JP2008504414A - ポリビニルアセタールの製造方法 - Google Patents
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Abstract
本発明の対象は、ポリビニルアセタールの製造方法であって、部分鹸化又は完全鹸化された、1〜15個の炭素原子を有する非分枝鎖状又は分枝鎖状のアルキルカルボン酸のビニルエステルを含む群からの1種又は複数種のモノマーのビニルエステル重合体であって≧50モル%のビニルアルコール単位を有する重合体を、1〜15個の炭素原子を有する脂肪族及び芳香族のアルデヒドを含む群からの1種又は複数種のアルデヒドによってアセタール化する製造方法において、部分鹸化又は完全鹸化されたビニルエステル重合体を、溶液又は懸濁液においてアルデヒド中に供することを特徴とする製造方法である。
Description
本発明は、部分鹸化又は完全鹸化されたビニルエステル重合体のアセタール化によってポリビニルアセタールを製造する方法並びに該方法により得られた生成物の使用に関する。
ポリビニルアセタールを、相応のポリビニルアルコールから、相応のアルデヒドとのポリマー類似反応によって製造することは1924年から既に知られており、その際、後になって、多くのアルデヒドが、相応のポリビニルアセタールの製造のために使用されている。ポリビニルアセタールは、3工程法(ポリビニルアセテート−>ポリビニルアルコール−>ポリビニルアセタール)で製造され、その際、ビニルアセタール基の他に更にビニルアルコール単位とビニルアセテート単位を有する生成物が得られる。とりわけポリビニルホルマール、ポリビニルアセトアセタール及びポリビニルブチラールが産業上重要となっている。
前記の3工程法の最終段階において、相応の部分鹸化又は完全鹸化されたビニルエステル重合体が、相応のアルデヒドとの反応によってアセタール化される。一般に、この出発物質は、水性媒体中に供給される。酸性触媒、例えば塩酸、硫酸又はリン酸の添加後に、アセタール化反応は、アルデヒドの添加によって開始する。アセタール化は、アルデヒドの添加の完了後に、バッチを20℃〜60℃に加熱し、数時間撹拌することによって完全なものとし、そして粉末状で沈殿する反応生成物を濾過によって単離する。
この手順は、特に難水溶性のビニルアルコール混合重合体の場合に問題となる。また、水性媒体中でのアセタール化の標準的な方法は、高いアセタール化度(>80質量%)を有するアセタールの合成のためには不適であると分かっており、それというのも、アセタールの沈殿によってそれは更なる反応に取り込まれるからである。JP−05230129号において、高いアセタール化度を有するポリビニルアセタールの合成方法が記載され、そこでは、ジメチルスルホキシドとの溶剤混合物が使用される。
従って、本発明の課題は、難水溶性の出発物質も満足のいく結果でアセタール化することができる方法を開発することであった。
本発明の対象は、ポリビニルアセタールの製造方法であって、部分鹸化又は完全鹸化された、1〜15個の炭素原子を有する非分枝鎖状又は分枝鎖状のアルキルカルボン酸のビニルエステルを含む群からの1種又は複数種のモノマーのビニルエステル重合体であって≧50モル%のビニルアルコール単位を有する重合体を、1〜15個の炭素原子を有する脂肪族及び芳香族のアルデヒドを含む群からの1種又は複数種のアルデヒドによってアセタール化する製造方法において、部分鹸化又は完全鹸化されたビニルエステル重合体を、溶液又は懸濁液においてアルデヒド中に供することを特徴とする製造方法である。
好適なビニルエステルは、1〜15個の炭素原子を有する非分枝鎖状又は分枝鎖状のカルボン酸のビニルエステルである。有利なビニルエステルは、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニル−2−エチルヘキサノエート、ビニルラウレート、ビニルピバレート及び、5〜11個の炭素原子を有するα−分枝したモノカルボン酸のビニルエステル、例えばVeoVa9(登録商標)又はVeoVa10(登録商標)(Resolutions社の商品名)である。ビニルアセテートが好ましい。
場合により、ビニルエステル重合体は、更に、1〜15個の炭素原子を有するアルコールのメタクリル酸エステル及びアクリル酸エステル、オレフィン、ジエン、ビニル芳香族化合物及びビニルハロゲン化物を含む群からの1種又は複数種のモノマーを有してよい。その割合は、その際、混合重合体中のビニルエステル割合が≧50モル%であるように決められる。
