JP2000167571A - セレン含有水の処理方法 - Google Patents

セレン含有水の処理方法

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JP2000167571A
JP2000167571A JP10344298A JP34429898A JP2000167571A JP 2000167571 A JP2000167571 A JP 2000167571A JP 10344298 A JP10344298 A JP 10344298A JP 34429898 A JP34429898 A JP 34429898A JP 2000167571 A JP2000167571 A JP 2000167571A
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Yoshihiro Eto
良弘 恵藤
Hiroyuki Asada
裕之 朝田
Takafumi Murakami
孝文 村上
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Kurita Water Industries Ltd
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Kurita Water Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】処理工程が簡単であり、薬剤添加量及び汚泥発
生量が少なく、しかも水を回収して再利用することがで
きる効率的なセレン含有水の処理方法を提供する。 【解決手段】セレン含有水を蒸発濃縮し、濃縮水を60
℃以上において、金属鉄との接触又は鉄(II)塩の添加に
より処理することを特徴とするセレン含有水の処理方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セレン含有水の処
理方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、処理工程
が簡単であり、薬剤添加量及び汚泥発生量が少なく、し
かも水を回収して再利用することができる効率的なセレ
ン含有水の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】石灰火力発電所の排煙脱硫排水や石油精
製工場排水は、セレンを含有する場合がある。また、セ
レンは工業原料として、ガラスの脱色剤や着色剤、高級
顔料、鉄鋼や銅への添加剤に使われるほか、ウレタンや
尿素の合成時の触媒としても使用されるので、これらの
工場排水にもセレンが含有される可能性がある。セレン
は排水中に高濃度に含有されることは稀であるが、環境
保全のためにセレンに対する規制が行われるにいたり、
排水中のセレンの処理が必要となり、水質汚濁防止法に
基づくセレンの排水基準は、0.1mg/リットルと示さ
れている。排水中のセレンは、通常コロイド状のセレ
ン、4価の亜セレン酸イオン(SeO3 2-)又は6価の
セレン酸イオン(SeO4 2-)として存在することが多
い。このようなセレン含有水の処理方法としては、凝集
沈殿法とイオン交換法があり、Encyclopedi
a of Environmental Control
Technology(Gulf Publishin
g Co.,1993)、第6巻、632頁にその概要が
記載されている。凝集沈殿法によるセレン含有水の処理
に関しては多くの改良法が提案されており、例えば、特
開平6−79286号公報には、排水に鉄塩として硫酸
第一鉄又は塩化第一鉄を加えたのち中和剤を添加し、セ
レンを水酸化鉄フロックと共沈させて除去する方法が提
案されている。しかし、この方法では最終処理水中のセ
レン濃度は0.2〜0.4mg/リットルにまでしか低下せ
ず、0.1mg/リットルという排水基準を達成すること
ができない。また、R.H.Lienは、EPD Co
ngr.‘90,334頁において、Chemical
and Biological Cyanide Des
truction and Selenium Remo
val from Precious Metal Tai
ling Pond Waterと題して、セレン酸イオ
ンを含有する排水にFeSO4・7H2O又はFeCl2
・4H2Oを添加し、Na2SeO4+6Fe(OH)2→S
0+3Fe23+2NaOH+5H2Oにしたがってセ
レン酸イオンを還元処理する方法を提案している。しか
し、この方法によれば、最終処理水中のセレン濃度を
