JP5233439B2 - 車両用シートの作動操作構造 - Google Patents

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Description

本発明は、車両用シートの作動操作構造に関する。詳しくは、操作部材に操作を戻す方向の操作力がかけられることにより、この操作部材の取り付けられている構造体が作動操作される車両用シートの作動操作構造に関する。
従来、車両用シートにおいて、操作レバーの操作によってシート本体を前後方向にスライドさせるなどの作動操作を行えるようになっている構造が知られている。ここで、下記特許文献1には、操作レバーの操作によって、シート本体のスライドロック状態を解除してシート本体をスライド可能な状態にすることができる構造が開示されている。この開示では、操作レバーがシートバックの肩口に設けられており、これを前倒しする操作によってシート本体のスライドロック状態が解除されるようになっている。そして、上述した前倒し操作された操作レバーにそのまま前方側への操作力をかけることにより、その操作力をかけた前方側にシート本体をスライド操作することができる。
特開2005−22550号公報
しかし、上記開示の従来技術では、シート本体を後方側にスライド操作する際には、操作レバーが戻し方向に操作されないようにこれを前倒しした位置に保持しながら操作を行わなければならず、シート本体のスライド操作性が悪くなってしまうことがある。
本発明は、上記した問題を解決するものとして創案されたものであって、本発明が解決しようとする課題は、操作部材に操作を戻す方向の操作力がかけられることにより操作部材の取り付けられている構造体が作動操作される構成において、構造体の作動操作性を向上させることにある。
上記課題を解決するために、本発明の車両用シートの作動操作構造は次の手段をとる。先ず、第1の発明は、操作部材に操作を戻す方向の操作力がかけられることにより操作部材の取り付けられている構造体が作動操作される車両用シートの作動操作構造である。操作部材の操作構造には、操作部材の戻し操作を阻止することのできる戻し阻止機構が設けられている。構造体の作動操作は、戻し阻止機構によって操作位置に保持された操作部材に戻し方向の操作力がかけられることで行われるようになっている。戻し阻止機構は、操作部材を操作位置から戻し方向とは異なる特定の方向に操作することにより、操作部材の戻し操作を阻止する構造となっている。
この第1の発明によれば、操作部材の取り付けられている構造体は、操作部材に操作位置から戻される方向の操作力がかけられることで作動操作される。このとき、操作部材にかけられる戻し方向の操作力は、操作部材が戻し阻止機構によって戻し操作が阻止された状態で行われる。この戻し阻止機構は、操作部材を操作位置から戻す方向とは異なる特定の方向に操作することによって操作部材の戻し操作を阻止する。したがって、操作部材をばたつかせることなく操作部材に戻し方向の操作力をかけることができるため、構造体の作動操作性を向上させることができる。また、操作部材の操作によってその戻し操作を阻止した状態とすることができるため、別途の戻し阻止操作用の操作部材が設定される構成と比べると、構造体の作動操作性を向上させることができる。
次に、第2の発明は、上述した第1の発明において、操作部材の操作は、車両用シートのシートバックの背面部から後方側に倒し込まれる回転操作として行われる。そして、この回転操作により、シート本体のフロアとの係合状態が外される。そして、操作部材に戻し方向の操作力がかけられることにより、シート本体がその車体天井とリンク連結された連結構造によって、車体天井下の格納位置まで前方上方に起こし上げられて保持される。シート本体が格納位置に保持された状態で、操作部材に車両後方側から下方側に引き込むように操作力がかけられることにより、操作部材が倒し込み回転操作されて、シート本体の格納位置での保持状態が解除され、シート本体が同操作力によってフロア上の使用位置まで後方下方に戻し込まれる。戻し阻止機構は、操作部材を倒し込み回転操作した操作位置から車両後方側に引き込み操作することによって、操作部材の戻し操作を阻止した状態となる。
