JP2011051215A - インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】効率的にカックルを抑止・矯正することができるインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
【解決手段】記録媒体124上にインクを打滴し、画像を形成するインクジェットヘッド172と、インク打滴後の記録媒体124を搬送体に載せ搬送する搬送手段と、を備え、搬送手段は、インクジェットヘッド172による画像形成面の裏面側から記録媒体124を、搬送体表面に拘束する拘束手段と、記録媒体124の搬送方向における曲げ剛性値またはヤング率のいずれかから選ばれる記録前の剛性値をE0としたとき、記録媒体の剛性値がE0の70%以上の状態で拘束を解放し、E0が50%以下の状態で拘束を開始するように制御する制御手段と、を備えることを特徴とするインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法である。
【選択図】図1
【解決手段】記録媒体124上にインクを打滴し、画像を形成するインクジェットヘッド172と、インク打滴後の記録媒体124を搬送体に載せ搬送する搬送手段と、を備え、搬送手段は、インクジェットヘッド172による画像形成面の裏面側から記録媒体124を、搬送体表面に拘束する拘束手段と、記録媒体124の搬送方向における曲げ剛性値またはヤング率のいずれかから選ばれる記録前の剛性値をE0としたとき、記録媒体の剛性値がE0の70%以上の状態で拘束を解放し、E0が50%以下の状態で拘束を開始するように制御する制御手段と、を備えることを特徴とするインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法である。
【選択図】図1
Description
本発明はインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法に係り、特に、カックルを効果的に抑制・矯正することができるインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法に関する。
記録媒体の記録面にインク滴を着弾することにより記録を行うインクジェット記録装置が、プリンタ、ファクシミリ、複写装置などの画像記録装置あるいは画像形成装置として一般的に広く普及している。水性インクを用いるインクジェット記録方法では、記録媒体にインク滴を吐出して着弾させるため、紙などの記録媒体には、インク水分がしみ込むことによりカックル(記録媒体の吸収により、記録媒体が膨張変形する)と呼ばれる現象が生じ、この現象により記録品位を低下させている。
特に、インクジェットプリンタの高解像度化、高速記録化に伴い、インクジェットヘッドは吐出口が高密度に配列され、かつ、吐出口の数が多くなり、長尺化の傾向にある。このように、高密度に配列され、固定化された長尺ヘッドを用いて1回のパスで高速印刷を行うシステムの場合、従来に比べ、一度に多量のインクが打滴され、かつ、乾燥時間が短く制限される。よって、高速化においてもカックルを抑制するために、効率的に乾燥を実施する必要がある。
カックルの発生を抑制するために、例えば、下記の特許文献1には、印字後の記録媒体上のインクを短時間で、確実に乾燥させるために、回転ドラムに記録媒体を吸着搬送しつつ乾燥する手段を備えた装置が提案されている。また、特許文献2には、印字後の記録媒体を上下から拘束した状態で、記録媒体のカールが発生しにくくなるまで待機させた後、排紙動作を行うことで、カールを防止することができることが記載されている。
しかしながら、特許文献1の装置では、インク水分の浸透・乾燥による紙の剛性の時間変化と拘束タイミングの関係に関しては考慮されていなかった。また、特許文献2の装置では、カールやカックルが発生しなくなるまでには、拘束時間を長時間維持する必要があり、生産性が著しく低下するという問題があった。
拘束乾燥においては、インク水分の紙中への浸透による紙の剛性の低下を考慮する必要がある。印字後、インク水分の浸透が短時間で進行するとともに、紙繊維の水素結合が切断されるため、紙の剛性は著しく低下する。その後、水分を乾燥させると、紙繊維の水素結合は再結合され、紙の剛性が回復する。
紙の剛性の変化を考慮にいれ、拘束タイミングを考えると、紙の剛性が低下している状態で拘束するほど、紙のコシが弱くなるので、カックルが矯正し易くなる。逆に、乾燥し過ぎて、紙の剛性が中途半端に回復した状態で拘束してしまうと、カックルを矯正しきれず、カックルが残留し、拘束時にシワとなったまま排紙されてしまう。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、圧胴搬送形式のような、記録媒体を拘束する時間が限定されるような搬送系において、拘束乾燥を実施する場合、効率的にカックルを抑止・矯正することができるインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
本発明の請求項1は、前記目的を達成するために、記録媒体上にインクを打滴し、画像を形成するインクジェットヘッドと、前記インク打滴後の記録媒体を搬送体に載せ搬送する搬送手段と、を備え、前記搬送手段は、前記インクジェットヘッドによる画像形成面の裏面側から前記記録媒体を、前記搬送体表面に拘束する拘束手段と、前記記録媒体の搬送方向における曲げ剛性値またはヤング率のいずれかから選ばれる記録前の剛性値をE0としたとき、前記記録媒体の剛性値がE0の70%以上の状態で拘束を解放し、前記インク中の溶媒により前記記録媒体の低下する剛性値の値が、E0の50%以下となる場合、E0が50%以下の状態で拘束を開始するように制御する制御手段と、を備えることを特徴とするインクジェット記録装置を提供する。
請求項1によれば、画像形成後の記録媒体を搬送体に拘束しながら搬送するインクジェット記録装置において、記録媒体の曲げ剛性値やヤング率のいずれかから選ばれる剛性値が、インク中の溶媒により低下した後、記録媒体の記録前の剛性値が70%以上回復した状態で記録媒体の拘束を解放する。これにより、記録媒体の拘束を解放した時点では、画像形成後の記録媒体の剛性が回復しているので、拘束を解放した後にカックルが成長することを抑止することができる。
拘束を開始するときは、インク付与により記録媒体の剛性値が50%以下に低下する場合は、50%以上に低下した状態で拘束を開始する。剛性値が高い状態で拘束を行うと、記録媒体の矯正が不十分となり、解放後に残留カックルによるシワ(拘束シワ)が発生する場合がある。剛性値の低い状態で拘束を開始することにより、拘束シワの発生を防止することができる。
なお、「前記インクジェットヘッドによる画像形成面の裏面側」とは、拘束手段により拘束を行う直前のインクジェットヘッドにより形成された画像形成面の裏面側のことをいう。したがって、片面印刷の場合は、画像が形成されていない面のことであり、両面印刷の場合は、最初に画像が形成された面のことである。
請求項2は請求項1において、前記制御手段は、前記記録媒体の剛性値がE0の40%以下の状態で前記記録媒体の拘束を開始し、前記記録媒体の剛性値がE0の80%以上の状態で前記記録媒体の拘束を解放することを特徴とする。
請求項2は、記録媒体への拘束を開始、解放する状態のさらに好ましい範囲を規定したものである、請求項2の範囲とすることで、より確実にカックルとシワを抑止することができる。
本発明の請求項3は、前記目的を達成するために、記録媒体上にインクを打滴し、画像を形成するインクジェットヘッドと、前記インク打滴後の記録媒体を搬送体に載せ搬送する搬送手段と、を備え、前記搬送手段は、前記インクジェットヘッドによる画像形成面の裏面側から前記記録媒体を、前記搬送体表面に拘束する拘束手段と、前記記録媒体中の前記インク由来の含水量が3g/m2以下の状態で拘束を解放し、前記記録媒体中の前記インク由来の含水量が4.5g/m2以上となる場合、前記含水量が4.5g/m2以上の状態で拘束を開始するように制御する制御手段と、を備えることを特徴とするインクジェット記録装置を提供する。
本発明の請求項3は、記録媒体の剛性値を含水率として記載したものであり、含水率を上記範囲内とし、記録媒体の拘束の開始、解放を行うことにより、剛性が低下した時点で記録媒体の拘束を開始し、記録媒体の剛性が回復した時点で拘束を解放することができるので、請求項1と同様の効果を得ることができる。
請求項4は請求項3において、前記制御手段は、前記記録媒体中の前記インク由来の含水量が5.5g/m2以上の状態で拘束を開始し、前記記録媒体中のインク由来の含水量が2g/m2以下の状態で拘束を解放することを特徴とする。
請求項4は、記録媒体への拘束を開始、解放する状態のさらに好ましい範囲を規定したものであり、含水率を請求項4の範囲とすることで、より確実にカックルとシワを抑止することができる。
請求項5は請求項1から4いずれか1項において、前記記録媒体は、前記拘束手段により拘束された状態で、前記記録媒体上に付与された前記インクを加熱する乾燥手段を備えることを特徴とする。