場合により、ビニルエステル重合体は、更に、ビニルエステル重合体の全質量に対して0.02〜20質量%の、エチレン性不飽和モノカルボン酸、エチレン性不飽和カルボン酸アミド及びカルボン酸ニトリルを含む群からの1種又は複数種のモノマーを含有する。
ビニルエステル重合体は、公知のようにして、有利には塊状重合、懸濁重合又は有機溶剤、特に有利にはアルコール溶液中での重合によって製造することができる。好適な溶剤及び調節剤は、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールである。該重合は、還流下に温度50℃〜100℃で実施され、そして通常の開始剤の添加によってラジカル的に開始される。通常の開始剤のための例は、ペルカーボネート、例えばシクロヘキシルペルオキシジカーボネート又はペルエステル、例えばt−ブチルペルネオデカノエート又はt−ブチルペルピバレートである。分子量の調整は、公知のようにして、調節剤の添加によって、溶剤含量を通じて、開始剤濃度の変更によって、そして温度の変更によって実施することができる。重合の完了後に、溶剤並びに場合により過剰のモノマー及び調節剤は留去される。
ビニルエステル重合体の鹸化は、自体公知のように、例えばベルト法(Bandverfahren)又はニーダー法(Kneterverfahren)により、アルカリ中又は酸中で酸又は塩基を添加しつつ行われる。ビニルエステル固体樹脂を、アルコール、例えばメタノール中に供給して、15〜70質量%の固体含量に調節することが好ましい。加水分解を、例えばNaOH、KOH又はNaOCH3の添加によって塩基性で実施することが好ましい。塩基は、一般にエステル単位1モルあたり1〜5モル%の量で使用される。加水分解は、30℃〜70℃の温度で実施される。加水分解の完了後に、溶剤を留去すると、ポリビニルアルコールは粉末として得られる。
それにより得られた部分鹸化又は完全鹸化されたビニルエステル重合体は、≧50モル%の加水分解度を有する。有利な範囲は、部分鹸化されたポリビニルアルコールについては、70〜90モル%の加水分解度である。特に、≧96モル%の加水分解度を有する完全鹸化されたポリビニルアルコールが好ましい。
アセタール化は、1〜15個の炭素原子を有する脂肪族及び芳香族のアルデヒドを含む群からの1種又は複数種のアルデヒド中で実施される。1〜15個の炭素原子を有する脂肪族のアルデヒドの群からの有利なアルデヒドは、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒドであり、かつ最も有利にはブチルアルデヒドであり、又はブチルアルデヒド及びアセトアルデヒドからの混合物である。芳香族のアルデヒドとしては、例えばベンズアルデヒド又はその誘導体を使用することができる。
アセタール化のために、部分鹸化又は完全鹸化されたポリビニルアセテートを、相応のアルデヒド又はアルデヒド混合物中に溶解又は懸濁させる。通常は、部分鹸化又は完全鹸化されたポリビニルアセテートは、溶液又は懸濁液の全質量に対して、5〜30質量%の量で使用される。アセタール化は、酸性触媒、例えば塩酸、硫酸、硝酸又はリン酸の存在下に行われる。有利には、20%の塩酸を添加することによって、pH値は、<1に調整される。アセタール化は、20〜60℃の温度で、有利には還流下に実施される。場合により、バッチを冷却した後に、そのバッチを塩基の添加によって中和して、過剰のアルデヒドを留去する。
それにより得られたポリビニルアセタールを、引き続き、アルコール、有利にはメタノール又はエタノール中に溶解し、そして<5℃、有利には0℃に温度を下げることによって沈殿させ、濾過によって単離する。
本発明による方法様式によって、非常に低いOH価(高いアセタール化度)、低い粘度及び非常に良好な有機溶剤中への溶解度の点で優れたポリビニルアセタールが得られる。有利には、OH価は、4〜12、有利には4〜8(ASTM D 1396による滴定法)である。
本発明による方法様式で得られるポリビニルアセタールは、安全ガラス中のシート、遮音シート、印刷インキ中のバインダー、プライマー中のバインダー、腐食防止剤中のバインダー、セラミック工業におけるバインダー、特にセラミック未焼結成形体用のバインダーとして使用される。また、射出成形におけるセラミック粉末及び金属粉末用のバインダー(粉末射出成形)として、ガラス繊維用のバインダーとして、そしてノズルの内部被覆用のバインダーとして、場合によりエポキシ樹脂のような架橋剤と組み合わせて使用することを挙げることができる。
