JP5170461B2 - セレン含有排水の処理方法 - Google Patents

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本発明は、湿式脱煙処理工程から発生する排水、例えば石炭火力発電所の排煙脱硫排水や熱交換器の洗浄排水などのように、懸濁物質や溶存塩を多く含むセレン含有排水からセレンや重金属などを回収し、再利用に適する状態で分離して処理する方法に関し、これらの排水に含まれるセレンや重金属などを回収して有効に再資源化することができる処理方法に関する。
石炭火力発電所の排煙脱硫排水や熱交換器の洗浄排水などは、飛灰などに由来する浮遊微粒子(Suspended Solids:SSと云う)を多く含み、この飛灰にはセレンが含有されている。排水中のセレンは、4価の亜セレン酸イオン(SeO3 2-)、または6価のセレン酸イオン(SeO4 2-)の状態で存在していることが多く、6価のセレン酸イオンは除去し難い。
従来、排水中のセレンを除去する方法として、以下の方法が知られている。
(イ)セレンおよびフッ素を含有する水に凝集剤を添加して懸濁物資の凝集フロックを形成させてこれを固液分離した後に、塩酸や硫酸を添加して酸性条件にして金属鉄に接触させて2価鉄イオンを溶出させ、この2価鉄イオンによって水中の6価セレン酸イオンを金属セレンに還元し、次いで、液性を中性に調整し、酸化剤を加えて水酸化第二鉄を沈澱させ、これに無機凝集剤を添加して凝集フロックを形成して膜分離することによって、還元したセレンと水中のフッ素をフロックに吸着させて除去する方法(特開2001−25777号公報)。
(ロ)セレン化合物含有水を酸性下で金属鉄と接触させて鉄イオンを溶出させ、この水溶液を中性以上のpHに調整して水酸化鉄を沈澱させ、この沈澱にセレン化合物を吸着させて除去する方法において、上記セレン化合物含有水のセレン濃度に基づいて該セレン化合物含有水のpHを設定して鉄イオンの溶出量を調整する方法(特開平11−47762号公報)。
(ハ)排水に凝集沈澱処理および生物脱窒素処理を行った後に、塩酸を加えて酸性下で金属鉄に接触させて鉄イオンを溶出させ、該鉄イオンでセレンを還元し、次いでアルカリを添加してpHを中性以上にし、水酸化鉄を生成させこれを凝集沈澱させ、これにセレンを吸着させて固液分離する方法(特開平9−290299号公報)。
特開2001−25777号公報 特開11−47762号公報 特開平9−290299号公報
石炭火力発電所の排煙脱硫排水などは、浮遊微粒子や溶存塩濃度が高く、これを処理しないとセレンを除去するのが難しい。従来の処理方法では、水酸化鉄沈澱にセレンを吸着させて除去する処理工程に先立ち、排水に凝集剤を添加して懸濁物質のフロックを形成して固液分離することによって懸濁物質を処理しているが、このフロックにはセレンが高濃度に吸着されているため、回収した沈澱物をセメント原料等の資源として有効利用することが難しい。
さらに、従来の処理方法は何れも排水を金属鉄に接触させて鉄イオンを溶出させ、この鉄イオンによってセレンを還元し、水酸化鉄沈澱に吸着させているが、水酸化鉄沈澱の容積が大きく、これを固液処理する際に大型の装置を必要とするなどの問題がある。
本発明は、セレン含有排水について従来の処理方法の上記問題を解決したものであり、セレンの除去効果に優れ、かつ分離した沈澱物(汚泥)等を資源として利用することができる処理方法を提供する。
本発明によれば、以下の構成によって上記問題を解決した、セレン含有排水の処理方法が提供される。
