JP5179308B2 - ポリビニルアセタール - Google Patents
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Description
例えば特許文献1には、ポリビニルアルコールと不飽和カルボン酸を水中で脱水エステル化反応させ、続いてアセタール化することでα、β−不飽和カルボニル基を導入したポリビニルアセタールを得る方法が開示されている。ところがこのような方法でポリビニルアセタールを得る場合には、ポリビニルアルコールと不飽和カルボン酸の脱水エステル化反応が効率よく進行しないため、生産性の面で問題があった。
一方、ポリビニルアセタールを有機溶剤に溶解し、不飽和酸無水物と反応を行なうことで得られるα、β−不飽和カルボニル基を導入したポリビニルアセタール(特許文献2)、またはグリシジルメタクリレートと反応させることで得られるα、β−不飽和カルボニル基を導入したポリビニルアセタール(特許文献3)も知られている。ところがこれらのポリビニルアセタールは、架橋性官能基導入反応を有機溶剤中で行なわなければならないため環境面で好ましくなく、またポリビニルアセタールが反応の際に用いる有機溶剤の溶液として得られるため、反応の際に用いる触媒や未反応化合物、副生成化合物を取り除くためには、再沈殿などさらに煩雑な工程が必要となるなど、生産面で好ましくなかった。
R10は水素原子、メチル基、CH2COOR13およびCH2COOM1からなる群から選ばれる基を表す。
R11は水素原子、COOR14およびCOOM2からなる群から選ばれる基を表す。
R12、R13およびR14は、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を表し、同一であっても異なってもよい。
M1およびM2は、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアンモニウム基のいずれかを表し、同一であっても異なってもよい。
R15はCOOR17 またはCOOM3を表す。
R16およびR17は、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を表し、同一であっても異なってもよい。
M3はアルカリ金属、アルカリ土類金属またはアンモニウム基のいずれかを表す。
ここで「洗浄性が良い」とは、反応後に得られる樹脂を水洗あるいは適当な有機溶剤で洗浄し乾燥を行うことで、ポリビニルアセタールに含まれる不純物などを容易に取り除けることを意味する。
また「有機溶剤への溶解性に優れる」とは、ポリビニルアセタールがポリビニルアセタールを溶解する溶剤、例えばエタノール、プロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、クロロホルム、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどに短時間で溶解することを意味する。
さらに「架橋後の耐溶剤性に優れる」とは、ポリビニルアセタールから得られる塗膜、フィルムなどに熱処理、あるいは電子線、紫外線などの光照射を行うことで、ポリビニルアセタール分子間に架橋構造が形成され、ポリビニルアセタールを溶解する溶剤、例えばエタノール、プロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、クロロホルム、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどへの耐溶剤性に優れることを意味する。
aは40〜85モル%であり、より好ましくは50〜85モル%、さらに好ましくは55〜85モル%である。bは0.1〜40モル%であり、より好ましくは1〜35モル%、さらに好ましくは2〜30モル%である。cは10〜50モル%であり、より好ましくは10〜45モル%、さらに好ましくは10〜40モル%である。dは0.1〜30モル%であり、より好ましくは0.1〜25モル%、さらに好ましくは0.1〜15モル%である。
a、b、c、dが上記範囲である場合、非水溶性であるために製造後の水洗による精製が容易で、ポリビニルアセタールが本来有する柔軟性、接着性、耐候性を有しつつ、かつ洗浄性が良く、また有機溶剤への溶解性に優れ、さらに架橋後の耐溶剤性に優れるポリビニルアセタールを得ることができる。なお、本発明においては特に断りのない限り、(1)および(2)の環構造を表す「アセタール」は6員環および5員環の両方を指すものとする。ただし、通常6員環が大部分を占めるため、式中では6員環のみを示す。
なお、主鎖中のエチレンパートとは、(−CH2−CH−)の部分を指す。
この時、一般式(1)〜(4)で表される構成単位以外の構成単位の量は、本発明で規定する一般式(1)〜(4)で表される構成単位の合計量を計算する際には、考慮されない。一般式(1)〜(4)で表される構成単位以外の構成単位の量は特に限定されないが、主鎖中のエチレンパートの量に基づいて計算した一般式(1)〜(4)で表される構成単位の合計を100モル%とした場合、一般式(1)〜(4)以外の構成単位の量は主鎖中のエチレンパートに対して10モル%未満であることが好ましい。
本発明のポリビニルアセタールを合成する方法は特に限定されないが、ポリビニルアルコールを後述するポリビニルアルコールのアセタール化反応に従ってアセタール化する際、アルデヒドとして、ホルムアルデヒド、または炭素数1〜10の炭化水素基がホルミル基に直接結合したアルデヒド、またはそれらアルデヒドのジアルキルアセタールと、一般式(5)または(6)で示される官能基を有するアルデヒド、またはそれらのジアルキルアセタールとの両者を用いて共アセタール化する方法が最も簡便である。
炭素数1〜10の炭化水素基がホルミル基に直接結合したアルデヒド、またはそれらアルデヒドのジアルキルアセタールは1種類だけ用いても良いし、また必要に応じて2種類以上を用いても構わない。
一般式(5)または(6)で示される官能基を有するアルデヒドまたはそれらのジアルキルアセタールは1種類だけを用いても良く、また必要に応じて2種類以上を用いても構わない。
「原料化合物2」に属する化合物は、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、デカエチレングリコールモノアクリレートが挙げられる。
