JP2010075849A - 塩素含有微粉状廃棄物の処理方法 - Google Patents

塩素含有微粉状廃棄物の処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 設備費用やランニングコストの小さい、固液分離工程数の少ない塩素含有微粉状廃棄物の処理方法であって、有害物質含有量の大きい抽気ダスト等の廃棄物であっても、その水洗水を水質汚濁防止法の排水基準値内とすることができる方法の提供。
【解決手段】 塩素含有微粉状廃棄物に水を加えてスラリー化し、pH12以上で陰イオン性カルボン酸系高分子凝集剤の存在下で固液分離をする第一工程、第一工程で得られた液相に鉄系還元剤及び酸剤を添加し、pHを6.0乃至8.0とし、次いで金属捕集剤を添加する第二工程、第二工程で得られた液相に、ポリ硫酸第二鉄又は塩化第二鉄と、必要な場合にはアルカリ剤とを添加し、pHを6.5乃至7.5とする第三工程、及び第三工程で得られた液相に陰イオン性カルボン酸系高分子凝集剤を添加し、固液分離をする第四工程を含む、塩素含有微粉状廃棄物の処理方法を実施する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、セメント製造装置等において、塩素、塩基性物質、硫黄等を含有する焼成ガスの一部を抽気した際に同伴されて出てくる有害物質を含むダスト(以下、「抽気ダスト」という)や焼却灰等の、塩素含有微粉状廃棄物の処理方法に関する。
抽気ダストには、塩素、塩基性物質、硫黄に加え、鉛、カドミウム、セレン、銅、亜鉛等の有害物質が含まれている。従って、抽気ダストをそのまま埋め立てに使用したり廃棄すると、環境汚染を引き起こす。そこで、従来より、抽気ダストを水洗して塩素や塩基性物質を除いた後に得られる固形分は、セメントの原料の一部として使用されている。一方、水洗に使用した水には、前記の有害物質が溶存している。その水洗水については、排水する場合には、水質汚濁防止法の排水基準に適合させなければならない。そのため、水洗水からそれらの有害物質を除去し、水質汚濁防止法の排水基準において規定された濃度以下とするための処理方法が研究され、実施されている。
特許文献1には、セメントキルン抽気ダストの処理方法であって、4回もの固液分離工程を含む方法が開示されている。また、特許文献2には、セメント装置抽気ダストの処理方法であって、3回の固液分離工程を含む方法が開示されている。これらの方法を連続法で実施するには、沈殿槽等を少なくとも四基(特許文献1に記載の発明の場合)又は三基(特許文献2に記載の発明の場合)用意する必要があり、従って設備の建設に多額の費用がかかる。さらに、固液分離には時間を要するので、これらの方法は効率が悪く、よってランニングコストも大きくなる。
ところで、抽気ダスト水洗水の処理において、除去が困難とされる金属の一つとしてセレンが挙げられる。抽気ダスト水洗水からのセレンの十分な除去を目的とした抽気ダストの処理方法が、特許文献3及び特許文献4に開示されている。特許文献3に記載の発明の特徴は、抽気ダストのスラリーを固液分離した後の処理水(上澄み)に多硫化カルシウムを添加する点にある。なお、この方法における固液分離工程は2回である。また、特許文献4に記載の方法も、固液分離工程は2回のみである。従って、設備費用やランニングコストの点からは、これらの方法は特許文献1や特許文献2に記載の方法よりも優れているといえる。
特許文献3及び特許文献4に記載の発明においては、抽気ダスト水洗水の処理において通常は使用される高分子凝集剤が、必須成分ではなく任意成分とされている。抽気ダスト水洗水中の有害物質の種類や量によっては、高分子凝集剤の使用が必要となると思われるが、特許文献3や特許文献4には、これらに記載の発明における使用に適する高分子凝集剤について、具体的な例示がなく、且つ、高分子凝集剤を使用した例(実施例)の記載もない。また、特許文献3や特許文献4に記載の方法において、特に抽気ダスト水洗水の有害物質濃度が高い場合に、すべての有害物質濃度を、水質汚濁防止法の排水基準で規定されている基準値以下となるように処理できるのか否かも不明である。
