本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の一実施形態における印刷装置1の構成の一例を示す図である。第1の実施の形態における印刷装置1は、印刷媒体100の表面にインクを噴射して画像を印刷するいわゆるインクジェットプリンタである。
筐体10は、箱形の外観形状をしており、前面のほぼ中央には前面カバー11が設けられる。前面カバー11の隣には、複数の操作ボタン15が設けられている。前面カバー11は下端側で軸支されており、上端側を手前に倒すと、印刷媒体100が排出される細長い排出口12が現れる。
また、筐体10の背面側には、給紙トレイ13が設けられている。給紙トレイ13に印刷媒体100をセットして操作ボタン15を操作すると、給紙トレイ13から印刷媒体100が吸い込まれて、筐体10の内部で印刷媒体100の表面に画像が印刷された後、排出口12から排出される。
筐体10の内部には、主として、制御部40と、光検出装置50とが設けられる。制御部40及び光検出装置50については、後に詳述する。
印刷装置1は、給紙トレイ13に載置される印刷媒体100を排出口12まで搬送する搬送機構と、搬送機構により搬送される印刷媒体100などの印刷媒体に対してインクを吐出するインク吐出機構と、を備える。図2は、搬送機構及びインク吐出機構の構成の一例を示す図である。
搬送機構は、第1給紙ローラとしてのLDローラ22、ニップ部材としてのホッパ23、用紙ガイド24、第2給紙ローラとしてのPFローラ25、プラテン26、排紙ローラ27等を有する。
ホッパ23は、給紙トレイ13の下端部に配設される。ホッパ23および給紙トレイ13により、印刷媒体100が載置可能な平らな面が形成される。ホッパ23および給紙トレイ13は、ホッパ23側が下側となる傾斜姿勢で配設される。これにより、給紙トレイ13に載置される印刷媒体100は、ホッパ23上に位置決めされる。また、ホッパ23は、給紙トレイ13との接合部分において、図2の紙面に略垂直な方向を回転軸として回転可能に配設される。
LDローラ22は、円柱の側部が切り欠かれた側面略D字状に形成される。LDローラ22は、図2の紙面に略垂直な向きに配設される回転軸22Aに配設される。この回転軸22Aには、さらにギャップ用カム28が配設される。ギャップ用カム28は、LDローラ22の外周より一回り大きい大径部28aと、LDローラ22の外周より一回り小さい小径部28bと、を有する。ギャップ用カム28の大径部28aは、たとえばLDローラ22の切欠部に対応して設けられる。残りの部分は、小径部28bとなる。また、ギャップ用カム28の大径部28aには、凹部が形成される。
LDローラ22およびギャップ用カム28は、ホッパ23に近接して配設される。ホッパ23の裏面には、ホッパバネ23Aが配設される。ホッパバネ23Aの力により、ホッパ23には、LDローラ22方向への力が付勢される。これにより、印刷装置1が停止している状態では、ホッパ23の下端部に形成された凸部が、ギャップ用カム28の凹部に嵌っている。
LDローラ22が図2における反時計回りに回転すると、ホッパ23の下端縁は、ギャップ用カム28の凹部から外れ、ギャップ用カム28の大径部28aに当接する。さらに、LDローラ22が図2における反時計回りに回転すると、ホッパ23の下端縁は、ギャップ用カム28の大径部28aからはずれ、ギャップ用カム28の小径部28bに当接するようになる。このとき、ホッパ23とLDローラ22との間隔は最小となり、ホッパ23上に印刷媒体100がある場合、その印刷媒体100がLDローラ22に当接する。この結果、給紙トレイ13上の印刷媒体100は、LDローラ22とホッパ23とによりニップされる。
LDローラ22が図2における反時計回りにさらに回転すると、LDローラ22に当接する印刷媒体100は、LDローラ22の回転にしたがって、図2の左下方向(矢印参照)へ搬送される。なお、LDローラ22は、1回転するとホッパ23の下端部に形成された凸部がギャップ用カム28の凹部に嵌った状態で停止する。
用紙ガイド24、PFローラ25および排紙ローラ27は、LDローラ22と排出口12との間の印刷媒体の搬送経路(図1の副走査方向)に沿って、一列に配設される。
用紙ガイド24は、その上面が略平らな板形状の部材である。
PFローラ25は、略円柱形状のローラである。PFローラ25の上側には、略円柱形状を有する従動ローラ20が配設される。PFローラ25および従動ローラ20は、図2の紙面に略垂直な方向を回転軸として、回転可能に配設される。
プラテン26は、略平らな板部材と、その上面に形成される複数のリブとを有する。
排紙ローラ27は、略円柱形状のローラである。排紙ローラ27の上側には、略円柱形状を有する従動ローラ21が配設される。排紙ローラ27および従動ローラ21は、図1の紙面に略垂直な方向を回転軸として、回転可能に配設される。
以上の構成を有する搬送機構の上側には、インク吐出機構が配設される。インク吐出機構は、主に、キャリッジ32、インクタンク33、記録ヘッド34などを有する。
キャリッジ32は、プラテン26の上方に位置する。キャリッジ32は、内側に複数の歯形が形成されたタイミングベルト30(図1参照)と、タイミングベルト30を駆動する駆動モータ31(図1参照)を有する駆動部と接続されている。タイミングベルト30が駆動されると、キャリッジ32は、キャリッジ軸32Aの軸方向に沿って移動される。
キャリッジ32の下面には、複数のインク吐出ノズル35を有する記録ヘッド34が配設される。この記録ヘッド34の走査範囲とプラテン26との間が、インクを印刷媒体100へ吐出する印刷領域となる。この印刷領域が、この実施の形態の印刷装置1による目標となる所定の給紙位置となる。
また、キャリッジ32には、インクタンク33が配設される。インクタンク33に収容されるインクは、複数のインク吐出ノズル35へ供給される。各インク吐出ノズル35内には、印加電圧により変形するピエゾ素子が配設される。ピエゾ素子が変形すると、各インク吐出ノズル35からインクが吐出される。インク吐出ノズル35は、本発明の吐出部に相当する。
図1の説明に戻る。筐体10の内部には、搬送機構、インク吐出機構、光検出装置50(後に詳述)の動作を制御する制御部40が搭載されている。制御部40は、印刷しようとする画像の画像データに対して所定の画像処理を施した後、その結果に基づいてインクの噴射量を決定する。そして、搬送機構、インク吐出機構を制御することによって画像を印刷する。また、制御部40には、画像処理のための各種プログラムや、各種デ一タなどを記憶したメモリーが搭載されている。
第1の実施の形態では、印刷媒体100に印刷した結果を確認することで、画質を向上させることができる。したがって、第1の実施の形態では、記録ヘッド34の下を透過した印刷媒体100上で反射した光が検出できるように、光検出装置50が設けられている。具体的には、光源用光ファイバー51から出射された可視光が、印刷媒体100で反射し、受光用光ファイバー52に入射され、光検出装置50で検出される。これにより、印刷された画像の色を検出できる。
ただし、印刷した直後は、印刷媒体100に噴射したインクが乾いておらず、正確な色が検出できない可能性が高い。そこで第1の実施の形態では、光検出装置50を用いて、インクの乾燥度を求めるようにしている。具体的には、光源用光ファイバー51から出射された赤外光が、印刷媒体100で反射し、受光用光ファイバー52に入射され、光検出装置50で検出される。これにより、インクの乾燥度を求めることができる。以下、光検出装置50について説明する。
図2に示すように、光検出装置50には、光源53を構成する可視光光源530及び赤外光光源531(図2においては図示せず、後に詳述)に一端が接続された光源用光ファイバー51と、光源用光ファイバー51からそれぞれ出射された光を受光する受光用光ファイバー52と、が接続されている。光源用光ファイバー51及び受光用光ファイバー52は、直径約1mm程度の太さである。光源用光ファイバー51及び受光用光ファイバー52は、本発明の導光部に相当する。なお、第1の実施の形態では、光源53として、可視光光源530及び赤外光光源531を別に設けたが、可視光と赤外光との両方を発生させることが可能な一体型の光源、例えばハロゲンランプを用いるようにしてもよい。
光源用光ファイバー51は、光源53の光を印刷媒体100へ導光する。光源用光ファイバー51は、端面から出射する光が印刷媒体100に照射される位置に設けられる。
受光用光ファイバー52は、印刷媒体100上で反射した光を取得し、光検出装置50へ導光する。受光用光ファイバー52は、印刷媒体100上で反射した光が受光用光ファイバー52の端面へ入射される位置に設けられる。
なお、第1の実施の形態では、光源用光ファイバー51、受光用光ファイバー52は、記録ヘッド34に設けられるが、この形態には限定されない。光源用光ファイバー51、受光用光ファイバー52は、印刷された印刷媒体100に光を照射し、かつ印刷媒体100上で反射した光が取得できる位置であれば、どの位置に設けてもよい。例えば、光源用光ファイバー51、受光用光ファイバー52は、印刷後の印刷媒体100の排出経路上に設けてもよい。
光源用光ファイバー51、受光用光ファイバー52は、図1の主走査方向に移動可能であることが望ましい。光源用光ファイバー51、受光用光ファイバー52を記録ヘッド34に設ければ、主走査方向に移動させることができるが、主走査方向に沿ってレールを設け、レール上を移動自在に光源用光ファイバー51、受光用光ファイバー52を設けるようにしてもよい。
また、第1の実施の形態では、光を導光する手段として、光源用光ファイバー51、受光用光ファイバー52を用いたが、光を導光できるのであれば、この形態に限定されない。
