JP5174095B2 - 不整地走行用の自動二輪車用タイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、耐クラック性を向上しうる不整地走行用の自動二輪車用タイヤに関する。
モトクロス等に用いられる不整地走行用の自動二輪車用タイヤは、トレッド部に、複数のブロックが形成されている(例えば下記特許文献1参照)。このようなタイヤは、各ブロックを砂地や泥濘地等の軟弱路に食い込ませ、そのエッジによりトラクションや旋回力を得て操縦安定性を向上させている。
図8に示されるように、ブロックaには、例えば、タイヤ周方向にのびる浅溝bが設けられている。このような浅溝bは、ブロックaのエッジをさらに増加させるとともに、ハード路面ないしミディアム路において、水ハケ及び泥ハケを向上させることができる。
特開2007−131111号公報
上記ブロックaは、接地・非接地に伴うブロック変形により、浅溝bの底面cとブロック外壁面dとの交わり部eや、その両端部f等に歪が集中し易く、この部分を起点として、クラック等が生じやすいという問題があった。
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、ブロックに設けられる浅溝の底面とブロック外壁面との交わり部に、凸円弧状の曲面からなる面取部を形成することを基本として、耐クラック性を向上しうる不整地走行用の自動二輪車用タイヤを提供することを主たる目的としている。
本発明のうち請求項1記載の発明は、トレッド部に、複数のブロックが配置された不整地走行用の自動二輪車用タイヤであって、前記ブロックの少なくとも一つは、ブロック高さの10〜50%の溝深さを有する浅溝が設けられることにより、少なくとも2つのブロック小片に区分された浅溝付ブロックからなり、前記浅溝は、両端がブロック外壁面で開口するとともに、前記ブロックの踏面からタイヤ半径方向内側にのびる溝壁面と、該溝壁面間を継ぐ底面とを具え、前記底面と前記ブロック外壁面との交わり部は、凸円弧状の曲面からなる面取部が形成されるとともに、前記ブロック外壁面と前記面取部と前記溝壁面とが交わる位置よりもタイヤ半径方向の外側において、前記ブロック外壁面と前記溝壁面とはエッジを有して交差することを特徴とする。
また、請求項2記載の発明は、前記面取部の曲率半径は、1〜15mmである請求項1に記載の不整地走行用の自動二輪車用タイヤである。
また、請求項3記載の発明は、前記浅溝付ブロックは、前記踏面と前記ブロック外壁面との交わり部の少なくとも一部に、前記踏面の輪郭線に沿ってのびる切欠部が形成される請求項1又は2に記載の不整地走行用の自動二輪車用タイヤである。
また、請求項4記載の発明は、前記切欠部は、前記浅溝と交差する向きにのびる請求項3に記載の不整地走行用の自動二輪車用タイヤである。
また、請求項5記載の発明は、前記切欠部は、その長手方向と直角な断面において凹円弧状であり、その曲率半径が、1〜8mmである請求項3又は4に記載の不整地走行用の自動二輪車用タイヤである。
また、請求項6記載の発明は、前記ブロック外壁面は、前記面取部に連なってタイヤ半径方向内方にのびかつブロック中心側に凹んだ凹み面を有する請求項1乃至5の何れかに記載の不整地走行用の自動二輪車用タイヤである。
また、請求項7記載の発明は、前記浅溝付ブロックは、タイヤ周方向の長さよりもタイヤ軸方向の幅が大きい横長矩形状であり、前記浅溝は、前記ブロックの幅中心部をタイヤ周方向にのびる請求項1乃至6の何れかに記載の不整地走行用の自動二輪車用タイヤである。
また、請求項8記載の発明は、前記踏面は、前記タイヤ周方向の長さが、タイヤ軸方向の両外側から内側に向かって漸減する平面視略蝶型をなす請求項7に記載の不整地走行用の自動二輪車用タイヤである。また、請求項9記載の発明は、前記ブロック外壁面と前記面取部と前記溝壁面とが交わる位置から前記ブロックの踏面まで、前記ブロック外壁面と前記溝壁面とはエッジを有して交差する請求項1乃至8の何れかに記載の不整地走行用の自動二輪車用タイヤである。