0.1mg/リットル以下にするために必要なFeSO4
7H2Oの添加量は25g/リットル以上となり、発生
する汚泥の量が多くなるので、実用的、経済的に問題が
あり、現実には適用困難である。このように、従来のセ
レン含有水の処理方法によっては、使用する薬剤の添加
量が多く、汚泥の発生量も多いという問題があり、より
効率的なセレン含有水の処理方法が求められていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、処理工程が
簡単であり、薬剤添加量及び汚泥発生量が少なく、しか
も水を回収して再利用することができる効率的なセレン
含有水の処理方法を提供することを目的としてなされた
ものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、セレン含有水を
蒸発濃縮し、濃縮水を60℃以上において、金属鉄との
接触又は鉄(II)塩の添加によって処理することにより、
薬剤の使用量と廃棄物の発生量を減少し、しかも効果的
にセレンを除去し得ることを見いだし、この知見に基づ
いて本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、
(1)セレン含有水を蒸発濃縮し、濃縮水を60℃以上
において、金属鉄との接触又は鉄(II)塩の添加により処
理することを特徴とするセレン含有水の処理方法、
(2)濃縮水のpHを6以下に調整し、金属鉄と接触させ
る第(1)項記載のセレン含有水の処理方法、及び、
(3)濃縮水のpHを3以上に調整し、鉄(II)塩を添加す
る第(1)項記載のセレン含有水の処理方法、を提供する
ものである。さらに、本発明の好ましい態様として、
(4)濃縮水と金属鉄との接触を、通水速度LV0.5
m/hr以上で行う第(1)項記載のセレン含有水の処理方
法、(5)濃縮水を金属鉄との接触又は鉄(II)塩の添加
により処理したのち、pH9以上として固液分離する第
(1)項記載のセレン含有水の処理方法、及び、(6)固
液分離により発生した汚泥を、蒸発濃縮前のセレン含有
水に返送し、凝集沈殿処理を行う第(1)項記載のセレン
含有水の処理方法、を挙げることができる。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明のセレン含有水の処理方法
は、セレン含有水を蒸発濃縮し、濃縮水を60℃以上に
おいて、金属鉄との接触又は鉄(II)塩の添加により処理
するものである。本発明方法においては、セレン含有水
を蒸発濃縮するに先立って、必要に応じて、前処理を行
うことが好ましい。前処理の方法に特に制限はなく、例
えば、凝集処理、ろ過、膜分離などを挙げることができ
る。セレン含有水は、通常、セレン以外に、フッ素、重
金属、硬度成分、濁質などの不純分を含有する場合が多
いので、他の不純分をあらかじめ除去することにより、
効率的に処理を進めることができる。特に、フッ素を含
有する水を蒸発濃縮すると、蒸発装置の腐食の原因とな
るので、あらかじめフッ素を除去しておくことが好まし
い。また、前処理として凝集処理工程を設けることによ
り、セレンのうち比較的除去しやすい4価のセレンを除
去することができる。凝集工程で使用する凝集剤として
は、例えば、消石灰、アルミニウム塩、鉄塩などの無機
凝集剤を挙げることができる。さらに、本発明方法にお
いて、後工程から排出される鉄含有汚泥を返送して添加
することができる。鉄含有汚泥を返送して添加すること
により、汚泥中に含まれる鉄を、4価のセレンの除去に
利用することができる。
【0006】本発明方法において、セレン含有水の蒸発
濃縮に用いる蒸発装置に特に制限はなく、例えば、加熱
蒸発、真空蒸発など任意の蒸発装置を採用することがで
き、フラッシュタイプ、フイルムタイプ、強制循環タイ
プなどの蒸発装置を使用することができる。蒸発装置か
ら発生する水蒸気は、凝縮により回収して再利用するこ
とができる。蒸発装置の上部に飛沫同伴防止装置を設け
ることにより、塩類を含まない良好な水質の回収水を得
ることができる。セレン含有水の濃縮倍率に特に制限は
ないが、蒸発装置内において結晶が析出する直前まで濃
縮して濃縮倍率を上げることが好ましい。濃縮倍率を上
げることにより、処理すべき濃縮水の量を減少すること
ができ、かつ再利用する回収水の量を増加することがで
きる。濃縮水中のセレン濃度は、蒸発により水が除去さ
れるとともに濃縮倍率に応じて高くなり、処理すべき水
量が減少して処理を効率的に行うことができる。セレン
含有水の蒸発濃縮を行うことにより、濃縮水は加温状態
