JP2004339370A - 感光性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】屈曲性に優れ、特にガラスに対する良好な密着性を備えた感光性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】ポリビニルブチラール樹脂もしくはポリビニルアセタール樹脂の水酸基残基に対し、重合性二重結合とオキシラン基を分子中に含む化合物もしくは重合性二重結合とイソシアネート基を分子中に含む化合物にて重合性二重結合を導入した感光性樹脂を必須成分として含有する。
【選択図】 なし
【解決手段】ポリビニルブチラール樹脂もしくはポリビニルアセタール樹脂の水酸基残基に対し、重合性二重結合とオキシラン基を分子中に含む化合物もしくは重合性二重結合とイソシアネート基を分子中に含む化合物にて重合性二重結合を導入した感光性樹脂を必須成分として含有する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は感光性樹脂組成物に関し、特に、優れた柔軟性と密着性(特に、ガラスとの良好な密着性)を備えた感光性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から感光性樹脂組成物として、各種のものが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
【0003】
すなわち、特許文献1には、優れた強度と、耐熱性と、耐擦傷性と、耐水性と、耐薬品性と、基材に対する密着性を有する光硬化性樹脂組成物として、ウレタン変性アクリル系樹脂と、離型剤と、環状構造を有するモノマー、多官能モノマー及び多官能性オリゴマーから選ばれた1種以上の化合物を必須成分とする光硬化性樹脂組成物が開示されている。
【0004】
特許文献2には、常温または加熱架橋硬化しうる各種塗料用樹脂、接着剤、繊維製品加工、各種バインダーなどとして利用される、分子中にラクトンから誘導されたエステル結合の末端に1級水酸基を有するグラフト鎖の結合した硬化性樹脂組成物が開示されている。
【0005】
特許文献3には、高度の画像再現性と良好な水現像性を有する、可溶性ポリマー、分子中にエチレン性二重結合を有する光重合性不飽和化合物および光重合開始剤を必須成分とする感光性樹脂組成物が開示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−31729号公報
【特許文献2】
特開平7−149824号公報
【特許文献3】
特開平7−84370号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1〜3に開示された感光性樹脂組成物は、いずれも、硬化後の樹脂の架橋密度が高いので、硬度は高いが脆く、せん断や屈曲に対して弱いという欠点がある。また、硬化による収縮量が大きいため、基材との密着性が悪く、特にガラスに対して良好な密着性を有していない。
【0008】
本発明は、従来の技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、屈曲性に優れ、特にガラスに対する良好な密着性を備えた感光性樹脂組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の感光性樹脂組成物は、接着性に優れているポリビニルブチラール樹脂もしくはポリビニルアセタール樹脂の水酸基残基に対し、重合性二重結合とオキシラン基を分子中に含む化合物もしくは重合性二重結合とイソシアネート基を分子中に含む化合物にて重合性二重結合を導入することにより、ガラスに対して良好な密着性を有する紫外線硬化塗料(または紫外線硬化接着剤)として用いることができる。
【0010】
従来の紫外線硬化塗料は硬度が高いのでハードコート剤として用いられることが多く、高硬度に由来して脆いものが殆どであった。これに対して本発明は、ポリビニルアセタール樹脂の中でも柔軟性に優れているポリビニルブチラール樹脂を主鎖とすることにより、屈曲性の良好な被膜を形成する紫外線硬化塗料が得られる。ポリビニルブチラール樹脂は、もともとガラスの接着剤として用いられているものであり、本発明によれば、ガラスへの良好な密着性を有する紫外線硬化塗料を提供することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
すなわち、本発明の要旨は、ポリビニルブチラール樹脂もしくはポリビニルアセタール樹脂の水酸基残基に対し、重合性二重結合とオキシラン基を分子中に含む化合物もしくは重合性二重結合とイソシアネート基を分子中に含む化合物にて重合性二重結合を導入した感光性樹脂を必須成分として含有する感光性樹脂組成物にある。
【0012】
本発明におけるポリビニルブチラール樹脂は、分子量が4000〜100000、水酸基が15〜50mol%、アセチル基が10mol%未満、ブチラール化度もしくはアセタール化度が50〜80mol%(合計で100mol%)のポリビニルブチラール樹脂もしくはポリビニルアセタール樹脂に対し、0.1〜10.0mEq/gの重合性二重結合とオキシラン基を分子中に含む化合物もしくは重合性二重結合とイソシアネート基を分子中に含む化合物を導入して得られるものである。
【0013】