特開2005−103476 特開平10−99817 特開2002−254049 特開2006−347831
上記の先行技術に鑑み、本発明者らは、設備費用やランニングコストの小さい、固液分離工程数の少ない方法であって、処理の対象が有害物質含有量の大きい抽気ダスト等の塩素含有微粉状廃棄物であっても、その水洗水の有害物質濃度を水質汚濁防止法の排水基準における基準値内となるように処理できる方法の提供を目的として、鋭意研究してきた。その結果、使用する高分子凝集剤、無機凝集剤、金属捕集剤の種類を限定し、使用時の液相のpHを限定し且つ使用順序を特定することで、上記目的を達成することができた。
即ち、本発明は、塩素含有微粉状廃棄物に水を加えてスラリー化し、pH12以上で陰イオン性カルボン酸系高分子凝集剤の存在下で固液分離をする第一工程、第一工程で得られた液相に鉄系還元剤及び酸剤を添加し、pHを6.0乃至8.0とし、次いで金属捕集剤を添加する第二工程、第二工程で得られた液相に、ポリ硫酸第二鉄又は塩化第二鉄と、必要な場合にはアルカリ剤とを添加し、pHを6.5乃至7.5とする第三工程、及び第三工程で得られた液相に陰イオン性カルボン酸系高分子凝集剤を添加し、固液分離をする第四工程を含むことを特徴とする、塩素含有微粉状廃棄物の処理方法に関する。
鉄系還元剤として、塩化第一鉄又は硫酸第一鉄を使用することが好ましい。
陰イオン性カルボン酸系高分子凝集剤として、(メタ)アクリルアミド−(メタ)アクリル酸塩の共重合体を使用することが好ましい。
金属捕集剤として、ジチオカルバミン酸系高分子金属捕集剤を使用することが好ましい。
鉄系還元剤として塩化第一鉄を使用し、第二工程において、塩化第一鉄に、目開きが45μmのフルイ(JIS Z8801−1)の通過分が95重量%以上の鉄粉を併用することが好ましい。
本発明の塩素含有微粉状廃棄物の処理方法では、固液分離工程が2回のみであるので、処理設備及びそのための敷地が小さくて済み、従って、処理設備の建設費用が少なくて済む。さらに、本発明の方法は、固液分離工程が2回のみの簡便な方法であることから、作業効率が高く、よって本発明の方法の実施におけるランニングコストも小さい。
本発明の方法を実施するだけで、塩素含有微粉状廃棄物水洗水中の有害物質濃度を、水質汚濁防止法の排水基準値内とすることができる。さらなる処理が不要であるので、この点からも、本発明の実施により、塩素含有微粉状廃棄物処理のコストを低減させることができる。
以下に、本発明を具体的に説明する。
本発明の方法の実施対象である塩素含有微粉状廃棄物とは、例えばセメント製造装置における焼成ガスの抽気の際に出てくるダスト(塩素バイパスダスト)、電気集塵ダスト、焼却灰等をいう。本発明の方法は、塩素バイパスダスト等の抽気ダストの処理に特に適する。
第一工程は、塩素含有微粉状廃棄物に水を加えてスラリー化し、pH12以上で陰イオン性カルボン酸系高分子凝集剤の存在下で固液分離をする工程である。塩素含有微粉状廃棄物に加える水の量は、スラリーが形成できればよく、特に限定されないが、例えば、スラリーの固形分(ダスト)濃度が5乃至20重量%程度となる量、好ましくは8乃至15重量%程度となる量である。塩素含有微粉状廃棄物に水を加えて撹拌すると、スラリーとなる。このスラリーは、一般的には高塩基性であるので、アルカリ剤を添加しなくてもスラリーのpHは12以上である。しかし、スラリーのpHが12未満である場合には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ剤を加え、pHを12以上とする。尚、好ましいpHは12.5以上であり、更に好ましいpHは13以上である。