この第2の発明によれば、シート本体が車体天井下の格納位置に保持された状態で、操作部材を車両後方側から下方側に引き込むように操作することにより、操作部材が回転操作されてシート本体の格納位置での保持状態が解除される。これにより、操作部材は、車体天井下にあるシートバックの背面部から下方側に引き出された状態となり、操作者が車両後方側の位置から操作を行い易い位置に配置された状態となる。そして、この操作位置に引き出された操作部材を車両後方側から引き込む方向に操作することにより、戻し阻止機構によって操作部材の戻し方向の操作が阻止された状態となる。このように、シート本体を車体天井下の格納位置からフロア上の使用位置に戻し込む操作時に、操作部材をシート本体を戻し込む方向に引くことでその戻し操作を阻止した状態にすることができ、構造体の作動操作性を更に向上させることができる。
次に、第3の発明は、上述した第1又は第2の発明において、戻し阻止機構の構成は、操作部材を構造体に対して回転可能に連結する連結軸がキー形状に突出して形成されており、操作部材を回転操作した操作位置で回転中心から引き離す方向に操作することにより、キー形状の連結軸が操作部材或いは構造体との連結部に形成されたキー溝内に引き込まれて嵌合し操作部材の戻し方向の回転操作を阻止する構成となっている。
この第3の発明によれば、キー形状の連結軸をキー溝内に嵌合させて戻し操作を阻止する構成として、戻し阻止機構を比較的簡素な構成で具現化することができる。
以下に、本発明を実施するための最良の形態の実施例について図面を用いて説明する。
始めに、実施例1の車両用シートの作動操作構造について、図1〜図10を用いて説明する。ここで、図1には、本実施例の車両用シートの概略構成が示されている。この車両用シートは、車両の後部側座席として配設されており、着座部となるシート本体1をフロアF上の使用位置から車体天井C下の格納位置まで持ち上げて格納できるように構成されている。
このシート本体1は、背凭れとなるシートバック2と、着座部となるシートクッション3と、頭受けとなるヘッドレスト4と、を有する。ここで、シートクッション3は、その後端部が、シートバック2に対して起倒回転可能にヒンジ連結されている。そして、シートクッション3は、常時はこのヒンジ連結部に設けられた図示しない附勢ばねの附勢力によって、シートバック2の前面部に向けて起こし上げられる回転方向に附勢されている。
しかし、上記したシートクッション3は、常時はその底面部に設けられたクッションロック装置9がフロアF上のストライカS1に係合ロックされることにより、フロアF上に倒し込まれた姿勢に保持されている。一方、シートバック2は、常時はその背面部に設けられたフロアロック装置7がフロアFと一体的に設けられたストライカS2に係合ロックされることにより、フロアFに対して起立した姿勢に保持されている。
これにより、シート本体1は、常時はシートバック2やシートクッション3がフロアFに係合ロックされた状態として、着座使用可能な姿勢状態に保持されている。なお、シートバック2の下端部には、シート本体1を格納移動させた際に、車体天井C下に設けられたストライカS3と係合ロックすることのできる天井ロック装置8が設けられている。これら各ロック装置7〜9(フロアロック装置7、天井ロック装置8及びクッションロック装置9)は、シートバック2やシートクッション3の左右両サイドに設けられて左右一対で構成されている。
そして、各ロック装置7〜9は、シートバック2の背面部に設けられた板状の操作レバー5を後方側に倒し込む操作を行うことにより、それらのロック状態が一斉に解除操作される。これにより、シートクッション3が附勢によってシートバック2の前面部位置まで起こし上げられると共に、シートバック2がフロアFとの係合ロック状態から外されて、シート本体1が格納移動可能な状態となる。ここで、操作レバー5が本発明の操作部材に相当し、シート本体1が本発明の操作部材の取り付けられている構造体に相当する。
ここで、シート本体1は、シートバック2の両肩口に一体的に連結された連結アーム6によって、車体天井Cに対して回転可能にリンク連結されている。これにより、シート本体1は、上述したフロアFとの係合ロック状態が解除されることによって、連結アーム6と車体天井Cとのヒンジ連結部を中心に、フロアF上の使用位置から車体天井C下の格納位置まで起こし上げられるようになっている。