分子量が4000未満のものは、ポリビニルブチラール(アセタール)樹脂の本来持っている強靱な樹脂物性を発現しにくいという点から好ましくなく、100000を超えるものは、樹脂組成物としての粘度が高すぎて取り扱いが困難であるという点から好ましくない。なお、この分子量は、重量平均分子量をいう。
【0014】
また、水酸基が15mol%未満のものは、重合性二重結合とオキシラン基を分子中に含む化合物もしくは重合性二重結合とイソシアネート基を分子中に含む化合物の反応サイトが少なく、光重合性が低下するという点から好ましくなく、50mol%を超えるものは、有機溶剤への溶解性の点から好ましくない。
【0015】
また、アセチル基が10mol%以上のものは、鹸化して得られるべき水酸基量が低下するという点から好ましくない。
【0016】
さらに、ブチラール化度もしくはアセタール化度が50mol%未満のものは、ポリビニルブチラール(アセタール)樹脂の持つ柔軟性が得られないという点から好ましくなく、80mol%を超えるものは、実際には合成できない。
【0017】
重合性二重結合とオキシラン基を分子中に含む化合物としては、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレートまたは3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0018】
重合性二重結合とイソシアネート基を分子中に含む化合物としては、メタクリロイルオキシエチルイソシアネートが好ましい。
【0019】
重合性二重結合とオキシラン基を分子中に含む化合物もしくは重合性二重結合とイソシアネート基を分子中に含む化合物の導入量が0.1mEq/g未満の場合、光重合性が低下し、10.0mEq/gを超えると架橋密度が高くなりすぎ、柔軟でかつガラスとの接着性の良好な硬化物を得ることができなくなる。なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレートとメタアクリレートを総称する用語である。
【0020】
光反応性重合化合物は希釈剤兼架橋剤として用いられるが,通常の紫外線硬化樹脂組成物として用いられているものであれば、いずれも使用することができる。例示するなら、C1〜C18のアルキル(メタ)アクリレート、C1〜C8のアルコールエチレンオキサイド誘導体(メタ)アクリレート、C1〜C18の(アルキル)フェノールエチレンオキサイド誘導体(メタ)アクリレート、C2〜C9のジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド誘導体ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAプロピレンオキサイド誘導体ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド誘導体トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド誘導体トリ(メタ)アクリレート、グリセリンエチレンオキサイド誘導体トリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロピレンオキサイド誘導体トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等を用いることができるが、これらに限定するものではない。
【0021】
光重合開始剤は、露光部を硬化させるための重合を開始するために添加されるものであり、ベンジル、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、ベンジルケタール類、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類、アセトフェノン類、フェニルホスフィンオキシド類、チオキサントン類やその誘導体等が挙げられる。また、必要に応じ、アミノ安息香酸類や色素等の増感助剤を併用することができる。
【0022】
また、感光性樹脂組成物としての取り扱いをよくするために粘度の調整用として、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、及びこれらの酢酸エステル、ペンタンジオールアルキルエーテル、その他、芳香族系、アルコール系、エステル系、ケトン系等の有機溶剤を適正量添加することができる。
【0023】
上記した本発明の感光性樹脂と、光反応性重合化合物と、光重合開始剤の配合比率は、感光性樹脂が30〜90重量部で、光反応性重合化合物が5〜70重量部で、光重合開始剤が1〜10重量部であるのが好ましい。これらの成分限定理由は下記のとおりである。
【0024】
感光性樹脂が30重量部未満では、架橋密度が上がりすぎ,硬化物が脆性を持つだけでなく、ブチラール系樹脂の持つ柔軟性や靭性が得られなくなる。感光性樹脂が90重量部を超えると、架橋密度の低下から硬化度が低下する。
【0025】
光反応性重合化合物が5重量部未満の場合、架橋密度の低下から硬化度が低下し、70重量部を超えると架橋密度が上がりすぎ,硬化物が脆性を持つようになる。
【0026】
光重合開始剤が1重量部未満の場合、硬化に必要なフリーラジカルの発生が不足するため、硬化不良を起こし、10重量部を超えると、系の溶解度以上となり、重合開始剤が結晶として析出する等の不具合が生じるのみならず、重合開始剤自身の光に対する隠ぺい力のため,かえって硬化を阻害する。