になり、金属鉄との接触又は鉄(II)塩の添加の際にあら
ためて加熱することなく、続けて処理を行うことができ
るので、熱エネルギーを有効に利用することができる。
本発明方法においては、濃縮水を60℃以上、好ましく
は90℃以上において、金属鉄との接触又は鉄(II)塩の
添加により処理する。金属鉄との接触及び鉄(II)塩の添
加は、それぞれを単独で行うことができ、あるいは、金
属鉄との接触及び鉄(II)塩の添加を併用することもでき
る。セレン含有水を蒸発濃縮すると、セレンが濃縮され
るとともに、共存する塩類も濃縮される。金属鉄又は鉄
(II)塩によるセレンの還元は、常温付近では共存塩類に
よる影響を受けて妨害されやすいが、60℃以上、好ま
しくは90℃以上で処理することにより、濃縮水中のセ
レンを効率的に還元することができる。金属鉄との接触
は、鉄(II)塩の添加よりも、セレンの除去に対して効果
が大きいのでより好ましい。本発明方法においては、濃
縮水のpHを6以下に調整して金属鉄と接触させることが
好ましく、pHを5以下に調整して金属鉄と接触させるこ
とがより好ましく、pHを4以下に調整して金属鉄と接触
させることがさらに好ましい。濃縮水のpHを6以下とす
ることにより、濃縮水中への金属鉄の溶解が促進され、
セレンを効率的に還元することができる。
【0007】本発明方法において、濃縮水を接触させる
金属鉄に特に制限はなく、例えば、純鉄、粗鋼、合金
鋼、その他の鉄合金などを挙げることができる。金属鉄
は、鉄微粒子、鉄網線、粒状鉄など表面積の大きい形状
であることが好ましく、粒状鉄の場合は最大径が3mm以
下であることが好ましく、1mm以下であることがより好
ましい。本発明方法において、濃縮水と金属鉄を接触さ
せる方法に特に制限はなく、例えば、鉄微粒子、鉄網
線、粒状鉄などを充填したカラムに通水することにより
接触させることができ、あるいは、反応槽中において濃
縮水に鉄微粒子、鉄網線、粒状鉄などを加えることによ
り接触させることもできる。濃縮水を金属鉄を充填した
カラムに通水する場合、濃縮水と金属鉄との接触を、通
水速度LV0.5m/hr以上で行うことが好ましい。通
水速度をLV0.5m/hr以上とすることにより、還元
反応速度を高めてセレンを効果的に除去することができ
る。濃縮水と鉄の接触時間は、通常1〜120分とする
ことが好ましいが、濃縮水のpH値又は酸化還元電位を測
定して制御することが可能である。pHは、金属鉄の溶解
により酸が消費されるので上昇し、pHが6〜7となるこ
とを適切な接触時間を判断する基準とすることができ
る。酸化還元電位は、酸化性物質が還元されることによ
り低下するので、酸化還元電位が−100mV以下に到
達することを適切な接触時間を判断する基準とすること
ができる。本発明方法において、pHを6以下に調整した
濃縮水と金属鉄を接触させることにより、金属鉄は2価
の鉄イオンとなって水中に溶出する。金属鉄が溶解する
際に、濃縮水中の6価のセレン酸イオンを、次式にした
がって4価の亜セレン酸イオン又は0価のセレンに還元
するものと考えられる。 3Fe+SeO4 2-+8H+ → 3Fe2++Se0+4H2
O (SeO4 2- → SeO3 2- → Se0
【0008】本発明方法においては、濃縮水のpHを3以
上に調整して鉄(II)塩を添加することが好ましく、pHを
5〜9に調整して鉄(II)塩を添加することがより好まし
い。濃縮水のpHを3以上とすることにより、濃縮水中に
おけるセレン酸と2価の鉄イオンの反応が促進され、セ
レンを効率的に還元することができる。本発明方法にお
いて、濃縮水に添加する鉄(II)塩に特に制限はなく、例
えば、塩化第一鉄、臭化第一鉄、ヨウ化第一鉄、硫酸第
一鉄、リン酸第一鉄、硫化第一鉄、チオシアン酸第一
鉄、シュウ酸第一鉄、コハク酸第一鉄、フマル酸第一
鉄、クエン酸第一鉄、グルコン酸第一鉄、乳酸第一鉄な
どを挙げることができる。これらの中で、無機酸の鉄(I
I)塩を好適に使用することができ、硫酸第一鉄を特に好
適に使用することができる。本発明方法において、濃縮
水に鉄(II)塩を添加する方法に特に制限はなく、例え
ば、鉄(II)塩を固体の状態で添加することができ、ある
いは、鉄(II)塩を水溶液として添加することもできる。
鉄(II)塩の添加量に特に制限はなく、濃縮水中のセレン
の濃度に応じて適宜選定することができるが、通常は水
中の2価の鉄イオンの濃度が200〜4,000mg/リ
ットルとなるように添加することが好ましい。濃縮水に
鉄(II)塩を添加したのちの反応時間に特に制限はない
