JP5036405B2 - 組成物および粉体塗料 - Google Patents
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Description
(1)(A)の平均粒子径(AD)が10〜250μm
(2)(B)/(A)の重量比が0.1/100〜50/100
(3)(B)の平均粒子径(BD)が2〜150μm
(4)|AD−BD|<100μm
(5)(C)の平均粒子径(CD)が2〜150μm
(6)|AD−CD|<100μm
(7)(C)/(A)の重量比0.1/100〜50/100
また、本発明の熱硬化性樹脂組成物、とくに粉体塗料は、樹脂粉体と顔料粉体が層分離を起こさず、粉体塗料の流動性が優れている。さらにまた、ポリビニルアセタールは基材との接着性に優れているので、とくにプライマーなどによる前処理をしなくとも、基材との優れた接着性を付与することができるし、また高い硬度を有する塗膜を形成することもできる。
まず、ビニルアルコール系重合体の水溶液{濃度3〜15重量%;濃度は(ビニルアルコール系重合体の重量)/(ビニルアルコール系重合体水溶液の重量)×100で算出された値}の温度を80〜100℃に調整し、徐々に温度を下げながら、10〜60分かけて、−10〜30℃に低下したところで、アルデヒドおよび触媒を添加し、温度を一定に保ちながら、30〜300分反応を進め、さらに30〜200分かけて、40〜80℃迄昇温し、この温度範囲において1〜3時間程度保持する。次に、全体を、好適には、室温まで冷却し、水洗後、中和剤(アルカリ等)を添加し、乾燥することにより目的とするポリビニルアセタール粉体が得られる。また、上記方法により最大粒子径が250μmを越える集合粒子はほとんど生成しないが、最大粒子径250μmを越える集合粒子が生成した場合は、フイルターにより除去することが好適である。
多価(無水)カルボン酸としては、無水マレイン酸、マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水フタール酸、フタール酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などが例示される。
また、多価アルデヒドとは、アルデヒド基を2個以上有する脂肪族または芳香族化合物である。脂肪族アルデヒドとしては、例えば、プロパンジアルデヒド、スクシンアルデヒド、グリオキザール、アジパルデヒド、2−ヒドロキシヘキサンジアルデヒドなどが例示され、芳香族アルデヒドとしては、フタルアルデヒド、1,4−ベンゼンジアセトアルデヒド、4,4’−(エチレンジオキシ)ジベンズアルデヒド、2−ヒドロキシヘキサンジアルデヒドなどが例示される。
これらのうち、多価カルボン酸又はその無水物が好適であり、とくに、無水マレイン酸、マレイン酸、無水コハク酸、コハク酸が好適である。
化合物(B)の粉体がこの条件を満足することにより、耐溶剤性に優れた硬化物を付与することができ、さらに優れた流動性を付与することができる。化合物(B)を、化合物マスターバッチの粉砕物として使用する場合は、その平均粒子径が、平均粒子径(BD)2〜150μmを満足することが好適である。
平均粒子径は、好適には130μm以下であり、最適には100μm以下である。また平均粒子径の下限値については、好適には5μm以上、最適には10μm以上である。最大粒子径は250μm以下であることが好適である。
顔料マスターバッチに使用される樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、ポリ(メタ)アクリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−(メタ)アクリレート共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等が挙げられ、好ましいものとしては、粉体(A)と相溶性の良いものが挙げられ、例えばポリビニルアセタール樹脂が挙げられる。
顔料粉体がこの条件を満足することにより、塗膜に優れた着色性を付与することができ、さらに優れた流動性を付与することができる。平均粒子径は、さらに好適には30μm以下であり、最適には100μm以下である。また平均粒子径(CD)の下限値については、好適には5μm以上、最適には10μm以上である。