【0027】
また、有機溶剤を用いなくても使用可能であるが、用途によって粘度調整を行う場合には有機溶剤を添加してもよい。上記配合の感光性樹脂、光反応性重合化合物および光重合開始剤に対する有機溶剤の添加量は0.1〜30重量部であるのが好ましく、より好ましくは0.1〜10重量部である。有機溶剤が30重量部を超えると、流動性過多により基材上に所望の厚さの塗膜を形成することができなくなる。
【0028】
なお、本発明の特性を損なわない範囲で、可塑剤や安定剤や基材への濡れ性を改善する界面活性剤、その他、酸化防止剤、分散剤等を添加することができる。
【0029】
【実施例】
以下に本発明の好ましい実施例を説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲において適宜変更と修正が可能である。
1.感光性ブチラール樹脂組成物の合成例
(1)感光性ブチラール樹脂組成物1
撹拌器、コンデンサー、空気導入管および温度計を取り付けた500mlのセパラブルフラスコにハイドロキノンを0.005gと、PEG#400ジアクリレート70gとイソボルニルアクリレート30gとを仕込み、撹拌しながらポリビニルブチラールI(表1参照)100.0gを徐々に添加し、70℃まで昇温してこれらの化合物を溶解した。本明細書において、「PEG#400」とは、数平均分子量が約400のポリエチレングリコールをいう。
【0030】
これに空気を導入しながらグリシジルメタアクリレートを16.1g仕込み、90℃まで昇温した。そのまま95〜100℃で5時間撹拌を継続し、反応終了は、赤外分光分析による赤外スペクトルの分析結果より、820cm−1のオキシラン環に帰属される吸収の消失により確認した。
【0031】
反応終了後、光重合開始剤であるイルガキュアー369(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のアセトフェノン系のもの)を10.0g添加し、溶解させて感光性ブチラール樹脂組成物1を得た。
(2)感光性ブチラール樹脂組成物2
撹拌器、コンデンサー、空気導入管および温度計を取り付けた500mlのセパラブルフラスコにハイドロキノンを0.005gと、PEG#400ジアクリレート70gとイソボルニルアクリレート30gとを仕込み、撹拌しながらポリビニルブチラールII(表1参照)100.0gを徐々に添加し、70℃まで昇温してこれらの化合物を溶解した。
【0032】
これに空気を導入しながらメタクリロイルオキシエチルイソシアネートを16.1g仕込み、90℃まで昇温した。そのまま95〜100℃で5時間撹拌を継続し、反応終了は、滴定法にて、イソシアネート基が消失することにより確認した。
【0033】
反応終了後、光重合開始剤であるイルガキュアー369を10.0g添加し、溶解させて感光性ブチラール樹脂組成物2を得た。
(3)感光性ブチラール樹脂組成物3
撹拌器、コンデンサー、空気導入管および温度計を取り付けた500mlのセパラブルフラスコにハイドロキノンを0.005gと、トリメチロールプロパンエチレンオキシド6モル付加体のトリアクリレート50gとフェノキシエチルアクリレート30gとトルエン20gとを仕込み、撹拌しながらポリビニルブチラールIII (表1参照)100.0gを徐々に添加し、70℃まで昇温してこれらの化合物を溶解した。
【0034】
これに空気を導入しながらグリシジルメタアクリレートを32.0g仕込み、90℃まで昇温した。そのまま95〜100℃で5時間撹拌を継続し、反応終了は、赤外分光分析による赤外スペクトルの分析結果より、820cm−1のオキシラン環に帰属される吸収の消失により確認した。
【0035】
反応終了後、光重合開始剤であるイルガキュアー651(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のアセトフェノン系のもの)を10.0g添加し、溶解させて感光性ブチラール樹脂組成物3を得た。
(4)感光性ブチラール樹脂組成物4
撹拌器、コンデンサー、空気導入管および温度計を取り付けた500mlのセパラブルフラスコにハイドロキノンを0.005gと、トリエチレングリコールジアクリレート50gとフェノキシエチルアクリレート30gとトルエン20gとを仕込み、撹拌しながらポリビニルブチラールIV(表1参照)100.0gを徐々に添加し、70℃まで昇温してこれら化合物を溶解した。
【0036】
これに空気を導入しながらグリシジルメタアクリレートを64.0g仕込み、90℃まで昇温した。そのまま95〜100℃で5時間撹拌を継続し、反応終了は、赤外分光分析による赤外スペクトルの分析結果より、820cm−1のオキシラン環に帰属される吸収の消失により確認した。
【0037】
反応終了後、光重合開始剤であるイルガキュアー651を10.0g添加し、溶解させて感光性ブチラール樹脂組成物4を得た。
(5)感光性ブチラール樹脂組成物5
撹拌器、コンデンサー、空気導入管および温度計を取り付けた500mlのセパラブルフラスコにハイドロキノンを0.005gと、PEG#400ジアクリレート70gとイソボルニルアクリレート30gとを仕込み、撹拌しながらポリビニルブチラールI(表1参照)100.0gを徐々に添加し、70℃まで昇温してこれらの化合物を溶解した。
【0038】
