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Se含有液からのSe除去方法
JP3577832B2
Japan
Description
translated from
【発明の属する技術分野】
本発明は、無機塩類を含む液に含まれるSeの除去方法に関し、特に従来法では除去が困難な6価Seを除去するのに優れた方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6は従来の、Seを含有するガラスを製造する工場における排ガスの流れと、排煙脱硫装置における吸収液の流れを示す。
【0003】
ガラス熔解槽で発生した重油燃焼排ガスは、蓄熱型排熱回収設備により排ガス温度が下げられ、次いで排煙脱硫装置の吸収塔でNaOH等のアルカリ液により有害なSO2 成分が除去される。このとき同時に排ガス中のSeも吸収液に捕捉される。
【0004】
吸収液は排脱吸収塔を循環しつつ硫酸塩・亜硫酸塩等を濃縮していくが、その一部がパージされるので、安定操業条件下では吸収液中の無機塩の濃度はほぼ一定値になる。Seを吸収した吸収液は図6のSe回収設備に送られ、例えば特公昭52−23970記載の方法で大部分のSeを沈殿除去して、ガラス原料として再利用する。
【0005】
特公昭52−23970以外にも、従来、排水中のSeの除去法は多く知られている。特開昭55−99378、特公昭59−39517ではイオン交換樹脂を用いてSeを除去する。しかし、陰イオン交換樹脂にSeO4 2−を吸着させる場合は、共存するSO4 2− 等との選択性の差が少ないため、濃厚塩水溶液ではきわめて非効率になる。
【0006】
一方、第二鉄塩を加えて加水分解により水酸化第二鉄に吸着・共沈させる方法は、SeO3 2− をある程度まで除去できるが、SeO4 2− はほとんど除去できない(例えばMerril et al.,Field evaluation of arsenic and selenium removal by iron coprecipitation; Environmental Progress 6(2),May,1987参照)。
【0007】
特公昭48−30558では、SeO3 2− (4価Se)を含有する排水にFe2+を添加し、次いでpH3〜5でCu2+を添加することにより、SeO3 2−によるFe2+の酸化および加水分解を促進し、さらに、pH5〜6において還元され生成したSeをFe3+の水酸化物とともに回収する。
【0008】
特開平5−78105では、BaCl2 を添加し難溶塩を生成した後にFe2+を添加して、残存するSeO3 2− を難溶性第二鉄塩として共沈させる。
【0009】
特開平6−79286では、SeO3 2− (4価Se)、SeO4 2− (6価Se)、Cu2+および懸濁物質を含有する排水からSeを除去するにあたり、まず1次処理として中和剤を加え懸濁物質を除去したのち、2次処理として酸とFe2+の塩を添加してpH8.5〜10でSeと水酸化鉄との混合物を共沈させる。
【0010】
この特開平6−79286には、pHが8.5より低いと添加したFe2+が処理水中に残留し、一方pHが10より高いと酸化が過度に進行してSeの回収が困難となる、とあり、実施例によれば1次処理のpHは8.9〜9、また2次処理のpHは8.9〜9.9としている。液温の記載はないのでほぼ常温で処理されていると思われる。またこの結果生じる水酸化鉄は、酸で溶解して前記2次処理に再利用できる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
精錬排水はCu2+イオンを含み、これが少量であれば特公昭48−30558のようにSeイオンの除去に有効に作用するが、逆にこれが50mg/リットル以上の濃度であればSeイオンの還元を妨害する。このため、特開平5−78105では事前に難溶性Ba塩、特開平6−79286では水酸化物を生成させて、過剰なCuを除去している。
【0012】
ところで、Seを含有する熱線吸収ガラスなどの色板ガラスを製造するガラス熔解槽からは、重油燃焼排ガスが排出されて脱硫設備に送られる。この排ガス中には、重油およびガラス原料から来る二酸化硫黄と、原料から来るSe酸化物が含まれる。脱硫設備には湿式と乾式のいずれもが用いられているが、湿式脱硫吸収塔の吸収液には、二酸化硫黄を吸収するため添加されたNaイオンに起因して各種形態の無機塩が生じている。また、吸収液のpHは、SO2 を吸収する目的からは高い方がよいが、CO2 を吸収しないためには低い方がよく、通常は両方のかねあいで決められる。