なお、本明細書では、特に断りがない限り、タイヤの各部の寸法は、正規リムにリム組みされかつ正規内圧が充填された無負荷の正規状態において特定される値とする。
前記「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば標準リム、TRAであれば "Design Rim" 、或いはETRTOであれば "Measuring Rim"を意味する。
前記「正規内圧」とは、前記規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE"を意味する。
本発明の不整地走行用の自動二輪車用タイヤは、トレッド部に、複数のブロックが配置される。ブロックの少なくとも一つは、所定の溝深さを有する浅溝が設けられることにより、少なくとも2つのブロック小片に区分された浅溝付ブロックからなる。浅溝は、両端がブロック外壁面で開口するとともに、ブロックの踏面からタイヤ半径方向内側にのびる溝壁面と、該溝壁面間を継ぐ底面とを具える。そして、底面とブロック外壁面との交わり部は、凸円弧状の曲面からなる面取部が形成される。
このような面取部を有する浅溝付ブロックは、接地・非接地に伴う変形によって交わり部近傍に集中しがちな歪を分散し、耐クラック性を向上しうる。
本実施形態の不整地走行用の自動二輪車用タイヤを示す断面図である。 図1のトレッド部の部分展開図である。 (a)浅溝付ブロックの斜視図、(b)は(a)B−Bの断面図である。 (a)は他の実施形態の浅溝付ブロックの正面図、(b)はその部分斜視図である。 切欠部を有する浅溝付ブロックの斜視図である。 他の実施形態の切欠部を有する浅溝付ブロックの斜視図である。 (a)はさらに他の実施形態の浅溝付ブロックの斜視図、(b)は(a)の部分断面図である。 従来のブロックを示す斜視図である。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1には、本発明の不整地走行用の自動二輪車用タイヤ(以下、単に「タイヤ」ということがある)1としては、砂地や泥濘地等の軟弱路において最高の性能を発揮できるように設計されたモトクロス競技用のタイヤが例示される。また、図1に示されるタイヤ1の断面図は、該タイヤ1が正規リム(図示省略)に装着されかつ正規内圧が充填され、しかも無負荷である正規内圧状態、かつ図2に示されるA−A線断面である。
前記タイヤ1は、トレッド部2と、その両側からタイヤ半径方向の内方にのびる一対のサイドウォール部3、3と、各サイドウォール部3のタイヤ半径方向の内方端に位置しかつリム(図示省略)に組み付けされるビード部4、4とを有する。また、タイヤ1は、トレッド部2からサイドウォール部3をへてビード部4のビードコア5に至るカーカス6と、該カーカス6のタイヤ半径方向外側かつトレッド部2の内部に配されるトレッド補強層7とを含んで補強される。
前記トレッド部2は、その外面が、タイヤ半径方向外側に凸で湾曲するとともに、該トレッド部2のトレッド端2t、2t間のタイヤ軸方向距離であるトレッド幅TWが、タイヤ最大幅をなしている。
前記カーカス6は、一対のビードコア5、5間をトロイド状に跨る本体部6aと、この本体部6aの両側に連なりかつビードコア5の回りでタイヤ軸方向の内側から外側に折り返される折返し部6bとを有する1枚以上、本実施形態では1枚のカーカスプライ6Aから構成される。また、カーカスプライ6Aの本体部6aと折返し部6bとの間には、ビードコア5からタイヤ半径方向の外側にのびかつ硬質ゴムからなるビードエーペックス8が配され、ビード部4が適宜補強される。