これに空気を導入しながらアリルグリシジルエーテルを12.9g仕込み、90℃まで昇温した。そのまま95〜100℃で5時間撹拌を継続し、反応終了は、赤外分光分析による赤外スペクトルの分析結果より、820cm−1のオキシラン環に帰属される吸収の消失により確認した。
【0039】
反応終了後、光重合開始剤であるイルガキュアー369を10.0g添加し、溶解させて感光性ブチラール樹脂組成物5を得た。
(6)感光性ブチラール樹脂組成物6
撹拌器、コンデンサー、空気導入管および温度計を取り付けた500mlのセパラブルフラスコにハイドロキノンを0.005gと、PEG#400ジアクリレート70gとイソボルニルアクリレート30gとを仕込み、撹拌しながらポリビニルブチラールI(表1参照)100.0gを徐々に添加し、70℃まで昇温してこれらの化合物を溶解した。
【0040】
これに空気を導入しながら3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートを22.2g仕込み、90℃まで昇温した。そのまま95〜100℃で5時間撹拌を継続し、反応終了は、赤外分光分析による赤外スペクトルの分析結果より、820cm−1のオキシラン環に帰属される吸収の消失により確認した。
【0041】
反応終了後、光重合開始剤であるイルガキュアー369を10.0g添加し、溶解させて感光性ブチラール樹脂組成物6を得た。
【0042】
【表1】
2.比較例の樹脂組成物の合成例
(1)比較例樹脂組成物1
東亞合成化学社製のポリエステルアクリレート「アロニックスM−7100」60重量部と、PEG#400ジアクリレート40重量部と、光重合開始剤である「イルガキュアー651」5.0重量部とを混合して溶解し、比較例の樹脂組成物1(ポリエステルアクリレート系樹脂組成物)を得た。
(2)比較例樹脂組成物2
新中村化学社製のウレタンアクリレート「NKオリゴUA−6100」に光重合開始剤である「イルガキュアー651」5.0重量%を混合して溶解し、比較例の樹脂組成物2(ウレタンアクリレート系樹脂組成物)を得た。
(3)比較例樹脂組成物3
撹拌器、コンデンサー、空気導入管および温度計を取り付けた500mlのセパラブルフラスコにハイドロキノンを0.005gと、PEG#400ジアクリレート70gとイソボルニルアクリレート30gと油化シェルエポキシ社製「エピコート1001(ビスフェノールA系化合物)」84.6gとを仕込み、これに空気を導入しながら撹拌して80℃まで昇温後、滴下ロートにてアクリル酸15.4gを内部温度が110℃を超えないように徐々に滴下し、滴下終了後3時間100℃で反応を継続した。反応終了後、光重合開始剤であるイルガキュアー651を10.0g混合して溶解し、比較例の樹脂組成物3(エポキシ系樹脂組成物)を得た。
3.特性の評価
以上のようにして得られた各樹脂組成物の諸特性を以下のように評価した。
(1)引張強さと破断伸び
Si離型処理を施したPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に、得られた樹脂組成物をフィルムアプリケーターにて約300μmの厚さで塗布し、80℃で5分間乾燥後、高圧水銀ランプにて400mJの紫外線を照射して硬化を行なった。得られた硬化フィルムを幅5mm、長さ100mmの短冊状に切断し、引張り試験に供した。
【0043】
引張り試験機は島津製作所社製オートグラフを用い、20℃で相対湿度60%の恒温・恒湿室にて、引張りスピード10mm/min.、チャック間距離50mmで引張り試験を行なった。引張強さ(kgf/cm2)および破断時の伸び(%)を以下の表2に示す。
(2)屈曲試験
Si離型処理を施したPETフィルム上に、得られた樹脂組成物をフィルムアプリケーターにて約300μmの厚さで塗布し、80℃で5分間乾燥後、高圧水銀ランプにて400mJの紫外線を照射して硬化を行なった。得られた硬化フィルムを180°屈曲して割れ等の発生の有無を確認した。割れの発生が認められなかったものに「○」、割れの発生が認められたものに「×」の記号を付して、以下の表2に示す。
(3)剥離試験
ソーダガラス板上に得られた樹脂組成物をフィルムアプリケーターにて約300μmの厚さで塗布し、80℃で5分間乾燥後、高圧水銀ランプにて400mJの紫外線を照射して硬化を行なった。得られた硬化フィルムにカッターナイフにて、図1に示すような斜めの切れ込み1を施し、切れ込み1を施した上からセロテープ(R)を押し付け、次いでそのセロテープ(R)を剥離し、4つのセクションa、b、c、dの中でセロテープ(R)に付着して剥離することなく残った硬化フィルムセクションの数を「α」とし、以下の表2には、当初のセクション数4を分母して、分数(α/4)の形で表示する。
【0044】
【表2】
表2に示すように、本発明の実施例である感光性ブチラール樹脂は強度が高くて、屈曲性に優れ、ガラスへの良好な密着性を有している。
【0045】
【発明の効果】
本発明の感光性樹脂組成物は、側鎖に重合性二重結合をもつポリビニルブチラール(ポリビニルアセタール)を用いることで、屈曲性を向上し、従来の紫外線硬化樹脂組成物では困難であったガラスへの密着性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ガラス板上に塗布した樹脂組成物の剥離試験方法を説明する図である。