「原料化合物3」に属する化合物は、α−アミノアセトアルデヒド、α−アミノアセトアルデヒドジメチルアセタール、γ−アミノブチルアルデヒド、γ−アミノブチルアルデヒドジメチルアセタール、グリオキシル酸、グリオキシル酸ジメチルアセタール、テレフタルアルデヒド酸、テレフタルアルデヒド酸ジメチルアセタール、4−ヒドロキシベンズアルデヒド、4−ヒドロキシベンズアルデヒドジメチルアセタール、4−メルカプトベンズアルデヒドが挙げられる。
「原料化合物4」に属する化合物は、α−クロロアセトアルデヒド、α−クロロアセトアルデヒドジメチルアセタールが挙げられる。
まず、3〜15重量%濃度のビニルアルコール系重合体の水溶液を、80〜100℃の
温度範囲に調整し、その温度を10〜60分かけて徐々に冷却する。温度が−10〜30℃まで低下したところで、アルデヒドおよび酸触媒を添加し、温度を一定に保ちながら、30〜300分間アセタール化反応を行う。その後、反応液を30〜200分かけて、40〜80℃の温度まで昇温し、その温度を60〜360分保持する。次に、反応液を、好適には室温まで冷却し、必要に応じて水洗、中和を行い、乾燥する。
0≦[カルボキシレート基量/(カルボキシル基とカルボキシレート基の合計量)]≦0.3 (7)
本発明において、カルボキシレート基とは、カルボキシル基(−COOH)のプロトンを一価または多価のアルカリ(土類)金属イオン、または種々のアンモニウムイオンに置き換えた基を意味する。カルボキシレート基は、本発明においては、典型的には、カルボキシル基が、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属塩、水酸化マグネシウムなどのアルカリ土類金属塩、およびアンモニア、ピリジンなどのアミン類により中和されて生成する。
上記式(7)の測定方法は後述するとおり、ポリビニルアセタールをエタノールに溶解させて、指示薬を用いて水酸化ナトリウム水溶液および塩酸にて滴定することで求めることができる。
なおここでのカルボキシル基、カルボキシレート基はポリビニルアセタールの主鎖、側鎖のいずれに導入されたものをも含む。またカルボキシル基とカルボキシレート基の合計導入量はポリビニルアセタールの主鎖エチレンパートに基づいて計算した値であり、さらに上記含有比率は、カルボキシル基、カルボキシレート基のモル比率に基づいて計算された値である。
またポリビニルアセタールのかさ密度は、例えばJIS K6721に基づいて測定することができる。
架橋開始剤の種類としては特に限定されないが、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイルなどの過酸化アシロイル;クメンヒドロパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、i−プロピルパーアセテートなどのアルキル過酸エステル;ジ−t−ブチルパーオキサイドなどのジアルキルパーオキサイド;α,α−アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、2,2−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリルなどのアゾ化合物、さらにベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4'−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−メチルプロピオフェノン、α,α−ジメトキシ−α−モノフォリノ−メチルチオフェニルアセトフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルホスフィンオキシド、チオキサントン、テトラメチルチウラムジサルファイドなどの光重合開始剤が挙げられる。
粉体塗料に用いるポリビニルアセタールとしては、上記した平均粒子径のものが好適に用いられるが、さらには平均粒子径が150μm以下であることが好適であり、より好適には130μm以下、最適には100μm以下である。ポリビニルアセタールがこのような平均粒子径を有する粉体で得られる場合には、そのまま粉体塗料として用いることが可能であり、また必要に応じて粉砕法、スプレードライ法、VAMP法、篩い分けなどの方法により、平均粒子径に調整することも可能である。平均粒子径がこの範囲を満たす場合に、粉体塗装後の塗膜がより均一な厚みで得られる。
(架橋性官能基を有するアルデヒドのジメチルアセタールの合成)
3Lセパラブルフラスコにアセトン2Lを入れ、0℃に冷却した。ここにメタクリル酸クロリド196g、α−アミノアセトアルデヒドジメチルアセタール205g、トリエチルアミン200gを添加し、0℃に保ったまま3時間反応を行った。反応終了後、アセトンを減圧留去し、水/酢酸エチルで抽出、溶剤を減圧留去してN−(2,2−ジメトキシエチル)メタクリルアミド223gを得た。
(ポリビニルアセタールの合成)
還流冷却器、温度計、イカリ型攪拌翼を備えた5Lのガラス製容器に、イオン交換水3375g、ポリビニルアルコール(PVA−1:重合度300、けん化度98モル%)275gを仕込み(PVA濃度7.5%)、全体を95℃に昇温して完全に溶解した。次に120rpmで攪拌下、7℃まで約30分かけて徐々に冷却後、溶液を7℃に保ってn−ブチルアルデヒド157g、N−(2,2−ジメトキシエチル)メタクリルアミド110gと20%の塩酸200mLを添加し、アセタール化反応を150分間行った。その後、60分かけて50℃まで昇温し、50℃にて120分間保持した後、室温まで冷却した。析出した樹脂をイオン交換水で洗浄後、水酸化ナトリウム水溶液を添加して中和し、再洗浄後、乾燥して、ポリビニルアセタール(PVB−1)を得た。得られたPVB−1のアセタール化度は81モル%{n−ブチルアルデヒドによるアセタール化度(a)66モル%、N−(2,2−ジメトキシエチル)メタクリルアミドによるアセタール化度(b)15モル%}、ビニルアルコール基含有量(c)は17モル%、ビニルエステル基含有量(d)は2モル%であった。またPVB−1の平均粒子径は83μm、かさ密度は0.19g/mLであった。
JIS K6728に基づき測定した。
(ポリビニルアセタールの集合粒子の平均粒子径)
(株)島津製作所製の粒度分布測定装置SALD2200を用いて測定した。
(ポリビニルアセタールのかさ密度の測定)
JIS K6721に基づき測定した。
ポリビニルアセタールについて、以下の方法にしたがって架橋性官能基の導入量(bモル%)を測定した。またここで求めたb値と上記で求めた(a+b)値との差からa値を求めた。
