JP2011183736A - 乾燥装置および乾燥方法、これらを用いた画像形成装置および画像形成方法 - Google Patents

乾燥装置および乾燥方法、これらを用いた画像形成装置および画像形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】乾燥性を保ったまま搬送性を良好に保つことができる乾燥装置および乾燥方法、これらを用いた画像形成装置および画像形成方法を提供する。
【解決手段】画像が形成された記録媒体22を搬送媒体76に載せ搬送する搬送手段と、搬送手段16によって搬送される画像が形成された記録媒体22の画像形成面に乾燥風を吹き付ける送風手段80と、乾燥風を加熱する乾燥風加熱手段と、記録媒体22の剛性によって、記録媒体22の剛性が低い場合は、乾燥風の風量を下げるように、乾燥風の風量を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする乾燥装置および乾燥方法、これらを用いた画像形成装置および画像形成方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は乾燥装置および乾燥方法、これらを用いた画像形成装置および画像形成方法に係り、特に、乾燥性を損なうことなく良好な搬送状態を得ることができる乾燥装置および乾燥方法と、これらを用いた画像形成装置および画像形成方法に関する。
一般に、汎用の画像形成装置として、インクジェットヘッドから記録媒体上にインク液滴を吐出して所望の画像を形成するインクジェット記録装置が広く用いられている。インクジェット記録装置において水性インクを用いる場合、セルロースの水素結合の切断、乾燥による水素結合の再結合により、記録媒体の変形が生じていた。このような変形をできるだけ防ぐため、インクジェット方式では、オフセット印刷などの他の印刷方法に比べてできるだけ早急な乾燥が必要であった。
乾燥の方法としては、熱源への接触による乾燥と、非接触による乾燥の2種類があり、非接触での乾燥として主に、熱風(乾燥風)により乾燥を行う方法が挙げられる。熱風による乾燥の場合、風量が多すぎると紙がばたつき、折れたり傷がついたりするなど、搬送性が悪化するという問題があった。しかし、風量を下げると、雰囲気の置換ができず、乾燥が進みにくいという問題があった。
記録媒体の搬送性を安定させる方法として、下記の特許文献1には、記録媒体の搬送姿勢を安定化させ、画像記録に最適な状態とするため、記録媒体の記録面と記録ヘッドの一面との距離を調節する姿勢安定化手段を備えたインクジェットプリンタが記載されている。また、特許文献2には、送風機によって用紙の印字作画面の乾燥を行う際に、風圧によって用紙がばたつくのを防止するとともに、用紙に当たった風が用紙の送り経由の上流側に上がっていくのを防止し、風による印字部への影響を防止する乾燥方法および装置が記載されている。
特開2004−123250号公報 特開2004−106346豪公報
しかしながら、特許文献1に記載されているインクジェットプリンタは、画像記録時の搬送を安定させるものであり、乾燥時については検討されていなかった。また、特許文献2に記載されている乾燥方法は、搬送性および形成された画像の品質低下を防止するものであり、乾燥性および搬送性の両立については検討されていなかった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、記録媒体の剛性の差により、乾燥手段を制御することで、乾燥性を保ったまま搬送性を良好に保つことができる乾燥装置および乾燥方法、これらを用いた画像形成装置および画像形成方法を提供する。
本発明の請求項1は前記目的を達成するために、画像が形成された記録媒体を搬送媒体に載せ搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送される前記画像が形成された前記記録媒体の画像形成面に乾燥風を吹き付ける送風手段と、前記乾燥風を加熱する乾燥風加熱手段と、前記記録媒体の剛性によって、前記記録媒体の剛性が低い場合は、前記乾燥風の風量を下げるように、前記乾燥風の風量を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする乾燥装置を提供する。
請求項1によれば、記録媒体の剛性により、記録媒体の剛性が低い場合は、乾燥風の風量を下げるように、乾燥風の風量の制御を行っているので、記録媒体が乾燥風によりバタついたり、折れたりすることを防止することができるので、記録媒体の搬送性を向上させることができる。
請求項2は請求項1において、前記搬送媒体を加熱する第1の加熱手段と、を備え、前記制御手段は、前記乾燥風の風量により、前記搬送媒体の温度を制御することを特徴とする。
請求項2によれば、乾燥風の風量により搬送媒体の温度を制御しているので、乾燥風による乾燥状況に応じて、接触式の乾燥方法である搬送媒体からの加熱を制御することができ、効率良く乾燥を行うことができる。
請求項3は請求項2において、前記制御手段により前記乾燥風の風量を下げたために減少する熱量ΔQairを、前記搬送媒体の温度上昇ΔTにより得られる熱量ΔQconを与えることで補うことを特徴とする請求項2に記載の乾燥装置。
請求項3によれば、乾燥風の風量を下げたことにより減少した熱量を、搬送媒体の温度を上昇させることで補っているので、乾燥性を損なうことなく乾燥を行うことができる。
請求項4は請求項1から3いずれか1項において、前記制御手段は、前記記録媒体の剛性が3mN・m以下であるとき、前記乾燥風の吹き付けを停止することを特徴とする。
記録媒体の剛性が3mN・m以下である場合は、乾燥風を吹き付けると記録媒体がバタつくので、乾燥風の吹き付けを停止することが好ましい。なお、乾燥風の吹き付けを停止したことによって損なわれる熱量は、搬送媒体を加熱することで補うことが好ましい。
請求項5は請求項1から4いずれか1項において、前記記録媒体を非接触で加熱する第2の加熱手段を備えることを特徴とする。
請求項5によれば、送風手段とは別に、非接触で記録媒体を加熱する第2の加熱手段を備えているので、乾燥風の風量を下げた場合に、第2の加熱手段を用いて乾燥することで、乾燥性能の低下を抑えることができる。
本発明の請求項6は前記目的を達成するために、前記記録媒体の表面にインクを打滴し、画像を形成する画像形成手段と、前記請求項1から5いずれか1項に記載の乾燥装置と、を備えたことを特徴とする画像形成装置を提供する。
請求項6によれば、上記乾燥装置を備えているので、記録媒体に折れや曲がり等が無く、また、乾燥性も良好な画像を形成することができる画像形成装置を提供することができる。