【0013】
【表1】
【0014】
上記表1に、ガラス熔解槽の排煙脱硫吸収塔における吸収液の概略成分の例を示す。
ここで亜硫酸ナトリウム(Na2 SO3 )1%が完全酸化して芒硝(Na2 SO4 )に転じると、Na2 SO3 +1/2・O2 →Na2 SO4 の反応によって1.13%のNa2 SO4 が生じる。同様に亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO3 )1%からは2・NaHSO3 +1/2・O2 →Na2 SO4 +SO2 +H2 Oの反応によって0.68%、チオ硫酸ナトリウム(Na2 S2 O3 )1%からはNa2 S2 O3 +3/2・O2 →Na2 SO4 +SO2 の反応によって0.90%のNa2 SO4 が生じる計算になる。
【0015】
すなわち、ガラス製造工場の吸収塔排液には、このようにNa2 SO4 に換算して、通常、20%程度の全ナトリウム硫酸塩が排水中に存在する。なお、この濃度は燃料油種・排ガス量・吸収塔の液ガス比・吸収液のパージ割合等の運転条件により変動し一定ではなく、ここに掲げたのは代表例と解釈すべきである。
【0016】
Seの還元を妨害する物質のうち、Cuのような重金属イオンは公知の沈殿処理で容易に除去できる。一方、Cuと同様にSeの還元を妨害する硫酸ナトリウムのような無機塩類は、トータルの濃度を下げることが難しい。したがって特開平5−78105または特開平6−79286記載の方法をCu不含の上記のようなきわめて濃厚な塩類溶液に適用しても、重金属除去後も残留する無機塩類がSeの還元を妨害するため、特にSeの6価イオンは充分には除去できない。
【0017】
Se除去対象液中の硫酸ナトリウムの濃度を変えたときの2価の鉄によるSeの除去率を調査した結果が図7である。硫酸ナトリウムの濃度が高くなると、Seの除去率が低下することがわかる。
【0018】
本発明の目的は従来技術では除去し難かった高濃度塩類水溶液中のSe、特に6価のSeを充分に除去することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明は、無機塩類として硫酸塩、亜硫酸塩、塩化物、硝酸塩、または亜硝酸塩を含有し6価のSeイオンを含むSe含有液からのSe除去方法であって、Se含有液に第1鉄イオンを還元剤として投入する還元工程を、液のpHを7以上13以下に保持する第1の保持工程の前または第1の保持工程におけるpH調整の後に設け、第1の保持工程に引き続いて、液のpHが5以上11以下であり、かつ第1の保持工程におけるSe含有液よりpHが2以上小さい状態に保持する第2の保持工程を設け、第1の保持工程および第2の保持工程で6価のSeイオンを金属Seに還元し、第2の保持工程に引き続いて、還元されたSeを液から除去する除去工程を設けることを特徴とするSe含有液からのSe除去方法である。
【0020】
本発明のSe除去方法は、無機塩類として硫酸塩、亜硫酸塩、塩化物、硝酸塩、亜硝酸塩等を含むSe含有液を対象とできるが、特に効果的なのは、燃焼排ガス中の二酸化硫黄をアルカリ水溶液で吸収して得られる吸収液のように、高濃度(5重量%以上)のナトリウム硫酸塩またはナトリウム亜硫酸塩がSeと共存する排液である。
【0021】
排水中のSeのうち4価イオンの形態をとるものは比較的除去しやすい。一方、6価イオンの形態をとるものは、化学的に不活性で安定しているため還元されにくい。特に濃厚な塩類水溶液中にあっては、Seは6価イオンのままとどまりやすく、固液分離がきわめて難しい。
【0022】
前述のように、ガラス熔解窯の排煙脱硫吸収塔の吸収液には、Na2 SO4 、NaHSO3 、Na2 SO3 、Na2 S2 O3 等のナトリウム塩がNa2 SO4 換算で20重量%程度含まれており、本発明はこのように濃厚な塩類水溶液中から、イオン化したSe、特に除去が困難な6価のSeを効果的に還元して固液分離により除去できる。特にSe含有液中のSeイオンが1mg/リットル以上、6価のSeイオン濃度が0.5mg/リットル以上の液からSeを除去するのに適する。
【0023】
【発明の実施の形態】
既存の排煙脱硫塔吸収液の処理プラントに本発明の方法にかかる設備を設置するときのフローを、図1に示す。連続式のものでは反応槽を2つ以上連結し、内部にそれぞれ攪拌機を設置する。
【0024】