請求項5によれば、拘束された状態で乾燥する乾燥手段を設けることにより、拘束時間を短縮することができるので、生産性を向上させることができる。
請求項6は請求項5において、前記乾燥手段は、前記記録媒体の乾燥速度を制御する乾燥制御手段を備えることを特徴とする。
請求項6によれば、乾燥速度制御手段により、インクの乾燥速度を制御することにより、装置上の設計変更をすることなく、記録媒体の拘束時の状態を本発明の範囲内にすることができる。
請求項7は請求項1から6いずれか1項において、前記制御手段は、前記インクジェットにより前記画像の形成終了後、5秒以内に前記記録媒体を拘束することを特徴とする。
請求項7によれば、インクジェットによる画像の形成終了後から5秒以内に記録媒体を拘束することにより、画像形成後から拘束までのカックルの成長を抑止することができる。
請求項8は請求項1から7いずれか1項において、前記インクジェットによる画像形成時に、前記記録媒体を拘束する第2の搬送体を備えることを特徴とする。
請求項8によれば、第2の搬送体を備え、インクジェットによる画像形成時においても記録媒体を拘束することにより、カックルの初期成長を抑止することができる。
請求項9は請求項1から8いずれか1項において、前記インクが熱可塑性樹脂微粒子を含むことを特徴とする。
請求項9によれば、インク中に熱可塑性樹脂微粒子を含んでいるため、乾燥を行うことにより、画像強度を向上させることができる。
請求項10は請求項9において、前記記録媒体を加熱・加圧する定着手段を備えることを特徴とする。
請求項10によれば、定着手段で熱を加えることにより、画像強度を向上させることができる。
請求項11は請求項1から8いずれか1項において、前記インクがUV硬化性モノマーを含み、UV照射による定着手段を備えることを特徴とする。
請求項11によれば、インク中にUV硬化性モノマーを含み、UV照射により画像を定着させることができるので、画像強度を向上させることができるとともに、消費エネルギーを減らすことができる。
本発明の請求項12は、前記目的を達成するために、記録媒体上にインクを打滴し、画像を形成するインク吐出工程と、前記インク打滴後の記録媒体を搬送体に載せ搬送する搬送工程と、を有し、前記搬送工程は、前記インク吐出工程における画像形成面の裏面側から前記記録媒体を、前記搬送体表面に拘束しながら搬送し、前記記録媒体の搬送方向における曲げ剛性率またはヤング率のいずれかから選ばれる記録前の剛性値E0としたとき、前記記録媒体の剛性値がE0の70%以上の状態で拘束を解放し、前記インク中の溶媒により前記記録媒体の低下する剛性値の値が、E0の50%以下となる場合、E0が50%以下の状態で拘束を開始するように制御することを特徴とするインクジェット記録方法を提供する。
本発明の請求項13は、前記目的を達成するために、記録媒体上にインクを打滴し、画像を形成するインク吐出工程と、前記インク打滴後の記録媒体を搬送体に載せ搬送する搬送工程と、を有し、前記搬送工程は、前記インク吐出工程における画像形成面の裏面側から前記記録媒体を、前記搬送体表面に拘束しながら搬送し、前記記録媒体中の前記インク由来の含水量が3g/m2以下の状態で前記記録媒体の拘束を解放し、前記記録媒体中の前記インク由来の含水量が4.5g/m2以上となる場合、前記含水量が4.5g/m2以上の状態で拘束を開始するように制御することを特徴とするインクジェット記録方法を提供する。
請求項12および13は、請求項1および請求項3に記載のインクジェット記録装置をインクジェット記録方法として展開したものであり、請求項12および13によれば、上記記載のインクジェット記録装置と同様の効果を得ることができる。
本発明のインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法によれば、記録媒体の拘束を、記録媒体の剛性が回復した状態で解放しているので、拘束解放後のカックル成長を抑止することができる。また、記録媒体の剛性が低い状態で拘束を開始することにより、搬送体で矯正を十分に行うことができるので、シワの発生を抑制することができる。
以下、添付図面に従って、本発明に係るインクジェット記録装置の好ましい実施の形態について説明する。
[インクジェット記録装置の全体構成]
図1は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の構成図である。このインクジェット記録装置100は、描画部116の圧胴(描画ドラム170)に保持された記録媒体124(便宜上「用紙」と呼ぶ場合がある。)にインクジェットヘッド172M、172K、172C、172Yから複数色のインクを打滴して所望のカラー画像を形成する圧胴直描方式のインクジェット記録装置であり、インクの打滴前に記録媒体124上に処理液(ここでは凝集処理液)を付与し、処理液とインク液を反応させて記録媒体124上に画像形成を行う2液反応(凝集)方式が適用されたオンデマンドタイプの画像形成装置である。
図1は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の構成図である。このインクジェット記録装置100は、描画部116の圧胴(描画ドラム170)に保持された記録媒体124(便宜上「用紙」と呼ぶ場合がある。)にインクジェットヘッド172M、172K、172C、172Yから複数色のインクを打滴して所望のカラー画像を形成する圧胴直描方式のインクジェット記録装置であり、インクの打滴前に記録媒体124上に処理液(ここでは凝集処理液)を付与し、処理液とインク液を反応させて記録媒体124上に画像形成を行う2液反応(凝集)方式が適用されたオンデマンドタイプの画像形成装置である。
図示のように、インクジェット記録装置100は、主として、給紙部112、処理液付与部114、描画部116、乾燥部118、定着部120、及び排出部122を備えて構成される。
(給紙部)
給紙部112は、記録媒体124を処理液付与部114に供給する機構であり、当該給紙部112には、枚葉紙である記録媒体124が積層されている。給紙部112には、給紙トレイ150が設けられ、この給紙トレイ150から記録媒体124が一枚ずつ処理液付与部114に給紙される。
給紙部112は、記録媒体124を処理液付与部114に供給する機構であり、当該給紙部112には、枚葉紙である記録媒体124が積層されている。給紙部112には、給紙トレイ150が設けられ、この給紙トレイ150から記録媒体124が一枚ずつ処理液付与部114に給紙される。
本例のインクジェット記録装置100では、記録媒体124として、紙種や大きさ(用紙サイズ)の異なる複数種類の記録媒体124を使用することができる。給紙部112において各種の記録媒体をそれぞれ区別して集積する複数の用紙トレイ(不図示)を備え、これら複数の用紙トレイの中から給紙トレイ150に送る用紙を自動で切り換える態様も可能であるし、必要に応じてオペレータが用紙トレイを選択し、若しくは交換する態様も可能である。なお、本例では、記録媒体124として、枚葉紙(カット紙)を用いるが、連続用紙(ロール紙)から必要なサイズに切断して給紙する構成も可能である。
(処理液付与部)
処理液付与部114は、記録媒体124の記録面に処理液を付与する機構である。処理液は、描画部116で付与されるインク中の色材(本例では顔料)を凝集させる色材凝集剤を含んでおり、この処理液とインクとが接触することによって、インクは色材と溶媒との分離が促進される。
処理液付与部114は、記録媒体124の記録面に処理液を付与する機構である。処理液は、描画部116で付与されるインク中の色材(本例では顔料)を凝集させる色材凝集剤を含んでおり、この処理液とインクとが接触することによって、インクは色材と溶媒との分離が促進される。
図1に示すように、処理液付与部114は、給紙胴152、処理液ドラム154、及び処理液塗布装置156を備えている。処理液ドラム154は、記録媒体124を保持し、回転搬送させるドラムである。処理液ドラム154は、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)155を備え、この保持手段155の爪と処理液ドラム154の周面の間に記録媒体124を挟み込むことによって記録媒体124の先端を保持できるようになっている。処理液ドラム154は、その外周面に吸着穴を設けるとともに、吸着穴から吸引を行う吸引手段を接続してもよい。これにより記録媒体124を処理液ドラム154の周面に密着保持することができる。
処理液ドラム154の外側には、その周面に対向して処理液塗布装置156が設けられる。処理液塗布装置156は、処理液が貯留された処理液容器と、この処理液容器の処理液に一部が浸漬されたアニックスローラと、アニックスローラと処理液ドラム154上の記録媒体124に圧接されて計量後の処理液を記録媒体124に転移するゴムローラとで構成される。この処理液塗布装置156によれば、処理液を計量しながら記録媒体124に塗布することができる。