〔1〕セレン含有排水に高分子凝集剤を添加してセレンを含む凝集物を形成し、これを沈殿分離する第一凝集分離工程、該第一凝集分離工程で分離した排水をpH4〜9に調整して高分子凝集剤を加えて凝集物を形成し、これを沈澱させることによって、排水中のアルミニウム、珪素、硫酸イオン、鉄を分離する第二凝集分離工程、該第二凝集分離工程を経た排水を残留重金属除去工程に導き、該残留重金属除去工程には第一鉄化合物の添加手段と、密閉型反応槽と、沈澱分離槽と、分離した汚泥にアルカリを添加するアルカリ添加槽と、アルカリを添加した汚泥を上記反応槽に返送する手段とが設けられており、上記反応槽において第一鉄化合物を添加した排水とアルカリ添加汚泥とを混合してアルカリ性および非酸化性雰囲気下でグリーンラストと鉄フェライトの混合物からなる還元性の鉄化合物沈澱を形成させ、これを沈澱分離槽に導き、汚泥を分離し、その一部または全部を上記アルカリ添加槽に導き、アルカリ添加汚泥を上記反応槽に返送して上記還元性鉄化合物を沈澱させ、該沈澱に重金属を取り込ませて系外に除去することを特徴とするセレン含有排水の処理方法。
〔2〕セレン含有排水が湿式脱煙処理工程から発生する酸性の排水である上記[1]に記載する処理方法。
〔3〕第一凝集分離工程で分離した沈殿物を非鉄製錬工程に導いて該沈殿物に含まれるセレンを回収する上記[1]または上記[2]に記載する処理方法。
〔4〕第二凝集分離工程において、前工程から導いた酸性の排水にアルカリを添加してpH4〜9に調整し、分離した凝集物(汚泥)をセメント原料として用いる上記[1]〜上記[3]の何れかに記載する処理方法。
〔5〕残留重金属除去工程において、分離した余剰の汚泥を非鉄製錬原料またはセメント原料として用いる上記[1]〜上記[4]の何れかに記載する処理方法。
本発明の処理方法は、最初の第一凝集分離工程において、酸性の液性下で懸濁物を凝集させて沈澱分離し、この沈殿物にはセレンが高濃度に吸着しているので、分離した沈殿物を非鉄製錬工程に導いてスラグ成分として資源化すると共に含有されているセレンを回収することができる。
本発明の処理方法は、さらに第二凝集分離工程において、前工程から導いた酸性の排水にアルカリ好ましくは消石灰を添加してほぼ中性の液性とし、アルミニウム、珪素、硫酸イオン、鉄等の懸濁物を沈澱させる。ここで液中の硫酸イオンはカルシウムと反応して石膏として固定され、またアルミニウムも酸化物もしくはケイ酸化合物となるので、分離回収した沈殿物(汚泥)にはこれらが含まれており、これをセメント原料として資源化することができる。また、消石灰を添加して液性を調整することによって、排水にフッ素イオンが含まれている場合、液中のフッ素イオンはCaF2として固定され沈澱するので、排水から除去することができる。
また本発明の処理方法は、第一凝集分離工程および第二凝集分離工程の二段階の凝集沈殿分離によって浮遊懸濁物やセレン、アルミニウム等を分離した排水を重金属除去工程に導き、アルカリ性および非酸化性雰囲気下でグリーンラストと鉄フェライトの混合物からなる還元性の鉄化合物沈澱を形成させるので、重金属の吸着効果が高く、かつ圧密されたコンパクトな汚泥が形成されるので、排水の重金属濃度を格段に低減することができ、しかも処理装置を小型化することができる。
本発明の処理方法を例示する工程図
本発明の処理方法を図1に例示する。図示するように、本発明の処理方法は、酸性のセレン含有排水に高分子凝集剤を添加してセレンを含む凝集物を分離する工程〔第一凝集分離工程〕、上記沈殿物を分離した排水をpH4〜9に調整して高分子凝集剤を加えて凝集物を沈澱させ、アルミニウム、珪素、硫酸イオン、鉄などを分離する工程〔第二凝集分離工程〕、該第二凝集分離工程を経た排水から残留重金属を除去する工程を有する。