なお、図示は省略されているが、上述した連結アーム6と車体天井Cとの間には、シート本体1を格納移動させる方向に附勢する附勢ばねが設けられている。更に、連結アーム6と車体側部との間には、シート本体1の回転運動に弾みが付き過ぎないように回転速度を抑制するダンパー6dが設けられている。これにより、シート本体1を上述した使用位置と格納位置との間で回転させる移動操作が、上述した附勢ばねやダンパー6dの作用によってアシストされるようになっている。
ところで、上述した操作レバー5は、その下端部が連結軸2pによってシートバック2の背面部に回転可能にヒンジ連結されており、常時はシートバック2との間に掛着された図示しない附勢ばねの附勢力によって、起こし上げられる回転方向に附勢されている。これにより、操作レバー5は、常時はシートバック2の背面側の凹部内に収容された状態に保持されている。
ここで、図4に示されるように、操作レバー5の上端側近傍の面部には、開口部が形成されており、この開口部の形成によって、操作レバー5の上端部には、操作者Pが手を掛けて把持することのできる把持部5aが形成されている。これにより、図1に示されるように、操作者Pが車両の後方側に立った位置から操作レバー5の把持部5aに手を掛けて、操作レバー5を後方側に引き込んで倒し込む操作を容易に行えるようになっている。この操作レバー5を倒し込む回転操作は、図示は省略されているが、操作レバー5の下端部に形成された係止部がシートバック2の骨格部に当接する位置で止められるようになっている。
そして、本実施例では、操作レバー5が上述した操作位置まで倒し込まれることにより、そこから操作レバー5を手前側に引くように操作することで、操作レバー5の戻し方向の回転操作を阻止できるようになっている。これにより、操作レバー5は、その正逆双方向の回転操作が阻止された状態となって保持される。したがって、この倒し込み操作された操作レバー5に、今度はその操作を戻す方向(起こし上げる方向)の操作力をかけることにより、シート本体1が同方向に押し動かされて車体天井C下の格納位置まで起こし上げられる。
次に、上述した操作レバー5の回転操作を戻す方向の動きを阻止する戻し阻止機構の構成について説明する。すなわち、図4に示されるように、シートバック2の縦方向に延びる骨格をなすバックフレーム2fには、“コ”符号状に折り曲げられた板状のブラケット2bが一体的に接合されて固定されている。そして、このブラケット2bの“コ”符号状に折り曲げられた両板部には、操作レバー5を回転可能に軸支するための連結軸2pが挿通されて取り付けられている。
これら連結軸2pは、ブラケット2bの両板部に一体的に固定されており、操作レバー5を回転可能に軸支する部位が板状となるキー形状に形成されている。そして、これら連結軸2pの板形状部の両サイド面は、操作レバー5の下端側両サイド部に形成された孔5hの内周面形状に即した円弧面形状に形成されている。したがって、図2に示されるように、操作レバー5は、各孔5h内に各連結軸2pが挿通されて組み付けられることにより、各連結軸2pの湾曲した両サイド面によって滑らかに回転可能に支持されるようになっている。
ここで、上述した各孔5hには、その内周面の形状の一部に、凹状に窪んだキー溝5jが形成されている。これらキー溝5jは、上述した各連結軸2pの板形状部の板厚よりも若干大きい溝幅を有して形成されており、図3に示されるように、各連結軸2pの板形状部と向きが一致することによって各連結軸2pの板形状部を溝内部に受け入れられるようになっている。ここで、各キー溝5jは、操作レバー5の下方側に向けて凹むように配置形成されており、操作レバー5が係止する位置まで倒し込まれることによって、各連結軸2pの板形状部を半径方向に受け入れ可能な位置へと移動するようになっている。
したがって、操作レバー5を倒し込んだ後、操作レバー5をその倒し込んだ位置で回転中心(連結軸2p)から引き離す方向に操作することにより、連結軸2pの板形状部がキー溝5j内に引き込まれて嵌合する。これにより、操作レバー5は、連結軸2pを中心とした双方向の回転が阻止された状態となる。なお、操作レバー5の回転止め状態は、操作レバー5を回転中心に向けて押し込むように操作することによって解除されるようになっている。
