始めに、実施例1の車両用シートの作動操作構造について、図1〜図14を用いて説明する。ここで、図1には、本実施例の車両用シートの概略構成が示されている。この車両用シートは、車両の後部側座席として配設されており、着座部となるシート本体1をフロアF上の使用位置から車体天井C下の格納位置まで持ち上げて格納できるように構成されている。
このシート本体1は、背凭れとなるシートバック2と、着座部となるシートクッション3と、頭受けとなるヘッドレスト4と、を有する。ここで、シートクッション3は、その後端部が、シートバック2に対して起倒回転可能にヒンジ連結されている。そして、シートクッション3は、常時はこのヒンジ連結部に設けられた図示しない附勢ばねの附勢力によって、シートバック2の前面部に向けて起こし上げられる回転方向に附勢されている。
しかし、上記したシートクッション3は、常時はその底面部に設けられたクッションロック装置9がフロアF上のストライカS1に係合ロックされることにより、フロアF上に倒し込まれた姿勢に保持されている。一方、シートバック2は、常時はその背面部に設けられたフロアロック装置7がフロアFと一体的に設けられたストライカS2に係合ロックされることにより、フロアFに対して起立した姿勢に保持されている。
これにより、シート本体1は、常時はシートバック2やシートクッション3がフロアFに係合ロックされた状態として、着座使用可能な姿勢状態に保持されている。なお、シートバック2の下端部には、シート本体1を格納移動させた際に、車体天井C下に設けられたストライカS3と係合ロックすることのできる天井ロック装置8が設けられている。これら各ロック装置7〜9(フロアロック装置7、天井ロック装置8及びクッションロック装置9)は、シートバック2やシートクッション3の左右両サイドに設けられて左右一対で構成されている。
そして、各ロック装置7〜9は、シートバック2の背面部に設けられた板状の操作レバー5を後方側に倒し込む操作を行うことにより、それらのロック状態が一斉に解除操作される。これにより、シートクッション3が附勢によってシートバック2の前面部位置まで起こし上げられると共に、シートバック2がフロアFとの係合ロック状態から外されて、シート本体1が格納移動可能な状態となる。ここで、操作レバー5が本発明の操作部材に相当し、シート本体1が本発明の操作部材の取り付けられている構造体に相当する。
ここで、シート本体1は、シートバック2の両肩口に一体的に連結された連結アーム6によって、車体天井Cに対して回転可能にリンク連結されている。これにより、シート本体1は、上述したフロアFとの係合ロック状態が解除されることにより、連結アーム6と車体天井Cとのヒンジ連結部を中心に、フロアF上の使用位置から車体天井C下の格納位置まで起こし上げられるようになっている。
なお、図示は省略されているが、上述した連結アーム6と車体天井Cとの間には、シート本体1を格納移動させる方向に附勢する附勢ばねが設けられている。更に、連結アーム6と車体側部との間には、シート本体1の回転運動に弾みが付き過ぎないように回転速度を抑制するダンパー6dが設けられている。これにより、シート本体1を上述した使用位置と格納位置との間で回転させる移動操作が、上述した附勢ばねやダンパー6dの作用によってアシストされるようになっている。
ところで、上述した操作レバー5は、図2に示されるように、その下端部が連結軸5dによってシートバック2の背面部に回転可能にヒンジ連結されており、常時はシートバック2の背面側の凹部内に収容された状態でロックされて保持されている。ここで、図4に示されるように、操作レバー5の上端側近傍の面部には、開口部が形成されており、この開口部の形成によって、操作レバー5の上端部には、操作者Pが手を掛けて把持することのできる把持部5aが形成されている。