〔セレン含有排水〕
本発明の処理方法は、湿式脱煙処理工程から発生する排水など、具体的には、石炭火力発電所の排煙脱硫設備の排水や熱交換器の洗浄排水などに適用することができる。この排水は浮遊懸濁物や溶存塩濃度が高く、懸濁物にはセレンが高濃度に含まれている。
〔第一凝集分離工程〕
第一凝集分離工程には、図示するように、第一凝集槽11、第一凝集槽11に接続した第一沈澱分離槽12が設けられている。酸性のセレン含有排水(原水)は第一凝集槽11に導入され、該第一凝集槽11の排水に高分子凝集剤が添加される。石炭火力発電所の排煙脱硫排水はpH2〜3以下の酸性排水であるので、酸性下で使用することができる凝集剤がよく、例えば、ノニオン系高分子凝集剤、あるいはノニオン系高分子凝集剤とアニオン系高分子凝集剤を併用するのが好ましい。具体的には、アクリルアミド/アクリル酸共重合体、ポリアクリル酸などを用いると良く、商品としてはダイヤフロック(ダイヤニトリックス社製)やアコフロック(MTアクアポリマー社製)などが挙げられる。
第一凝集槽11において、排水に高分子凝集剤が添加される。なお、排水の酸性が高いときは高分子凝集剤と共にアルカリを添加して排水の酸性を調整するとよい。
排水の浮遊懸濁物は高分子凝集剤とアルカリによって凝集されて、フロックを形成する。この浮遊懸濁物は鉄やアルミニウムなどの酸化物やケイ酸塩化合物を主成分とし、さらに高濃度のセレンを含んでいる。このセレンは必ずしも安定な状態ではなく、酸化状態下では溶出して排水のセレン濃度を高めることがある。そこで、本発明の処理方法は、第一凝集槽11において、酸性下で浮遊懸濁物の凝集フロックを形成し、この凝集フロックを含む排水を第一沈澱分離槽12に導き、凝集フロックを沈澱させて固液分離し、これを系外に抜き出して排水から除去する。
第一沈澱分離槽12で固液分離した汚泥(上記凝集フロックの沈澱物)には高濃度のセレンが含まれているので、この汚泥を銅製錬などの非鉄製錬工程に送り、汚泥の主成分であるシリカや鉄はスラグ成分として資源化し、また汚泥に含まれているセレンは資源として回収する。上記汚泥を分離した排水は第二凝集分離工程に導入される。
〔第二凝集分離工程〕
第二凝集分離工程には、図示するように、第一沈澱分離槽12に接続する中和槽21、該中和槽21に接続する第二凝集槽22、該第二凝集槽22に接続する第二沈澱分離槽23が設けられている。第一沈澱分離槽12において汚泥と分離された排水は中和槽21に導入される。中和槽21にはアルカリが添加され、排水が中性域、好ましくはpH4〜9に調整される。排水のpHがこの範囲を外れると、例えば、排水中のアルミニウムイオンが十分に沈澱しないため排水中に残留することがある。
中和剤のアルカリは消石灰、生石灰、炭酸カルシウム、苛性ソーダ、酸化マグネシウムなどを使用することができる。炭酸カルシウムは安価であるのでコストのうえで有利であり、反応時間を短くしたい場合には消石灰が有効である。また、消石灰、生石灰、炭酸カルシウムを用いれば、排水にフッ素イオンや硫酸イオンが含まれている場合、排水中の硫酸イオンがカルシウムと反応して石膏として固定され、石膏を主体とした沈殿物を形成し、排水中のフッ素イオンはフッ化カルシウムを形成して沈澱するので、これらの沈澱を固液分離して硫酸イオンおよびフッ素イオンを排水から除去することができる。
