JP6555182B2 - 排水の処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、排水の処理方法に関する。詳しくは、カドミウム、有機化合物、並びに鉛イオン及び/又は亜鉛イオンを含有する排水の処理方法に関する。
銅、ニッケル、鉛、亜鉛などの非鉄金属を製錬する工程においては、製錬に伴って発生した排水に、カドミウムイオン、鉛イオン、亜鉛イオンなどの重金属類や、有機化合物などが含まれている場合がある。これらを含有する排水は、そのまま海域などに放流することができず、適切な方法によって排水中のカドミウム、鉛、亜鉛などの重金属類を含む含有物を分離し、一定の基準以下の濃度にまで低減する処理が必要となる。例えば、非特許文献1に記載されるように、海域に放流される排水中のカドミウム濃度は0.03mg/Lにまで低減する必要がある。
カドミウムを分離する方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。すなわち、まず、カドミウムイオンを含有する排水を反応槽に入れ、これに消石灰や水酸化ナトリウムなどのアルカリ剤を加えることによってpHを上げてカドミウムを含有する澱物を含有するスラリーを得る。次に、このスラリーをシックナーなどで静置させることで、カドミウムを含有する澱物を沈降させて固液分離する。このようにしてカドミウムが分離除去された上澄み液は、排水として放流される。
ここで、海域に放流される排水中のカドミウム濃度を0.03mg/Lにするためには、放流前の排水のpHを11以上に維持する必要がある。
しかしながら、排水中に鉛イオンや亜鉛イオンも含有される場合、これら元素は両性金属であるため、pHを過度に上昇させるとこれらの澱物が再度溶解することになり、溶解を防止するための上限値の制御が必要となる。具体的に、鉛イオンでは、pH8〜11が沈殿生成に適しており、pHが11を超えると再溶解の傾向が強まる。また同様に、亜鉛イオンでは、pH8〜11.5が沈殿生成に適しており、pHが11.5を超えると再溶解の傾向が強まる。このように、カドミウムの他に、鉛や亜鉛を含有する排水の場合、それらすべてを分離するには、pHを狭い領域で精度よく制御する操業が必要となる。
一般に、製錬プロセスでは原料事情などに応じて操業度が細かく変化する。そのため、排水成分や濃度が変動しやすく、工業的に大量に排出される排水を安定的に処理することは容易でない。また、近年は、排水規制がさらに強化される傾向にあり、排水の管理が一層難しくなっている。
そこで、上記の方法において、pHを調整する前の排水に硫酸第一鉄や塩化第二鉄などの鉄化合物を添加し、その後アルカリ剤を添加してpHを上昇させる方法が用いられてきている。この方法は、添加した鉄化合物を水酸化物の沈殿物とし、その際の共沈効果を利用してカドミウムを沈殿分離するというものである。
また、排水などの重金属類含有水に還元性鉄化合物を添加して重金属類を沈澱化し、この沈澱を固液分離して重金属類を除去する処理方法も提案されている。例えば、特許文献1には、重金属類含有水に還元性鉄化合物を添加する工程(鉄化合物添加工程)、還元性鉄化合物を添加した重金属類含有水から沈澱を生成させる工程(沈澱化工程)、生成した沈澱(汚泥)を固液分離する工程(固液分離工程)、分離した汚泥の全部又は一部をアルカリ性にして反応槽に返送する工程(汚泥返送工程)、を有し、沈澱化工程において、還元性鉄化合物を添加した排水とアルカリ性汚泥とを混合して、非酸化性雰囲気下、アルカリ性下で反応させて還元性の鉄化合物沈澱を生成させ、その沈澱に重金属類を取り込んで系外に除去する重金属類含有水の処理方法が開示されている。
特開2006‐263699号公報
新・公害防止の技術と法規2013水質編(産業環境管理協会 丸善出版)p444−445
しかしながら、上述したような、排水のpHを調整するか、あるいは排水に鉄化合物を添加してpHを調整する方法においては、特に排水に有機化合物が含まれている場合、カドミウム濃度を安定的に低減することが困難となり、近年益々強化される排水基準を十分に満足することが難しい。このことは、有機化合物に起因するリン(P)、窒素(N)、炭素(C)、塩化物イオン(Cl)などが、排水中のカドミウムなどの重金属類と錯体を形成して、その重金属類の溶解度を上げるためであると考えられる。
