JP2013160555A - 分光計測方法、および分光計測器 - Google Patents

分光計測方法、および分光計測器 Download PDF

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Abstract

【課題】分光計測器で得られた計測スペクトルから、スペクトルを精度良く推定する。
【解決手段】受光した光を複数の計測波長に分光して計測スペクトルを測定し、得られた計測スペクトルを基準計測スペクトルに変換する。そして基準計測スペクトルに変換行列を作用させてスペクトルを推定する。変換行列は、基準の分光計測器で得られた既知光についての計測スペクトル(既知光計測スペクトル)にその変換行列を作用させて得られる推定スペクトルと、既知光のスペクトル(既知光スペクトル)との偏差が極値となるように決定する。計測スペクトルから基準計測スペクトルへの変換は、計測スペクトルを測定した分光計測器の分光特性と、基準の分光計測器の分光特性とに基づいて行う。こうすれば、分光計測器の個体差に影響されることなく、計測スペクトルからスペクトルを精度良く推定することが可能となる。
【選択図】図14

Description

本発明は、分光計測方法、および分光計測器に関する。
物体が放射する光や、物体が反射する光のスペクトルは多くの情報を含むことが知られており、スペクトルを解析することで有用な情報を引き出そうとする研究が行われている(例えば特許文献1)。スペクトルから有用な情報を引き出すためには、スペクトルを精度良く計測する必要がある。
また、様々な色彩を表示するために従来から広く用いられてきた方法は、いわゆる光の三原色を用いて色彩を表現する方法であるが、この方法には、モニターなどの機器の違いや照明光の違いなどによって、色彩を正しく表現することができなくなるという弱点がある。そこで今日では、分光反射率によって色彩を表現する技術が注目されている。ここで分光反射率とは、様々な波長での光の反射率を示すデータである。分光反射率を求めるためには、物体に照射した光(照射光)のスペクトルと、物体が反射した光(反射光)のスペクトルとを精度良く計測する必要がある。
光のスペクトルは、「分光計測器」と呼ばれる計測器を用いて計測される。分光計測器は、計測対象とする光から様々な波長の光を取り出して、光強度を検出することによってスペクトルを計測する。ところが実際には、特別な計測装置を用いない限り、本当の意味でのスペクトルを計測することは困難である。何故なら、計測しようとする波長の光だけを取り出すことは実際には困難であり、周囲の波長の光も一緒に取り出してしまうためである。また、たとえ目的とする波長の光だけを取り出せたとしても、光の強さが弱すぎてSN比を確保することが困難なためである。その結果、ある波長での光強度を計測しようとしても、実際に得られる値は、その波長を含んだある波長幅の中での光強度に重みを付けて積分した値となってしまう。尚、以下では、分光計測器で得られるこのようなスペクトル(ある波長幅での積分値として得られるスペクトル)を「計測スペクトル」と称して、特別な計測装置を用いて計測した本当の意味でのスペクトルと区別する。
そこで分光計測器では、実際に得られる計測スペクトルDから、その分光計測器の分光感度特性Gを用いて(本当の意味での)スペクトルSを推定している(非特許文献1)。尚、D,Sは、複数の波長での値を有するベクトルとして表され、Gは、それぞれの波長での計測値に対して、他の波長での光強度が与える影響を示す行列として表される。スペクトルSの推定は次のようにして行う。先ず、計測スペクトルDは、分光感度特性Gの計測器を用いてスペクトルSの光を計測したものである。従って、D=G・Sの関係が成り立つ。そこで、分光感度特性Gを求めておき、G・SとDとの偏差が最も小さくなるように(すなわち、D−G・Sのノルムが最小となるように)Sを決定してやる。こうすれば、計測スペクトルDからスペクトルSを推定することができる。
特開2007−108124号公報 村上、「分光画像処理−研究の現状と課題」、日本写真学会誌、2002年、65巻、第4号、p.234−239
しかし、分光計測器で得られた計測スペクトルDから、分光感度特性Gを用いてスペクトルSを推定する従来の方法では、推定精度を確保することが難しいという問題があった。何故なら、スペクトルSを推定するためには、計測スペクトルDおよび分光感度特性Gを計測しておかなければならないが、計測には必ず誤差が混入する。このため、誤差を含んだ計測スペクトルDと誤差を含んだ分光感度特性Gとを用いてスペクトルSを推定することになり、スペクトルSに大きな誤差が混入するためである。
この発明は、従来の技術が有する上述した課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、分光計測器で得られた計測スペクトルを用いて、スペクトルを精度良く推定可能とする技術の提供を目的とする。
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の分光計測方法は次の構成を採用した。すなわち、
光を受光して、第1個数の所定の波長での光強度を表すスペクトルを計測する分光計測方法であって、
透過する光の波長を変更可能な光学フィルターに前記受光した光を透過させることによって、該受光した光を第2個数の所定の波長である計測波長の光に分光する分光工程と、
前記第2個数の前記計測波長での光強度を検出することによって、前記第2個数の光強度を有する計測スペクトルを測定する計測スペクトル測定工程と、
前記光学フィルターの分光特性である計測分光特性を測定する分光特性測定工程と、
基準として定められた前記光学フィルターである基準光学フィルターについての前記分光特性である基準分光特性を記憶しておく基準分光特性記憶工程と、
前記計測分光特性と前記基準分光特性とを用いて、前記計測スペクトルを、前記基準光学フィルターを用いて測定される計測スペクトルである基準計測スペクトルに変換する計測スペクトル変換工程と、
前記基準計測スペクトルを前記スペクトルに変換するための変換行列を決定する変換行列決定工程と、
前記基準計測スペクトルに前記変換行列を作用させることによって、前記基準計測スペクトルを前記スペクトルに変換する基準計測スペクトル変換工程と、
を備え、
前記変換行列決定工程は、
前記スペクトルが既知の光である既知光についての前記基準計測スペクトルである既知光計測スペクトルを取得する工程と、
前記既知光についての前記スペクトルである既知光スペクトルを取得する工程と、
前記既知光計測スペクトルに前記変換行列を作用させて得られた前記スペクトルである推定スペクトルと、前記既知光スペクトルとの偏差が極値となる条件に基づいて前記変換行列を決定する工程と、
を備えることを特徴とする。
また、上述した分光計測方法に対応する本発明の分光計測器は、
光を受光すると、第1個数の所定の波長での光強度を表すスペクトルを出力する分光計測器であって、
透過する光の波長を変更可能な光学フィルターと、
前記受光した光を前記光学フィルターに透過させることによって、該受光した光を第2個数の所定の波長である計測波長の光に分光する分光手段と、
前記第2個数の前記計測波長での光強度を検出することによって、前記第2個数の光強度を有する計測スペクトルを測定する計測スペクトル測定手段と、
前記計測スペクトルを、基準として定められた前記光学フィルターである基準光学フィルターを用いて測定される基準計測スペクトルに変換する計測スペクトル変換手段と、