以下の実施例は、本発明の更なる説明に役立つが、本発明を何ら制限するものではない。
実施例1:
加水分解度98モル%及びヘップラー粘度(DIN53015、水中4%)3.4を有するポリビニルアルコール120gを、1250mlのブチルアルデヒド中に懸濁させた。67℃の内部温度で撹拌しながら、5分以内で、10%HCl溶液15mlを滴加した。反応は非常に激しく開始した。次いで、更に60分間にわたり還流で煮沸した。室温に冷却した後に、中和を、10%のNaOH溶液15mlで行った。
加水分解度98モル%及びヘップラー粘度(DIN53015、水中4%)3.4を有するポリビニルアルコール120gを、1250mlのブチルアルデヒド中に懸濁させた。67℃の内部温度で撹拌しながら、5分以内で、10%HCl溶液15mlを滴加した。反応は非常に激しく開始した。次いで、更に60分間にわたり還流で煮沸した。室温に冷却した後に、中和を、10%のNaOH溶液15mlで行った。
ほぼゲル化した溶融物を、エタノール中に溶解させ、その際、固体含量は10%に調整した。引き続いて次に、−1℃に冷却し、そして続いて温度を更に−5℃に下げた。その間に、10%KHCO3溶液600mlを滴加した。ポリビニルブチラールは、微細かつ白色で沈殿した。OH価(ASTM D 1396による滴定法)は、4であり、生成物の10%エタノール溶液の粘度(ヘップラー法)は、11.2mPasであった。
実施例2:
実施例1と同様であるが、相違点として、98モル%の加水分解度及びヘップラー粘度(DIN53015、水中4%)2.9を有するポリビニルアルコールを使用した。最終生成物のOH価(ASTM D 1396による滴定法)は、8であり、生成物の10%エタノール溶液の粘度(ヘップラー法)は、9.6mPasであった。
実施例1と同様であるが、相違点として、98モル%の加水分解度及びヘップラー粘度(DIN53015、水中4%)2.9を有するポリビニルアルコールを使用した。最終生成物のOH価(ASTM D 1396による滴定法)は、8であり、生成物の10%エタノール溶液の粘度(ヘップラー法)は、9.6mPasであった。
実施例3:
実施例1と同様であるが、相違点として、98モル%の加水分解度及びヘップラー粘度(DIN53015、水中4%)4.1を有するポリビニルアルコールを使用した。最終生成物のOH価(ASTM D 1396による滴定法)は、8であり、生成物の10%エタノール溶液の粘度(ヘップラー法)は、13.5mPasであった。
実施例1と同様であるが、相違点として、98モル%の加水分解度及びヘップラー粘度(DIN53015、水中4%)4.1を有するポリビニルアルコールを使用した。最終生成物のOH価(ASTM D 1396による滴定法)は、8であり、生成物の10%エタノール溶液の粘度(ヘップラー法)は、13.5mPasであった。
実施例4:
実施例1と同様に実施したが、相違点として、全ての成分を室温でともに混和し、そして次いで50℃に加熱した。該懸濁液は、粘性の澄明な溶液に変化し、それは5分後に流動性となった。次いで、1時間にわたり、反応を還流下で完了させ、次いで冷却後に実施例1に相応して後処理し、沈殿させた。最終生成物のOH価(ASTM D 1396による滴定法)は、6であり、生成物の10%エタノール溶液の粘度(ヘップラー法)は、12.0mPasであった。
実施例1と同様に実施したが、相違点として、全ての成分を室温でともに混和し、そして次いで50℃に加熱した。該懸濁液は、粘性の澄明な溶液に変化し、それは5分後に流動性となった。次いで、1時間にわたり、反応を還流下で完了させ、次いで冷却後に実施例1に相応して後処理し、沈殿させた。最終生成物のOH価(ASTM D 1396による滴定法)は、6であり、生成物の10%エタノール溶液の粘度(ヘップラー法)は、12.0mPasであった。
比較例5:
実施例1からのポリビニルアルコール120gを、500mlの水と一緒に供し、そして125mlのHCl(10%)と一緒に撹拌し、そして0℃に冷却した。次いで、45分にわたって、100mlのブチルアルデヒドを配量し、続いて該懸濁液を更に40分間0℃で保持してから、次に該懸濁液を100分間で25℃に加熱した。前記の温度で90分間反応させた。次いで濾過を行い、水で洗浄し、そして生成物を乾燥させた。