なお、排水に含まれる有機化合物としては、例えば、鉄鋼加工時に鉄鋼材料の表面に塗布された油脂や表面処理剤などが挙げられる。これら有機化合物は、鉄鋼加工時に生じる鉄鋼ダストと共に回収され、これら回収物をリサイクルするために製錬原料として処理した際に、揮発・捕集・洗浄されて排水に含まれることになる。
また、特許文献1に記載の方法は、還元性鉄化合物を用いて反応槽を密閉することで重金属類の濃度を低減させる方法であり、従来から広く用いられてきた開放系の設備では、還元性鉄化合物が大気中の酸素と反応して酸化してしまうため使用することができない。そのため、この特許文献1に記載の方法を採用するためには、新たな投資が必要となり、費用がかさむなどの問題あって効率的ではない。
本発明は、このような実情に鑑みなされたものであり、カドミウムイオン、有機化合物、並びに鉛イオン及び/又は亜鉛イオンが含まれている排水中のカドミウムを効率よく安定的に低減することができる排水の処理方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、カドミウムイオン、有機化合物、並びに鉛イオン及び/又は亜鉛イオンが含まれている排水において、所定の範囲にpHを調整した後に、硫化剤を添加して排水の酸化還元電位を所定の範囲に制御するように硫化処理を施すことで、カドミウムイオンを効率よく安定的に低減できることを見出し、本発明を完成するに至った。
(1)本発明の第1の発明は、カドミウムイオン、有機化合物、並びに鉛イオン及び/又は亜鉛イオンを含有する排水に、中和剤を添加してpHを10以上12以下の範囲に調整するpH調整工程と、pH調整後の排水に硫化剤を添加して硫化処理を施す硫化工程と、前記硫化処理後に得られたスラリー中の沈殿物を固液分離して除去する固液分離工程と、を少なくとも有し、前記硫化工程では、酸化還元電位が銀塩化銀電極を参照電極とする値で−40mV以下となるように、前記硫化剤の添加量を制御する、排水の処理方法である。
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記pH調整工程の前に、前記排水にケイ酸塩化合物を5mg/L以上200mg/L以下添加するケイ酸塩添加工程を有する、排水の処理方法である。
本発明によれば、カドミウムイオン、有機化合物、並びに鉛イオン及び/又は亜鉛イオンが含まれている排水中のカドミウムを、効率よく安定的に低減することができる。
排水の処理方法を示すフロー図である。
以下、本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更することができる。また、本明細書にて、「x〜y」(x、yは任意の数値)との表記は、特に断らない限り「x以上y以下」の意味である。
本実施の形態に係る排水の処理方法は、カドミウムイオン、有機化合物、並びに鉛イオン及び/又は亜鉛イオンを含有する排水に、中和剤を添加してpHを所定の範囲に調整するpH調整工程と、pH調整後の排水に硫化剤を添加して硫化処理する硫化工程と、処理後のスラリーを固液分離する固液分離工程と、を少なくとも有する。
また、この排水の処理方法においては、pH調整工程に先立ち、排水にケイ酸塩化合物を所定の割合で添加するケイ酸塩添加工程を有するようにすることができる。
さらに、この排水の処理方法においては、硫化工程での硫化処理後、固液分離工程に先立ち、その硫化処理後に得られたスラリーに凝集剤を添加する凝集工程を有するようにすることができる。
ここで、処理対象である「排水」は、上述したように、カドミウムイオンと、有機化合物とを含有するとともに、鉛イオンと亜鉛イオンのいずれか1種以上を含有するものである。この排水は、自然発生的及び人為的に生じた各種の排水を含み、例えば、工場排水や下水、海水、河川水、沼や湖池の水、地表の溜り水、河川などの堰止域の水、地下の流水や溜り水、暗渠の水などが挙げられる。また、この排水には、カドミウムイオン、鉛イオン、及び亜鉛イオン以外に、例えば、セレン、六価クロム、銅、ニッケル、ヒ素、アンチモンなどの重金属類が含まれていてもよい。本実施の形態に係る排水の処理方法によれば、排水に含まれるカドミウムイオン、鉛イオン、及び亜鉛イオン以外の重金属類に対しても除去効果を有する。
また、排水に含まれる有機化合物としては、特に限定されるものではなく、自然発生的に含有するものであってもよく、鉄鋼加工時に鉄鋼材料の表面に塗布される油脂や表面処理剤のように、人為的に添加されたものであってもよい。