前記基準計測スペクトルに所定の変換行列を作用させることによって、前記基準計測スペクトルを前記スペクトルに変換する計測スペクトル変換手段と、
を備え、
前記変換行列は、前記スペクトルが既知の光である既知光についての前記計測スペクトルである既知光計測スペクトルを取得して、前記既知光計測スペクトルに前記変換行列を作用させて得られた前記スペクトルである推定スペクトルと、前記既知光の前記スペクトルである既知光スペクトルとの偏差が極値となる条件に基づいて決定された行列であり、
前記計測スペクトル変換手段は、前記計測スペクトルの計測に用いた前記光学フィルターの分光特性である計測分光特性と、前記基準光学フィルターの分光特性である基準分光特性とに基づいて、前記計測スペクトルを前記基準計測スペクトルに変換する
ことを特徴とする。
このような本発明の分光計測方法および分光計測器においては、受光した光を第2個数の計測波長に分光して計測スペクトルを測定し、得られた計測スペクトルを基準計測スペクトルに変換する。ここで基準計測スペクトルとは、基準として予め定められた光学フィルター(基準光学フィルター)を用いた場合に得られる計測スペクトルである。計測スペクトルから基準計測スペクトルへの変換は、計測スペクトルの計測に用いた光学フィルターの分光特性(計測分光特性)と、基準光学フィルターの分光特性(基準分光特性)とを予め取得しておき、これら分光特性に基づいて計測スペクトルを基準計測スペクトルに変換する。そして、得られた基準計測スペクトルに変換行列を作用させてスペクトルに変換する。このとき用いる変換行列は、既知光についての基準計測スペクトル(既知光計測スペクトル)と、既知光のスペクトル(既知光スペクトル)とを取得して、既知光計測スペクトルに変換行列を作用させて得られる推定スペクトルと、既知光スペクトルとの偏差が極値となる条件に基づいて決定されている。
変換行列は、複数の既知光について、既知光計測スペクトルと既知光スペクトルとを計測すれば決定することができる。すなわち、受光した光を計測波長に分光する際の分光特性や、分光した光の光強度を検出する際の感度特性などの特性を計測する必要がない。このため、変換行列を決定するに際して、計測に伴う誤差の混入が抑制されるので精度の良い変換行列を得ることができる。そして、このような変換行列を決定しておけば、基準計測スペクトルからスペクトルを精度良く推定することが可能となる。また、基準計測スペクトルは、計測スペクトルの測定に用いた光学フィルターの計測分光特性と、基準分光特性とに基づいて、計測スペクトルを変換することによって得ることができる。その結果、分光特性の異なる光学フィルターが搭載されている場合でも、基準光学フィルターに対して決定した変換行列を用いて精度良くスペクトルを決定することが可能となる。
また、上述した本発明の分光計測方法、あるいは上述した本発明の分光計測器においては、計測分光特性に校正行列を作用させて得られた分光特性である校正分光特性と、基準分光特性との偏差が極値となる条件に基づいて決定した校正行列を、計測スペクトルに作用させることによって基準計測スペクトルに変換するようにしてもよい。
こうすれば、計測分光特性を基準分光特性に変換するような校正行列を決定することができる。そして、詳細な理由については後述するが、このような校正行列を作用させれば、計測スペクトルを基準計測スペクトルに変換することができる。その結果、計測スペクトルの測定に用いた分光計測器の計測分光特性を測定しておけば、計測スペクトルから精度良くスペクトルを決定することが可能となる。
また、上述した本発明の分光計測方法、あるいは上述した本発明の分光計測器においては、既知光スペクトルに主成分分析を行って、第1個数よりも少ない第3個数の主成分ベクトルを選択し、その第3個数の主成分ベクトルが構成する線形空間に変換行列を線形射影することによって、変換行列を修正するようにしてもよい。
詳細なメカニズムについては後述するが、既知光スペクトルの主成分ベクトルによって構成される空間に線形射影することによって変換行列を修正しておけば、既知光スペクトルに含まれる僅かな誤差の影響も抑制することができるので、計測スペクトルから、更に精度良くスペクトルを推定することが可能となる。
本実施例の分光計測器の大まかな構成を示した説明図である。 分光計測器に搭載された波長可変型の光学フィルターの外観形状を示す断面図である。 波長可変型の光学フィルターの分解組立図である。 波長可変型の光学フィルターの内部構造を示す断面図である。 分光計測器で得られる計測スペクトルのデータを例示した説明図である。 分光計測器で得られる計測スペクトルからスペクトルを推定する方法を比較した説明図である。 計測スペクトルから推定行列を用いてスペクトルを推定する計算式を示した説明図である。 推定行列を決定する方法を示した説明図である。 推定行列によるスペクトルの推定精度の検証方法を示すブロック図である。 推定行列によるスペクトルの推定精度の検証結果を示す説明図である。 基準光学フィルターで得られる分光感度特性Gと、標準基準光学フィルターよりも傾きおよび反りの大きい光学フィルターで得られる分光感度特性Gとを比較した説明図である。 校正行列を決定する方法を示した説明図である。 分光感度特性を校正行列によって校正した結果を示す説明図である。 計測スペクトルに校正行列を作用させることでスペクトルSを精度良く推定可能となる理由を示した説明図である。 第1変形例の推定行列の決定方法を示した説明図である。 第2変形例の推定行列の決定方法を示した説明図である。
以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.装置構成:
A−1.分光計測器の構成:
A−2.波長可変型光学フィルター:
B.推定行列:
C.推定行列の決定方法:
D.校正行列:
E.変形例:
E−1.第1変形例:
E−2.第2変形例:
A.装置構成 :
A−1.分光計測器の構成 :
図1は、本実施例の分光計測器10の大まかな構成を示した説明図である。本実施例の分光計測器10は、大まかには光学系50と、検出部60と、制御部70などがケース80内に収容されて構成されている。光学系50は、透過する光の波長を変更可能な(波長可変型の)光学フィルター100と、光学フィルター100に光を入射させるための入射側レンズ系52と、光学フィルター100を透過した光を検出部60に導くための出射側レンズ系54などから構成されている。光学フィルター100が透過させる光の波長は、制御部70によって制御されている。また、検出部60は、受光した光の光強度に対応する電圧を制御部70に出力する。そして、制御部70は、検出部60から受け取った光強度に関するデータに基づいて、スペクトルを出力する。尚、本実施例の光学フィルター100および光学フィルター100の動作を制御する制御部70は、本発明の「分光手段」に対応する。また、本実施例の検出部60および検出部60から光強度を受け取る制御部70は、本発明の「計測スペクトル測定手段」に対応する。更に、本実施例の制御部70は、本発明の「計測スペクトル変換手段」に対応する。