本発明の請求項7は前記目的を達成するために、画像が形成された記録媒体を搬送媒体に載せ搬送する搬送工程と、前記記録媒体に吹き付ける乾燥風を加熱する乾燥風加熱工程と、前記画像が形成された前記記録媒体の画像形成面に前記乾燥風を吹き付ける送風工程と、前記記録媒体の剛性によって、前記記録媒体の剛性が低い場合は、前記送風工程の前記乾燥風の風量を下げるように、前記乾燥風の風量を制御する制御工程と、を備えることを特徴とする乾燥方法を提供する。
請求項8は請求項7において、前記搬送媒体を加熱する第1の加熱工程と、を有し、前記制御工程は、前記乾燥風の風量により、前記搬送体の温度を制御することを特徴とする。
請求項9は請求項7または8において、前記制御工程は、前記記録媒体の剛性が3mN・m以下であるとき、前記乾燥風の吹き付けを停止することを特徴とする。
本発明の請求項10は前記目的を達成するために、記録媒体の表面にインクを打滴し、画像を形成する画像形成工程と、前記画像が形成された前記記録媒体を搬送媒体に載せ搬送する搬送工程と、前記記録媒体に吹き付ける乾燥風を加熱する乾燥風加熱工程と、前記画像が形成された前記記録媒体の画像形成面に前記乾燥風を吹き付ける送風工程と、前記記録媒体の剛性によって、前記記録媒体の剛性が低い場合は、前記送風工程の前記乾燥風の風量を下げるように、前記乾燥風の風量を制御する制御工程と、を備えることを特徴とする画像形成方法を提供する。
請求項7から9は、上記記載の乾燥装置を乾燥方法として展開したものであり、請求項10は、上記記載の画像形成装置を画像形成方法として展開したものである。請求項7から9、および、10によれば、上記と同様の効果を得ることができる。
本発明の乾燥装置および乾燥方法、これらを用いた画像形成装置および画像形成方法によれば、記録媒体の剛性により、乾燥風の風量を調節しているので、記録媒体のバタつきを抑えることができ、記録媒体の搬送性を向上させることができる。
本発明に係る乾燥装置が組み込まれたインクジェット記録装置を摸式的に示す構成図である。 搬送媒体の設定温度の計算に用いられる変数の一覧である。 搬送媒体の設定温度の計算に用いられる定数の一覧である。 搬送媒体が記録媒体与える熱量を示す表図である。 乾燥風が記録媒体に与える熱量の表図である。 インクジェット記録装置のシステム構成を示す要部ブロック図である。 実施例の結果を示す表図である。
以下、添付図面に従って、本発明に係る乾燥装置および乾燥方法、これらを用いた画像形成装置および画像形成方法の好ましい実施の形態について説明する。なお、以下の実施例においては、画像形成装置の一例として、インクジェット記録装置について説明するが、本発明はこれに限定されず、記録媒体上に画像を形成し、乾燥する装置であれば、使用することができる。また、搬送もドラム搬送に限定されず、ベルト搬送などにも用いることができる。
[インクジェット記録装置の全体構成]
まず、本発明に係る乾燥装置が適用されるインクジェット記録装置の全体構成を説明する。
図1は、本実施の形態のインクジェット記録装置1を模式的に示す構成図である。同図に示すインクジェット記録装置1は記録媒体22の記録面に画像を形成する装置であり、主として給紙部10、処理液付与部12、描画部14、乾燥部16、定着部18及び排出部20で構成される。給紙部10には記録媒体22(枚葉紙)が積層されており、この記録媒体22が給紙部10から処理液付与部12に送られ、処理液付与部12で記録面に処理液が付与された後、描画部14で記録面に色インクが付与される。インクが付与された記録媒体22は、乾燥部16で水分を乾燥後、定着部18で画像が堅牢化された後、排出部20によって搬送される。
各部の間には中間搬送部(渡し胴)24、26、28が設けられ、この中間搬送部24、26、28によって記録媒体22の受け渡しが行われる。すなわち、処理液付与部12と描画部14との間には、第1の中間搬送部24が設けられ、この第1の中間搬送部24によって処理液付与部12から描画部14への記録媒体22の受け渡しが行われる。同様に、描画部14と乾燥部16との間には、第2の中間搬送部26が設けられ、この第2の中間搬送部26によって描画部14から乾燥部16への記録媒体22の受け渡しが行われる。さらに、乾燥部16と定着部18との間には、第3の中間搬送部28が設けられ、この第3の中間搬送部28によって乾燥部16から定着部18への記録媒体22の受け渡しが行われる。
以下、インクジェット記録装置1の各部(給紙部10、処理液付与部12、描画部14、乾燥部16、定着部18、排出部20、第1〜第3の中間搬送部24、26、28)について説明する。
(給紙部)
給紙部10は、記録媒体22を描画部14に供給する機構である。給紙部10には、給紙トレイ50が設けられ、この給紙トレイ50から記録媒体22が一枚ずつ処理液付与部12に給紙される。
(処理液付与部)
処理液付与部12は、記録媒体22の記録面に処理液を付与する機構である。処理液は、描画部14で付与されるインク中の色材(顔料)を凝集または析出させる色材凝集剤を含んでおり、この処理液とインクとが接触することによって、インクは色材と溶媒との分離が促進される。なお、処理液のより詳細な説明については後述する。
図1に示すように、処理液付与部12は、渡し胴52、処理液ドラム54、処理液塗布装置56、IRヒータ58及び温風吹出ノズル60を備えている。渡し胴52は、給紙部10の給紙トレイ50と処理液ドラム54の間に配置され、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパーなど)を備え、この保持手段によって記録媒体22の先端を保持しながら回転駆動される。給紙部10から給紙された記録媒体22は、この渡し胴52によって受け取られ、処理液ドラム54に受け渡される。
処理液ドラム54は、記録媒体22を保持して回転搬送させるドラムであり、回転駆動される。また、処理液ドラム54は、その外周面に爪形状の保持手段55を備え、この保持手段55によって記録媒体22の先端を保持できるようになっている。記録媒体22は、保持手段55によって先端が保持された状態で、処理液ドラム54を回転させることによって回転搬送される。処理液ドラム54の外側には、その周面に対向して処理液塗布装置(塗布装置に相当)56、IRヒータ58及び温風吹出ノズル60が設けられる。処理液塗布装置56、IRヒータ58及び温風吹出ノズル60は、処理液ドラム54の回転方向(図1において反時計回り方向)に上流側から順に配設されており、記録媒体22は、まず処理液塗布装置56によって記録面に処理液が塗布される。処理液の膜厚は、描画部14のインクジェットヘッド72M,72K,72C,72Yから打滴されるインクの液滴径より十分に小さいことが望ましい。例えば、インクの打滴量が2plのときには、液滴の平均直径は15.6μmである。このとき、処理液の膜厚が大きい場合には、インクドットが記録媒体22の表面に接触することなく、処理液内で浮遊する。そこで、インクの打滴量が2plのときに着弾ドット径を30μm以上得るためには、処理液の膜厚を3μm以下にすることが望ましい。