前記カーカスプライ6Aとしては、例えば、有機繊維のカーカスコードをタイヤ周方向に対して75〜90度の角度で配列したラジアル構造のものが採用される。なお、カーカス6としては、2枚以上のカーカスプライを用い、カーカスコードをタイヤ周方向に対して例えば15〜45度の角度で傾斜配列したバイアス構造のものが採用されてもよい。
前記トレッド補強層7は、例えば、有機繊維の補強コードをタイヤ周方向に対して15〜45度の角度で傾斜配列した1枚以上、本実施形態では1枚の補強プライ7Aにより構成される。
前記トレッド部2には、図1、図2に示されるように、トレッド溝10により区画される複数のブロックBが配置される。トレッド溝10は、例えば、その溝底10bが、カーカス6の外面に沿った滑らかな表面に形成される。
前記ブロックBは、ブロックBの隆起方向の頂面をなす踏面11と、該踏面11の周縁からタイヤ半径方向内側にのびて溝底10bに連なるブロック外壁面12とを含み、トレッド溝10の溝底10bから踏面11までのブロック高さH1が、例えば5〜20mm程度に設定される。
また、ブロックBは、タイヤ周方向及びタイヤ軸方向に間隔を空けて疎らに配置される。このような疎分布配置のブロックBは、例えば、軟弱路へのブロックBの食い込み量を大きくして、高い駆動力を発揮しうる。また、ブロックBを隔てるトレッド溝10は、幅広に形成されるため、泥土等の目詰まりを防止できる。
なおブロックBの疎分布配置は、トレッド部2の外表面の全面積S(トレッド溝10を全て埋めたと仮定したときのトレッド部2の外表面の全面積)に対する全ブロックBの踏面11の面積の総和Sbであるランド比(Sb/S)によって把握される。このランド比(Sb/S)が、過度に小さくなると、硬質なハード路ないしミディアム路での駆動力が低下するおそれがあり、逆に、大きすぎても、軟弱路での駆動力が低下するおそれがある。このような観点より、前記ランド比(Sb/S)は、15〜30%の範囲が好ましい。
また、ブロックBのゴム硬度は、好ましくは50度以上、さらに好ましくは70度以上が望ましい。ゴム硬度が小さすぎると、ブロック剛性が過度に小さくなり、不整地路面でのグリップを発揮できないおそれがある。逆に、ゴム硬度が大きすぎると、ブロック剛性が過度に大きくなり、路面への追従性や乗り心地が低下するおそれがある。このような観点より、ゴム硬度は、好ましくは100度よりも小、さらに好ましくは90度以下が望ましい。なお、本明細書において、ゴム硬度は、JIS−K6253に準拠し、23℃の環境下におけるデュロメータータイプAによる硬さとする。
また、本実施形態のブロックBは、タイヤ赤道C上に設けられたセンターブロックBc、トレッド端2tに沿って配されたショルダーブロックBs、及びセンターブロックBcとショルダーブロックBsとの間に配されたミドルブロックBmを含む。
図2に示されるように、前記センターブロックBcにおいて、例えば、その踏面11は、タイヤ周方向長さL1よりもタイヤ軸方向の幅W1が大きい横長矩形状に形成される。このような横長のセンターブロックBcは、直線走行時において、タイヤ軸方向のエッジを増加させることができ、トラクションを向上しうる。好ましくは、センターブロックBcの踏面11の前記幅W1がトレッド展開幅TWeの、例えば20〜35%程度、かつ踏面11のタイヤ周方向長さL1が、前記幅W1の、例えば40〜65%程度であるのが望ましい。
また、前記ショルダーブロックBsにおいて、例えば、その踏面11は、タイヤ軸方向の幅W2よりもタイヤ周方向長さL2が大きい縦長状に形成される。このようなショルダーブロックBsは、軟弱路における旋回時において、タイヤ周方向のエッジを増加させることができ、旋回性能を向上しうる。好ましくは、ショルダーブロックBsの踏面11は、前記幅W2がトレッド展開幅TWeの8〜12%程度、タイヤ周方向長さL2が前記幅W2の115〜165%程度に設定されるのが望ましい。
