JP5152997B2 - 定着処理装置及びインクジェット記録装置並びに定着処理方法 - Google Patents

定着処理装置及びインクジェット記録装置並びに定着処理方法 Download PDF

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Description

本発明は定着処理装置及びインクジェット記録装置並びに定着処理方法に係り、特に画像形成後のインクの乾燥及び画像の定着技術に関する。
現在、汎用の画像記録装置として水性インクを用いたインクジェット記録装置が好適に用いられている。水性インクを用いたインクジェット記録装置では、印刷速度の高速化を図るために画像が記録後の記録媒体に対して加熱による強制的な乾燥処理を行うことが好ましい。また、記録画像の耐光性や耐擦性の向上を目的として、ポリマー粒子を含有するインク等の液体を用いて画像記録を行った後に加熱や加圧を施しポリマー粒子の被膜を形成する処理を行うことが有効である。
特許文献1には、表面に樹脂層を有する記録媒体にインクを吐出して画像記録を行うインクジェット記録装置において、加熱温度、加圧圧力、記録媒体の搬送速度、押圧圧力
の少なくともいずれか1つを制御することで、記録媒体の画像面の光沢度を制御する技術が開示されている。
特許文献2には、記録媒体上にインクを吐出して画像形成を行い、記録媒体上のインクを加熱して乾燥を促進させるインクジェット画像形成装置において、記録媒体の種類が光沢紙の場合には、普通紙の場合に比べて加熱温度を低く設定して、コート層に対する熱による悪影響を回避して、画像ムラの発生やコート層の剥離を回避する技術が開示されている。
また、従来よりインクジェット方式を用いた各種メディア(特に、印刷用塗工紙)への良好な画像形成を目的として、インクを凝集させる凝集処理剤を用いた直接描画方式が検討されている。特に、ラテックス等のポリマー粒子を添加した凝集処理剤を付与した後に乾燥させて表面に凝集処理剤層が形成された記録媒体に対して、定着用ポリマー粒子を添加したインクを打滴して画像を形成し、インクが凝集した後の記録媒体から水分を除去し、さらに、加熱処理や加圧処理によりポリマー粒子による膜を成膜しながらインクを記録媒体に固定する方法が好適である。
特開2002−283553号公報 特開2004−188867号公報
印刷の代替機としてのインクジェット記録装置は、いわゆる印刷用塗工紙を記録媒体として用いることが望まれている。この場合、アート紙やマットコート紙、グロスコート紙、グロスマットコート紙、微塗工紙などの紙種の違いに対応した幅広い光沢定着処理が必要である。
しかしながら、温度や圧力の調整だけではこれらの違いに対して適切な定着処置を安定に行うことが難しい。特に、マットコート紙、微塗工紙は塗工層の凹凸が大きいためにローラなどで凝集処理剤を塗布すると厚塗りになりやすく、凝集処理剤が浸透して塗工層や塗工層と原紙層の境界面がダメージを受けると熱圧定着でローラオフセットなどの不具合を生じやすい。これは塗工層が薄い場合には一段と顕著になる。
特許文献1に記載されたインクジェット記録装置は、定着の温度や圧力、時間を調整して光沢度を変えることは可能であるが、文字画像やマットコート紙などの低光沢が必要な場合に単に圧力を下げると記録媒体との接触が不安定になりやすい。また、単に温度を下げると定着時のインクの乾燥や浸透の効果も低減してインク固定性が低下しやすくなり、搬送速度を上げると搬送不良などのトラブルを生じやすくなる。
また、マットコート紙や微塗工紙に凝集処理剤を塗布してから画像形成を行う構成では、記録媒体の表面の凹凸により凝集処理剤の塗布量が多くなりやすく、凝集処理剤の溶媒成分の浸透による塗工層や塗工層と原紙層の境界面のダメージでローラオフセットなどの不具合を生じやすい。
特許文献2に記載された技術をコート紙の光沢処理に適用する場合、塗工層を構成する樹脂の融点未満に加熱温度を一律に設定しても、マットコート紙とグロスコート紙といった面種に対応した光沢調整は難しい。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、各種印刷用記録媒体に対して、インクを安定に固定するとともに、光沢性を確保することができる定着処理装置及びインクジェット記録装置並びに定着処理方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る定着処理装置は、所望の画像が画像形成部に記録された記録媒体を所定の搬送方向へ搬送する搬送手段と、前記記録媒体の搬送路に設けられ、前記記録媒体の画像形成面に加熱処理及び加圧処理を施す熱圧定着手段と、前記熱圧定着手段の前記記録媒体に対する付勢及び離間を切り換える切換手段と、前記熱圧定着手段による熱圧定着処理において、前記記録媒体の画像形成部に圧力を付与しない非加圧処理の場合には、前記記録媒体と前記熱圧定着手段とを離間させるように前記切換手段を制御する切換制御手段と、前記熱圧定着手段による熱圧定着処理において、前記非加圧処理の場合に前記記録媒体の画像形成部に圧力を付与する加圧処理の場合よりも前記熱圧定着手段の温度を高く設定する温度設定手段と、を備えたことを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の定着処理装置の一態様に係り、前記熱圧定着手段の前記搬送手段の搬送方向下流側に設けられ、前記記録媒体に向けて空気を噴射する噴射手段を備えたことを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の定着処理装置の一態様に係り、前記切換制御手段は、前記非加圧処理の場合に前記搬送手段の搬送路上における前記熱圧定着手段が記録媒体に接触する接触位置を前記画像形成部が通過した直後に前記熱圧定着手段を前記記録媒体に付勢させるように前記切換手段を制御することを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の定着処理装置の一態様に係り、前記切換制御手段は、前記非加圧処理の場合に前記接触位置を前記記録媒体の後端部が通過してから次の記録媒体の先端部が前記接触位置に到達するまでに前記記録媒体から前記熱圧定着手段を離間させるように前記切換手段を制御することを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の定着処理装置の一態様に係り、前記切換制御手段は、少なくとも記録媒体に微塗工紙及びマットコート紙を用いる場合は前記記録媒体と前記熱圧定着手段とを離間させるように前記切換手段を制御することを特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の定着処理装置において、前記熱圧定着手段は、画像に使用されている液体にポリマー粒子が含有されている場合に、前記ポリマー粒子の最低造膜温度以上の温度を前記記録媒体に付与することを特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の定着処理装置において、前記熱圧定着手段は、画像に使用されている液体にポリマー粒子が含有されている場合に、前記ポリマー粒子のガラス転移点以上の温度を前記記録媒体に付与することを特徴とする。
また、請求項8に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の定着処理装置の一態様に係り、前記切換制御手段は、前記加圧処理の場合に前記搬送手段の搬送路上における前記熱圧定着手段が記録媒体に接触する接触位置に前記記録媒体の画像が記録される画像記録領域が到達する直前に前記熱圧定着手段を前記記録媒体に付勢させるとともに、前記画像記録領域が前記接触位置を通過した直後に前記記録媒体から前記熱圧定着手段を離間させるように前記切換手段を制御することを特徴とする。
本発明によれば、圧力を付与しない非加圧処理の場合に、熱圧定着手段を記録媒体から離間させることで、ローラオフセットなどの画像(例えば、低光沢紙の塗工層)のダメージが低減され、当該画像表面の光沢が安定する。また、熱圧定着手段を離間させる場合に温度設定を上げることで輻射熱により画像の乾燥及び固定も確実に行われる。さらに、乾燥不良による熱圧定着手段の汚れが防止される。
請求項2に係る発明によれば、非加圧処理のときは、記録媒体と熱圧定着手段の間に空気が噴射され、画像の乾燥を促進するとともに記録媒体の浮きが防止される。また、加圧処理のときは、記録媒体と熱圧定着手段の接触部に空気は噴射され、記録媒体の離型性が向上する。
請求項3に係る発明によれば、噴射手段から噴射される空気の流れが熱圧定着手段に局部的に当たることがなく、熱圧定着手段の局部的な加熱(冷却)が抑制され、熱の利用効率の向上が見込まれる。また、記録媒体の後端部の浮きが抑制される。
請求項4に係る発明によれば、次の記録媒体(次の記録媒体の先端部を保持する保持部材)と熱圧定着手段との干渉が防止される。
請求項5に係る発明によれば、加圧によるダメージが懸念される種類の記録媒体に対して、好ましい熱圧定着処理(光沢調整)が施される。
請求項6に記載の発明によれば、ポリマー粒子が皮膜化され、好ましい光沢を得ることができ、画像の固定性も向上する。
請求項7に記載の発明によれば、ポリマー粒子の皮膜化が一段と進行し、画像を形成する液体の固定性が一段と向上する。
請求項8に記載の発明によれば、加圧処理を行う場合は、画像(記録媒体)ごとに付勢歪みが除去(応力が開放)され、かつ、エア抜きができる。
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
<インクジェット記録装置の全体構成>
図1は本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の構成図である。図1に示すように、本実施形態のインクジェット記録装置10は、記録媒体14に直接的に画像を形成する直接描画方式の一形態として、圧胴が構成された圧胴直描方式のインクジェット記録装置である。
このインクジェット記録装置10は、記録媒体14を供給する給紙部22と、記録媒体14に対して浸透抑制処理を行う浸透抑制処理部24と、記録媒体14にインク凝集剤などの処理液を付与する処理液付与部26と、記録媒体14に色インクを付与して画像形成を行う印字部28と、色インクの溶媒を乾燥させる溶媒乾燥部30と、画像が形成された記録媒体に熱圧定着処理を施す(画像を堅牢化して光沢調整処理を行う)熱圧定着部32と、画像が形成された記録媒体14を搬送して排出する排出部34とから主に構成される。
給紙部22には、枚葉紙の形態の記録媒体14を供給する給紙トレイ36が設けられている。給紙トレイ36から粘着ローラ37を介して送り出された記録媒体14は、渡し胴38に設けられたグリッパ(不図示)により先端部を挟持され、浸透抑制処理部24の圧胴40へ送られる。記録媒体14は渡し胴38と圧胴(浸透抑制処理胴)40との記録媒体14の受渡部において圧胴40の周面に給紙される。
本装置は、インクジェットを用いた各種メディアへの良好な画像形成を目的として凝集処理剤を用いている。特に光沢安定ポリマー粒子(Lx)を添加した凝集処理剤を付与乾燥した記録媒体に定着用ポリマー粒子を添加したインクを打滴して画像を形成し、凝集後に乾燥加熱して水分を除去しながらポリマー粒子を溶融し、熱圧定着によって熱圧定着処理と堅牢化を行う方式が採用されている。
(浸透抑制処理部の説明)
浸透抑制処理部24には、圧胴40の回転方向(図1において反時計回り方向)に関して上流側から順に、圧胴40の周面に対向する位置に、液体塗布装置42、用紙押さえ44、及び浸透抑制剤乾燥ユニット46がそれぞれ設けられている。
図2は浸透抑制処理部24の構成図である。図2に示すように、液体塗布装置42は、回転する圧胴40に対して、転造などで外周にらせん溝を形成したスパイラルローラ48を押し当て、該スパイラルローラ48を圧胴40の回転方向と逆方向(同図において反時計回り方向)に所定の一定速度で回転駆動することにより、圧胴40のグリッパ(不図示)に保持されて回転移動する記録媒体14の所望領域に対して選択的に浸透抑制剤を付与する装置である。
なお、圧胴40の周面は弾性層41により覆われており、これにより、圧胴40とスパイラルローラ48の間の位置ずれが緩和され、また、記録媒体14の巻き付けが安定する。圧胴40の周面にある弾性層41を硬度20〜80°の弾性体とすることにより、スパイラルローラ48の接触が安定し塗布が均質化する。さらに、圧胴40の周面にある弾性層41の材質をフッ素ゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素エラストマー、シリコン系エラストマーのいずれかとすることにより、表面張力(表面エネルギー)が10〜40mN/mに設定でき、撥液性も確保できるので圧胴40の周面のクリーニング性にも優れる。また、用紙の巻付密着性も向上して好ましい。
図2のように、液体噴射部52は、スパイラルローラ48の下方からスキージブレード60の先端付近に向けて浸透抑制剤の噴射を行う。その際、画像形成領域の幅に合わせた付与幅となる噴射角となるように、噴射圧力が制御される。すなわち、液体噴射部52は、塗布液を供給する幅を制御する供給幅制御手段として、スパイラルローラ48の外周面における浸透抑制剤を供給する幅を制御する。
本実施例では、螺旋状の溝が形成されたスパイラルローラ48を用いるので、溝部の凹凸により浸透抑制剤の幅方向への液溢れが低減できる。そのため、幅制御性が一層向上し、コート紙の潤滑効果で幅方向非塗布部に対しても接触摩擦の低減が図れる。
また、本実施形態では、記録媒体14の搬送方向(以下「媒体搬送方向」という場合がある。)について浸透抑制剤の塗布範囲を制御する観点から、液体塗布装置42において、スパイラルローラ48の回転方向に対して、スキージブレード60の下流側に、ブレード部材であるメインブレード62を配置し、スパイラルローラ48外周面に対し当接離間するように制御する。
メインブレード62をスパイラルローラ48の外周面の一部範囲に当接させることにより、スパイラルローラ48の溝内の浸透抑制剤を含め外周面に塗布された液体を除去することができる(ブレード当接工程)。