処理液塗布装置56で処理液が塗布された記録媒体22は、IRヒータ58、温風吹出ノズル60の位置に搬送される。IRヒータ58は高温(たとえば180℃)に制御され、温風吹出ノズル60は高温(たとえば70℃)の温風を一定の風量(たとえば9m/分)で記録媒体22に向けて吹き付けるように構成される。このIRヒータ58と温風吹出ノズル60による加熱によって、処理液の溶媒中の水分が蒸発され、処理液の薄膜層が記録面に形成される。このように処理液を薄層化することによって、描画部14で打滴するインクのドットが記録媒体22の記録面と接触し、必要なドット径が得られるとともに、薄層化した処理液成分と反応して色材凝集が起こり、記録媒体22の記録面に固定する作用が得られやすい。なお、処理液ドラム54を所定の温度(たとえば50℃)に制御するようにしてもよい。
(描画部)
図1に示すように、描画部14は、描画ドラム70と、この描画ドラム70の外周面に対向する位置に近接配置されたインクジェットヘッド72M,72K,72C,72Yで構成される。インクジェットヘッド72M,72K,72C,72Yはそれぞれ、マゼンダ(M)、黒(K)、シアン(C)、イエロー(Y)の4色のインクに対応しており、描画ドラム70の回転方向に上流側から順に配置される。
描画ドラム70は、その外周面に記録媒体22を保持し、回転搬送させるドラムであり、回転駆動される。また、描画ドラム70は、その外周面に爪形状の保持手段71を備え、この保持手段71によって記録媒体22の先端を保持できるようになっている。記録媒体22は、保持手段71によって先端が保持された状態で、描画ドラム70を回転させることによって回転搬送される。その際、記録媒体22の記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面にインクジェットヘッド72M,72K,72C,72Yからインクが付与される。
インクジェットヘッド72M,72K,72C,72Yはそれぞれ、記録媒体22における画像形成領域の最大幅に対応する長さを有するフルライン型のインクジェット方式の記録ヘッド(インクジェットヘッド)であり、そのインク吐出面には、画像形成領域の全幅にわたってインク吐出用のノズルが複数配列されたノズル列が形成されている。各インクジェットヘッド72M,72K,72C,72Yは、記録媒体22の搬送方向(描画ドラム70の回転方向)と直交する方向に延在するように固定設置される。
各インクジェットヘッド72M,72K,72C,72Yには、対応する色インクのカセットが取り付けられる。各インクの液滴が、各インクジェットヘッド72M,72K,72C,72Yから、描画ドラム70の外周面に保持された記録媒体22の記録面に向かって吐出される。これにより、処理液付与部12で予め記録面に付与された処理液にインクが接触し、インク中に分散する色材(顔料)が凝集され、色材凝集体が形成される。これにより、記録媒体22上での色材流れなどが防止され、記録媒体22の記録面に画像が形成される。その際、描画部14の描画ドラム70は、処理液付与部12の処理液ドラム54に対して構造上分離しているので、インクジェットヘッド72M,72K,72C,72Yに処理液が付着することがなく、インクの不吐出要因を低減することができる。
なお、インクと処理液の反応の一例として、処理液に酸を含有させpHダウンにより顔料分散を破壊し凝集するメカニズムを用い、色材滲み、各色インク間の混色、インク滴の着弾時の液合一による打滴干渉を回避することが考えられる。
また、各インクジェットヘッド72M,72K,72C,72Yの打滴タイミングは、描画ドラム70に配置された回転速度を検出するエンコーダに同期させる。これにより、高精度に着弾位置を決定することができる。また、予め描画ドラム70のフレなどによる速度変動を学習し、エンコーダ91で得られた打滴タイミングを補正して、描画ドラム70のフレ、回転軸の精度、描画ドラム70の外周面の速度に依存せずに打滴ムラを低減させることができる。
さらに、各インクジェットヘッド72M,72K,72C,72Yのノズル面の清掃、増粘インク排出などのメンテナンス動作は、ヘッドユニットを描画ドラム70から退避させて実施するとよい。
また、本例では、CMYKの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能であり、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
(乾燥部)
乾燥部16は、色材凝集作用により分離された溶媒に含まれる水分を乾燥させる工程であり、乾燥ドラム76と、この乾燥ドラム76の外周面に対向する位置に配置された第1のIRヒータ78、温風噴出しノズル80、および、第2のIRヒータ82で構成される。第1のIRヒータ78は、温風噴出しノズル80に対して、乾燥ドラム76の回転方向(図1において反時計回り方向)の上流側に設けられ、第2のIRヒータ82は温風噴出しノズル80の下流側に設けられる。また、乾燥ドラム76の外周面は加熱手段(図示せず)により加熱され、記録媒体22を乾燥ドラム76で搬送する際に、乾燥ドラム76と接触することで乾燥が行われる。
乾燥ドラム76は、その外周面に記録媒体22を保持して回転搬送させるドラムであり、モータドライバ(図示せず)によってその回転が駆動制御される。記録媒体22は、保持手段77によって先端が保持された状態で、乾燥ドラム76を回転させることによって回転搬送される。その際、記録媒体22の画像形成面が外側を向くようにして搬送され、この記録面に対してIRヒータ78、82、温風噴出しノズル80、乾燥ドラム76の外周面の加熱による乾燥処理が行われる。
温風噴出しノズル80は、所定の温度(たとえば50℃〜75℃)に制御された温風を一定の風量で記録媒体22に向けて吹き付けるように乾燥風加熱手段を備え、IRヒータ78、82はそれぞれ所定の温度(たとえば180℃)に制御される。これらの温風噴出しノズル80、IRヒータ78、82によって、乾燥ドラム76に保持された記録媒体22の画像形成面に含まれる水分が蒸発され、乾燥処理が行われる。その際、乾燥部16の乾燥ドラム76は、描画部14の描画ドラム70に対して構造上分離しているので、インクジェットヘッド72M,72K,72C,72Yにおいて、熱乾燥によるヘッドメニスカス部の乾燥によるインクの不吐出を低減することができる。また、乾燥部16の温度設定に自由度があり、最適な乾燥温度を設定することができる。
温風噴出しノズル80は、図1においては、記録媒体22の搬送方向と垂直に乾燥風があたるように設けられているが、好ましくは、乾燥風が記録媒体22にあたる角度を、乾燥風の風向きと記録媒体22に乾燥風が当たった点の接線とのなす角が15°となるように配置することが好ましい。また、温風噴出しノズル80は、記録媒体22の幅と同程度の長さとなるように設けられており、複数の温風噴出しノズル80を記録媒体22の幅方向に並べることで設置することもできる。また、記録媒体22の搬送方向に複数列で設置することもできる。例えば、記録媒体22の幅方向に8個/1列で並べ、4列設置することで、計32個の温風噴出しノズルを設けることも可能である。