本実施形態では、ローラによる塗布方式を適用した構成を例示したが、これに限定されず、例えば、スプレー方式、インクジェット方式などの各種方式を適用することも可能である。
処理液付与部114で処理液が付与された記録媒体124は、処理液ドラム154から中間搬送部126を介して描画部116の描画ドラム170へ受け渡される。
(描画部)
描画部116は、描画ドラム(第2の搬送体)170、用紙抑えローラ174、及びインクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yを備えている。描画ドラム170は、処理液ドラム154と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)171を備える。描画ドラム170に固定された記録媒体124は、記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面にインクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yからインクが付与される。
描画部116は、描画ドラム(第2の搬送体)170、用紙抑えローラ174、及びインクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yを備えている。描画ドラム170は、処理液ドラム154と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)171を備える。描画ドラム170に固定された記録媒体124は、記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面にインクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yからインクが付与される。
インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yはそれぞれ、記録媒体124における画像形成領域の最大幅に対応する長さを有するフルライン型のインクジェット方式の記録ヘッド(インクジェットヘッド)とすることが好ましい。インク吐出面には、画像形成領域の全幅にわたってインク吐出用のノズルが複数配列されたノズル列が形成されている。各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yは、記録媒体124の搬送方向(描画ドラム170の回転方向)と直交する方向に延在するように設置される。
描画ドラム170上に密着保持された記録媒体124の記録面に向かって各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yから、対応する色インクの液滴が吐出されることにより、処理液付与部114で予め記録面に付与された処理液にインクが接触し、インク中に分散する色材(顔料)が凝集され、色材凝集体が形成される。これにより、記録媒体124上での色材流れなどが防止され、記録媒体124の記録面に画像が形成される。
なお、本例では、CMYKの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組合せについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能であり、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
描画部116で画像が形成された記録媒体124は、描画ドラム170から中間搬送部128を介して乾燥部118の乾燥ドラム176へ受け渡される。
(乾燥部)
乾燥部118は、色材凝集作用により分離された溶媒に含まれる水分を乾燥させる機構であり、図1に示すように、乾燥ドラム(搬送体)176、及び溶媒乾燥装置178を備えている。
乾燥部118は、色材凝集作用により分離された溶媒に含まれる水分を乾燥させる機構であり、図1に示すように、乾燥ドラム(搬送体)176、及び溶媒乾燥装置178を備えている。
乾燥ドラム176は、処理液ドラム154と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)177を備え、この保持手段177によって記録媒体124の先端を保持できるようになっている。
溶媒乾燥装置178は、乾燥ドラム176の外周面に対向する位置に配置され、IRヒータ182と、IRヒータ182の間に配置された温風噴出しノズル180とで構成される。
温風噴出しノズル180から記録媒体124に向けて吹き付けられる温風の温度と風量、各IRヒータ182の温度を適宜調節することにより、様々な乾燥条件を実現することができる。
乾燥ドラム176は、その外周面に記録媒体124を保持して回転搬送させるドラムであり、モータドライバ(図示せず)によってその回転が駆動制御される。記録媒体124は、保持手段によって先端が保持された状態で、乾燥ドラム176を回転させることによって回転搬送される。その際、記録媒体124の記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面に対して温風噴出しノズル180、IRヒータ182による乾燥処理が行われる。
温風噴出しノズル180は、所定の温度(たとえば50℃〜70℃)に制御された温風を一定の風量(12m3/分)で記録媒体124に向けて吹き付けるように構成され、IRヒータ182はそれぞれ所定の温度(たとえば180℃)に制御される。これらの温風噴出しノズル180、IRヒータ182によって、乾燥ドラム176に保持された記録媒体124の印字面に含まれる水分が蒸発され、乾燥処理が行われる。その際、乾燥部118の乾燥ドラム176は、描画部116の描画ドラム170に対して構造上分離しているので、インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yにおいて、熱乾燥によるヘッドメニスカス部の乾燥によるインクの不吐出を低減することができる。また、乾燥部118の温度設定に自由度があり、最適な乾燥温度を設定することができる。
なお、蒸発した水分は不図示の排出手段によりエアとともに機外に排出するとよい。また、回収されたエアを冷却器(ラジエータ)などで冷却して、液体として回収してもよい。
乾燥部118で乾燥処理が行われた記録媒体124は、乾燥ドラム176から中間搬送部130を介して定着部120の定着ドラム184へ受け渡される。
(定着部)
定着部120は、定着ドラム184、ハロゲンヒータ186、定着ローラ188、及びインラインセンサ190で構成される。定着ドラム184は、処理液ドラム154と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)185を備え、この保持手段185によって記録媒体124の先端を保持できるようになっている。
定着部120は、定着ドラム184、ハロゲンヒータ186、定着ローラ188、及びインラインセンサ190で構成される。定着ドラム184は、処理液ドラム154と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)185を備え、この保持手段185によって記録媒体124の先端を保持できるようになっている。
定着ドラム184の回転により、記録媒体124は記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面に対して、ハロゲンヒータ186による予備加熱と、定着ローラ188による定着処理と、インラインセンサ190による検査が行われる。
ハロゲンヒータ186は、所定の温度(例えば、180℃)に制御される。これにより、記録媒体124の予備加熱が行われる。
定着ローラ188は、乾燥させたインクを加熱加圧することによってインク中の自己分散性熱可塑性樹脂微粒子を溶着し、インクを皮膜化させるためのローラ部材であり、記録媒体124を加熱加圧するように構成される。具体的には、定着ローラ188は、定着ドラム184に対して圧接するように配置されており、定着ドラム184との間でニップローラを構成するようになっている。これにより、記録媒体124は、定着ローラ188と定着ドラム184との間に挟まれ、所定のニップ圧(例えば、0.15MPa)でニップされ、定着処理が行われる。
また、定着ローラ188は、熱伝導性の良いアルミなどの金属パイプ内にハロゲンランプを組み込んだ加熱ローラによって構成され、所定の温度(たとえば60〜80℃)に制御される。この加熱ローラで記録媒体124を加熱することによって、インクに含まれる熱可塑性樹脂微粒子のTg温度(ガラス転移点温度)以上の熱エネルギーが付与され、熱可塑性樹脂微粒子が溶融される。これにより、記録媒体124の凹凸に押し込み定着が行われるとともに、画像表面の凹凸がレベリングされ、光沢性が得られる。
なお、図1の実施形態では、定着ローラ188を1つだけ設けた構成となっているが、画像層厚みや熱可塑性樹脂微粒子のTg特性に応じて、複数段設けた構成でもよい。