具体的に、図1は、本実施の形態に係る排水の処理方法の流れの一例を示すフロー図である。図1に示すように、この排水の処理方法は、ケイ酸塩添加工程S1と、pH調整工程S2と、硫化工程S3と、凝集工程S4と、固液分離工程S5と、を有している。以下に、各工程について詳細に説明する。
[ケイ酸塩添加工程]
ケイ酸塩添加工程S1では、pH調整に先立ち、処理対象である排水にケイ酸塩化合物を添加する。鉛イオンや亜鉛イオンを含有する排水では、次工程でのpH調整に際して、その鉛や亜鉛が再溶解することがある。そのため、必要に応じて、このケイ酸塩添加工程S1を設けて、pH調整前の排水に対してケイ酸塩化合物を添加する。
このように、排水にケイ酸塩化合物を添加することによって、そのケイ酸塩が水に溶けてケイ酸イオンとなり、鉛及び/又は亜鉛と結合するようになることで、鉛や亜鉛の再溶解を抑制する。
ケイ酸塩化合物としては、特に限定されないが、例えば、水ガラスなどを用いることができる。また、ケイ酸塩化合物の添加量は、5mg/L〜200mg/Lとすることが好ましく、30mg/L〜150mg/Lとすることがより好ましく、50mg/L〜100mg/Lとすることが特に好ましい。ケイ酸塩化合物の添加量が5mg/L未満であると、鉛及び/又は亜鉛の再溶解を十分に抑制することができない。一方で、ケイ酸塩化合物の添加量が200mg/Lよりも多くても、効果は変わらず、むしろ過剰に添加し過ぎることになって薬剤コストが高くなってしまう。
[pH調整工程]
pH調整工程S2は、処理対象である排水に中和剤を添加して、その排水のpHを所定の範囲に調整する。pH調整工程S2に先立ち、ケイ酸塩添加工程S1を設けた場合には、ケイ酸塩化合物を添加して得られた排水に対して中和剤を添加し、pHを調整する。中和剤としては、特に限定されないが、例えば、消石灰、苛性ソーダ、生石灰、石灰石などのアルカリ剤を用いることができる。
具体的に、pH調整工程S2では、中和剤を添加することにより排水のpHを10〜12の範囲に調整する。pH10〜12の範囲に調整された排水では、カドミウムの溶解度が低く、ほとんどのカドミウムが水酸化物となって沈殿する。また、両性金属である亜鉛や鉛についても、ある程度の割合で水酸化物の沈殿物とすることができる。さらに、pHを10〜12の範囲に調整することで、次工程の硫化工程S3において、硫化水素ガスの発生を抑えることができる。
一方、pHが10未満であると、カドミウムの溶解度が高くなってしまい、有効にカドミウムの沈殿を生成させることができない。また、pHが12より高いと、亜鉛や鉛の溶解度が高くなり過ぎてしまい、亜鉛や鉛の沈殿物がほとんど形成されない。
なお、このpH調整工程S2におけるpH調整では、亜鉛や鉛の溶解度が十分に低くならないため、その一部のみの沈殿物化に留まるものの、排水基準を満たす程度にまでは亜鉛や鉛を分離除去することができる。
[硫化工程]
硫化工程S3では、pH調整工程S2におけるpH調整後の排水に硫化剤を添加することにより硫化処理を施して、金属硫化物を生成させる。硫化剤としては、硫化水素塩又は硫化塩を用いることができ、例えば、水硫化ソーダ(NaSH)、硫化水素ガス、硫化ナトリウムなどを用いることができる。
排水中に有機化合物が含まれている場合、排水中のカドミウムはその有機化合物と錯体を形成してしまい、溶解度の上昇によって、pH調整後であっても排水中に溶解した状態のままとなる。このとき、pH調整後の排水に対して、硫化剤を添加して硫化処理を施すことにより、pH調整後の排水中に溶解しているカドミウムを金属硫化物として沈殿させることができ、排水中のカドミウムを確実に沈殿させることができる。また、この硫化工程S3において硫化処理を施すことで、亜鉛、鉛などの重金属類も金属硫化物として沈殿させることができ、排水から有効に除去することができる。
さらに、硫化工程S3では、pH調整工程S2でpH10〜12の範囲に調整された排水に対して硫化処理を行うことから、硫化処理に伴う硫化水素ガスの発生を回避しながら、カドミウムなどの重金属類を金属硫化物として沈殿させることができる。
具体的には、この硫化工程S3では、排水の酸化還元電位(ORP)が、銀塩化銀電極を参照電極とする値で−40mV以下、好ましくは−200mV〜−40mVの範囲、より好ましくは−150mV〜−30mVの範囲となるように、硫化剤の添加量を制御して硫化処理を施す。