図3は光検出装置50の内部構成の一例を示す要部透視図である。光検出装置50は、光源53(可視光光源530及び赤外光光源531)と、受光用光ファイバー52から出射された光が入射される分光器54と、分光器54を透過した光束を複数の光束に分割し、異なる光路へと導くダイクロイックミラー56と、ダイクロイックミラー56で分割されたそれぞれの光束を検出する受光部55(赤外光センサ550、可視光センサ551)と、それらを収納するケース57等から構成されている。
光源53は、制御部40に制御されることにより、光源用光ファイバー51を介して所定強度の光を印刷媒体100に向けて照射する。光源53は、可視光光源530及び赤外光光源531を有する。可視光光源530としては、ハロゲンランプやLEDなどを用いることができるが、ある程度の波長範囲の光を発生させることが可能なことが望ましい。赤外線光源531としては、近赤外線〜中赤外線を放射する赤外LED光源や、赤外線〜遠赤外線を放射する赤外レーザー光源などを用いることができる。
ダイクロイックミラー56は、白板ガラスに屈折率の異なる誘電体物質を交互に多層コーティングすることにより形成された波長選択ミラーである。ダイクロイックミラー56は、一定波長以下の光、例えば可視光を透過し、その他の波長の光、例えば赤外光を反射する。その結果、受光用光ファイバー52から出射され分光器54を透過した光束のうち、可視光はダイクロイックミラー56を透過して光路Aへ導かれ、赤外光はダイクロイックミラー56表面で反射して光路Bへ導かれる。ダイクロイックミラー56は、本発明の光束分割手段に相当する。
受光部55は、赤外光センサ550と、可視光センサ551とを有する。赤外光センサ550は、光路Bに設けられ、ダイクロイックミラー56により光路Bに導かれた赤外光を受光する。可視光センサ551は、光路Aに設けられ、ダイクロイックミラー56により光路Aに導かれた可視光を受光する。受光部55は、本発明の受光部に相当する。赤外光センサ550は、本発明の赤外光受光部に相当する。可視光センサ551は、本発明の可視光受光部に相当する。
受光部55は、複数のセンサが2次元配置されたエリアセンサである。このセンサは、いわゆるフォ卜ダイオードなどのように、受光した光強度に応じて信号を発生する。受光部55に用いるエリアセンサとしては、例えばCMOSを用いることができる。受光用光ファイバー52の位置とエリアセンサ内の受光画素との対応関係が予めわかっていれば、受光用光ファイバー52のそれぞれから出射された光を受光部55の異なる画素で受光することができる。
制御部40は、分光器54を制御して透過させる光の波長を変更しながら、受光部55からの信号を検出することによって、光のスペク卜ル(各波長での光強度のデータ)を検出する。また、光源53が印刷媒体100に照射する光のスペクトル(照射光のスペクトル)を予め調べておけば、その時の照射光のスペクトルに対する反射光のスペクトルの比率を算出することで、分光反射率を求めることも可能である。
分光器54は、特定の狭い波長の光だけを透過するいわゆるバンドパスフイルターとして機能する。光を透過させる波長は、連続して変更可能であるか、あるいは複数の波長を切り換えることができる。第1の実施の形態では、いわゆるファブリペロー干渉計の原理を利用した極めて小型(直径数mm程度)の分光器54が使用される。なお、光源用光ファイバー51及び受光用光ファイバー52は直径約1mm程度であるため、分光器54には、数本の光源用光ファイバー及び受光用光ファイバーを用いて導光することができる。
分光器54の構成を詳細に説明する。図4は、分光器54の外観形状を示した斜視図である。図4(A)には、光が入射する側から見た分光器54を示し、図4(B)には、光が出射する側から見た分光器54を示す。尚、図中に一点鎖線で示した矢印は、分光器54に入射する光の向き、および分光器54から出射する光の向きを表している。
図4(a)に示すように、分光器54は、主として、第1基板540と、第2基板541と有する。第1基板540と、第2基板541とは、重ねて貼り合わされることにより一体化されている。
第1基板540及び第2基板541は、シリコン材料(結晶性シリコン、あるいはアモルファスシリコン)や、ガラス材料等によって形成される。 第1基板540の厚さは、高々2000μm程度(代表的には100〜1000μm)であり、第2基板541の厚さは、高々500μm程度(代表的には10〜100μm)である。
第1基板540には、光が入射する側の表面に反射防止膜540ARが形成されている。反射防止膜540ARは、例えば誘電体多層膜によって構成され、分光器54に入射した光が反射することを防止する。分光器54の内部には、反射防止膜540ARが形成された表面の一部分である受光部540a(図4(a)において細い破線で囲った部分)から光が入射する。第1の実施の形態では、受光用光ファイバー52から出射する光が受光部540aに入射されるように、受光用光ファイバー52の端面と受光部540aとが対向するように設けられる。
第2基板541(分光器54の裏側(光が出射する側))の表面には、図4(b)に示すように、中央に丸く反射防止膜541ARが形成されている。第2基板541に形成された反射防止膜541ARは、第1基板540の反射防止膜540ARと同様に、例えば誘電体多層膜によって形成される。反射防止膜541ARは、分光器54から外部に出射しようとする光が、第2基板541の表面で反射して分光器54の内部に戻ることを防止する。
第2基板541には、反射防止膜541ARを取り囲むように細いスリット541sが形成されている。スリット541sは第2基板541を貫通している。また、第2基板541には、略矩形の引出孔541a、541bが形成されている。
図5は、分光器54の構造を示す分解組立図である。分光器54は、光が入射する側(第1基板540)の表面は単なる平面であるが、第1基板540の内側(第2基板541に面する側)は複雑な形状をしている。そこで、第1基板540の内側の形状が分かるように、図5では、分光器54を裏返した状態(図4(B)に示したように第2基板541が第1基板540の上に来るような状態)での分解組立図が示されている。
第2基板541は、スリット541sにより、中央の丸い可動部541A(反射防止膜541ARが形成されている部分)と、その外側の周辺部541Bと、可動部541Aと周辺部541Bとを連結する複数(図示した例では4つ)の連結部541Cとに分割されている。
第2基板541の内側(第1基板540に向いた側)の面には、第2電極543が貼り付けられる。第2電極543は、肉厚が0.1〜5μm程度の金属箔で形成される。第2電極543は、円環形状をした駆動電極部543aと、駆動電極部543aから延びる引出電極部543bとを有する。第2電極543は、円環形状をした駆動電極部543aが、第2基板541の可動部541Aに対して同心となり、引出電極部543bの端部が第2基板541の引出孔541aの位置に来るように、第2基板541に対して位置合わせ されている。
第1基板540の内側(第2基板541に向いた側)の面には、第1凹部540Aが形成される。第1凹部540Aの中央には、円形の第2凹部540Bが形成される。第1凹部540Aの形状は、大まかには、第2基板541の可動部541Aおよび連結部541Cに対応する形状となっている。また、第1凹部540Aは、第2基板541の引出孔541bに対応する箇所まで延設されている。なお、受光部540a(図4(A)参照)は、第2凹部540Bの底の部分に対応する。
第1凹部540Aには、第1電極542が貼り付けられる。第1電極542は、第2電極543と同様に、肉厚が0.1〜5μm程度の金属箔で形成される。第1電極542は、第2電極543と同様に、円環形状をした駆動電極部542aと、駆動電極部542aから延びる引出電極部542bとを有する。また、第1電極542は、円環形状をした駆動電極部542aが、円形の第2凹部540Bに対して同心となるように位置合わせされている。
図6は、図4(b)のA−A位置における断面図である。第2基板541には第2電極543が設けられ、第1基板540には、第1凹部540A内に第1電極542が設けられる。このため、第2電極543の駆動電極部543aと、第1電極542の駆動電極部542aとの間には、第1凹部540Aの深さとほとんど同じ大きさのギャップG1が形成される。
第1基板540の第2凹部540Bの底面には、誘電体多層膜による第1反射膜540HRが形成されている。更に、第2基板541にも、第1反射膜540HRに向き合うようにして、誘電体多層膜による第2反射膜541HRが形成されている。第1反射膜540HR及び第2反射膜541HRは、高い反射率で光を反射する機能を有している。このため、図中に一点鎖線の矢印で示したように分光器54に入射した光は、第2反射膜541HRと第1反射膜540HRとの間で何度も反射を繰り返すこととなり、いわゆるファブリペロー型の干渉系が構成される。
第1反射膜540HRと第2反射膜541HRとの間には、ギャップG2が形成される。ギャップG2の間隔によって定まる干渉条件を満たさない波長の光は、光の干渉によって、第2反射膜541HRおよび第1反射膜540HRの表面で急激に減衰し、干渉条件を満たす波長の光のみが分光器54から外部に出射される。
ギャップG2の間隔は変更することができる。第2電極543の引出電極部543bには、第2基板541に形成された引出孔541aからアクセス可能である。第1電極542の引出電極部542bには、第2基板541の引出孔541bからアクセス可能である(図5参照)。