中和槽21で中和処理された排水は第二凝集槽22に導入され、排液に残留している夾雑物を中性域の液性下で凝集させる。該第二凝集槽22にアニオン系の高分子凝集剤を添加すれば凝集効果を高めることができる。排水に残留しているAl3+、シリカ、SO4 2-、Fe3+などは凝集物に取り込まれるので、この凝集物を沈澱分離することによって排水中からこれらを除去することができる。なお、Fe2+はpH7以上で沈澱するので、排水のpHを4〜6程度にして排水中にFe2+を残留させ、次工程の残留重金属除去工程において使用する第一鉄源として利用しても良い。この場合、第二沈澱分離槽23の汚泥量を減らすことができる。
第二凝集槽22で凝集物を形成した排水は第二沈澱分離槽23に導入され、凝集物を沈澱させて固液分離し、これを系外に抜き出して排水から除去する。第二沈澱分離槽23から抜き出された汚泥(沈澱物)は、石膏やアルミニウムを主体とし、シリカ分や鉄分を含むので、これをセメント原料として利用することができる。上記汚泥を分離した排水は残留重金属除去工程に導入される。
〔残留重金属除去工程〕
残留重金属除去工程には、第一鉄化合物の添加手段31、密閉型の反応槽32、該反応槽32に接続する第三沈澱分離槽33、該第三沈澱分離槽33に接続するアルカリ添加槽34、アルカリ添加槽34から上記反応槽32に至る管路35が設けられている。
第二沈澱分離槽23で汚泥を分離した排水には添加手段31を通じて第一鉄化合物が添加される。第一鉄化合物としては、硫酸第一鉄(FeSO4)、塩化第一鉄(FeCl2)などの還元性鉄化合物が用いられる。第一鉄化合物の添加量はFe2+イオン濃度400〜1000mg/Lになる量が適当である。還元性鉄化合物を添加した排水を反応槽32に導入する。なお、反応槽32に還元性鉄化合物を添加しても良い。
反応槽32には、還元性鉄化合物を添加した排水と、アルカリ性汚泥が投入される。このアルカリ性汚泥は次工程の第三沈澱分離槽33から抜き出された沈澱(汚泥)の一部または全部にアルカリを添加してpH11〜13に調整したものである。添加するアルカリ物質としては消石灰、生石灰、水酸化ナトリウムなどを用いることができる。アルカリ性汚泥を混合することによって反応槽30のpHは8.5〜11、好ましくはpH9.0〜10に調整される。
反応槽32において、還元性鉄化合物を添加した排水とアルカリ性返送汚泥とが非酸化性雰囲気下で反応し、還元性の鉄化合物沈澱を形成する。この鉄化合物沈澱はグリーンラストと鉄フェライトの混合物であり、還元性の沈澱である。
グリーンラストは第一鉄と第二鉄の水酸化物が層状をなす青緑色の物質であり、層間に重金属類のアニオンを取り込んだ構造を有し、例えば次式[1]によって表される。
〔FeII (6-x)FeIII x(OH)12x+〔Ax/n・yH2O〕x- …[1]
(0.9<x<4.2、Fe2+/全Fe=0.3〜0.85)。
また、鉄フェライトはFeIIとFeIIIの混合酸化物であり、マグネタイト(FeIIFeIII 34)を主体とするが、一部に重金属類の鉄酸塩を含むものでもよい。この還元性鉄化合物沈澱は、例えば、排水中に残留している重金属類のイオンがグリーンラストの層間に取り込まれ、重金属類を一部に含んだ状態で鉄フェライト化する。具体的には、例えば、排水に残留している6価セレン(SeO4 2-)は第一鉄化合物によって還元されて4価セレン(SeO3 2-)や金属セレンになり、これらはグリーンラストの層間に取り込まれた状態で沈澱化する。同様に、排水中に残留している六価クロム、鉛、亜鉛、ヒ素、カドミウムなどの重金属はグリーンラストの層間に取り込まれて沈澱する。
反応槽32は、上記還元性鉄化合物沈澱を生成させるために、空気の流入を遮断した密閉反応槽を用い、非酸化性雰囲気下、pH8.5〜11、好ましくはpH9.0〜10のアルカリ性下で反応させる。液温は10℃〜30℃程度で良く、加熱する必要はない。反応時間は30分〜3時間程度で良い。なお、反応槽32が密閉されておらず、非酸化性雰囲気下ではないもの、またアルカリの程度が弱いものは、上記還元性沈澱が生成しない。