第1反応槽ではpHを7〜13とし、液温は好ましくは80℃程度に設定する。液温の調整には投げ込みヒーターや蒸気加熱等、常用の方法を採用できる。硫酸鉄水溶液等の還元剤は専用の貯槽から定量ポンプで供給する。その供給量は、対象排液の流量に対して一定の還元剤濃度が実現するように計算して注入する。
【0025】
本発明で使用する還元剤としては、硝酸ニッケルまたはモリブデン酸アンモニウムに水素化ホウ素ナトリウムを添加したものや、硫酸第一鉄、塩化第一鉄が例示される。特に、入手が容易な第一鉄の水溶液の採用が好ましく、さらに、次工程以降でNa2 SO4 を回収して、ガラスの原料等に再利用することを考慮するならば、硫酸第一鉄水溶液の採用が好ましい。
【0026】
本発明ではまず、第1反応槽(ここにおける反応を以下第1反応といい、第2反応槽における反応を以下第2反応という)において、第1鉄イオンを代表とする還元剤を液に添加する。次いでpH調整剤、好ましくは水酸化ナトリウムを添加して、pHが7〜13の範囲になるように調節する。pH調整および還元剤投入の順序は入れ替えてもよい。
【0027】
第1反応槽は、アルカリ性であるため、還元剤として第一鉄イオンを加えた場合には、水酸化鉄となって液中に析出し還元反応が行われる。特に添加した鉄が多いときには全体がスラリー状になるが、その状態で撹拌を続行して反応を継続させればよい。
【0028】
【化1】
Fe2++Fe(OH)2 +SeO4 2− → Fe(OH)3 ,FeOOH,Fe3 O4 +Se0
【0029】
還元反応は上記化1のように進むと考えられる。
すなわち、水酸化第一鉄からわずかに解離しているFe2+の還元力によって、Se6+はSe4+に還元され、中間生成のSe4+はすぐに金属Seに還元される。このとき、大量に共存するFe(OH)2 も、活性サイトを提供しているものと考えられる。
【0030】
第1反応槽において、Se6+の還元反応に与えるpHの影響について述べる。図3は横軸にpHをとってSeの除去率を示したグラフである。還元剤としてのFeの濃度は2500ppmとした。pHが10.5となる付近でもっともSe除去率が上がることがわかる。したがって本発明の第1反応槽でのpHは7〜13とされ、好ましくは8〜12、最も好ましくは10〜11である。pHが7未満では、第一鉄イオンの還元作用が低下し、排水中の6価Seの還元が難しい。このpHが高すぎると水酸化第一鉄の溶解度が下がり、有効に働く第一鉄イオンが減少し処理速度が下がる。
【0031】
図3から明らかなように、その周辺であっても除去率がゼロというわけではない。しかし、Se除去率として99.7%などの高い値が必要な場合には、第1反応槽でのpHを10〜11に調整することがきわめて好ましい。
【0032】
無機塩類が5%を超すほど濃厚には含まれず、Se濃度が10mg/リットル以下のSe含有液を処理する場合は、第1反応槽による反応だけ行い、必要に応じて凝集剤を添加することによって排液中の重金属とSeを析出させ、次段の濾過機で汚泥として回収すれば、90%以上のSe除去率が得られる。
【0033】
ところが無機塩類が多量に含有される濃厚水溶液の場合で、しかもSe濃度を処理槽の出口で施行予定の法令の排出基準値(0.1mg/リットル)以下にしようとすると、これだけでは不充分である。この方法では、後述の図2に示すように、当初のSe含液中のSeイオン濃度が30mg/リットルであったとすると、反応槽に1時間滞留させることにより、Se濃度を1mg/リットル程度までは下げうるが、その後の濃度低下は横這いになる。
【0034】
この場合でも除去率は約96.7%であるから、一般的な排水処理としては低い数字ではないが、処理設備の出口で上記排出基準を達成しようとすれば、除去率は99.7%が求められる。pHを一定に保つ方法では、還元剤の濃度をかなり上げても実用に供しうる滞留時間内に液中のSe濃度を上記排出基準値まで下げることは困難である。
【0035】
発明者らは、鋭意研究の結果、pHが比較的高い第1段階に引き続いて、pHが第1段階よりも2程度以上低い第2段階を設けると、濃厚塩類水溶液中の残留Seの濃度が顕著に下がることを見いだした。
【0036】
その結果を図2に示す。図2において、還元剤である硫酸鉄の添加量が鉄の濃度で6000mg/リットルのとき、最初の10分間はpHを11にしておき、10分経過後に硫酸を添加してpHを8に下げると、反応の初期にはむしろ最初からpH11または8に維持した場合よりもSeの除去は悪いが、約40分経過後に逆転し、最終的に0.1mg/リットル以下に到達することがわかる。
【0037】