なお、蒸発した水分は不図示の排出手段によりエアとともに機外に排出するとよい。また、回収されたエアを冷却器(ラジエータ)などで冷却して、液体として回収してもよい。
また、乾燥ドラム76は、その外周面を所定の温度に制御することが好ましい。記録媒体22の裏面から加熱を行うことによって、温風噴出しノズル80からの乾燥風の風量を下げたときに失う熱量を、乾燥ドラム76から加熱する熱量で補うことで、記録媒体22の乾燥性を維持することができる。また、定着時における画像破壊を防止することができる。乾燥ドラム76の外周面を加熱する加熱手段としては、乾燥ドラム76の内部にヒータを設け、ヒータにより加熱をする方法が挙げられる。また、乾燥ドラム76の外周面に対向する位置で、記録媒体22を搬送しない側(図1において、IRヒータ78、82、温風噴出しノズル80が設置されていない側)に、乾燥ドラム76の外周面を加熱するヒータ、温風噴出しノズルを設けることで、加熱することもできる。また、記録媒体22を乾燥するための。IRヒータ78、82、温風噴出しノズル80を用いて、記録媒体22を搬送していない際に、乾燥ドラム76を加熱することも可能である。
乾燥ドラム76の表面温度の範囲は、50℃以上が好ましく、より好ましくは60℃以上である。また、上限については、特に限定されるものではないが、乾燥ドラム76の表面に付着したインクをクリーニングするなどのメンテナンス作業の安全性(高温による火傷防止)の観点から80℃以下が好ましい。
本発明においては、記録媒体の剛性により、乾燥風の風量と温度、および、乾燥ドラム76の外周面の温度を制御することで、記録媒体の搬送性と乾燥性の両立を図っている。記録媒体の剛性が低い場合は、乾燥風を吹き付けると、記録媒体がバタつき、折れたり傷がついたりするなど、搬送性が悪化してしまう。したがって、記録媒体の剛性により、乾燥風の風量の調整を行う。記録媒体の剛性が低い場合は、乾燥風の風量を落とすことで、記録媒体のバタつきなどの抑制を行う。記録媒体の剛性が、3mN・m以下である場合には、乾燥風の吹き付けを停止することが好ましい。
乾燥風の風量を下げた場合は、風量を下げたために落ちる熱量(ΔQair)を、乾燥風の温度、または、乾燥ドラム76の外周面の温度上昇(ΔTcon)により得られるエネルギー(ΔQcon)により補う。
乾燥ドラム76の外周面の設定温度は、例えば、以下の方法により計算することができる。
図2および3に、計算に用いられる変数と定数の一覧を示す。加熱前(画像形成後)の記録媒体の温度を25℃、乾燥風の風温は75℃として計算する。
図4に乾燥ドラム(搬送媒体)の温度と乾燥ドラムが記録媒体に与える熱量を示す。今回は、乾燥ドラムの外周面の温度を60℃を基準とした場合に、乾燥ドラムの温度をNo.1−1〜1−4の温度としたとき、ΔQcon(Tcon;60)の熱量を下記式(1)、(2)より得ることができる。
con=h×(Tcon−T)・・・式(1)
ΔQcon(ΔT)=ΔQcon(Tcon;60)
=Qcon(T)−Qcon(type)
=Qcon(T)−Qcon(60)・・・式(2)(type=60℃)
次に、図5に乾燥風が与える熱量を示す。図5に示す乾燥風が与える熱量Qair(75;w)は、実験により求めることができる。乾燥風の温度を75℃とし、温風噴出しノズルは上記で記載したような、8個/1列で4列、計32個の温風噴出しノズルを設置した場合で行った。各温風噴出しノズルの風量は2[m/min]であるので、最大64[m/min]の風量を吹き付ける場合で実験を行った。
図5より、No.2−1では風量64[m/min]でQair(75;64)が2400[W/m]であり、風量が弱くなるにつれ風量wと熱量Qair(75;w)の関係が比例とならず、熱量Qair(75;w)の値が小さくなるのは、風量が弱まることで、熱交換がうまくいかず、乾燥しにくくなっていると考えられる。逆に、今回の試験では、風量の最大を64[m/min]で行っているが、さらに風量を強くすることで、乾燥がしやすくなると考えられる。
本発明においては、上述したように、風量を下げたために落ちる熱量ΔQair(75;64,w)を、乾燥ドラム76の外周面の温度上昇により得られるエネルギーΔQcon(Tcon;60)により補う。したがって、式(2)より、−ΔQair(75;64,w)=ΔQcon(Tcon;60)=h×ΔTconが求められ、乾燥ドラム76の外周面の温度上昇ΔTconを決定する。以上より、下記式(3)により、乾燥ドラム76の温度上昇値を求めることができる。
ΔTcon=ΔQair(75;64,w)/h ・・・式(3)
式(3)と、図4および図5の数値から求めたΔTconを図5に示す。図5より、例えば、乾燥ドラム76の温度を60[℃]、風量64[m/min]と同じ熱量(乾燥量)を風量0[m/min]で実現させるためには、温度をtype(今回の例では60[℃])から22[℃]上昇させた82[℃]で行う必要があることが確認できる。
(定着部)
定着部18は、定着ドラム84、ハロゲンヒータ86、定着ローラ88、及びインラインセンサ90で構成される。定着ドラム84は、処理液ドラム54と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)85を備え、この保持手段85によって記録媒体22の先端を保持できるようになっている。
定着ドラム84の回転により、記録媒体22は記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面に対して、ハロゲンヒータ86による予備加熱と、定着ローラ88による定着処理と、インラインセンサ90による検査が行われる。
ハロゲンヒータ86は、所定の温度(例えば、180℃)に制御される。これにより、記録媒体22の予備加熱が行われる。
定着ローラ88は、乾燥させたインクを加熱加圧することによってインク中の自己分散性熱可塑性樹脂微粒子を溶着し、インクを皮膜化させるためのローラ部材であり、記録媒体22を加熱加圧するように構成される。具体的には、定着ローラ88は、定着ドラム84に対して圧接するように配置されており、定着ドラム84との間でニップローラを構成するようになっている。これにより、記録媒体22は、定着ローラ88と定着ドラム84との間に挟まれ、所定のニップ圧(例えば、0.15MPa)でニップされ、定着処理が行われる。
また、定着ローラ88は、熱伝導性の良いアルミなどの金属パイプ内にハロゲンランプを組み込んだ加熱ローラによって構成され、所定の温度(たとえば60〜80℃)に制御される。この加熱ローラで記録媒体22を加熱することによって、インクに含まれる熱可塑性樹脂微粒子のTg温度(ガラス転移点温度)以上の熱エネルギーが付与され、熱可塑性樹脂微粒子が溶融される。これにより、記録媒体22の凹凸に押し込み定着が行われるとともに、画像表面の凹凸がレベリングされ、光沢性が得られる。