一方、インラインセンサ190は、記録媒体124に定着された画像について、チェックパターンや水分量、表面温度、光沢度などを計測するための計測手段であり、CCDラインセンサなどが適用される。
上記の如く構成された定着部120によれば、乾燥部118で形成された薄層の画像層内の熱可塑性樹脂微粒子が定着ローラ188によって加熱加圧されて溶融されるので、記録媒体124に固定定着させることができる。また、定着ドラム184の表面温度を50℃以上に設定することで、定着ドラム184の外周面に保持された記録媒体124を裏面から加熱することによって乾燥が促進され、定着時における画像破壊を防止することができるとともに、画像温度の昇温効果によって画像強度を高めることができる。
また、インク中にUV硬化性モノマーを含有させた場合は、乾燥部で水分を十分に揮発させた後に、UV照射ランプを備えた定着部で、画像にUVを照射することで、UV硬化性モノマーを硬化重合させ、画像強度を向上させることができる。
(排出部)
図1に示すように、定着部120に続いて排出部122が設けられている。排出部122は、排出トレイ192を備えており、この排出トレイ192と定着部120の定着ドラム184との間に、これらに対接するように渡し胴194、搬送ベルト196、張架ローラ198が設けられている。記録媒体124は、渡し胴194により搬送ベルト196に送られ、排出トレイ192に排出される。
図1に示すように、定着部120に続いて排出部122が設けられている。排出部122は、排出トレイ192を備えており、この排出トレイ192と定着部120の定着ドラム184との間に、これらに対接するように渡し胴194、搬送ベルト196、張架ローラ198が設けられている。記録媒体124は、渡し胴194により搬送ベルト196に送られ、排出トレイ192に排出される。
また、図には示されていないが、本例のインクジェット記録装置100には、上記構成の他、各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yにインクを供給するインク貯蔵/装填部、処理液付与部114に対して処理液を供給する手段を備えるとともに、各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yのクリーニング(ノズル面のワイピング、パージ、ノズル吸引等)を行うヘッドメンテナンス部や、用紙搬送路上における記録媒体124の位置を検出する位置検出センサ、装置各部の温度を検出する温度センサなどを備えている。
なお、図1においてはドラム搬送方式のインクジェット記録装置について説明したが、本発明はこれに限定されず、乾燥部において、搬送体表面から負圧吸引を行うための吸着穴を備えることができればよく、搬送体と第2の搬送体が一体となったベルト搬送方式のインクジェット記録装置などにおいても用いることができる。 [乾燥ドラムの構成]
本発明において、乾燥ドラム176は、記録媒体124を乾燥ドラム176の周面に拘束する拘束手段を有している。図2においては、拘束手段として、乾燥ドラム176の外周面に吸着穴を設けるとともに、吸着穴から吸引を行う吸引手段を有している。吸着穴から吸引することにより、記録媒体124を乾燥ドラム176の周面に密着保持することができる。
本発明において、乾燥ドラム176は、記録媒体124を乾燥ドラム176の周面に拘束する拘束手段を有している。図2においては、拘束手段として、乾燥ドラム176の外周面に吸着穴を設けるとともに、吸着穴から吸引を行う吸引手段を有している。吸着穴から吸引することにより、記録媒体124を乾燥ドラム176の周面に密着保持することができる。
また、乾燥ドラム176は、その外周面を所定の温度に制御することが好ましい。記録媒体124の裏面から加熱を行うことによって乾燥が促進され、定着時における画像破壊を防止することができる。乾燥ドラム176の表面温度の範囲は、50℃以上が好ましく、より好ましくは60℃以上である。また、上限については、特に限定されるものではないが、乾燥ドラム176の表面に付着したインクをクリーニングするなどのメンテナンス作業の安全性(高温による火傷防止)の観点から75℃以下が好ましい。
また、図1に示す装置のように、記録媒体124の記録面が外側を向くように(即ち、記録媒体124の記録面が凸側となるように湾曲させた状態で)保持し、回転搬送しながら乾燥することで、記録媒体124のシワや浮きの発生を防止でき、これらに起因する乾燥ムラを確実に防止することができる。
乾燥ドラムの径など、インクジェット記録装置の構造は、記録媒体124が、拘束の開始・終了時の記録媒体の剛性値または含水率が本発明の範囲内に含まれるように、設計することが好ましい。
次に、真空吸着方式の具体的な構造について説明する。
図2は、乾燥ドラム176の全体構造を示す斜視図である。同図に示すように、乾燥ドラム176は、不図示の回転機構に連結され、軸受け11A,11Bにより支持される回転軸12の周りを、該回転機構の動作によって回転可能に構成される回転体部材である。
また、乾燥ドラム176の記録媒体124(図1参照)が保持(固定)される記録媒体保持面(周面)13には、記録媒体保持領域14(ドットハッチで図示した領域)が設けられて、記録媒体保持領域14には多数の吸着穴(開口)が設けられている。一方、乾燥ドラム176の軸方向(回転軸12と平行方向)の略中央部は、吸着穴が設けられていない非開口部16となっている。
図2に示す乾燥ドラム176の内部には、該吸着穴と連通する真空流路が設けられており、該真空流路は、乾燥ドラム176の側面に設けられた真空配管系18(配管、ジョイント等)及び、乾燥ドラム176の回転軸12の内部に設けられた真空流路を介して乾燥ドラム176の外部に設けられた真空ポンプ(図2中不図示、図4に符号442で図示:吸着圧力発生手段)に接続されている。該真空ポンプを動作させて真空(負圧)を発生させると、吸着穴及び真空流路等を介して記録媒体124に吸着圧力が付与される。即ち、乾燥ドラム176は、エア吸着方式により記録媒体保持面13である周面に記録媒体124が保持されるように構成されている。
次に、乾燥ドラム176内部の真空流路の構造について説明する。
図3は、乾燥ドラム176の内部構造を示す分解斜視図である。同図に示すように、乾燥ドラム176は、多数の吸着穴が設けられている吸着シート20と、各吸着穴と連通する複数の吸着溝22(開口部を有する流路形成部)が所定の配列パターンに従って設けられている中間シート24と、を含み、更に、ドラム吸着溝26(圧力発生部)を備えたドラム本体30を含んで構成されている。
更にまた、ドラム本体30に設けられたドラム吸着溝26の端部には、ドラム本体30の内部に設けられる不図示の真空流路と連通するドラム吸着穴28が設けられている。
図3に示すように、乾燥ドラム176は、ドラム本体30のドラム吸着溝26と中間シート24の絞り部(流路制御部)の位置合わせがされ、ドラム本体30の周面に中間シート24を巻きつけて密着させて固定するとともに、吸着シート20に設けられる吸着穴が中間シート24の何れかの吸着溝22と連通するように、中間シート24の吸着溝22と吸着シート20の吸着穴の位置合わせがされ、中間シート24の上に吸着シート20を巻きつけて密着させて固定した構造を有している。
吸着シート20に設けられる吸着穴の配置パターンは、中間シート24の吸着溝22のパターンに対応していることが好ましい。なお、吸着穴のうち、吸着溝22と連通しないものがあってもよい。
本例では、2枚のシート(吸着シート20及び中間シート24)を組み合わせて、真空流路の一部を形成する態様を例示したが、吸着シート20及び中間シート24を共通化した1枚のシートに吸着穴、吸着溝22及び絞り部(図示されていない)を形成してもよい。例えば、1枚のシートの一方の面に吸着穴の加工を行い、他方の面に吸着溝22及び絞り部の加工を行うことで、吸着シート20及び中間シート24を1枚のシートで実現することも可能である。
拘束手段の他の例としては、静電吸着により記録媒体124を吸着し拘束することができる。静電吸着により吸着し、拘束する方法としては、乾燥ドラム176上に巻き掛けられたシートには、電極を内設し、該電極は乾燥ドラム176と接触するように構成する。そして、乾燥ドラム176には、直流高圧発生器を接続し、直流高圧発生期から乾燥ドラム176に対して直流高電圧が印加されると、乾燥ドラム176に巻き掛けられているシートが帯電し、静電吸着効果によって、記録媒体124はシート上に吸着保持することができる。
なお、拘束手段の具体例については、乾燥ドラム176について説明を行ったが、拘束手段を有するドラムは、描画ドラム170に設け、画像形成時から記録媒体124を拘束することが好ましい。画像形成時から記録媒体124を拘束することにより、カックルの初期成長を抑止することができる。
[拘束時の条件]
(剛性値)