図2でpH11一定の場合と、pH8一定の場合では後者の方が最終除去率が高くなっているが、原液を変えて行った別の実験データでは逆にpH11の方が除去率が高かった。すなわちpHを一定に保つ方が、Se除去率は安定しにくく、わずかな実験条件の変化で結果がばらつきやすい。これに対してpHを最初高く、後で下げることによりSe除去率が安定して向上する。
【0038】
本発明のようにpHを反応の途中で変化させると、処理液中のSe濃度が著しく低下する理由は明確ではない。しかし、2価鉄イオンはアルカリ側では還元電位が低いのでSe6+を還元する力が大きいと考えられる。一方、pHを下げた場合は、還元力は小さくなるが、フリーの鉄の2価イオンの濃度が増すため反応が早く進みやすいと考えるのが妥当に思われる。
【0039】
最初からpHを下げておくと、フリーの2価鉄が増すが、還元力が小さく除去率は多くを望めない。本発明のように、Se6+の絶対量が多いときは還元力を高く保ち、絶対量が減ってきたらフリーの2価鉄を増して反応を早く進ませるのがよい、と考えられる。
【0040】
すなわち、濃厚無機塩水溶液中の6価Seを処理するにあたり、pHを最初は10.5程度に高く保つことで還元剤の還元ポテンシャルを高め、次いでpHを5〜11、好ましくは7〜9、として前段より2以上下げることによりフリーの2価の鉄イオンを増して、全体としてのSeの除去率を高めうる。pHの変化は、2以上、好ましくは、2〜3程度である。
【0041】
第1反応槽での滞留時間は、図2に示す鉄が6000mg/リットルの場合はSe6+を還元する原動力となるFe2+の状態を作り出すために10分程度を確保するのが好ましい。引き続き第2反応槽での滞留時間は50分程度を確保するのが好ましい。鉄の濃度を下げるにしたがい両槽における滞留時間は延長する方がよいが、逆に鉄の濃度を上げることによって時間を短縮することもできる。
【0042】
すなわち、第1反応および第2反応における、反応時間は鉄濃度により可変であり、6000mg/リットルなら第1反応が滞留10分、第2反応は60分から90分以内に、約20%の硫酸塩を含む排液中の約30mg/リットルのSe6+を金属Seまで還元でき、次工程で濾過ないしは沈降により系外に分離できる。10000mg/リットルの鉄を加えれば第2反応は約30分で済むが、汚泥の発生量もその分増すので、反応槽があまり大きくならない限り、鉄濃度は少なめにする方が好ましい。充分な鉄の量が加われば、第1反応は30秒、第2反応は20分から行いうる。
【0043】
ガラス窯の製造品種はSeを含有するものだけではなく、むしろ着色剤としてのSeを目標成分に含まない品種の方が普通である。ガラス熔解窯内でSeを含まない品種からSe含有品種に製造品目を切り替えるときは、切り替えが一段落するまでの数日間は、吸収塔内の吸収液中のSe濃度が大きく変動する。
【0044】
このように処理対象の原液の濃度が変動しやすいとき、または、切り替え完了後であっても製品中のSeの濃度が高い品種を製造するときには、本発明にかかわる排水処理で注入すべき鉄の量は、6000mg/リットル程度の多めを設定するのが適当である。工程が安定して吸収塔内、したがって排液処理の処理対象原液中のSe濃度がほぼ一定になったら、汚泥の発生量を減らすために鉄の濃度を1000〜2000mg/リットルに減じることができる。
【0045】
処理中のSe含有液の温度は、50〜95℃に維持することが好ましい。この温度は50℃未満では反応が実質的に進行しない。この温度は高い方がよく、実用上70〜95℃の範囲が望ましく、特に80℃前後がもっとも好ましい。前述の実験はいずれも液温は80℃で行った。
【0046】
処理中のSe含有液の温度の影響を示すのが、図4である。図4は、Se56.5ppm(うち6価のSe38.1ppm)を含有する原液に還元剤として硫酸第一鉄を鉄濃度で6000ppm加え、第1反応でのpHを11、滞留時間を1分、第2反応でのpHを8、滞留時間を1時間として保持した結果である。
【0047】
さらに、発明者らは、亜硫酸(SO3 2− )イオンが、Se6+の還元反応を妨害する物質のひとつであることを見いだしている。その実験例を図5に示す。図5は、Na2 SO4 が含有されない状態で、横軸に、Na2 SO3 の濃度をとり、液温80℃でpH10.5〜11で1時間保持した場合の、Se除去率を示す。Seの初期濃度は50ppm、還元剤としての鉄濃度は2500ppmと1000ppmの2種類、について実施した。
【0048】