これにより、図1に示されるように、操作者Pが車両の後方側に立った位置から操作レバー5の把持部5aに容易に手を掛けて、操作レバー5を後方側に引き込んで倒し込む操作を容易に行えるようになっている。この操作レバー5の後方側への倒し込み回転は、図2及び図5に示されるように、操作レバー5の下端部に形成された係止部5tが、シートバック2の骨格をなすバックフレーム2fに形成されたストッパ2tと当接する位置で止められるようになっている。
そして、本実施例では、操作レバー5が上述した操作位置まで倒し込まれることにより、この操作位置から回転操作を戻す方向の動きが阻止されるようになっている。これにより、操作レバー5は、正逆双方向の回転操作が阻止された状態となって保持される。したがって、この倒し込み操作された操作レバー5に、今度はその操作を戻す方向(起こし上げる方向)の操作力をかけることにより、シート本体1が同方向に押し動かされて車体天井C下の格納位置まで起こし上げられる。
ここで、操作レバー5とシートバック2との間には、操作レバー5の開閉操作に追従してスライド運動するスライドアーム5bが連結されている。ここで、スライドアーム5bが本発明の操作部材の構成部材に相当する。このスライドアーム5bは、図6に示されるように、その一端が連結軸31pによって操作レバー5に回転可能にヒンジ連結されており、他端が連結軸bpによってバックフレーム2fの背面部に設置されたスライドレール2rにスライド可能に組み付けられたスライド駒baに対して回転可能にヒンジ連結されている。
上記したスライドレール2rは、図3に示されるように、ブラケット2bを介してバックフレーム2fに一体的に接合固定されて設けられている。そして、このスライドレール2rには、そのレールの延びる方向(シートバック2の高さ方向)に沿ってスライド駒baがスライド可能な状態に嵌め込まれており、このスライド駒baから突出して設けられた連結軸bpによって、スライドアーム5bの他端がスライド駒baに回転可能にヒンジ連結されている。
上記構成のスライドアーム5bは、操作レバー5の開閉操作に伴って、スライド駒baをスライドレール2rのレール形状に沿ってスライドさせながら、各端部を連結軸31p,bpを中心に回転運動させる。したがって、操作レバー5は、上述したスライドアーム5bのスライドを伴った回転運動によって、シートバック2に対する開閉操作が許容されるようになっている。次に、前述した操作レバー5の戻し操作を阻止する戻し阻止機構30の構成について説明する。
この戻し阻止機構30は、図6に示されるように、前述したスライドアーム5bと操作レバー5との連結部に設けられており、スライドアーム5bの連結軸31pを中心とした回転を阻止することで操作レバー5の戻し操作を阻止する構成となっている。具体的には、図7に示されるように、戻し阻止機構30は、操作レバー5の内板側の面部に固定設置された基板31と、この基板31に連結軸32aによって回転可能にヒンジ連結されたL字アーム32と、L字アーム32に連結された従動アーム33と、L字アーム32を回転附勢する引張ばね34と、L字アーム32を回転操作する操作ワイヤ35とを有する。ここで、操作ワイヤ35が本発明の解除部に相当する。
詳しくは、引張ばね34は、L字アーム32と基板31との間に掛着されており、常時はL字アーム32を連結軸32aを中心に図示反時計回り方向に回転附勢している。また、従動アーム33は、基板31に形成されたガイド31gに嵌め込まれて設けられており、ガイド31gの挟持形状に沿った方向にのみスライド可能とされている。そして、従動アーム33は、その突出形成された係合ピン33aが、L字アーム32に形成された長孔32h内にスライド可能に嵌め込まれており、この嵌め込み部からL字アーム32が回転する動きを受けることによりガイド31gの形状に沿ってスライド操作されるようになっている。
そして、図8に示されるように、従動アーム33には、そのスライド運動に伴って、基板31に立ち並んで形成された二枚の起立板31aの孔部に対して抜き差しされる突出ピン33pが一体的に形成されている。この突出ピン33pは、図7に示されるように、L字アーム32が引張ばね34の附勢力によって初期の回転位置に保持された状態では、起立板31aの孔部内に差し込まれた状態として保持されている。そして、突出ピン33pは、図8に示されるように、L字アーム32が上記の附勢に抗して図示時計回り方向に回転操作されることにより、起立板31aの孔部から引き抜かれるようになっている。