【発明の属する技術分野】本発明は感光性樹脂組成物に関し、特に、優れた柔軟性と密着性(特に、ガラスとの良好な密着性)を備えた感光性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から感光性樹脂組成物として、各種のものが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
【0003】
すなわち、特許文献1には、優れた強度と、耐熱性と、耐擦傷性と、耐水性と、耐薬品性と、基材に対する密着性を有する光硬化性樹脂組成物として、ウレタン変性アクリル系樹脂と、離型剤と、環状構造を有するモノマー、多官能モノマー及び多官能性オリゴマーから選ばれた1種以上の化合物を必須成分とする光硬化性樹脂組成物が開示されている。
【0004】
特許文献2には、常温または加熱架橋硬化しうる各種塗料用樹脂、接着剤、繊維製品加工、各種バインダーなどとして利用される、分子中にラクトンから誘導されたエステル結合の末端に1級水酸基を有するグラフト鎖の結合した硬化性樹脂組成物が開示されている。
【0005】
特許文献3には、高度の画像再現性と良好な水現像性を有する、可溶性ポリマー、分子中にエチレン性二重結合を有する光重合性不飽和化合物および光重合開始剤を必須成分とする感光性樹脂組成物が開示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−31729号公報
【特許文献2】
特開平7−149824号公報
【特許文献3】
特開平7−84370号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1〜3に開示された感光性樹脂組成物は、いずれも、硬化後の樹脂の架橋密度が高いので、硬度は高いが脆く、せん断や屈曲に対して弱いという欠点がある。また、硬化による収縮量が大きいため、基材との密着性が悪く、特にガラスに対して良好な密着性を有していない。
【0008】
本発明は、従来の技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、屈曲性に優れ、特にガラスに対する良好な密着性を備えた感光性樹脂組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の感光性樹脂組成物は、接着性に優れているポリビニルブチラール樹脂もしくはポリビニルアセタール樹脂の水酸基残基に対し、重合性二重結合とオキシラン基を分子中に含む化合物もしくは重合性二重結合とイソシアネート基を分子中に含む化合物にて重合性二重結合を導入することにより、ガラスに対して良好な密着性を有する紫外線硬化塗料(または紫外線硬化接着剤)として用いることができる。
【0010】
従来の紫外線硬化塗料は硬度が高いのでハードコート剤として用いられることが多く、高硬度に由来して脆いものが殆どであった。これに対して本発明は、ポリビニルアセタール樹脂の中でも柔軟性に優れているポリビニルブチラール樹脂を主鎖とすることにより、屈曲性の良好な被膜を形成する紫外線硬化塗料が得られる。ポリビニルブチラール樹脂は、もともとガラスの接着剤として用いられているものであり、本発明によれば、ガラスへの良好な密着性を有する紫外線硬化塗料を提供することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
すなわち、本発明の要旨は、ポリビニルブチラール樹脂もしくはポリビニルアセタール樹脂の水酸基残基に対し、重合性二重結合とオキシラン基を分子中に含む化合物もしくは重合性二重結合とイソシアネート基を分子中に含む化合物にて重合性二重結合を導入した感光性樹脂を必須成分として含有する感光性樹脂組成物にある。
【0012】
本発明におけるポリビニルブチラール樹脂は、分子量が4000〜100000、水酸基が15〜50mol%、アセチル基が10mol%未満、ブチラール化度もしくはアセタール化度が50〜80mol%(合計で100mol%)のポリビニルブチラール樹脂もしくはポリビニルアセタール樹脂に対し、0.1〜10.0mEq/gの重合性二重結合とオキシラン基を分子中に含む化合物もしくは重合性二重結合とイソシアネート基を分子中に含む化合物を導入して得られるものである。
【0013】
分子量が4000未満のものは、ポリビニルブチラール(アセタール)樹脂の本来持っている強靱な樹脂物性を発現しにくいという点から好ましくなく、100000を超えるものは、樹脂組成物としての粘度が高すぎて取り扱いが困難であるという点から好ましくない。なお、この分子量は、重量平均分子量をいう。
【0014】
また、水酸基が15mol%未満のものは、重合性二重結合とオキシラン基を分子中に含む化合物もしくは重合性二重結合とイソシアネート基を分子中に含む化合物の反応サイトが少なく、光重合性が低下するという点から好ましくなく、50mol%を超えるものは、有機溶剤への溶解性の点から好ましくない。
【0015】
また、アセチル基が10mol%以上のものは、鹸化して得られるべき水酸基量が低下するという点から好ましくない。
【0016】
さらに、ブチラール化度もしくはアセタール化度が50mol%未満のものは、ポリビニルブチラール(アセタール)樹脂の持つ柔軟性が得られないという点から好ましくなく、80mol%を超えるものは、実際には合成できない。
【0017】
重合性二重結合とオキシラン基を分子中に含む化合物としては、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレートまたは3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0018】
