JP5874776B2 - 分光装置 - Google Patents
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Description
この発明では、電圧制御部は、第一電位差から、前記第一電位差より大きい第二電位差に切り替える。即ち、分光測定装置に入射する入射光から、波長の異なる光を分光させて光の光量を測定する際、電圧制御部は、まず、第一電極と第二電極との電位差を第一電位差に設定し、第一波長を有する光(第一光)を透過させる。その後、第一電極と第二電極との電位差を、第一電位差より高い第二電位差として、第一波長よりも短い波長である第二波長を有する光(第二光)を透過させる。
ここで、第二電位差から、第二電位差より小さい第一電位差に切り替えると、上述したように、第二電位差の時の復元力が、第一電位差の時の静電引力より大きくなる。このため、オーバーシュート等の発生による基板の減衰自由振動の時間が長くなり、迅速な光特性の測定が実施できない。これに対して、本発明では、電圧制御部は、第一電位差から、前記第一電位差より大きい第二電位差に切り替えるため、基板の減衰自由振動を抑制することができ、迅速な分光測定を実施することができる。
このように、電位差が低い状態から高い状態に電圧を切り替えて、受光量の疎工程を実施することで、上記発明と同様に、基板の減衰自由振動を抑制することができ、迅速な特性の測定を実施することができる。
したがって、第一測定工程、および第二測定工程において、このような静電容量に基づいてギャップ間隔を算出すると同時に、受光部にて受光される受光量を測定することで、受光した光の波長とその光量を同時に取得することができ、より詳細な特性の測定を実施することができる。また、第三測定工程においても、同様に、第三光の受光量の測定と同時に、第一電極と第二電極との間の静電容量を測定することで、第三光に対して、受光した光の波長と、その光量とを同時に測定することができる。
ここで、光機器としては、例えば各波長の光に対して光強度に応じたデータを持たせた場合に、所望の波長からデータを取り出す装置であり、例えば複数の波長の光を混合して光ファイバーなどの媒体により送信するシステムなどに用いられる。
本発明では、上述したように、光フィルターにより所望の波長の光を迅速に抽出することができるため、光機器におけるデータの取得処理も迅速に実施することができる。
以下、本発明に係る一実施形態の分析機器である測色装置を図面に基づいて説明する。
(1.測色装置の構成)
図1は、本発明に係る一実施形態の分析機器である測色装置の概略構成を示すブロック図である。
図1において、測色装置1は、光源装置2と、本発明の光フィルターを構成する分光測定装置3と、測色制御装置4と、を備えている。この測色装置1は、光源装置2から測定物Aに向かって例えば白色光を射出し、測定物Aで反射された光である検査対象光を分光測定装置3に入射させる。そして、分光測定装置3にて検査対象光を分光し、分光した各波長の光の光量をそれぞれ測定する分光特性測定を実施する。言い換えると、測定物Aで反射された光である検査対象光をエタロン5に入射させ、エタロン5から透過した透過光の光量を測定する分光特性測定を実施する。そして、測色制御装置4は、得られた分光特性に基づいて、測定物Aの測色処理、すなわち、どの波長の色がどの程度含まれているかを分析する。
光源装置2は、光源21、複数のレンズ22(図1には1つのみ記載)を備え、測定物Aに対して白色光を射出する。また、複数のレンズ22には、コリメーターレンズが含まれており、光源装置2は、光源21から射出された白色光をコリメーターレンズにより平行光とし、図示しない投射レンズから測定物Aに向かって射出する。
分光測定装置3は、測定物Aにより反射された測定対象光を分光し、分光された光の光量を測定することで、分光特性を得る装置である。この分光測定装置3は、図1に示すように、エタロン5と、受光部6と、駆動回路7と、制御回路部8と、を備えている。また、分光測定装置3は、エタロン5に対向する位置に、測定物Aで反射された反射光(測定対象光)を、内部に導光する図示しない入射光学レンズを備えている。
受光部6は、複数の光電交換素子により構成されており、受光量に応じた電気信号を生成する。そして、受光部6は、制御回路部8に接続されており、生成した電気信号を受光信号として制御回路部8に出力する。
図2は、分光測定装置3を構成するエタロン5の概略構成を示す断面図である。
エタロン5は、例えば、平面視正方形状の板状の光学部材であり、一辺が例えば10mmに形成されている。このエタロン5は、図2に示すように、本発明の第二基板を構成する可動基板52、および第一基板を構成する固定基板51を備えている。これらの2枚の基板51,52は、それぞれ例えば、ソーダガラス、結晶性ガラス、石英ガラス、鉛ガラス、カリウムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラスなどの各種ガラスや、水晶などにより形成されている。これらの中でも、各基板51,52の構成材料としては、例えばナトリウム(Na)やカリウム(K)などのアルカリ金属を含有したガラスが好ましく、このようなガラスにより各基板51,52を形成することで、後述する反射膜53,54や、各電極の密着性や、基板同士の接合強度を向上させることが可能となる。そして、これらの2つの基板51,52は、例えば常温活性化接合などにより接合されることで、一体的に構成されている。