ポリビニルアセタール(PVB−1)の2%ジメチルスルホキシド−d6(0.05v/v%テトラメチルシラン含有)溶液を調製した。80℃で1H−NMRを測定し、得られたチャートから架橋性官能基の導入量(bモル%)を算出した。以下にPVB−1の1H−NMR測定により得られる主要なピークのケミカルシフトを示す。なおケミカルシフトはテトラメチルシランのケミカルシフトを0ppmとしたときの値である。
δ=0.74〜0.97ppm(PVB−1のブチラール環プロピル基中の末端メチル基プロトン)
δ=0.97〜1.80ppm(PVB−1の主鎖のメチレン基プロトン、およびブチラール環プロピル基中のメチレン基プロトン)
δ=5.20〜5.40ppmおよび5.50〜5.70ppm(メタクリル基中のCH2=C基プロトン)
バイアル瓶にポリビニルアセタール(PVB−1)1g、内部標準として0.4%オクタン/アセトン溶液10μLを添加して、ヘッドスペースガスクロマトグラフィーを測定し、以下の式にしたがって求めた。
(残存モノマー量)=(残存モノマーのエリア値の合計)/(オクタンのエリア値)
500mLセパラブルフラスコにエタノール200mLを入れ、50℃に保ちながら200rpmの撹拌下に、6gのポリビニルアセタール(PVB−1)を投入し(投入完了時を溶解時間測定開始点とする)、溶解までに要した時間を測定し、以下の基準にしたがって評価した。
◎:15分以内で溶解完了。
○:15〜30分以内で溶解完了。
△:30分〜2時間で溶解完了。
×:2時間後でも溶解が完了していない。
なお、溶解の完了は目視で固体が見えなくなった時点とした。
エタノール50gに、ポリビニルアセタール(PVB−1)を2g、 2−ヒドロキシ−4'−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−メチルプロピオフェノン を0.05g溶解し、この溶液を10cm×10cmの型枠に流した後、乾燥させて厚さ100μmのキャストフィルムを得た。このキャストフィルムを型枠からはがし、(株)東芝製の紫外線照射装置TOSCURE1000でUV光を照射し(2メートル/分の速度で10回)、UV硬化フィルムを作成した。
エタノール50gに、ポリビニルアセタール(PVB−1)を2g、α,α−アゾビスイソブチロニトリルを0.05g溶解し、この溶液を10cm×10cmの型枠に流した後、乾燥させて厚さ100μmのキャストフィルムを得た。このキャストフィルムを型枠からはがし、80℃で1時間熱処理し、熱硬化フィルムを作成した。
(硬化フィルムの耐溶剤性の評価)
エタノール100gに硬化フィルム0.3gを浸漬し、50℃で2時間静置した。エタノール中に残存している硬化フィルムを取り出して、重量を測定した(乾燥前フィルムの重量)。さらにその取り出したフィルムを105℃にて3時間乾燥後、重量を測定(乾燥後フィルムの重量)して膨潤度、残存率を下式により算出した。
(膨潤度)=(乾燥前のフィルムの重量)/(乾燥後のフィルムの重量)×100(%)
(残存率)=(乾燥後フィルムの重量)/(硬化フィルムの重量)×100(%)
(残存している硬化フィルムの目視評価)
○:硬化フィルムが残っており、かつその形状も残っている
△:硬化フィルムが残っているが、形状が崩れている。
×:硬化フィルムが残っていない。または残っているがドロドロのゲル状である。
評価結果を表1に示す。
乾燥した(含水量:0.1重量%以下)5gのポリビニルアセタール(PVB−1)を、40℃、90%RHの条件下で48時間処理し、処理前後の重量変化から、ポリビニルアセタールの吸水量を測定した。
ポリビニルアセタール(PVB−1)1gをエタノール20gに溶解した後、10cm×10cmの型枠にキャスト、乾燥してキャストフィルムを得た。これを40℃、90%RH雰囲気下で48時間処理した時のヘイズを、スガ試験機製ヘイズメーターHZ−1を用いて評価した。
2−ヒドロキシ−4'−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−メチルプロピオフェノンをミキサーで十分に粉砕した後、60メッシュ(目開き250μm)の金網でふるい、250μm以上の粒子を取り除き、光架橋開始剤粉体を得た。
(ポリビニルアセタールを主成分とする粉体塗料の調製)
ポリビニルアセタール(PVB−1)を60メッシュ(目開き250μm)の金網を用いてふるい、250μm以上の粒子を取り除いた。この樹脂100gに光架橋開始剤粉体1gを添加して、粉体塗料とした。
(株)島津製作所製の粒度分布測定装置SALD2200を用いて測定した。
0.8mm(厚)×50mm×100mmのステンレス板(SAS304)の表面を洗剤を用いて洗浄して脱脂した後、イオン交換水で十分に洗浄して基材とした。この基材に対して、以下の方法により粉体塗料−1を用い、流動浸漬法により塗装を行った。
多孔板および円筒状の塗装室(流動室)(高さ50cm、直径30cm)を備えた容器に上記粉体塗料を入れ、空気を多孔板を通して塗装室に吹き込むことで、粉体塗料を流動させた。前記ステンレス板からなる基材を予熱し(温度230℃、10分間)、これを粉体塗料の流動層中に懸垂し、10秒経過した後取り出し、230℃の温度条件で10分間加熱して塗装物を得た。
(塗装物の光架橋)
上記方法により得られた塗装物にUV光を照射して((株)東芝製紫外線照射装置TOSCURE1000、2メートル/分の速度で10回)、光架橋塗装物を得た。
(光架橋塗装物の耐溶剤性評価)
エタノールを含浸させたガーゼで光架橋塗装物表面を5回ふき取り、そのときの塗膜の状態を目視により確認した。
○:塗膜表面に変化が見られない。
×:塗膜表面の白化や溶解が見られる。
粒子径0.1μmのチタン酸バリウム(堺化学工業株式会社製、BT−01)25g、エタノール15g、トルエン15g、ポリビニルブチラール(PVB−1)を1g、分散剤としてマリアリムAKM(日油株式会社製)0.5g、可塑剤としてフタル酸ベンジルブチル1g、および架橋開始剤としてα,α−アゾビスイソブチロニトリル0.01gをボールミルに入れ、20℃、100rpmで20時間混合しセラミック組成物(H1)を得た。これを、乾燥後の厚さが25μmになるようにPET上に塗布し、30℃で5時間乾燥して、架橋性セラミックグリーンシート(H1)を得た。これを90℃で1時間熱処理を行い、熱架橋されたセラミックグリーンシート(H1)を得た。
(セラミックグリーンシート(H)の強度評価)