本発明においては、記録媒体の曲げ剛性値またはヤング率のいずれかから選ばれる剛性値の記録前の剛性値をE0とした時に、記録後のインク水分の浸透により、E0の50%以下まで剛性値が低下した状態で拘束を開始する。また、乾燥の進行により紙繊維の再結合が促され、E0の70%以上に剛性値が回復した状態で、拘束を終了し、記録媒体を解放する。このような状態で、拘束の解放を行うことにより、記録媒体の拘束を解放しても、剛性が既に回復しているので、カックルの発生を抑制することができる。また、剛性が低下した状態で拘束を開始することにより、拘束時の矯正を十分に行うことができる。剛性が、50%を越えるまで回復した状態で拘束を行うと、矯正が十分行われず、拘束を解放することにより、残留カックルによりシワ(拘束シワ)が発生してしまうため、50%以下で拘束を開始する。本発明によれば、拘束乾燥時間が限定される場合においても、その乾燥時間の範囲内で剛性値により、拘束の開始・開放を行うことができるので、カックルを効果的に抑制・矯正をすることができる。拘束の開始・開放は、好ましくは、拘束開始時をE0の40%以下、拘束終了時をE0の80%以上である。
(剛性値)
本発明においては、記録媒体の曲げ剛性値またはヤング率のいずれかから選ばれる剛性値の記録前の剛性値をE0とした時に、記録後のインク水分の浸透により、E0の50%以下まで剛性値が低下した状態で拘束を開始する。また、乾燥の進行により紙繊維の再結合が促され、E0の70%以上に剛性値が回復した状態で、拘束を終了し、記録媒体を解放する。このような状態で、拘束の解放を行うことにより、記録媒体の拘束を解放しても、剛性が既に回復しているので、カックルの発生を抑制することができる。また、剛性が低下した状態で拘束を開始することにより、拘束時の矯正を十分に行うことができる。剛性が、50%を越えるまで回復した状態で拘束を行うと、矯正が十分行われず、拘束を解放することにより、残留カックルによりシワ(拘束シワ)が発生してしまうため、50%以下で拘束を開始する。本発明によれば、拘束乾燥時間が限定される場合においても、その乾燥時間の範囲内で剛性値により、拘束の開始・開放を行うことができるので、カックルを効果的に抑制・矯正をすることができる。拘束の開始・開放は、好ましくは、拘束開始時をE0の40%以下、拘束終了時をE0の80%以上である。
拘束開始時の紙の剛性値をE1、拘束終了時の紙の剛性値をE2として数式化すると、下記の範囲を満たすように、記録媒体の拘束の開始・解放を行う。
E1≦E0×0.5
E2≧E0×0.7
好ましくは、
E1≦E0×0.4
E2≧E0×0.8
である。
E2≧E0×0.7
好ましくは、
E1≦E0×0.4
E2≧E0×0.8
である。
ただし、文字情報などを印刷する場合など、水分の付与量がそもそも少なく、紙の剛性値がE0の50%未満まで低下しない場合は、カックル自体が、問題となるレベルで発生しないので、拘束時の剛性値を考慮することなく画像形成を行うことができる。
記録前の記録媒体の剛性値は、記録媒体の種類・厚さにより、異なってくる。一般に剛性の低い記録媒体は、カックルの進行は速いが、拘束時にカックルを矯正し易い。逆に剛性の高い紙は、カックルの進行は遅いが、拘束時にカックルを矯正しにくい。剛性値の絶対値で考えると、記録媒体の種類・厚さにより拘束の開始または終了する適切な剛性値の閾値が各記録媒体で異なるが、本発明のように、記録媒体の剛性値の初期値に対する割合で、規定することにより、各記録媒体で好ましい値を決めることができるので、記録媒体の種類・厚さが異なる場合であっても、カックルを効果的に抑制・矯正することができる。
なお、記録媒体の曲げ剛性率およびヤング率は、記録媒体の目の方向によりタテ方向とヨコ方向で値が異なってくる。カックルは、搬送方向への記録媒体の伸縮の影響が大きいため、本発明において、記録媒体の高速の開始・終了の基準となる剛性値は、搬送方向に対する曲げ剛性値またはヤング率を用いる。
(含水量)
また、記録媒体の拘束の開始・終了を画像形成後の記録媒体中のインク由来の含水量により規定することができる。具体的には、画像形成後の記録媒体のインク由来の含水量が4.5g/m2以上の紙の剛性が低く、カックルを矯正し易い状態で拘束を開始し、インク由来の含水量が3g/m2以下となり、剛性が高く、カックルが生じにくい状態に乾燥が進行したときに拘束を終了することにより、上記剛性値で拘束の開始・終了を規定した場合と同様に、拘束乾燥時間が限定される場合においても、カックルを効果的に抑制・矯正することができる。より好ましくは、拘束開始時の記録媒体中のインク由来の含水量が5.5g/m2以上、拘束終了時の含水量を2g/m2以下である。
また、記録媒体の拘束の開始・終了を画像形成後の記録媒体中のインク由来の含水量により規定することができる。具体的には、画像形成後の記録媒体のインク由来の含水量が4.5g/m2以上の紙の剛性が低く、カックルを矯正し易い状態で拘束を開始し、インク由来の含水量が3g/m2以下となり、剛性が高く、カックルが生じにくい状態に乾燥が進行したときに拘束を終了することにより、上記剛性値で拘束の開始・終了を規定した場合と同様に、拘束乾燥時間が限定される場合においても、カックルを効果的に抑制・矯正することができる。より好ましくは、拘束開始時の記録媒体中のインク由来の含水量が5.5g/m2以上、拘束終了時の含水量を2g/m2以下である。
ただし、文字情報など印刷する場合など、水分の付与量がそもそも少なく、4.5g/m2未満の場合は、カックル自体が問題となるレベルで発生しないので、拘束時に拘束開始および終了時の含水量を考慮することなく、画像形成を行うことができる。
また、記録媒体の拘束の開始は、画像の形成終了後、5秒以内に行うことが好ましい。5秒以内に行うことで、画像形成から拘束までのカックルの成長を抑止することができる。
[制御系の説明]
図4は、本実施形態のインクジェット記録装置の制御系の概略構成を示すブロック図である。
図4は、本実施形態のインクジェット記録装置の制御系の概略構成を示すブロック図である。
同図に示すように、インクジェット記録装置100は、システムコントローラ400、通信インターフェース402、画像メモリ404、給紙制御部406、処理液付与制御部410、描画制御部412、乾燥制御部414、定着制御部416、排紙制御部418、操作部420、表示部422等を備えている。
システムコントローラ400は、インクジェット記録装置100の各部を制御する制御部であるとともに、各種の演算処理を行う演算処理部であり、CPU、ROM、RAM等を備えて構成されている。このシステムコントローラ400は、所定の制御プログラムに従ってインクジェット記録装置100の各部を制御する。ROMには、このシステムコントローラ400が実行する制御プログラムや制御に必要な各種データが格納されている。
通信インターフェース402は、ホストコンピュータ430から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。ホストコンピュータ430から送出された画像データは、この通信インターフェース402を介してインクジェット記録装置100に取り込まれる。
画像メモリ404は、画像データを一時的に記憶する記憶手段であり、システムコントローラ400を通じてデータの読み書きが行われる。通信インターフェース402を介してホストコンピュータ430から取り込まれた画像データは、この画像メモリ404に格納される。
給紙制御部406は、システムコントローラ400からの指令に応じて給紙部112を構成する各部(給紙胴152等)の駆動を制御する。
処理液付与制御部410は、システムコントローラ400からの指令に応じて処理液付与部114を構成する各部(処理液ドラム154、処理液塗布装置156等)の駆動を制御する。
描画制御部412は、システムコントローラ400からの指示に従って描画部116を構成する各部(描画ドラム170、インクジェットヘッド172M、172K、172C、172Y等)の駆動を制御する。
乾燥制御部414は、システムコントローラ400からの指示に従って乾燥部118を構成する各部(乾燥ドラム176、溶媒乾燥装置178等)の駆動を制御する。また、乾燥ドラム176の温度を制御する。このように、乾燥制御部414において、乾燥条件を制御することにより、記録媒体への拘束の開始・終了時の状態が本発明の範囲内となるように制御を行うことができる。
例えば、インクの打滴量が少ない場合は、記録媒体の搬送速度を速くし、画像を形成するなどインクの打滴量が多い場合は、搬送速度を遅くすることにより、拘束の開始・終了時点の調製を行うことができる。また、インクの量により、乾燥温度を調整することにより、記録媒体の状態が所望の条件になるように、乾燥条件の制御を行う。このような場合、記録媒体の種類に応じて、インクの打滴量と含水量または剛性値の関係、および、含水量と乾燥能力を対応付けしてデータテーブル化しておき、所定のメモリに記憶しておくことが好ましい。
定着制御部416は、システムコントローラ400からの指示に従って定着部120を構成する各部(定着ドラム184、ハロゲンヒータ186、定着ローラ188等)の駆動を制御する。