ところで、図1に戻って、前述した各ロック装置7〜9は、各ストライカS1〜S3との係合ロックから外された状態時には、シート本体1がフロアFや車体天井Cに押し付けられる動きによって、各ストライカS1〜S3とそれぞれ係合ロックすることのできるロック可能状態となっている。そして、各ロック装置7〜9は、上述した操作レバー5をシートバック2の後方側に倒し込む解除操作を行うことによって、各ストライカS1〜S3に対する係合ロック状態が一斉に解除操作されるようになっている。
ここで、各ロック装置7〜9のうち、フロアロック装置7及び天井ロック装置8は、操作レバー5によるロック解除の操作が、シートバック2内に設けられた切換機構20を介して行われるようになっている。この切換機構20は、図5に示されるように、操作レバー5に繋がれて牽引操作される操作ケーブル5cと、フロアロック装置7に繋がれた解除ケーブル7c及び天井ロック装置8に繋がれた解除ケーブル8cと、をそれぞれ操作力伝達可能に連結したり伝達不能に遮断したりすることのできる構成となっている。
具体的には、切換機構20は、シートバック2の骨格に固定設置されたベース板21と、このベース板21に軸支連結された第1アーム22及び第2アーム23と、によって構成されている。ここで、第1アーム22は、支軸22aによってベース板21に回転可能に軸支連結されている。そして、第1アーム22は、常時は図示しない附勢ばねの附勢力を受けて、図示反時計回りに回転附勢された状態として、ベース板21から切り起こされたストッパ21aと当接する初期位置の姿勢状態に保持されている。そして、この第1アーム22の図示左側の腕部には、操作ケーブル5cの下端部が連結されている。
一方、第2アーム23は、支軸23aによってベース板21に回転可能に軸支連結されている。そして、第2アーム23は、常時は図示しない附勢ばねの附勢力を受けて、同図に示された初期位置の姿勢状態に保持されている。そして、この第2アーム23の図示下側の腕部には、前述した各解除ケーブル7c,8cの右側端部が連結されている。そして、この第2アーム23には、第1アーム22の回転軌跡内に張り出す位置に係合ピン23bが設けられている。
上記構成の切換機構20は、操作レバー5が解除操作される前の常時は、各解除ケーブル7c,8cを図示された初期位置の状態に保持している。そして、操作レバー5が解除操作されて操作ケーブル5cが図示上方側に牽引操作されることにより、第1アーム22が時計回りに回転操作される。これにより、図6の仮想線状態で示されるように、第1アーム22が第2アーム23の係合ピン23bと当接し、これを押し回すことで、第2アーム23が反時計回りに回転操作されて両解除ケーブル7c,8cが一斉に牽引操作される。
しかし、この後、操作レバー5の解除操作の進行によって操作ケーブル5cが更に牽引操作されると、同図の実線で示されるように、第1アーム22が係合ピン23bとの当接状態から外される。これにより、第2アーム23が前述した附勢ばね(図示省略)の附勢力によって時計回りに初期位置まで戻されて、両解除ケーブル7c,8cの牽引操作状態が解除される。
すなわち、切換機構20は、操作レバー5の解除操作の進行に伴って、一旦牽引操作した両解除ケーブル7c,8cの牽引操作状態が解除される構成となっている。これにより、操作レバー5に繋がれた操作ケーブル5cと各解除ケーブル7c,8cとが、操作レバー5の解除操作の進行に伴って、互いに操作力伝達可能に連結されたり伝達不能に遮断されたりするようになっている。
なお、切換機構20は、操作レバー5の解除操作をやめることにより、第1アーム22が附勢ばね(図示省略)の附勢力によって初期位置に戻されることで初期状態に戻される。このとき、第1アーム22が初期位置に戻される途中で、第1アーム22が係合ピン23bと当接した状態となるが、この当接状態は、第2アーム23が図示時計回りに押動されて回避回転することによって外されるようになっている。
次に、前述した各ロック装置7〜9の構成について図7〜図8を用いて説明する。なお、各ロック装置7〜9は、実質的には互いに同じロック構造10を備えているため、以下ではこれらのロック構造10についてまとめて説明することとする。
すなわち、図7に示されるように、各ロック装置7〜9は、シートバック2或いはシートクッション3の骨格部に固定設置されたベース板11と、このベース板11に対して回転可能に軸支連結されたラッチ12及びポール13と、このラッチ12とポール13との間に掛着された引張ばね14と、解除ケーブル15(解除ケーブル7c,8c,9c)と、によって構成されている。これらロック装置7〜9は、ストライカ16(ストライカS1〜S3)がベース板11に形成された受入口11aの内部に押し込まれることによって、このストライカ16にラッチ12を係合ロックさせる構成となっている。