このような本実施例の分光計測器10は、光学フィルター100を透過する光の波長を変更しながら検出部60で光強度を検出することで、光のスペクトルに関する情報を含んだデータ(前述した計測スペクトル)を計測することができる。たとえば、図1に例示したように、所定の光源200で対象物を照射し、光学フィルター100を透過する光の波長を変更しながら対象物の表面からの反射光の光強度を検出すれば、反射光のスペクトルに関する情報を含むデータ(反射光の計測スペクトル)を計測することができる。また、光源200からの照射光のスペクトルに関する情報を含んだデータ(反射光の計測スペクトル)も計測しておけば、対象物の表面での分光反射率に関する情報を得ることもできる。もっとも、前述したように計測スペクトルは、スペクトルそのものを表すデータではない。そこで、反射光や照射光のスペクトルを求めたり、分光反射率を求めたりするためには、計測スペクトルからスペクトルを求める必要がある。計測スペクトルからスペクトルを求める方法については後述する。
A−2.波長可変型光学フィルター :
図2は、本実施例の分光計測器10に搭載されている波長可変型の光学フィルター100の外観形状を示した斜視図である。図2(a)には、光が入射する側から見た光学フィルター100が示されており、図2(b)には、光が出射する側から見た光学フィルター100が示されている。尚、図中に一点鎖線で示した矢印は、光学フィルター100に入射する光の向き、および光学フィルター100から出射する光の向きを表している。
図2(a)に示されるように、光学フィルター100は、第1基板110と第2基板120とを重ねて構成されている。第1基板110および第2基板120は、シリコン材料(結晶性シリコン、あるいはアモルファスシリコン)や、ガラス材料によって形成されている。第1基板110の厚さは高々2000μm程度(代表的には100〜1000μm)であり、第2基板120の厚さは高々500μm程度(代表的には10〜100μm)である。また、第1基板110には、光が入射する側の表面に反射防止膜110ARが形成されている。反射防止膜110ARが形成された表面の一部分(図中では細い破線で囲った部分)から光学フィルター100の内部に光が入射する。反射防止膜110ARは誘電体多層膜によって構成され、光学フィルター100に入射した光が反射することを防止する機能を有している。
図2(b)に示されるように、光学フィルター100の裏側(光が出射する側)の表面(すなわち第2基板120)には、中央に丸く反射防止膜120ARが形成されている。第2基板120に形成された反射防止膜120ARも、第1基板110の反射防止膜110ARと同様に、誘電体多層膜によって構成されている。もっとも第2基板120の反射防止膜120ARは、光学フィルター100から外部に出射しようとする光が、第2基板120の表面で反射して光学フィルター100の内部に戻ることを防止する機能を有している。また、第2基板120には、反射防止膜120ARを取り囲むように細いスリット120sが形成されており、スリット120sは第2基板120を貫通している。更に、第2基板120には、略矩形の引出孔120a、120bも形成されている。
図3は、光学フィルター100の構造を示す分解組立図である。尚、図2を用いて前述したように、光学フィルター100は、光が入射する側(第1基板110)の表面は単なる平面であるが、第1基板110の内側(第2基板120に面する側)は複雑な形状をしている。そこで、第1基板110の内側の形状が分かるように、図3では、光学フィルター100を裏返した状態(図2(b)に示したように第2基板120が第1基板110の上に来るような状態)での分解組立図が示されている。
前述したように第2基板120には、中央の反射防止膜120ARを取り囲むようにスリット120s(図2(b)参照)が形成され、このスリット120sは第2基板120を貫通している。この結果、図3に示されるように第2基板120は、中央の丸い可動部122(反射防止膜120ARが形成されている部分)と、その外側の周辺部126と、可動部122と周辺部126とを連結する複数(図示した例では4つ)の連結部124とに分割されている。
この第2基板120の内側(第1基板110に向いた側)の面には、第2電極128が貼り付けられる。図3に示されるように第2電極128は、円環形状をした駆動電極部128aと、駆動電極部128aから延びる引出電極部128bとによって構成され、肉厚が0.1〜5μm程度の金属箔で形成されている。第2電極128は、円環形状をした駆動電極部128aが、第2基板120の可動部122に対して同心となり、引出電極部128bの端部が第2基板120の引出孔120aの位置に来るように、第2基板120に対して位置合わせされている。
一方、第1基板110の内側(第2基板120に向いた側)の面には第1凹部112が形成され、更に第1凹部112の中央には円形の第2凹部114が形成されている。尚、図2(a)中に細い破線で示した領域(光学フィルター100に光が入射する領域)は、第2凹部114の底の部分に対応する。また、第1凹部112の形状は、大まかには、第2基板120の可動部122および連結部124に対応する形状となっている。更に第1凹部112は、第2基板120の引出孔120bに対応する箇所まで延設されている。
この第1凹部112に、第1電極118が貼り付けられる。第1電極118も前述した第2電極128と同様に、円環形状をした駆動電極部118aと、駆動電極部118aから延びる引出電極部118bとによって構成され、肉厚が0.1〜5μm程度の金属箔で形成されている。また、第1電極118は、円環形状をした駆動電極部118aが、円形の第2凹部114に対して同心となるように位置合わせされている。以上のような第2基板120と第1基板110とが貼り合わされることによって、光学フィルター100が構成されている。
図4は、本実施例の光学フィルター100の内部構造を示す断面図である。断面位置は、図2(b)に示したA−A位置である。上述したように、第2基板120には第2電極128が設けられており、第1基板110には、第1凹部112内に第1電極118が設けられている。このため、第2電極128の駆動電極部128aと、第1電極118の駆動電極部118aとの間には、第1凹部112の深さにほぼ相当するギャップg1が形成されている。
また、第1基板110に設けられた第2凹部114の底面には、誘電体多層膜による第1反射膜110HRが形成されている。更に、第2基板120にも、第1反射膜110HRに向き合うようにして、誘電体多層膜による第2反射膜120HRが形成されている。従って、第1反射膜110HRと第2反射膜120HRとの間にもギャップg2が形成されている。第1反射膜110HRおよび第2反射膜120HRは、高い反射率で光を反射する機能を有している。このため、図中に一点鎖線の矢印で示したように光学フィルター100に入射した光は、第2反射膜120HRと第1反射膜110HRとの間で何度も反射を繰り返すこととなり、いわゆるファブリペロー型の干渉系が構成される。その結果、ギャップg2の間隔によって定まる干渉条件を満たさない波長の光は、光の干渉によって第2反射膜120HRおよび第1反射膜110HRの表面で急激に減衰し、干渉条件を満たす波長の光のみが光学フィルター100から外部に出射される。