が、通常は10〜120分とすることが好ましい。2価
の鉄イオンは、濃縮水中の6価のセレン酸イオンを、次
式にしたがって4価の亜セレン酸イオン又は0価のセレ
ンに還元するものと考えられる。 SeO4 2-+2Fe2++2H+ → SeO3 2-+2Fe3+
+H2O SeO4 2-+6Fe2++8H+ → Se0+6Fe3++4
2
【0009】本発明方法においては、金属鉄との接触又
は鉄(II)塩の添加により濃縮水中のセレンを還元したの
ち、濃縮水の凝集処理を行って固液分離することができ
る。凝集処理の方法に特に制限はないが、アルカリ剤を
添加することにより、水中の2価の鉄イオン及び3価の
鉄イオンを水不溶性の水酸化第一鉄及び水酸化第二鉄と
し、水酸化鉄フロックを形成して凝集することが好まし
い。アルカリ剤の添加により、濃縮水のpHを8以上とす
ることが好ましく、pHを9〜10とすることがより好ま
しい。濃縮水のpHが8未満であると、水酸化鉄フロック
などの凝集が不十分となるおそれがある。濃縮水のpHを
8以上とすることにより、次式のように、水中の2価の
鉄イオンは水不溶性の水酸化第一鉄となり、3価の鉄イ
オンは水不溶性の水酸化第二鉄となる。このとき、還元
された0価のセレン及び4価のセレンは、生成する水酸
化鉄フロックに吸着され、凝集分離される。 Fe2++2NaOH → Fe(OH)2+2Na+ Fe3++3NaOH → Fe(OH)3+3Na+濃縮水の
pHを8以上にすることにより、水中に金属鉄の微粒子が
浮遊している場合は、金属鉄の微粒子も水酸化鉄フロッ
クに吸着されて凝集する。また、反応系が空気に開放さ
れている場合は、2価の鉄イオンが空気酸化を受けて、
一部が酸化第二鉄の微粒子となるが、酸化第二鉄の微粒
子も水酸化鉄フロックに吸着されて凝集する。濃縮水の
pHを8以上にするためのアルカリ剤に特に制限はなく、
例えば、水酸化ナトリウム、消石灰、水酸化カリウム、
炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、カーバイド滓などを使
用することができる。アルカリ剤の添加による凝集処理
の際に、さらに高分子凝集剤を添加することができる。
高分子凝集剤の添加により、フロックが粗大化し、水か
らの分離が容易になる。使用する高分子凝集剤に特に制
限はなく、例えば、ポリアクリルアミド、ポリエチレン
オキシド、尿素−ホルマリン樹脂などのノニオン性高分
子凝集剤、ポリアミノアルキルメタクリレート、ポリエ
チレンイミン、ハロゲン化ポリジアリルアンモニウム、
キトサンなどのカチオン性高分子凝集剤、ポリアクリル
酸ナトリウム、ポリアクリルアミド部分加水分解物、部
分スルホメチル化ポリアクリルアミド、ポリ(2−アク
リルアミド)−2−メチルプロパン硫酸塩などのアニオ
ン性高分子凝集剤などを使用することができる。これら
の高分子凝集剤の中で、アニオン性高分子凝集剤は凝集
効果に優れているので、特に好適に使用することができ
る。
【0010】凝集処理ののち固液分離を行うことによ
り、凝集処理により生成したフロックを除去し、処理水
を分離することができる。固液分離方法に特に制限はな
く、沈殿、ろ過、遠心分離、膜分離など任意の固液分離
方法を使用することができる。これらの固液分離方法の
中で、膜分離は微細な懸濁物質をも除去することがで
き、装置を小型化することが可能であるので、特に好適
に使用することができる。図1は、本発明方法の実施の
一態様の工程系統図である。前処理として、セレン含有
水に凝集剤を添加し、凝集沈殿し固液分離を行う。セレ
ン含有水が排煙脱硫排水である場合は、凝集沈殿により
発生する汚泥は石膏を主体とするものであり、回収して
利用することができる。このとき、後工程の固液分離に
より発生する鉄を含む汚泥を返送し、セレン含有水に添
加して、4価のセレンを凝集沈殿させることができる。
凝集沈殿による前処理を行ったセレン含有水は、次いで
蒸発濃縮し、回収水と濃縮水に分離する。回収水は、塩
類などの不純分をほとんど含まないので、再利用するこ
とができる。濃縮水は蒸発装置から高温の状態で排出さ
れるので、そのまま60℃以上において、金属鉄との接
触又は鉄(II)塩の添加による還元処理を行い、6価のセ
レンを4価又は0価のセレンまで還元する。還元処理を
終えた濃縮水は、アルカリ剤を添加してpHを9以上に調
整することにより、水酸化鉄のフロックを形成させて固
液分離を行い、セレンが除去された処理水を得る。発生
する鉄を含む汚泥は、返送してセレン含有水に添加する
ことができる。本発明のセレン含有水の処理方法によれ