また、前記ミドルブロックBmにおいて、例えば、その踏面11は、タイヤ軸方向の幅W3よりもタイヤ周方向長さL3が僅かに大きい縦長状に形成される。このようなミドルブロックBmは、タイヤ周方向のエッジを増加させるとともに、タイヤ軸方向のエッジもバランスよく増加させることができ、直進性能と旋回性能と向上しうる。好ましくは、ミドルブロックBmの踏面11は、前記幅W3がトレッド展開幅TWeの9〜15%程度、タイヤ周方向長さL3が前記幅W3の90〜140%程度に設定されるのが望ましい。
また、上記ブロックBc、Bs、Bmは、互いにタイヤ周方向位置をずらせた千鳥状に配置される。このようなブロック配置は、トレッド部2の広い範囲でバランスよくトラクションを得るのに役立つ。
図1及び図3(a)、(b)に示されるように、ブロックBの少なくとも一つは、浅溝17が設けられることにより、少なくとも2つのブロック小片16sに区分された浅溝付ブロック16からなる。本実施形態では、センターブロックBcが浅溝付ブロック16として形成される。このようなセンターブロックBcは、比較的剛性の小さな浅溝付ブロック16に区分されるので、直進走行時の路面への追従性や乗り心地を向上させることができる。
前記浅溝付ブロック16には、1本の浅溝17がブロックの幅中心部をタイヤ周方向にのびている。本実施形態の浅溝17は、ブロックBの踏面11からタイヤ半径方向内側にのびる溝壁面17w、17wと、該溝壁面17w、17w間を継ぐ底面17bとを具えた断面角溝状に形成されている。このような浅溝17は、ブロックBのエッジを増加させるのに役立つ。
また、前記浅溝17の溝深さD1は、前記ブロック高さH1の10%以上、さらに好ましくは20%以上が望ましい。前記溝深さD1が小さすぎると、ブロックBのエッジが過度に減少して、操縦安定性を十分に向上できないおそれがある。逆に、溝深さD1が大きすぎると、ブロック小片16sの剛性が低下して操縦安定性が悪化するおそれがある。このような観点より、溝深さD1は、ブロック高さH1の50%以下、さらに好ましくは40%以下が望ましい。
同様の観点より、浅溝17の溝幅W4は、好ましくは1mm以上、さらに好ましくは_2mm以上が望ましく、好ましくは7mm以下、さらに好ましくは5mm以下が望ましい。
また、本実施形態の浅溝付ブロック16は、浅溝17の両端がブロック外壁面12で開口する。このような浅溝17は、ハード路面ないしミディアム路において、水ハケ及び泥ハケを向上させるのに役立つ。さらに、浅溝付ブロック16は、底面17bとブロック外壁面12との交わり部18に、凸円弧状の曲面からなる面取部19が形成される。
このような面取部19は、接地・非接地に伴う変形によって交わり部18近傍に集中しがちな歪を分散しうるとともに、該交わり部18の剛性を高めることができる。これにより、面取部19は、歪の集中により生じがちな交わり部18近傍でのクラック等の発生を抑制できる。
しかも、面取部19は、前記浅溝17の断面積を増大させて、泥や砂を効率よく導入、及び排出することができる。これにより、浅溝17は、大量に導入された泥や砂を、断面積が漸減する中央側で押し固め、軟弱路での沈み込みを防止でき、優れたフローティング性能を発揮できる。
上記作用を効果的に発揮させるために、図3(b)に示されるように、浅溝17の長手方向と平行な断面において、面取部19の曲率半径R1は1mm以上、好ましくは5mm以上、さらに好ましくは8mm以上が望ましい。前記曲率半径R1が小さすぎると、交わり部18近傍での歪を十分に分散できず、耐クラック性を向上できないおそれがある。逆に、曲率半径R1が大きすぎても、ブロック小片16sの剛性が低下して操縦安定性が悪化するおそれがある。このような観点より、前記曲率半径R1は、好ましくは15mm以下、さらに好ましくは12mm以下が望ましい。
