JP2007177211A - ポリビニルアセタール粉体および粉体塗料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 平均粒子径が5μm以下で、最大粒子径が10μmの1次粒子の集合粒子からなり、かつその集合粒子の平均粒子径が150μm以下で、最大粒子径が250μmであり、さらにポリビニルアセタールの190℃におけるメルトフローレートが1〜200g/10分であるポリビニルアセタール粉体、および前記ポリビニルアセタール粉体を含む粉体塗料。
【選択図】 なし
Description
本発明において特に重要なのは、ポリビニルアセタール粉体の1次粒子の平均粒子径が5μm以下で、最大粒子径10μmの1次粒子であることである。このようにポリビニルアセタール粉体の1次粒子が微小の粒子であり、これに加えて、1次粒子の集合粒子について平均粒子径が150μm以下で、最大粒子径が250μmであることにより、流動性が優れたものとなり、さらに均一な厚みを有する塗膜を形成することができるようになる。ポリビニルアセタール粉体の1次粒子と集合粒子の粒子径が上記条件を満足しない場合は、流動性が不十分となり、また塗膜の厚みの均一性も低下する。前記ポリビニルアセタール粉体における集合粒子の平均粒子径は、好ましくは130μm以下であり、より好ましくは100μm以下である。
ポリビニルアセタール粉体の1次粒子の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、粉体を1000倍の倍率で3箇所(3枚)撮影して得られた写真から判定可能な1次粒子径を測定(写真1枚につき50点以上)し、その平均値を求めて平均粒子径とした。なお、1次粒子径の測定は、長径を対象にして行った。また、1次粒子の最大粒子径は、上記したSEM写真を観察することにより求められる最大の粒子径である。
まず、3〜15重量%濃度のビニルアルコール系重合体の水溶液を、80〜100℃の温度範囲に調整し、温度を10〜60分かけて徐々に下げ、−10〜30℃まで低下したところで、アルデヒドおよび触媒を添加し、温度を一定に保ちながら、30〜300分間アセタール化反応を行う。その後、反応液を30〜200分かけて、40〜80℃まで昇温し、その温度を1〜3時間保持する。次に、冷却、好適には室温まで冷却し、さらに水洗後、アルカリなどの中和剤を添加し、乾燥することにより、目的とするポリビニルアセタール粉体が得られる。この方法によりポリビニルアセタール粉体を製造した場合には、最大粒子径が250μmを超える集合粒子はほとんど生成しないが、最大粒子径が250μmを超える集合粒子が生成した場合には、フイルターを用いて最大粒子径が250μmを超える集合粒子を除去する。
なお、上記したアセタール化度、酢酸ビニル含有量、ビニルアルコール含有量の値は、アセタール化度、酢酸ビニル含有量およびビニルアルコール含有量の合計量に対する値である。
エポキシ化合物としては、エポキシ基を含有する化合物であれば特に制限はないが、トリグリシジルイソシアヌレートなどが用いられる。
ヒドロキシアルキルアミドは、例えば、カルボン酸またはそのエステルとβ−ヒドロキシアルキルアミンとを、ナトリウムやカリウム等のアルコキシドの存在下で反応させることにより得ることができる。上記カルボン酸およびそのエステルとしては、例えば、コハク酸、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、アジピン酸ジメチル等が挙げられる。上記β−ヒドロキシアルキルアミンとしては、例えば、N−メチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルプロパノールアミン等が挙げられる。ヒドロキシアルキルアミドとしては、EMS−PRIMD社製の「プリミド」シリーズ等が挙げられる。
アミノ樹脂としては、アミノ基を含有する化合物であれば特に制限はないが、テトラメトキシグリコールが汎用的に用いられる。
脂肪族二塩基酸としては特に制限はないが、ドデカン二酸が汎用的に用いられる。
酸無水物についても特に制限はないが、無水トリメリット酸および無水ピロメリット酸が汎用的に用いられる。