ここで、上述した二枚の起立板31aの板間には、スライドアーム5bの一端が配設されて連結軸31pによって回転可能にヒンジ連結されている。このスライドアーム5bは、図8に示されるように、突出ピン33pが起立板31aの孔部から引き抜かれた状態では、連結軸31pを中心に回転できるようになっている。しかし、図7に示されるように、スライドアーム5bは、突出ピン33pが起立板31aの孔部内に差し込まれた状態では、突出ピン33pとの当接によってその回転移動が阻止されるようになっている。
これにより、スライドアーム5bは、図6に示されるように、操作レバー5がシートバック2の背面部に収納された時の操作前位置(仮想線位置)と、操作レバー5がシートバック2の後方側に倒し込まれた時の操作位置(実線位置)とにおいて、それぞれ、突出ピン33pの側面部との当接によってその回転移動が阻止されるようになっている。そして、このスライドアーム5bの回転止め状態は、突出ピン33pを起立板31aの孔部から引き抜く操作によって解除されるようになっている。
この突出ピン33pを引き抜く操作は、図8に示されるように、L字アーム32に連結された操作ワイヤ35をプッシュ操作して、L字アーム32を図示時計回り方向に回転させる操作によって行われる。ここで、操作ワイヤ35は、撓み変形量の少ない剛体のワイヤ部材によって形成されており、図示された一端(下端)がL字アーム32にピン連結されている。そして、図4に示されるように、操作ワイヤ35の上端は、前述した操作レバー5の図示上端側近傍の開口部の右側部に形成された上下方向に延びる長孔5h内に折り曲げられて差し込まれている。
これにより、操作ワイヤ35の上端は、その先端部が操作レバー5の後方側に突出した状態(図5参照)とされており、常時は前述したL字アーム32にかかる引張ばね34の附勢力によって、長孔5hの上端部に保持されている。したがって、上記のように設けられた操作ワイヤ35は、操作者Pの手が掛けられる把持部5aに近接した位置に配置されるため、把持部5aを掴んだ手の親指などを届かせて、これを下方側に押し下げる操作を簡単に行えるようになっている。そして、操作ワイヤ35の上端が下方側に押し下げられることにより、図8において前述したように突出ピン33pが引き抜き操作されて、スライドアーム5bの回転止め状態が解除される。
ここで、図6に示されるように、スライドアーム5bは、操作レバー5が倒し込み操作された図示実線の回転位置と操作前の図示仮想線の回転位置との間で、各回転位置から少しでも回転操作されると、突出ピン33pが突出する移動軌跡上に位置して、突出ピン33pの突出移動を阻止するようになっている。したがって、操作レバー5が上記した各回転位置から少しでも操作方向或いは操作を戻す方向に回転操作されたら、あとは操作ワイヤ35の押し下げ操作をやめても、操作レバー5の開閉操作を継続して行うことができる。
ところで、図1に戻って、前述した各ロック装置7〜9は、各ストライカS1〜S3との係合ロックから外された状態時には、シート本体1がフロアFや車体天井Cに押し付けられる動きによって、各ストライカS1〜S3とそれぞれ係合ロックすることのできるロック可能状態となっている。そして、各ロック装置7〜9は、上述した操作レバー5をシートバック2の後方側に倒し込む解除操作を行うことによって、各ストライカS1〜S3に対する係合ロック状態が一斉に解除操作されるようになっている。
ここで、各ロック装置7〜9のうち、フロアロック装置7及び天井ロック装置8は、操作レバー5によるロック解除の操作が、シートバック2内に設けられた切換機構20を介して行われるようになっている。この切換機構20は、図9に示されるように、操作レバー5に繋がれて牽引操作される操作ケーブル5cと、フロアロック装置7に繋がれた解除ケーブル7c及び天井ロック装置8に繋がれた解除ケーブル8cと、をそれぞれ操作力伝達可能に連結したり伝達不能に遮断したりすることのできる構成となっている。