得られたセラミックグリーンシート(H1)を8cm×1cmの大きさに切り、(株)島津製オートグラフ、AG−ISを使用し、8mm/分の速度で180°で破断するまで引張試験を行なったところ、破断時の応力は5.6N/mm2であった。
粒子径0.1μmのチタン酸バリウム(堺化学工業株式会社製、BT−01)25g、エタノール15g、トルエン15g、ポリビニルブチラール(PVB−1)を1g、分散剤としてマリアリムAKM(日油株式会社製)0.5g、可塑剤としてフタル酸ベンジルブチル1g、および架橋開始剤として2−ヒドロキシ−4’−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−メチルプロピオフェノン0.02gをボールミルに入れ、100rpmで20時間混合しセラミック組成物(P1)を得た。これを、乾燥後の厚さが25μmになるようにPET上に塗布し、40℃で3時間乾燥後、70℃で5時間乾燥して、架橋性セラミックグリーンシート(P1)を得た。これに(株)東芝製の紫外線照射装置TOSCURE1000でUV光を照射し(2メートル/分の速度で10回)、光架橋されたセラミックグリーンシート(P1)を得た。
(セラミックグリーンシート(P)の強度評価)
得られたセラミックグリーンシート(H1)を8cm×1cmの大きさに切り、(株)島津製オートグラフAG−ISを使用し、8mm/分の速度で180°で破断するまで引張試験を行なったところ、破断時の応力は6.0N/mm2であった。
実施例1のポリビニルアセタールの合成において、N−(2,2−ジメトキシエチル)メタクリルアミドの使用量を110gから55gに変更した以外は同様に行い、PVB−2を得た。
実施例1と同様の方法で、PVB−2、UV硬化フィルム、熱硬化フィルムおよびPVB−2を用いて調製した粉体塗料を使用して作成した光架橋塗装物、およびセラミックグリーンシート(H、P)の分析、評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1のポリビニルアセタールの合成において、N−(2,2−ジメトキシエチル)メタクリルアミドの使用量を110gから11gに変更した以外は同様に行い、PVB−3を得た。
実施例1と同様の方法で、PVB−3、UV硬化フィルム、熱硬化フィルムおよびPVB−3を用いて調製した粉体塗料を使用して作成した光架橋塗装物、およびセラミックグリーンシート(H、P)の分析、評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1のポリビニルアセタールの合成において、n−ブチルアルデヒドの使用量を157gから174g、N−(2,2−ジメトキシエチル)メタクリルアミドの使用量を110gから22gに変更した以外は同様に行い、PVB−4を得た。
実施例1と同様の方法で、PVB−4、UV硬化フィルム、熱硬化フィルムおよびPVB−4を用いて調製した粉体塗料を使用して作成した光架橋塗装物、およびセラミックグリーンシート(H、P)の分析、評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1のポリビニルアセタールの合成において、n−ブチルアルデヒドの使用量を157gから127g、N−(2,2−ジメトキシエチル)メタクリルアミドの使用量を110gから22gに変更した以外は同様に行い、PVB−5を得た。
実施例1と同様の方法で、PVB−5、UV硬化フィルム、熱硬化フィルムおよびPVB−5を用いて調製した粉体塗料を使用して作成した光架橋塗装物、およびセラミックグリーンシート(H、P)の分析、評価を行った。結果を表1に示す。
実施例2のポリビニルアセタールの合成において、PVA−1の代わりにPVA−2(重合度300、けん化度88モル%)を使用し、n−ブチルアルデヒドの使用量を157gから140gに変更した以外は同様に行い、PVB−6を得た。
実施例1と同様の方法で、PVB−6、UV硬化フィルム、熱硬化フィルムおよびPVB−6を用いて調製した粉体塗料を使用して作成した光架橋塗装物、およびセラミックグリーンシート(H、P)の分析、評価を行った。結果を表1に示す。
(架橋性官能基を有するアルデヒドジメチルアセタールの合成)
2Lセパラブルフラスコにアセトン1Lを入れ、20℃に調整した。ここに無水マレイン酸98g、α−アミノアセトアルデヒドジメチルアセタール118gを添加し、20℃に保ったまま8時間反応を行った。反応終了後、アセトンを減圧留去し、粗生成物207gを得た。得られた固体を水/アセトン=1/1溶剤で再結晶して、4−(2,2−ジメトキシエチル)アミノ−4−オキソ−2−シス−ブテン酸143gを得た。
(ポリビニルアセタールの合成)
還流冷却器、温度計、イカリ型攪拌翼を備えた5Lのガラス製容器に、イオン交換水3375g、ポリビニルアルコール(PVA−1)275gを仕込み(PVA濃度7.5%)、全体を95℃に昇温して完全に溶解した。次に120rpmで攪拌下、7℃まで約30分かけて徐々に冷却後、溶液を7℃に保ってn−ブチルアルデヒド128g、4−(2,2−ジメトキシエチル)アミノ−4−オキソ−2−シス−ブテン酸64gと20%の塩酸200mLを添加し、アセタール化反応を150分間行った。その後、60分かけて50℃まで昇温し、50℃にて150分間保持した後、室温まで冷却した。析出した樹脂をイオン交換水で洗浄後、50℃にて大過剰の水酸化ナトリウム水溶液を添加して中和し、再洗浄後、乾燥して、ポリビニルアセタール(PVB−7)を得た。得られたポリビニルアセタール(PVB−7)のアセタール化度は63モル%{n−ブチルアルデヒドによるアセタール化度56モル%、4−(2,2−ジメトキシエチル)アミノ−4−オキソ−2−シス−ブテン酸によるアセタール化度7モル%}、ビニルアルコール基含有量は35モル%、酢酸ビニル基含有量は2モル%であった。またPVB−7の平均粒子径は72μm、かさ密度は0.18g/mLであった。
実施例1と同様の方法で、PVB−7、UV硬化フィルム、熱硬化フィルムおよびPVB−7を用いて調製した粉体塗料を使用して作成した光架橋塗装物、およびセラミックグリーンシート(H、P)の分析、評価を行った。結果を表2に示す。
3gのPVB−7をエタノール100gに溶解した。フェノールフタレイン溶液を2滴添加し、0.1モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液で滴定した。続いてブランクサンプルとして、エタノール100gにフェノールフタレイン溶液を2滴添加し、0.1モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液で滴定した。いずれの場合も、終点は溶液が薄いピンク色になった時点とした。両滴定で要した0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液の滴定量の差を、滴定量A[mL]とする。