(ポリビニルアセタールのMFR)
JIS K7210に基づき、190℃の温度条件下、2160gの荷重により測定した。
(ポリビニルアセタールの酢酸ビニル基含有量)
JIS K6728に基づき測定した。
(ポリビニルアセタールのビニルアルコール基含有量)
JIS K6728に基づき測定した。
(ポリビニルアセタール粉体の1次粒子の平均粒子径)
走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、粉体を1000倍の倍率で3箇所(3枚)撮影して得られた写真から判定可能な1次粒子径を測定(写真1枚につき50点以上)し、その平均値を求めて平均粒子径とした。なお、1次粒子径の測定は、長径を対象にして行った。
(ポリビニルアセタール粉体の1次粒子の最大粒子径)
上記したSEM写真を観察することにより求められる最大の粒子径を最大粒子径とした。
(ポリビニルアセタール粉体の集合粒子の平均粒子径)
(株)島津製作所製の粒度分布測定装置SALD2200を用いて測定した。
(ポリビニルアセタール粉体(集合粒子)の最大粒子径)
(株)島津製作所製の粒度分布測定装置SALD2200を用いて測定した結果得られた粒度分布の終点値から求められる最大の粒子径を最大粒子径とした。
(ポリビニルアセタール粉体の安息角)
ポリビニルアセタール粉体500gを採取し、ホソカワミクロン(株)製のパウダーテスターを用いて測定した。
(ポリビニルアセタール粉体の水分量)
{(含水ポリビニルアセタール粉体の重量−ポリビニルアセタール粉体の乾燥重量)/含水ポリビニルアセタール粉体の重量}×100で求められる値。ここで、ポリビニルアセタール粉体の乾燥重量とは、ポリビニルアセタール粉体を乾燥機中105℃で3時間乾燥したときの重量である。
(ポリビニルアセタール粉体の残存アルデヒド含有量)
ガスクロマトグラフィーにより測定した値である。
(ポリビニルブチラールの調製)
還流冷却器、温度計、イカリ型攪拌翼を備えた2リットルのガラス製容器に、イオン交換水1350g、ポリビニルアルコール(PVA−1){重合度300、けん化度98モル%}110gを仕込み(PVA濃度5重量%)、95℃で完全に溶解した。120rpmで攪拌下、10℃まで約30分かけて徐々に冷却後、ブチルアルデヒド64gと20%の塩酸90mlを添加し、アセタール化反応を150分間行った。その後、60分かけて50℃まで昇温し、120分間保持した後、室温まで冷却した。析出した樹脂をイオン交換水で洗浄後、水酸化ナトリウム水溶液を添加し、再洗浄し、乾燥して、ポリビニルブチラール(PVB−1)を得た。得られたポリビニルブチラール(PVB−1)のMFRは110g/10分であり、ブチラール化度は68モル%、酢酸ビニル含有量は2モル%であり、ビニルアルコール含有量は30モル%であった。また、PVB−1の水分率は0.8%であり、ブチルアルデヒドの含有量は80ppmであった。
(ポリビニルブチラール粉体の調製)
上記により得られたポリビニルブチラールを乾燥後、60メッシュ(目開き250μm)の金網を用い、250μm以上の粒子を取り除いて、ポリビニルブチラール粉体を調製した。ポリビニルブチラール粉体の粒子径を表1に示す。
(ポリビニルブチラール粉体を用いた基材の塗装)
0.8mm(厚)×50mm×100mmのステンレス板(SAS304)の表面を洗剤を用いて洗浄して脱脂した後、イオン交換水で十分に洗浄して基材とした。この基材に対して、上記のポリビニルブチラール粉体を用い、流動浸漬法により塗装を行った。多孔板および円筒状の塗装室(流動室)(高さ50cm、直径30cm)を備えた容器にポリビニルブチラール粉体を入れ、空気を多孔板を通して塗装室に吹き込むことで、ポリビニルブチラール粉体を流動させた。前記ステンレス板からなる基材を予熱し(温度230℃、10分間)、これをポリビニルブチラール粉体の流動層中に懸垂し、10秒経過した後取り出し、230℃の温度条件で5分間加熱して塗装物を得た。
(ポリビニルブチラール粉体の流動性)
塗装室内におけるポリビニルブチラール粉体の流動性を以下の基準にしたがって評価した。結果を表1に示す。
○:ポリビニルブチラール粉体が均一に流動する