重合性二重結合とイソシアネート基を分子中に含む化合物としては、メタクリロイルオキシエチルイソシアネートが好ましい。
【0019】
重合性二重結合とオキシラン基を分子中に含む化合物もしくは重合性二重結合とイソシアネート基を分子中に含む化合物の導入量が0.1mEq/g未満の場合、光重合性が低下し、10.0mEq/gを超えると架橋密度が高くなりすぎ、柔軟でかつガラスとの接着性の良好な硬化物を得ることができなくなる。なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレートとメタアクリレートを総称する用語である。
【0020】
光反応性重合化合物は希釈剤兼架橋剤として用いられるが,通常の紫外線硬化樹脂組成物として用いられているものであれば、いずれも使用することができる。例示するなら、C1〜C18のアルキル(メタ)アクリレート、C1〜C8のアルコールエチレンオキサイド誘導体(メタ)アクリレート、C1〜C18の(アルキル)フェノールエチレンオキサイド誘導体(メタ)アクリレート、C2〜C9のジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド誘導体ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAプロピレンオキサイド誘導体ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド誘導体トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド誘導体トリ(メタ)アクリレート、グリセリンエチレンオキサイド誘導体トリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロピレンオキサイド誘導体トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等を用いることができるが、これらに限定するものではない。
【0021】
光重合開始剤は、露光部を硬化させるための重合を開始するために添加されるものであり、ベンジル、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、ベンジルケタール類、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類、アセトフェノン類、フェニルホスフィンオキシド類、チオキサントン類やその誘導体等が挙げられる。また、必要に応じ、アミノ安息香酸類や色素等の増感助剤を併用することができる。
【0022】
また、感光性樹脂組成物としての取り扱いをよくするために粘度の調整用として、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、及びこれらの酢酸エステル、ペンタンジオールアルキルエーテル、その他、芳香族系、アルコール系、エステル系、ケトン系等の有機溶剤を適正量添加することができる。
【0023】
上記した本発明の感光性樹脂と、光反応性重合化合物と、光重合開始剤の配合比率は、感光性樹脂が30〜90重量部で、光反応性重合化合物が5〜70重量部で、光重合開始剤が1〜10重量部であるのが好ましい。これらの成分限定理由は下記のとおりである。
【0024】
感光性樹脂が30重量部未満では、架橋密度が上がりすぎ,硬化物が脆性を持つだけでなく、ブチラール系樹脂の持つ柔軟性や靭性が得られなくなる。感光性樹脂が90重量部を超えると、架橋密度の低下から硬化度が低下する。
【0025】
光反応性重合化合物が5重量部未満の場合、架橋密度の低下から硬化度が低下し、70重量部を超えると架橋密度が上がりすぎ,硬化物が脆性を持つようになる。
【0026】
光重合開始剤が1重量部未満の場合、硬化に必要なフリーラジカルの発生が不足するため、硬化不良を起こし、10重量部を超えると、系の溶解度以上となり、重合開始剤が結晶として析出する等の不具合が生じるのみならず、重合開始剤自身の光に対する隠ぺい力のため,かえって硬化を阻害する。
【0027】
また、有機溶剤を用いなくても使用可能であるが、用途によって粘度調整を行う場合には有機溶剤を添加してもよい。上記配合の感光性樹脂、光反応性重合化合物および光重合開始剤に対する有機溶剤の添加量は0.1〜30重量部であるのが好ましく、より好ましくは0.1〜10重量部である。有機溶剤が30重量部を超えると、流動性過多により基材上に所望の厚さの塗膜を形成することができなくなる。
【0028】
なお、本発明の特性を損なわない範囲で、可塑剤や安定剤や基材への濡れ性を改善する界面活性剤、その他、酸化防止剤、分散剤等を添加することができる。
【0029】
【実施例】
以下に本発明の好ましい実施例を説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲において適宜変更と修正が可能である。
1.感光性ブチラール樹脂組成物の合成例
(1)感光性ブチラール樹脂組成物1
撹拌器、コンデンサー、空気導入管および温度計を取り付けた500mlのセパラブルフラスコにハイドロキノンを0.005gと、PEG#400ジアクリレート70gとイソボルニルアクリレート30gとを仕込み、撹拌しながらポリビニルブチラールI(表1参照)100.0gを徐々に添加し、70℃まで昇温してこれらの化合物を溶解した。本明細書において、「PEG#400」とは、数平均分子量が約400のポリエチレングリコールをいう。
