%であった。またPVB−14の平均粒子径は81μm、かさ密度は0.22g/mLであった。
実施例1と同様の方法で、PVB−14、UV硬化フィルム、熱硬化フィルムおよびPVB−14を用いて調製した粉体塗料を使用して作成した光架橋塗装物、およびセラミックグリーンシート(H、P)の分析、評価を行った。また実施例7記載の方法に従って[(カルボキシレート基量)/(カルボキシル基とカルボキシレート基の合計量)]を測定した。結果を表2に示す。
実施例15
(架橋性官能基を有するアルデヒドのジメチルアセタールの合成)
2Lセパラブルフラスコにアセトン1Lをいれ、60℃まで加熱した。ここにグリシジルメタクリレート75g、テレフタルアルデヒド酸ジメチルアセタール100g、トリエチルアミン5gを添加し、60℃に保ったまま8時間反応を行った。反応終了後、アセトンを減圧留去して、2−(3−ヒドロキシ−1−メタクリロキシ)プロピル(4−ジメトキシメチル)ベンゾエートと1−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシ)プロピル(4−ジメトキシメチル)ベンゾエートの混合物170gを得た。
(ポリビニルアセタールの合成)
還流冷却器、温度計、イカリ型攪拌翼を備えた5Lのガラス製容器に、イオン交換水3375g、ポリビニルアルコール(PVA−1)275gを仕込み(PVA濃度7.5%)、全体を95℃に昇温して完全に溶解した。次に120rpmで攪拌下、7℃まで約30分かけて徐々に冷却後、溶液を10℃に保ってブチルアルデヒド140g、2−(3−ヒドロキシ−1−メタクリロキシ)プロピル(4−ジメトキシメチル)ベンゾエートと1−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシ)プロピル(4−ジメトキシメチル)ベンゾエートの混合物50gと20%の塩酸120mLを添加し、アセタール化反応を130分間行った。その後、60分かけて50℃まで昇温し、50℃にて200分間保持した後、室温まで冷却した。析出した樹脂をイオン交換水で洗浄後、水酸化ナトリウム水溶液を添加して中和し、再洗浄後、乾燥して、ポリビニルアセタール(PVB−15)を得た。得られたポリビニルアセタール(PVB−15)のアセタール化度は67モル%(n−ブチルアルデヒドによるアセタール化度60モル%、2−(3−ヒドロキシ−1−メタクリロキシ)プロピル(4−ジメトキシメチル)ベンゾエートと1−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシ)プロピル(4−ジメトキシメチル)ベンゾエートの混合物によるアセタール化度7モル%)、ビニルアルコール基含有量は31モル%、ビニルエステル基含有量は2モル%であった。またPVB−15の平均粒子径は75μm、かさ密度は0.20g/mLであった。
実施例1と同様の方法で、PVB−15、UV硬化フィルム、熱硬化フィルムおよびPVB−15を用いて調製した粉体塗料を使用して作成した光架橋塗装物、およびセラミックグリーンシート(H、P)の分析、評価を行った。結果を表2に示す。
実施例16
水酸化ナトリウム水溶液による中和を行なわないこと以外は実施例7と同様の方法によりポリビニルブチラール(PVB−16)を得た。
実施例1と同様の方法で、PVB−16、UV硬化フィルム、熱硬化フィルムおよびPVB−16を用いて調製した粉体塗料を使用して作成した光架橋塗装物、および架橋セラミックグリーンシート(H、P)の分析、評価を行った。また実施例7記載の方法に従って[(カルボキシレート基量)/(カルボキシル基とカルボキシレート基の合計量)]を測定した。結果を表1に示す。
実施例17
50gのPVB−16を500gの0.05%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬して50℃、1時間処理した後、水洗、乾燥してポリビニルブチラール(PVB−17)を得た。
実施例1と同様の方法で、PVB−17、UV硬化フィルム、熱硬化フィルムおよびPVB−17を用いて調製した粉体塗料を使用して作成した光架橋塗装物、および架橋セラミックグリーンシート(H、P)の分析、評価を行った。また実施例7記載の方法に従って[(カルボキシレート基量)/(カルボキシル基とカルボキシレート基の合計量)]を測定した。結果を表1に示す。
実施例18