続いて、3gのPVB−7をエタノール100gに溶解し、チモールブルー溶液を2滴添加し、0.1モル/L塩酸水溶液で滴定した。続いてブランクサンプルとして、エタノール100gにチモールブルー溶液を2滴添加し、0.1モル/Lの塩酸水溶液で滴定した。いずれの場合も終点は溶液が黄色→オレンジ色になった時点とした。両滴定で要した0.1モル/L塩酸水溶液の滴定量の差を、滴定量B[mL]とする。
下記式に従い計算した。結果を表2に示す。
[(カルボキシレート基量)/(カルボキシル基とカルボキシレート基の合計量)]=(滴定量B)/(滴定量A+滴定量B)
(架橋性官能基を有するアルデヒドのジメチルアセタールの合成)
2Lセパラブルフラスコにテトラヒドロフラン1Lをいれ、60℃まで加熱した。ここに2−ヒドロキシエチルメタクリレート118g、α−クロロアセトアルデヒドジメチルアセタール128g、トリエチルアミン5gを添加し、60℃に保ったまま8時間反応を行った。反応終了後、テトラヒドロフランを減圧留去し、水/酢酸エチルで抽出を行い、得られた有機層から溶剤を減圧留去して、(2,2−ジメトキシエトキシ)エチルメタクリレート198gを得た。
(ポリビニルアセタールの合成)
還流冷却器、温度計、イカリ型攪拌翼を備えた5Lのガラス製容器に、イオン交換水3375g、ポリビニルアルコール(PVA−1)275gを仕込み(PVA濃度7.5%)、全体を95℃に昇温して完全に溶解した。次に120rpmで攪拌下、7℃まで約30分かけて徐々に冷却後、溶液を7℃に保ってn−ブチルアルデヒド157g、(2,2−ジメトキシエトキシ)エチルメタクリレート72gと20%の塩酸120mLを添加し、アセタール化反応を130分間行った。その後、60分かけて50℃まで昇温し、50℃にて200分間保持した後、室温まで冷却した。析出した樹脂をイオン交換水で洗浄後、水酸化ナトリウム水溶液を添加して中和し、再洗浄後、乾燥して、ポリビニルアセタール(PVB−8)を得た。得られたポリビニルアセタール(PVB−8)のアセタール化度は72モル%(n−ブチルアルデヒドによるアセタール化度66モル%、(2,2−ジメトキシエトキシ)エチルメタクリレートによるアセタール化度6モル%)、ビニルアルコール基含有量は26モル%、ビニルエステル基含有量は2モル%であった。またPVB−8の平均粒子径は88μm、かさ密度は0.20g/mLであった。
実施例1と同様の方法で、PVB−8、UV硬化フィルム、熱硬化フィルムおよびPVB−8を用いて調製した粉体塗料を使用して作成した光架橋塗装物、およびセラミックグリーンシート(H、P)の分析、評価を行った。結果を表2に示す。
(架橋性官能基を有するアルデヒドの合成)
2Lセパラブルフラスコにテトラヒドロフラン1Lをいれ、60℃まで加熱した。ここにグリシジルメタクリレート142g、グリオキシル酸90g、トリエチルアミン5gを添加し、60℃に保ったまま6時間反応を行った。反応終了後、テトラヒドロフランを減圧留去し、水/酢酸エチルで抽出を行い、得られた有機層から溶剤を減圧留去して、2−(3−ヒドロキシ−1−メタクリロキシ)プロピルグリオキシレートと1−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシ)プロピルグリオキシレートの混合物174gを得た。
(ポリビニルアセタールの合成)
還流冷却器、温度計、イカリ型攪拌翼を備えた5Lのガラス製容器に、イオン交換水3375g、ポリビニルアルコール(PVA−1)275gを仕込み(PVA濃度7.5%)、全体を95℃に昇温して完全に溶解した。次に120rpmで攪拌下、8℃まで約30分かけて徐々に冷却後、溶液を8℃に保ってn−ブチルアルデヒド140g、2−(3−ヒドロキシ−1−メタクリロキシ)プロピルグリオキシレートと1−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシ)プロピルグリオキシレートの混合物69gと20%の塩酸120mLを添加し、アセタール化反応を150分間行った。その後、60分かけて50℃まで昇温し、50℃にて180分間保持した後、室温まで冷却した。析出した樹脂をイオン交換水で洗浄後、水酸化ナトリウム水溶液を添加して中和し、再洗浄後、乾燥して、ポリビニルアセタール(PVB−9)を得た。得られたポリビニルアセタール(PVB−9)のアセタール化度は67モル%(n−ブチルアルデヒドによるアセタール化度61モル%、2−(3−ヒドロキシ−1−メタクリロキシ)プロピルグリオキシレートと1−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシ)プロピルグリオキシレートによるアセタール化度6モル%)、ビニルアルコール基含有量は31モル%、酢酸ビニル基含有量は2モル%であった。またPVB−9の平均粒子径は79μm、かさ密度は0.20g/mLであった。
実施例1と同様の方法で、PVB−9、UV硬化フィルム、熱硬化フィルムおよびPVB−9を用いて調製した粉体塗料を使用して作成した光架橋塗装物、およびセラミックグリーンシート(H、P)の分析、評価を行った。結果を表2に示す。
(架橋性官能基を有するアルデヒドジメチルアセタールの合成)
2Lセパラブルフラスコにテトラヒドロフラン1Lをいれ、60℃まで加熱した。ここにγ−アミノブチルアルデヒドジメチルアセタール67g、2−イソシアナトエチルメタクリレート75g、トリエチルアミン5gを添加し、60℃に保ったまま6時間反応を行った。反応終了後、テトラヒドロフランを減圧留去し、水/酢酸エチルで抽出を行い、得られた有機層から溶剤を減圧留去して、1−(4,4−ジメトキシブチル)−3−(2−メタクリロキシエチル)尿素138gを得た。
(ポリビニルアセタールの合成)