グリーンラストと鉄フェライトの混合物からなる上記還元性沈澱が形成されるように、反応槽32において、該沈澱の2価鉄イオンと全鉄イオンの比〔Fe2+/Fe(T)〕が0.4〜0.8になるように、好ましくは上記鉄イオン比が0.55〜0.65になるように制御するのがよい。この比が上記範囲を外れると重金属類の還元が不十分になり、あるいは澱物の沈降性が劣化するので好ましくない。上記還元性の鉄化合物沈澱を生成させることによって、排水に残留している重金属類が還元され、容易に上記沈澱に取り込まれるようになる。
また反応槽32において、アルカリ性汚泥の返送を繰り返し、排水に残留している重金属類との反応を繰り返すことによって、グリーンラストが酸化して鉄フェライト化が進み、最初は深青緑色であった沈澱がしだいに黒色に変化する。また、汚泥(沈澱)の還元性を維持しつつ鉄フェライト化するので、沈澱の圧密化が進み、さらに澱物の濃度が格段に高まるので重金属類の除去効果が向上する。因みに、従来の処理方法では水酸化鉄を主体とした沈澱(汚泥)が形成されるが、水酸化鉄を主体とした汚泥は嵩高く、脱水処理の負担が大きい。また、本発明の処理方法で形成される汚泥の鉄フェライトはマグネタイトを主体とするため磁性を帯びているため、磁気を用いて分離することができる。
反応槽32から排出されたスラリーは、第三沈澱分離槽33に導入され、汚泥を槽底に沈降させて分離する。この一部または全部を抜き出し、アルカリを添加してpH11〜13に調整して反応槽32に戻し、グリーンラストと鉄フェライトの混合物からなる還元性沈澱の生成反応を繰り返す。
残留重金属除去工程において、上記汚泥は鉄分を多く含み、セレンの大部分は第一凝集分離工程で除去されている。汚泥は、セレン濃度が低い場合にはセメントの鉄分原料として利用することができる。また、セレン濃度が高い場合には、銅製錬などの非鉄製錬工程に送り、セレンを回収するとともにシリカや鉄などをスラグ成分として資源化することができる。
〔実施例1〕
図1に示す本発明の処理工程に従い、原水(石炭火力発電所の排煙脱硫排水、pH2)2リットルを第一凝集槽11に導入し、これに高分子添加剤(商品名:ダイヤフロックNP800)5mg/Lを添加して5分間攪拌した後に、第一沈澱分離槽12に導入して10分間静置し、汚泥を沈降させた〔第一凝集分離処理〕。この汚泥を抜き出し、液分(一次処理排水)は中和槽21に導入した。中和槽21に導入した排水に消石灰12gを加えて攪拌し、pH6.5に調整した。この排水を第二凝集槽22に導入して高分子添加剤(商品名:ダイヤフロックAP825B)5mg/Lを添加し20分間凝集物を形成させた。次いで、この排水を第二沈澱分離槽23に導入して30分間静置して汚泥を沈降させた〔第二凝集分離処理〕。この汚泥を抜き出し、液分(二次処理排水)を反応槽32に導入した。反応槽32に硫酸第一鉄6gと、25%苛性ソーダ27mLを加えた汚泥300mLを添加し、反応槽32のpHを9.0に調整した。この汚泥は第三沈澱分離槽33から抜き出した汚泥の一部を利用した。反応槽32で120分間反応させた後に、生成したスラリーを第三沈澱分離槽33に導入して60分間静置し、汚泥を沈降させた。