したがって第1反応槽の前段の処理として、例えば空気吹き込み・酸化剤の注入等によって、対象液中のSO3 2− をできるだけSO4 2− に酸化しておくのが好ましい。この前処理を、表1上段の構成を有するSe含有液について行うと、表1下段の全ナトリウム硫酸塩に記載したのとほぼ同じ濃度のNa2 SO4 を含有したSe含有液になる。なお、この観点で、既出の図2はNa2 SO3 のない液、図3は実際の排脱吸収液を充分に空気酸化して液中の還元物質量を、JIS−K0211記載のヨウ素消費量で100mg/リットル以下に下げたもので測定している。
【0049】
以上は、連続式設備で行うことを前提に説明したが、この方法には限定されず、たとえば、回分式の設備で行うことなどもできる。その他、本発明の効果を奏する範囲で、種々の公知の方法を付加併用できる。
【0050】
【実施例】
図1に示すガラス製造窯の排脱吸収塔の排液処理設備で、実際の吸収塔排液を対象に連続式でSeの除去処理を行った。原液の液量は0.25m3 /時、そのうちのNa2 SO4 に換算したナトリウム硫酸塩の濃度は20.8重量%、JIS−K0211記載のヨウ素消費量は200ppm、pHは中性域にあった。
【0051】
また、ガラス熔解窯の高温排ガスを吸収液に接触させる方式を採用しているうえに、酸化塔で空気を吹き込むことによる酸化反応熱が付加されて、原液の液温は反応槽入口で約60℃であった。反応を80℃で進めるために2つの反応槽に温度指示調節計(電気ヒーター)を用いた。また、pH指示調節計を両槽に設置した。
【0052】
還元剤として、硫酸第一鉄を鉄濃度が6000ppmになるように添加した。2つの反応槽の容量はともに250リットルで、排液の滞留時間はいずれも1時間、液温はいずれも80℃である。結果を表2に示す。
【0053】
【表2】
【0054】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明のSe除去方法においては、濃厚塩溶液中からSeを排水基準値以下まで除去でき、環境の保全に役立つ。特に除去が困難な6価のSeを効率よく除去できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガラス熔解窯の排脱吸収塔周りの排ガスと排水のフローを示すブロック図。
【図2】Se除去率に及ぼすpH操作条件の影響を示すグラフ。
【図3】Se除去率に及ぼすpHの影響を示すグラフ。
【図4】Se除去率に及ぼす液温の影響を示すグラフ。
【図5】Se除去率に及ぼすNa2 SO3 濃度の影響を示すグラフ。
【図6】従来のガラス熔解窯の排脱吸収塔周りの排ガスと排水のフローを示すブロック図。
【図7】Se除去率に及ぼすNa2 SO4 濃度の影響を示すグラフ。
Claims (7)
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- 無機塩類として硫酸塩、亜硫酸塩、塩化物、硝酸塩、または亜硝酸塩を含有し6価のSeイオンを含むSe含有液からのSe除去方法であって、
Se含有液に第1鉄イオンを還元剤として投入する還元工程を、液のpHを7以上13以下に保持する第1の保持工程の前または第1の保持工程におけるpH調整の後に設け、
第1の保持工程に引き続いて、液のpHが5以上11以下であり、かつ第1の保持工程におけるSe含有液よりpHが2以上小さい状態に保持する第2の保持工程を設け、
第1の保持工程および第2の保持工程で6価のSeイオンを金属Seに還元し、
第2の保持工程に引き続いて、還元されたSeを液から除去する除去工程を設けることを特徴とするSe含有液からのSe除去方法。 - 第1の保持工程および第2の保持工程における液温が50℃以上95℃以下である請求項1のSe含有液からのSe除去方法。
- Se含有液が6価のSeイオンを0.5mg/リットル以上含有する請求項1または2のSe含有液からのSe除去方法。
- 還元剤が固体状または水溶液状の硫酸第一鉄であり、還元剤投入後のSe含有液中の鉄イオン濃度が1000mg/リットル以上である請求項1、2または3のSe含有液からのSe除去方法。
- 第1の保持工程におけるSe含有液の滞留時間が30秒以上であり、第2の保持工程における液の滞留時間が20分以上である請求項1、2、3または4のSe含有液からのSe除去方法。
- 少なくとも第1の保持工程の前に、Se含有液を空気または酸化剤の添加により酸化処理する請求項1、2、3、4または5のSe含有液からのSe除去方法。
- Se含有液が燃焼廃ガスの排煙脱硫装置における吸収液である請求項1、2、3、4、5または6のSe含有液からのSe除去方法。