メインブレード62によるスパイラルローラ48上からの液体の除去範囲を制御することにより、記録媒体14への浸透抑制剤の塗布範囲(媒体搬送方向についての領域)を制御できる(ブレード当接離間制御工程)。
具体的には、記録媒体14上の非画像形成部に相当する領域に対してメインブレード62をスパイラルローラ48の外周面に当接させ、記録媒体14上の画像形成部に相当する領域に対してメインブレード62をスパイラルローラ48の外周面から離間させる。このように、記録媒体14上の非画像形成部への処理液の塗布は行われず、選択的に画像形成部のみについて処理液を塗布することができる。
かかる態様によれば、不要な領域への浸透抑制剤の塗布を抑制でき、枚葉紙など非連続的に用紙を供給する場合でも圧胴40への浸透抑制剤の付着が防止できる。このため、装置の動作が安定し、経時での汚れや腐食などの信頼性も向上する。なお、図2のように、容器50の底部には液体排出口64が形成されており、この液体排出口64は図示せぬ排出弁を介して回収タンクに接続されている。回収された液は塗布用の液として再利用することが可能である。
本実施形態で用いる浸透抑制剤としては、表1に記載したLX−1などのポリマー粒子を含むラテックス溶液が好適に用いられ、調液の一例を後述の『<各液の調整>(1)浸透抑制剤の調整』に示す。
Figure 0005152997
上記[表1]中、「Tg」は、液中に添加されているポリマーのガラス転移点、「MFT」は、該ポリマーの最低造膜温度(Minimum film forming temperature)、「Tm」は、該ポリマーの融点である。
もちろん、浸透抑制剤は、ラテックス溶液に限定されるものではなく、例えば、平板粒子(雲母等)や撥水剤(フッ素コーティング剤)などを適用することも可能である。
浸透抑制剤を塗布する液体塗布装置42の下流側に配置された用紙押さえ44(図2参照)は、圧胴40の周面に給紙された記録媒体14の両端や後端を押さえながら圧胴40の回転方向に送り出すためのローラである。
浸透抑制剤乾燥ユニット46には、50〜130℃の範囲で温度制御可能なヒータと、5〜50m/sの風速で下流に向かって吹き出すファンが設けられる。塗布胴である圧胴40に保持された記録媒体14は、浸透抑制剤乾燥ユニット46に対向する位置から下流を通過する際、ヒータによって50〜130℃に熱せられた熱風がファンにより記録媒体14に当てられ、記録媒体14を加熱して浸透抑制剤をプレ乾燥する。
浸透抑制処理部24に続いて処理液付与部26が設けられている。浸透抑制処理部24の圧胴40と処理液付与部26の圧胴86との間には、これらに対接するようにして渡し胴84が設けられている。これにより、浸透抑制処理部24の圧胴40に保持された記録媒体14は、浸透抑制処理とプレ乾燥が行われた後に、渡し胴84を介して、グリッパ(図1中不図示、図3の符号91又は92)で処理液付与部26の圧胴86に受け渡される。
(渡し胴の構造)
ここで、渡し胴84の構造例について説明する。
図3は渡し胴84の構造例の詳細を示す断面図である。図3には、先の記録媒体(図3の左側)が渡し胴84から圧胴86に受け渡され、該記録媒体の先端部を圧胴86のグリッパ87が挟持して搬送し、さらに、次の記録媒体(図3の右側)が圧胴40から渡し胴84に受け渡され、次の記録媒体の先端部を渡し胴84のグリッパ91が挟持して搬送する状態を図示する。
これらの図面に示したように、渡し胴84の外周部には記録媒体14(以下「用紙」という場合がある。)を挟み込んで(咥えて)保持・搬送するためのグリッパ91、92が2ケ所に対称に配置されている。このグリッパ91、92を備えた渡し胴84の内部には、記録媒体14に向けて乾燥用の熱風を噴射するための熱風噴射部材96が固定設置されている。また、渡し胴84における2カ所のグリッパ支持部101,102以外の渡し胴周面領域には、その熱風を通過させるための開口部104、105が形成されている。
熱風噴射部材96は、渡し胴84と同軸の円筒形状を有し、その周面の一部領域(図3において周面下側の領域)に熱風の吹き出し口となる多数の孔108が形成されている。当該熱風噴射部材96の内部にはヒータ110が設置され、ヒータ110によって加熱された熱風は、熱風噴射部材96の孔108及び噴射規制部材116の通過開口118を介して渡し胴84の外部に噴射される。噴射規制部材116は熱風を遮るための遮蔽部120が設けられており、熱風の噴射方向を規制するように構成されている。図3は熱風の噴射方向を矢印線で図示している。
上記構成の渡し胴84と対向する位置には、記録媒体14を静電吸引するとともに、上述した熱風を排出するための開口(排気孔152)が幅方向や搬送方向に沿って多数配置された搬送ガイド150が設けられている。この搬送ガイド150は、記録媒体14の搬送路を構成する所定位置に固定設置されており、排気孔152を介して搬送ガイド150に流れ込んだ熱風は当該搬送ガイド150の排気接続口154から排出される。
また、搬送ガイド150には、電磁誘導式の加熱手段156が設けられており(図1参照)、当該搬送ガイド150に接触して搬送される記録媒体14は50〜90℃に加熱される。
グリッパ91,92で渡し胴84に受け渡された記録媒体14は搬送ガイド150に静電吸引されながら渡し胴84から噴射される熱風で表面が加熱乾燥される。このとき、記録媒体14(用紙)は間隔をもって搬送されているので、噴射した熱風は用紙の後端と次に搬送される用紙の先端との隙間から搬送ガイド150の開口152を通して排気される。このため、加熱乾燥してもシワやベコなどの不具合を生じにくく排気孔の痕も残りにくく、装置の蒸気汚染も防止できる。
さらに、搬送ガイド150から排気した熱風を噴射部に戻したり、熱風発生手段の熱交換機として用いたりすることにより、熱効率が向上し装置の蒸気汚染も防止できる。
図3で説明した構成によれば、渡し胴84のグリッパ91又は92に保持された用紙は搬送ガイド150に静電吸引されているので、記録面(浸透抑制剤が付与された面)が渡し胴84の部材に接触せず、また、加熱乾燥してもシワやベコなどの不具合を生じにくく排気孔の痕も残りにくい。
また、搬送ガイド150における用紙間の隙間から熱風を排気する構成に加えて、搬送ガイド150の排気幅を用紙幅より広くした構成により、熱風を幅方向にも速やかに移動可能であり、用紙の乾燥や乾燥風の排出回収が一層安定化する。
さらに、渡し胴84のグリッパ支持部101,102には赤外線温度計や赤外線水分計などの温度若しくは水分の測定手段としてのセンサユニット182が設けられ、該センサユニット182の測定結果に応じて噴射規制部材116が制御される。例えば、センサユニット182により用紙先端付近の同一箇所の温度若しくは水分の時間変化(特に立ち上がり特性)を測定し、この測定結果に基づいて噴射規制部材116を制御することにより、渡し胴84で乾燥中の用紙に対しても熱風の噴射範囲を補正できるので、用紙ごとの紙厚や吸湿度合い、浸透抑制剤付与量や後述する処理液付与量などのバラツキに対しても安定した乾燥が可能となる。
なお、図3を用いて説明した渡し胴84の構成及び構造はあくまでも一例であり、適宜変更及び追加、削除が可能である。
(渡し胴乾燥処理の説明)
次に、渡し胴乾燥の詳細について説明する。
図4はセンサユニット182によるモニタ位置183の例と、センサユニット182によるモニタ位置185を示す図である。ここでは面付け(8ページ)の印刷を例示するが、多面取りの印刷形態には限定されず、1枚の用紙に1ページ分の印刷を行うものであってもよい。
図4の上方向が印刷方向(用紙搬送方向)であり、用紙サイズL×Wのうち、先端部余白M(グリッパ91,92による咥えしろを含む部分)、後端部余白M、左余白M、右余白Mをとった内側が印刷有効領域186である。なお、この印刷有効領域186の全面に浸透抑制剤が付与される。そして、この印刷有効領域の内側に、製品仕上げ寸法α×βとその天地左右に所定量の断ちしろγ、δを確保した画像記録が行われる。
渡し胴84の各グリッパ91,92について同じ場所にセンサユニット182を配置することにより、当該渡し胴84に記録媒体14が受け渡たされたときから次の圧胴へ受け渡すまでの間における温度を連続的に検出できる。温度の時間変化を記録することにより、渡し胴84と搬送ガイド150で記録媒体14の乾燥を始めてからの表面温度の時間変化(立ち上がりカーブ)を取得できる。
図5は取得される表面温度の時間変化の一例を示すグラフである。横軸は乾燥時間、縦軸は表面温度を表す。また、縦軸の「MFT」は、塗布液中に添加されているポリマーの最低造膜温度を示している。
図示のように、搬送ガイド150による加熱と渡し胴84から噴射する乾燥風による加熱で検出直後から温度が急激に上昇し、湿り空気が形成される。その後、蒸発が続くときに、ある平衡状態になり、水分が減ってくるとまた右上がりに上昇する。
浸透抑制剤や後述する処理液の付与量は1〜10μmの液膜厚なので、かかる温度変化が短時間で起こる。図示の位置に放射温度センサを設けることにより、グリッパ91又は92が用紙を咥えたときから、すぐに温度の立ち上がりに入り、この温度変化の勾配を見て噴射規制部材116の回動を制御する。
センサユニット182によって温度や水などの溶媒の時間変化(好ましくは、立ち上がり特性)を測定して噴射規制部材116の回動位置を制御することによって、渡し胴84で乾燥中の用紙に対しても熱風の噴射範囲を補正できる。これにより、用紙ごとの紙厚や吸湿度合い、浸透抑制剤や後述する処理液の付与量などのバラツキに対しても安定した乾燥が可能となる。
(処理液付与部26の説明)
次に、渡し胴84の後段に配置される処理液付与部26(図1参照)について説明する。
処理液付与部26には、圧胴(処理液付与胴)86の回転方向(図1において反時計回り方向)に関して上流側から順に、圧胴86の周面に対向する位置に、処理液ヘッド202、処理液乾燥ユニット204が設けられている。
処理液ヘッド202は、圧胴86に保持される記録媒体14に対して処理液を打滴するものであり、印字部28に配置される各インクヘッド210Y,210M,210C,210Kと同様の構成が適用されるが、処理液(凝集処理剤)の粘度や表面張力、pH(水素イオン濃度)などに応じて、ノズルの形状や表面処理、駆動波形などを調整してもよい。
なお、処理液ヘッド202に代わり、図2を用いて説明した浸透抑制処理部24と同様の構成を適用してもよい。
また、処理液付与部26において記録媒体14を保持搬送する圧胴86は、記録媒体14の先端部を保持するグリッパ87(図3参照)が外周面に対して段差を有して配置されているため、処理液付与部26に浸透抑制処理部24と同様の構成を適用すると、スパイラルローラ48(図2参照)は、当該グリッパ87の部分で対応する圧胴の外周面から離間して段差を回避するように構成されている。なお、図3に示すグリッパ87の配置及びローラの離間構造は、記録媒体を搬送する他の圧胴40,306,326(図1参照)についても適用されている。一方、印字部28の圧胴216や処理液付与部26にインクジェットヘッドを適用する場合の圧胴86については、ヘッド210K、210C、210M、210Yと記録媒体とを近接させる必要があるので、グリッパ87を外周面から突出させないような構造が適用される。
処理液乾燥ユニット204については、上述した浸透抑制処理部24の浸透抑制剤乾燥ユニット46と同様の構成が適用される。処理液乾燥ユニット204には、50〜130℃の範囲で温度制御可能なヒータ(不図示)と、5〜50m/sの風速で下流に向かって吹出すファン(不図示)が設けられる。処理液付与部26の圧胴86に保持された記録媒体14は、処理液乾燥ユニット204に対向する位置から下流を通過する際、ヒータによって50〜130℃に熱せられた熱風がファンにより記録媒体14に当てられ、記録媒体14を加熱して処理液を乾燥する。
本例で用いられる処理液は、後段の印字部28に配置される各インクヘッド210K、210C、210M、210Yから記録媒体14に向かって吐出されるインクに含有される色材を凝集させる作用を有する酸性液が好ましい。具体的には、後述の表2に記載の処理液や、2−ピロリドン−5−カルボン酸、リン酸、コハク酸、クエン酸などの酸を添加した処理液が考えられる。
なお、グリセリンなどの高沸点溶媒や表1に記載したLX−1、表4に記載したLX−2などのポリマー粒子などを少量添加して処理液の浸透を抑制することで、前述の浸透抑制層を不要にするも可能である。そのため、このような浸透抑制効果を有する処理液を液体塗布装置42で塗布することとすれば、処理液付与部26の圧胴86、処理液ヘッド202、及び処理液乾燥ユニット204などが不要となる。
処理液付与部26に続いて印字部28が設けられている。処理液付与部26の圧胴86と印字部28の圧胴216との間には、これらに対接するようにして渡し胴214が設けられている。これにより、処理液付与部26の圧胴86に保持された記録媒体14は、処理液が付与されて凝集処理剤層が形成された後に、渡し胴214を介して、グリッパ(不図示)で印字部28の圧胴216に受け渡される。
なお、渡し胴214の周面に対向する位置に、前記の渡し胴84と同様に、搬送ガイド150が設けられている。そして、渡し胴214から吹き出す50〜130℃の熱風と、50〜90℃に温調した静電吸引式の搬送ガイド150によって描画面を非接触搬送しながら、描画面を40〜60℃の範囲で加熱乾燥し、記録媒体14上に固体状又は半固溶状の凝集処理剤層(処理液が乾燥した薄膜層)を形成する。ここでいう「固体状又は半固溶状の凝集処理剤層」とは、[数1]に定義する含水率が0〜70%の範囲のものを言うものとする。
Figure 0005152997
渡し胴214の構成は、既述した浸透抑制処理部24の渡し胴84と同様の構成であるため、その説明は省略する。
(印字部28の説明)
印字部28には、30〜50℃に温調した圧胴(印字胴)216の回転方向(図1において反時計回り方向)に関して上流側から順に、圧胴216の周面に対向する位置に、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の4色のインクにそれぞれ対応したインクヘッド210K、210C、210M、210Yが設けられている。