ポリアミド系樹脂としては、ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−6/6,6共重合体、ナイロン−9、ナイロン−6,10、ナイロン−11、ナイロン12などがあげられ、これらは1種または2種以上が用いられる。なかでも、ナイロン−11、12は、より好適である。これらのポリアミド系樹脂粉体を併用することにより、塗膜に高い耐衝撃性を付与することができ、さらにまた、流動性、粉落ち性に優れた粉体塗料を得ることができる。ここで、「粉落ち性」とは、基材表面への粉体塗料の塗布時に、当該表面に付着する余分な塗料の量に対応する評価項目であり、目視により判定される。粉体塗料の粉落ち性が良好な場合、上記余分な塗料の量が少ない、あるいは、余分な塗料の付着が見られないため、塗料の塗布ムラが生じにくく、一方、粉落ち性が低下すると、上記余分な塗料の量が増大し、塗料の塗布ムラが生じやすくなる。
粉体塗料に使用する場合、さまざまな粉体塗装法で使用可能である。粉体塗装法としては、流動浸漬法、静電塗装法、溶射法等が挙げられる。塗装温度条件は、塗装方法や、用いられるポリビニルアセタールのMFR等により異なるが、100〜300℃程度が好ましい。
(ポリビニルアセタールの酢酸ビニル基含有量)
DMSO−d6に2%の濃度で溶解し、1H−NMR(日本電子製;AL400型)を用い、80℃で測定し、算出した。変性量はポリビニルブチラールの主鎖のエチレンパートに対して計算した。
(ポリビニルアセタールのビニルアルコール基含有量)
DMSO−d6に2%の濃度で溶解し、1H−NMR(日本電子製;AL400型)を用い、80℃で測定し、算出した。変性量はポリビニルブチラールの主鎖のエチレンパートに対して計算した。
(株)島津製作所製の粒度分布測定装置SALD2200を用いて測定した。
(ポリビニルアセタール粉体の水分量)
{(含水ポリビニルアセタール粉体の重量−ポリビニルアセタール粉体の乾燥重量)/含水ポリビニルアセタール粉体の重量}×100で求められる値。ここで、ポリビニルアセタール粉体の乾燥重量とは、ポリビニルアセタール粉体を乾燥機中105℃で3時間乾燥したときの重量である。
厚さ0.2mmのプレスフィルムを室温減圧下で24hr乾燥し、次いで、乾燥後の試量をエタノール100gにプレスフィルム0.5gを浸漬し、50℃で2時間静置した。エタノール中に残存しているプレスフィルムを取り出して、重量を測定した。さらにその取り出したフィルムを105℃にて3時間乾燥後、重量を測定(乾燥後フィルムの重量)して、残存率を下式により算出した。
(残存率)=(乾燥後フィルムの重量)/(浸漬前のプレスフィルムの重量)×100(%)
エタノール中に残存しているプレスフィルムの形状を目視で観察し、以下の基準にしたがって評価した。
(残存しているプレスフィルムの形状の評価)
○:フィルムの形状が残っている。
×:フィルムの形状が残っていない。
還流冷却器、温度計およびイカリ型攪拌翼を備えた内容積2リットルのガラス製容器に、イオン交換水1295gと、ポリビニルアルコール(PVA−1:重合度600、けん化度98モル%)105gとを仕込み、全体を95℃に昇温してPVAを完全に溶解させ、PVA水溶液(濃度7.5重量%)を形成した。形成したPVA水溶液を、回転速度120rpmにて攪拌し続けながら、約30分かけて10℃まで徐々に冷却した後、当該水溶液に、ブチルアルデヒド58g、および、ブチラール化触媒である酸触媒として濃度20重量%の塩酸90mlとを添加して、PVAのブチラール化を開始した。ブチラール化を150分間行った後、60分かけて全体を50℃まで昇温し、50℃にて120分間保持した後に、室温まで冷却した。冷却によって析出した樹脂をろ過後、イオン交換水(樹脂に対して100倍量のイオン交換水)で洗浄した後、中和のために0.3重量%水酸化ナトリウム溶液を加え、40℃で10時間保持した後、さらに100倍量のイオン交換水で再洗浄し、脱水したのち、40℃、減圧下で18時間乾燥し、ポリビニルブチラール(PVB−1)の粉体(水分含有量1.0%)を得た。得られたPVB−1のブチラール化度は68モル%、酢酸ビニル基の含有量は2モル%であり、ビニルアルコール基の含有量は30モル%であった。