図4(a)には、本発明の他の実施形態の浅溝付ブロック16が示される。この実施形態の浅溝17は、その長手方向と直交する断面において、前記底面17bが凹円弧状に形成される。本実施形態の底面17bは、その曲率半径R2が単一に設定される。このような底面17bは、接地・非接地に伴うブロック変形によって、浅溝17の底面17bと溝壁面17wとがなすコーナー部23に集中しがちな歪を効果的に分散しうる。
この場合、底面17bの曲率半径R2は、好ましくは0.5mm以上、さらに好ましくは2mm以上が望ましい。前記曲率半径R2が小さすぎると、前記コーナー部23の歪を効果的に分散できないおそれがある。逆に、前記曲率半径R2が大きすぎても、底面17bを実質的に凹円弧状に形成できず、歪を効果的に分散できないおそれがある。このような観点より、曲率半径R2は、好ましくは8mm以下、さらに好ましくは6mm以下が望ましい。なお、底面17bは、曲率半径R2が単一の凹円弧状形成されるものに限定されず、前記コーナー部23のみ凹円弧状の曲面に形成されてもよい。
図4(b)に示されるように、本実施形態の面取部19は、曲率半径R1は、浅溝17の幅方向の中央側からブロック小片16s側に向かって漸減(R1a>R1b>R1c)するのが好ましい。このような面取部19は、比較的剛性が弱く歪が集中しやすい中央側の剛性を高めて、耐クラック性を向上させることができるとともに、比較的剛性が大きいブロック小片16s側の剛性を過度に大きくするのを抑制し、路面への追従性や乗り心地を向上しうる。
図5には、本発明のさらに他の実施例の浅溝付ブロック16が形成される。
この実施形態の浅溝付ブロック16は、踏面11とブロック外壁面12との交わり部20の少なくとも一部に、踏面11の輪郭線に沿ってのびる切欠部21が形成される。本実施形態の切欠部21は、各ブロック小片16sにおいて、浅溝17と交差する向きにのびる交わり部20の全域を、入隅状に切り欠いて形成されている。
このような切欠部21は、面取部19により減少したエッジを補い、路面との摩擦力を向上しうる。しかも、切欠部21は、操縦安定性への影響が大きい踏面11側のエッジを増加できるため、操縦安定性をさらに向上しうる。
また、本実施形態の切欠部21は、浅溝17と交差する向きにのびるので、面取部19によって高められた各ブロック小片16sの剛性を、ゴムボリュームを減少させて緩和でき、路面追従性及び乗り心地を向上しうる。しかも、切欠部21は、タイヤ軸方向のエッジ成分を増大でき、直進安定性を向上しうる。
また、切欠部21は、その長手方向と直角な断面において、その切欠深さD2が、好ましくは1mm以上、さらに好ましくは2mm以上が望ましい。前記切欠深さD2が小さすぎると、上述の効果が十分に期待できないおそれがある。逆に、切欠深さD2が大きすぎても、ブロック小片16sの剛性が過度に減少し、操縦安定性が低下するおそれがある。このような観点より、前記切欠深さD2は、好ましくは6mm以下、さらに好ましくは4mm以下が望ましい。
同様の観点より、切欠部21は、その長手方向と直角な断面において、その切欠幅W5が、好ましくは1mm以上、さらに好ましくは2mm以上が望ましく、また、好ましくは6mm以下、さらに好ましくは4mm以下が望ましい。
図6に示されるように、切欠部21は、その長手方向と直角な断面において、凹円弧状に形成されてもよい。このような切欠部21は、図5の態様に比して、交わり部20に作用する歪をより一層分散でき、耐クラック性をさらに向上しうる。
この凹円弧状の切欠部21は、その長手方向と直角な断面において、曲率半径R3が、好ましくは1mm以上、さらに好ましくは2mm以上が望ましい。前記曲率半径R3が小さすぎると、エッジを十分に発揮できないおそれがある。逆に、曲率半径R3が大きすぎると、切欠部21の内部に生じる歪を十分に分散できないおそれがある。このような観点より、前記曲率半径R3は、好ましくは8mm以下、さらに好ましくは6mm以下が望ましい。