各インクヘッド210K、210C、210M、210Yは、インクジェット方式の記録ヘッド(インクジェットヘッド)が適用される。各インクヘッド210K、210C、210M、210Yは、それぞれ対応する色インクの液滴を圧胴216に真空吸着や静電吸着した状態で保持された記録媒体14に向かって吐出する。
本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示するが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクヘッドを追加する構成も可能であり、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
〔ヘッドの構造〕
次に、各ヘッドの構造について説明する。色別のヘッド210K、210C、210M、210Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号210によってヘッドを示すものとする。
図6(a)はインクヘッド210の構造例を示す平面透視図であり、図6(b)はその一部の拡大図である。記録媒体14上に印字されるドットピッチを高密度化するためには、インクヘッド210におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例のインクヘッド210は、図6(a),(b)に示したように、インク吐出口であるノズル281と、各ノズル281に対応する圧力室282等からなる複数のインク室ユニット(記録素子単位としての液滴吐出素子)283を千鳥でマトリクス状に(2次元的に)配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(用紙搬送方向と直交する方向)に沿って並ぶように投影される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
記録媒体14の搬送方向(図6(a)中矢印S)と略直交する方向(図6(a)中矢印M)に画像形成領域の全幅に対応する長さにわたり1列以上のノズル列を構成する形態は図示の例に限定されない。例えば、図6(a)の構成に代えて、図7に示すように、複数のノズル281が2次元に配列された短尺のヘッドモジュール280’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで長尺化することにより、全体として記録媒体14の画像形成領域の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドを構成してもよい。
入力画像からデジタルハーフトーニング処理によって生成されるドットデータに応じて各ノズル281に対応して設けられたアクチュエータ(例えば、上部電極及び下部電極の間に圧電体をはさんだ構造を有する圧電アクチュエータ)の駆動を制御することにより、ノズル281からインク滴を吐出させることができる。記録媒体14を一定の速度で副走査方向に搬送しながら、その搬送速度に合わせて各ノズル281のインク吐出タイミングを制御することによって、記録媒体14上に所望の画像を記録することができる。
(溶媒乾燥部30の説明)
印字部28に続いて溶媒乾燥部30が設けられている。図8には、溶媒乾燥部30の概略構成を図示する。
図8に示すように、印字部28の圧胴216と溶媒乾燥部30の圧胴(乾燥処理胴)306との間には、これらに対接するように渡し胴304が設けられている。これにより、印字部28の圧胴216に保持された記録媒体14は、各色インクが付与された後に、渡し胴304を介して溶媒乾燥部30の圧胴306に受け渡される。
渡し胴304の構成は既述した浸透抑制処理部24の渡し胴84と同様の構成が適用される。すなわち、渡し胴304の周面に対向する位置には、前記の渡し胴84と同様に、搬送ガイド150が設けられている。そして、渡し胴304から吹き出す50〜130℃の熱風と、50〜90℃に温調した静電吸引式の搬送ガイド150によって描画面を非接触搬送しながら、該描画面を40〜60℃の範囲で加熱し、表面に湿り空気層を形成して、打滴したインクに含まれる水分のうち、主に表面に存在する水を蒸発させる。
図9は、図8に図示した渡し胴304の概略斜視図である。なお、図9では搬送ガイド150の図示を省略した。
同図に示すように、渡し胴304の軸方法に沿い、記録媒体の全幅に対応する長さにわたって設けられるグリッパ支持部101,102の軸方法の略中央部には、センサユニット182が設けられている。センサユニット182の配置位置は、図4に斜線ハッチを付して図示したモニタ位置185に対応しており、図9に示すグリッパ91に先端部を保持された記録媒体が、渡し胴304により搬送される期間において、図4のモニタ位置185に形成されたパッチを連続的に検出することができ、当該期間内において検出情報を取得し得る。
すなわち、センサユニット182より記録媒体14の非画像部に描画したチェックパターン(図4のモニタ位置185に形成されたパッチ)の光学濃度(ここでは反射光量)を読み取り、その読取結果に応じてインク吐出体積や画像データを補正すれば、機内昇温などによりインク吐出体積や処理液付与量などが変化した場合でも、画像濃度の安定化を図ることができる。
また、記録媒体14の非画像部に描画した該チェックパターンの光学濃度の他、図4のモニタ位置185における温度や水分量を測定して、リアルタイムで加熱乾燥条件を補正することも可能である。かかる制御によれば、画像有効領域(図4の符号186)に打滴されるインク、画像部や画像有効領域の外側に打滴されるインク(例えば、インクジェットヘッド210K,210C,210M,210Yからパージにより打滴されたインク)の乾燥も安定する。
さらに、記録媒体14における凝集処理剤の塗布部(例えば、図4のモニタ位置183)と凝集処理剤の非塗布部(例えば、図4のモニタ位置185)にインクを打滴して、インラインセンサ(図1の符号348)で前記非塗布部に形成したチェックパターンの他、塗布部のチェックパターンや白地の光学濃度を測定してインクの凝集度合いを検出することで、塗布ローラの回転数や付勢力を制御して凝集処理剤の付与量を制御している。
なお、チェックパターンを千鳥などのドット分離で形成した場合は、インラインセンサにCCDなどの撮像デバイスを用いることで、光学濃度の測定の他、ドット径を計測して凝集度合いを検出すことも可能であり、一層精度の良い凝集検出が可能となる。
図10は、センサユニット182の近傍(記録媒体14の先端部が搬送ガイド150に到達した状態)を拡大して模式的に図示した断面図であり、図11はセンサユニット182のみを拡大して図示した図である。
図10,11に示すセンサユニット182は、赤外線温度計(赤外線センサ)520と、受光素子521及び可視光源522を含む濃度センサ(光学センサ)と、を具備し、これらは基板523の一方の面(記録媒体14との対向面)に配設されている。
基板523の他方の面には、赤外線センサ520及び光学センサ(受光素子521)から得られた検出信号に所定の信号処理(ノイズ除去処理、波形成形処理、増幅処理等)を施す信号処理部や、電源供給のための安定化回路部などが設けられている。
基板523には、電源供給用の配線パターンや信号を伝送する配線パターンが設けられるとともに、圧胴306内の配線パターン(圧胴306の内部に設けられ、不図示の接点184と導通している配線パターン)との電気的な接続を取るための接続部材(コネクタ等、図15に符号534を付して図示)が設けられている。なお、図10,11では、配線パターンや接続部材をまとめて符号524を付して図示している。
また、受光素子521の入射面(記録媒体14と対向する面)の前方にはレンズ525が設けられ、かつ、可視光源522の照射面(記録媒体14と対向する面)の前方にもレンズ526が設けられている。上述した各構成部材は筐体527内に収められている。
図10,11に示す赤外線センサ520は、記録媒体14上のモニタ位置185(図4参照)における温度を検出し、検出温度に比例した検出信号を出力する。この検出信号を連続的に記憶することで、記録媒体14の時間経過に伴う温度変化の情報(温度履歴や温度勾配)を得ることができる。
記録媒体14の厚みやインクの打滴量に応じて、赤外線の照射位置を可変可能に構成する態様が好ましい。
また、光学センサは記録媒体14上のモニタ位置185に形成されたパッチの光学濃度(反射濃度)を検出するものである。該光学センサに含まれる可視光源522の可視光線が放出される面の前方(可視光源522と記録媒体14との間)には、該可視光線を該パッチの一点(例えば、図11のパッチ550の中心位置)に集中させるための集光レンズ525が設けられている。
さらに、受光素子521の可視光線を受光する面の前方(受光素子521と記録媒体14との間)には、記録媒体14によって反射した可視光線を受光素子の受光エリアに集めるための集光レンズ526と、受光素子521の受光エリアを規制するためのアパーチャー(規制機構)528が設けられている。
かかる構成によって、記録媒体14に形成されたパッチの光学濃度(反射濃度)の情報を得ることができる。また、受光素子521や可視光源522が記録媒体14と一体に移動するので、記録媒体14が移動しても同じ検出位置を検出し続けることができ、可視光源522の光量不足や受光素子521の感度不足による濃度検出異常を回避することができる。さらに、記録媒体14が最高速で搬送されたとしても検出期間として0.3秒〜3秒程度が確保でき、受光素子521は高感度のものを用いる必要がなく汎用のものを使用することができる。同様に、可視光源522は高出力のものを用いる必要がなく汎用のものを使用することができる。
本例に示すパージ検出では、赤外線による温度検出と、可視光線による光学濃度検出を同じ検出位置を対象として同時に行うことができる。すなわち、パッチ550内の同一検出点に対して、可視光源522による可視光線を照射しても、測定する赤外線と照射する可視光線とは互いに干渉しないので、同一の検出位置における温度情報及び光学濃度情報を同時に取得することができる。
具体的には、照射する可視光線の波長範囲を360nm〜960nm、検出する赤外線の波長範囲を0.78μm〜15μmに設定することが好ましく、特に、可視光線をインクの吸収波長である400nm〜700nmの波長範囲に設定し、検出する赤外線を大気の影響が少ない8μm〜14μmの波長範囲に設定することが好ましい。
なお、本例では、赤外線による温度検出と可視光線による光学濃度検出を同一検出位置に対して同時に行う態様を例示したが、本発明の適用範囲は赤外線と可視光線の組み合わせに限定されない。すなわち、本発明は、相互干渉を生じない周波数帯域を有する2種類の光を用いる態様に広く適用可能である。
また、図10,11には、記録媒体14の搬送方向に沿って下流側から受光素子521、赤外線センサ520、可視光源522の順に並べる態様を例示したが、受光素子521、赤外線センサ520、可視光源522を記録媒体14の搬送方向と直交する記録媒体14の幅方向や、記録媒体14の搬送方向に対して斜めの方向に並べてもよく、配置順序も適宜変更可能である。
さらにまた、赤外線センサ520により記録媒体14の温度を検出する態様に代わり、又はこれに併用して、赤外線水分計などを用いて記録媒体14上の水分量を検出する態様も好ましい。記録媒体14上の水分量をモニタすることで、水分量(蒸発量)の立ち上がりが計測でき、応答性のよい乾燥制御が可能となる。
図9には、渡し胴304の軸方向の略中央部にセンサユニット182を配置する態様を示したが、渡し胴304の軸方向に沿って所定の配置ピッチで複数のセンサユニット182を備える態様も好ましい。
複数のセンサユニット182の位置に対応する位置に、記録媒体14の幅方向に沿って複数のパッチを形成し、各パッチを対応するセンサユニット182により読み取ることで、その読取信号から記録媒体14の幅方向の温度分布や濃度分布を得ることが可能となる。
なお、渡し胴304の軸方向に沿って所定の配置ピッチで複数のセンサユニット182を備える構成に代わり、渡し胴304の軸方向に沿い記録媒体14の全幅にわたって1つのセンサユニット182を走査させても、同様の効果を得ることが可能である。
渡し胴304から記録媒体14が受け渡される圧胴306の周面に対向して溶媒乾燥ユニット308が配置される。溶媒乾燥ユニット308には、赤外線照射手段、あるいは熱風の噴射手段を用いることができる。溶媒乾燥ユニット308による赤外線の照射や熱風の吹付けにより、圧胴306上の記録媒体14の描画面を40〜80℃に加熱して水分を十分に除去し、乾燥防止や粘度調整用としてインクに含有したグリセリンやジエチレングリコールなどの高沸点溶媒を低粘化する。また、インクに含有したポリマー粒子を加熱しておくことで、定着性を向上させることも可能である。浸透抑制処理部24で付与された浸透抑制層も処理液付与部26で付与された処理液により、徐々に空隙が形成され高沸点溶媒の記録媒体14への浸透も可能となる。
図8には、溶媒乾燥ユニット308の構成例として、圧胴306の外周面に沿ってIRヒータ310と送風ファン312を交互に配置した態様を図示する。図8に示すように、送風ファン312と圧胴306の外周面との間に加熱制御部材(シャッター)314を備え、送風ファン312から放射される風の風量を制御する態様が好ましい。
図8に示す加熱制御部材314は、送風ファン312と圧胴306の外周面との間をスライド可能に構成され、送風ファン312の放射領域の一部をふさぐことで、記録媒体に放射する風量を低減することができる。なお、図8には、記録媒体14の搬送方向の最下流側の送風ファン312のみに加熱制御部材314を備えているが、もちろん、他の送風ファン312にも加熱制御部材314を備えてもよい。
IRヒータ310は、放射熱量が可変可能に構成されており、記録媒体14の表面温度が設定されると、該設定温度に対応してIRヒータ310の放射熱量(または、IRヒータ310のオンオフ)が制御される。
本例に示す溶媒乾燥ユニット308は、IRヒータ310の放射熱量及び送風ファン312の風量を適宜制御することで、予め設定された記録媒体の表面温度に対応する放射熱量の制御が行われる。また、渡し胴304に設けられたセンサユニット182から得られる温度情報に基づいて、IRヒータ310の放射熱量制御及び送風ファン312の放射風量を制御する態様も好ましい。