引出孔541a、542bから第2電極543及び第1電極542に同じ極性の電圧を印加すると、第2電極543の駆動電極部543aと、第1電極542の駆動電極部542aとを同じ極性に帯電させて、互いに反発力を発生させることができる。
第2基板541の可動部541Aには、第2電極543の駆動電極部543aが設けられており、第2基板541の可動部541Aは、細長い連結部541Cによって周辺部541Bから支えられているだけである。第2電極543の駆動電極部543aと第1電極542の駆動電極部542aとは対向しているため、第2電極543の駆動電極部543aと、第1電極542の駆動電極部542aとの間に反発力が働くと、連結部541Cが変形して、ギャップG1が広くなる。その結果、ギャップG2も広くなる。印加する電圧を大きくすると反発力も大きくなるので、ギャップG2はより一層広くなる。
また、第2電極543の駆動電極部543aと、第1電極542の駆動電極部542aとを逆の極性に帯電させると、吸引力が発生する。その結果、ギャップG2を狭くすることができる。
ギャップG2の間隔を変更することにより、第2反射膜541HRと第1反射膜540HRとの間で干渉条件を変更し、干渉条件を満たす波長だけを分光器54から出射させることができる。光検出装置50は、このようにして分光器54から出射した光の強度を受光部55で検出することによって、各波長での光強度のデータ、すなわち波長と光強度との関係(スペクトル)を検出する。
図7は、波長λの光が分光器54を透過するようにギャップG2の間隔が調整された時の、分光器54から出射する波長を示す図であり、(A)はギャップG2と波長との関係を示す模式図であり、(B)は分光器54から出射する光のスペクトルを示す。分光器54の性質上、波長λ0の光だけではなく、波長λ0/2、λ0/3等の光も分光器54から出射される。
第1の実施の形態では、分光器54のこの性質を利用する。波長λ0/3の光が可視光、波長λ0/2の光が赤外光となるように、ギャップG2を設定する。その結果、可視光、赤外光の両方の光が分光器54を透過する。そして、可視光を透過し、赤外光を反射するダイクロイックミラー56を用いることで、分光器54を透過した可視光及び赤外光を分割することができる。
なお、波長λ0/3の光が可視光、波長λ0/2の光が赤外光となる場合には限定されず、波長λ0/4の光が可視光、波長λ0/3の光が赤外光となるようにしてもよい。すなわち、分光器54を透過する光のうちの次数の低い光が赤外光、次数の高い光が可視光となるように、分光器54を透過する光の波長を設定すればよい。
図8は、制御部40の電気的な構成を示すブロック図である。制御部40は、主として、印刷制御部400と、光検出装置制御部410とを有する。制御部40は、主として、印刷媒体搬送部401と、色補正部402と、印刷部403と、排紙部404とを有する。
印刷媒体搬送部401は、搬送機構、例えばLDローラ22、PFローラ25等の回転を制御して、給紙トレイ13に載置された印刷媒体100を印刷領域へ搬送する制御を行う。
色補正部402は、印刷しようとする画像の画像データに対して、光検出装置制御部410から取得したプロファイルに基づいて所定の画像処理を施し、その結果に基づいてインクの噴射量を決定する。色補正部402は、カラーチャート(後に説明)については、補正を行わず、画像データに対してのみプロファイル(後に詳述)に基づいて色補正を行う。色補正部402は、カラーチャート及び色補正後の画像データを印刷部403に出力する。色補正部402は、本発明の出力部に相当する。
印刷部403は、インク吐出機構を制御することによって、色補正部402から出力された画像データを印刷媒体100に印刷する。印刷部403は、本発明の出力部に相当する。
排紙部404は、搬送機構、例えば排紙ローラ27等の回転を制御して、印刷媒体100を印刷領域から排出口12へ搬送する制御を行う。
なお、印刷媒体搬送部401、色補正部402、印刷部403、及び排紙部404の処理については、すでに公知であるため、詳細な説明を省略する。
光検出装置制御部410は、主として、波長選択部411と、インク乾燥度判別部412と、カラーチャート生成部413と、プロファイル作成部414と、プロファイル保存部415と、プロファイル選択部416と、水分量算出データ保存部417と、を有する。
波長選択部411は、第1電極542及び第2電極543に印加する電圧を切り替えて、受光部55で検出する光の波長を選択する。第1電極542及び第2電極543に印加する電圧を切り替えると、図6に示すギャップG2が変更され、受光部55で検出される光の波長が変更される。波長選択部411は、波長λ/3の光が可視光、波長λ/2の光が赤外光となるように、ギャップG2、すなわち第1電極542及び第2電極543に印加する電圧を切り替える。なお、赤外光センサ550及び可視光センサ551は、異なるセンサであるため、同時に光を検出することもできるし、異なるタイミングで光を検出することもできる。波長選択部411は、本発明の波長選択部に相当する。
インク乾燥度判別部412は、波長選択部411により分光器54を制御して透過させる光の波長を変更しながら、赤外光センサ550からの信号を検出することによって、光のスペク卜ル(各波長での光強度のデータ)を検出する。インク乾燥度判別部412は、本発明のインク乾燥度取得部に相当する。インク乾燥度判別部412の処理については、後に詳述する。
カラーチャート生成部413は、所定のカラーチャートを生成して、色補正部402へ出力する。
プロファイル作成部414は、波長選択部411により分光器54を制御して透過させる光の波長を変更しながら、可視光センサ551からの信号を検出することによって、光のスペク卜ル(各波長での光強度のデータ)を検出された検出結果を取得し、検出結果に基づいてsRGBデータとCMYKlclmデータとが対応付けられた色補正ルックアップテーブル(以下、LUTという)を作成する。プロファイル作成部414は、生成した色補正LUTをプロファイル保存部415に保存する。プロファイル作成部414の処理については、後に詳述する。プロファイル作成部414及び可視光センサ551は、本発明の取得部に相当する。また、プロファイル作成部414は、本発明の情報作成部に相当する。
プロファイル保存部415には、色補正LUTが保存されている。
プロファイル選択部416は、色補正LUTをプロファイル保存部415から取得し、色補正部402に出力する。
水分量算出データ保存部417は、検量関数から求めた値と水含有量との関係が保存されている。図9は、ある波長における、検量関数から求めた値と水含有量との関係を示す図である。検量関数から求めた値と水含有量とは比例関係にある。図9における一点鎖線の横線で示す閾値より検量関数から求めた値が小さい場合は、水分量が一定量以下であると判断できる。なお、水分量算出データ保存部417には、複数の波長に対して、検量関数から求めた値と水含有量との関係が保存されている。
なお、検量関数は、水の体積分率が既知の複数のサンプルに対して吸光度スペクトルを実測し、水の体積分率と吸光度スペクトルを関連づけて求めることができる。例えば、検量関数は、水の体積分率が既知の複数のサンプルに対して吸光度スペクトルに基づいて、説明変数(ここでは、スペクトル)と目的変数(ここでは、水の体積分率)から情報を抽出して新たな変数を作成するPartial Least Squares (PLS)法を使用して求めることができる。Partial Least Squares (PLS)法は、すでに公知であるため、説明を省略する。
図10は、制御部40の概略構成の一例を示すブロック図である。図示するように、制御部40は、演算装置であるCPU41と、揮発性の記憶装置であるRAM42と、不揮発性の記憶装置であるROM43と、ハードディスクドライブ(HDD)44と、制御部40と他のユニットを接続するインターフェイス(I/F)回路45と、印刷装置1の外部の装置(例えば、デジタルカメラ等)と通信を行う通信装置46と、これらを互いに接続するバス47とを備える。
各機能部(プロファイル保存部415を除く、図8参照)は、例えば、CPU41がROM43に格納された所定のプログラムをRAM42に読み出して実行することにより実現される。プロファイル保存部415は、例えば、RAM42、ROM43又はHDD44により実現される。なお、前記所定のプログラムは、例えば、予めROM43にインストールされてもよいし、通信装置46を介してネットワークからダウンロードされてインストール又は更新されてもよい。
以上の印刷装置1の構成は、第1の実施の形態の特徴を説明するにあたって主要構成を説明したのであって、上記の構成に限られない。また、一般的な印刷装置が備える構成を排除するものではない。
次に、第1の実施の形態における印刷装置1の特徴的な処理について説明する。
図11は、印刷媒体100を判別し、印刷媒体100に応じた色補正を行って、印刷媒体100に画像を印刷する処理の流れを示すフローチャートである。この処理は、ボタン等により印刷開始の指示が入力されることにより行われる。
印刷媒体搬送部401は、印刷媒体100が給紙トレイ13に装填されていることをセンサ(図示せず)等により検出する(ステップS100)と、カラーチャート生成部413は印刷制御部400へカラーチャートのデータを出力する。その結果、印刷制御部400は、印刷媒体100にカラーチャートを印刷する(ステップS102)。