さらに、固定基板51と可動基板52との間には、固定反射膜53および可動反射膜54の間の第一ギャップG1の寸法を調整するための静電アクチュエーター55が設けられている。この静電アクチュエーター55は、第一電極551および第二電極552を備えている。
固定基板51は、厚みが例えば500μmに形成されるガラス基材をエッチングにより加工することで形成される。具体的には、図2に示すように、固定基板51には、エッチングにより電極形成溝511および反射膜固定部512が形成される。
電極形成溝511は、例えば、エタロン5を厚み方向から見た平面視(以降、エタロン平面視と称す)において、円環形状に形成されている。反射膜固定部512は、前記平面視において、電極形成溝511の中心部に形成され、電極形成溝511の溝底面(電極固定面511A)から可動基板52側に突出して形成される。
そして、電極形成溝511の電極固定面511Aには、静電アクチュエーター55を構成する第一電極551が形成される。また、固定基板51には、電極固定面511Aに連続する図示しない第一電極引出溝が形成され、第一電極551の外周縁の一部から外側に向かって延出する図示しない第一電極引出部が形成されている。この第一電極引出部は、駆動回路7に接続されている。
なお、本実施形態では、固定反射膜53として、エタロン5で分光可能な波長域として可視光全域をカバーできるAgC単層の反射膜を用いる例を示すが、これに限定されず、例えば、エタロン5で分光可能な波長域が狭いが、AgC単層反射膜よりも、分光された光の透過率が大きく、透過率の半値幅も狭く分解能が良好な、例えばTiO2−SiO2系誘電体多層膜反射膜を用いる構成としてもよい。ただし、この場合、上述したように、固定基板51の反射膜固定面512Aや電極固定面511Aの高さ位置を、固定反射膜53や可動反射膜54、分光させる光の波長選択域などにより、適宜設定する必要がある。
可動基板52は、厚みが例えば200μmに形成されるガラス基材をエッチングにより加工することで形成される。
具体的には、可動基板52には、エタロン平面視において、基板中心点を中心とした円形の変位部521と、変位部521と同軸となる円環状に形成され変位部521の外周部に連結される連結保持部522と、を備えている。
ここで、この可動反射膜54は、上述した固定反射膜53と同一の構成の反射膜が用いられ、本実施形態では、AgC単層反射膜が用いられる。また、AgC単層反射膜の膜厚寸法は、例えば0.03μmに形成されている。
また、第二電極552の外周縁の一部からは、図示しない第二電極引出部が外周方向に向かって形成され、駆動回路7に接続されている。そして、駆動回路7から出力される電圧により、第一電極551および第二電極552の間に静電引力が働き、変位部521が反射膜固定部512側に移動することで、第一ギャップG1の間隔が調整される。
エタロン5では、一対に反射膜53,54の間の第一ギャップGの間隔(以降、第一ギャップ間隔と称す)により、透過波長が決定される。すなわち、エタロン5を透過する光は、その半波長の整数倍が第一ギャップ間隔と一致する光であり、半波長の整数倍が第一ギャップ間隔と一致しない光は、反射膜53,54により反射される。したがって、図3に示すように、静電アクチュエーター55により第一ギャップ間隔をg0、g1、g2、g3と変化させることで、エタロン5を透過する光、すなわち透過率が大きい波長がλ0、λ1、λ2、λ3と変化する。
駆動回路7は、エタロン5の第一電極引出部、第二電極引出部、および制御回路部8に接続される。この駆動回路7は、制御回路部8から入力される駆動制御信号に基づいて、第一電極引出部および第二引出部を介して、第一電極551および第二電極552間に駆動電圧を印加し、変位部521を所定の変位位置まで移動させる。
制御回路部8は、分光測定装置3の全体動作を制御する。この制御回路部8は、図1に示すように、例えばCPU81、記憶部82などにより構成されている。そして、CPU81は、記憶部82に記憶された各種プログラム、各種データに基づいて、分光測定処理を実施する。記憶部82は、例えばメモリーやハードディスクなどの記録媒体を備えて構成され、各種プログラム、各種データなどを適宜読み出し可能に記憶する。
また、記憶部82には、第一ギャップG1の間隔を調整するために静電アクチュエーター55に印加する電圧値、およびその電圧値を印加する時間を関連付けた電圧テーブルデータ825が記憶されている。
記憶部82に記憶される電圧テーブルデータ825は、図4に示すように、電圧印加順を示す番号データ827と、電圧値が記録される電圧データ828と、印加時間が記録される時間データ829とが関連付けられた電圧制御レコード826が、複数記録されるデータである。