なお、図1の実施形態では、定着ローラ88を1つだけ設けた構成となっているが、画像層厚みや熱可塑性樹脂微粒子のTg特性に応じて、複数段設けた構成でもよい。
一方、インラインセンサ90は、記録媒体22に定着された画像について、チェックパターンや水分量、表面温度、光沢度などを計測するための計測手段であり、CCDラインセンサなどが適用される。
上記の如く構成された定着部18によれば、乾燥部16で形成された薄層の画像層内の熱可塑性樹脂微粒子が定着ローラ88によって加熱加圧されて溶融されるので、記録媒体22に固定定着させることができる。また、定着ドラム84の表面温度を50℃以上に設定することで、定着ドラム84の外周面に保持された記録媒体22を裏面から加熱することによって乾燥が促進され、定着時における画像破壊を防止することができるとともに、画像温度の昇温効果によって画像強度を高めることができる。
また、インク中にUV硬化性モノマーを含有させた場合は、乾燥部で水分を充分に揮発させた後に、UVランプを備えた定着部で、画像にUVを照射することで、UV硬化性モノマーを硬化重合させ、画像強度を向上させることができる。
UVランプとしては、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、ブラックライト、冷陰極菅、UV−LED等の種々の紫外線光源を用いることができる。
紫外線光源の照射する紫外線のピーク波長は、インク組成物の吸収特性にもよるが、200〜600nmが好ましく、より好ましくは、300〜450nmであり、さらに好ましくは、350〜450nmである。紫外線光源の照射エネルギーとしては、2000mJ/cm以下が好ましく、より好ましくは、10〜2000mJ/cmであり、さらに好ましくは、20〜1000mJ/cmであり、特に好ましくは、50〜800mJ/cmである。また、紫外線は記録媒体の記録面に対して、好ましくは、0.01〜10秒、より好ましくは、0.1〜2秒照射することが適当である。
(排出部)
図1に示すように、定着部18に続いて排出部20が設けられている。排出部20は、排出トレイ92を備えており、この排出トレイ92と定着部18の定着ドラム84との間に、これらに対接するように渡し胴94、搬送ベルト96、張架ローラ98が設けられている。記録媒体22は、渡し胴94により搬送ベルト96に送られ、排出トレイ92に排出される。
(中間搬送部)
次に、第1の中間搬送部24の構造について説明する。なお、第2の中間搬送部26、第3の中間搬送部28は、第1の中間搬送部24と同様の構成であり、その説明を省略する。
第1の中間搬送部24は、中間搬送体30を有する。中間搬送体30は、前段のドラムから記録媒体22を受け取り、回転搬送させた後、後段のドラムに受け渡すためのドラムであり、回転自在に取り付けられている。また、中間搬送体30は、不図示のモータによって回転するようになっている。
中間搬送体30の外周面には、爪形状の保持手段が90°間隔で設けられている。保持手段は、円軌跡を描きながら回転するようになっており、この保持手段の動作によって記録媒体22の先端が保持される。したがって、保持手段で記録媒体22の先端を保持した状態で中間搬送体30を回転させることによって、記録媒体22を回転搬送させることができる。なお、中間搬送体30の表面に複数の送風口を設け、この送風口からエアを吹き出すことによって、記録媒体の記録面を非接触で搬送するとよい。
第1の中間搬送部24によって搬送された記録媒体22は、後段のドラム(すなわち、描画ドラム70)に受け渡される。その際、中間搬送部24の保持手段と描画部14の保持手段を同期させることによって、記録媒体22の受け渡しが行われる。受け渡された記録媒体22は、描画ドラム70によって保持されて回転搬送される。
(制御系の説明)
図6は、インクジェット記録装置1のシステム構成を示す要部ブロック図である。インクジェット記録装置1は、通信インターフェース120、システムコントローラ122、プリント制御部124、処理液付与制御部126、第1中間搬送制御部128、ヘッドドライバ130、第2中間搬送制御部132、乾燥制御部134、第3中間搬送制御部136、定着制御部138、インラインセンサ90、エンコーダ91、モータドライバ142、メモリ144、ヒータドライバ146、画像バッファメモリ148等を備えている。
通信インターフェース120は、ホストコンピュータ150から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース120にはUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。ホストコンピュータ150から送出された画像データは通信インターフェース120を介してインクジェット記録装置1に取り込まれ、一旦メモリ144に記憶される。
システムコントローラ122は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置1の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。即ち、システムコントローラ122は、通信インターフェース120、処理液付与制御部126、第1中間搬送制御部128、ヘッドドライバ130、第2中間搬送制御部132、乾燥制御部134、第3中間搬送制御部136、定着制御部138、メモリ144、モータドライバ142、ヒータドライバ146等の各部を制御し、ホストコンピュータ150との間の通信制御、メモリ144の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ152やヒータ154を制御する制御信号を生成する。
メモリ144は、通信インターフェース120を介して入力された画像を一旦格納する記憶手段であり、システムコントローラ122を通じてデータの読み書きが行われる。メモリ144は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
ROM145には、システムコントローラ122のCPUが実行するプログラム及び制御に必要な各種データなどが格納されている。なお、ROM145は、書換不能な記憶手段であってもよいし、EEPROMのような書換可能な記憶手段であってもよい。メモリ144は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。
モータドライバ142は、システムコントローラ122からの指示にしたがってモータ152を駆動するドライバである。図6には、装置内の各部に配置されるモータを代表して符号152で図示されている。例えば、図6に示すモータ152には、図1の渡し胴52、処理液ドラム54、描画ドラム70、乾燥ドラム76、定着ドラム84、渡し胴94などの回転を駆動するモータ、インクジェットヘッド72C,72M,72Y,72Kのヘッドユニットの退避機構のモータ、などが含まれている。