処理条件を表1に示す。原水に含まれる浮遊懸濁物、セレン、アルミニウム、珪素、硫酸分、鉄の各濃度を表2に示す。第一沈澱分離槽12から抜き出した一次処理排水、第二沈澱分離槽23から抜き出した二次処理排水、第三沈澱分離槽33から抜き出した三次処理排水におのおの含まれる浮遊懸濁物濃度、セレン濃度を表2示す。また、第一沈澱分離槽12から抜き出した一次処理汚泥、第二沈澱分離槽23から抜き出した二次処理汚泥、第三沈澱分離槽33から抜き出した三次処理汚泥におのおの含まれる成分量を表3に示す。
表2に示すように、一次処理排水〜三次処理排水の浮遊懸濁物は10mg/L未満であり、浮遊懸濁液の大部分は第一凝集分離工程において除去されている。また、一次処理排水および二次処理排水に含まれるセレン濃度は0.4mg/Lであり、セレンの大部分は第一凝集分離工程において除去されている。さらに、三次処理排水中のセレン濃度は0.01mg/Lに低下しており、残留重金属除去工程において残留セレンが除去されている。
表3に示すように、一次処理汚泥はシリカを主成分とし、鉄分およびアルミニウム分を多く含み、セレンが含有されている。従って、この一次処理汚泥を非鉄製錬のスラグ成分として資源化し、さらにセレンを回収することができる。二次処理汚泥は石膏分を多く含み、アルミニウム分を含むが、セレンは殆ど含まれていないので、この二次処理汚泥をセメント原料として利用することができる。また、三次処理汚泥は鉄分を多く含むため、セメントの鉄分原料として資源化することができる。
Figure 0005170461
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11−第一凝集槽、12−第一沈澱分離槽、21−中和槽、22−第二凝集槽、23−第二沈澱分離槽、31−第一鉄化合物添加手段、32−反応槽、33−第三沈澱分離槽、34−アルカリ添加槽、35−汚泥返送路。

Claims (5)

  1. セレン含有排水に高分子凝集剤を添加してセレンを含む凝集物を形成し、これを沈殿分離する第一凝集分離工程、該第一凝集分離工程で分離した排水をpH4〜9に調整して高分子凝集剤を加えて凝集物を形成し、これを沈澱させることによって、排水中のアルミニウム、珪素、硫酸イオン、鉄を分離する第二凝集分離工程、該第二凝集分離工程を経た排水を残留重金属除去工程に導き、該残留重金属除去工程には第一鉄化合物の添加手段と、密閉型反応槽と、沈澱分離槽と、分離した汚泥にアルカリを添加するアルカリ添加槽と、アルカリを添加した汚泥を上記反応槽に返送する手段とが設けられており、上記反応槽において第一鉄化合物を添加した排水とアルカリ添加汚泥とを混合してアルカリ性および非酸化性雰囲気下でグリーンラストと鉄フェライトの混合物からなる還元性の鉄化合物沈澱を形成させ、これを沈澱分離槽に導き、汚泥を分離し、その一部または全部を上記アルカリ添加槽に導き、アルカリ添加汚泥を上記反応槽に返送して上記還元性鉄化合物を沈澱させ、該沈澱に重金属を取り込ませて系外に除去することを特徴とするセレン含有排水の処理方法。


  2. セレン含有排水が湿式脱煙処理工程から発生する酸性の排水である請求項1に記載する処理方法。
  3. 第一凝集分離工程で分離した沈殿物を非鉄製錬工程に導いて該沈殿物に含まれるセレンを回収する請求項1または請求項2に記載する処理方法。
  4. 第二凝集分離工程において、前工程から導いた酸性の排水にアルカリを添加してpH4〜9に調整し、分離した凝集物(汚泥)をセメント原料として用いる請求項1〜請求項3の何れかに記載する処理方法。
  5. 残留重金属除去工程において、分離した余剰の汚泥を非鉄製錬原料またはセメント原料として用いる請求項1〜請求項4の何れかに記載する処理方法。
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