カラーチャートについては、色補正部402で色補正が行われないため、印刷されたカラーチャートの色は、色補正なしLUTのCMYKlclmデータによる印刷と等価である。ここで、色補正なしLUTとは、カラーチャートにおけるRGB格子点とインク量格子点とを対応付けたものである。具体的には、色補正なしLUTでは直交RGB格子点(RGBの各色成分を直交軸とし、各軸等値の階調値域を均等に分割して得られる値の組み合わせで形成される格子点)を定義し、任意の選び方で選択されたインク量格子点(インク色(第1の実施の形態ではCMYKlclm)を色成分とする軸によって形成されるインク量空間における格子点)に対して対応づけを行う。任意のインク量は色彩値(Lab値等)に変換することができるため、RGB格子点とインク量格子点との対応関係は、実質的にRGB格子点と色彩値との対応関係と考えることができる。
なお、第1の実施の形態では、色補正なしLUTはあらかじめ作成されており、ROM43等に記憶されている。色補正なしLUTは、例えば分版作業等の公知の方法により作成された、RGB格子点とインク量格子点とを対応づけた初期LUTを生成し、初期LUTにおけるインク量格子点に対してLab空間でスムージング処理を実施することで生成される。スムージング処理により、初期LUTに定義されたCMYKlclmデータが示す色の格子点配置をLab色空間中で平滑化して格子点配置の平滑程度が高いLUTが作成される。
インク乾燥度判別部412は、赤外光センサ550での検出結果に基づいて、インクに含まれる水分量を測定する(ステップS104)。水分量、すなわち吸光度Aは、以下の数式(1)により算出される。
ここで、Pinはインクに照射される赤外線の光量、すなわち赤外光光源531から出射された赤外線の光量である。Poutは、インクから出射される赤外線の光量、すなわち赤外光センサ550に入射される赤外線の光量である。なお、インク乾燥度判別部412は、水分量算出データ保存部416に検量関数から求めた値と水含有率との関係が保存された波長について、吸光度Aを算出する。
インク乾燥度判別部412は、ステップS104で測定された水分量が、閾値より小さいか否かを判断する(ステップS106)。インク乾燥度判別部412は、水分量算出データ保存部416に記憶された複数の波長の吸光度に基づいて(例えば、複数の波長のすべての吸光度が閾値より小さい場合には)、水分量が閾値より小さいと判断する。
水分量Aが閾値より小さい(ステップS106でYES)場合は、インクに含まれる水分量が一定量以下、すなわちインクが十分に乾いている場合である。水分量Aが閾値より小さくない(ステップS106でNO)場合は、インクに含まれる水分量が必要以上に多い、すなわちインクが十分に乾いていない場合である。
水分量Aが閾値より小さくない(ステップS106でNO)場合は、色を測定したとしても精度のよい測定結果が得られないため、インク乾燥度判別部412は、再度ステップS104に戻る。
水分量Aが閾値より小さい(ステップS106でYES)場合は、インク乾燥度判別部412は、波長選択部411及びプロファイル作成部414に指示を出し、以下に示す色測定及び色補正データ作成処理(ステップS108〜S112)を行う。
波長選択部411は、カラーチャートにおけるRGB格子点の情報に基づいて、印刷媒体100に印刷された色が分光器54を透過するようにギャップG2を制御し、可視光センサ551を用いて分光器54を透過した光を検出する(ステップS108)。これにより、チャート上のパッチを逐次測色し、色補正なしLUTに規定された各RGBデータで印刷されるパッチのLab値を取得することができる。
プロファイル作成部414は、ステップS108で検出された検出結果を取得し、検出結果に基づいてsRGBデータとCMYKlclmデータとが対応付けられた色補正LUTを作成する(ステップS110)。
具体的には、プロファイル作成部414は、パッチのLab値を参照して補間演算を実施し、sRGBデータが示す色のLab値に対応するRGBデータを取得する。
RGBデータによる印刷は色補正なしLUTに規定されたCMYKlclmデータによる印刷と等価である。ステップS110で得られた結果は、色補正なしLUTに規定された各RGBデータで印刷されるパッチのLab値である。
また、色補正LUTに登録する参照点としてのsRGBデータは予め決めておく(第1の実施の形態ではこのsRGBデータをターゲットと呼ぶ)。sRGBデータは公知の式によって対応するLab値を取得することができるので、ターゲットに対応するLab値は容易に取得することができる。このsRGBデータが示す色が色補正なしLUTに規定されたRGB表色系でどのような値であるのか把握することができれば、色補正なしLUTを参照してそのRGBデータをCMYKlclmデータに変換することにより、sRGBデータとCMYKlclmデータとを対応づけて色補正LUTを作成することができる。そこで、上記色補正なしLUTに規定された各RGBデータで印刷されるパッチのLab値を参照して補間演算を実施し、上記sRGBデータが示す色のLab値に対応するRGBデータを取得する。
そして、色補正なしLUTを参照してこのRGBデータに対応するCMYKlclmデータを取得する。このRGBデータは上記sRGBデータが示す色のLab値(インク量と等価)に対応しているので、このCMYKlclmデータが示す色はsRGBデータが示す色と一致する。従って、両者を対応づけたテーブルを作成することによって色補正LUTを作成することができる。すなわち、色補正LUTは、色補正後の色彩値とインク量との関係を規定する情報である。
なお、第1の実施の形態では、ターゲットのLab値と色補正なしLUTのRGBデータとを対応づける前にガマットマッピングを行う。すなわち、sRGBデータによって表現可能な色の色域と色補正なしLUTに規定されたRGBデータによって表現可能な色の色域とではその大きさが異なるので、両者を一致するように色域圧縮を行うようにしている。
これにより、色補正LUTが生成される。プロファイル作成部414は、生成した色補正LUTをプロファイル保存部415に保存する(ステップS112)。色補正LUTは、印刷媒体毎にそれぞれ異なるものである。したがって、以下、色補正LUTをメディアプロファイルと呼ぶ。
プロファイル選択部416は、プロファイル保存部415に保存されたメディアプロファイルを色補正部402に出力する。色補正部402は、プロファイル選択部416から出力されたメディアプロファイルに基づいて画像データ、すなわちインク量を補正する。印刷部403は、色補正部402で補正された画像データに基づいて、インク吐出ノズル35からインクを印刷媒体100に吐出する、すなわち印刷を行う(ステップS114)。これにより、印刷媒体100に印刷される画像の色が、印刷媒体に応じた適切な色となる。
第1の実施の形態によれば、高い精度で広い波長の範囲の光を測定することができる。また、分光器を透過した光を次数毎に分光することで、異なる波長の光を同時に検出することができる。また、異なる波長の光を同時に検出することで、測定スピードを上げることができる。
また、第1の実施の形態によれば、分光器が1個であるため、光検出装置を省スペース化でき、光検出装置を印刷装置の内部に設けることができる。さらに、分光器が1個であるため、分光器間の個体差調整が不要である。
また、第1の実施の形態によれば、インクの乾燥度を測定し、インクが十分に乾いた状態で色彩値とインク量との関係を規定したプロファイルを作成するため、正確な色補正を行うことができる。また、インクの乾燥度合いによる印刷物の色の変化を避けて、一定の状態で測色することができる。
さらに、第1の実施の形態では、インクの乾燥度を直接検出するので、紙やインク・乾燥方法によらず、インクが乾燥したらすぐに測色動作に入ることができる。紙やインク・乾燥方法によって乾燥に必要な時間は異なるが、第1の実施の形態では、そのような条件の差異に影響を受けることなく処理を行うことができる。
なお、第1の実施の形態では、光源53に対して1本の光源用光ファイバー51を設けたが、可視光光源530、赤外光光源531のそれぞれに対して光源用光ファイバーを設けるようにしてもよい。また、光源53及び光源用光ファイバー51は必須ではなく、光が取得可能であれば光検出装置50に光源53は不要であるし、光源用光ファイバー51も不要である。また、光源53は、光検出装置50に設ける場合に限らず、印刷装置内の任意の位置、例えば印刷媒体100での反射光が受光用光ファイバー52に入射するような位置に設けてもよい。
また、第1の実施の形態では、受光部55として複数のセンサが2次元配置されたエリアセンサを用いたが、受光した光強度に応じて信号を発生するセンサであればこれに限定されない。例えば、受光用光ファイバー52から出射された光が分光器54から出射される位置に、それぞれ単一のフォトセンサを配置してもよい。
また、第1の実施の形態では、光源用光ファイバー51、受光用光ファイバー52を左右方向(主走査方向)に移動させて、印刷されたカラーチャートの測色を行ったが、光源用光ファイバー51、受光用光ファイバー52を左右方向(主走査方向)に移動させない形態も考えられる。例えば、カラーチャートを印刷媒体100の端部(例えば、使用領域外)に副走査方向に沿って印刷し、カラーチャートが印刷される部分が測色可能な位置に光源用光ファイバー51、受光用光ファイバー52を設けてもよい。
また、第1の実施の形態では、印刷装置1の内部に制御部40を設け、制御部40が光検出装置制御部410を有したが、制御部40は印刷制御部400のみを有するようにし、光検出装置制御部410は光検出装置50の内部に設けるようにしてもよい。
<第2の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態は、光検出装置を印刷装置の内部に配設したが、光検出装置が配設可能であるのは印刷装置の内部に限られない。