第一工程で使用する高分子凝集剤は、陰イオン性のカルボン酸系凝集剤である。このような凝集剤の具体例としては、アクリルアミド−アクリル酸塩の共重合体、メタクリルアミド−メタクリル酸塩の共重合体、アクリルアミド−メタクリルアミド−アクリル酸塩−メタクリル酸塩の共重合体が挙げられる。塩の例は、ナトリウム塩やアンモニウム塩である。なお、以下においては、このような共重合体をまとめて「(メタ)アクリルアミド−(メタ)アクリル酸塩の共重合体」という。(メタ)アクリルアミド−(メタ)アクリル酸塩の共重合体は、ポリ(メタ)アクリルアミドを部分加水分解して(メタ)アクリル酸部分を生じさせ、そのアクリル酸部分をナトリウム塩やアンモニウム塩としたものである。高分子凝集剤として、数平均分子量が500万乃至3,000万のものが好ましく、1,000万乃至2,000万のものが更に好ましい。また、陰イオン性を示すアニオン度は、ポリ(メタ)アクリルアミドは0%で、ポリ(メタ)アクリル酸の塩は100%であり、(メタ)アクリルアミド−(メタ)アクリル酸塩の共重合体は、(メタ)アクリル酸塩部分の比率が大きくなるにつれて、アニオン度が高くなる。第一工程では、アニオン度が10乃至30%程度の高分子凝集剤が好ましく、15乃至25%程度の高分子凝集剤がさらに好ましい。また、高分子凝集剤の添加量は、水スラリー中の高分子凝集剤自体の量が0.1乃至50ppmとなる量であることが好ましく、0.5乃至20ppmとなる量であることが更に好ましく、1乃至10ppmとなる量であることが更により好ましい。
第一工程では、塩素含有微粉状廃棄物の水スラリーを形成し、pHを測定して必要に応じてアルカリ剤を添加し、その後高分子凝集剤を添加する。
第一工程では、高分子凝集剤によって、セレンと鉛を除く溶存金属が結合されたフロックが形成される。このフロックが凝集沈殿する。凝集沈殿後の固液分離方法は、特に限定されないが、例えば、濾布や膜を用いた濾過や、遠心脱水、フィルタープレス脱水、ベルトプレス脱水、スクリュープレス脱水等の方法による脱水ケーキと脱水ろ液への分離が挙げられる。
第二工程では、先ず、第一工程で得られた液相に鉄系還元剤及び酸剤を添加し、pHを6.0乃至8.0とする。鉄系還元剤は、溶存する6価セレンを4価に還元し、析出させるために使用される。鉄系還元剤として、塩化第一鉄(FeCl)又は硫酸第一鉄(FeSO)を使用することが好ましい。塩化第一鉄は、空気(酸素)によって酸化され易い。酸化後の塩化第二鉄(FeCl)は、セレンに対する還元能を示さないので、塩化第二鉄を塩化第一鉄に戻すために、目開きが45μmのフルイ(JIS Z8801−1)の通過分が95重量%以上の鉄粉を併用することが好ましい。
第一工程で得られた液相に添加される鉄系還元剤の量は、溶存するセレンの量にもよるが、鉄系還元剤中の鉄イオンの量に換算して、重量基準で、20ppm以上であることが好ましく、500ppm以上であることがより好ましく、700ppm以上であることが更により好ましい。なお、上限値は、無駄な使用とならない量であり、10,000ppm(1重量%)程度である。また、鉄粉の使用量は、鉄系還元剤の鉄イオンの重量を基準として5乃至20重量%程度であることが好ましい。
溶存する6価セレンを4価に還元する際の液相のpHは、5.0乃至12.0であり、好ましくは6.0乃至8.0である。このようなpH値とするために使用される酸剤は、塩酸、硫酸等である。なお、塩化第一鉄を使用する場合には塩酸を、硫酸第一鉄を使用する場合には硫酸を使用することが好ましい。
第二工程では、金属捕集剤を添加し、4価セレンを捕集する。金属捕集剤は、金属固定化剤とも称される。金属捕集剤として、ジチオカルバミン酸系金属捕集剤を使用することが好ましく、ジチオカルバミン酸系高分子金属捕集剤を使用することがさらに好ましい。ここで、ジチオカルバミン酸系金属捕集剤とは、カルボジチオ酸基を有する化合物をいい、また、ジチオカルバミン酸系高分子金属捕集剤とは、カルボジチオ酸基を有する化合物中、例えば低分子量のジチオカルバミン酸化合物の高分子量ポリアミン塩等の高分子化合物をいう。金属捕集剤の添加量は、液相中の金属捕集剤自体の量が、重量基準で0.3乃至200ppmとなる量であることが好ましく、1乃至100ppmとなる量であることが更に好ましい。
第二工程終了後、バッチ式の場合にはそのまま続けて、連続式の場合には第二工程が終了した液相を次の水槽に移して、第三工程を行う。第三工程では、第二工程で得られた液相に、無機凝集剤であるポリ硫酸第二鉄又は塩化第二鉄と、必要な場合にはアルカリ剤とを添加し、pHを6.5乃至7.5、好ましくは6.8乃至7.2とする。