ヒータドライバ146は、システムコントローラ122からの指示にしたがって、ヒータ154を駆動するドライバである。図6には、インクジェット記録装置1に備えられる複数のヒータを代表して符号154で図示されている。例えば、図6に示すヒータ154には、給紙部10において記録媒体22を予め適温に加熱しておくための不図示のプレヒータ、などが含まれている。
プリント制御部124は、システムコントローラ122の制御にしたがい、メモリ144内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字データ(ドットデータ)をヘッドドライバ130に供給する制御部である。プリント制御部124において所要の信号処理が施され、該画像データに基づいて、ヘッドドライバ130を介してインクジェットヘッド100のインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
プリント制御部124には画像バッファメモリ148が備えられており、プリント制御部124における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ148に一時的に格納される。なお、図6において画像バッファメモリ148はプリント制御部124に付随する態様で示されているが、メモリ144と兼用することも可能である。また、プリント制御部124とシステムコントローラ122とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
画像入力から印字出力までの処理の流れを概説すると、印刷すべき画像のデータは、通信インターフェース120を介して外部から入力され、メモリ144に蓄えられる。この段階では、例えば、RGBの画像データがメモリ144に記憶される。
インクジェット記録装置1では、インク(色材)による微細なドットの打滴密度やドットサイズを変えることによって、人の目に疑似的な連続階調の画像を形成するため、入力されたデジタル画像の階調(画像の濃淡)をできるだけ忠実に再現するようなドットパターンに変換する必要がある。そのため、メモリ144に蓄えられた元画像(RGB)のデータは、システムコントローラ122を介してプリント制御部124に送られ、該プリント制御部124において閾値マトリクスや誤差拡散法などを用いたハーフトーニング処理によってインク色ごとのドットデータに変換される。
即ち、プリント制御部124は、入力されたRGB画像データをK,C,M,Yの4色のドットデータに変換する処理を行う。こうして、プリント制御部124で生成されたドットデータは、画像バッファメモリ148に蓄えられる。
ヘッドドライバ130は、プリント制御部124から与えられる印字データ(即ち、画像バッファメモリ148に記憶されたドットデータ)に基づき、インクジェットヘッド100の各ノズル102に対応するアクチュエータ116を駆動するための駆動信号を出力する。ヘッドドライバ130にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
ヘッドドライバ130から出力された駆動信号がインクジェットヘッド100に加えられることによって、該当するノズル102からインクが吐出される。記録媒体22を所定の速度で搬送しながらインクジェットヘッド100からのインク吐出を制御することにより、記録媒体22上に画像が形成される。
また、システムコントローラ122は、処理液付与制御部126、第1中間搬送制御部128、第2中間搬送制御部132、乾燥制御部134、第3中間搬送制御部136、定着制御部138を制御する。
処理液付与制御部126は、システムコントローラ122からの指示にしたがい、処理液付与部12の処理液塗布装置56の動作を制御する。
乾燥制御部134は、システムコントローラ122からの指示にしたがい、乾燥部16の第1のIRヒータ78、温風噴出しノズル80、第2のIRヒータ82、および、乾燥ドラム76の外周面を加熱する加熱手段83の動作を制御する。温風噴出しノズル80、加熱手段83は、記録媒体の剛性により、乾燥風の風量および温度、加熱手段による乾燥ドラムの外周面の温度が制御される。記録媒体の種類による剛性に対する乾燥部16での乾燥条件、温風が与える熱量の測定値をROM145に記録させておき、使用する記録媒体22の種類をパソコン(不図示)により直接入力することで、制御を行うこともできる。
第1中間搬送制御部128は、システムコントローラ122からの指示にしたがい、第1の中間搬送部24の中間搬送体30の動作を制御する。具体的には、中間搬送体30において、中間搬送体30自体の回転駆動、中間搬送体30に備わる保持手段の回動などを制御する。第2中間搬送制御部132、第3中間搬送制御部136も第1中間搬送制御部128と同様の制御を行う。
[インク]
本発明の実施に用いられるインクは、溶媒不溶性材料として、色材(着色剤)である顔料や熱可塑性樹脂微粒子などを含有する水性顔料インクが用いられる。
溶媒不溶性材料の濃度は、吐出に適切な粘度20mPa・s以下を考慮して1wt%以上20wt%以下であることが好ましい。より好ましくは画像の光学濃度を得るために4wt%以上の顔料濃度である。
インクの表面張力は、吐出安定性を考慮して20mN/m以上40mN/m以下であることが好ましい。
インクに使用される色材は、顔料あるいは染料と顔料とを混合して用いることができる。処理液との接触時における凝集性の観点から、インク中で分散状態にある顔料の方がより効果的に凝集するため好ましい。顔料の中でも、分散剤により分散されている顔料、自己分散顔料、樹脂により顔料表面を被覆された顔料(マイクロカプセル顔料)、及び高分子グラフト顔料が特に好ましい。また、顔料凝集性の観点から、解離度の小さいカルボキシル基によって修飾されている形態がより好ましい。
本発明に用いる着色インク液には、処理液と反応する成分として、着色剤を含まない熱可塑性樹脂微粒子を添加することが好ましい。熱可塑性樹脂微粒子は、処理液との反応によりインクの増粘作用、凝集作用を強め、画像品位の向上させることができる。特に、アニオン性の熱可塑性樹脂微粒子をインクに含有せしめることにより、安全性の高いインクが得られる。
処理液と反応して、増粘・凝集作用を起こす熱可塑性樹脂微粒子をインクに用いることにより、画像の品位を高めることができると同時に、熱可塑性樹脂微粒子の種類によっては、熱可塑性樹脂微粒子が記録媒体で皮膜を形成し、画像の耐擦性、耐水性をも向上させる効果を有する。
ポリマーインクでの分散方法はエマルジョンに限定するものではなく、溶解していても、コロイダルディスパージョン状態で存在していてもよい。