本発明の第2の実施の形態は、光検出装置をプロジェクターの内部に配設する形態である。以下、第2の実施の形態のプロジェクター2について説明する。なお、第1の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
図12は、本発明の第2の実施の形態におけるプロジェクター2の構成の一例を示す図である。プロジェクター2は、主として、プロジェクター本体60と、表示色入射部61と、外部光入射部62と、を備える。また、プロジェクター2は、内部に制御部40A(図18では図示せず)と、光検出装置50Aと、を備える。
プロジェクター本体60は、ほぼ正面に設けられたスクリーン101に所定の画像を投影する。プロジェクター本体60の構成は、すでに公知であるため、説明を省略する。
表示色入射部61は、プロジェクター本体60の正面(スクリーン101と対向する面)に設けられる。表示色入射部61には、スクリーン101上で反射した光が入射される。表示色入射部61に入射された光は、受光用光ファイバー52Aを介して光検出装置50Aの分光器54(図12では図示せず)に入射され、受光部55の可視光センサ551で受光される。これにより、スクリーン101に表示された画像の色が検出可能となる。受光用光ファイバー52Aは、本発明の導光部に相当する。
外部光入射部62は、プロジェクター本体60の上面に設けられる。外部光入射部62には、電子ペン102、リモコン103、立体視用眼鏡104等の外部機器からによる赤外光及び照明光が入射され、受光用光ファイバー52Bを介して赤外光及び照明光が光検出装置50Aの分光器54(図12では図示せず)に入射され、受光部55の赤外光センサ550又は可視光センサ550で受光される。受光用光ファイバー52Bは、本発明の導光部に相当する。
なお、外部光入射部62の配設位置は、プロジェクター本体60の上面に限られない。例えば、外部光入射部62は、プロジェクター本体60の上面及び側面に設けられていてもよい。
図13は、制御部40Aの電気的な構成を示すブロック図である。制御部40Aは、外部機器として電子ペン102、リモコン103、立体視用眼鏡104等を介してプロジェクター2の投影画像を制御する。制御部40Aは、主として、画像処理部420と、光検出装置制御部430とを有する。
画像処理部420は、主として、画像データ取得部421と、色補正部422と、表示部423とを有する。
画像データ取得部421は、スクリーン101に表示する画像データをインターフェイス等を介して取得する。
色補正部422は、入力された画像データに対して、光検出装置制御部430から出力された色補正データを用いて色補正を行う。パーソナルコンピュータなどからアナログ形式の画像入力信号が供給された場合、色補正部422は、画像入力信号をデジタル画像信号に変換し、デジタル画像信号に対して色補正テーブルを参照して色補正を行う。色補正部422は、本発明の取得部及び出力部に相当する。色補正されたデジタル画像信号は、アナログ信号に変換され、表示部423に出力される。
表示部423は、電子ペン102、リモコン103、立体視用眼鏡104等の外部機器の入力に基づいて、色補正部422から出力された画像データの投影表示を行う。表示部423は、本発明の出力部に相当する。
光検出装置制御部430は、主として、波長選択部431と、カラーパッチ出力部432と、色補正データ作成部433と、色補正データ保存部434と、色補正データ選択部435と、外部機器判別部436と、を有する。波長選択部431は、波長選択部411と同一であるため、説明を省略する。
カラーパッチ出力部432は、R(赤)、G(緑)、B(青)、BK(黒)の各色のカラーパッチを表示部423に出力する。カラーパッチ出力部432は、本発明の出力部に相当する。
色補正データ作成部433は、受光用光ファイバー52Aから出射され、分光器54を透過した光が可視光センサ551で検出された結果(例えば、分光反射率)を取得する。また、色補正データ作成部433は、取得した検出結果に基づいて色補正データ(第1の色補正データ、第2の色補正データ、第3の色補正データ、補正情報に相当)を作成する。色補正データ作成部433が行う処理については、後に詳述する。色補正データ作成部433及び可視光センサ551は、本発明の取得部に相当する。また、色補正データ作成部433は、本発明の情報作成部に相当する。
色補正データ保存部434には、色補正データ作成部433で生成された色補正データが保存される。
色補正データ選択部435は、色補正データ保存部434に保存された色補正データを取得し、画像処理部420に出力する。
外部機器判別部436は、受光用光ファイバー52Bから出射され、分光器54を透過した光が赤外光センサ550で検出された結果を取得する。外部機器判別部436は、波長選択部411により分光器54を制御して透過させる光の波長を変更しながら、赤外光センサ550からの信号を検出することによって、光のスペク卜ル(各波長での光強度のデータ)を取得する。外部機器判別部436が行う処理については、後に詳述する。
次に、第2の実施の形態におけるプロジェクター2の特徴的な処理について説明する。
図14は、外部機器に応じた投影処理の流れを示すフローチャートである。この処理は、ボタン等により投影開始の指示が入力されてから、一定時間間隔で繰り返し行われる。
この処理に先立ち、暗室内でプロジェクター2に白(R=G=B=255階調)を出力させ、スクリーン101からの反射光の輝度値を光検出装置50Aで測定しておく。
また、この処理に先立ち、暗室内でプロジェクター2からR(赤)、G(緑)、B(青)、BK(黒)の各色を基準投影面に対して出力させ、当該各色出力の基準投影面による反射光の輝度値及びスペクトルを光検出装置50Aで測定しておく。ここで、基準投影面とは、例えば、標準拡散板などの可視光領域の反射率が1に近いものを選択することができる。
また、この処理に先立ち、暗室内でプロジェクター2からR(赤)、G(緑)、B(青)、BK(黒)の各色をスクリーン101に対して出力させ、当該各色出力のスクリーン101による反射光の輝度値及びスペクトルも光検出装置50Aで測定しておく。
さらに、この処理に先立ち、外部照明があり、かつプロジェクター2から何も投影しない状態で、スクリーン101による反射光の輝度値及びスペクトルも光検出装置50Aで測定しておく。当該測定に変えて、外部光入射部62から入力された可視光の輝度値及びスペクトルも光検出装置50Aで測定してもよい。
これらの処理により得られた測定結果は、色補正データ保存部434に保存しておく。
また、この処理に先だち、画像データ取得部421により画像データが予め取得されているものとする。
外部機器判別部436は、赤外光センサ550で検出されたスペクトル(波長と光強度との関係)を取得する(ステップS200)。
外部機器判別部436は、ステップS200で取得された結果に基づいて、どの外部機器からの信号が入力されているかを判別する(ステップS202)。例えば、外部機器判別部436は、波長と外部機器との関係を示す情報をROM43等から取得し、取得した情報と取得したスペクトルとに基づいて外部機器を判断することができる。
ステップS202で判断された外部機器が電子ペン102である場合(ステップS204でYES)、すなわち赤外光センサ550で電子ペン102から出射される波長(例えば、波長λa〜λb)の光が検出された場合には、表示部423は、図示しない撮像手段等を介して電子ペン102のペン先の位置を取得する。そして、表示部423は、ペン先の位置に相当する位置に所定の色を重畳させた画像データをスクリーン101に投影する(ステップS206)。当該処理は、すでに公知であるため、説明を省略する。
ステップS202で判断された外部機器がリモコン103である場合(ステップS208でYES)、すなわち赤外光センサ550でリモコン103から出射される波長(例えば、波長λb〜λc)の光が検出された場合は、リモコン103からの入力があった場合である。外部機器判別部436は、リモコン103からの指示が色補正指示であるか否かを判断する(ステップS209)。リモコン103からの指示が色補正指示であるか否かは、すでに公知の方法により判断可能である。
リモコン103からの指示が色補正指示である場合(ステップS209でYES)には、色補正データ作成部433は、以下に示す方法により色補正データを作成する(ステップS210)。
色補正データ作成部433は、外部照明の明るさ変化に対する補正を行うためのデータである第1の色補正データを作成する。第1の色補正データの作成処理について説明する。
まず、色補正データ作成部433は、予め取得した外部照明があり、かつプロジェクター2から何も投影しない状態で、スクリーン101による反射光の輝度値及びスペクトルを測定した結果に基づいて、外部照明の輝度を測定する。また、外部照明の輝度は、外部光入射部62に入力された可視光に基づいて測定することもできる。
次に、色補正データ作成部433は、予め取得した暗室内での反射光の輝度及び外部照明がある状態での反射光の輝度に基づいて、暗室下及び外部照明がある状態下でのγカーブを、プロジェクター2が白を出力した時の輝度(暗室の場合:Yw、外部照明外存在する場合:Yw+Yi)が1になるように規格化し、それぞれのγカーブを基準点D0で重ね合わせる。なお、基準点D0は,中階調付近(0.25≦D0≦0.5程度)であることが望ましい。
そして、基準点D0付近で、外部照明が存在する場合の出力値と、暗室の場合の出力値とが一致するように第1の色補正データを形成する。そして、基準点Do付近での相対的なコントラスト(γカーブの傾き)が、外部照明の有無によって変化しないように入力階調データを補正することによって、外部照明の有無による出力画像の色の変化を小さくする。