酸化還元電位が−40mVを超えている場合には、排水中に溶解しているカドミウム、場合によって亜鉛や鉛を十分に沈殿させることができない。なお、酸化還元電位を下げるためには、硫化剤の添加量を増やすとよい。
一方、酸化還元電位が−200mV未満となる場合には、硫化剤の添加量が過大となる傾向があるため好ましくない。硫化工程S3、凝集工程S4、固液分離工程S5を経て処理された排水は、最終的には、硫酸などを用いてpHを中性領域に調整する最終工程を経て放流されるが、このとき、硫化工程S3での硫化剤の添加量が過大であると、その最終工程におけるpH調整に伴って硫化水素ガスが発生しやすくなるため、好ましくない。
ここで、硫化剤を添加するに際しては、排水中のカドミウムイオンに対して、例えば2当量〜70当量となる量の硫化剤を添加するようにすることもできる。硫化剤の添加量がカドミウムイオンに対して2当量未満であると、排水中に溶解しているカドミウム、場合によって亜鉛や鉛を十分に沈殿させることができないことがある。一方で、硫化剤の添加量がカドミウムイオンに対して70当量よりも多いと、排水中に溶解しているカドミウムイオンに対して過剰量の硫化剤が添加されることになり、カドミウムの沈殿化に寄与しない硫化剤が残存してしまい、また薬剤コストが高くなる。
ただし、上述したように、特に製錬プロセスからの排水を処理する場合には、原料組成や処理などによって排水中のカドミウム濃度が予め判明していない場合や変動が大きい場合がある。そのため、硫化工程S3において、酸化還元電位を参照せずに、硫化剤の添加量を決定しようとすると、排水中のカドミウム濃度の分析値が出るのを待ってから添加することになり、排水の処理に時間を要することになる。
これに対し、本実施の形態の係る排水の処理方法のように、硫化剤の添加に際して、排水の酸化還元電位を監視し、その酸化還元電位が−40V以下に維持されるように硫化剤の添加量を制御することにより、排水中のカドミウム濃度が予め判明していない場合や変動が大きい場合であっても、濃度分析を要することなく、そのカドミウム濃度を効率よく且つ精度よく制御することができる。また、カドミウムがそのまま排出される事態を確実に防止することができる。
さらに、この排水の処理方法では、硫化処理時の硫化水素ガスの発生を抑えることができることから、従来のように硫化処理を行う反応槽を気密構造にする必要がなく、また、硫化水素ガスを吸引して取り除く必要もない。したがって、pH調整を行う設備の下流側の反応槽に硫化剤を添加及び供給する設備のみを設けることによって実施可能であり、従来の硫化処理用の設備と比較して、設備コストを大幅に低減することができる。
この排水の処理方法では、pH調整工程S2と、硫化工程S3との2段階の工程を経ることにより、pH調整工程S2において大部分のカドミウムを中和剤によって中和殿物とし、比較的高価な硫化剤を必要とする硫化工程S3での硫化処理を補助的な処理としてのみ行っていることから、硫化処理のみによって同等の分離回収率を達成する場合よりも、薬剤コストを大幅に低減することができる。
[凝集工程]
本実施の形態に係る排水の処理方法においては、硫化工程S3にて硫化処理を行った後、必要に応じて、凝集工程S4を設けるようにすることができる。
凝集工程S4では、硫化処理後に得られたスラリーに凝集剤を添加して、スラリー中の澱物、すなわち、カドミウム、亜鉛、鉛などの重金属類を含有する殿物を凝集させる。このように、スラリー中の澱物を凝集剤により凝集させることにより、次工程の固液分離工程S5において殿物を効率的に分離することが可能になる。
凝集剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、無機凝集剤や高分子凝集剤を使用することができる。例えば、高分子凝集剤としては、MTアクアポリマー株式会社製の商品名:スミフロックなどが市販されている。凝集剤の添加量は、凝集剤の種類や殿物の量などに応じて適宜決定することができる。
[固液分離工程]
固液分離工程S5では、スラリーに対して固液分離処理を施すことによって、そのスラリーから殿物を分離回収する。固液分離処理により、カドミウム、鉛、亜鉛がほぼ分離除去された排水を得ることができる。
固液分離工程S5では、一般的な固液分離方法を採用することができ、例えば、濾過装置、遠心脱水装置、シックナーなどの沈降分離装置などを用いた方法により処理することができる。