具体的には、切換機構20は、シートバック2の骨格に固定設置されたベース板21と、このベース板21に軸支連結された第1アーム22及び第2アーム23と、によって構成されている。ここで、第1アーム22は、支軸22aによってベース板21に回転可能に軸支連結されている。そして、第1アーム22は、常時は図示しない附勢ばねの附勢力を受けて、図示反時計回りに回転附勢された状態として、ベース板21から切り起こされたストッパ21aと当接する初期位置の姿勢状態に保持されている。そして、この第1アーム22の図示左側の腕部には、操作ケーブル5cの下端部が連結されている。
一方、第2アーム23は、支軸23aによってベース板21に回転可能に軸支連結されている。そして、第2アーム23は、常時は図示しない附勢ばねの附勢力を受けて、同図に示された初期位置の姿勢状態に保持されている。そして、この第2アーム23の図示下側の腕部には、前述した各解除ケーブル7c,8cの右側端部が連結されている。そして、この第2アーム23には、第1アーム22の回転軌跡内に張り出す位置に係合ピン23bが設けられている。
上記構成の切換機構20は、操作レバー5が解除操作される前の常時は、各解除ケーブル7c,8cを図示された初期位置の状態に保持している。そして、操作レバー5が解除操作されて操作ケーブル5cが図示上方側に牽引操作されることにより、第1アーム22が時計回りに回転操作される。これにより、図10の仮想線状態で示されるように、第1アーム22が第2アーム23の係合ピン23bと当接し、これを押し回すことで、第2アーム23が反時計回りに回転操作されて両解除ケーブル7c,8cが一斉に牽引操作される。
しかし、この後、操作レバー5の解除操作の進行によって操作ケーブル5cが更に牽引操作されると、同図の実線で示されるように、第1アーム22が係合ピン23bとの当接状態から外される。これにより、第2アーム23が前述した附勢ばね(図示省略)の附勢力によって時計回りに初期位置まで戻されて、両解除ケーブル7c,8cの牽引操作状態が解除される。
すなわち、切換機構20は、操作レバー5の解除操作の進行に伴って、一旦牽引操作した両解除ケーブル7c,8cの牽引操作状態が解除される構成となっている。これにより、操作レバー5に繋がれた操作ケーブル5cと各解除ケーブル7c,8cとが、操作レバー5の解除操作の進行に伴って、互いに操作力伝達可能に連結されたり伝達不能に遮断されたりするようになっている。
なお、切換機構20は、操作レバー5の解除操作をやめることにより、第1アーム22が附勢ばね(図示省略)の附勢力によって初期位置に戻されることで初期状態に戻される。このとき、第1アーム22が初期位置に戻される途中で、第1アーム22が係合ピン23bと当接した状態となるが、この当接状態は、第2アーム23が図示時計回りに押動されて回避回転することによって外されるようになっている。
次に、前述した各ロック装置7〜9の構成について図11〜図12を用いて説明する。なお、各ロック装置7〜9は、実質的には互いに同じロック構造10を備えているため、以下ではこれらのロック構造10についてまとめて説明することとする。
すなわち、図11に示されるように、各ロック装置7〜9は、シートバック2或いはシートクッション3の骨格部に固定設置されたベース板11と、このベース板11に対して回転可能に軸支連結されたラッチ12及びポール13と、このラッチ12とポール13との間に掛着された引張ばね14と、解除ケーブル15(解除ケーブル7c,8c,9c)と、によって構成されている。これらロック装置7〜9は、ストライカ16(ストライカS1〜S3)がベース板11に形成された受入口11aの内部に押し込まれることによって、このストライカ16にラッチ12を係合ロックさせる構成となっている。