ば、セレン含有水を蒸発濃縮することにより、濃縮水中
のセレンが高濃度になり、また、濃縮水は加熱状態で排
出されるために、セレンの還元処理が容易となり、少な
い金属鉄の溶出量又は鉄(II)塩の添加量で処理すること
ができる。濃縮水を金属鉄と接触させる場合、大部分の
セレンは金属鉄の表面上に析出して除去されるために、
水酸化鉄を主体とする汚泥中にセレンはほとんど含まれ
ない。また、鉄(II)塩を添加する場合も、セレンは0価
又は4価に還元されており、汚泥から溶出するおそれが
ない。
【0011】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限
定されるものではない。 実施例1 石炭火力発電所の排煙脱硫排水を、蒸発により10倍に
濃縮した。蒸発により回収した水は、セレンは検出され
ず、溶解固形物濃度(TDS)は10mg/リットル程度
であり、工業用水として再利用可能な水質を有してい
た。濃縮水は、TDS174,000mg/リットルであ
り、Se(VI)濃度1.5mg/リットルであった。この濃
縮水のpHを3.0に調整したのち、粒径0.3mmの金属鉄
粒子50mlを充填したカラムに、90℃、SV1hr-1
LV0.5m/hrで通水した。カラムから流出する水を
室温まで冷却し、pHを9.5に調整して固液分離し、処
理水を得た。処理水中のSe濃度は、0.05mg/リッ
トルであった。また、この処理により溶出した金属鉄の
量は、210mg/リットルであった。 実施例2 濃縮水のpHを5.0に調整してカラムに通水した以外
は、実施例1と同じ操作を行った。処理水中のSe濃度
は0.08mg/リットルであり、溶出した金属鉄の量は
180mg/リットルであった。 実施例3 通水速度をLV0.3m/hrとした以外は、実施例1と
同じ操作を行った。処理水中のSe濃度は0.37mg/
リットルであり、溶出した金属鉄の量は200mg/リッ
トルであった。 実施例4 通水速度をLV1.0m/hrとした以外は、実施例1と
同じ操作を行った。処理水中のSe濃度は0.04mg/
リットルであり、溶出した金属鉄の量は210mg/リッ
トルであった。 実施例5 濃縮水のpHを7.0に調整してカラムに通水した以外
は、実施例1と同じ操作を行った。処理水中のSe濃度
は1.0mg/リットルであり、溶出した金属鉄の量は4
0mg/リットルであった。 実施例6 濃縮水のpHを1.0に調整して、60℃でカラムに通水
した以外は、実施例1と同じ操作を行った。処理水中の
Se濃度は0.1mg/リットルであり、溶出した金属鉄
の量は2,500mg/リットルであった。 比較例1 pH調整した濃縮水を20℃でカラムに通水した以外は、
実施例1と同じ操作を行った。処理水中のSe濃度は
1.4mg/リットルであり、溶出した金属鉄の量は34
0mg/リットルであった。 比較例2 pH調整した濃縮水を50℃でカラムに通水した以外は、
実施例1と同じ操作を行った。処理水中のSe濃度は
1.3mg/リットルであり、溶出した金属鉄の量は34
0mg/リットルであった。実施例1〜6及び比較例1〜
2の結果を、第1表に示す。
【0012】
【表1】
【0013】第1表に見られるように、通水温度を60
℃又は90℃として、セレン含有水の濃縮水をカラム中
の金属鉄粒子と接触させた実施例1〜6においては、濃
縮水中のセレンが除去されている。特に、濃縮水のpHを
5.0以下に調整し、通水LVを0.5m/hr以上とした
実施例1、実施例2、実施例4及び実施例6において
は、処理水中のセレン濃度は、水質汚濁防止法に基づく
セレンの排水基準である0.1mg/リットル以下まで低
下している。これに対して、通水温度が20℃又は50
℃である比較例1〜2においては、濃縮水中のセレンは
わずかしか除去されていない。 実施例7 実施例1で得られた濃縮水にFeSO4・7H2Oを1
5,000mg/リットル添加したのち、pHを2.7に調整
し、90℃において1時間反応した。次いで室温まで冷
却し、pHを9.5に調整して固液分離し、処理水を得
た。処理水中のSe濃度は、0.40mg/リットルであ
った。 実施例8 pHを3.3に調整した以外は、実施例7と同じ操作を行
った。処理水中のSe濃度は、0.07mg/リットルで
あった。 実施例9 pHを5.5に調整した以外は、実施例7と同じ操作を行
った。処理水中のSe濃度は、0.05mg/リットルで
あった。 実施例10 pHを7.2に調整した以外は、実施例7と同じ操作を行
った。処理水中のSe濃度は、0.02mg/リットルで