渡し胴304のグリッパ支持部101,102に設けられるセンサユニット182は、記録媒体に付着したインクなどの液体の温度を検出する赤外線センサ(図8中不図示、図10,11に符号520を付して図示)及び記録媒体に付着した該液体の反射光学濃度を検出する反射型光学センサ(図8中不図示、図10,11の受光素子521及び可視光源522から構成される)を含んで構成され、該センサユニット182の温度検出結果(又は、水分量検出結果)に応じて噴射規制部材116が制御されるとともに、インクの光学濃度の検出結果に応じて印字部28の打滴補正を行うことが可能である。
例えば、センサユニット182により用紙先端付近の同一箇所の温度若しくは水分の時間変化(好ましくは立ち上がり特性)を測定し、この測定結果に基づいて噴射規制部材116を制御することにより、渡し胴304で乾燥中の用紙に対しても熱風の噴射範囲を補正できるので、用紙ごとの紙厚や吸湿度合い、浸透抑制剤付与量や処理液付与量などのバラツキに対しても安定した乾燥が可能となる。
なお、印字部28の記録媒体搬送方向下流側に位置する渡し胴304の構成は、渡し胴325及び渡し胴344にも適用される。ただし、渡し胴325及び渡し胴344におけるセンサユニットの検出位置は、図4のモニタ位置183である。
(熱圧定着部32の説明)
溶媒乾燥部30に続いて熱圧定着部32が設けられている。溶媒乾燥部30の圧胴306と熱圧定着部32の圧胴(熱圧定着処理胴)326との間には、これらに対接するように渡し胴324が設けられている。これにより、溶媒乾燥部30の圧胴306に保持された記録媒体14は、各色インクの水分が除去され高沸点溶媒が低粘浸透した状態で、渡し胴324を介して熱圧定着部32の圧胴326に受け渡される。
図12(a)は、熱圧定着部32の構成(第一例)を模式的に図示した概略構成図である。同図に示すように、熱圧定着部32には、40〜80℃に温調した圧胴326に対向して、60〜180℃に温度設定可能に構成されたヒートローラ(定着ローラ)328aが設けられている。ヒートローラ328aはゴムなどの表面にPFAやフッ素系エラストマーなどの撥液材料を被覆したものや、剛材に硬質クロムメッキなどの処理を施したものが望ましい。
また、ヒートローラ328aの長手方向の長さを記録媒体14の最大幅より長くし、ヒートローラ328aの両端部を圧胴326に直接付勢することで、記録媒体14に付勢した場合でも圧胴326からの駆動力を受け、記録媒体14の記録面の歪みやローラオフセットを軽減している。ヒートローラ328aの両端部にゴムなどの摩擦係数の高い部材を付与したり、粗面加工を施したりするなどによって駆動力を高めてもよい。
ヒートローラ328aには、離型剤塗布機能付きのクリーニングユニット329が当接されている。離型剤としては一般的な離型用シリコンオイルのほか、用紙浸透性を有する高沸点溶媒としても良く、塗布厚としては30nm〜1μmであることが離型性や光沢度の観点から望ましい。
渡し胴324の構造は先に説明した渡し胴84,214,304と共通しているので、ここでは詳細な説明を省略する。溶媒乾燥部30の圧胴306によって加熱乾燥処理が施された記録媒体14の温度をモニタしながら、渡し胴324から50〜70℃の熱風を吹き付け、さらに、50〜70℃に調温された搬送ガイド150に静電吸引させて、記録媒体の種類(面種や厚みなど)に応じた適切な温度になるように調整している。かかる構成により、非接触搬送される記録媒体14の描画面における温度分布が安定するとともに、ポリマー粒子の皮膜化も安定に行われる。
そしてその後、不図示の加熱手段により加熱された圧胴326に受け渡された記録媒体14に対し、ヒートローラ328aにより熱圧することにより、インクに添加したポリマー粒子を十分に成膜することで画像を堅牢化して、記録媒体14に定着させる。
本例に示す熱圧定着処理(光沢定着処理)は、記録媒体14の種類に応じてヒートローラ328aの付勢及び離間が制御され、記録媒体14の種類に応じて熱圧定着処理において圧力を付与するか否かの切り換えが行われる。すなわち、ヒートローラ328aを上下方向に移動させる移動機構(不図示)を備え、記録媒体14の種類に対応して該上下機構を動作させてヒートローラ328aの付勢及び離間を切り換えるように構成されている。
図12(a)はヒートローラ328aを記録媒体14の描画面に付勢させた状態(加圧処理の場合)を模式的に示した図であり、図12(b)はヒートローラ328aを記録媒体14の描画面から離間した状態(非加圧処理の場合)を模式的に示した図である。図12(a),(b)に符号330を付して図示した部材は、記録媒体14の後端部の浮きを押さえるためのスターホイルであり、ヒートローラ328aと一体的に上下方向に移動する。
ヒートローラ328aの媒体搬送方向の下流側に、記録媒体14に向けてエアを噴射するファン332が設けられている。ヒートローラ328aが記録媒体14を押圧している場合は、ファン332から常時噴射されるエアは図12(a)に矢印線で図示するようにヒートローラ328aと記録媒体14の接触部に供給される。一方、ヒートローラ328aが記録媒体14と離間している場合は、ファン332から噴射されたエアは図12(b)に矢印線で図示するようにヒートローラ328aと記録媒体14の間を通ってヒートローラ328aの媒体搬送方向上流側へ抜けるエア流となる。
本例に示す熱圧定着処理では、マットコート紙など加圧をせずに加熱のみで熱圧定着処理を行う記録媒体14を使用した場合は、ヒートローラ328aの温度を100℃〜150℃に設定して記録媒体14から離間させ、ヒートローラ328aが記録媒体14を押圧している場合の温度60℃〜100℃より高く設定する。
かかる制御によれば、マットコート紙などの低光沢紙の表面のダメージを低減し、光沢の安定を図ることができる。また、ヒートローラ328aが記録媒体14を押圧している場合よりもヒートローラ328aの温度設定を高くすることで、ヒートローラ328aを離間した場合でもインクに含まれる水分の蒸発が適切に進行し、インクに含まれるポリマー粒子を最低造膜温度(MFT)以上に加熱することで皮膜化できるので、乾燥固定性が確保される。さらに、塗工強度が弱い記録媒体(例えば、マットコート紙や微塗工紙など)や非塗工紙を使用する場合やインク乾燥エラーが発生した場合などにおいてもヒートローラ328aへのインクの付着が防止でき、ファン332から噴射されるエア流による加熱でインクの乾燥及び固定のさらなる促進が可能となる。
ファン332から噴射されるエアは、圧胴(熱定着処理胴)326の内部などで加熱を行うことが好ましく、40℃〜80℃の温度を有するエアを200mm/s〜1000mm/sの風速で噴射している。さらに、ヒートローラ328aの温度を150℃〜180℃に設定して、ポリマー粒子をガラス転移点以上の温度により加熱すれば、ポリマー粒子の皮膜化が安定して乾燥固定性が一段と向上する。ファン332から噴射されるエアの温度はさらに高くしてもよい。
図13は、本例に示す熱圧定着処理の効果を示す図であり、画像濃度と光沢度(法線に対する測定面の角度が60°の場合;図18参照)の関係を示している。同図に符号380を付して実線で図示した曲線は、マットコート紙を使用し、熱圧定着処理時にヒートローラ328aを離間させ、かつ、ヒートローラ328aを付勢させたときよりも温度設定を上げた場合の画像濃度に対する光沢度を示している。
マットコート紙など表面性の粗い記録媒体を使用するときは、熱圧定着処理時のヒートローラ328aの離間によりローラオフセットを抑制し、安定した光沢度を得ることができ、温度設定のアップを併用することで、インクに添加したポリマー粒子を皮膜化し、インクの固定性を高める。
一方、符号382を付して破線で図示した曲線は、ヒートローラ328aを付勢させた場合であり、ローラオフセットにより光沢度が不安定になっている。また、符号384を付して破線で図示した曲線は、ヒートローラ328aを離間させ、付勢時と同じ温度設定により熱圧定着処理を行った場合である。かかる熱圧定着処理によると、光沢度は安定しているものの温度設定を上げた場合と比較して光沢度が低くなっており、インクの固定性が不足して画像部のはがれやこすれなどを生じやすい。
図14は、グロスコート紙を使用した場合の画像濃度と光沢度(60°)の関係を示している。クロスコート紙などの表面の平滑性が高い記録媒体を使用する場合には、図14に符号386を付した曲線に示すように、熱圧定着処理時にヒートローラ328aを付勢させることで、画像濃度に対して安定、かつ、高い(所望の)光沢度を得ることができる。
一方、図14に符号388を付した曲線に示すように、熱圧定着処理時にヒートローラ328aを離間させると、光沢度が不足して、写真画像などでは質感の確保が難しくなる。
図15(a)〜(c)は、ヒートローラ328aの記録媒体14における付勢位置(付勢タイミング)及び離間位置(離間タイミング)を説明する図である。
図15(a)において白抜き矢印線で図示した方向は媒体搬送方向(印刷方向)であり、同図において記録媒体14は右から左へ搬送される。なお、同図には1枚の記録媒体14に1つの画像を記録する場合を図示する。また、同図における符号M〜M,α〜δは図4と共通しているので、ここでは説明を省略する。
図15(b)は圧力を付与して熱圧定着処理を行う場合のヒートローラ328aの制御を示し、図15(c)は圧力を付与せずに熱圧定着処理を行う場合のヒートローラ328aの制御を示す。図15(b),(c)において「付勢」と記載した期間はヒートローラ328aが記録媒体14を押圧している付勢期間を意味し、「離間」と記載した期間はヒートローラ328aが記録媒体14から離間している離間期間を意味する。
図15(b)に示す圧力を付与して熱圧定着処理を行う場合には、記録媒体14の断ちしろよりも前の位置(媒体搬送方向下流側の位置)においてヒートローラ328aを付勢させる。すなわち、画像が形成される画像部にはヒートローラ328aを着地させないように付勢位置(付勢タイミング)が決められている。好ましくは、処理液が塗布される部分よりも媒体搬送方向下流側の位置にヒートローラ328aを付勢させるとよい。
かかるヒートローラ328aの付勢制御によれば、ヒートローラ328aが記録媒体14に着地したときの着地オフセットが低減される。
一方、断ちしろがヒートローラ328aの直下を通過した直後に記録媒体14からヒートローラ328aを離間させる。ヒートローラ328aを離間させることでヒートローラ328aの付勢により生じる記録媒体14の歪みが解放されるとともに、エア抜きを行うことができる。
また、図15(c)に示す圧力を付与せずに熱圧定着処理を行う場合には、断ちしろの直後の位置(媒体搬送方向の上流側の位置)においてヒートローラ328aを付勢させ、グリッパ(図12に符号87を付して図示)と干渉しないようにヒートローラ328aを離間させる。かかるヒートローラ328aの付勢制御によれば、ヒートローラ328aが間欠的に回動することでファン332から噴射されるエア流が局部的に当たることがなく、ヒートローラ328aの局部的な加熱が抑制される、また、ヒートローラ328aから発生される熱の利用効率の向上が見込まれる。さらに、記録媒体14の後端部にヒートローラ328aが着地することで、記録媒体14の後端部の浮きが抑制される。
(排出部34の説明)
熱圧定着部32に続いて排出部34が設けられている。熱圧定着部32の圧胴326と排出部34の排出トレイ346との間には、これらに対接するように渡し胴344が設けられている。これにより、熱圧定着部32の圧胴326に保持された記録媒体14は、熱圧定着部32で画像が堅牢化された後に、渡し胴344を介して排出トレイ346に受け渡され、機外へ排出される。
渡し胴344は、先に説明した渡し胴84,214,304,324と共通する構造を有しており、渡し胴344から噴射される熱風の吹き付けや(図3参照)、静電吸着式の搬送ガイド150からの加熱によって、さらに記録媒体14上の高沸点有機溶媒の乾燥を促進し、かつ、記録媒体14のカールが矯正される。
また、グリッパ支持部101,102に設けられたセンサユニット182(図9参照)を用いて圧胴326の通過後における記録媒体14の温度や反射濃度が検出される。この検出結果と、渡し胴304のセンサユニット182により検出された圧胴326の通過前の記録媒体14の温度及び反射濃度と、を比較することで、稼働中の温度又は湿度の変化に対して光沢度やローラオフセットなどの一層の安定化を図ることが可能となる。
さらに、記録媒体14の種類の情報やヒートローラ328aの温度調整と組み合わせることで、よりきめ細かな定着制御(乾燥制御、熱圧定着制御)が可能となる。
なお、排出部34には、記録媒体14のチェックパターンを計測するためのCCDなどの撮像素子を含むインラインセンサ348が配置されている。前述の通り、インラインセンサ348により、パッチの光学濃度やドット径を計測して凝集処理剤の塗布量を制御したり、各色のパターンを測定してカラーレジを補正したり、先後端や幅方向のパターンを測定して倍率補正することで、倍率、歪みや位置ずれなどの品質を安定に保っている。
(制御系の説明)
図16は、インクジェット記録装置10のシステム構成を示す要部ブロック図である。インクジェット記録装置10は、通信インターフェース470、システムコントローラ472、メモリ474、ROM475、モータドライバ476、ヒータドライバ478、プリント制御部480、画像バッファメモリ482、ヘッドドライバ484、処理液塗布制御部501等を備えている。
通信インターフェース470は、ホストコンピュータ486から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース470にはUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。ホストコンピュータ486から送出された画像データは通信インターフェース470を介してインクジェット記録装置10に取り込まれ、一旦メモリ474に記憶される。