排紙制御部418は、システムコントローラ400からの指示に従って排出部122を構成する各部(渡し胴194、搬送ベルト196等)の駆動を制御する。
操作部420は、所要の操作手段(操作ボタンやキーボード、タッチパネル等)を備え、その操作手段から入力された操作情報をシステムコントローラ400に出力する。
ポンプドライバ440は、乾燥ドラム176に記録媒体124を固定保持するための吸着圧力を発生させる真空ポンプ442の制御を行う。また、処理液ドラム154、描画ドラム170、定着ドラム184、中間搬送部126、128、130などに記録媒体124を固定保持するために真空ポンプ442を制御する。
また、本発明においては、記録媒体の剛性値または含水率により拘束手段の制御を行っている。拘束手段はドラム毎に設けられており、各制御部において拘束手段の制御を行うことができる。また、処理液ドラム154、描画ドラム170、定着ドラム184、中間搬送部126、128、130などの搬送速度の制御を行うことにより、記録媒体への拘束の開始・終了を本発明の範囲内で行うことができる。各ドラムの制御についても、各制御部で行うことができる。
表示部422は、所要の表示装置(LCDパネル等)を備え、システムコントローラ400からの指示に従って所要の情報を表示装置に表示させる。
上記のように、画像データは、ホストコンピュータ430から通信インターフェース402を介してインクジェット記録装置100に取り込まれ、画像メモリ404に格納される。システムコントローラ400は、この画像メモリ404に格納された画像データに所要の信号処理を施して、ドットデータを生成する。そして、生成したドットデータに従って描画部116のインクジェットヘッド172M、172K、172C、172Yの駆動を制御することにより、画像データが表す画像を記録媒体124に印刷する。
ドットデータは、一般に画像データに対して色変換処理、ハーフトーン処理を行って生成される。
色変換処理は、sRGBなどで表現された画像データ(たとえば、RGB8ビットの画像データ)をインクジェット記録装置で使用するインクの各色の色データ(本例では、KCMYの色データ)に変換する処理である。
ハーフトーン処理は、色変換処理により生成された各色の色データに対して誤差拡散等の処理で各色のドットデータ(本例では、KCMYのドットデータ)に変換する処理である。
システムコントローラ400は、画像データに対して色変換処理、ハーフトーン処理を行ってCMYKの各色のドットデータを生成する。そして、生成した各色のドットデータに従って、対応するインクジェットヘッド172M、172K、172C、172Yの駆動を制御することにより、画像データが表す画像を記録媒体124に印刷する。
[記録媒体]
本発明では、記録媒体の剛性値の初期値に対する割合により、記録媒体の拘束の開始・終了する値を規定しているので、記録媒体の種類に依らず、カックルを抑止して画像を形成することができる。
本発明では、記録媒体の剛性値の初期値に対する割合により、記録媒体の拘束の開始・終了する値を規定しているので、記録媒体の種類に依らず、カックルを抑止して画像を形成することができる。
市販の板紙、キャストコート紙、アート紙、コート紙、微コート紙、上質紙、コピー用紙、再生紙、合成紙、中質紙、感圧紙、エンボス紙、等のグロスあるいはマット紙が好適に使用され、インクジェット専用紙も使用できる。また樹脂フィルムや金属蒸着フォルム等も使用可能である。記録媒体の例としては、OKエルカード+(王子製紙社製)、SA金藤+(王子製紙社製)、サテン金藤N(王子製紙社製)、OKトップコート+(王子製紙社製)、ニューエイジ(王子製紙社製)、特菱アート両面N(三菱製紙社製)、特菱アート片面N(三菱製紙社製)、ニューVマット(三菱製紙社製)、オーロラコート(日本製紙社製)、オーロラL(日本製紙社製)、シルバーダイヤ(日本製紙社製)、ユーライト(日本製紙社製)、リサイクルコートT-6(日本製紙社製)、リサイクルマットT-6(日本製紙社製)、アイベストW(日本板紙社製)、インバーコートM(SPAN CORPORATION社製)、ハイマッキンレーアート(五條製紙社製)、キンマリHi-L(北越製紙社製)、Signature True(Newpage corporation社製)、Sterling Ultra(Newpage corporation社製)、Anthem(Newpage corporation社製)、Hanno Art Silk(Sappi社製)、Hanno Art gross(Sappi社製)、Consort Royal Semimatt(Scheufelen社製)、Consort Royal Gross(Scheufelen社製)、Zanders Ikono Silk(m-real社製)、Zanders Ikono Gross(m-real社製)、の坪量60〜350g/m2のものが好適に使用される。
[インク]
本発明の実施に用いられるインクは、溶媒不溶性材料として、色材(着色剤)である顔料や熱可塑性樹脂微粒子などを含有する水性顔料インクが用いられる。
本発明の実施に用いられるインクは、溶媒不溶性材料として、色材(着色剤)である顔料や熱可塑性樹脂微粒子などを含有する水性顔料インクが用いられる。
溶媒不溶性材料の濃度は、吐出に適切な粘度20mPa・s以下を考慮して1wt%以上20wt%以下であることが好ましい。より好ましくは画像の光学濃度を得るために4wt%以上の顔料濃度である。
インクの表面張力は、吐出安定性を考慮して20mN/m以上40mN/m以下であることが好ましい。
インクに使用される色材は、顔料あるいは染料と顔料とを混合して用いることができる。処理液との接触時における凝集性の観点から、インク中で分散状態にある顔料の方がより効果的に凝集するため好ましい。顔料の中でも、分散剤により分散されている顔料、自己分散顔料、樹脂により顔料表面を被覆された顔料(マイクロカプセル顔料)、及び高分子グラフト顔料が特に好ましい。また、顔料凝集性の観点から、解離度の小さいカルボキシル基によって修飾されている形態がより好ましい。
本発明に用いる着色インク液には、処理液と反応する成分として、着色剤を含まない熱可塑性樹脂微粒子を添加することが好ましい。熱可塑性樹脂微粒子は、処理液との反応によりインクの増粘作用、凝集作用を強め、画像品位の向上させることができる。特に、アニオン性の熱可塑性樹脂微粒子をインクに含有せしめることにより、安全性の高いインクが得られる。
処理液と反応して、増粘・凝集作用を起こす熱可塑性樹脂微粒子をインクに用いることにより、画像の品位を高めることができると同時に、熱可塑性樹脂微粒子の種類によっては、熱可塑性樹脂微粒子が記録媒体で皮膜を形成し、画像の耐擦性、耐水性をも向上させる効果を有する。
ポリマーインクでの分散方法はエマルジョンに限定するものではなく、溶解していても、コロイダルディスパージョン状態で存在していてもよい。
熱可塑性樹脂微粒子は、乳化剤を用いて熱可塑性樹脂微粒子を分散させたものであっても、また、乳化剤を用いないで分散させたものであってもよい。乳化剤としては、通常、低分子量の界面活性剤が用いられているが、高分子量の界面活性剤を乳化剤として用いることもできる。外殻がアクリル酸、メタクリル酸などにより構成されたカプセル型の熱可塑性樹脂微粒子(粒子の中心部と外縁部で組成を異にしたコア・シェルタイプの熱可塑性樹脂微粒子)を用いることも好ましい。
インクに熱可塑性樹脂微粒子として添加する樹脂成分としては、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂などが挙げられる。
熱可塑性樹脂微粒子への高速凝集性付与の観点から、解離度の小さいカルボン酸基を有するものがより好ましい。カルボン酸基はpH変化によって影響を受けやすいので、分散状態が変化しやすく、凝集性が高い。
熱可塑性樹脂微粒子のpH変化に対する分散状態の変化は、アクリル酸エステルなどのカルボン酸基を有する、熱可塑性樹脂微粒子中の構成成分の含有割合によって調整することができ、分散剤として用いるアニオン性の界面活性剤によっても調整可能である。
熱可塑性樹脂微粒子の樹脂成分は、親水性部分と疎水性部分とを併せ持つ重合体であるのが好ましい。疎水性部分を有することで、熱可塑性樹脂微粒子の内側に疎水部分が配向し、外側に親水部分が効率よく外側に配向され、液体のpH変化に対する分散状態の変化がより大きくなる効果があり、凝集がより効率よく行われる。
また、熱可塑性樹脂微粒子を、インク内に2種以上混合して含有させて使用してもよい。
本発明のインクに添加するpH調整剤としては中和剤として、有機塩基、無機アルカリ塩基を用いることができる。pH調整剤はインクジェット用インクの保存安定性を向上させる目的で、該インクジェット用インクがpH6〜10となるように添加するのが好ましい。
本発明のインクは、乾燥によってインクジェットヘッドのノズルが詰まるのを防止する目的から、水溶性有機溶媒を含有することが好ましい。このような水溶性有機溶媒には、湿潤剤及び浸透剤が含まれる。