熱可塑性樹脂微粒子は、乳化剤を用いて熱可塑性樹脂微粒子を分散させたものであっても、また、乳化剤を用いないで分散させたものであってもよい。乳化剤としては、通常、低分子量の界面活性剤が用いられているが、高分子量の界面活性剤を乳化剤として用いることもできる。外殻がアクリル酸、メタクリル酸などにより構成されたカプセル型の熱可塑性樹脂微粒子(粒子の中心部と外縁部で組成を異にしたコア・シェルタイプの熱可塑性樹脂微粒子)を用いることも好ましい。
インクに熱可塑性樹脂微粒子として添加する樹脂成分としては、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂などが挙げられる。
熱可塑性樹脂微粒子への高速凝集性付与の観点から、解離度の小さいカルボン酸基を有するものがより好ましい。カルボン酸基はpH変化によって影響を受けやすいので、分散状態が変化しやすく、凝集性が高い。
熱可塑性樹脂微粒子のpH変化に対する分散状態の変化は、アクリル酸エステルなどのカルボン酸基を有する、熱可塑性樹脂微粒子中の構成成分の含有割合によって調整することができ、分散剤として用いるアニオン性の界面活性剤によっても調整可能である。
熱可塑性樹脂微粒子の樹脂成分は、親水性部分と疎水性部分とを併せ持つ重合体であるのが好ましい。疎水性部分を有することで、熱可塑性樹脂微粒子の内側に疎水部分が配向し、外側に親水部分が効率よく外側に配向され、液体のpH変化に対する分散状態の変化がより大きくなる効果があり、凝集がより効率よく行われる。
また、熱可塑性樹脂微粒子を、インク内に2種以上混合して含有させて使用してもよい。
本発明のインクに添加するpH調整剤としては中和剤として、有機塩基、無機アルカリ塩基を用いることができる。pH調整剤はインクジェット用インクの保存安定性を向上させる目的で、該インクジェット用インクがpH6〜10となるように添加するのが好ましい。
本発明のインクは、乾燥によってインクジェットヘッドのノズルが詰まるのを防止する目的から、水溶性有機溶媒を含有することが好ましい。このような水溶性有機溶媒には、湿潤剤及び浸透剤が含まれる。
水溶性有機溶媒としては、処理液の場合と同様に、例えば、多価アルコール類、多価アルコール類誘導体、含窒素溶媒、アルコール類、含硫黄溶媒等が挙げられる。
その他必要に応じ、界面活性剤、pH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、紫外線吸収剤、等も添加することができる。
また、インク中にUV硬化性モノマーを含有させることで、乾燥部で水分を充分に揮発させた後に、UV照射ランプを備えた定着部で、画像にUVを照射することで、UV硬化性モノマーを硬化重合させ、画像強度を向上させることができる。
また、インク中にUV硬化性モノマーを含有させることで、乾燥部で水分を充分に揮発させた後に、UV照射ランプを備えた定着部で、画像にUVを照射することで、UV硬化性モノマーを硬化重合させ、画像強度を向上させることができる。
UV硬化性モノマーは、重合開始剤などから発生するラジカルなどの開始種により重合または架橋反応を生起し、これらを含有する組成物を硬化させる機能を有するものである。
UV硬化性モノマーは、ラジカル重合反応、二量化反応など公知の重合又は架橋反応を生起する重合性又は架橋性材料を適用することができる。例えば、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物、マレイミド基を側鎖に有する高分子化合物、芳香核に隣接した光二量化可能な不飽和二重結合を有するシンナミル基、シンナミリデン基やカルコン基等を側鎖に有する高分子化合物などが挙げられる。中でも、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物がより好ましく、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、より好ましくは2個以上有する化合物(単官能又は多官能化合物)から選択されるものであることが特に好ましい。具体的には、本発明に係る産業分野において広く知られるものの中から適宜選択することができ、例えば、モノマー、プレポリマー(すなわち2量体、3量体及びオリゴマー)及びそれらの混合物、並びにそれらの共重合体などの化学的形態を持つものが含まれる。
UV硬化性モノマーは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に用いることができるUV硬化性モノマーとしては、特に、ラジカル開始剤から発生する開始種により重合反応を起こさせる各種公知のラジカル重合性のモノマーを用いることが好ましい。
ラジカル重合性モノマーとしては、(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、芳香族ビニル類、ビニルエーテル類及び内部二重結合を有する化合物(マレイン酸など)等が挙げられる。ここで、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」、「メタクリレート」の双方又はいずれかをさし、「(メタ)アクリル」は、「アクリル
」、「メタクリル」の双方又はいずれかをさす。
[処理液]
処理液は、既述のインク組成物中の成分を凝集させる凝集剤を少なくとも含み、必要に応じて、さらに他の成分を用いて構成することができる。インク組成物と共に処理液を用いることで、インクジェット記録を高速化でき、高速記録しても濃度、解像度の高い描画性(例えば細線や微細部分の再現性)に優れた画像が得られる。また、処理液やインク組成物の処方を改善することにより、形成された画像自体の強度を高めることができ、高圧送風などによる画像の耐久性を補強することができる。
凝集剤としては、インク組成物のpHを変化させることができる化合物であっても、多価金属塩であっても、ポリアリルアミン類であってもよい。本発明においては、インク組成物の凝集性の観点から、インク組成物のpHを変化させることができる化合物が好ましく、インク組成物のpHを低下させ得る化合物がより好ましい。
本発明においては、凝集後の固形成分と積堆成分(液体成分)が速やかに分離できる、あるいは、凝集体自体をよりリジッド化できる凝集剤を選ぶことが好ましい。このような凝集剤としては、有機酸が好ましく、2価以上の有機酸がより好ましく、2価以上3価以下の酸性物質が特に好ましい。前記2価以上の有機酸としては、その第1pKaが3.5以下の有機酸が好ましく、より好ましくは3.0以下の有機酸である。具体的には、例えば、リン酸、シュウ酸、マロン酸、クエン酸などが好適に挙げられる。
凝集剤は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
インク組成物を凝集させる凝集剤の処理液中における含有量としては、1〜50質量%が好ましく、より好ましくは3〜45質量%であり、更に好ましくは5〜40質量%の範囲である。