また、ギャップg2の間隔は、以下のようにして変更することが可能である。先ず、第2基板120の可動部122には、第2電極128の駆動電極部128aが設けられており、第2電極128の引出電極部128bには、第2基板120に形成された引出孔120aからアクセス可能である。更に、第1基板110には、第2電極128の駆動電極部128aに向かい合うようにして、第1電極118の駆動電極部118aが設けられており、第1電極118の引出電極部118bには第2基板120の引出孔120bからアクセス可能である(図3参照)。このため、引出孔120a、120bから第2電極128および第1電極118に同じ極性の電圧を印加すると、第2電極128の駆動電極部128aと第1電極118の駆動電極部118aとを同じ極性に帯電させて、互いに反発力を発生させることができる。そして、第2基板120の可動部122は、細長い連結部124によって周辺部126から支えられているだけなので、第2電極128の駆動電極部128aと第1電極118の駆動電極部118aとの間に働く反発力で連結部124が変形してギャップg1が広くなり、その結果、ギャップg2も広くなる。印加する電圧を大きくすると反発力も大きくなるので、ギャップg2はより一層広くなる。また、第2電極128の駆動電極部128aと第1電極118の駆動電極部118aとを逆の極性に帯電させると吸引力が発生するので、ギャップg2を狭くすることができる。
このように、本実施例の光学フィルター100では、第2基板120に形成された引出孔120a、120bから第2電極128および第1電極118に電圧を印加することによって、ギャップg2の間隔を変更することができる。その結果、第2反射膜120HRと第1反射膜110HRとの間で干渉条件を変更して、干渉条件を満たす波長だけを光学フィルター100から出射させることができる。図1に示した分光計測器10の検出部60は、このようにして光学フィルター100から出射した光の光強度に対応する電圧を、制御部70に向かって出力する。また、制御部70は、第2電極128の駆動電極部128aと、第1電極118の駆動電極部118aとに印加する電圧を変更して、ギャップg2の大きさを変更し、光学フィルター100を透過する光の波長を制御する。こうして複数の波長での光強度を検出することによって計測スペクトルDを検出する。
図5は、分光計測器10で得られる計測スペクトルDの内容を示した説明図である。図5(a)に例示されるように、計測スペクトルDは、種々の波長(図示した例では16点)で得られた光強度のデータ(計測スペクトルD)から構成されている。たとえば、図5(a)中の白丸は、光学フィルター100が透過する光の波長を100nmに設定した時に、検出部60で検出された光強度を表している。尚、計測スペクトルDを構成する複数(図5に示した例では16点)の波長が、本発明における「計測波長」に対応する。仮に、この光強度が波長100nmの光だけを検出したものであれば、そのまま波長100nmでのスペクトルの値として用いることができる。
しかし実際には、波長100nmの光だけを透過させるような理想的な光学フィルターを実現することは難しい。また、仮に実現できたとしても、検出部60に届く光がたいへんに弱くなってしまうのでSN比が小さくなり、信頼性の高いデータを得ることが困難となる。このため、計測する波長を100nmに設定した場合でも実際には図5(b)中に太い実線で示した感度を有しており、従って、図5(a)中の白丸の光強度は、図5(b)に斜線を付して示した部分の面積に対応する値となっている。このことから、分光計測器10で得られた計測スペクトルDは、そのままではスペクトルSを示すデータとして用いることはできない。換言すれば、分光計測器10で得られた計測スペクトルDからスペクトルSを推定する必要がある。そこで、本実施例の分光計測器10では、以下に説明する推定行列Msを用いて、計測スペクトルDからスペクトルSを推定する。
B.推定行列 :
図6は、本実施例の分光計測器10が、推定行列Msを用いて計測スペクトルDからスペクトルSを推定する方法を示した説明図である。推定行列Msとは、分光計測器10で得られた計測スペクトルDから、スペクトルSを推定するために用いられる行列である。物理現象としては、図中に破線で示したように、スペクトルSが分光計測器10の分光感度特性Gによって計測スペクトルDに変換されるのであるが、推定行列Msを用いれば計測スペクトルDをスペクトルSに変換することができる。推定行列Msは、スペクトルSが分かった光(スペクトルSが予め計測された光)を分光計測器10で計測することによって、後述する方法によって決定することができる。尚、本実施例の推定行列Msは、本発明の「変換行列」に対応する。
図7は、推定行列Msを用いて、計測スペクトルDからスペクトルSを推定するための計算式を示した説明図である。尚、図7(a)中で、スペクトルSや計測スペクトルDの右肩に表示された「t」は、「転置ベクトル」を表している。本実施例では、計測スペクトルDおよびスペクトルSは「行ベクトル」であるとしているから、これらの転置ベクトルは「列ベクトル」となる。また、図7(b)には、図7(a)に示したスペクトルSや、推定行列Ms、計測スペクトルDに含まれる要素が判別できるような状態で表示されている。
先ず始めに計測スペクトルDについて説明すると、計測スペクトルDは、分光計測器10で計測する波長の数に相当する個数の要素から構成されている。図5に示した例では16点の波長で計測していることに対応させて、図7(b)では、計測スペクトルDがd〜d16の16個の要素から構成されるものとしている。尚、以下では、分光計測器10で計測する波長の数を「バンド数」と呼ぶ。
また、スペクトルSについては、推定しようとする波長の数に相当する個数の要素から構成される。たとえば、380nm〜780nmの波長範囲を5nm間隔の波長でスペクトルSを推定しようとするのであれば、スペクトルSの行ベクトルの要素は81個となる。このことに対応して、図7(b)では、スペクトルSがs〜s81の81個の要素から構成されるものとしている。すると、計測スペクトルDからスペクトルSを推定するための推定行列Msは、図7(b)に示されるように、81行×16列の行列となる。尚、以下では、スペクトルSを構成する要素の数を「スペクトル点数」と呼ぶ。
計測スペクトルDの要素は16個であり、スペクトルSの要素は81個であるから、一組の計測スペクトルDおよびスペクトルSだけでは、81行×16列の推定行列Msを一意的に決定することはできない。そこで、複数のサンプル光についての計測スペクトルDおよびスペクトルSを計測し、それらを用いて推定行列Msを決定する。尚、異なるスペクトルSを有するサンプル光は光の色が異なるので、以下では、サンプル光の数を「色数」と呼ぶ。
C.推定行列の決定方法 :
図8は、推定行列Msの決定方法を示した説明図である。図8(a)には、推定行列Msを決定するために用いられる色数分のスペクトルSが、行列の形式で表示されている。すなわち、ここでは1つのスペクトルSが81個(=スペクトル点数k)の要素を有するとしており、色数分のスペクトルSを計測するから、スペクトル点数k個の要素が、色数n個だけ並んだ行列Snk(以下では、行列Sと略記する)を考えることができる。尚、本実施例では、色数分のスペクトルSが、本発明の「既知光スペクトル」に対応する。
また、図8(b)には、推定行列Msを決定するために用いられる色数分の計測スペクトルDが、行列の形式で表示されている。すなわち、ここでは1つの計測スペクトルDが16個(=バンド数m)の要素を有するとしており、色数分の計測スペクトルDを計測するから、バンド数mの要素が、色数n個だけ並んだ行列Dnm(以下では、行列Dと略記する)を考えることができる。尚、本実施例では、色数分の計測スペクトルDが、本発明の「既知光計測スペクトル」に対応する。