ポリ硫酸第二鉄(液状品の鉄イオン含有量の例:11%)や塩化第二鉄(液状品の鉄イオン含有量の例:13%)の添加量は、液相中のそれらの量が、鉄イオンの量として、重量基準で0.1乃至70ppmとなる量であることが好ましく、0.3乃至50ppmとなる量であることが更に好ましい。
ポリ硫酸第二鉄や塩化第二鉄を添加すると、液相のpHが下がる。特に、塩化第二鉄を使用した場合には、pHの低下の程度が大きい。そこで、液相のpHが6.5乃至7.5の範囲内にない場合や、この範囲内ではあるが、この範囲内において更にpHを高めたい場合(即ち、必要な場合)には、アルカリ剤を添加する。なお、アルカリ剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムが挙げられる。
第三工程では、鉛をはじめとする、液相に溶存している有害物質を、無機凝集剤で捕集する。無機凝集剤には種々のものがあるが、この第三工程では、ポリ硫酸第二鉄又は塩化第二鉄を使用する。塩化第二鉄の方がより好ましい。
第三工程終了後、バッチ式の場合にはそのまま続けて、連続式の場合には第三工程が終了した液相を次の水槽に移して、第四工程を行う。第四工程では、第三工程で得られた液相に陰イオン性カルボン酸系高分子凝集剤を添加し、固液分離をする。
陰イオン性カルボン酸系高分子凝集剤については、先に第一工程に関する説明に記載したとおりである。この工程においても、アニオン度が10乃至30%程度の高分子凝集剤が好ましく、15乃至25%程度の高分子凝集剤がさらに好ましい。第四工程では、第一工程で使用したものと同じものを使用してもよいし、異なるもの(例えばアニオン度や分子量が異なるもの)を使用してもよい。また、その添加量は、液相中の高分子凝集剤自体の量が0.1乃至50ppmとなる量であることが好ましく、0.5乃至10ppmとなる量であることが更に好ましい。
高分子凝集剤により、無機凝集剤で捕集された溶存金属が結合されたフロックが形成される。このフロックが凝集沈殿する。凝集沈殿後の固液分離方法は、特に限定されないが、例えば、濾布や膜を用いた濾過や、遠心脱水、フィルタープレス脱水、ベルトプレス脱水、スクリュープレス脱水等の方法による脱水ケーキと脱水ろ液への分離が挙げられる。
本発明の方法は、この明細書に記載されていない任意物質の添加や他の工程の追加を排除するものではない。しかし、第一乃至第四工程を必須成分のみを用いて行うのみで、水質汚濁防止法の排水基準に適合した水が得られる。本発明の方法には、当然のことながら、第一乃至第四工程を実質的にその必須成分のみを用いて行う方法が包含される。
(実験例1)キルンダストの水洗条件の検討
表1に示す成分組成のキルンダスト200gを2リットル容のビーカーに入れ、これに純水を加えて全量を2,000gとした。これを一定時間撹拌し、スラリーを得た。このスラリーを数日間静置したところ、上澄み液は無色透明となった。そこで、この上澄み液の水質分析を行った。結果を表2に示す。なお、キルンダスト中の金属分は、底質調査方法(昭和63年環水管第127号)に従って定量し、水中の金属分は、JISK0102に従って定量し、塩素イオン濃度は、下水試験方法に従って定量した。結果を表2に示す。
Figure 2010075849
Figure 2010075849
表2から明らかなように、亜鉛は、自然沈降のみでも排水基準以下となることが分かった。
(実験例2)スラリーへの高分子凝集剤の添加
実験例1と同様にしてスラリーを形成させた後、ポリアクリルアミド系高分子凝集剤(SKF−A553;積水アクアシステム株式会社製;アニオン度:20%(中アニオン);分子量1,200万)5ppmを添加し、撹拌し、静置して凝集沈殿を生じさせた。pH調整は行わなかったが、pH=約13であった。凝集沈殿形成後の上澄み液について、水質分析を行った。結果を表3に示す。
Figure 2010075849