処理液は、本発明の効果を損なわない範囲内で、更にその他の成分として他の添加剤を含有することができる。他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。
<記録媒体>
本発明のインクジェット記録方法は、記録媒体に上に画像を記録するものである。
記録媒体には、特に制限はないが、一般のオフセット印刷などに用いられる、いわゆる上質紙、コート紙、アート紙などのセルロースを主体とする一般印刷用紙を用いることができる。セルロースを主体とする一般印刷用紙は、水性インクを用いた一般のインクジェット法による画像記録においては比較的インクの吸収、乾燥が遅く、打滴後に色材移動が起こりやすく、画像品質が低下しやすいが、本発明のインクジェット記録方法によると、色材移動を抑制して色濃度、色相に優れた高品位の画像の記録が可能である。
記録媒体の中でも、一般のオフセット印刷などに用いられるいわゆる塗工紙が好ましい。塗工紙は、セルロースを主体とした一般に表面処理されていない上質紙や中性紙等の表面にコート材を塗布してコート層を設けたものである。塗工紙は、通常の水性インクジェットによる画像形成においては、画像の光沢や擦過耐性など、品質上の問題を生じやすいが、本発明のインクジェット記録方法では、光沢ムラが抑制されて光沢性、耐擦性の良好な画像を得ることができる。特に、原紙と無機顔料を含むコート層とを有する塗工紙を用いるのが好ましく、原紙とカオリン及び/又は重炭酸カルシウムを含むコート層とを有する塗工紙を用いるのがより好ましい。具体的には、アート紙、コート紙、軽量コート紙、又は微塗工紙がより好ましい。
[実施例]
次に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1に示す画像形成装置を用いて、画像の形成を行い、搬送性および乾燥性の評価を行った。送風手段としては、記録媒体の幅方向に8個のファンを1列に並べ、それを4列、計32個のファンを用いて乾燥を行った。また、乾燥風の風温は75℃で行い、記録媒体は、図7に示すように、5種類の剛性の記録媒体を用いて、試験を行った。風量を64m/min、胴温度60℃を基準として、風量を落とすことにより不足した熱量を、図5に記載されたΔTconの温度分、搬送媒体(乾燥ドラムの外周面)の温度を上昇させて試験を行った。結果を図7に示す。また、図7中の搬送性および乾燥性は以下の基準で評価を行った。
<搬送性>
○・・・良好
△・・・一部、搬送不良あり
×・・・搬送不良
<乾燥性>
○・・・良好
△・・・一部、乾燥不良あり
×・・・乾燥不良
本実施例においては、評価が「○」を許容範囲内、「△」以下を許容範囲外とした。
図7より、剛性の高い記録媒体を用いた試験例3〜5は、風量を高くしても搬送性が良好であり、また、胴温度が低くても乾燥性も良好であった。逆に剛性の低い記録媒体では、風量が高いと搬送性が悪くなり(試験例1、2)、胴温度が低いと乾燥性が悪かった(試験例10、11)。また、風量を下げ、胴温度を上げた試験例6、7においても、一部、搬送性に不良があった。試験例8、9のように、乾燥風を停止し、その分低下したエネルギーを胴温度(接触式記録手段)から補いうことで、乾燥性と搬送性の両立を行うことができた。
1…インクジェット記録装置、10…給紙部、12…処理液付与部、14…描画部、16…乾燥部、18…定着部、20…排出部、22…記録媒体、24…第1の中間搬送部、26…第2の中間搬送部、28…第3の中間搬送部、30…中間搬送体、55、71、77、85…保持手段、70…描画ドラム、72M,72C,72Y,72K…インクヘッド、76…乾燥ドラム、78…第1のIRヒータ、80…温風噴出しノズル、82…第2のIRヒータ、83…加熱手段、84…定着ドラム、88…UVランプ

Claims (10)

  1. 画像が形成された記録媒体を搬送媒体に載せ搬送する搬送手段と、
    前記搬送手段によって搬送される前記画像が形成された前記記録媒体の画像形成面に乾燥風を吹き付ける送風手段と、
    前記乾燥風を加熱する乾燥風加熱手段と、
    前記記録媒体の剛性によって、前記記録媒体の剛性が低い場合は、前記乾燥風の風量を下げるように、前記乾燥風の風量を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする乾燥装置。
  2. 前記搬送媒体を加熱する第1の加熱手段と、を備え、
    前記制御手段は、前記乾燥風の風量により、前記搬送媒体の温度を制御することを特徴とする請求項1に記載の乾燥装置。
  3. 前記制御手段により前記乾燥風の風量を下げたために減少する熱量ΔQairを、前記搬送媒体の温度上昇ΔTにより得られる熱量ΔQconを与えることで補うことを特徴とする請求項2に記載の乾燥装置。
  4. 前記制御手段は、前記記録媒体の剛性が3mN・m以下であるとき、前記乾燥風の吹き付けを停止することを特徴とする請求項1から3いずれか1項に記載の乾燥装置。
  5. 前記記録媒体を非接触で加熱する第2の加熱手段を備えることを特徴とする請求項1から4いずれか1項に記載の乾燥装置。
  6. 前記記録媒体の表面にインクを打滴し、画像を形成する画像形成手段と、
    前記請求項1から5いずれか1項に記載の乾燥装置と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
  7. 画像が形成された記録媒体を搬送媒体に載せ搬送する搬送工程と、
    前記記録媒体に吹き付ける乾燥風を加熱する乾燥風加熱工程と、
    前記画像が形成された前記記録媒体の画像形成面に前記乾燥風を吹き付ける送風工程と、
    前記記録媒体の剛性によって、前記記録媒体の剛性が低い場合は、前記送風工程の前記乾燥風の風量を下げるように、前記乾燥風の風量を制御する制御工程と、を備えることを特徴とする乾燥方法。
  8. 前記搬送媒体を加熱する第1の加熱工程と、を有し、
    前記制御工程は、前記乾燥風の風量により、前記搬送体の温度を制御することを特徴とする請求項7に記載の乾燥方法。
  9. 前記制御工程は、前記記録媒体の剛性が3mN・m以下であるとき、前記乾燥風の吹き付けを停止することを特徴とする請求項7または8に記載の乾燥方法。
  10. 記録媒体の表面にインクを打滴し、画像を形成する画像形成工程と、
    前記画像が形成された前記記録媒体を搬送媒体に載せ搬送する搬送工程と、
    前記記録媒体に吹き付ける乾燥風を加熱する乾燥風加熱工程と、
    前記画像が形成された前記記録媒体の画像形成面に前記乾燥風を吹き付ける送風工程と、
    前記記録媒体の剛性によって、前記記録媒体の剛性が低い場合は、前記送風工程の前記乾燥風の風量を下げるように、前記乾燥風の風量を制御する制御工程と、を備えることを特徴とする画像形成方法。
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