【0030】
これに空気を導入しながらグリシジルメタアクリレートを16.1g仕込み、90℃まで昇温した。そのまま95〜100℃で5時間撹拌を継続し、反応終了は、赤外分光分析による赤外スペクトルの分析結果より、820cm−1のオキシラン環に帰属される吸収の消失により確認した。
【0031】
反応終了後、光重合開始剤であるイルガキュアー369(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のアセトフェノン系のもの)を10.0g添加し、溶解させて感光性ブチラール樹脂組成物1を得た。
(2)感光性ブチラール樹脂組成物2
撹拌器、コンデンサー、空気導入管および温度計を取り付けた500mlのセパラブルフラスコにハイドロキノンを0.005gと、PEG#400ジアクリレート70gとイソボルニルアクリレート30gとを仕込み、撹拌しながらポリビニルブチラールII(表1参照)100.0gを徐々に添加し、70℃まで昇温してこれらの化合物を溶解した。
【0032】
これに空気を導入しながらメタクリロイルオキシエチルイソシアネートを16.1g仕込み、90℃まで昇温した。そのまま95〜100℃で5時間撹拌を継続し、反応終了は、滴定法にて、イソシアネート基が消失することにより確認した。
【0033】
反応終了後、光重合開始剤であるイルガキュアー369を10.0g添加し、溶解させて感光性ブチラール樹脂組成物2を得た。
(3)感光性ブチラール樹脂組成物3
撹拌器、コンデンサー、空気導入管および温度計を取り付けた500mlのセパラブルフラスコにハイドロキノンを0.005gと、トリメチロールプロパンエチレンオキシド6モル付加体のトリアクリレート50gとフェノキシエチルアクリレート30gとトルエン20gとを仕込み、撹拌しながらポリビニルブチラールIII (表1参照)100.0gを徐々に添加し、70℃まで昇温してこれらの化合物を溶解した。
【0034】
これに空気を導入しながらグリシジルメタアクリレートを32.0g仕込み、90℃まで昇温した。そのまま95〜100℃で5時間撹拌を継続し、反応終了は、赤外分光分析による赤外スペクトルの分析結果より、820cm−1のオキシラン環に帰属される吸収の消失により確認した。
【0035】
反応終了後、光重合開始剤であるイルガキュアー651(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のアセトフェノン系のもの)を10.0g添加し、溶解させて感光性ブチラール樹脂組成物3を得た。
(4)感光性ブチラール樹脂組成物4
撹拌器、コンデンサー、空気導入管および温度計を取り付けた500mlのセパラブルフラスコにハイドロキノンを0.005gと、トリエチレングリコールジアクリレート50gとフェノキシエチルアクリレート30gとトルエン20gとを仕込み、撹拌しながらポリビニルブチラールIV(表1参照)100.0gを徐々に添加し、70℃まで昇温してこれら化合物を溶解した。
【0036】
これに空気を導入しながらグリシジルメタアクリレートを64.0g仕込み、90℃まで昇温した。そのまま95〜100℃で5時間撹拌を継続し、反応終了は、赤外分光分析による赤外スペクトルの分析結果より、820cm−1のオキシラン環に帰属される吸収の消失により確認した。
【0037】
反応終了後、光重合開始剤であるイルガキュアー651を10.0g添加し、溶解させて感光性ブチラール樹脂組成物4を得た。
(5)感光性ブチラール樹脂組成物5
撹拌器、コンデンサー、空気導入管および温度計を取り付けた500mlのセパラブルフラスコにハイドロキノンを0.005gと、PEG#400ジアクリレート70gとイソボルニルアクリレート30gとを仕込み、撹拌しながらポリビニルブチラールI(表1参照)100.0gを徐々に添加し、70℃まで昇温してこれらの化合物を溶解した。
【0038】
これに空気を導入しながらアリルグリシジルエーテルを12.9g仕込み、90℃まで昇温した。そのまま95〜100℃で5時間撹拌を継続し、反応終了は、赤外分光分析による赤外スペクトルの分析結果より、820cm−1のオキシラン環に帰属される吸収の消失により確認した。
【0039】
反応終了後、光重合開始剤であるイルガキュアー369を10.0g添加し、溶解させて感光性ブチラール樹脂組成物5を得た。
(6)感光性ブチラール樹脂組成物6
撹拌器、コンデンサー、空気導入管および温度計を取り付けた500mlのセパラブルフラスコにハイドロキノンを0.005gと、PEG#400ジアクリレート70gとイソボルニルアクリレート30gとを仕込み、撹拌しながらポリビニルブチラールI(表1参照)100.0gを徐々に添加し、70℃まで昇温してこれらの化合物を溶解した。
【0040】
これに空気を導入しながら3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートを22.2g仕込み、90℃まで昇温した。そのまま95〜100℃で5時間撹拌を継続し、反応終了は、赤外分光分析による赤外スペクトルの分析結果より、820cm−1のオキシラン環に帰属される吸収の消失により確認した。
【0041】
反応終了後、光重合開始剤であるイルガキュアー369を10.0g添加し、溶解させて感光性ブチラール樹脂組成物6を得た。