詳しくは、ラッチ12は、支軸12eによってベース板11に回転可能に軸支連結されている。そして、ラッチ12は、常時はその掛部12cとポール13の掛部13cとの間に掛着された引張ばね14の附勢力を受けて、図示反時計回りに回転附勢された状態として、ベース板11に形成されたストッパ11bと当接した初期位置の姿勢状態に保持されている。
このラッチ12には、その初期位置の姿勢状態時に、ベース板11に形成された受入口11aの口内に張り出す上顎12aと、ラッチ12が初期位置から時計回りに回転した際に、受入口11aを塞ぐように移動する下顎12bと、が形成されている。そして更に、ラッチ12には、これが初期位置から時計回りに回転した際に、ポール13に形成された爪部13bと係止し合う角部12dが形成されている。
一方、ポール13は、支軸13eによってベース板11に回転可能に軸支連結されている。そして、ポール13は、常時は前述したラッチ12との間に掛着された引張ばね14の附勢力を受けて、図示時計回りに回転附勢された状態として、ラッチ12の角部12dに押し当てられた初期位置の姿勢状態に保持されている。このポール13には、解除ケーブル15の右側端部と連結されて作動操作される操作腕13aと、ラッチ12が初期位置から時計回りに回転した際に、その角部12dと係止し合う爪部13bと、が形成されている。
上記構成の各ロック装置7〜9は、ストライカ16(ストライカS1〜S3)がベース板11の受入口11aの内部に押し込まれる動きによって、この口内に上顎12aを露出させているラッチ12が時計回りに押し動かされる。これにより、図12に示されるように、ラッチ12が、引張ばね14の附勢力によって、その角部12dにポール13の爪部13bが引き寄せられて互いに係止し合った状態となってその回転がロックされる。
そして、この時計回りの回転に伴って、下顎12bがストライカ16の背後に回り込むかたちで移動して、受入口11aを塞ぎ込む。これにより、ストライカ16が受入口11aの内部において、ラッチ12によって係合ロックされた状態として保持される。すなわち、上記構成のロック構造10は、解除ケーブル15の牽引操作が行われる前の状態では、これをストライカ16に押し込む操作によって互いに係合ロックすることのできるロック可能状態となっている。
そして、このストライカ16の係合ロック状態は、解除ケーブル15(解除ケーブル7c,8c,9c)を牽引操作することによって解除することができる。具体的には、図11に示されるように、解除ケーブル15を牽引操作することにより、操作腕13aが操作されてポール13が反時計回りに回転操作される。これにより、ポール13の爪部13bとラッチ12の角部12dとの係止状態が外れて、ラッチ12が引張ばね14の附勢力によって反時計回りに回転する。
これにより、ストライカ16がラッチ12の上顎12aによって押し出される格好で受入口11aから吐き出され、両者の係合ロック状態が解除される。そして、解除ケーブル15の牽引操作が解除されることにより、ポール13が再びラッチ12の角部12dに押し当てられた状態となり、各ロック装置7〜9は再びストライカ16と係合ロックすることのできるロック可能状態に戻される。
しかし、各ロック装置7〜9は、解除ケーブル15の牽引操作が継続された状態では、ストライカ16が受入口11aの内部に押し込まれてラッチ12が時計回りに回転しても、ポール13の動きが留められているためにこのポール13との係止は行われない。したがって、この状態では、ロック構造10は、これをストライカ16に押し込む操作を行っても互いに係合ロックすることのないロック不能状態とされている。
ここで、図9において前述したように、フロアロック装置7の解除ケーブル7cと天井ロック装置8の解除ケーブル8cは、操作レバー5の解除操作を行うことにより、一旦牽引操作された後、切換機構20によってその解除操作状態が解かれる。したがって、フロアロック装置7及び天井ロック装置8は、操作レバー5の解除操作状態を継続した状態であっても、ロック状態が解除操作された後に再びロック可能状態に戻される。