メモリ474は、通信インターフェース470を介して入力された画像を一旦格納する記憶手段であり、システムコントローラ472を通じてデータの読み書きが行われる。メモリ474は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
システムコントローラ472は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置10の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。すなわち、システムコントローラ472は、通信インターフェース470、メモリ474、モータドライバ476、ヒータドライバ478等の各部を制御し、ホストコンピュータ486との間の通信制御、メモリ474の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ488やヒータ489を制御する制御信号を生成する。
ROM475には、システムコントローラ472のCPUが実行するプログラム及び制御に必要な各種データなどが格納されている。なお、ROM475は、書換不能な記憶手段であってもよいし、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)のような書換可能な記憶手段であってもよい。メモリ474は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。
モータドライバ476は、システムコントローラ472からの指示にしたがってモータ488を駆動するドライバである。図16には、装置内の各部に配置されるモータを代表して符号488で図示されている。モータ488には、図1で説明した各圧胴40,86,216,306,326、渡し胴84,214,304,324,344、用紙押さえ44、ヒートローラ328aなど駆動するモータや、図2のスパイラルローラ48等を移動(圧胴から離間)させる移動機構のモータなどが含まれている。
ヒータドライバ478は、システムコントローラ472からの指示にしたがって、ヒータ489を駆動するドライバである。図16には、インクジェット記録装置10に備えられる複数のヒータを代表して符号489で図示されている。また、ヒータ489には、浸透抑制剤乾燥ユニット46、処理液乾燥ユニット204、溶媒乾燥ユニット308のヒータなどが含まれている。
プリント制御部480は、システムコントローラ472の制御に従い、メモリ474内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字データ(ドットデータ)をヘッドドライバ484に供給する制御部である。プリント制御部480において所要の信号処理が施され、該画像データに基づいて、ヘッドドライバ484を介してインクヘッド210のインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
プリント制御部480には画像バッファメモリ482が備えられており、プリント制御部480における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ482に一時的に格納される。なお、図16において画像バッファメモリ482はプリント制御部480に付随する態様で示されているが、メモリ474と兼用することも可能である。また、プリント制御部480とシステムコントローラ472とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
画像入力から印字出力までの処理の流れを概説すると、印刷すべき画像のデータは、通信インターフェース470を介して外部から入力され、メモリ474に蓄えられる。この段階では、例えば、RGBの画像データがメモリ474に記憶される。
インクジェット記録装置10では、インク(色材)による微細なドットの打滴密度やドットサイズを変えることによって、人の目に疑似的な連続階調の画像を形成するため、入力されたデジタル画像の階調(画像の濃淡)をできるだけ忠実に再現するようなドットパターンに変換する必要がある。そのため、メモリ474に蓄えられた元画像(RGB)のデータは、システムコントローラ472を介してプリント制御部480に送られ、該プリント制御部480において閾値マトリクスや誤差拡散法などを用いたハーフトーニング処理によってインク色ごとのドットデータに変換される。
すなわち、プリント制御部480は、入力されたRGB画像データをK,C,M,Yの4色のドットデータに変換する処理を行う。こうして、プリント制御部480で生成されたドットデータは、画像バッファメモリ482に蓄えられる。
ヘッドドライバ484は、プリント制御部480から与えられる印字データ(すなわち、画像バッファメモリ482に記憶されたドットデータ)に基づき、インクヘッド210の各ノズル281(図6参照)に対応するアクチュエータ(不図示)を駆動するための駆動信号を出力する。ヘッドドライバ484にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
ヘッドドライバ484から出力された駆動信号がヘッド210に加えられることによって、該当するノズル281からインクが吐出される。記録媒体14を所定の速度で搬送しながらインクヘッド210からのインク吐出を制御することにより、記録媒体14上に画像が形成される。
また、システムコントローラ472は、渡し胴84等による熱風乾燥と搬送ガイド150による静電吸着を制御する手段として機能し、送風機制御部492、渡し胴制御部494、搬送ガイド制御部498の動作を制御する。送風機制御部492は、渡し胴84,214,304,324,344における乾燥処理に用いる不図示の送風機とヒータの動作を制御する。
渡し胴制御部494は、図3に図示した噴射規制部材116の駆動機構を制御するとともに、ヒータ110の動作を制御する。搬送ガイド制御部498は、図1に図示した加熱手段156の動作を制御する。
システムコントローラ472は、センサ181及びセンサユニット182から得られる検出信号(測定情報)の時間変化を計測する時間変化計測演算部としての機能を担い、その演算結果にしたがって渡し胴制御部494等を制御する。また、システムコントローラ472は、浸透抑制剤塗布制御部502、溶媒乾燥制御部504、熱圧定着制御部506の動作を制御する。
図1の渡し胴304,324,344に具備されるセンサユニット182に含まれる反射型光学センサ(図10,11の受光素子521及び可視光源522を含む構成)は、記録媒体14の非画像部(図4のモニタ位置185)に打滴されたパッチを読み取るものであり、該光学センサによって読み取られたパッチの読取データは、システムコントローラ472に送られる。システムコントローラ472は、光学センサから読取データを取得すると、該読取データに基づいて浸透抑制剤の付与、処理液の付与、インク打滴を制御するように装置各部に指令信号を送出する。
さらに、本例のインクジェット記録装置10では、処理液を付与する手段としての処理液ヘッド202と、これを制御する処理液塗布制御部501を備えている。処理液塗布制御部501は、プリント制御部480から与えられる画像データに基づいて処理液ヘッド202を制御する。図2で説明した液体塗布装置42の場合、スパイラルローラ48についてのローラ当接/離間機構駆動手段、スパイラルローラ48の回転駆動手段、メインブレード当接/離間機構駆動手段、液体噴射部52の噴射圧を調整する精密可変レギュレータ等が処理液塗布制御部501により制御される。なお、処理液の塗布にインクジェット方式を適用する場合には、処理液ヘッド202のアクチュエータ(不図示)に印加される駆動信号を生成するとともに、該駆動信号をアクチュエータに印加してアクチュエータを駆動する駆動回路を含んで構成される。このように、画像データに応じて処理液を打滴する構成とし、印字部28によってインクが打滴される位置に対して、処理液を選択的に打滴する態様が好ましい態様である。なお、スプレーノズルを用いて一様に付与する態様も可能である。
浸透抑制剤塗布制御部502は、図2で説明した液体塗布装置42の場合、スパイラルローラ48についてのローラ当接/離間機構駆動手段、スパイラルローラ48の回転駆動手段、メインブレード当接/離間機構駆動手段、液体噴射部52の噴射圧を調整する精密可変レギュレータ等が浸透抑制剤塗布制御部502により制御される。
溶媒乾燥制御部504は、システムコントローラ472からの指示にしたがい溶媒乾燥部30における溶媒乾燥ユニット308の動作を制御する。
熱圧定着制御部506は、システムコントローラ472からの指示にしたがい熱圧定着部32におけるクリーニングユニット329の動作を制御するとともに、ファン332の動作を制御する。また、記録媒体種情報取得部(不図示)によって取得された記録媒体の種類情報に基づいて、図15(a)〜(c)を用いて説明したようにヒートローラ328aの動作を制御する。
システムコントローラ472には、排出部34に配置されるインラインセンサ348からチェックパターンや水分量、表面温度、光沢度などの計測結果のデータが入力される。
図15は、図10,11,14に図示したセンサユニット182のブロック図である。同図に示すように、赤外線センサ520により得られた検出信号(温度情報)は、信号処理部530によりノイズ除去、増幅、波形整形等の所定の信号処理が施され、接続部材534及び不図示の接点を介して図16のシステムコントローラ472に送られる。
システムコントローラ472は、図15の赤外線センサ520から出力された温度情報を取得すると、該温度情報に基づいて記録媒体14の温度を判断し、記録媒体14の温度に基づき渡し胴制御部494を介してヒータ110及び噴射規制部材116を制御するとともに、溶媒乾燥制御部504を介して、渡し胴304の後段の溶媒乾燥部30(溶媒乾燥ユニット308)の乾燥制御を行う。
すなわち、記録媒体14の温度が所定の温度設定範囲を超えている場合にはヒータ110や溶媒乾燥部30のIRヒータ310による加熱量を低くし、記録媒体14の温度が所定の温度設定範囲未満の場合にはヒータ110や溶媒乾燥部30のIRヒータ310による加熱量を高くする。
このように、記録媒体14の表面温度をモニタして加熱処理を行う各部の加熱制御をすることで、装置内外の温度変化や湿度変化、記録媒体14の種類の違いによるバラつき、記録媒体14に記録される画像の違い(記録媒体に打滴されるインク量の違い)に対して、安定した乾燥処理(加熱処理)を施すことが可能となる。
また、図15の受光素子521から出力された検出信号(濃度情報)は、信号処理部536及び接続部材534、接点(不図示)を介して、図16のシステムコントローラ472に送られる。
システムコントローラ472は、該濃度情報を取得すると、該濃度情報をプリント制御部480に送出する。プリント制御部480では、該濃度情報に基づきインク打滴量(インク吐出体積)の補正データもしくは画像データの補正データを生成し、該補正データに基づきヘッドドライバ484を介してヘッド210Y、210M、210C、210Kのインク打滴が制御される。
例えば、取得した濃度値(濃度情報)が所定の濃度値(濃度範囲)を超えている場合には、取得した濃度値と所定の濃度値の差分だけインク打滴量を減少させ、該濃度値が所定の濃度値未満の場合には、所定の濃度値と取得した濃度値の差分だけインク打滴量を増加させる。濃度測定値と打滴量補正値の関係を予めテーブル化して記憶しておき、該テーブルを参照して打滴量を補正する態様が好ましい。
可視光源522のオンオフ及び光量は、図16のシステムコントローラ472から送られる指令信号に基づき、光源ドライバ538により制御される。
かかる構成によれば、渡し胴304の記録媒体14の先端部を挟持するグリッパ87の近傍位置に記録媒体14の余白領域を検出するセンサユニット182を備えることで、記録媒体14の搬送とともにセンサユニット182も走行するので、記録媒体14上の所定の検出位置を連続的に監視することができる。
また、センサユニット182に温度センサ(赤外線センサ)520を備えることで、グリッパ87に挟持されている間の記録媒体14の温度を時間経過に対する履歴を取得することができ、記録媒体14の温度履歴に基づき、好ましい乾燥制御が可能となる。
また、温度センサ520には赤外線センサを適用するとともに、可視光線を用いた濃度センサをセンサユニット182に備えることで、記録媒体14上の同一の検出点において温度検出と光学濃度の検出を同時に行うことができ、乾燥制御と同時に打滴制御(打滴補正)も可能となる。
(インクジェット記録装置10の動作について)
このように構成されたインクジェット記録装置10の作用について説明する。
給紙トレイ36から供給された記録媒体14は、渡し胴38を介して、グリッパ(不図示)で浸透抑制処理部24の圧胴40の周面に給紙される。
なお、記録媒体14は、給紙トレイ36へ送られる前に、40〜50℃にプレヒートされた給紙部(不図示)に予めストックされている。そして、記録媒体14は、給紙トレイ36の給紙面に対向する位置に設けられた粘着ローラ37に接触しながら渡し胴38に供給される。このように、給紙部をプレヒートすることで記録媒体14が加熱乾燥され、記録媒体14を粘着ローラ37に接触させることで紙粉や塵埃などの異物除去が可能になり、浸透抑制剤塗布後の乾燥の高速化や安定化を図ることができる。
記録媒体14は、渡し胴38を介して、浸透抑制処理部24の圧胴40に保持され、液体塗布装置42によって所望領域に対して選択的に浸透抑制剤が付与される。その後、圧胴40に保持された記録媒体14は、用紙押さえ44により案内されつつ圧胴40の回転方向に送り出されながら、浸透抑制剤乾燥ユニット46によって加熱され、浸透抑制剤の溶媒成分(液体成分)が蒸発し、乾燥する。
こうして浸透抑制処理が行われた記録媒体14は、浸透抑制処理部24の圧胴40から渡し胴84を介して、処理液付与部26の圧胴86に受け渡される。渡し胴84では、搬送ガイド150により描画面非接触乾燥で浸透抑制剤を加熱乾燥させる。圧胴86に保持された記録媒体14は、処理液ヘッド202によって処理液が塗布される。その後、圧胴86に保持された記録媒体14は、処理液乾燥ユニット204によって加熱され、処理液の溶媒成分(液体成分)が蒸発し、乾燥する。これにより、記録媒体14上には固体状又は半固溶状の凝集処理剤層が形成される。