このようにして求められたRGBの各色の第1の色補正データは、以下の式で表される。なお、γはプロジェクター2の階調特性である。第1の色補正データの算出方法は、すでに公知であるため、詳細な説明を省略する。
<数2>
DRout1=[(1+α1・Yi/Yw) DRin γ−(α1・Yi/Yw)Do γ]1/γ・・・(2)
DGout1=[(1+α1・Yi/Yw) DGin γ−(α1・Yi/Yw)Do γ]1/γ・・・(3)
DBout1=[(1+α1・Yi/Yw) DBin γ−(α1・Yi/Yw)Do γ]1/γ・・・(4)
第1の色補正データによる補正がかかりすぎると、画像が不自然となる可能性があるため、第2の実施の形態では、補正量をα1倍している。なお、α1の値は、0.8≦α1≦1の範囲内であることが好ましい。
第1の色補正データを作成したら、投影面の色の変化に対する補正を行うためのデータである第2の色補正データを作成する。以下、第2の色補正データを作成する処理について説明する。
カラーパッチ出力部432は、R(赤)、G(緑)、B(青)、BK(黒)のうちの1色を画像処理部420に出力すると、表示部423は、カラーパッチ出力部432から出力された色をスクリーン101に対して出力する。その結果、色補正データ作成部433は、カラーパッチ出力部432から出力された色の、スクリーン101での反射光を測定した結果(輝度値、分光反射率等)を、可視光センサ551を介して取得する。
色補正データ作成部433は、R(赤)、G(緑)、B(青)、BK(黒)のすべての色の測定結果を取得し、各投影面(基準投影面、スクリーン101)におけるプロジェクター2のRGB各色の輝度比を計算する。次に、色補正データ作成部433はスクリーン101での輝度比が基準投影面での輝度比と一致するよう補正データを、第2の色補正データとして作成する。そのため、第2の色補正データを用いることで、全ての色において投影面の違いによる色度の変化が補正される。
このようにして求められたRGBの各色の第2の色補正データは、以下の式で表される。第2の色補正データの算出方法は、すでに公知であるため、詳細な説明を省略する。
<数3>
DRout2=[1−α3{1−yR’/max(yR’、yG’、yB’)}] 1/γ×DRin2・・・(5)
DGout2=[1−α3{1−yG’/max(yR’、yG’、yB’)}] 1/γ×DGin2・・・(6)
DBout2=[1−α3{1−yB’/max(yR’、yG’、yB’)}] 1/γ×DBin2・・・(7)
ここで、補正前のRGBのデジタルの入力値を0〜1の範囲に規格化したものをDRin2、DGin2、DBin2とし、補正後のRGBのデジタルの入力値を0〜1の範囲に規格化したものをDRout2、DGout2、DBout2とする。また、yR’、yG’、yB’は、基準投影面での輝度比をスクリーン101での輝度比で割ったものであり、max(yR’、yG’、yB’)はyR’、yG’、yB’の最大値を示す。
このようにして、測色的には投影面による色度の変化を補正することができるが、人間の目の順応度や対比の効果を加味して補正量α3(0<α3<1)を調整する。測定によって得られた投影面の色に対して100%(α3=1)の補正をかけると測色的には正しい補正が行われる。しかしながら、外部照明がある場合は投影画像の周囲に投影面の色が存在するため、投影画像と投影面との色の対比や外部照明に対する眼の順応の効果などによって、実際よりも補正が強くかかっているように見える。この現象を解消するために、補正量を調整する。補正量α3は、各環境下において実際に画像の評価を行いながら調整する必要がある。α3の値としては、0.5〜1.0が好適である。
次に、色補正データ作成部433は、プロジェクター2のRGBの出力値から、予め取得した外部照明のRGB値の平均値からの差を差し引く補正を、第3の色補正データとして作成する。
このようにして求められたRGBの各色の第3の色補正データは、以下の式で表される。第3の色補正データの算出方法は、すでに公知であるため、詳細な説明を省略する。
<数4>
DRout=(DRin3 γ−α2ΔRoffset)1/γ・・・(8)
DGout=(DGin3 γ−α2ΔGoffset)1/γ・・・(9)
DBout=(DBin3 γ−α2ΔBoffset)1/γ・・・(10)
ここで、ΔRoffset、ΔGoffset、ΔBoffsetは、ステップS210で取得したRGB値ri,gi,biの、RGB値ri,gi,biの平均値からの差である。これによって照明の色とオフセットの色とを重ね合せた色がプロジェクター2のグレイと同一の色度となる。
また、人間の目の順応度や対比の効果を加味して補正量を調整する場合は、ΔRoffset、ΔGoffset、ΔBoffsetの値を(α2)倍(0<α2<1)する。測定によって得られた照明の色に対して100%(α2=1)の補正をかけると測色的には正しい補正が行われるが、補正のかかり過ぎによって不自然な画像再現になってしまう場合がある。この現象を解消するために、補正量を調整する。補正量α2は、各環境下において実際に画像の評価を行いながら調整する必要がある。α2の値としては、0.2〜0.5が好適である。
色補正データ作成部433は、このようにして作成した第1の色補正データ、第2の色補正データ、第3の色補正データを色補正データ保存部434に保存する。色補正データ選択部435は、色補正データ作成部433に保存された第1の色補正データ、第2の色補正データ、第3の色補正データを取得し、色補正部422に出力する。
色補正部422は、色補正データ選択部435から出力された第1の色補正データ、第2の色補正データ、第3の色補正データを取得し、第1の色補正データ、第2の色補正データ、第3の色補正データを用いて画像データを補正する(ステップS212)
具体的には、色補正部422は、第1の色補正データ、第2の色補正データ、第3の色補正データをつなぎ合わせた最終的な補正データを求める。データのつなぎ合わせは、DRin2=DRout1、DRin3=DRout2、DGin2=DGout1、DGin3=DGout2、DBin2=DBout1、DBin3=DBout2とすることで求められる。
そして、色補正部422は、画像データを最終的な補正データを用いて補正する。なお、色補正部422は、最終的な補正データに対して、カーブが滑らかになるような処理を行ってもよい。
表示部423は、ステップS212で補正された画像データをスクリーン101に投影する(ステップS214)。
リモコン103からの指示が色補正指示でない場合(ステップS209でNO)には、外部機器判定部436は、指示内容を取得し、指示内容に応じた処理を行う(ステップS211)。リモコンからの指示内容を取得し、それに応じた処理を行うことは、すでに公知であるため、説明を省略する。
ステップS208で判断された外部機器がリモコン103でない場合(ステップS208でNO)には、外部機器判定部436は、赤外光センサ550で立体視用眼鏡104から出射される波長(例えば、λc〜λd)の光が検出されたか否かを判断する(ステップS215)。
赤外光センサ550で立体視用眼鏡104から出射される波長(例えば、λc〜λd)の光が検出された場合(ステップS215でYES)は、立体視用眼鏡104から信号が出力された場合である。したがって、表示部423は、立体視用の画像データが入力されていた場合には、立体視用の画像データに含まれる右目用画像及び左目用画像を、立体視用眼鏡104の左右視の切り替えに同期して切り替える(ステップS216)。当該処理は、すでに公知であるため、説明を省略する。
赤外光センサ550で立体視用眼鏡104から出射される波長(例えば、λc〜λd)の光が検出されなかった場合(ステップS215でNO)には、外部機器判定部436は、外部機器からの信号が出力されていないと判断し、何も処理を行わない。
制御部40Aは、表示終了の指示が入力されたか否かを判断する(ステップS218)。表示終了の指示が入力されていない場合(ステップS218でNO)は、制御部40AはステップS200に戻る。表示終了の指示が入力された場合(ステップS218でYES)は、制御部40Aは処理を終了する。
第2の実施の形態によれば、赤外線と可視光とを同時に取得できるため、外部機器からの入力を検出しつつ、スクリーンへの投影画像の色補正を行うことができる。色補正により、光源や投影面の経年劣化や特性に依らず一定の色を表示することができる。
また、第2の実施の形態では、異なる波長の赤外線を取得することで、外部機器からの信号を混線することなく同時に処理することができる。
なお、第2の実施の形態では、ステップS210で補正データ(第1の色補正データ、第2の色補正データ、第3の色補正データ)を作成したが、補正データは事前に保存しておいてもよい。例えば、予め様々な種類の照明に対する色補正データを作成し、照明の種類と関連付けて保存しておく。そして、外部照明の測定結果に基づいて照明の種類を特定し、特定した照明の種類に関連付けられた補正データを選択するようにすればよい。
また、第2の実施の形態では、波長選択部431で分光器54を透過する波長を変えつつ赤外光センサ550で受光して赤外光のスペクトルを取得することで、どの外部機器から赤外光が出力されているかを求めたが、光検出装置50の光路Bにさらにダイクロイックミラー等の分光器を設けてもよい。例えば、波長λb以上の波長の光を反射する分光器と、波長λc以上の波長の光を反射する分光器とを光路Bに設け、波長λb以上の波長の光と、波長λc以上の波長の光とを光路Bから異なる光路に導き、波長λb以上の波長の光と、波長λc以上の波長の光とをそれぞれ異なる赤外光センサに導くようにしてもよい。そして、赤外光センサと外部機器とを関連付けておけば、赤外光が入力されたセンサに応じた外部機器から入力があったことを容易に判断することができる。