(ポリビニルブチラール粉体の調製)
上記により得られたポリビニルブチラール粉体(PVB−1)を乾燥後、60メッシュ(目開き250μm)の金網を用い、250μm以上の粒子を取り除いて、平均粒子径85μmのポリビニルブチラール粉体(A−1)を調製した。
(粉体の調製)
得られた粉体(A−1)100部と無水マレイン酸(MAN、平均粒子径25μm)(250μ以上の粒子含まず)10部とをドライブレンダーにより混合し、粉体(B−1)を得た。
(プレスフィルムの調製)
粉体(B−1)2.5gをポリイミドフィルムで挟み、これらをさらに金属板に挟んだ状態で、神藤金属工業製のプレス機械を用い、220℃で5分間予熱した後、温度を200℃に保持したまま、100kg/cm2の圧力で15分間プレスした。このようにして得られたプレス片をプレス冷却機を用いて2分間プレスし、厚さ0.2mmのプレスフィルムを得た。
実施例1で得られた粉体(A−1)100部に対し、無水マレイン酸の代わりに、マレイン酸(平均粒子径 20μm)10部を添加し、ドライブレンダーにより混合し、粉体(B−2)を得た。
粉体(B−2)を用いた以外は実施例1と同様にプレスフィルムを調製し、その評価を実施した。
結果を表1に示す。
実施例1で得られた粉体(A−1)100部に対し、無水マレイン酸の代わりに、無水コハク酸(平均粒子径 30μm)10部を添加し、ドライブレンダーにより混合し粉体(B−3)を得た。
粉体(B−3)を用いた以外は実施例1と同様にプレスフィルムを調製し、その評価を実施した。
結果を表1に示す。
実施例1で得られた粉体(A−1)100部に、無水マレイン酸(MAN、平均粒子径25μm)(250μ以上の粒子含まず)10部、さらに顔料粉体{メルク(株)製の「Iriodin 100 Silver Pearl」(パール顔料)(平均粒子径35μm、粒子径250μm以上の粒子なし)5部をドライブレンダーにより混合して、粉体(C−1)を得た。得られた粉体(C−1)を用い、以下のようにして塗装および塗膜評価を行った。
(粉体塗料を用いた基材の塗装)
0.8mm(厚)×50mm×100mmのステンレス板(SAS304)の表面を洗剤を用いて洗浄して脱脂した後、イオン交換水で十分に洗浄して基材とした。この基材に対して、粉体(A−1)を用い、流動浸漬法により塗装を行った。多孔板および円筒状の塗装室(流動室)(高さ50Cm、直径30Cm)を備えた容器にポリビニルブチラール粉体を入れ、空気を多孔板を通して塗装室に吹き込むことで、ポリビニルブチラール粉体を流動させた。前記ステンレス板からなる基材を予熱し(温度230℃、10分間)、これをポリビニルブチラール粉体の流動層中に懸垂し、10秒経過した後取り出し、230℃の温度条件で10分間加熱して塗装物を得た。
(ポリビニルブチラール粉体の流動性)
塗装室内におけるポリビニルブチラール粉体の流動性を以下の基準にしたがって評価した。結果を表2に示す。
○:ポリビニルブチラール粉体が均一に流動する。
△:ポリビニルブチラール粉体は流動するが、その状態にムラがある。
×:ポリビニルブチラール粉体は全体が流動せず、空気が粉体表面の一部より噴出する。
(塗膜の着色性)
基材に塗布した塗膜の着色性を目視により以下の基準で評価した。
○:着色状態にムラなし。
△:若干ムラが見られる。
×:全面がマダラ模様。
(塗膜の厚みの均一性)
基材の表面に形成された塗膜の厚みの均一性を以下の方法にしたがって評価した。結果を表2に示す。
1サンプルについて、塗膜の厚みを5点測定して、その平均値を求め、その平均値に対する最大値と最小値の差を%で示した。値が低いほど塗膜の厚みの均一性が高い。
○:20%未満
×:20%以上
(塗膜の耐エタノール性試験)
塗装板の塗膜部分をエタノールで湿らせた布で5回拭き、塗膜表面の状態を目視により、以下の基準に従って評価した。
○:塗膜表面の変化なし。
×:塗膜表面が溶解し、塗膜変化(痕跡残、顔料付着)あり。
実施例1で得られた粉体(A−1)100部に対し、マレイン酸10部、顔料{東海カーボン(株)製の「トーカカーボン#7100F」(カーボンブラック)、平均粒子径42μm}5部添加し、ドライブレンダーにより混合後、粉体(C−2)を得た。得られた粉体(C−2)を用い、実施例4と同様に塗装評価を行った。