水溶性有機溶媒としては、処理液の場合と同様に、例えば、多価アルコール類、多価アルコール類誘導体、含窒素溶媒、アルコール類、含硫黄溶媒等が挙げられる。
その他必要に応じ、界面活性剤、pH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、紫外線吸収剤、等も添加することができる。
また、インク中にUV硬化性モノマーを含有させることで、乾燥部で水分を充分に揮発させた後に、UV照射ランプを備えた定着部で、画像にUVを照射することで、UV硬化性モノマーを硬化重合させ、画像強度を向上させることができる。
また、インク中にUV硬化性モノマーを含有させることで、乾燥部で水分を充分に揮発させた後に、UV照射ランプを備えた定着部で、画像にUVを照射することで、UV硬化性モノマーを硬化重合させ、画像強度を向上させることができる。
UV硬化性モノマーは、重合開始剤などから発生するラジカルなどの開始種により重合または架橋反応を生起し、これらを含有する組成物を硬化させる機能を有するものである。
UV硬化性モノマーは、ラジカル重合反応、二量化反応など公知の重合又は架橋反応を生起する重合性又は架橋性材料を適用することができる。例えば、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物、マレイミド基を側鎖に有する高分子化合物、芳香核に隣接した光二量化可能な不飽和二重結合を有するシンナミル基、シンナミリデン基やカルコン基等を側鎖に有する高分子化合物などが挙げられる。中でも、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物がより好ましく、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、より好ましくは2個以上有する化合物(単官能又は多官能化合物)から選択されるものであることが特に好ましい。具体的には、本発明に係る産業分野において広く知られるものの中から適宜選択することができ、例えば、モノマー、プレポリマー(すなわち2量体、3量体及びオリゴマー)及びそれらの混合物、並びにそれらの共重合体などの化学的形態を持つものが含まれる。
UV硬化性モノマーは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に用いることができるUV硬化性モノマーとしては、特に、ラジカル開始剤から発生する開始種により重合反応を起こさせる各種公知のラジカル重合性のモノマーを用いることが好ましい。
ラジカル重合性モノマーとしては、(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、芳香族ビニル類、ビニルエーテル類及び内部二重結合を有する化合物(マレイン酸など)等が挙げられる。ここで、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」、「メタクリレート」の双方又はいずれかをさし、「(メタ)アクリル」は、「アクリル
」、「メタクリル」の双方又はいずれかをさす。
」、「メタクリル」の双方又はいずれかをさす。
その他必要に応じ、界面活性剤、pH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、紫外線吸収剤、等も添加することができる。
次に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[インク組成物の調製]
顔料含有樹脂粒子の分散物 :39.2質量%
自己分散性熱可塑性樹脂微粒子の水分散物 :28.6質量%
GP−250(三洋化成工業) : 8.0質量%
トリプロピレンモノメチルエーテル : 8.0質量%
オルフィンE1010(日信化学工業(株)製) : 1.0質量%
尿素 : 5.0質量%
イオン交換水 : 残部
上記処方において、シアンインク組成物C−1、マゼンタインク組成物M−1、イエローインク組成物Y−1、ブラックインク組成物Bk−1を作製した。
[処理液の調整]
下記組成となるように、各成分を混合することで処理液を調製した、
マロン酸(和光純薬(株)製) :11.3質量%
リンゴ酸(和光純薬(株)製) :14.5質量%
DEGmBE(ジエチレングリコールモノブチルエーテル) : 7.5質量%
TEGmME(トリエチレングリコールモノメチルエーテル): 2.5質量%
イオン交換水 : 残部
[試験方法]
図1に記載の装置を用いて、シアンインク組成物C−1、マゼンタインク組成物M−1、イエローインク組成物Y−1、ブラックインク組成物Bk−1により、菊半サイズ(636mm×469mm)の記録媒体(OKトップコート+、坪量:104.7g/m2)(王子製紙(株)製)に対し、インク打滴量が13.4g/m2になるようにベタ画像を打滴して評価を行った。
[インク組成物の調製]
顔料含有樹脂粒子の分散物 :39.2質量%
自己分散性熱可塑性樹脂微粒子の水分散物 :28.6質量%
GP−250(三洋化成工業) : 8.0質量%
トリプロピレンモノメチルエーテル : 8.0質量%
オルフィンE1010(日信化学工業(株)製) : 1.0質量%
尿素 : 5.0質量%
イオン交換水 : 残部
上記処方において、シアンインク組成物C−1、マゼンタインク組成物M−1、イエローインク組成物Y−1、ブラックインク組成物Bk−1を作製した。
[処理液の調整]
下記組成となるように、各成分を混合することで処理液を調製した、
マロン酸(和光純薬(株)製) :11.3質量%
リンゴ酸(和光純薬(株)製) :14.5質量%
DEGmBE(ジエチレングリコールモノブチルエーテル) : 7.5質量%
TEGmME(トリエチレングリコールモノメチルエーテル): 2.5質量%
イオン交換水 : 残部
[試験方法]
図1に記載の装置を用いて、シアンインク組成物C−1、マゼンタインク組成物M−1、イエローインク組成物Y−1、ブラックインク組成物Bk−1により、菊半サイズ(636mm×469mm)の記録媒体(OKトップコート+、坪量:104.7g/m2)(王子製紙(株)製)に対し、インク打滴量が13.4g/m2になるようにベタ画像を打滴して評価を行った。
画像データは50mm×400mmサイズのベタ画像が紙巾方向に50mm間隔に配置されたストライプ状のものを用いた。ベタ画像部を非画像部の枠で囲うような配置の画像データを打滴すると、画像部の伸び量が画像部外に逃げられず、紙の高さ方向に変形し易くなる。そのため、カックルが発生し易くなり、カックルに対して厳しい条件の画像となる。
なお、剛性値は曲げ剛性値を使用した。また、拘束開始および終了時の曲げ剛性値および含水量は、所定の値となるようにインク打滴量や乾燥条件で制御を行った。曲げ剛性は、インク打滴前後の紙片のたわみ量測定などから求めることができる。例えば、記録前の紙の曲げ剛性値E0が0.006[GPa・mm3]であり、インクを打滴して搬送体表面で拘束を開始する直前の曲げ剛性値E1が0.004[GPa・mm3]ならば、拘束開始時の剛性値E1の初期剛性値E0に対する割合Xは67[%]となる。
また、含水量は、重量法やカールフィッシャー装置、電気抵抗を測定することなどにより、公知の測定方法で測定することができる。
[試験結果]
得られた画像について、画像部のカックル状態、拘束シワの程度を評価した。剛性値により記録媒体への拘束の開始・解放を行った結果を表1に、含水率により記録媒体への拘束の開始・解放を行った結果を表2に示す。なお、本実施例においては、インク中の溶媒により低下する剛性値の値はE0の40%以下であり、記録媒体へ付与されるインクの含水量は、5.5g/m2以上である。
得られた画像について、画像部のカックル状態、拘束シワの程度を評価した。剛性値により記録媒体への拘束の開始・解放を行った結果を表1に、含水率により記録媒体への拘束の開始・解放を行った結果を表2に示す。なお、本実施例においては、インク中の溶媒により低下する剛性値の値はE0の40%以下であり、記録媒体へ付与されるインクの含水量は、5.5g/m2以上である。
表中の評価項目は以下の基準で行った。
(カックル状態の評価)
50mm×400mmサイズのベタ画像に対して、目視で官能評価を実施した。
○ ・・・カックルは認められない
○△・・・一部にカックルがあるが許容内
△ ・・・全面的にカックルがあり、気になり許容外
× ・・・全面的にカックルがあり、非常に目立つ
(拘束シワの評価)
50mm×400mmサイズのベタ画像に対して、目視で官能評価を実施した。
○ ・・・シワは認められない
○△・・・一部に小さなシワがあるが許容内
△ ・・・全面的にシワがあり、気になり許容外
× ・・・全面的にシワがあり、非常に目立つ
また、表1中のXは、拘束開始時の紙の剛性値E1の初期剛性値E0に対する割合[%]を示し、Yは、拘束終了時の紙の剛性値E2の初期剛性値E0に対する割合[%]を示す。また、表2のW1は、拘束開始時のインク由来の記録媒体の含水量[g/m2]を示し、W2は、拘束終了時のインク由来の記録媒体の含水量[g/m2]を示す。
50mm×400mmサイズのベタ画像に対して、目視で官能評価を実施した。