処理液が付与されて固体状又は半固溶状の凝集処理剤層が形成された記録媒体14は、処理液付与部26の圧胴86から渡し胴214を介して、印字部28の圧胴216に受け渡される。渡し胴214では、搬送ガイド150による描画面非接触乾燥で浸透抑制層上に酸を残留させる。圧胴216に保持された記録媒体14には、入力画像データに応じて、各インクヘッド210K、210C、210M、210Yからそれぞれ対応する色インクが打滴される。
凝集処理剤層上にインク液滴が着弾すると、飛翔エネルギーと表面エネルギーとのバランスにより、インク液滴と凝集処理剤層との接触面が所定の面積にて着弾する。インク液滴が凝集処理剤上に着弾した直後に凝集反応が始まるが、凝集反応はインク液滴と凝集処理剤層との接触面から始まる。凝集反応は接触面近傍のみで起こり、インク着弾時における所定の接触面積で付着力を得た状態でインク内の色材が凝集されるため、色材移動が抑止される。
このインク液滴に隣接して他のインク液滴が着弾しても先に着弾したインクの色材は既に凝集化しているので後から着弾するインクとの間で色材同士が混合せず、ブリードが抑止される。なお、色材の凝集後には、分離されたインク溶媒が広がり、凝集処理剤が溶解した液体層が記録媒体14上に形成される。
インクが付与された記録媒体14は、印字部28の圧胴216から渡し胴304を介して、溶媒乾燥部30の圧胴306に受け渡される。渡し胴304では、搬送ガイド150により記録媒体14の描画面を非接触で乾燥させる。圧胴306では、溶媒乾燥ユニット308による赤外線の照射や熱風の送風により水分を十分に除去する。
その後記録媒体14は、溶媒乾燥部30の圧胴306から渡し胴324を介して、熱圧定着部32の圧胴326に受け渡される。渡し胴324においても渡し胴304と同様の乾燥処理が行われる。そして、不図示の加熱手段により加熱された圧胴326に受け渡された記録媒体14に対し、ヒートローラ328aにより加圧して熱圧することにより、画像を記録媒体14に定着させるとともに、熱圧定着処理を施す。
その後記録媒体14は、熱圧定着部32の圧胴326から渡し胴844を介して、排出部34の排出トレイ346に受け渡され、機外へ排出される。渡し胴344は不図示の加熱手段により加熱され、さらに高沸点溶媒の浸透促進と記録媒体14のカールの矯正をする。
なお、図示は省略するが、図1で説明した溶媒乾燥部30に配置されている圧胴306とその前後の渡し胴304,324の代わりにチェーンによる搬送手段を採用する形態も可能である。
かかる形態の一例を挙げると、チェーンは記録媒体14を咥えるためのグリッパを有し、これを駆動するためのスプロケットに巻き掛けられる構成が挙げられる。チェーンの搬送路内には、熱風噴射器が配設され、チェーンの搬送面と対向する位置には、記録媒体14の裏面を静電吸着する吸着ガイドが配置されている。
この吸着ガイドは、図3で説明した搬送ガイド150と類似の構成とすると、搬送ガイド150と同様の役割を果たす。チェーンのグリッパで記録媒体14を搬送し、これと対向配置した吸着ガイドで記録媒体14を静電吸着しながら、熱風噴射器から熱風を噴射して乾燥を行う。なお、熱風噴射器に代えて、又はこれと組み合わせて、図1で説明した溶媒乾燥ユニット308と同様の乾燥ユニットを用いて加熱乾燥してもよい。この場合も、図1で説明した実施形態に係るインクジェット記録装置と同様の効果が得られるほか加熱部の簡素化が図れるため、インクの色数が少ないなど乾燥量が少ない場合に好適である。
(各液の調整)
次に上述した実施形態に係るインクジェット記録装置10に用いられる各液の調整例について説明する。
(1)浸透抑制剤の調整
[化1]に示す構造の分散安定用樹脂〔Q−1〕10g、酢酸ビニル100g及びアイソパーH(エクソン社商品名)384gの混合溶液を窒素気流下攪拌しながら温度70℃に加温した。
Figure 0005152997
重合開始剤として2,2′−アゾビス(イソバレロニトリル)(略称A.I.V.N.)0.8gを加え、3時間反応した。開始剤を添加して20分後に白濁を生じ、反応温度は88℃まで上昇した。さらに、該開始剤を0.5g加え、2時間反応した後、温度を100℃に上げ2時間攪拌し未反応の酢酸ビニルを留去した。冷却後200メッシュのナイロン布を通し、得られた白色分散物は重合率90%で平均粒径0.23μmの単分散性良好なラテックスであった。粒径はCAPA−500(堀場製作所(株)製)で測定した。
上記白色分散物の一部を遠心分離機(回転数1×104 r.p.m.、回転時間60分)にかけて、沈降した樹脂粒子分を補集、乾燥し、該樹脂粒子分の重量平均分子量(Mw)とガラス転移点(Tg)、最低造膜温度(MFT)を測定したところ、Mwは2×105 (ポリスチレン換算GPC値)、Tgは38℃、MFTは28℃であった。
(2)凝集処理剤の調整
(処理液T−1の調整)
下表2の組成にて処理液を調整し、得られた反応液の物性値を測定した結果、粘度4.9mPa・s、表面張力24.3mN/m、pH1.5であった。
Figure 0005152997
これらの凝集処理剤を用いることで、ヘッドの吐出性や記録媒体の濡れに優れた凝集処理剤の付与が可能となる。
(3)インクの調整
(ポリマー分散剤P−1の調製)
攪拌機、冷却管を備えた1000mlの三口フラスコにメチルエチルケトン88gを加え窒素雰囲気下で72℃に加熱し、ここにメチルエチルケトン50gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.85g、ベンジルメタクリレート60g、メタクリル酸10g、メチルメタクリレート30gを溶解した溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間反応した後メチルエチルケトン2gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.42gを溶解した溶液を加え、78℃に昇温し4時間加熱した。得られた反応溶液は大過剰量のヘキサンに2回再沈殿し、析出した樹脂を乾燥してポリマー分散剤P−1を96g得た。
得られた樹脂の組成は1H−NMRで確認し、GPC(Gel Permeation Chromatography)より求めた重量平均分子量(Mw)は44600であった。さらに、JIS規格(JISK0070:1992)記載の方法により、このポリマーの酸価を求めたところ、65.2mgKOH/gであった。
(シアン分散液の調製)
ピグメントブルー15:3(大日精化株式会社製 フタロシアニンブル−A220)を10部と、上記で得られたポリマー分散剤P−1を5部と、メチルエチルケトンを42部と、1mol/L NaOH水溶液を 5.5部と、イオン交換水87.2部とを混合し、ビーズミルで0.1mmΦジルコニアビーズを使い、2〜6時間分散した。
得られた分散物を減圧下55℃でメチルエチルケトンを除去し、さらに一部の水を除去することにより、顔料濃度が10.2質量%のシアン分散液を得た。
上記のようにして、色材としてのシアン分散液を調液した。
上記で得られた色材(シアン分散液)を用いて、下記インク組成(表3)となるようにインクを調液し、調液後5μmフィルターで粗大粒子を除去し、インクC1−1を調整した。得られたインクC1−1の物性値を測定した結果、pH 9.0、表面張力32.9mN/m 粘度3.9mPa・sであった。
Figure 0005152997
同様にして、Magenta、Yellow、Blackのインクも調液した。
(4)添加ポリマー
前述の凝集処理剤やインクには、適宜ポリマー樹脂などの粒子を添加する。凝集処理剤には光沢調整用として、また、インクには画像固定用として粒径1μm以下、最低造膜温度28〜50℃、ガラス転移点40〜80℃の粒子を1〜8%入れるのが好ましい。
Figure 0005152997
なお、上述した各液の調整及び処方はあくまでも一例であり、適宜変更することが可能である。
上記の如く構成された熱圧定着処理によれば、熱圧定着手段として機能するヒートローラ328aを上下方向に移動させて、ヒートローラ328aを圧胴326に保持された記録媒体14に対して付勢及び離間の切り換え可能に構成し、マットコート紙などの圧力を付与せずに熱圧定着処理を行う記録媒体14が用いられるときには、ヒートローラ328aを記録媒体14から離間させるので、低光沢紙の表面光沢が安定する。
また、ヒートローラ328aを記録媒体14から離間させて、圧力を付与せずに熱圧定着処理を行うときは、ヒートローラ328aを記録媒体14に付勢させるときに比べてヒートローラ328aの温度設定を高くし、ヒートローラ328aの輻射熱により記録媒体14上のインクの乾燥固定性が確保される。
さらに、ヒートローラ328aの媒体搬送方向下流側から上流側に向かってファン332によりエアを噴射するので、ヒートローラ328aが記録媒体14から離間しているときにはヒートローラ328aと記録媒体14との間を熱風が通過することでインクの乾燥が促進されるとともに、記録媒体14の浮きが抑制される。ヒートローラ328aが記録媒体14に付勢しているときにはヒートローラ328aと記録媒体14の接触部分にエアが噴射され、ヒートローラ328aの離型性が向上する。
さらにまた、圧力を付与して熱圧定着処理を行うときのヒートローラ328aは、記録媒体14の画像形成部の手前で付勢させ、画像形成部を通過した後に離間させるので、圧力を付与して熱圧定着処理を行う場合にも、画像ごとにエア抜きや付勢ひずみの開放が可能であり、ヒートローラ328aの近傍の温度及び湿度の変化が抑えられ、離型性、乾燥固定性、付勢安定性が一段と向上する。
一方、圧力を付与せずに熱圧定着処理を行うときのヒートローラ328aは、画像形成部を通過した後に付勢させ、グリッパの直前で離間させるので、ヒートローラ328aを間欠的に回動させることができ、ヒートローラ328aにおける局部的な加熱(ファン332からのエアが同じ場所にあたることによる局部的な冷却)が抑制され、熱の利用効率が向上する。
(応用例)
次に、上述した実施形態に係る応用例について説明する。
本応用例に係る熱圧定着処理は、熱圧定着処理の前後で記録媒体14の余白部分のモニタ位置185(図4参照)に形成されたパッチの温度及び反射濃度を、記録媒体14の移動に同期して計測し、計測結果に基づいて熱圧定着処理における温度及び加圧圧力(ニップ圧)を制御するように構成されている。
また、図11に図示した反射型光学センサの受光素子521の受光角度及び可視光源522の照射角度を変更可能に構成することで、該反射型光学センサは光沢度を計測する手段(光沢度計)として使用でき、反射濃度に代わり光沢度を計測することが可能である。
すなわち、受光素子521及び可視光源522、レンズ525,526を移動させ移動機構を備え、測定条件に応じて受光素子521及び可視光源522、レンズ525,526を移動させて光沢度を測定する。
図18(a)は測定面の法線に対する角度が20°の場合であり、一般に光沢度の高いものの計測に用いられる態様である。また、図18(b)は測定面の法線に対する角度が60°の場合であり、光沢度が低い場合に用いられるものである。さらに、45°,75°,80°といった20°〜80°の角度に適宜調整できるように構成することで、ユーザに合わせた幅広い光沢度の測定が可能である。
上述した光沢度計を渡し胴324及び渡し胴344のセンサユニット182に適用し、熱圧定着処理の前後における光沢度を計測し、計測結果を熱圧定着処理にフィードバックすることで、光沢度制御をより高精度に行うことが可能となる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態として、2つのヒートローラ328a,328bを備える熱圧定着部32’(第二例)について説明する。
図19は、第2実施形態に係る熱圧定着部32’の概略構成図である。なお、図19に示す熱圧定着部32’の構成は、ヒートローラ328b、クリーニングユニット329b、ファン332b、スターホイル330bを備える点以外は図12(a),(b)に示す熱圧定着部32と共通している。また、ヒートローラ328b、クリーニングユニット329b、ファン332b、スターホイル330bは、図19のヒートローラ328a、クリーニングユニット329a、ファン332a、スターホイル330aと共通する機能及び形態を有している。なお、図19では図12のヒートローラ328、クリーニングユニット329、ファン332、スターホイル330をそれぞれ、ヒートローラ328a、クリーニングユニット329a、ファン332a、スターホイル330aとして図示した。
図12(a),(b)に示す1つのヒートローラ328aによる熱圧定着処理では、処理時間が不足することがあり、この処理時間の不足を補うためにヒートローラ328bをさらに備える構成とした。図19に示す2つのヒートローラ328a,328bを備える構成において、ヒートローラ328a,328bを個別に制御可能とすることで、より高精度の熱圧定着処理を実現している。
例えば、媒体搬送方向上流側では下流側に比べてインク等の乾燥及び浸透が進んでいないので熱圧定着処理を相対的に弱くし、一方、下流側ではインク等の乾燥及び浸透が進んでいるので熱圧定着処理を相対的に強くすることができる。すなわち、インク等の浸透及び乾燥の進行に合わせて温度を上げ、かつ、圧力を高くすることで画像へのダメージを最小限に抑えつつ、効率のよい熱圧定着処理を行うことができる。
下記〔表5〕には、ゴム表面にPFAなどを被覆した平滑面を有するヒートローラ328a,328bの構成例及び設定例を示す。ヒートローラ328aのゴム硬度(15〜35°)に対してヒートローラ328bのゴム硬度(15〜70°)を大きくし、ヒートローラ328aの表面温度の設定(60〜80℃)に対してヒートローラ328bの表面温度の設定(80〜100℃)を高くし、かつ、ヒートローラ328aのニップ圧の設定(0.05〜0.2MPa)に対してヒートローラ328bのニップ圧の設定(0.2〜0.3MPa)を高くする。
下記〔表6〕は、記録媒体14の種類とヒートローラ328a,328bの付勢制御及び離間制御を一覧表形式で示した。同図における「on」は付勢を意味し、「off」は離間を意味している。