表3から明らかなように、水洗のみ(実験例1の表2)に比べ、セレン及びカドミウムの濃度は低下していたが、鉛及びセレンの濃度はまだ排水基準に適合してはいなかった。
(実験例3)一次凝集後の上澄み水の二次凝集処理
実験例2の上澄み液(本発明の第一工程後の液相に相当する)を、以下のように処理し、二次凝集させ、その上澄み液の水質分析を行った。結果を表4に示す。
(1)上澄み液に硫酸を加え、pHを7.8とした。
(2)(1)で得られた液相に、ジチオカルバミン酸系高分子金属捕集剤(エポフロックL−1;ミヨシ油脂株式会社製;分子量:8万乃至12万;pH(1%)10.5乃至12.5;比重:1.19乃至1.23;ジチオカルバミン酸系化合物と硫化水素ナトリウムとの合計濃度:約35%)を、有姿で100ppm(容量基準)(高分子金属捕集剤の量として、約42ppm)添加し、10分間撹拌した。
(3)(2)で得られた液相に、ポリ硫酸第二鉄(液状品;Fe含有量:11%)を、Feイオンの量で33ppmとなる量で添加し、5分間撹拌した。
(4)pHを測定したところ、pH=6.33であったので、水酸化ナトリウムを加え、pH=7.0とした。
(5)(4)で得られた液相に、ポリアクリルアミド系高分子凝集剤(A−110;MTアクアポリマー株式会社製;アニオン度:20%(中アニオン);分子量1,900万)を5ppm添加し、撹拌した後、静置して凝集沈殿を生じさせた。
Figure 2010075849
表4から明らかなように、鉛、セレン、カドミウム及亜鉛の濃度は、排水基準値内となった。しかし、セレンについては、排水基準の上限値と同じであったので、液相中のセレン濃度を低下させる何らかの処理が必要であるとの結論に達した。
(実験例4)セレン除去条件の検討
以下の条件でキルンダストの水洗及びその水洗水の処理を行った。
1.一次凝集(第一工程)
実験例1で用いたものと同じキルンダスト200gに純水を加えて全量2,000gとし、撹拌してスラリーを得た。このスラリーに、ポリアクリルアミド系高分子凝集剤(SKF−A553;積水アクアシステム株式会社製;アニオン度:20%(中アニオン);分子量1,200万)5ppmを添加し、撹拌した後、静置して凝集沈殿を生じさせた。pH調整は行わなかったが、pH=約13であった。凝集沈殿形成後の上澄み液(一次凝集処理水)を採取した。
2.還元剤及び金属捕集剤の添加(第二工程)
一次凝集処理水に、還元剤である硫酸第一鉄又は塩化第一鉄を添加し、撹拌した。その後、硫酸又は塩酸を加え、pH=7.8とした。その後、発明例1乃至7及び比較例1については、金属捕集剤(エポフロックL−1;ミヨシ油脂株式会社製)を、有姿で容量基準で100ppm(高分子金属捕集剤の量として、約42ppm)添加し、10分間撹拌した。
ここでは、表5に示すように、還元剤の種類、添加量及び撹拌時間を変更した7種類のケースについて、実験を行った。また、還元剤不添加の系も、2種類のケース(酸剤及び金属捕集剤の添加の有無)について、実験を行った。なお、還元剤、酸剤及び金属捕集剤不添加の系がブランクであり、還元剤不添加且つ酸剤及び金属捕集剤添加の系が比較例1である。
3.無機凝集剤及びアルカリ剤の添加(第三工程)
第二工程に続き、無機凝集剤であるポリ硫酸第二鉄(液状品;Fe含有量は11%)をFeイオン量で33ppmとなる量又は同じく無機凝集剤である塩化第二鉄(塩化第二鉄含有量38%の液状品;鉄含有量は13%)をFeイオン量で39ppmとなる量で添加し、更に水酸化ナトリウムを添加し、pH=7.0とし、5分間撹拌した。なお、ブランクには無機凝集剤も添加せず、一方、比較例1にはポリ硫酸第二鉄を添加した。
4.高分子凝集剤の添加(第四工程)
第三工程に続き、発明例1乃至7及び比較例1については、ポリアクリルアミド系高分子凝集剤(A−110;MTアクアポリマー株式会社製)を5ppm添加し、撹拌し、その後、静置して凝集沈殿を生じさせた。
上澄み液(二次凝集処理水)について、セレン濃度を測定した。結果を表5に示す。なお、上記から明らかなように、ブランクは第一工程のみを実施したものであり、比較例1は、第一及び第三工程のみを実施したものである。
Figure 2010075849