○ ・・・カックルは認められない
○△・・・一部にカックルがあるが許容内
△ ・・・全面的にカックルがあり、気になり許容外
× ・・・全面的にカックルがあり、非常に目立つ
(拘束シワの評価)
50mm×400mmサイズのベタ画像に対して、目視で官能評価を実施した。
○ ・・・シワは認められない
○△・・・一部に小さなシワがあるが許容内
△ ・・・全面的にシワがあり、気になり許容外
× ・・・全面的にシワがあり、非常に目立つ
また、表1中のXは、拘束開始時の紙の剛性値E1の初期剛性値E0に対する割合[%]を示し、Yは、拘束終了時の紙の剛性値E2の初期剛性値E0に対する割合[%]を示す。また、表2のW1は、拘束開始時のインク由来の記録媒体の含水量[g/m2]を示し、W2は、拘束終了時のインク由来の記録媒体の含水量[g/m2]を示す。
表1に示すように、拘束終了時の紙の剛性値を70%以上とすることによりカックルを抑止することができた。また、拘束開始時の紙の剛性値を50%以下とすることにより、拘束シワを抑制することができた。さらに、拘束終了時の紙の剛性値を80%以上、拘束開始時の紙の剛性値を40%以下とすることにより良好な結果を得ることができた。
また、含水量についても、表2に示すように、拘束終了時の含水量を3g/m2以下とすることにより、カックルを抑止することができ、拘束開始時の含水量を4.5g/m2以上とすることで、拘束シワを抑制することができた。さらに、拘束終了時の含水量を2g/m2以下、拘束開始時の含水量を5.5g/m2以上とすることにより、良好な結果を得ることができた。
20…吸着シート、30…ドラム本体、100…インクジェット記録装置、112…給紙部、114…処理液付与部、116…描画部、118…乾燥部、120…定着部、122…排出部、124…記録媒体、154…処理液ドラム、156…処理液塗布装置、170…描画ドラム、172M、172K、172C、172Y…インクジェットヘッド、176…乾燥ドラム、180…温風噴出しノズル、182…IRヒータ、184…定着ドラム、186…ハロゲンヒータ、188…定着ローラ、192…排出トレイ、196…搬送ベルト、440…ポンプドライバ、442…真空ポンプ
Claims (13)
- 記録媒体上にインクを打滴し、画像を形成するインクジェットヘッドと、
前記インク打滴後の記録媒体を搬送体に載せ搬送する搬送手段と、を備え、
前記搬送手段は、前記インクジェットヘッドによる画像形成面の裏面側から前記記録媒体を、前記搬送体表面に拘束する拘束手段と、
前記記録媒体の搬送方向における曲げ剛性値またはヤング率のいずれかから選ばれる記録前の剛性値をE0としたとき、前記記録媒体の剛性値がE0の70%以上の状態で拘束を解放し、前記インク中の溶媒により前記記録媒体の低下する剛性値の値が、E0の50%以下となる場合、E0が50%以下の状態で拘束を開始するように制御する制御手段と、を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記制御手段は、前記記録媒体の剛性値がE0の40%以下の状態で前記記録媒体の拘束を開始し、前記記録媒体の剛性値がE0の80%以上の状態で前記記録媒体の拘束を解放することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
- 記録媒体上にインクを打滴し、画像を形成するインクジェットヘッドと、
前記インク打滴後の記録媒体を搬送体に載せ搬送する搬送手段と、を備え、
前記搬送手段は、前記インクジェットヘッドによる画像形成面の裏面側から前記記録媒体を、前記搬送体表面に拘束する拘束手段と、
前記記録媒体中の前記インク由来の含水量が3g/m2以下の状態で拘束を解放し、前記記録媒体中の前記インク由来の含水量が4.5g/m2以上となる場合、前記含水量が4.5g/m2以上の状態で拘束を開始するように制御する制御手段と、を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記制御手段は、前記記録媒体中の前記インク由来の含水量が5.5g/m2以上の状態で拘束を開始し、前記記録媒体中のインク由来の含水量が2g/m2以下の状態で拘束を解放することを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録装置。
- 前記記録媒体は、前記拘束手段により拘束された状態で、前記記録媒体上に付与された前記インクを加熱する乾燥手段を備えることを特徴とする請求項1から4いずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
- 前記乾燥手段は、前記記録媒体の乾燥速度を制御する乾燥制御手段を備えることを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録装置。
- 前記制御手段は、前記インクジェットにより前記画像の形成終了後、5秒以内に前記記録媒体を拘束することを特徴とする請求項1から6いずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
- 前記インクジェットによる画像形成時に、前記記録媒体を拘束する第2の搬送体を備えることを特徴とする請求項1から7いずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
- 前記インクが熱可塑性樹脂微粒子を含むことを特徴とする請求項1から8いずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
- 前記記録媒体を加熱・加圧する定着手段を備えることを特徴とする請求項9に記載のインクジェット記録装置。
- 前記インクがUV硬化性モノマーを含み、UV照射による定着手段を備えることを特徴とする請求項1から8いずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
- 記録媒体上にインクを打滴し、画像を形成するインク吐出工程と、
前記インク打滴後の記録媒体を搬送体に載せ搬送する搬送工程と、を有し、
前記搬送工程は、前記インク吐出工程における画像形成面の裏面側から前記記録媒体を、前記搬送体表面に拘束しながら搬送し、
前記記録媒体の搬送方向における曲げ剛性率またはヤング率のいずれかから選ばれる記録前の剛性値E0としたとき、前記記録媒体の剛性値がE0の70%以上の状態で拘束を解放し、前記インク中の溶媒により前記記録媒体の低下する剛性値の値が、E0の50%以下となる場合、E0が50%以下の状態で拘束を開始するように制御することを特徴とするインクジェット記録方法。 - 記録媒体上にインクを打滴し、画像を形成するインク吐出工程と、
前記インク打滴後の記録媒体を搬送体に載せ搬送する搬送工程と、を有し、
前記搬送工程は、前記インク吐出工程における画像形成面の裏面側から前記記録媒体を、前記搬送体表面に拘束しながら搬送し、
前記記録媒体中の前記インク由来の含水量が3g/m2以下の状態で前記記録媒体の拘束を解放し、前記記録媒体中の前記インク由来の含水量が4.5g/m2以上となる場合、前記含水量が4.5g/m2以上の状態で拘束を開始するように制御することを特徴とするインクジェット記録方法。
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JP2009201733A JP2011051215A (ja) | 2009-09-01 | 2009-09-01 | インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法 |
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JP2012213895A (ja) * | 2011-03-31 | 2012-11-08 | Fujifilm Corp | インクジェット記録装置 |
US9038444B2 (en) | 2013-06-04 | 2015-05-26 | Canon Kabushiki Kaisha | Ink jet printing apparatus and method for estimating moisture content of print sheet |
JP2021066102A (ja) * | 2019-10-24 | 2021-04-30 | 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 | 画像形成装置 |
US11548295B2 (en) | 2020-10-23 | 2023-01-10 | Ricoh Company, Ltd. | Image forming apparatus |
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2009
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