△:ポリビニルブチラール粉体は流動するが、その状態にムラがある
×:ポリビニルブチラール粉体は全体が流動せず、空気が粉体表面の一部より噴出する
基材の表面に形成された塗膜の厚みの均一性を以下の方法にしたがって評価した。結果を表1に示す。
1サンプルについて、塗膜の厚みを5点測定して、その平均値を求め、その平均値に対する最大値と最小値の差を%で示した。%が低いほど塗膜の厚みの均一性が高い。
○:10%未満
△:10〜20%
×:20%以上
(塗膜の表面平滑性)
塗膜の表面の状態を目視により以下の基準にしたがって評価した。
平滑 :塗膜の表面の状態が平滑で均一である
ほぼ平滑:塗膜の表面の状態はほぼ均一であるが、エンボス模様等がやや観察される
未溶融 :樹脂が完全に溶融しておらず、他の評価に供することができない状態である
たれ :樹脂の溶融粘度が低いために、加熱時に樹脂がたれた状態である
(塗膜と基材との接着性)
塗装物を煮沸水に1時間浸漬した後、氷水に1時間浸漬するという操作を5回繰返し、塗膜の状態を目視により以下の基準にしたがって評価した。
○:塗膜の剥がれがない
△:塗膜の剥がれが部分的に観察される
×:基材の表面の大部分で塗膜の剥がれが生じている
実施例1で用いたポリビニルアルコール(PVA−1)に替えてポリビニルアルコール(PVA−2){重合度600、けん化度98モル%}を用いた他は実施例1と同様にして、ポリビニルブチラール(PVB−2)を得た。得られたポリビニルブチラール(PVB−2)のMFRは11g/10分であり、ブチラール化度は75モル%であり、酢酸ビニル含有量は2モル%であり、ビニルアルコール含有量は20モル%であった。また、PVB−2の水分率は0.8%であり、ブチルアルデヒドの含有量は100ppmであった。得られたPVB−2を用いて、実施例1と同様にしてポリビニルブチラール粉体を調製した。このポリビニルブチラール粉体を用い、実施例1と同様にして粉体塗装を行った。得られた塗装物について、実施例1と同様にして塗膜の評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例1で用いたポリビニルアルコール(PVA−1)に替えてポリビニルアルコール(PVA−3){重合度1000、けん化度98モル%}を用いた他は実施例1と同様にして、ポリビニルブチラール(PVB−3)を得た。得られたポリビニルブチラール(PVB−3)のMFRは1.6g/10分であり、ブチラール化度は78モル%であり、酢酸ビニル含有量は2モル%であり、ビニルアルコール含有量は20モル%であった。また、PVB−3の水分率は0.9%であり、ブチルアルデヒドの含有量は100ppmであった。得られたPVB−3を用いて、実施例1と同様にしてポリビニルブチラール粉体を調製した。このポリビニルブチラール粉体を用い、実施例1と同様にして粉体塗装を行った。得られた塗装物について、実施例1と同様にして塗膜の評価を行った。評価結果を表1に示す。
ポリビニルブチラール粉体を用いて基材を塗装する際の基材の予熱温度を260℃に変更し、さらに基材を流動層から取り出した後の加熱温度を260℃に変更した以外は、実施例3と同様にして粉体塗装を行った。得られた塗装物について、実施例1と同様にして塗膜の評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例1で用いたポリビニルアルコール(PVA−1)に替えてポリビニルアルコール(PVA−4){重合度200、けん化度98モル%}を用いた他は実施例1と同様にして、ポリビニルブチラール(PVB−4)を得た。得られたポリビニルブチラール(PVB−4)のMFRは150g/10分であり、ブチラール化度は78モル%であり、酢酸ビニル含有量は2モル%であり、ビニルアルコール含有量は20モル%であった。また、PVB−4の水分率は0.7%であり、ブチルアルデヒドの含有量は90ppmであった。得られたPVB−4を用いて、実施例1と同様にしてポリビニルブチラール粉体を調製した。このポリビニルブチラール粉体を用い、実施例1と同様にして粉体塗装を行った。