図7(a)には、本発明のさらに他の実施形態の浅溝付ブロック16が示される。
前記ブロック外壁面12は、面取部19に連なってタイヤ半径方向内方にのび、かつブロック中心側に凹んだ凹み面22を有する。本実施形態の凹み面22は、浅溝17の溝幅W4と同一の凹み幅W6を保ちながら、タイヤ半径方向内方にのびている。このような凹み面22は、ブロック外壁面12に縦方向にのびるエッジを形成することができ、操縦安定性を向上しうる。また、凹み面22は、浅溝17の両端側のゴムボリュームを減少させることができるので、面取部19によって高められたブロック剛性を緩和しうる。
また、凹み面22は、図7(b)に示されるように、浅溝17の長手方向と平行な断面において、面取部19からタイヤ半径方向内方に向かって、その凹み量D3を漸減させながらのびるのが好ましい。これにより、浅溝付ブロック16は、操縦安定性の影響が比較的大きい踏面11側のエッジを増加させつつ、溝底10b側のゴムボリュームの減少を最小限に抑え、耐クラック性を維持しうる。
前記凹み面22は、そのタイヤ半径方向の内端22iから踏面11までタイヤ半径方向の長さL4が、前記ブロック高さH1(図3(b)に示す)の、好ましくは50%以上、さらに好ましくは60%以上が望ましい。前記長さL4が小さすぎると、上述の効果が十分に期待できないおそれがある。逆に、前記長さL4が大きすぎると、ゴムボリュームが過度に減少し、ブロック小片16sの剛性が低下するおそれがある。このような観点より、前記長さL4は、前記ブロック高さH1の、好ましくは95%以下、さらに好ましくは85%以下が望ましい。
同様の観点より、凹み面22の最大の凹み量D3は、好ましくは0.5mm以上、さらに好ましくは0.75mm以上が望ましく、また、好ましくは2.0mm以下、さらに好ましくは1.5mm以下が望ましい。
また、図7(a)に示されるように、凹み面22は、その凹み幅W6が、タイヤ半径方向内方に向かって、漸減するものでもよい。このような凹み面22は、ブロック外壁面12のゴムボリュームの減少を最小限に抑え、ブロック剛性を確保しつつ、エッジを増加しうる。さらに、凹み面22は、凹円弧状の曲面からなるものでもよい。このような凹み面22は、該凹み面22に生じる歪を分散でき、耐クラック性を向上しうる。
上述した前記浅溝付ブロック16の踏面11は、タイヤ周方向長さL1(図2に示す)が、タイヤ軸方向の両外側から内側に向かって漸減する平面視略蝶型をなすのが好ましい。これにより、浅溝付ブロック16は、従来のブロックに比べて、浅溝17に、泥や砂を効率的に案内することができ、フローティング性能をさらに向上しうる。また、タイヤ軸方向の両外側の踏面11が、内側よりも路面に先着するため、交わり部18に生じる歪を緩和でき、耐クラック性を向上させるのに役立つ。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
図1に示す基本構造を有し、かつ表1に示す浅溝付ブロックを有する不整地走行用の自動二輪車用タイヤの前輪及び後輪が試作され、それらの性能がテストされた。また、比較のために、図8で示される面取部を有しない従来のブロックを有するタイヤ(比較例1〜3)についても、同様にテストされた。なお、共通仕様は以下のとおりである。
タイヤサイズ:
前輪:90/100−21
後輪:120/80−19
リムサイズ:
前輪:1.60×21
後輪:2.15×19
トレッド幅TW:145mm
トレッド展開幅TWe:175mm
ランド比(Sb/S):25%
ブロックのゴム硬度:75度
ブロック高さH1:16mm
センターブロック:
幅W1:45mm
タイヤ周方向長さL1:20mm
比(W1/TWe):25.7%
比(L1/W1):44.4%
ショルダーブロック:
幅W2:15mm
タイヤ周方向長さL2:25mm
比(W2/TWe):8.6%
比(L2/W2):166.7%
ミドルブロック:
幅W3:20mm
タイヤ周方向長さL3:22mm
比(W3/TWe):11.4%
比(L3/W3):110%
テスト方法は、次の通りである。
<耐クラック性>
各試供タイヤを上記リムにリム組みしかつ内圧(前輪:80kPa、後輪:80kPa)を充填して、排気量450ccの自動二輪車に装着し、不整地路面のテストコースを30分間実車走行した後、ブロックの面取部におけるクラックの個数を目視検査により確認した。結果は、クラックの個数の逆数を、比較例1を100とする指数で表示した。数値が大きいほど、クラックの個数が少なく良好である。
<操縦安定性、フローティング性能>
上記車両を用いて、プロのテストドライバーの運転により、不整地路面のテストコースを旋回したときの操縦安定性及びフローティング性能を、ドライバーの官能評価により比較例1を100とする指数で評価した。数値が大きいほど良好である。
テストの結果を表1に示す。
Figure 0005174095
Figure 0005174095
テストの結果、実施例のタイヤは、操縦安定性を維持しつつ、耐クラック性及びフローティング性能を向上しうることが確認できた。
2 トレッド部
11 踏面
12 ブロック外壁面
16 浅溝付ブロック
17 浅溝
18 交わり部
19 面取部
B ブロック

Claims (9)

  1. トレッド部に、複数のブロックが配置された不整地走行用の自動二輪車用タイヤであって、
    前記ブロックの少なくとも一つは、ブロック高さの10〜50%の溝深さを有する浅溝が設けられることにより、少なくとも2つのブロック小片に区分された浅溝付ブロックからなり、
    前記浅溝は、両端がブロック外壁面で開口するとともに、前記ブロックの踏面からタイヤ半径方向内側にのびる溝壁面と、該溝壁面間を継ぐ底面とを具え、
    前記底面と前記ブロック外壁面との交わり部は、凸円弧状の曲面からなる面取部が形成されるとともに、
    前記ブロック外壁面と前記面取部と前記溝壁面とが交わる位置よりもタイヤ半径方向の外側において、
    前記ブロック外壁面と前記溝壁面とはエッジを有して交差することを特徴とする不整地走行用の自動二輪車用タイヤ。
  2. 前記面取部の曲率半径は、1〜15mmである請求項1に記載の不整地走行用の自動二輪車用タイヤ。
  3. 前記浅溝付ブロックは、前記踏面と前記ブロック外壁面との交わり部の少なくとも一部に、前記踏面の輪郭線に沿ってのびる切欠部が形成される請求項1又は2に記載の不整地走行用の自動二輪車用タイヤ。
  4. 前記切欠部は、前記浅溝と交差する向きにのびる請求項3に記載の不整地走行用の自動二輪車用タイヤ。
  5. 前記切欠部は、その長手方向と直角な断面において凹円弧状であり、その曲率半径が、1〜8mmである請求項3又は4に記載の不整地走行用の自動二輪車用タイヤ。
  6. 前記ブロック外壁面は、前記面取部に連なってタイヤ半径方向内方にのびかつブロック中心側に凹んだ凹み面を有する請求項1乃至5の何れかに記載の不整地走行用の自動二輪車用タイヤ。
  7. 前記浅溝付ブロックは、タイヤ周方向の長さよりもタイヤ軸方向の幅が大きい横長矩形状であり、
    前記浅溝は、前記ブロックの幅中心部をタイヤ周方向にのびる請求項1乃至6の何れかに記載の不整地走行用の自動二輪車用タイヤ。
  8. 前記踏面は、前記タイヤ周方向の長さが、タイヤ軸方向の両外側から内側に向かって漸減する平面視略蝶型をなす請求項7に記載の不整地走行用の自動二輪車用タイヤ。
  9. 前記ブロック外壁面と前記面取部と前記溝壁面とが交わる位置から前記ブロックの踏面まで、前記ブロック外壁面と前記溝壁面とはエッジを有して交差する請求項1乃至8の何れかに記載の不整地走行用の自動二輪車用タイヤ。
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