詳しくは、ラッチ12は、支軸12eによってベース板11に回転可能に軸支連結されている。そして、ラッチ12は、常時はその掛部12cとポール13の掛部13cとの間に掛着された引張ばね14の附勢力を受けて、図示反時計回りに回転附勢された状態として、ベース板11に形成されたストッパ11bと当接した初期位置の姿勢状態に保持されている。
このラッチ12には、その初期位置の姿勢状態時に、ベース板11に形成された受入口11aの口内に張り出す上顎12aと、ラッチ12が初期位置から時計回りに回転した際に、受入口11aを塞ぐように移動する下顎12bと、が形成されている。そして更に、ラッチ12には、これが初期位置から時計回りに回転した際に、ポール13に形成された爪部13bと係止し合う角部12dが形成されている。
一方、ポール13は、支軸13eによってベース板11に回転可能に軸支連結されている。そして、ポール13は、常時は前述したラッチ12との間に掛着された引張ばね14の附勢力を受けて、図示時計回りに回転附勢された状態として、ラッチ12の角部12dに押し当てられた初期位置の姿勢状態に保持されている。このポール13には、解除ケーブル15の右側端部と連結されて作動操作される操作腕13aと、ラッチ12が初期位置から時計回りに回転した際に、その角部12dと係止し合う爪部13bと、が形成されている。
上記構成の各ロック装置7〜9は、ストライカ16(ストライカS1〜S3)がベース板11の受入口11aの内部に押し込まれる動きによって、この口内に上顎12aを露出させているラッチ12が時計回りに押し動かされる。これにより、図8に示されるように、ラッチ12が、引張ばね14の附勢力によって、その角部12dにポール13の爪部13bが引き寄せられて互いに係止し合った状態となってその回転がロックされる。
そして、この時計回りの回転に伴って、下顎12bがストライカ16の背後に回り込むかたちで移動して、受入口11aを塞ぎ込む。これにより、ストライカ16が受入口11aの内部において、ラッチ12によって係合ロックされた状態として保持される。すなわち、上記構成のロック構造10は、解除ケーブル15の牽引操作が行われる前の状態では、これをストライカ16に押し込む操作によって互いに係合ロックすることのできるロック可能状態となっている。
そして、このストライカ16の係合ロック状態は、解除ケーブル15(解除ケーブル7c,8c,9c)を牽引操作することによって解除することができる。具体的には、図7に示されるように、解除ケーブル15を牽引操作することにより、操作腕13aが操作されてポール13が反時計回りに回転操作される。これにより、ポール13の爪部13bとラッチ12の角部12dとの係止状態が外れて、ラッチ12が引張ばね14の附勢力によって反時計回りに回転する。
これにより、ストライカ16がラッチ12の上顎12aによって押し出される格好で受入口11aから吐き出され、両者の係合ロック状態が解除される。そして、解除ケーブル15の牽引操作が解除されることにより、ポール13が再びラッチ12の角部12dに押し当てられた状態となり、各ロック装置7〜9は再びストライカ16と係合ロックすることのできるロック可能状態に戻される。
しかし、各ロック装置7〜9は、解除ケーブル15の牽引操作が継続された状態では、ストライカ16が受入口11aの内部に押し込まれてラッチ12が時計回りに回転しても、ポール13の動きが留められているためにこのポール13との係止は行われない。したがって、この状態では、ロック構造10は、これをストライカ16に押し込む操作を行っても互いに係合ロックすることのないロック不能状態とされている。
ここで、図5において前述したように、フロアロック装置7の解除ケーブル7cと天井ロック装置8の解除ケーブル8cは、操作レバー5の解除操作を行うことにより、一旦牽引操作された後、切換機構20によってその解除操作状態が解かれる。したがって、フロアロック装置7及び天井ロック装置8は、操作レバー5の解除操作状態を継続した状態であっても、ロック状態が解除操作された後に再びロック可能状態に戻される。