仮に、正しい推定行列Msが得られれば、推定行列Ms・行列Dは、行列Sと一致する筈である。計測スペクトルDやスペクトルSに多少の計測誤差が含まれていたとしても、推定行列Ms・行列Dは、行列Sと非常に近い値となる筈である。そこで、図8(c)に示すように、行列Sと、推定行列Ms・行列Dとの偏差を表す評価関数F(Ms)=|S−Ms・Dを設定して、この評価関数F(Ms)が最小となるように推定行列Msを決定する。評価関数F(Ms)が最小となるための必要条件は、図8(d)に示すように、評価関数F(Ms)を推定行列Msで偏微分した値が0となることである。尚、「評価関数F(Ms)を推定行列Msで偏微分する」とは、評価関数F(Ms)を、推定行列Msの各要素(m1・1、m1・2、m1・3・・・)で偏微分することを行列の形式で表したものである。その結果、図8(e)に示すように、色数nの計測スペクトルDを示す行列Dnmと、色数nのスペクトルSを示す行列Snkとを用いて、推定行列Msを決定することができる。こうして推定行列Msを求めておけば、図7(a)に示した計算式を用いて、計測スペクトルDからスペクトルSを推定することができる。
図9は、得られた推定行列Msの妥当性を確認した方法を示すブロック図である。図示した確認方法では、RGBの階調値をほぼ等間隔に振った126色分のカラー画像データ(学習用RGBデータ)を用意しておき、このカラー画像データをカラーモニターで表示する。そして、カラーモニター上に表示された色を、分光計測器10およびマルチ分光測色計で計測する。ここでマルチ分光測色計とは、スペクトルSを直接測定することができる特殊な光学系を搭載した計測器である。マルチ分光測色計では、分光計測器10とは異なり、非常に狭い波長範囲(波長幅で数nm程度)の光のみを取り出すことができるので、マルチ分光測色計で計測した計測スペクトルは、そのまま本当の意味でのスペクトルSを表すと考えて良い。そこで、これら126色分の計測スペクトルDと、126色分のスペクトルSとを用いて、図8の方法によって推定行列Msを決定する。続いて、こうして得られた推定行列Msを用いて、計測スペクトルDからスペクトルSを推定し、マルチ分光測色計で得られたスペクトルSと比較した。尚、以下では、推定行列Msを用いて推定したスペクトルSと、マルチ分光測色計で計測したスペクトルSとを区別する必要がある場合には、マルチ分光測色計で計測したスペクトルSを「基準のスペクトルS」と称し、推定行列Msによって推定したスペクトルSを「推定したスペクトルS」と称することがあるものとする。尚、この「推定したスペクトルS」が、本発明の「推定スペクトル」に対応する。
図10(a)には、推定行列Msを用いて推定したスペクトルSと、マルチ分光測色計による基準のスペクトルSとを比較した結果が示されている。尚、2つのスペクトルSを直接比較したのでは結果が分かり難いので、図10では、それぞれのスペクトルSが表す色を比較した時の色差を表している。図示されるように、得られた色差は0.1よりも十分に小さくなった。従って、推定行列Msを決定するために用いた126色分のカラー画像データ(学習用RGBデータ)に対しては、計測スペクトルDから推定行列Msを用いて推定したスペクトルSと、マルチ分光測色計で得られた基準のスペクトルSとは良く一致している。
更に、学習用RGBデータとは異なる200色分のカラー画像データ(未学習RGBデータ)を用意し、このカラー画像データを用いて同様な比較を行った。すなわち、未学習RGBデータをカラーモニター上に表示して、分光計測器10で計測スペクトルDを計測し、その一方でマルチ分光測色計を用いて基準のスペクトルSを計測しておく。そして、別のカラー画像データ(学習用RGBデータ)を用いて求めておいた推定行列Msを用いて、計測スペクトルDからスペクトルSを推定し、マルチ分光測色計で得られた基準のスペクトルSと比較した。図10(b)には、得られた結果が示されている。図10(a)に示した学習用RGBデータに対する比較結果に比べると大きくなっているものの、得られた色差は0.1よりも十分に小さく、学習用RGBデータの場合の比較結果に対しても誤差といえる程の違いしかない。すなわち、未学習RGBデータを用いた場合でも、学習用RGBデータの場合と同じレベルで、精度良くスペクトルSが推定できている。
以上のことから、上述したスペクトルSの推定方法によれば、一度、推定行列Msを決定しておけば、それ以降は、推定行列Msを用いて計測スペクトルDからスペクトルSを精度良く且つ簡単に推定することが可能となる(図7(a)を参照)。しかし、分光計測器10に搭載された光学フィルター100の製造バラツキによって、光学フィルター100の分光感度特性Gには個体差が存在する。従って、ある分光計測器10について決定した推定行列Msを用いて、他の分光計測器10で得られた計測スペクトルDからスペクトルSを推定しても、正しいスペクトルSを得ることはできない。だからといって、分光計測器10毎に固有の推定行列Msを決定するのでは面倒である。そこで、基準となる分光計測器10(以下、「基準分光計測器10s」と称する)について推定行列Msを決定しておき、基準以外の分光計測器10については、得られた計測スペクトルDを、基準分光計測器10sで得られるであろう計測スペクトルDに変換してから推定行列Msを適用する。尚、以下では、基準分光計測器10sで得られる計測スペクトルDを「基準計測スペクトルDs」と称する。計測スペクトルDから基準計測スペクトルDsへの変換は、以下のような校正行列Csを用いて行うことができる。
D.校正行列 :
校正行列Csについて説明する準備として、光学フィルター100の個体差について説明する。図3および図4を用いて前述したように光学フィルター100は、第1基板110上に形成された第1反射膜110HRと第2基板120上に形成された第2反射膜120HRとの間でファブリペロー型の干渉系を構成し、干渉条件を満たす波長の光だけを透過させることを原理としている。従って、2つの反射膜が平行に形成されていなかった場合、例えば第1反射膜110HRに対して第2反射膜120HRが傾いていた場合や、一方が他方に対して反っていた場合などには、反射膜の場所によって干渉条件が変化する。このため、このような光学フィルター100を搭載した分光計測器10では、シャープな分光感度特性Gを得ることができなくなる。
図11は、標準的な光学フィルター100を搭載した基準分光計測器10sで得られる分光感度特性Gと、標準よりも傾きおよび反りの大きい光学フィルター100を搭載した分光計測器10で得られる分光感度特性Gとを比較した説明図である。尚、以下では、標準的な光学フィルター100を「基準光学フィルター100s」と称し、基準光学フィルター100sで得られる分光感度特性Gを「基準分光感度特性Gs」と称する。本実施例では基準分光感度特性Gsが、本発明における「基準分光特性」に対応する。また、基準光学フィルター100sではない光学フィルター100を搭載した分光計測器10の分光感度特性Gが、本発明における「計測分光特性」に対応する。
図11(a)には、基準分光感度特性Gsが示されており、図11(b)には、基準光学フィルター100sよりも傾きおよび反りの大きな光学フィルター100による分光感度特性Gが例示されている。このように分光感度特性Gが大きく異なれば、得られる計測スペクトルDも大きく異なってくる。従って、図11(b)のような分光感度特性Gの分光計測器10で得られた計測スペクトルDに対して、図11(a)の基準分光感度特性Gsの基準分光計測器10sを用いて決定した推定行列Msを適用しても、正しいスペクトルSを推定することはできない。しかし、以下に説明する校正行列Csを用いれば、図11(b)のような分光感度特性Gの分光計測器10で得られた計測スペクトルDから、図11(a)のような基準分光感度特性Gsの基準分光計測器10sで得られた基準計測スペクトルDsを推定することができる。