還流冷却器、温度計、イカリ型攪拌翼を備えた5Lのガラス製容器に、イオン交換水3375g、ポリビニルアルコール(PVA−1)275gを仕込み(PVA濃度7.5%)、全体を95℃に昇温して完全に溶解した。次に120rpmで攪拌下、8℃まで約30分かけて徐々に冷却後、溶液を8℃に保ってn−ブチルアルデヒド140g、1−(4,4−ジメトキシブチル)−3−(2−メタクリロキシエチル)尿素90gと20%の塩酸120mLを添加し、アセタール化反応を150分間行った。その後、60分かけて50℃まで昇温し、50℃にて150分間保持した後、室温まで冷却した。析出した樹脂をイオン交換水で洗浄後、水酸化ナトリウム水溶液を添加して中和し、再洗浄後、乾燥して、ポリビニルアセタール(PVB−10)を得た。得られたポリビニルアセタール(PVB−10)のアセタール化度は68モル%(n−ブチルアルデヒドによるアセタール化度61モル%、1−(4,4−ジメトキシブチル)−3−(2−メタクリロキシエチル)尿素によるアセタール化度7モル%)、ビニルアルコール基含有量は30モル%、酢酸ビニル基含有量は2モル%であった。またPVB−10の平均粒子径は77μm、かさ密度は0.20g/mLであった。
実施例1と同様の方法で、PVB−10、UV硬化フィルム、熱硬化フィルムおよびPVB−10を用いて調製した粉体塗料を使用して作成した光架橋塗装物、およびセラミックグリーンシート(H、P)の分析、評価を行った。結果を表2に示す。
(架橋性官能基を有するアルデヒドのジメチルアセタールの合成)
2Lセパラブルフラスコにアセトン1Lをいれ、60℃まで加熱した。ここに2−イソシアナトエチルメタクリレート80g、4−ヒドロキシベンズアルデヒド62g、トリエチルアミン5gを添加し、60℃に保ったまま8時間反応を行った。反応終了後、アセトンを減圧留去して、N−(4−ホルミルフェノキシカルボニル)−N−(2−アクリロキシエチル)アミン143gを得た。
(ポリビニルアセタールの合成)
還流冷却器、温度計、イカリ型攪拌翼を備えた5Lのガラス製容器に、イオン交換水3375g、ポリビニルアルコール(PVA−1)275gを仕込み(PVA濃度7.5%)、全体を95℃に昇温して完全に溶解した。次に120rpmで攪拌下、7℃まで約30分かけて徐々に冷却後、溶液を7℃に保ってn−ブチルアルデヒド140g、N−(4−ホルミルフェノキシカルボニル)−N−(2−アクリロキシエチル)アミン80gと20%の塩酸120mLを添加し、アセタール化反応を130分間行った。その後、60分かけて50℃まで昇温し、50℃にて200分間保持した後、室温まで冷却した。析出した樹脂をイオン交換水で洗浄後、水酸化ナトリウム水溶液を添加して中和し、再洗浄後、乾燥して、ポリビニルアセタール(PVB−11)を得た。得られたポリビニルアセタール(PVB−11)のアセタール化度は66モル%(n−ブチルアルデヒドによるアセタール化度60モル%、N−(4−ホルミルフェノキシカルボニル)−N−(2−アクリロキシエチル)アミンによるアセタール化度6モル%)、ビニルアルコール基含有量は32モル%、ビニルエステル基含有量は2モル%であった。また、PVB−11の平均粒子径は88μm、かさ密度は0.20g/mLであった。
実施例1と同様の方法で、PVB−11、UV硬化フィルム、熱硬化フィルムおよびPVB−11を用いて調製した粉体塗料を使用して作成した光架橋塗装物、およびセラミックグリーンシート(H、P)の分析、評価を行った。結果を表2に示す。
(架橋性官能基を有するアルデヒドの合成)
2Lセパラブルフラスコにアセトン1Lをいれ、60℃まで加熱した。ここに2−イソシアナトエチルメタクリレート80g、4−メルカプトベンズアルデヒド62g、トリエチルアミン5gを添加し、60℃に保ったまま8時間反応を行った。反応終了後、アセトンを減圧留去して、N−(4−ホルミルフェニルチオカルボニル)−N−(2−アクリロキシエチル)アミン143gを得た。
(ポリビニルアセタールの合成)
還流冷却器、温度計、イカリ型攪拌翼を備えた5Lのガラス製容器に、イオン交換水3375g、ポリビニルアルコール(PVA−1)275gを仕込み(PVA濃度7.5%)、全体を95℃に昇温して完全に溶解した。次に120rpmで攪拌下、7℃まで約30分かけて徐々に冷却後、溶液を10℃に保ってn−ブチルアルデヒド158g、N−(4−ホルミルフェニルチオカルボニル)−N−(2−アクリロキシエチル)アミン90gと20%の塩酸120mLを添加し、アセタール化反応を130分間行った。その後、60分かけて50℃まで昇温し、50℃にて200分間保持した後、室温まで冷却した。析出した樹脂をイオン交換水で洗浄後、水酸化ナトリウム水溶液を添加して中和し、再洗浄後、乾燥して、ポリビニルアセタール(PVB−12)を得た。得られたポリビニルアセタール(PVB−12)のアセタール化度は71モル%(n−ブチルアルデヒドによるアセタール化度67モル%、N−(4−ホルミルフェニルチオカルボニル)−N−(2−アクリロキシエチル)アミンによるアセタール化度4モル%)、ビニルアルコール基含有量は27モル%、ビニルエステル基含有量は2モル%であった。またPVB−12の平均粒子径は84μm、かさ密度は0.19g/mLであった。
実施例1と同様の方法で、PVB−12、UV硬化フィルム、熱硬化フィルムおよびPVB−12を用いて調製した粉体塗料を使用して作成した光架橋塗装物、およびセラミックグリーンシート(H、P)の分析、評価を行った。結果を表2に示す。
(架橋性官能基を有するアルデヒドジメチルアセタールの合成)
2Lセパラブルフラスコにアセトン1Lをいれ、60℃まで加熱した。ここにデカエチレングリコールモノメタクリレート120g、α−クロロアセトアルデヒドジメチルアセタール30g、トリエチルアミン5gを添加し、60℃に保ったまま8時間反応を行った。反応終了後、アセトンを減圧留去して、デカエチレングリコールモノメタクリレートモノ(2,2−メトキシエチル)エーテル135gを得た。
(ポリビニルアセタールの合成)
還流冷却器、温度計、イカリ型攪拌翼を備えた5Lのガラス製容器に、イオン交換水3375g、ポリビニルアルコール(PVA−1)275gを仕込み(PVA濃度7.5%)、全体を95℃に昇温して完全に溶解した。次に120rpmで攪拌下、7℃まで約30分かけて徐々に冷却後、溶液を7℃に保ってn−ブチルアルデヒド140g、デカエチレングリコールモノメタクリレートモノ(2,2−メトキシエチル)エーテル135gと20%の塩酸120mLを添加し、アセタール化反応を130分間行った。その後、60分かけて50℃まで昇温し、50℃にて200分間保持した後、室温まで冷却した。析出した樹脂をイオン交換水で洗浄後、水酸化ナトリウム水溶液を添加して中和し、再洗浄後、乾燥して、ポリビニルアセタール(PVB−13)を得た。得られたポリビニルアセタール(PVB−13)のアセタール化度は66モル%(n−ブチルアルデヒドによるアセタール化度60モル%、デカエチレングリコールモノメタクリレートモノ(2,2−メトキシエチル)エーテルによるアセタール化度6モル%)、ビニルアルコール基含有量は32モル%、ビニルエステル基含有量は2モル%であった。またPVB−13の平均粒子径は80μm、かさ密度は0.18g/mLであった。