実施例1からのポリビニルアルコール120gを、500mlの水と一緒に供し、そして125mlのHCl(10%)と一緒に撹拌し、そして0℃に冷却した。次いで、45分にわたって、100mlのブチルアルデヒドを配量し、続いて該懸濁液を更に40分間0℃で保持してから、次に該懸濁液を100分間で25℃に加熱した。前記の温度で90分間反応させた。次いで濾過を行い、水で洗浄し、そして生成物を乾燥させた。
最終生成物のOH価(ASTM D 1396による滴定法)は、18であり、生成物の10%エタノール溶液の粘度(ヘップラー法)は、25mPasであった。
比較例6:
比較例5と同様に行ったが、相違点として、実施例2からのポリビニルアルコールを使用した。
比較例5と同様に行ったが、相違点として、実施例2からのポリビニルアルコールを使用した。
最終生成物のOH価(ASTM D 1396による滴定法)は、18であり、生成物の10%エタノール溶液の粘度(ヘップラー法)は、16mPasであった。
比較例7:
比較例5と同様に行ったが、相違点として、実施例3からのポリビニルアルコールを使用した。
比較例5と同様に行ったが、相違点として、実施例3からのポリビニルアルコールを使用した。
最終生成物のOH価(ASTM D 1396による滴定法)は、18であり、生成物の10%エタノール溶液の粘度(ヘップラー法)は、40mPasであった。
実施例1、実施例4と、比較例5との比較並びに実施例2と比較例6との比較もしくは実施例3と比較例7との比較により、本発明による方法を用いると、同じポリビニルアルコール出発物質の場合に、標準的な水溶液/懸濁液中でのアセタール化法の場合よりも、実質的により高いアセタール化度(より低いOH価)及びより低い最終生成物の粘度が得られることが示された。
Claims (12)
- ポリビニルアセタールの製造方法であって、部分鹸化又は完全鹸化された、1〜15個の炭素原子を有する非分枝鎖状又は分枝鎖状のアルキルカルボン酸のビニルエステルを含む群からの1種又は複数種のモノマーのビニルエステル重合体であって≧50モル%のビニルアルコール単位を有する重合体を、1〜15個の炭素原子を有する脂肪族及び芳香族のアルデヒドを含む群からの1種又は複数種のアルデヒドによってアセタール化する製造方法において、部分鹸化又は完全鹸化されたビニルエステル重合体を、溶液又は懸濁液においてアルデヒド中に供することを特徴とする製造方法。
- 請求項1記載の方法において、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニル−2−エチルヘキサノエート、ビニルラウレート、ビニルピバレート及び、α−分枝した5〜11個の炭素原子を有するモノカルボン酸のビニルエステルを含む群からの1種又は複数種のビニルエステルのビニルエステル重合体を使用することを特徴とする方法。
- 請求項1又は2記載の方法において、アルデヒドが、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド並びにそれらの混合物から選択されることを特徴とする方法。
- 請求項1から3までのいずれか1項記載の方法において、部分鹸化又は完全鹸化されたビニルエステル重合体の加水分解度が、≧50モル%であることを特徴とする方法。
- 請求項4記載の方法において、加水分解度が、部分鹸化されたポリビニルエステルについては70〜90モル%であり、かつ完全鹸化されたポリビニルエステルについては≧96モル%であることを特徴とする方法。
- 請求項1から5までのいずれか1項記載の方法において、アセタール化を、4〜12のOH価を有する生成物が得られるまで実施することを特徴とする方法。
- 請求項1から6までのいずれか1項記載の方法により得られる生成物を、安全ガラス中のシート及び遮音シートとして用いる使用。
- 請求項1から6までのいずれか1項記載の方法により得られる生成物を、印刷インキ、プライマー及び腐食防止剤中のバインダーとして用いる使用。
- 請求項1から6までのいずれか1項記載の方法により得られる生成物を、セラミック工業におけるバインダーとして用いる使用。
- 請求項1から6までのいずれか1項記載の方法により得られる生成物を、射出成形においてセラミック粉末及び金属粉末のためのバインダーとして用いる使用。
- 請求項1から6までのいずれか1項記載の方法により得られる生成物を、ノズルの内部被覆のためのバインダーとして用いる使用。
- 請求項1から6までのいずれか1項記載の方法により得られる生成物を、ガラス繊維のためのバインダーとして用いる使用。
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