図12は、校正行列Csを決定する方法を示した説明図である。校正行列Csを決定するに際しては、基準分光計測器10sの基準分光感度特性Gsを予め計測しておく。ここで、光学フィルター100の分光感度特性G(正確には分光特性)は次のようにして計測することができる。先ず、分光感度特性Gを計測しようとする波長範囲で十分な光強度を有する光源を用意する。次に、光源からの光を分光計測器で直接計測した場合と、光源との間に光学フィルター100を置いて計測した場合とで、波長毎の光強度を計測する。そして、波長毎に光強度の比を算出すれば、分光感度特性Gを求めることができる。また、基準分光感度特性Gsは、バンド数m毎のスペクトル点数kのデータで表されるから、m行×k列の行列で表される。以下では、この行列を、行列Gsmk(あるいは単に行列Gs)と表示する。
次に、計測スペクトルDを基準計測スペクトルDsに変換しようとする光学フィルター100の分光感度特性Gを計測する。分光感度特性Gもバンド数m毎のスペクトル点数kのデータで表されるから、m行×k列の行列で表される。以下では、この行列を、行列Gmk(あるいは単に行列G)と表示する。
そして、光学フィルター100について得られた行列Gを、基準光学フィルター100sについての行列Gsに変換するような行列を考える。後述するように、この行列が校正行列Csとなる。校正行列Csは、行列Gが行列Gsにできるだけ近付くように変換する行列であるから、図12(a)に示すように、行列Gsと、校正行列Cs・行列Gとの偏差を表す評価関数P(Cs)=|Gs−Cs・Gを設定して、この評価関数P(Cs)が最小となるように校正行列Csを決定する。評価関数P(Cs)が最小となるための必要条件は、図12(b)に示すように、評価関数P(Cs)を校正行列Csで偏微分した値が0となることである。その結果、図12(c)に示すように校正行列Csを決定することができる。
図13は、分光感度特性Gを校正行列Csによって校正した結果を示す説明図である。図中に示した細い実線は図11(a)の基準分光感度特性Gsを表しており、太い破線は図11(b)の分光感度特性Gに対して校正行列Csを作用させて得られた分光感度特性(以下では、「校正分光感度特性Gc」と称する)を表している。尚、本実施例の校正分光感度特性Gcは、本発明における「校正分光特性」に対応する。図13に示されるように、図11(b)に示すような分光感度特性Gであっても、校正行列Csを作用させることによってかなりの程度まで基準分光感度特性Gsに近付けることができる。従って、このような校正行列Csを用いて計測スペクトルDを校正してやれば、基準光学フィルター100sについて決定した推定行列Msを作用させることで、スペクトルSを精度良く推定することが可能となる。以下、この理由について説明する。
図14は、分光計測器10で得られた計測スペクトルDに校正行列Csを作用させれば、推定行列Msを用いてスペクトルSを精度良く推定可能となる理由を示した説明図である。先ず、図中に破線で囲った部分に示したように、基準計測スペクトルDsに推定行列Msを作用させればスペクトルSを精度良く推定することができる。これは、そもそも推定行列Msが、基準計測スペクトルDsからスペクトルSを精度良く推定できるように決定されているためである。また、基準計測スペクトルDsは、スペクトルSの光を基準分光計測器10sで計測することによって得られたものである。従って、スペクトルSに基準分光感度特性Gsを作用させると基準計測スペクトルDsが得られる。
ここで、図13に示したように基準分光感度特性Gsは、分光感度特性Gに校正行列Csを作用させたものとほぼ等しい。従って、スペクトルSに分光感度特性Gを作用させた後に校正行列Csを作用させても、基準計測スペクトルDsを得ることができる。そして、スペクトルSに分光感度特性Gを作用させて得られるのは計測スペクトルDである。このため、計測スペクトルDに校正行列Csを作用させることによって基準計測スペクトルDsを得ることができる。結局、分光計測器10の分光感度特性Gが基準分光感度特性Gsとは異なる場合でも、その分光感度特性Gを基準分光感度特性Gsに校正するための校正行列Csを求めておけば、基準計測スペクトルDsを得ることが可能となり、その結果、推定行列Msを用いてスペクトルSを精度良く推定することが可能となる。
以上では、図11(a)および図11(b)に例示したように、分光感度特性Gが基準分光感度特性Gsとは明らかに異なる場合について説明した。しかし、厳密に言えば全ての光学フィルター100の分光感度特性Gは異なっているので、上述した事柄は全ての分光計測器10について当て嵌まる。従って、全ての分光計測器10について校正行列Csを求めておけば、スペクトルSの推定精度を向上させることが可能となる。
E.変形例 :
上述したように校正行列Csを用いれば、基準分光計測器10s以外の分光計測器10でも基準計測スペクトルDsを得ることができる。しかし、図13に示したように、校正行列Csを用いて得られた校正分光感度特性Gcは、基準分光感度特性Gsと完全に一致するわけではないから、校正行列Csによって得られる基準計測スペクトルDsは、本当の基準計測スペクトルDs(基準分光計測器10sで得られた基準計測スペクトルDs)と完全に一致するわけではない。すなわち、校正行列Csによって得られる基準計測スペクトルDsには誤差が含まれていることになり、この誤差はスペクトルSの推定精度を低下させる要因となる。しかし、次のような方法を用いて推定行列Msを決定してやれば、基準計測スペクトルDsに含まれる誤差の影響を抑制して、精度良くスペクトルSを推定することが可能となる。以下では、このような推定行列Msを決定する方法について説明する。
E−1.第1変形例の推定行列Msの決定方法 :
図15は、第1変形例の推定行列Ms(以下、推定行列Msnew1)の決定方法を示した説明図である。第1変形例では、色数分だけ得られた基準のスペクトルSに対して主成分分析を行って、主成分ベクトルvと、その主成分ベクトルvに対する主成分値aとを求める。ここで、主成分ベクトルvは、スペクトルSのスペクトル点数kの個数まで順番に求めることができ、主成分ベクトルvに対して1つの主成分値aを求めることができる。主成分ベクトルvが求められる順番は主成分数と呼ばれる。また、スペクトルSは、スペクトル点数kの個数の主成分ベクトルvと、その主成分ベクトルvに対応する主成分値aとの線形結合によって表現することができる。図15(a)には、このような、スペクトルSと、主成分値aおよび主成分ベクトルvとの関係が、行列の形式で示されている。すなわち、前述した行列S(スペクトル点数k個の要素が色数n個だけ並んだ行列Snk)は、j個(最大でk個)分の主成分値aが色数n個だけ並んだ行列anj(以下では、行列aと略記する)と、j個分の主成分ベクトルvを表す行列vjk(以下では、行列vと略記する)とを乗算した行列となる。
また、主成分ベクトルは、寄与率の大きなものから順番に並ぶという性質がある。ここで寄与率とは、ある主成分(主成分ベクトルvおよび主成分値a)が、元のデータ(ここでは基準のスペクトルS)の情報をどの程度表現しているかを示す数値である。そして、基準のスペクトルSに含まれる誤差は、ランダムで且つ小さな誤差であるから、上位の主成分(主成分数の小さな主成分)の線形結合によって、誤差を含まない基準のスペクトルSを表せる筈である。