実施例1と同様の方法で、PVB−13、UV硬化フィルム、熱硬化フィルムおよびPVB−13を用いて調製した粉体塗料を使用して作成した光架橋塗装物、およびセラミックグリーンシート(H、P)の分析、評価を行った。結果を表2に示す。
(架橋性官能基を有するアルデヒドジメチルアセタールの合成)
2Lセパラブルフラスコにアセトン1Lをいれ、60℃まで加熱した。ここに無水イタコン酸115g、γ−アミノブチルアルデヒドジメチルアセタール135g、トリエチルアミン5gを添加し、60℃に保ったまま8時間反応を行った。反応終了後、アセトンを減圧留去して、4−(2,2−ジメトキシブチル)アミノ−4−オキソ−3−メチレン−ブタン酸と4−(2,2−ジメトキシブチル)アミノ−4−オキソ−2−メチレン−ブタン酸の混合物245gを得た。
(ポリビニルアセタールの合成)
還流冷却器、温度計、イカリ型攪拌翼を備えた5Lのガラス製容器に、イオン交換水3375g、ポリビニルアルコール(PVA−1)275gを仕込み(PVA濃度7.5%)、全体を95℃に昇温して完全に溶解した。次に120rpmで攪拌下、7℃まで約30分かけて徐々に冷却後、溶液を7℃に保ってn−ブチルアルデヒド140g、4−(2,2−ジメトキシブチル)アミノ−4−オキソ−3−メチレン−ブタン酸と4−(2,2−ジメトキシブチル)アミノ−4−オキソ−2−メチレン−ブタン酸の混合物75gと20%の塩酸120mLを添加し、アセタール化反応を130分間行った。その後、60分かけて50℃まで昇温し、50℃にて200分間保持した後、室温まで冷却した。析出した樹脂をイオン交換水で洗浄後、水酸化ナトリウム水溶液を添加して中和し、再洗浄後、乾燥して、ポリビニルアセタール(PVB−14)を得た。得られたポリビニルアセタール(PVB−14)のアセタール化度は66モル%(n−ブチルアルデヒドによるアセタール化度61モル%、4−(2,2−ジメトキシブチル)アミノ−4−オキソ−3−メチレン−ブタン酸と4−(2,2−ジメトキシブチル)アミノ−4−オキソ−2−メチレン−ブタン酸の混合物によるアセタール化度5モル%)、ビニルアルコール基含有量は32モル%、ビニルエステル基含有量は2モル%であった。またPVB−14の平均粒子径は81μm、かさ密度は0.22g/mLであった。
実施例1と同様の方法で、PVB−14、UV硬化フィルム、熱硬化フィルムおよびPVB−14を用いて調製した粉体塗料を使用して作成した光架橋塗装物、およびセラミックグリーンシート(H、P)の分析、評価を行った。また実施例7記載の方法に従って[(カルボキシレート基量)/(カルボキシル基とカルボキシレート基の合計量)]を測定した。結果を表2に示す。
(架橋性官能基を有するアルデヒドのジメチルアセタールの合成)
2Lセパラブルフラスコにアセトン1Lをいれ、60℃まで加熱した。ここにグリシジルメタクリレート75g、テレフタルアルデヒド酸ジメチルアセタール100g、トリエチルアミン5gを添加し、60℃に保ったまま8時間反応を行った。反応終了後、アセトンを減圧留去して、2−(3−ヒドロキシ−1−メタクリロキシ)プロピル(4−ジメトキシメチル)ベンゾエートと1−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシ)プロピル(4−ジメトキシメチル)ベンゾエートの混合物170gを得た。
(ポリビニルアセタールの合成)
還流冷却器、温度計、イカリ型攪拌翼を備えた5Lのガラス製容器に、イオン交換水3375g、ポリビニルアルコール(PVA−1)275gを仕込み(PVA濃度7.5%)、全体を95℃に昇温して完全に溶解した。次に120rpmで攪拌下、7℃まで約30分かけて徐々に冷却後、溶液を10℃に保ってブチルアルデヒド140g、2−(3−ヒドロキシ−1−メタクリロキシ)プロピル(4−ジメトキシメチル)ベンゾエートと1−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシ)プロピル(4−ジメトキシメチル)ベンゾエートの混合物50gと20%の塩酸120mLを添加し、アセタール化反応を130分間行った。その後、60分かけて50℃まで昇温し、50℃にて200分間保持した後、室温まで冷却した。析出した樹脂をイオン交換水で洗浄後、水酸化ナトリウム水溶液を添加して中和し、再洗浄後、乾燥して、ポリビニルアセタール(PVB−15)を得た。得られたポリビニルアセタール(PVB−15)のアセタール化度は67モル%(n−ブチルアルデヒドによるアセタール化度60モル%、2−(3−ヒドロキシ−1−メタクリロキシ)プロピル(4−ジメトキシメチル)ベンゾエートと1−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシ)プロピル(4−ジメトキシメチル)ベンゾエートの混合物によるアセタール化度7モル%)、ビニルアルコール基含有量は31モル%、ビニルエステル基含有量は2モル%であった。またPVB−15の平均粒子径は75μm、かさ密度は0.20g/mLであった。
実施例1と同様の方法で、PVB−15、UV硬化フィルム、熱硬化フィルムおよびPVB−15を用いて調製した粉体塗料を使用して作成した光架橋塗装物、およびセラミックグリーンシート(H、P)の分析、評価を行った。結果を表2に示す。
水酸化ナトリウム水溶液による中和を行なわないこと以外は実施例7と同様の方法によりポリビニルブチラール(PVB−16)を得た。
実施例1と同様の方法で、PVB−16、UV硬化フィルム、熱硬化フィルムおよびPVB−16を用いて調製した粉体塗料を使用して作成した光架橋塗装物、および架橋セラミックグリーンシート(H、P)の分析、評価を行った。また実施例7記載の方法に従って[(カルボキシレート基量)/(カルボキシル基とカルボキシレート基の合計量)]を測定した。結果を表1に示す。
50gのPVB−16を500gの0.05%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬して50℃、1時間処理した後、水洗、乾燥してポリビニルブチラール(PVB−17)を得た。
実施例1と同様の方法で、PVB−17、UV硬化フィルム、熱硬化フィルムおよびPVB−17を用いて調製した粉体塗料を使用して作成した光架橋塗装物、および架橋セラミックグリーンシート(H、P)の分析、評価を行った。また実施例7記載の方法に従って[(カルボキシレート基量)/(カルボキシル基とカルボキシレート基の合計量)]を測定した。結果を表1に示す。