なお、図1において前述したクッションロック装置9の解除ケーブル9c(図7参照)は、図示は省略されているが、操作レバー5或いは操作ケーブル5cと直結されている。これにより、クッションロック装置9は、操作レバー5の解除操作状態が解かれることによって、ロック可能状態に戻されるようになっている。
したがって、シート本体1を格納操作する場合には、図2〜図3において前述したように、操作レバー5を倒し込み、更に操作レバー5を手前に引き込むように操作してその回転止めを行ったら、次に操作レバー5を操作を戻す方向(前方)に押して、シート本体1を車体天井C下に押し付けるように操作すればよい。これにより、図9に示されるように、天井ロック装置8が車体天井C下のストライカS3に押し付けられて係合ロックするため、シート本体1が車体天井C下の格納位置に係合ロックされた状態となって保持される。
そしてその後に、操作レバー5を引き込む前の操作位置に押し戻してその回転止め状態を解除し、附勢によって操作前の位置に起こし上げることにより、操作レバー5が操作前の位置に戻されて保持される。次に、シート本体1を格納位置からフロアF上の使用位置に戻す場合には、前述した格納操作時と同じく、操作レバー5をシートバック2の後方側に倒し込む操作を行えばよい。そして、操作レバー5を車両後方側から下方側に引き込むように操作することにより、操作レバー5が再び回転止めされた状態となると共に、同方向への操作力によってシート本体1をフロアF上に落とし込んでいくことができる。
そしてこれにより、図10に示されるように、フロアロック装置7がフロアF上のストライカS2に押し付けられて係合ロックするため、シート本体1がフロアF上の使用位置に戻されて保持される。そしてその後に、操作レバー5を引き込む前の操作位置に押し戻してその回転止め状態を解除し、附勢によって操作前の位置に起こし上げることにより、操作レバー5が操作前の位置に戻されて保持される。そして次に、シートクッション3をフロアF上に倒し込むことにより、クッションロック装置9がフロアF上のストライカS1に押し付けられて係合ロックするため、シート本体1を元の着座使用可能な姿勢状態に戻すことができる。
このように、本実施例の車両用シートの作動操作構造によれば、シート本体1は、操作レバー5を操作位置から戻す方向に操作力をかけることによって作動操作される。このとき、操作レバー5にかけられる戻し方向の操作力は、操作レバー5が戻し阻止機構によって戻し操作が阻止された状態で行われる。この戻し阻止機構は、操作レバー5をその回転中心から引き離す方向(操作位置から戻す方向とは異なる特定の方向)に操作することによって操作レバー5の戻し操作を阻止する。
したがって、操作レバー5をばたつかせることなく操作レバー5に戻し方向の操作力をかけることができるため、シート本体1の作動操作性を向上させることができる。また、操作レバー5の操作によってその戻し操作を阻止した状態とすることができるため、別途の戻し阻止操作用の操作部材が設定される構成と比べると、シート本体1の作動操作性を向上させることができる。
また、シート本体1が車体天井C下の格納位置に保持された状態で、操作レバー5を車両後方側から下方側に引き込むように操作することにより、操作レバー5が回転操作されてシート本体1の格納位置での保持状態が解除される。これにより、操作レバー5は、車体天井C下にあるシートバック2の背面部から下方側に引き出された状態となり、操作者Pが車両後方側の位置から操作を行い易い位置に配置された状態となる。
そして、この操作位置に引き出された操作レバー5を車両後方側から引き込む方向に操作することにより、戻し阻止機構によって操作レバー5の戻し方向の操作が阻止された状態となる。このように、シート本体1を車体天井C下の格納位置からフロアF上の使用位置に戻し込む操作時に、操作レバー5をシート本体1を戻し込む方向に引くことでその戻し操作を阻止した状態にすることができ、シート本体1の作動操作性を更に向上させることができる。
以上、本発明の実施形態を1つの実施例について説明したが、本発明は上記実施例のほか各種の形態で実施できるものである。例えば、本発明の車両用シートの作動操作構造は、シート本体をフロア上で車両前後方向にスライドさせたり、シートバックの背凭れ角度を調整したりする作動操作を目的として構成されていてもよい。また、操作部材の操作は回転操作タイプのものでなくても良く、例えば直動操作タイプのものであってもよい。