50gのPVB−16を500gの0.1%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬して50℃、1時間処理した後、水洗、乾燥してポリビニルブチラール(PVB−18)を得た。
実施例1と同様の方法で、PVB−18、UV硬化フィルム、熱硬化フィルムおよびPVB−18を用いて調製した粉体塗料を使用して作成した光架橋塗装物、および架橋セラミックグリーンシート(H、P)の分析、評価を行った。また実施例7記載の方法に従って[(カルボキシレート基量)/(カルボキシル基とカルボキシレート基の合計量)]を測定した。結果を表1に示す。
実施例19
50gのPVB−16を500gの0.20%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬して50℃、1時間処理した後、水洗、乾燥してポリビニルブチラール(PVB−19)を得た。
実施例1と同様の方法で、PVB−19、UV硬化フィルム、熱硬化フィルムおよびPVB−19を用いて調製した粉体塗料を使用して作成した光架橋塗装物、および架橋セラミックグリーンシート(H、P)の分析、評価を行った。また実施例7記載の方法に従って[(カルボキシレート基量)/(カルボキシル基とカルボキシレート基の合計量)]を測定した。結果を表1に示す。
比較例1
還流冷却器、温度計、イカリ型攪拌翼を備えた5Lのガラス製容器に、イオン交換水3375g、ポリビニルアルコール(PVA−1)275gを仕込み(PVA濃度7.5%)、全体を95℃に昇温して完全に溶解した。次に120rpmで攪拌下、8℃まで約30分かけて徐々に冷却後、溶液を8℃に保ってn−ブチルアルデヒド161g、と20%の塩酸120mLを添加し、アセタール化反応を150分間行った。その後、60分かけて50℃まで昇温し、50℃にて180分間保持した後、室温まで冷却した。析出した樹脂をイオン交換水で洗浄後、水酸化ナトリウム水溶液を添加して中和し、再洗浄後、乾燥して、ポリビニルブチラール(PVB−16)を得た。得られたポリビニルブチラール(PVB−16)のアセタール化度は69モル%(n−ブチルアルデヒドによるアセタール化度69モル%)、ビニルアルコール基含有量は29モル%、酢酸ビニル基含有量は2モル%であった。またPVB−16の平均粒子径は79μm、かさ密度は0.20g/mLであった。
実施例1と同様の方法で、PVB−16、UV硬化フィルム、熱硬化フィルムおよびPVB−16を用いて調製した粉体塗料を使用して作成した光架橋塗装物、およびセラミックグリーンシート(H、P)の分析、評価を行った。結果を表1に示す。
比較例2
還流冷却器、温度計、イカリ型攪拌翼を備えた5Lのガラス製容器に、イオン交換水3375g、ポリビニルアルコール(PVA−1)275gを仕込み(PVA濃度7.5%)、全体を95℃に昇温して完全に溶解した。次に120rpmで攪拌下、8℃まで約30分かけて徐々に冷却後、溶液を8℃に保ってn−ブチルアルデヒド140g、3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド37gと20%の塩酸120mLを添加し、アセタール化反応を150分間行った。その後、60分かけて50℃まで昇温し、50℃にて180分間保持した後、室温まで冷却した。析出した樹脂をイオン交換水で洗浄後、水酸化ナトリウム水溶液を添加して中和し、再洗浄後、乾燥して、ポリビニルアセタール(PVB−17)を得た。得られたポリビニルアセタール(PVB−17)のアセタール化度は70モル%(n−ブチルアルデヒドによるアセタール化度61モル%、3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒドによるアセタール化度9モル%)、ビニルアルコール基含有量は28モル%、酢酸ビニル基含有量は2モル%であった。また、得られた多孔質粉体の平均粒子径は83μm、かさ密度は0.20g/mLであった。
実施例1と同様の方法で、PVB−17、UV硬化フィルム、熱硬化フィルムおよびPVB−17を用いて調製した粉体塗料を使用して作成した塗装物、およびセラミックグリーンシート(H、P)の分析、評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0005179308
Figure 0005179308