50gのPVB−16を500gの0.1%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬して50℃、1時間処理した後、水洗、乾燥してポリビニルブチラール(PVB−18)を得た。
実施例1と同様の方法で、PVB−18、UV硬化フィルム、熱硬化フィルムおよびPVB−18を用いて調製した粉体塗料を使用して作成した光架橋塗装物、および架橋セラミックグリーンシート(H、P)の分析、評価を行った。また実施例7記載の方法に従って[(カルボキシレート基量)/(カルボキシル基とカルボキシレート基の合計量)]を測定した。結果を表1に示す。
50gのPVB−16を500gの0.20%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬して50℃、1時間処理した後、水洗、乾燥してポリビニルブチラール(PVB−19)を得た。
実施例1と同様の方法で、PVB−19、UV硬化フィルム、熱硬化フィルムおよびPVB−19を用いて調製した粉体塗料を使用して作成した光架橋塗装物、および架橋セラミックグリーンシート(H、P)の分析、評価を行った。また実施例7記載の方法に従って[(カルボキシレート基量)/(カルボキシル基とカルボキシレート基の合計量)]を測定した。結果を表1に示す。
還流冷却器、温度計、イカリ型攪拌翼を備えた5Lのガラス製容器に、イオン交換水3375g、ポリビニルアルコール(PVA−1)275gを仕込み(PVA濃度7.5%)、全体を95℃に昇温して完全に溶解した。次に120rpmで攪拌下、8℃まで約30分かけて徐々に冷却後、溶液を8℃に保ってn−ブチルアルデヒド161g、と20%の塩酸120mLを添加し、アセタール化反応を150分間行った。その後、60分かけて50℃まで昇温し、50℃にて180分間保持した後、室温まで冷却した。析出した樹脂をイオン交換水で洗浄後、水酸化ナトリウム水溶液を添加して中和し、再洗浄後、乾燥して、ポリビニルブチラール(PVB−16)を得た。得られたポリビニルブチラール(PVB−16)のアセタール化度は69モル%(n−ブチルアルデヒドによるアセタール化度69モル%)、ビニルアルコール基含有量は29モル%、酢酸ビニル基含有量は2モル%であった。またPVB−16の平均粒子径は79μm、かさ密度は0.20g/mLであった。
実施例1と同様の方法で、PVB−16、UV硬化フィルム、熱硬化フィルムおよびPVB−16を用いて調製した粉体塗料を使用して作成した光架橋塗装物、およびセラミックグリーンシート(H、P)の分析、評価を行った。結果を表1に示す。
還流冷却器、温度計、イカリ型攪拌翼を備えた5Lのガラス製容器に、イオン交換水3375g、ポリビニルアルコール(PVA−1)275gを仕込み(PVA濃度7.5%)、全体を95℃に昇温して完全に溶解した。次に120rpmで攪拌下、8℃まで約30分かけて徐々に冷却後、溶液を8℃に保ってn−ブチルアルデヒド140g、3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド37gと20%の塩酸120mLを添加し、アセタール化反応を150分間行った。その後、60分かけて50℃まで昇温し、50℃にて180分間保持した後、室温まで冷却した。析出した樹脂をイオン交換水で洗浄後、水酸化ナトリウム水溶液を添加して中和し、再洗浄後、乾燥して、ポリビニルアセタール(PVB−17)を得た。得られたポリビニルアセタール(PVB−17)のアセタール化度は70モル%(n−ブチルアルデヒドによるアセタール化度61モル%、3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒドによるアセタール化度9モル%)、ビニルアルコール基含有量は28モル%、酢酸ビニル基含有量は2モル%であった。また、得られた多孔質粉体の平均粒子径は83μm、かさ密度は0.20g/mLであった。
実施例1と同様の方法で、PVB−17、UV硬化フィルム、熱硬化フィルムおよびPVB−17を用いて調製した粉体塗料を使用して作成した塗装物、およびセラミックグリーンシート(H、P)の分析、評価を行った。結果を表1に示す。
Claims (9)
- 一般式(1)〜(4)で示される構成単位をそれぞれ1種類以上含有し、かつ主鎖中のエチレンパートの量に基づいて計算した(1)で示される構成単位の合計量をaモル%、(2)で示される構成単位の合計量をbモル%、(3)で示される構成単位の合計量をcモル%、(4)で示される構成単位の合計量をdモル%としたとき、a、b、c、d間の構成比が、aが40〜85モル%、bが0.1〜40モル%、cが10〜50モル%、dが0.1〜30モル%である、ポリビニルアセタールからなり、平均粒子径が30〜300μm、かさ密度が0.12〜0.3g/mLであるポリビニルアセタール多孔質粉体。
- R4が一般式(5)で表される官能基を含む基からなる群から選ばれる基であり、かつ一般式(5)において、X1がNR12、R10が水素原子またはメチル基、R11が水素原子である、請求項1記載のポリビニルアセタール多孔質粉体。
- カルボキシル基、カルボキシレート基を合計0.1モル%以上含んでおり、それらの含有比率が下記式(7)を満たしている、請求項1または2に記載のポリビニルアセタール多孔質粉体。
0≦[カルボキシレート基量/(カルボキシル基とカルボキシレート基の合計量)]≦0.3 (7) - 請求項1〜3のいずれかに記載のポリビニルアセタール多孔質粉体を含有する粉体塗料。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のポリビニルアセタール多孔質粉体からなるセラミックスバインダー。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のポリビニルアセタール多孔質粉体を含むセラミック組成物。
- 請求項6に記載のセラミック組成物から得られる架橋性セラミックグリーンシート。
- 請求項7に記載の架橋性セラミックグリーンシートを熱処理して得られるセラミックグリーンシート。
- 請求項7に記載の架橋性セラミックグリーンシートを光処理して得られるセラミックグリーンシート。
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