図15(b)は、基準のスペクトルSについて得られた主成分の累積寄与率を算出した結果を表している。ここで累積寄与率とは、上位の主成分から順番に寄与率を累積した値である。たとえば主成分数2の累積寄与率は、主成分数1の主成分の寄与率と主成分数2の主成分の寄与率とを加算したものであり、上位の2つの主成分で元のデータの情報をどの程度表現しているかを表している。図15(b)に示した累積寄与率の計算結果によれば、上位の3つの主成分によって、基準のスペクトルSのほぼ全ての情報が表現されており、逆に言えば、4つめ以降の主成分は誤差成分を表しているものと考えられる。
ちなみに、図15(b)に示した計算結果で、上位の3つの主成分で累積寄与率がほぼ100%に達しているのは、主成分分析の対象としたデータ(基準のスペクトルS)が、カラーモニターの画面を計測して得たデータであったため、カラーモニターが色彩を表現するために用いる光の三原色(R光、G光、B光)に相当する3つの成分が、主成分として抽出されたことによる。従って、異なる対象を計測した場合には、上位の3つの主成分で累積寄与率がほぼ100%に達するとは限らない。しかしこの場合でも、上位からjよりも小さなi番目までの主成分を用いれば、真の信号成分と誤差成分とを分離することが可能と考えられる。
従って、誤差を含まない基準のスペクトルSは、上位からi番目までの主成分を用いて、図15(c)中の(1)式で近似することができる。また、この(1)式は、数学的には次のような意味を有している。先ず、主成分ベクトルvは互いに直交する関係にある。従って、主成分数の異なる主成分ベクトルv同士の内積は「0」となる。また、誤差を含んだ基準のスペクトルSは、スペクトル点数kに相当する主成分の線形結合によって表される(図15(a)参照)。従って、誤差を含んだ基準のスペクトルSと、ある主成分ベクトルvとの内積を取ると、その主成分ベクトルvに対する主成分値aが得られる。また、内積の定義から、2つのベクトルの内積は、一方のベクトルの他方のベクトルに対する射影に等しい。従って、図15(c)中の(1)式は、誤差を含んだ基準のスペクトルSを主成分分析して上位からi番目までの主成分ベクトルvを選択しておき、誤差を含んだ基準のスペクトルSを、i番目までの主成分ベクトルvによって構成される空間に線形射影することで、誤差を含まない基準のスペクトルSが得られるということを意味している。尚、「空間への線形射影」とは、簡易的には一種の座標変換と考えてよい。このことから、基準のスペクトルSをそのまま使って推定行列Msを決定するのではなく、i番目までの主成分ベクトルvによる空間に線形射影して誤差を取り除いてから推定行列Ms(ここでは推定行列Msnew1)を決定すれば、より精度良く推定行列Msnew1を決定することができる。そして、推定行列Msnew1を精度良く決定することができれば、校正行列Csによって得られた基準計測スペクトルDsに誤差が含まれていても、誤差の影響がスペクトルSに現れにくくなる。この点については後ほど説明する。
あとは、図15(c)の(1)式の単なる式変形となる。先ず、図15(a)に示した式から、行列aは、行列Sに行列vの逆行列を掛けたものであり、更に行列vは直交行列であるから逆行列は転置行列と等しくなる。そして、図7(a)に示す関係が成り立つから、代入して整理すると、最終的に、図15(c)の(2)式が得られる。この(2)式は、前述した本実施例の推定行列Msが、主成分ベクトルvを用いて修正された式となっている。そこで、本実施例の推定行列Msを主成分ベクトルvによって修正して得られた新たな行列を、第1変形例の推定行列Msnew1とすれば、計測スペクトルDから、第1変形例の推定行列Msnew1を用いて、誤差を含まない基準のスペクトルSを推定する(3)式を得ることができる。
このようにして求めた推定行列Msnew1を用いれば、校正行列Csによって推定した基準計測スペクトルDsに含まれる誤差の影響が、推定したスペクトルSに現れにくくなるのは、次の理由による。先ず、図8(e)に示した式から明らかなように、推定行列Msは、計測スペクトルD(ここでは基準計測スペクトルDs)を表す行列Dと、基準のスペクトルSを表す行列Sとによって決定される。基準計測スペクトルDsも、基準のスペクトルSも計測して得られるものであるから、それぞれ計測誤差が混入する。従って、得られる推定行列Msにも誤差が含まれる。
ここで、仮に誤差を含まない推定行列Msが得られたとすると、推定行列Msを用いて推定されたスペクトルSには、校正行列Csで推定した基準計測スペクトルDs中の誤差が、そのまま誤差として現れる。しかし、推定行列Msに誤差が含まれていると、推定した基準計測スペクトルDsの誤差が推定行列Msの誤差によって増幅されて、スペクトルSの誤差として現れる。換言すれば、推定行列Msの誤差を抑制することができれば、このように誤差が増幅されるメカニズムを抑制することができる。このため、校正行列Csを用いて推定した基準計測スペクトルDsに誤差が含まれていても、誤差の影響をあまり受けることなくスペクトルSを推定することが可能となる。
E−2.第2変形例の推定行列Msの決定方法 :
上述した第1変形例では、推定行列Msを決定するための基準のスペクトルSに含まれる誤差に着目して、主成分分析を利用してスペクトルS中の誤差を取り除くことにより、精度の良い推定行列Ms(推定行列Msnew1)を決定した。これに対して、推定行列Msを決定するための基準計測スペクトルDsにも誤差が含まれているので、この誤差に着目して基準計測スペクトルDs中の誤差を取り除くことによっても、精度の良い推定行列Msを決定することができる。以下では、このようにして決定する第2変形例の推定行列Msを、推定行列Msnew2と称する。
図16は、第2変形例の推定行列Msnew2の決定方法を示した説明図である。第2変形例の推定行列Msnew2の決定方法では、基準の基準分光感度特性Gsを有する分光計測器10を用いて、前述した学習用RGBデータの126色数分の基準計測スペクトルDsを計測する。そして、色数分の基準計測スペクトルDsに対して主成分分析を行って、主成分ベクトルvsと、その主成分ベクトルvsに対する主成分値asとを求める。主成分分析では、バンド数mに相当する主成分数までの主成分ベクトルvsを求めることができる。また、主成分ベクトルvsに対する主成分値asは、基準計測スペクトルDsの数(色数)分だけ求められる。図16(a)には、このような基準計測スペクトルDsと主成分値asおよび主成分ベクトルvsとの関係が、行列の形式で示されている。すなわち、前述した行列Ds(バンド数m個の要素が色数n個だけ並んだ行列Dsnk)は、i個(最大でm個)分の主成分値asが色数n個だけ並んだ行列asnj(以下では、行列asと略記する)と、i個分の主成分ベクトルvsを表す行列vsjm(以下では、行列vsと略記する)とを乗算した行列となる。
また、主成分ベクトルは、寄与率の大きなものから順番に並ぶという性質があるから、下位の主成分(主成分数の大きな主成分)は誤差に対応している。換言すれば、上位の主成分の線形結合によって、誤差を含まない基準計測スペクトルDsを表すことができる。従って、上位からj個の主成分ベクトルvsおよび主成分値asを用いれば、誤差を含まない基準計測スペクトルDs(以下では、基準計測スペクトルDsnと称する)を得ることができる。図16(b)には、このような基準計測スペクトルDsnが行列の形式で表されている。