本発明のポリビニルアセタールは、UV照射、電子線照射、または熱処理により容易に架橋し、耐溶剤性に優れた硬化物を得ることができることから、耐溶剤性の要求される各種用途に有用であり、たとえば、セラミック用バインダー、感光性材料用バインダー、硬化性インク、接着剤、粉体塗料、自動車または建築用のガラス中間膜として有用である。このうち特に粉体塗料として有用である。

Claims (9)

  1. 一般式(1)〜(4)で示される構成単位をそれぞれ1種類以上含有し、かつ主鎖中のエチレンパートの量に基づいて計算した(1)で示される構成単位の合計量をaモル%、(2)で示される構成単位の合計量をbモル%、(3)で示される構成単位の合計量をcモル%、(4)で示される構成単位の合計量をdモル%としたとき、a、b、c、d間の構成比が、aが40〜85モル%、bが0.1〜40モル%、cが10〜50モル%、dが0.1〜30モル%である、ポリビニルアセタールからなり、平均粒子径が30〜300μm、かさ密度が0.12〜0.3g/mLであるポリビニルアセタール多孔質粉体
    Figure 0005179308
    (ただし、Rは水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を表す。R、Rは水素原子またはメチル基を表す。)
    Figure 0005179308
    (ただし、Rは一般式(5)または(6)で表される官能基を含む基を表す。R、Rは水素原子またはメチル基を表す。)
    Figure 0005179308
    (ただし、Rは水素原子またはメチル基を表す。)
    Figure 0005179308
    (ただし、Rは水素原子またはメチル基を表す。Rは水素原子または炭素数1〜9の炭化水素基を表す。)
    Figure 0005179308
    (ただし、XはO、SおよびNR12からなる群から選ばれる基を表す。R10は水素原子、メチル基、CHCOOR13およびCHCOOMからなる群から選ばれる基を表す。R11は水素原子、COOR14およびCOOMからなる群から選ばれる基を表す。ここで、R12 、R13およびR14は、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を表し、同一であっても異なってもよい。MおよびMは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、または、アンモニウム基のいずれかを表し、同一であっても異なってもよい。)
    Figure 0005179308
    (ただし、XはO、SおよびNR16からなる群から選ばれる基を表す。R15はCOOR17 またはCOOMを表す。R16およびR17は、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を表し、同一であっても異なってもよい。Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはアンモニウム基のいずれかを表す。)
  2. が一般式(5)で表される官能基を含む基からなる群から選ばれる基であり、かつ一般式(5)において、XがNR12、R10が水素原子またはメチル基、R11が水素原子である、請求項1記載のポリビニルアセタール多孔質粉体
  3. カルボキシル基、カルボキシレート基を合計0.1モル%以上含んでおり、それらの含有比率が下記式(7)を満たしている、請求項1または2に記載のポリビニルアセタール多孔質粉体
    0≦[カルボキシレート基量/(カルボキシル基とカルボキシレート基の合計量)]≦0.3 (7)
  4. 請求項1〜のいずれかに記載のポリビニルアセタール多孔質粉体を含有する粉体塗料。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載のポリビニルアセタール多孔質粉体からなるセラミックスバインダー。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載のポリビニルアセタール多孔質粉体を含むセラミック組成物。
  7. 請求項に記載のセラミック組成物から得られる架橋性セラミックグリーンシート。
  8. 請求項に記載の架橋性セラミックグリーンシートを熱処理して得られるセラミックグリーンシート。
  9. 請求項に記載の架橋性セラミックグリーンシートを光処理して得られるセラミックグリーンシート。
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