また、第2の実施の形態では、プロジェクターを例に説明したが、第2の実施の形態はモニタ等の他の表示装置にも適用することができる。また、第2の実施の形態では、複数の外部機器から赤外光が入力されるが、外部機器の数はこれに限られない。
また、第2の実施の形態では、赤外光と可視光とが同一の光ファイバーにより分光器に導かれたが、赤外光と可視光とが異なる場所から異なる光ファイバーにより分光器に導かれもよい。
<第3の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態は、光検出装置を印刷装置の内部に配設したが、光検出装置が配設可能であるのは印刷装置の内部に限られない。
本発明の第3の実施の形態は、光検出装置を肌検査装置の内部に配設する形態である。以下、第3の実施の形態の肌検査装置3について説明する。なお、第1の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
図15は、本発明の一実施形態における肌検査装置3の構成の一例を示す図である。肌検査装置3は、主として、プローブ70と、処理装置80と、を備える。
プローブ70は、内部に光検出装置50を備え、先端に円柱状のスリーブ71を備える。スリーブ71の外周壁の内部には、光透過体が設けられている。
光透過体は、ガラスやアクリル樹脂等の光に対して透明性の高い材料から形成されたものを使用することができ、第3の実施の形態では、光透過体として光学的に透明なガラスを採用した。光透過体は、少なくとも、測定時に皮膚と接触する側の面が平坦であり、かつ、その下面はスリーブ71の外周壁と同一平面をなしている(光透過体が微小量だけ突出していてもよい)。
光透過体には、光源用光ファイバー51及び受光用光ファイバー52の端面が隣接して設けられる。光透過体には、光源用光ファイバー51から出射した光が入射される。光透過体は、可視光光源530から出射されたR、G、Bの各波長光及び赤外光光源531から出射された近赤外光をプローブ70の外部、すなわちスリーブ71外へと透過させる。
また、光透過体は、スリーブ71外へと透過されたR、G、Bの各波長光及び近赤外光が肌等で反射した反射光を受光し、受光用光ファイバー52へ出射する。
処理装置80は、前面には表示部81を備え、内部に制御部40Bを備える。
図16は、制御部40Bの電気的な構成を示すブロック図である。制御部40Bは、主として、肌検査部440と、光検出装置制御部450とを有する。
肌検査部440は、主として、肌色測定部441と、皮脂量測定部442と、水分量測定部443と、皮脂量算出データ保存部444と、水分量算出データ保存部445とを有する。
肌色測定部441は、可視光測定結果取得部453で取得されたスペクトルに基づいて肌色を測定する。肌色測定部441は、本発明の肌色測定部に相当する。肌色測定部441の処理については後に詳述する。
皮脂量測定部442は、赤外光測定結果取得部452で取得されたスペクトルに皮脂量算出データ保存部444に記憶された検量関数を適用することによって皮脂量を測定する。スペクトルに検量関数を適用する点については、すでに公知であるため、説明を省略する。皮脂量測定部442は、本発明の含有量測定部に相当する。
水分量測定部443は、赤外光測定結果取得部452で取得されたスペクトルに水分量算出データ保存部445に記憶された検量関数を適用することによって水分を測定する。スペクトルに検量関数を適用する点については、すでに公知であるため、説明を省略する。水分量測定部443は、本発明の含有量測定部に相当する。
皮脂量算出データ保存部444は、皮脂量の体積分率が既知の複数のサンプルに対して吸光度スペクトルを実測し、皮脂量の体積分率と吸光度スペクトルを関連づけて求められた検量関数が保存される。検量関数は、皮脂量の体積分率が既知の複数のサンプルに対して吸光度スペクトルに基づいて、説明変数(ここでは、スペクトル)と目的変数(ここでは、水の体積分率)から情報を抽出して新たな変数を作成するPartial Least Squares (PLS)法を使用して求めることができる。Partial Least Squares (PLS)法は、すでに公知であるため、説明を省略する。
水分量算出データ保存部445は、水の体積分率が既知の複数のサンプルに対して吸光度スペクトルを実測し、水の体積分率と吸光度スペクトルを関連づけて求められた検量関数が保存される。検量関数は、水の体積分率が既知の複数のサンプルに対して吸光度スペクトルに基づいて、説明変数(ここでは、スペクトル)と目的変数(ここでは、水の体積分率)から情報を抽出して新たな変数を作成するPartial Least Squares (PLS)法を使用して求めることができる。Partial Least Squares (PLS)法は、すでに公知であるため、説明を省略する。
光検出装置制御部450は、主として、波長選択部451と、赤外光測定結果取得部452と、可視光測定結果取得部453とを有する。波長選択部451は、波長選択部411と同一であるため、説明を省略する。
赤外光測定結果取得部452は、赤外光センサ550で受光された近赤外光スペクトルを取得する。また、赤外光測定結果取得部452は、近赤外光スペクトルを皮脂量測定部442へ出力すると共に、近赤外光スペクトルを水分量測定部443へ出力する。赤外光測定結果取得部452は、本発明の取得部及び赤外光取得部に相当する。
可視光測定結果取得部453は、可視光センサ551で受光されたスペクトルを取得する。また、可視光測定結果取得部453は、各波長光の光強度を取得し、肌色測定部441へ出力する。可視光測定結果取得部453は、本発明の取得部及び可視光取得部に相当する。
次に、第3の実施の形態における肌検査装置3の特徴的な処理について説明する。
図17は、肌の色、皮脂量、水分量を測定する処理の流れを示すフローチャートである。この処理は、ボタン等により測定開始の指示が入力されることにより行われる。
当該処理に先立ち、可視光及び赤外光の基準反射光量を取得し、RAM42等に記憶しておく。可視光及び赤外光の基準反射光量は、標準拡散板を測定した際に各波長で受光される光量である。標準拡散板とは対象波長領域内のどの波長でも同じ程度の高い反射率を持ち、また正反射光が出ないように表面加工されているものである。標準拡散板はすでに公知であるため、説明を省略する。なお、第3の実施の形態では、可視光、赤外光兼用の標準拡散板を使用する。
また、スリーブ71を鏡面等に接触させた状態で光源53を照射し、可視光センサ551で受光されたスペクトルを可視光測定結果取得部453が取得し、これをRGB基準反射量として保持しておく。RGB基準反射量は、製造工程、出荷前等において測定され、ROM43や図示しない記憶部等に記憶されたものを用いてもよい。
可視光測定結果取得部453は、スリーブ71が肌に接触した状態で光源53を照射し、可視光センサ551が取得した各波長光の光強度を取得して肌色測定部441に出力する(ステップS300)。
肌色測定部441は、予め取得して保持しておいた基準反射量と、ステップS300で取得された各波長光の光強度との比を肌色として求める(ステップS302)。具体的には、ステップS300で取得されたスペクトルに、標準観察者の目に対応する分光感度(等色関数)を掛け合わせることにより、肌色が求められる。標準観察者の目に対応する分光感度(等色関数)は、規定されているものであるため、説明を省略する。
ステップS300と同時に、赤外光測定結果取得部452は、スリーブ71が肌に接触した状態で光源53を照射し、赤外光センサ550で受光されたスペクトルを取得して皮脂量測定部442及び水分量測定部443に出力する(ステップS304)。
皮脂量測定部442は、ステップS304で取得したスペクトルに皮脂量算出データ保存部444に記憶された検量関数を適用することによって皮脂量を算出する(ステップS306)。
水分量測定部443は、ステップS304で取得したスペクトルに水分量算出データ保存部445に記憶された検量関数を適用することによって水分量を算出する(ステップS308)。
第3の実施の形態によれば、可視光測定(肌色測定)と赤外光測定(皮脂量測定、水分量測定)とを単一の分光器で行うことができる。また、可視光測定(肌色測定)と赤外光測定(皮脂量測定、水分量測定)とを同時に測定することができる。また、肌色、皮脂量、水分量を同時に測定できるので、測定スピードを上げることができる。
なお、本実施の形態では、肌検査装置が肌色、皮脂量、水分量を測定したが、肌検査装置が測定する者はこれに限られない。例えば、肌検査装置が、肌色、皮脂量、水分量以外の肌成分、例えばメラニン量を同様の方法により測定するようにしてもよい。
<第4の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態は、光検出装置を印刷装置の内部に配設したが、光検出装置が配設可能であるのは印刷装置の内部に限られない。
本発明の第4の実施の形態は、光検出装置を選果装置4の内部に配設する形態である。以下、第4の実施の形態の選果装置4について説明する。なお、第1の実施の形態〜第3の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
図18は、本発明の一実施形態における選果装置4の構成の一例を示す図である。選果装置4は、主として、果実105を載置可能な測定器本体90を備える。測定器本体90は、内部に制御部40Cと、光検出装置50とを備える。ここでいう果実105とは、果物、野菜等を含む概念である。