こうして得られた基準計測スペクトルDsnを、図8(e)に示した推定行列Msを決定するための計算式の計測スペクトルDの替わりに代入してやれば、図16(c)に示すように、第2変形例の推定行列Msnew2を決定することができる。こうすれば、誤差が取り除かれた基準計測スペクトルDsnに基づいて推定行列Msnew2を決定することができるので、精度良く推定行列Msnew2を決定することができる。その結果、校正行列Csを用いて推定した基準計測スペクトルDsに誤差が含まれていても、誤差の影響をあまり受けることなくスペクトルSを推定することが可能となる。
以上、本発明の分光計測器10、および分光計測方法について、実施例および変形例を用いて説明したが、本発明は上記の実施例および変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
たとえば、上述した実施例および変形例の光学フィルター100は、ファブリペロー型干渉系の干渉条件を変更することによって透過する光の波長を変更するフィルターであるものとして説明した。しかし、波長可変型の光学フィルター100であれば、このような形式のフィルターに限らず、どのような形式のフィルターであっても構わない。
10…分光計測器、 50…光学系、 52…入射側レンズ系、
54…出射側レンズ系、 60…検出部、 70…制御部、
80…ケース、 100…光学フィルター、 110…第1基板、
110AR…反射防止膜、 110HR…第1反射膜、 112…第1凹部、
114…第2凹部、 118…第1電極、 118a…駆動電極部、
118b…引出電極部、 120…第2基板、 120a…引出孔、
120b…引出孔、 120s…スリット、 120AR…反射防止膜、
120HR…第2反射膜、 122…可動部、 124…連結部、
126…周辺部、 128…第2電極、 128a…駆動電極部、
128b…引出電極部、 200…光源、 g1…ギャップ、
g2…ギャップ

Claims (6)

  1. 光を受光して、第1個数の所定の波長での光強度を表すスペクトルを計測する分光計測方法であって、
    透過する光の波長を変更可能な光学フィルターに前記受光した光を透過させることによって、該受光した光を第2個数の所定の波長である計測波長の光に分光する分光工程と、
    前記第2個数の前記計測波長での光強度を検出することによって、前記第2個数の光強度を有する計測スペクトルを測定する計測スペクトル測定工程と、
    前記光学フィルターの分光特性である計測分光特性を測定する分光特性測定工程と、
    基準として定められた前記光学フィルターである基準光学フィルターについての前記分光特性である基準分光特性を記憶しておく基準分光特性記憶工程と、
    前記計測分光特性と前記基準分光特性とを用いて、前記計測スペクトルを、前記基準光学フィルターを用いて測定される計測スペクトルである基準計測スペクトルに変換する計測スペクトル変換工程と、
    前記基準計測スペクトルを前記スペクトルに変換するための変換行列を決定する変換行列決定工程と、
    前記基準計測スペクトルに前記変換行列を作用させることによって、前記基準計測スペクトルを前記スペクトルに変換する基準計測スペクトル変換工程と、
    を備え、
    前記変換行列決定工程は、
    前記スペクトルが既知の光である既知光についての前記基準計測スペクトルである既知光計測スペクトルを取得する工程と、
    前記既知光についての前記スペクトルである既知光スペクトルを取得する工程と、
    前記既知光計測スペクトルに前記変換行列を作用させて得られた前記スペクトルである推定スペクトルと、前記既知光スペクトルとの偏差が極値となる条件に基づいて前記変換行列を決定する工程と、
    を備えることを特徴とする分光計測方法。
  2. 請求項1に記載の分光計測方法であって、
    前記計測スペクトル変換工程は、更に、
    前記計測分光特性に校正行列を作用させて得られた校正分光特性と、前記基準分光特性との偏差が極値となる条件に基づいて、前記校正行列を決定する工程と、
    前記計測スペクトルに校正行列を作用させることによって前記基準計測スペクトルに変換する工程と、
    を備えることを特徴とする分光計測方法。
  3. 請求項1に記載の分光計測方法であって、
    前記変換行列決定工程は、更に、
    前記既知光スペクトルに主成分分析を行って、前記第1個数よりも少ない第3個数の主成分ベクトルを選択する工程と、
    前記変換行列を、前記第3個数の主成分ベクトルによって構成される線形空間に線形射影することによって、前記変換行列を修正する工程と、
    を備えることを特徴とする分光計測方法。
  4. 光を受光すると、第1個数の所定の波長での光強度を表すスペクトルを出力する分光計測器であって、
    透過する光の波長を変更可能な光学フィルターと、
    前記受光した光を前記光学フィルターに透過させることによって、該受光した光を第2個数の所定の波長である計測波長の光に分光する分光手段と、
    前記第2個数の前記計測波長での光強度を検出することによって、前記第2個数の光強度を有する計測スペクトルを測定する計測スペクトル測定手段と、
    前記計測スペクトルを、基準として定められた前記光学フィルターである基準光学フィルターを用いて測定される基準計測スペクトルに変換する計測スペクトル変換手段と、
    前記基準計測スペクトルに所定の変換行列を作用させることによって、前記基準計測スペクトルを前記スペクトルに変換する計測スペクトル変換手段と、
    を備え、
    前記変換行列は、前記スペクトルが既知の光である既知光についての前記計測スペクトルである既知光計測スペクトルを取得して、前記既知光計測スペクトルに前記変換行列を作用させて得られた前記スペクトルである推定スペクトルと、前記既知光の前記スペクトルである既知光スペクトルとの偏差が極値となる条件に基づいて決定された行列であり、
    前記計測スペクトル変換手段は、前記計測スペクトルの計測に用いた前記光学フィルターの分光特性である計測分光特性と、前記基準光学フィルターの分光特性である基準分光特性とに基づいて、前記計測スペクトルを前記基準計測スペクトルに変換する
    ことを特徴とする分光計測器。
  5. 請求項4に記載の分光計測器であって、
    前記計測スペクトル変換手段は、更に、
    前記計測分光特性に校正行列を作用させて得られた校正分光特性と、前記基準分光特性との偏差が極値となる条件に基づいて決定された前記校正行列を記憶している校正行列記憶手段と、
    前記計測スペクトルに校正行列を作用させることによって前記基準計測スペクトルに変換する変換手段と、
    を備えることを特徴とする分光計測器。
  6. 請求項4に記載の分光計測器であって、
    前記変換行列は、
    前記推定スペクトルと、前記既知光の前記スペクトルである既知光スペクトルとの偏差が極値となる条件に基づいて決定された行列を、
    前記既知光スペクトルの前記第1個数よりも少ない第3個数の主成分ベクトルが構成する線形空間に線形射影することによって修正された行列である
    ことを特徴とする分光計測器。
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