【0042】
【表1】
2.比較例の樹脂組成物の合成例
(1)比較例樹脂組成物1
東亞合成化学社製のポリエステルアクリレート「アロニックスM−7100」60重量部と、PEG#400ジアクリレート40重量部と、光重合開始剤である「イルガキュアー651」5.0重量部とを混合して溶解し、比較例の樹脂組成物1(ポリエステルアクリレート系樹脂組成物)を得た。
(2)比較例樹脂組成物2
新中村化学社製のウレタンアクリレート「NKオリゴUA−6100」に光重合開始剤である「イルガキュアー651」5.0重量%を混合して溶解し、比較例の樹脂組成物2(ウレタンアクリレート系樹脂組成物)を得た。
(3)比較例樹脂組成物3
撹拌器、コンデンサー、空気導入管および温度計を取り付けた500mlのセパラブルフラスコにハイドロキノンを0.005gと、PEG#400ジアクリレート70gとイソボルニルアクリレート30gと油化シェルエポキシ社製「エピコート1001(ビスフェノールA系化合物)」84.6gとを仕込み、これに空気を導入しながら撹拌して80℃まで昇温後、滴下ロートにてアクリル酸15.4gを内部温度が110℃を超えないように徐々に滴下し、滴下終了後3時間100℃で反応を継続した。反応終了後、光重合開始剤であるイルガキュアー651を10.0g混合して溶解し、比較例の樹脂組成物3(エポキシ系樹脂組成物)を得た。
3.特性の評価
以上のようにして得られた各樹脂組成物の諸特性を以下のように評価した。
(1)引張強さと破断伸び
Si離型処理を施したPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に、得られた樹脂組成物をフィルムアプリケーターにて約300μmの厚さで塗布し、80℃で5分間乾燥後、高圧水銀ランプにて400mJの紫外線を照射して硬化を行なった。得られた硬化フィルムを幅5mm、長さ100mmの短冊状に切断し、引張り試験に供した。
【0043】
引張り試験機は島津製作所社製オートグラフを用い、20℃で相対湿度60%の恒温・恒湿室にて、引張りスピード10mm/min.、チャック間距離50mmで引張り試験を行なった。引張強さ(kgf/cm2)および破断時の伸び(%)を以下の表2に示す。
(2)屈曲試験
Si離型処理を施したPETフィルム上に、得られた樹脂組成物をフィルムアプリケーターにて約300μmの厚さで塗布し、80℃で5分間乾燥後、高圧水銀ランプにて400mJの紫外線を照射して硬化を行なった。得られた硬化フィルムを180°屈曲して割れ等の発生の有無を確認した。割れの発生が認められなかったものに「○」、割れの発生が認められたものに「×」の記号を付して、以下の表2に示す。
(3)剥離試験
ソーダガラス板上に得られた樹脂組成物をフィルムアプリケーターにて約300μmの厚さで塗布し、80℃で5分間乾燥後、高圧水銀ランプにて400mJの紫外線を照射して硬化を行なった。得られた硬化フィルムにカッターナイフにて、図1に示すような斜めの切れ込み1を施し、切れ込み1を施した上からセロテープ(R)を押し付け、次いでそのセロテープ(R)を剥離し、4つのセクションa、b、c、dの中でセロテープ(R)に付着して剥離することなく残った硬化フィルムセクションの数を「α」とし、以下の表2には、当初のセクション数4を分母して、分数(α/4)の形で表示する。
【0044】
【表2】
表2に示すように、本発明の実施例である感光性ブチラール樹脂は強度が高くて、屈曲性に優れ、ガラスへの良好な密着性を有している。
【0045】
【発明の効果】
本発明の感光性樹脂組成物は、側鎖に重合性二重結合をもつポリビニルブチラール(ポリビニルアセタール)を用いることで、屈曲性を向上し、従来の紫外線硬化樹脂組成物では困難であったガラスへの密着性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ガラス板上に塗布した樹脂組成物の剥離試験方法を説明する図である。
Claims (5)
- ポリビニルブチラール樹脂もしくはポリビニルアセタール樹脂の水酸基残基に対し、重合性二重結合とオキシラン基を分子中に含む化合物もしくは重合性二重結合とイソシアネート基を分子中に含む化合物にて重合性二重結合を導入した感光性樹脂を必須成分として含有する感光性樹脂組成物。
- 重合性二重結合とオキシラン基を分子中に含む化合物が、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレートまたは3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートである請求項1記載の感光性樹脂組成物。
- 重合性二重結合とイソシアネート基を分子中に含む化合物が、メタクリロイルオキシエチルイソシアネートである請求項1記載の感光性樹脂組成物。
- ポリビニルブチラール樹脂もしくはポリビニルアセタール樹脂に対する重合性二重結合とオキシラン基を分子中に含む化合物もしくは重合性二重結合とイソシアネート基を分子中に含む化合物の導入量が、0.1mEq/g〜10.0mEq/gである請求項1記載の感光性樹脂組成物。
- 請求項1記載の感光性樹脂30〜90重量部と、光反応性重合化合物5〜70重量部と、光重合開始剤1〜10重量部を含有する感光性樹脂組成物。
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