結果を表2に示す。
ポリビニルアセタール(Kuraray Europe GmBH製:Mowital B30H 平均粒子径 102μm)100部に対し、東海カーボン(株)製の「トーカカーボン#7100F」(カーボンブラック)20部添加し、ドライブレンダーにより混合後、エクストルーダーで混練、粉砕し、60メッシュで分級を行い平均粒径80μmの樹脂粉体(MB−1)を得た。
実施例1で得られた粉体(A−1)100部に対し、マレイン酸10部、粉体(MB−1)10部添加し、ドライブレンダーにより混合後、粉体(C−3)を得た。得られた粉体(C−3)を用い、実施例4と同様に塗装評価を行った。
結果を表2に示す。
実施例1で得られた粉体(A−1)100部に対し、無水コハク酸10部、顔料{東海カーボン(株)製の「トーカカーボン#7100F」(カーボンブラック)、平均粒子径42μm}5部を添加し、ドライブレンダーにより混合後、粉体(C−4)を得た。
得られた粉体(C−4)を用い、実施例4と同様に塗装評価を行った。
結果を表2に示す。
実施例1で得られた未変性ポリビニルブチラール粉体(A−1)を用いて、実施例1と同様にプレスフィルムを調整し、評価した。
結果を表1に示す。
実施例1で得られた未変性ポリビニルブチラール粉体(A−1)100部に対し、無水マレイン酸(MAN、平均粒子径25μm)(250μ以上の粒子含まず)55部を添加し、ドライブレンダーにより混合し、粉体(B−4)を得た。
得られた粉体(B−4)を用い、実施例4と同様に塗装評価を行った。
結果を表2に示す。
実施例1で得られた未変性ポリビニルブチラール粉体(A−1)100部に対し、無水マレイン酸(MAN、平均粒子径25μm)(250μ以上の粒子含まず)0.05部を添加し、ドライブレンダーにより混合し、粉体(B−5)を得た。
得られた粉体(B−5)を用い、実施例4と同様に塗装評価を行った。
結果を表2に示す。
Claims (7)
- ポリビニルアセタール粉体(A)および多価カルボン酸、無水多価カルボン酸、多価アルデヒド、多価イソシアネート化合物および多価エポキシ化合物、ならびにこれらの化合物の誘導体から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)の粉体からなり、かつ下記条件を満足する熱硬化性樹脂組成物。
(1)(A)の平均粒子径(AD)が10〜250μm
(2)(B)/(A)の重量比が0.1/100〜50/100
(3)(B)の平均粒子径(BD)が2〜150μm
(4)|AD−BD|<100μm - 化合物(B)が、多価カルボン酸又はその無水物である請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 顔料粉体(C)を含有し、かつ下記条件を満足する請求項1または2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
(5)(C)の平均粒子径(CD)が2〜150μm
(6)|AD−CD|<100μm
(7)(C)/(A)の重量比0.1/100〜50/100 - 熱硬化性樹脂組成物が、ドライブレンド組成物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- (A)を構成するポリビニルアセタールが、ビニルアルコール系重合体を、炭素数2〜6のアルデヒドによりアセタール化して得たポリビニルアセタールである請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 顔料粉体(C)が、酸化チタン、酸化鉄、べんがら、カーボンブラック、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルー、ジアゾ系イエロー、キナクリドン、アルミニウム金属および雲母から選ばれる少なくとも1種である請求項3に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物からなる粉体塗料。
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