以上詳述したように、本実施の形態に係る排水の処理方法によれば、排水にカドミウムイオン以外に鉛イオンや亜鉛イオンを含有していても、また、有機化合物を含有していても、後述するように、pH調整工程と、硫化工程との2段階の工程を経ることにより、簡易なpHの調整でカドミウムなどの重金属類を安定して且つ低コストで低減させることができる。また、本実施の形態に係る排水の処理方法によれば、酸化還元電位が−40V以下に維持されるように硫化剤の添加量を制御していることから、排水中のカドミウム濃度が予め判明していない場合や変動が大きい場合であっても、濃度分析を要することなく、大量の排水を効率よく処理することができる。さらに、本実施の形態に係る処理方法によれば、解放系の設備で行うことができるため、従来の解放系の設備を利用することができ効率的である。
[実施例1]
カドミウム17mg/L、鉛1.2mg/L、亜鉛670mg/L、有機化合物としてアミン系含窒素有機化合物を窒素量として50mg/Lを含む排水を用意した。
この排水に、ケイ酸ナトリウムを50mg/Lの濃度となるように添加した後、中和剤として消石灰を用いて排水のpHが10.5となるように調整して中和し、中和殿物を含有するスラリーを得た。
次に、このスラリーに、25重量%濃度の水硫化ソーダ(NaHS)溶液を、酸化還元電位(ORP)が銀・塩化銀電極を参照電極とする値で−45mVになるように添加して硫化処理を施した。次いで、硫化処理後のスラリーに、ポリアクリルアミド系高分子凝集剤(商品名:スミフロックFA−70)を10mg/Lの割合で添加した。凝集剤添加後のスラリーを静置し、次いで濾瓶とヌッチェを用いて濾過し、澱物と濾過後液とを得た。
得られた濾過後液について、高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法を用いて分析した結果、カドミウム濃度が0.01mg/L以下であり、鉛濃度が0.01mg/Lであり、亜鉛濃度が0.5mg/Lであり、いずれも排水基準を満足する良好な結果が得られた。なお、ここで排水基準は、カドミウム濃度0.03mg/L以下、鉛濃度0.1mg/L以下、亜鉛濃度2mg/L以下とする。
[比較例1]
水硫化ソーダを添加しなかった以外は、実施例1と同等の方法で処理を行った。すなわち、消石灰を用いて中和した後、硫化処理を施さずに、得られたスラリーに凝集剤を添加して中和澱物を凝集させ、濾過することによって澱物と濾過後液とを得た。
得られた濾過後液は、鉛濃度が0.01mg/Lで、亜鉛濃度が0.6mg/Lであり排水基準を満たすものであったが、カドミウム濃度は1.2mg/Lであった。
[比較例2]
25重量%濃度の水硫化ソーダ(NaHS)溶液を、排水のORPが−20mVになるように添加した以外は、実施例1と同等の方法で処理を行った。
得られた濾過後液は、鉛濃度が0.01mg/Lで、亜鉛濃度が0.6mg/Lであり排水基準を満たすものであったが、カドミウム濃度は0.04mg/Lであった。
以上のように、本発明を適用した実施例1では、排水からカドミウムがほとんど除去され、また同時に亜鉛や鉛も有効に除去することができ、排水基準を満足する処理を行うことができた。一方、比較例1及び比較例2では、排水からカドミウムを十分に除去できず、排水基準を満足する処理を行うことができなかった。
S1 ケイ酸塩添加工程
S2 pH調整工程
S3 硫化工程
S4 凝集工程
S5 固液分離工程

Claims (2)

  1. カドミウムイオン、有機化合物、並びに鉛イオン及び/又は亜鉛イオンを含有する排水に、中和剤を添加してpHを10以上12以下の範囲に調整するpH調整工程と、
    pH調整後の排水に硫化剤を添加して硫化処理を施す硫化工程と、
    前記硫化処理後に得られたスラリー中の沈殿物を固液分離して除去する固液分離工程と、を少なくとも有し、
    前記硫化工程では、酸化還元電位が銀塩化銀電極を参照電極とする値で−150mV以上−45mV以下となるように、前記硫化剤の添加量を制御する
    排水の処理方法。
  2. 前記pH調整工程の前に、前記排水にケイ酸塩化合物を5mg/L以上200mg/L以下添加するケイ酸塩添加工程を有する
    請求項1に記載の排水の処理方法。
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