得られた塗装物について、実施例1と同様にして塗膜の評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例1で用いたポリビニルアルコール(PVA−1)に替えてポリビニルアルコール(PVA−5){重合度150、けん化度98モル%}を用いた他は実施例1と同様にして、ポリビニルブチラール(PVB−5)を得た。得られたポリビニルブチラール(PVB−5)のMFRは300g/10分であり、ブチラール化度は68モル%であり、酢酸ビニル含有量は2モル%であり、ビニルアルコール含有量は30モル%であった。得られたPVB−5を用いて、実施例1と同様にしてポリビニルブチラール粉体を調製した。このポリビニルブチラール粉体を用い、実施例1と同様にして粉体塗装を行った。得られた塗装物について、実施例1と同様にして塗膜の評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例1で用いたポリビニルアルコール(PVA−1)に替えてポリビニルアルコール(PVA−6){重合度1700、けん化度98モル%}を用いた他は実施例1と同様にして、ポリビニルブチラール(PVB−6)を得た。得られたポリビニルブチラール(PVB−6)のMFRは0.5g/10分であり、ブチラール化度は68モル%であり、酢酸ビニル含有量は2モル%であり、ビニルアルコール含有量は30モル%であった。得られたPVB−6を用いて、実施例1と同様にしてポリビニルブチラール粉体を調製した。このポリビニルブチラール粉体を用い、実施例1と同様にして粉体塗装を行ったが、樹脂が完全に溶融しておらず、評価可能な塗装物を得ることができかった。
実施例1で用いたポリビニルブチラール粉体に替えて、特開昭63−193970号公報に記載のポリビニルブチラール樹脂粉体(積水化学製エスレックBM−S;1次粒子の平均粒子径10μm、集合粒子の平均粒子径100μm)を用いた他は、実施例1と同様にして粉体塗装を行った。得られた塗装物について、実施例1と同様にして塗膜の評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例1で用いたポリビニルブチラール(PVB−1)に替えて、ナイロン11(アトケム社製リルサン)を用いた他は実施例1と同様にして粉体塗装を試みたが、樹脂が完全に溶融しておらず、評価可能な塗装物を得ることができかった。
ポリビニルブチラール粉体を用いて基材を塗装する際の基材の予熱温度を260℃に変更し、さらに基材を流動層から取り出した後の加熱温度を260℃に変更した以外は、比較例4と同様にして粉体塗装を行った。得られた塗装物について、実施例1と同様にして塗膜の評価を行った。評価結果を表1に示す。
Claims (7)
- 平均粒子径が5μm以下で、最大粒子径が10μmの1次粒子の集合粒子からなり、かつその集合粒子の平均粒子径が150μm以下で、最大粒子径が250μmであり、さらにポリビニルアセタールの190℃におけるメルトフローレートが1〜200g/10分であるポリビニルアセタール粉体。
- ポリビニルアセタールが、ポリビニルアルコールを炭素数2〜6のアルデヒドでアセタール化することにより得られたポリビニルアセタールである請求項1に記載のポリビニルアセタール粉体。
- ポリビニルアセタールが、ポリビニルブチラールである請求項2に記載のポリビニルアセタール粉体。
- 前記ポリビニルアセタールが、酢酸ビニル含有量が0.1〜30モル%であり、ビニルアルコール含有量が10〜50モル%であるポリビニルアセタールである請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリビニルアセタール粉体。
- ポリビニルアセタール粉体の安息角が55度未満である請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリビニルアセタール粉体。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリビニルアセタール粉体を含む粉体塗料。
- ポリビニルアセタール粉体を主成分とする請求項6に記載の粉体塗料。
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