表5に示した結果から明らかなように、一次凝集処理水について、先ずセレン除去の工程(第二工程)を行うことにより、二次凝集処理水のセレン含有量が排水基準値内となった。他の成分については、実験例4の表4に示したように、セレン除去の工程(第二工程)を行わなくても排水基準値内であったから、本発明の方法により、塩素含有微粉状廃棄物の水洗水を、その有害物質濃度が排水基準に適合するように処理できることが明らかとなった。
(実験例5)種々の処理条件での実験
1.一次凝集(第一工程)
実験例1で用いたものと同じキルンダスト300gに純水を加えて全量2,000gとし、撹拌してスラリーを得た。このスラリーに、ポリアクリルアミド系高分子凝集剤(SKF−A553;積水アクアシステム株式会社製;アニオン度:20%(中アニオン);分子量1,200万)を表6に示す量で添加し、撹拌した後、静置して凝集沈殿を生じさせた。pH調整は行わなかったが、pH=約13.5であった。凝集沈殿形成後の上澄み液(一次凝集処理水)を採取した。
2.還元剤及び金属捕集剤の添加(第二工程)
表6に示すように、一次凝集処理水に、鉄系還元剤である硫酸第一鉄又は塩化第一鉄を添加し、20分間撹拌した。また、塩化第一鉄を添加した系の一部については、目開きが45μmのフルイ(JIS Z8801−1)の通過分が95重量%以上の鉄粉も併用した。その後、酸剤(硫酸又は塩酸)を加え、表6に示すpHとした。
その後、金属捕集剤(エポフロックL−1;ミヨシ油脂株式会社製)を、表6に示す量で添加し、10分間撹拌した。
3.無機凝集剤及びアルカリ剤の添加(第三工程)
第二工程に続き、無機凝集剤(ポリ硫酸第二鉄(液状品;Fe含有量は11%)又は塩化第二鉄(塩化第二鉄含有量38%の液状品;Fe含有量は13%))を表6に示す量で添加し、pHを測定し、必要な場合には水酸化ナトリウムも添加してpHを6.5乃至7.5とし、その後5分間撹拌した。
4.高分子凝集剤の添加(第四工程)
第三工程に続き、ポリアクリルアミド系高分子凝集剤(A−110;MTアクアポリマー株式会社製)を表6に示す量で添加し、撹拌し、その後、静置して凝集沈殿を生じさせた。
上澄み液(二次凝集処理水)について、金属濃度を測定した。結果を表7に示す。
Figure 2010075849
Figure 2010075849
表7に示した結果から明らかなように、本発明の方法により、塩素含有微粉状廃棄物の水洗水を、その有害物質濃度が排水基準に適合するように処理できることが明らかとなった。

Claims (5)

  1. 塩素含有微粉状廃棄物に水を加えてスラリー化し、pH12以上で陰イオン性カルボン酸系高分子凝集剤の存在下で固液分離をする第一工程、第一工程で得られた液相に鉄系還元剤及び酸剤を添加し、pHを6.0乃至8.0とし、次いで金属捕集剤を添加する第二工程、第二工程で得られた液相に、ポリ硫酸第二鉄又は塩化第二鉄と、必要な場合にはアルカリ剤とを添加し、pHを6.5乃至7.5とする第三工程、及び第三工程で得られた液相に陰イオン性カルボン酸系高分子凝集剤を添加し、固液分離をする第四工程を含むことを特徴とする、塩素含有微粉状廃棄物の処理方法。
  2. 鉄系還元剤が塩化第一鉄又は硫酸第一鉄である、請求項1に記載の塩素含有微粉状廃棄物の処理方法。
  3. 陰イオン性カルボン酸系高分子凝集剤が、(メタ)アクリルアミド−(メタ)アクリル酸塩の共重合体である、請求項1又は2に記載の塩素含有微粉状廃棄物の処理方法。
  4. 金属捕集剤がジチオカルバミン酸系高分子金属捕集剤である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の塩素含有微粉状廃棄物の処理方法。
  5. 鉄系還元剤が塩化第一鉄であり、第二工程において、塩化第一鉄に、目開きが45μmのフルイ(JIS Z8801−1)の通過分が95重量%以上の鉄粉を併用する、請求項2乃至4のいずれか一項に記載の塩素含有微粉状廃棄物の処理方法。
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