あった。 実施例11 FeSO4・7H2Oの添加量を10,000mg/リット
ルとし、pHを7.1に調整した以外は、実施例7と同じ
操作を行った。処理水中のSe濃度は、0.05mg/リ
ットルであった。 実施例12 FeSO4・7H2Oの添加量を5,000mg/リットル
とし、pHを6.9に調整した以外は、実施例7と同じ操
作を行った。処理水中のSe濃度は、0.23mg/リッ
トルであった。実施例7〜12の結果を、第2表に示
す。
【0014】
【表2】
【0015】第2表に見られるように、セレン含有水の
濃縮水に硫酸第一鉄を添加し、90℃において反応させ
た実施例7〜12においては、濃縮水中のセレンが効果
的に除去されている。特に、濃縮水のpHを3.3〜7.2
に調整し、鉄としての添加量を2,000mg/リットル
以上とした実施例8、実施例9、実施例10及び実施例
11においては、処理水中のセレン濃度は、水質汚濁防
止法に基づくセレンの排水基準である0.1mg/リット
ル以下まで低下している。 比較例3 実施例1で用いたSe(VI)0.15mg/リットルを含む
石炭火力発電所の排煙脱硫排水を、蒸発により濃縮する
ことなく、実施例1で用いた粒径0.3mmの金属鉄粒子
50mlを充填したカラムに、20℃、SV1hr-1、LV
0.5m/hrで通水し、カラムから流出する水のpHを9.
5に調整して固液分離した。処理水中のSe濃度を0.
05mg/リットルとするために必要な金属鉄の溶出量を
求めたところ、250mg/リットルであった。比較例3
と実施例1の結果を比較すると、比較例3において処理
した水量は、実施例1において処理した水量の10倍で
あるので、比較例3においては、実施例1の12倍の金
属鉄が溶出している。また、処理水中のセレン濃度は比
較例3、実施例1ともに0.05mg/リットルである
が、比較例3の処理水量は実施例1の処理水量の10倍
であるので、比較例3においては、実施例1の10倍量
のセレンを環境に放出することになる。 比較例4 実施例1で用いたSe(VI)0.15mg/リットルを含む
石炭火力発電所の排煙脱硫排水を、蒸発により濃縮する
ことなく、実施例7と同様にしてFeSO4・7H2Oを
添加して20℃で1時間反応したのち、pHを9.5に調
整して固液分離した。処理水中のSe濃度を0.05mg
/リットルとするために必要なFeSO4・7H2Oの添
加量を求めたところ、3,000mg/リットルであっ
た。比較例4と実施例11の結果を比較すると、比較例
4において処理した水量は、実施例11において処理し
た水量の10倍であるので、比較例4においては、実施
例11の3倍のFeSO4・7H2Oを使用している。ま
た、処理水中のセレン濃度は比較例4、実施例11とも
に0.05mg/リットルであるが、比較例4の処理水量
は実施例11の処理水量の10倍であるので、比較例4
においては、実施例11の10倍量のセレンを環境に放
出することになる。
【0016】
【発明の効果】本発明のセレン含有水の処理方法によれ
ば、蒸発により回収した水の再利用が可能であり、セレ
ン含有水を簡単な工程によって容易に処理することがで
き、薬剤の使用量と廃棄物の発生量が極めて少なく、処
理水中のセレン濃度を確実に排水基準である0.1mg/
リットル以下とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明方法の実施の一態様の工程系統
図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村上 孝文 東京都新宿区西新宿三丁目4番7号 栗田 工業株式会社内 Fターム(参考) 4D038 AA08 AB70 BA04 BB02 BB13 BB15 BB18 4D050 AA12 AA13 AB59 BA02 BA10 BD03 BD06 CA02 CA13 CA16 CA20

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】セレン含有水を蒸発濃縮し、濃縮水を60
    ℃以上において、金属鉄との接触又は鉄(II)塩の添加に
    より処理することを特徴とするセレン含有水の処理方
    法。
  2. 【請求項2】濃縮水のpHを6以下に調整し、金属鉄と接
    触させる請求項1記載のセレン含有水の処理方法。
  3. 【請求項3】濃縮水のpHを3以上に調整し、鉄(II)塩を
    添加する請求項1記載のセレン含有水の処理方法。
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