光検出装置50内の光源53から照射された光は、光源用光ファイバー51を介して果実105に照射される。果実105に照射され、果実105の表面で反射した光は、受光用光ファイバー52に入射される。受光用光ファイバー52に入射された光は、分光器54に照射され、ダイクロイックミラー56で分光されて受光部55で受光される。
図19は、制御部40Cの電気的な構成を示すブロック図である。制御部40Cは、主として、果実検査部460と、光検出装置制御部450とを有する。果実検査部460は、主として、色測定部461と、糖度測定部462とを有する。
色測定部461は、可視光測定結果取得部453で取得された可視光のスペクトルに基づいて果実105の色を測定する。色測定部461は、本発明の色測定部に相当する。
糖度測定部462は、赤外光測定結果取得部452で取得された赤外光のスペクトルに基づいて果実105の糖度を測定する。糖度の測定には、例えば880nm〜910nmの赤外光を用いることができる。糖度は、赤外光の反射率又は吸光率から求めることができる。糖度測定部462は、本発明の糖度測定部に相当する。赤外光のスペクトルに基づいて糖度を測定する方法は、すでに公知であるため、説明を省略する。
次に、第4の実施の形態における選果装置4の特徴的な処理について説明する。
ボタン等により測定開始の指示が入力されると、光源53から可視光及び赤外光を果実105に照射し、赤外光センサ550は赤外光のスペクトルを取得し、可視光センサ551は可視光のスペクトルを取得する。
色測定部461は、可視光測定結果取得部453を介して可視光センサ551が取得した可視光のスペクトルを取得し、果実105の色を測定する。それと同時に、糖度測定部462は、赤外光測定結果取得部452を介して赤外光センサ550が取得した赤外光のスペクトルを取得し、果実105の糖度を測定する。
第4の実施の形態によれば、可視光測定(色測定)と赤外光測定(糖度測定)とを単一の分光器で行うことができる。また、可視光測定(色測定)と赤外光測定(糖度測定)とを同時に測定することができる。また、色、糖度を同時に測定できるので、測定スピードを上げることができる。
なお、第4の実施の形態では、選果装置が果実の色、糖度を測定したが、選果装置は、果実に限らず、他の食品を測定してもよい。また、選果装置は、色、糖度に限らず、他の特性を測定することもできる。
<第5の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態は、光検出装置で赤外光と可視光とを受光したが、光検出装置は赤外光と可視光とを受光する形態に限られない。
本発明の第5の実施の形態は、光検出装置を印刷装置5の内部に配設し、異なる波長の可視光を同時に測定する形態である。以下、第5の実施の形態の印刷装置5について説明する。なお、第1の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
図20は、第5の実施の形態における印刷装置5の構成の一例を示す図である。印刷装置5と印刷装置1との差異は、印刷装置1が内部に制御部40及び光検出装置50を備えるのに対し、印刷装置5が制御部40D及び光検出装置50Bを備える点である。以下、この差異のみ説明し、その他の部分については説明を省略する。
まず、光検出装置50Bについて説明する。図21に示すように、光検出装置50Bには、光源53Aを構成する可視光光源530に一端が接続された光源用光ファイバー51と、光源用光ファイバー51からそれぞれ出射された光を受光する受光用光ファイバー52と、が接続されている。第1の実施の形態と同様、光源用光ファイバー51は、端面から出射する光が印刷媒体100に照射される位置に設けられる。受光用光ファイバー52は、印刷媒体100上で反射した光が受光用光ファイバー52の端面へ入射される位置に設けられる。
光検出装置50Bは、可視光光源530と、受光用光ファイバー52から出射された光が入射される分光器54と、分光器54を透過した光束を複数の光束に分割し、異なる光路へと導くダイクロイックミラー56Aと、ダイクロイックミラー56Aで分割されたそれぞれの光束を検出する受光部55A(可視光センサ551、552)と、それらを収納するケース57等から構成されている。
ダイクロイックミラー56Aは、白板ガラスに屈折率の異なる誘電体物質を交互に多層コーティングすることにより形成された波長選択ミラーである。ダイクロイックミラー56Aは、可視光のうちの所定の波長λe以下の光を透過し、その他の光を反射する。その結果、受光用光ファイバー52から出射され分光器54を透過した光束のうち、波長λe以下の可視光はダイクロイックミラー56Aを透過して光路Aへ導かれ、その他の波長の可視光はダイクロイックミラー56A表面で反射して光路Bへ導かれる。ダイクロイックミラー56Aは、本発明の光束分割手段に相当する。
受光部55Aは、可視光センサ551、552を有する。可視光センサ551は、光路Aに設けられ、ダイクロイックミラー56Aにより光路Aに導かれた可視光を受光する。可視光センサ552は、光路Bに設けられ、ダイクロイックミラー56Aにより光路Bに導かれた可視光を受光する。可視光センサ551、552は、本発明の可視光受光部に相当する。
図22は、制御部40Dの電気的な構成を示すブロック図である。制御部40Dは、主として、印刷制御部400と、光検出装置制御部410Aとを有する。光検出装置制御部410Aは、主として、波長選択部411と、カラーチャート生成部413と、プロファイル作成部417と、プロファイル保存部415と、プロファイル選択部416と、を有する。
プロファイル作成部417は、波長選択部411により分光器54を制御して透過させる光の波長を変更しながら、可視光センサ551、552からの信号を検出する。可視光センサ551と、可視光センサ552とは、同時に異なる波長の光を受光するため、プロファイル作成部417は、可視光センサ551での検出結果と、可視光センサ552での検出結果とをつなげて光のスペク卜ルを取得する。その他のプロファイル作成部417の機能は、プロファイル作成部414と同一であるため、説明を省略する。プロファイル作成部417及び可視光センサ551、552は、本発明の取得部に相当する。また、プロファイル作成部417は、本発明の情報作成部に相当する。
波長λeは、可視光が2分割できるような波長、例えば500nmとする。波長選択部411は、例えば3次ピークが333〜500nm、2次ピークが500〜750nmとなるように、分光器54のギャップG2を調整する。これにより、可視光領域内の2波長を同時に可視光センサ551、552に受光させる、すなわち可視光領域内の2波長を同時に測定することができる。
次に、第5の実施の形態における印刷装置1の特徴的な処理について説明する。
図23は、印刷媒体100を判別し、印刷媒体100に応じた色補正を行って、印刷媒体100に画像を印刷する処理の流れを示すフローチャートである。この処理は、ボタン等により印刷開始の指示が入力されることにより行われる。
印刷媒体搬送部401は、印刷媒体100が給紙トレイ13に装填されていることをセンサ(図示せず)等により検出する(ステップS100)と、カラーチャート生成部413は印刷制御部400へカラーチャートのデータを出力する。その結果、印刷制御部400は、印刷媒体100にカラーチャートを印刷する(ステップS102)。
波長選択部411は、カラーチャートにおけるRGB格子点の情報に基づいて、印刷媒体100に印刷された色が分光器54を透過するようにギャップG2を制御し、可視光センサ551、552を用いて分光器54を透過した光を検出する。プロファイル作成部417は、可視光センサ551、552で取得されたスペクトルを取得し、これをつなげて1個の可視光のスペクトルを取得する(ステップS109)。ステップS109のその他の処理は、ステップS108と同一であるため、説明を省略する。
プロファイル作成部414は、ステップS109で検出された検出結果を取得し、検出結果に基づいてsRGBデータとCMYKlclmデータとが対応付けられた色補正LUTを作成する(ステップS110)。
プロファイル作成部414は、生成した色補正LUTをプロファイル保存部415に保存する(ステップS112)。色補正部402は、プロファイル選択部416から出力されたメディアプロファイルに基づいて画像データ、すなわちインク量を補正し、印刷部403は、色補正部402で補正された画像データに基づいて印刷を行う(ステップS114)。
第5の実施の形態によれば、可視光領域内の2波長を同時に測定できるようになるため、通常の倍の速度で測色することができる。
なお、第5の実施の形態では、可視光領域内の2波長を同時に測定できる光検出装置を測色器として印刷装置内に設けたが、可視光領域内の2波長を同時に測定できる光検出装置を測色器として適用できる装置は印刷装置に限られない。例えば、可視光領域内の2波長を同時に測定できる光検出装置をプロジェクターに適用してもよいし、測色器単体として提供してもよい。
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者には明らかである。また、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。さらに、複数の実施形態を組み合わせて実施することも可能である。なお、本発明では、インク乾燥度等を近赤外光を用いて求めているが、近赤外光と可視光とを併用して求めるようにしてもよい。
特に、本発明は、印刷装置、プロジェクター、ディスプレイ等の光検出装置が設けられた装置として提供してもよいし、光検出装置として提供してもよい。また、本発明は、光検出装置等を制御するプログラムやプログラムを記憶した記憶媒体として提供することもできる。