また、戻し阻止機構は、操作レバーを倒し込んだ位置で回転中心に向けて押し込む操作をすることによって操作レバーの戻し操作を阻止する構成となっていてもよい。また、操作レバーを倒し込んだ位置で回転中心の中心軸線方向に移動させることによって操作レバーの戻し操作を阻止する構成となっていてもよい。
実施例1の車両用シートの作動操作構造の概略を表した側面図である。 戻し阻止機構の構成を拡大して表した分解斜視図である。 操作レバーを後倒し操作した状態を表した側面図である。 操作レバーを引き込み操作した状態を表した側面図である。 切換機構の操作前状態を表した構成図である。 操作レバーの操作によって切換機構が作動操作された状態を表した構成図である。 フロアロック装置及び天井ロック装置のロック構造を表した構成図である。 フロアロック装置及び天井ロック装置のロック状態を表した構成図である。 シート本体を車体天井下に格納移動させた状態を表した構成図である。 シート本体をフロア上に戻し込んだ状態を表した構成図である。
符号の説明
1 シート本体(操作部材の取り付けられている構造体)
2 シートバック
2f バックフレーム
2b ブラケット
2p 連結軸
3 シートクッション
4 ヘッドレスト
5 操作レバー(操作部材)
5c 操作ケーブル
5a 把持部
5h 孔
5j キー溝
6 連結アーム
6d ダンパー
7 フロアロック装置
7c 解除ケーブル
8 天井ロック装置
8c 解除ケーブル
9 クッションロック装置
9c 解除ケーブル
10 ロック構造
11 ベース板
11a 受入口
11b ストッパ
12 ラッチ
12a 上顎
12b 下顎
12c 掛部
12d 角部
12e 支軸
13 ポール
13a 操作腕
13b 爪部
13c 掛部
13e 支軸
14 引張ばね
15 解除ケーブル
16 ストライカ
20 切換機構
21 ベース板
21a ストッパ
22 第1アーム
22a 支軸
23 第2アーム
23a 支軸
23b 係合ピン
F フロア
C 車体天井
S1 ストライカ
S2 ストライカ
S3 ストライカ
P 操作者

Claims (2)

  1. 操作部材に操作を戻す方向の操作力がかけられることにより該操作部材の取り付けられている構造体が作動操作される車両用シートの作動操作構造であって、
    前記操作部材の操作構造には該操作部材の戻し操作を阻止することのできる戻し阻止機構が設けられており、前記構造体の作動操作は前記戻し阻止機構によって操作位置に保持された操作部材に戻し方向の操作力がかけられることで行われるようになっており、該戻し阻止機構は前記操作部材を操作位置から戻し方向とは異なる特定の方向に操作することにより該操作部材の戻し操作を阻止する構造となっており、
    前記戻し阻止機構の構成は、前記操作部材を前記構造体に対して回転可能に連結する連結軸がキー形状に突出して形成されており、前記操作部材を回転操作した操作位置で回転中心から引き離す方向に操作することにより前記キー形状の連結軸が前記操作部材或いは前記構造体との連結部に形成されたキー溝内に引き込まれて嵌合し前記操作部材の戻し方向の回転操作を阻止する構成となっていることを特徴とする車両用シートの作動操作構造。
  2. 請求項1に記載の車両用シートの作動操作構造であって、
    前記操作部材の操作は車両用シートのシートバックの背面部から後方側に倒し込まれる回転操作として行われ、この回転操作によりシート本体のフロアとの係合状態が外されて、該操作部材に戻し方向の操作力がかけられることにより前記シート本体がその車体天井とリンク連結された連結構造によって該車体天井下の格納位置まで前方上方に起こし上げられて保持されるようになっており、該シート本体が格納位置に保持された状態で前記操作部材に車両後方側から下方側に引き込むように操作力がかけられることにより該操作部材が倒し込み回転操作されて前記シート本体の格納位置での保持状態が解除されて、該シート本体が同操作力によってフロア上の使用位置まで後方下方に戻し込まれるようになっており、前記戻し阻止機構は前記操作部材を倒し込み回転操作した操作位置から車両後方側に引き込み操作することによって該操作部材の戻し操作を阻止した状態となることを特徴とする車両用シートの作動操作構造。
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