Figure 0005152997
Figure 0005152997
組み合わせNo.1はマットコート紙、再通紙光沢処理、メンテナンス、エラー処理の場合であり、ヒートローラ328a,328bとも「off」である。「再通紙光沢処理」とは、圧力を付与した定着処理に耐えられない記録画像について行う処理であり、ヒートローラ328a,328bを離間させた状態で通紙して軽く定着をかけたのちに再通紙する処理である。また、「メンテナンス」とはヒートローラ328a,328bのメンテナンスを行う場合である。「エラー処理」とは乾燥不良などにより熱圧定着処理を行わないで記録媒体を通過させる場合である。
組み合わせNo.2はグロスコート紙の中光沢処理の場合であり、ヒートローラ328aは「off」、ヒートローラ328bは「on」である。すなわち、組み合わせNo.2は低温で弱い圧力を付与して光沢調整を行う場合である。
組み合わせNo.3はグロスコート紙の低光沢処理やマットコート紙の場合であり、ヒートローラ328aは「on」、ヒートローラ328bは「off」である。組み合わせNo.3は組み合わせNo.2よりも高温で強い圧力を付与して光沢調整を行う場合である。
組み合わせNo.4はグロスコート紙の高光沢処理の場合であり、ヒートローラ328a,328bとも「on」である。すわわち、高温で高い圧力を付与して光沢調整を行う場合である。
上記〔表5〕に示す温度設定及びニップ圧や〔表6〕に示すヒートローラ328a,328bのオンオフを記録媒体14の種類と関連付けして所定のメモリに記憶しておき、該メモリを参照しながら記録媒体14の種類の情報に応じて温度、ニップ圧、ヒートローラ328a,328bオンオフ制御が行われる。
なお、上記組み合わせNo.1〜No.4をユーザが嗜好に応じて自由に設定することができるようにユーザインターフェース(タッチパネル式モニタ装置やキーボード、マウス、ジョイスティックなど)を備える態様も好ましい。
また、本例においても図15(a)〜(c)に図示したヒートローラ328aの付勢制御及び離間制御が適用される。
上述した第2実施形態によれば、複数のヒートローラを備えるとともに、それぞれが独立して付勢及び離間の制御が可能に構成し、かつ、媒体搬送方向の下流側に比べて上流側の温度、圧力、平滑度(ヒートローラの表面のゴム硬度)の少なくともいずれか1つの条件を小さくすることで、インク等の乾燥及び定着の進行に見合った適切な付勢により、ローラオフセットなどの不具合を回避し得る。また、複数のヒートローラの制御を組み合わせることで、記録媒体の種類やユーザの嗜好に見合った光沢設定(光沢調整)が可能となる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態として、3つのヒートローラ328a,328b,328cを備える熱圧定着部32”(第三例)について説明する。
図20は、第3実施形態に係る熱圧定着部32”の概略構成図である。なお、図20に示す熱圧定着部32”の構成は、ヒートローラ328c、クリーニングユニット329c、ファン332c、スターホイル330cを備える点以外は図19に示す熱圧定着部32’と共通している。
図20に示す熱圧定着部32”によれば、図12(a),(b)や図19に示す態様よりもさらに制御のバリエーションが豊富であり、記録媒体14に応じた適切な表面光沢を得ることが可能である。
具体的には、圧胴326の回転方向(図20において反時計回り方向)に関して上流側から順に、圧胴326の周面に対向する位置に、温度及び圧力を低めに設定したヒートローラ328a、温度及び圧力を中程度に設定したヒートローラ328b、さらに、温度及び圧力を高めに設定したヒートローラ328cが設けられている。各ヒートローラ328a,328b,328cのそれぞれの近傍には、媒体搬送方向の下流側から上流側に向かって記録媒体14へエアの噴きつけが可能なファン332a,332b,332cが設けられている。
また、各ヒートローラの温度や圧力はローラオフセットなどのダメージや色材固定性、光沢度から設定されることが好ましく、下の〔表7〕に設定の一例を示す。
Figure 0005152997
ヒートローラ328a,328b,328cの圧胴326へのニップ(on)、圧胴326からの離間(解除)(off)の組む合わせ例を〔表8〕に示す。
Figure 0005152997
記録媒体14が広幅(B4〜菊半:542〜636mm)のグロスコート紙の高光沢処理の場合には(表8の組み合わせNo.4)、ヒートローラ328bと328cをニップし、ヒートローラ328aは不図示の移動機構により圧胴326から離間して100〜180℃に加熱する。この状態で記録媒体14を搬送することで表面が平滑化されて光沢度が高まり、熱圧により画像を確実に記録媒体14に定着させることができる。ヒートローラの温度や圧力をインク溶媒の記録媒体14への浸透進行に合わせて設定してあるので、ヒートローラへのインク付着などの不具合(ローラオフセット)も低減できる。
また、ファン332a〜332cを用いて媒体搬送方向下流側から各ヒートローラ328a〜328cを介して記録媒体14に空気を噴射することで、ニップしたヒートローラ328b,328cの離型性を向上させ、離間したヒートローラ328aでインクの乾燥固定を促進し用紙の浮きも低減している。
画像部直前(図15参照)でニップしたヒートローラ328b,328cは非画像部で離間させることでグリッパとの干渉を防止し、噴射された空気を逃がしてヒートローラ328b,328c近傍の温度及び湿度を安定にする。また、離間したヒートローラ328aは用紙後端の非画像部でニップすることでヒートローラ328aが回動し、ヒートローラ328aの局部加熱を防止して熱の利用効率も改善している。更に、絵柄(文字画像など)や嗜好などで光沢度を下げたい場合や広幅のグロスマットコート紙を使用する場合には(表8の組み合わせNo.1)、ヒートローラ328b及びヒートローラ328cのいずれかをニップし(表8の組み合わせNo.2,3)、マットコート紙、微塗工紙ではすべてのヒートローラ328a〜328cを離間させる。
また、記録媒体14が狭幅紙(A4〜菊4:440〜469mm)の場合には(組み合わせNo.3,5)、ヒートローラ328aと328bのニップで熱圧定着処理を行い(〔表8〕の組み合わせNo.7)、光沢度を下げたい場合やグロスマットコート紙ではヒートローラ328a及びヒートローラ328bのいずれかをニップする。
また、厚紙のグロスコート紙などで上記の設定では光沢度が不足する場合は(〔表8〕の組み合わせNo.6,8)、ヒートローラの組み合わせを変えて対応する。装置のメンテナンスのほか、記録媒体14の乾燥不良などのエラー処理にも(〔表8〕の組み合わせNo.1)、すべてのヒートローラ328a,328b,328cを圧胴326からの離間させることでヒートローラへのインク付着を防止できる。塗工層が薄く弱くて直後定着が難しい記録媒体布はすべてのヒートローラを離間して通紙し、時間経過で固定性が高まってから処理液やインクを付与せずに通紙して、ヒートローラで熱圧定着処理を行うことも可能である。
上述した第3実施形態によれば、媒体搬送方向上流側ほど温度、圧力、平滑度のうちいずれかを低く設定した3つのヒートローラ328a,328b,328cを備え、広幅紙を使用する場合は媒体搬送方向下流側の2つのヒートローラ328a,328bを付勢させ、狭幅紙(広幅紙の70%程度の幅の用紙)を使用する場合は媒体搬送方向上流側の2つのヒートローラ328b,328cを付勢させることで、幅違いの記録媒体を使用する場合にも安定した熱圧定着処理(光沢調整)を施すことができ、一段と強い熱圧定着処理にも対応可能である。
また、熱圧定着処理(光沢調整)のバリエーションが増えることで、多種多様な記録媒体やユーザの嗜好に対応することができる。
本発明に係る実施形態として、インクに含有する着色剤を凝集(または、不溶化)させる機能を持つ処理液とインクを反応させて画像を形成する装置構成について説明したが、本発明は、処理液を用いずにインクを記録媒体に固定する装置構成にも適用可能である。
以上、本発明のインクジェット記録装置、定着処理方法を詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
<付記>
上記に詳述した発明の実施形態についての記載から把握されるとおり、本明細書は少なくとも以下に示す発明を含む多様な技術思想の開示を含んでいる。
(発明1):所望の画像が画像形成部に記録された記録媒体を所定の搬送方向へ搬送する搬送手段と、前記記録媒体の搬送路に設けられ、前記記録媒体の画像形成面に加熱処理及び加圧処理を施す熱圧定着手段と、前記熱圧定着手段の前記記録媒体に対する付勢及び離間を切り換える切換手段と、前記熱圧定着手段による熱圧定着処理において、前記記録媒体の画像形成部に圧力を付与しない非加圧処理の場合には、前記記録媒体と前記熱圧定着手段とを離間させるように前記切換手段を制御する切換制御手段と、前記熱圧定着手段による熱圧定着処理において、前記非加圧処理の場合に前記記録媒体の画像形成部に圧力を付与する加圧処理の場合よりも前記熱圧定着手段の温度を高く設定する温度設定手段と、を備えたことを特徴とする定着処理装置。
本発明によれば、圧力を付与しない非加圧処理の場合に、熱圧定着手段を記録媒体から離間させることで画像(例えば、低光沢紙の塗工層)のダメージが低減され、当該画像表面の光沢が安定する。また、非加圧処理の場合に温度設定を上げることで輻射熱により画像の乾燥及び固定も確実に行われる。さらに、乾燥不良による熱圧定着手段の汚れが防止される。
「記録媒体」は、印字媒体、被画像形成媒体、被記録媒体、受像媒体などと呼ばれる場合がある。また、記録媒体は、その媒体に直接描画する場合に限らず、一旦、中間転写体に一次画像を形成した後に、これを転写して用紙等に画像(二次画像)を記録する場合の中間転写体も「記録媒体」の概念に含まれ得る。記録媒体の形態や材質については、特に限定されず、枚葉紙(カット紙)、シール用紙、連続用紙、OHPシート等の樹脂シート、フイルム、布、配線パターン等が形成されるプリント基板、ゴムシート、金属シート、その他材質や形状を問わず、様々な媒体を含む。
記録媒体と熱圧定着手段とを相対的に移動させる搬送手段は、停止した(固定された)熱圧定着手段に対して記録媒体を搬送する態様、停止した記録媒体に対して熱圧定着手段を移動させる態様、或いは、熱圧定着手段と記録媒体の両方を移動させる態様の何れをも含む。
(発明2):発明1に記載の定着処理装置において、前記熱圧定着手段の前記搬送手段の搬送方向下流側に設けられ、前記記録媒体に向けて空気を噴射する噴射手段を備えたことを特徴とする。
かかる態様によれば、非加圧処理のときは、記録媒体と熱圧定着手段の間に空気が噴射され、画像の乾燥を促進するとともに記録媒体の浮きが防止される。また、加圧処理のときは、記録媒体と熱圧定着手段の接触部に空気は噴射され、記録媒体の離型性が向上する。
(発明3):発明1又は2に記載の定着処理装置において、前記切換制御手段は、前記非加圧処理の場合に前記搬送手段の搬送路上における前記熱圧定着手段が記録媒体に接触する接触位置を前記画像形成部が通過した直後に前記熱圧定着手段を前記記録媒体に付勢させるように前記切換手段を制御することを特徴とする。
かかる態様によれば、噴射手段から噴射される空気の流れが熱圧定着手段に局部的に当たることがなく、熱圧定着手段の局部的な加熱(冷却)が抑制され、熱の利用効率の向上が見込まれる。また、記録媒体の後端部の浮きが抑制される。
(発明4):発明3に記載の定着処理装置において、前記切換制御手段は、前記非加圧処理の場合に前記接触位置を前記記録媒体の後端部が通過してから次の記録媒体の先端部が前記接触位置に到達するまでに前記記録媒体から前記熱圧定着手段を離間させるように前記切換手段を制御することを特徴とする。
かかる態様によれば、次の記録媒体(次の記録媒体の先端部を保持する保持部材)と熱圧定着手段との干渉が防止される。
(発明5):発明1乃至4のいずれか1項に記載の定着処理装置において、前記切換制御手段は、前記切換制御手段は、少なくとも記録媒体に微塗工紙及びマットコート紙を用いる場合は前記記録媒体と前記熱圧定着手段とを離間させるように前記切換手段を制御することを特徴とする。
かかる態様によれば、加圧によるダメージが懸念される種類の記録媒体に対して、好ましい熱圧定着処理(光沢調整)が施される。
(発明6):発明1乃至5のいずれか1項に記載の定着処理装置において、前記熱圧定着手段は、画像に使用されている液体にポリマー粒子が含有されている場合に、前記ポリマー粒子の最低造膜温度以上の温度を前記記録媒体に付与することを特徴とする。
かかる態様によれば、ポリマー粒子が皮膜化され、好ましい光沢を得ることができ、画像の固定性も向上する。
(発明7):発明1乃至6のいずれか1項に記載の定着処理装置において、前記熱圧定着手段は、画像に使用されている液体にポリマー粒子が含有されている場合に、前記ポリマー粒子のガラス転移点以上の温度を前記記録媒体に付与することを特徴とする。
かかる態様によれば、ポリマー粒子の皮膜化が一層と進行し、画像に使用されている液体の固定性が一段と向上する。
(発明8):発明1乃至7のいずれか1項に記載の定着処理装置において、前記切換制御手段は、前記加圧処理の場合に前記搬送手段の搬送路上における前記熱圧定着手段が記録媒体に接触する接触位置に前記記録媒体の画像が記録される画像記録領域が到達する直前に前記熱圧定着手段を前記記録媒体に付勢させるとともに、前記画像記録領域が前記接触位置を通過した直後に前記記録媒体から前記熱圧定着手段を離間させるように前記切換手段を制御することを特徴とする。
(発明9):発明1乃至8のいずれか1項に記載の定着処理装置において、前記搬送手段の搬送路に沿って2つ以上の前記熱圧定着手段を備え、前記搬送手段の搬送方向上流側の熱圧定着手段の温度、加圧圧力、平滑度の少なくともいずれかが下流側よりも低くなるように温度、加圧圧力、平滑度の設定を行う設定手段と、前記複数の熱圧定着手段のそれぞれについて独立して前記記録媒体との離間及び接触を切り換えるように前記切換手段を制御する切換制御手段と、を備えたことを特徴とする。