なお、図1において前述したクッションロック装置9の解除ケーブル9c(図11参照)は、図示は省略されているが、操作レバー5或いは操作ケーブル5cと直結されている。これにより、クッションロック装置9は、操作レバー5の解除操作状態が解かれることによって、ロック可能状態に戻されるようになっている。
したがって、シート本体1を格納操作する場合には、操作レバー5の倒し込み操作を行って、操作レバー5が倒し込まれた操作位置に固定されたら、次に操作レバー5を操作を戻す方向(前方)に押して、シート本体1を車体天井C下に押し付けるように操作すればよい。これにより、図13に示されるように、天井ロック装置8が車体天井C下のストライカS3に押し付けられて係合ロックするため、シート本体1が車体天井C下の格納位置に係合ロックされた状態となって保持される。
そしてその後に、図5において前述した操作ワイヤ35の押し下げ操作を行って、操作レバー5を操作前の位置に戻すことにより、操作レバー5が操作前の位置に戻された状態で保持される。次に、シート本体1を格納位置からフロアF上の使用位置に戻す場合には、前述した格納操作時と同じく、操作レバー5をシートバック2の後方側に倒し込む操作を行えばよい。これにより、操作レバー5が倒し込まれた操作位置に固定されるため、これを更に手前に引き込むように操作することで、シート本体1をフロアF上に落とし込んでいくことができる。
そしてこれにより、図14に示されるように、フロアロック装置7がフロアF上のストライカS2に押し付けられて係合ロックするため、シート本体1がフロアF上の使用位置に戻されて保持される。そしてその後に、図5において前述した操作ワイヤ35の押し下げ操作を行って、操作レバー5を操作前の位置に戻すことにより、操作レバー5が操作前の位置に戻された状態で保持される。そして次に、シートクッション3をフロアF上に倒し込むことにより、クッションロック装置9がフロアF上のストライカS1に押し付けられて係合ロックするため、シート本体1を元の着座使用可能な姿勢状態に戻すことができる。
このように、本実施例の車両用シートの作動操作構造によれば、操作レバー5の取り付けられているシート本体1は、操作レバー5を後方側に倒し込んだ操作位置から操作を戻す方向に操作力をかけることによって格納操作される。このとき、操作レバー5にかけられる戻し方向の操作力は、操作レバー5が戻し阻止機構30によって戻し操作が阻止された状態で行われる。したがって、操作レバー5をばたつかせることなく操作レバー5に操作力をかけることができるため、シート本体1の作動操作性を向上させることができる。
また、操作ワイヤ35の操作方向を操作レバー5の倒し込み回転操作方向に向けた押し下げ方向に設定したことにより、把持部5aにかけた手で操作ワイヤ35の操作を簡便に行うことができる。また、戻し阻止機構30は、出し入れ操作式の突出ピン33pの側面部に、操作レバー5の構成部材であるスライドアーム5bを当接させて、その移動操作を阻止する構成として、比較的簡素に構成される。そして、この突出ピン33pによる移動阻止構造が、操作レバー5の操作前位置における操作方向への移動も阻止するよう構成が兼ねられていることにより、かかる構成全体を合理化して簡素に構成することができる。
以上、本発明の実施形態を1つの実施例について説明したが、本発明は上記実施例のほか各種の形態で実施できるものである。例えば、本発明の車両用シートの作動操作構造は、シート本体をフロア上で車両前後方向にスライドさせたり、シートバックの背凭れ角度を調整したりする作動操作を目的として構成されていてもよい。また、操作部材の操作は回転操作タイプのものでなくても良く、例えば直動操作タイプのものであってもよい。また、戻し阻止機構は、例えば図6に示されている連結軸bpによるスライドアーム5bとスライド駒baとのヒンジ連結部や、図5に示されている連結軸5dによる操作レバー5とシートバック2とのヒンジ連結部に設定されていてもよい。