かかる態様によれば、画像の乾燥及び固定の進行に合わせて熱圧定着処理が行われるように、温度、加圧圧力、平滑度が設定され、かつ、記録媒体に対する熱圧定着手段の付勢及び離間が制御されるので、熱圧定着による画像へのダメージが低減される。また、複数の熱圧定着手段を組み合わせることで、記録媒体の種類やユーザの嗜好に応じた光沢調整が可能である。
平滑度は、熱圧定着手段と記録媒体との接触面にPAFなどを被覆した平滑面における硬度を含む。
例えば、記録媒体搬送方向上流側の熱圧定着手段の温度を下流側よりも低くする態様、上流側の加圧圧力を下流側よりも低くする態様、上流側の平滑度を下流側よりも低く(粗く)する態様を適宜組み合わせることが可能である。
(発明10):発明1乃至9のいずれかに記載の定着処理録装置において、前記搬送手段の搬送路に沿って3つ以上の前記熱圧定着手段を備え、前記切換制御手段は、狭幅の記録媒体が使用された場合には前記搬送手段の搬送方向上流側の側2つの熱圧定着手段のうちいずれかを使用し、広幅の記録媒体が使用された場合には前記搬送手段の搬送方向下流側の側2つの熱圧定着手段のうちいずれかを使用するように前記切換手段を制御することを特徴とする。
かかる態様によれば、記録媒体の幅(搬送方向と直交する方向の長さ)が異なる場合にも、適切な圧力を付与することでき、好適な熱圧定着処理が可能である。
例えば、「狭幅」を対応可能な全幅の60%〜80%とし、「広幅」を対応可能な全幅の60%〜80%とする態様がある。
(発明11):発明1乃至10のいずれか1項に記載の定着処理装置において、前記記録媒体の余白部分に形成されたパッチを読み取る読取手段と、前記読取手段の読取結果に基づいて、前記熱圧定着手段による加熱処理及び加圧処理の前後における前記記録媒体の温度を計測する温度計測手段と、前記読取手段の読取結果に基づいて、前記熱圧定着手段による加熱処理及び加圧処理の前後における前記記録媒体の反射濃度を計測する反射濃度計測手段と、を備え、前記温度設定手段は、前記熱圧定着手段による加圧処理の有無及び前記温度計測手段の計測結果に基づいて前記熱圧定着手段の温度を設定するか、あるいは前記熱圧定着手段による加圧処理の有無及び前記反射濃度計測手段の計測結果に基づいて前記熱圧定着手段の温度、加圧圧力のいずれかを設定することを特徴とする。
かかる態様によれば、画像によらず安定した温度と反射濃度のモニタが可能である。
記録媒体上の一ヶ所について温度及び反射濃度をモニタすると、より高精度の光沢調整が可能である。
かかる態様において、反射濃度に代わり光沢度を計測する態様も好ましい。
(発明12):発明1乃至11のいずれか1項に記載の定着処理装置において、前記熱圧定着手段は、ヒートローラを含むことを特徴とする。
かかる態様におけるヒートローラは、記録媒体と接触した状態で記録媒体の移動に応じて従動回転する構造が好ましい。
ヒートローラを記録媒体に接触させずに熱圧定着処理を行う態様において、画像部がヒートローラの直下を通過した後にヒートローラを記録媒体に接触させてヒートローラを回転させることで、ヒートローラの局部的な加熱状態を抑制することができ、熱の利用効率の向上が見込まれる。
(発明13):発明1乃至12のいずれかに記載の定着処理装置において、前記搬送手段は、前記熱圧定着手段の処理領域において周面に前記記録媒体を保持した状態で搬送する圧胴と、前記圧胴へ前記記録媒体を受け渡す渡し胴と、を含むことを特徴とする。
渡し胴における記録媒体の端部を保持する保持部材に発明6に係る温度計測手段及び反射濃度計測手段を備える態様が好ましい。
(発明14):記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の定着処理装置と、を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
本発明における画像形成手段の一例として、インクを吐出するインクジェットヘッドを含み、さらに、インクと反応してインクを記録媒体に定着させる機能を有する処理液を記録媒体に付与する処理液付与手段や、処理液及びインクの記録媒体への浸透を抑制する機能を有する浸透抑制剤を記録媒体に付与する浸透抑制剤付与手段を備える態様が挙げられる。
インクジェットヘッドを用いてカラー画像を形成する場合は、複数色のインク(記録液)の色別にヘッドを配置してもよいし、1つのヘッドから複数色のインクを吐出可能な構成としてもよい。
(発明15):発明14に記載のインクジェット記録装置において、前記画像形成手段は、ポリマー粒子を含有する液体を用いて前記記録媒体に画像を形成することを特徴とする。
かかる態様における液体の一例を挙げると、ラテックスを含有するインクが挙げられる。
(発明16):所望の画像が画像形成部に記録された記録媒体を所定の搬送方向へ搬送する搬送工程と、前記記録媒体の搬送路に沿って設けられた熱圧定着手段により前記記録媒体の画像形成面に加熱処理及び加圧処理を施す熱圧定着工程と、を含み、前記熱圧定着工程は、前記記録媒体の画像形成部に圧力を付与しない非加圧処理の場合には、前記記録媒体と前記熱圧定着手段とを離間させ、かつ、前記記録媒体の画像形成部に圧力を付与する加圧処理の場合よりも前記熱圧定着手段の温度を高く設定することを特徴とする定着処理方法。
本発明において、前記非加圧処理の場合に前記記録媒体に付与される熱量が前記加圧処理の場合と均一になるように熱圧定着工程における温度を設定する態様が好ましい。
本発明に係る定着処理方法は、液体を用いて画像が形成された記録媒体の処理装置に好適である。また、液体を用いて記録媒体に画像を形成する画像形成装置への適用も可能である。
本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成図 浸透抑制剤塗布部に適用される液体塗布装置の構成例を示す構成図 図1の浸透抑制処理部における渡し胴の構造を示す断面図 センサによるモニタ位置の例を示す図である。 センサにて測定される記録媒体の表面温度の時間変化を示すグラフ インクヘッドの構成例を示す平面透視図 ヘッドの他の構成例を示す平面図 図1の溶媒乾燥部の拡大図 圧胴の概略斜視図 図9の一部拡大図 図9に示すセンサユニットの構成例を示す図 図1に示す熱圧定着部の構成例を示す図 本例に示す非加圧処理による熱圧定着処理の効果を説明する図 本例に示す加圧処理による熱圧定着処理の効果を説明する図 図12に示すヒートローラの付勢制御、離間制御の説明図 インクジェット記録装置のシステム構成を示すブロック図 図10に示すセンサユニットの構成を示すブロック図 応用例に係るセンサユニットの構成例を示す図 本発明の第2実施形態に係る熱圧定着部の構成図 本発明の第3実施形態に係る熱圧定着部の構成図
10…インクジェット記録装置、14…記録媒体、32…熱圧定着部、87…グリッパ、182…センサユニット、324,344…渡し胴、326…圧胴、328a〜c…ヒートローラ、332a〜c…ファン、506…熱圧定着制御部

Claims (16)

  1. 所望の画像が画像形成部に記録された記録媒体を所定の搬送方向へ搬送する搬送手段と、
    前記記録媒体の搬送路に設けられ、前記記録媒体の画像形成面に加熱処理及び加圧処理を施す熱圧定着手段と、
    前記熱圧定着手段の前記記録媒体に対する付勢及び離間を切り換える切換手段と、
    前記熱圧定着手段による熱圧定着処理において、前記記録媒体の画像形成部に圧力を付与しない非加圧処理の場合には、前記記録媒体と前記熱圧定着手段とを離間させるように 前記切換手段を制御する切換制御手段と、
    前記熱圧定着手段による熱圧定着処理において、前記非加圧処理の場合に前記記録媒体の画像形成部に圧力を付与する加圧処理の場合よりも前記熱圧定着手段の温度を高く設定する温度設定手段と、
    を備えたことを特徴とする定着処理装置。
  2. 請求項1に記載の定着処理装置において、
    前記熱圧定着手段の前記搬送手段の搬送方向下流側に設けられ、前記記録媒体に向けて空気を噴射する噴射手段を備えたことを特徴とする定着処理装置。
  3. 請求項1又は2に記載の定着処理装置において、
    前記切換制御手段は、前記非加圧処理の場合に前記搬送手段の搬送路上における前記熱圧定着手段が記録媒体に接触する接触位置を前記画像形成部が通過した直後に前記熱圧定着手段を前記記録媒体に付勢させるように前記切換手段を制御することを特徴とする定着処理装置。
  4. 請求項3に記載の定着処理装置において、
    前記切換制御手段は、前記非加圧処理の場合に前記接触位置を前記記録媒体の後端部が通過してから次の記録媒体の先端部が前記接触位置に到達するまでに前記記録媒体から前記熱圧定着手段を離間させるように前記切換手段を制御することを特徴とする定着処理装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の定着処理装置において、
    前記切換制御手段は、少なくとも記録媒体に微塗工紙及びマットコート紙を用いる場合は前記記録媒体と前記熱圧定着手段とを離間させるように前記切換手段を制御することを特徴とする定着処理装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の定着処理装置において、
    前記熱圧定着手段は、画像に使用されている液体にポリマー粒子が含有されている場合に、前記ポリマー粒子の最低造膜温度以上の温度を前記記録媒体に付与することを特徴とする定着処理装置。
  7. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の定着処理装置において、
    前記熱圧定着手段は、画像に使用されている液体にポリマー粒子が含有されている場合に、前記ポリマー粒子のガラス転移点以上の温度を前記記録媒体に付与することを特徴とする定着処理装置。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の定着処理装置において、
    前記切換制御手段は、前記加圧処理の場合に前記搬送手段の搬送路上における前記熱圧定着手段が記録媒体に接触する接触位置に前記記録媒体の画像が記録される画像記録領域が到達する直前に前記熱圧定着手段を前記記録媒体に付勢させるとともに、前記画像記録領域が前記接触位置を通過した直後に前記記録媒体から前記熱圧定着手段を離間させるように前記切換手段を制御することを特徴とする定着処理装置。
  9. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の定着処理装置において、
    前記搬送手段の搬送路に沿って2つ以上の前記熱圧定着手段を備え、
    前記搬送手段の搬送方向上流側の熱圧定着手段の温度、加圧圧力、平滑度の少なくともいずれかが下流側よりも低くなるように温度、加圧圧力、平滑度の設定を行う設定手段と、
    前記複数の熱圧定着手段のそれぞれについて独立して前記記録媒体との離間及び接触を切り換えるように前記切換手段を制御する切換制御手段と、
    を備えたことを特徴とする定着処理装置。
  10. 請求項1乃至9のいずれか1項に記載の定着処理録装置において、
    前記搬送手段の搬送路に沿って3つ以上の前記熱圧定着手段を備え、
    前記切換制御手段は、狭幅の記録媒体が使用された場合には前記搬送手段の搬送方向上流側の2つの熱圧定着手段のうちいずれかを使用し、広幅の記録媒体が使用された場合には前記搬送手段の搬送方向下流側の2つの熱圧定着手段のうちいずれかを使用するように前記切換手段を制御することを特徴とする定着処理装置。
  11. 請求項1乃至10のいずれか1項に記載の定着処理装置において、
    前記記録媒体の余白部分に形成されたパッチを読み取る読取手段と、
    前記読取手段の読取結果に基づいて、前記熱圧定着手段による加熱処理及び加圧処理の前後における前記記録媒体の温度を計測する温度計測手段と、
    前記読取手段の読取結果に基づいて、前記熱圧定着手段による加熱処理及び加圧処理の前後における前記記録媒体の反射濃度を計測する反射濃度計測手段と、
    を備え、
    前記温度設定手段は、前記熱圧定着手段による加圧処理の有無及び前記温度計測手段の計測結果に基づいて前記熱圧定着手段の温度を設定するか、あるいは前記熱圧定着手段による加圧処理の有無及び前記反射濃度計測手段の計測結果に基づいて前記熱圧定着手段の温度、加圧圧力のいずれかを設定することを特徴とする定着処理装置。
  12. 請求項1乃至11のいずれか1項に記載の定着処理装置において、
    前記熱圧定着手段は、ヒートローラを含むことを特徴とする定着処理装置。
  13. 請求項1乃至12のいずれか1項に記載の定着処理装置において、
    前記搬送手段は、前記熱圧定着手段の処理領域において周面に前記記録媒体を保持した状態で搬送する圧胴と、
    前記圧胴へ前記記録媒体を受け渡す渡し胴と、
    を含むことを特徴とする定着処理装置。
  14. 記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
    請求項1乃至13のいずれか1項に記載の定着処理装置と、
    を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
  15. 請求項14に記載のインクジェット記録装置において、
    前記画像形成手段は、ポリマー粒子を含有する液体を用いて前記記録媒体に画像を形成することを特徴とするインクジェット記録装置。
  16. 所望の画像が画像形成部に記録された記録媒体を所定の搬送方向へ搬送する搬送工程と、
    前記記録媒体の搬送路に沿って設けられた熱圧定着手段により前記記録媒体の画像形成面に加熱処理及び加圧処理を施す熱圧定着工程と、
    を含み、
    前記熱圧定着工程は、前記記録媒体の画像形成部に圧力を付与しない非加圧処理の場合には、前記記録媒体と前記熱圧定着手段とを離間させ、かつ、前記記録媒体の画像形成部に圧力を付与する加圧処理の場合よりも前記熱圧定着手段の温度を高く設定することを特徴とする定着処理方法。
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