ここで、分光測定装置3により、分光可能範囲をN分割し、N+1個の波長に対する光量を取得する場合、電圧テーブルデータ825には、N個の電圧制御レコード826が、例えば番号データ827が小さい順に記録される。
つまり、番号データ827が「2」の電圧制御レコード826の電圧データ828には、初期駆動電圧よりも大きい電圧値が記録され、さらに、番号データ827が「3」の電圧制御レコード826の電圧データ828には、番号データ827が「2」である電圧制御レコード826の電圧データ828の電圧よりも大きい電圧値が記録されている。すなわち、番号データ827が「i」である電圧制御レコード826の電圧データ828には、番号データ827が「i−1」である電圧制御レコード826の電圧データ828よりも大きく、番号データ827が「i+1」である電圧制御レコード826の電圧データ828よりも小さい電圧値が記録される。そして、番号データ827が「N」である電圧制御レコード826の電圧データ828には、第一ギャップ間隔を最小値にするための最大電圧値が記録されている。ここで、「i」は、2以上の整数である。また、「N」も、2以上の整数である。
なお、電圧データは、設定したい第1ギャップ間隔、可動基板の材質、可動反射膜が設けられている領域に対応する可動基板の大きさや厚さ等によって、適宜設定される。
すなわち、静電アクチュエーター55に印加する電圧が小さい場合では、変位部521に作用する力が小さく、電圧が小さい場合では、変位部521に作用する力が大きくなる。ここで、変位部521に作用する力としては、静電アクチュエーター55による静電引力、および静電引力の反力であり、連結保持部522が弾性変形することで発生する復元力があり、静電アクチュエーター55に印加する電圧が大きいほどこれらの力も大きくなる。
変位部521を変動させた際、変位部521が所望の変位位置を越えて変位してしまうオーバーシュートが発生する場合があり、このようなオーバーシュートが発生した場合、オーバーシュートに伴う振動が静止するまで、時間がかかる。これは、静電引力や復元力が大きいほど起こりやすくなり、振動の振幅も大きくなる。したがって、静電アクチュエーター55に大きな電圧が印加される場合では、変位部521の変動が安定するまでより長い時間を要することとなるので、印加時間を長く設定する必要がある。以上の理由から、電圧制御レコード826の時間データ829には、番号データ827が大きくなるに従って、長い印加時間が記録される。
電圧制御プログラム821は、CPU81を本発明の電圧制御部として機能させるためのプログラムであり、駆動回路7に駆動制御信号を出力して、静電アクチュエーター55の第一電極551および第二電極552間にステップ電圧(直流電圧)を印加して駆動させる制御をする。
具体的には、記憶部82に記憶される電圧テーブルデータ825から、番号データ827の小さい順に、電圧制御レコード826を読み出し、この電圧制御レコード826の電圧データ828に記録される電圧値を、時間データ829に記録される印加時間印加する制御を実施する。
ここで、測定プログラム824は、電圧制御プログラム821により、静電アクチュエーター55に電圧が印加された後、時間データ829に記憶される印加時間が経過したタイミング、すなわち、電圧制御プログラム821により、次の電圧制御レコード826に基づいた電圧が印加される直前で分光測定処理を実施する。
また、測定プログラム824は、記憶部82から透過特性データを読み出し、第一ギャップ間隔に対してエタロン5を透過する透過光の波長を認識する。そして、この透過光の波長と、光量認識プログラム823により認識された透過光の光量とを関連付けた分光測定結果を測色制御装置4に出力する。なお、分光測定結果を記憶部82に記憶し、測定波長域に対する分光測定処理の終了後に測色制御装置4に分光測定結果をまとめて出力する構成などとしてもよい。
測色制御装置4は、分光測定装置3および光源装置2に接続されており、光源装置2の制御、分光測定装置3により取得される分光特性に基づく測色処理を実施する。この測色制御装置4としては、例えば汎用パーソナルコンピューターや、携帯情報端末、その他、測色専用コンピューターなどを用いることができる。
そして、測色制御装置4は、図1に示すように、光源制御部41、分光特性取得部42、および測色処理部43などを備えて構成されている。
光源制御部41は、光源装置2に接続されている。そして、光源制御部41は、例えば利用者の設定入力に基づいて、光源装置2に所定の制御信号を出力し、光源装置2から所定の明るさの白色光を射出させる。
分光特性取得部42は、分光測定装置3に接続され、分光測定装置3から入力される分光特性を取得する。
次に、上記のような測色装置1を構成する分光測定装置3の動作における特性測定方法について図面に基づいて説明する。
図5は、分光測定装置3の分光測定動作を示すフローチャートである。
この後、分光測定装置3の制御回路部8のCPU81は、電圧制御プログラム821、ギャップ測定プログラム822、光量認識プログラム823、および測定プログラム824を起動させる。また、CPU81は、初期状態として、測定回変数nを初期化(n=0に設定)する(ステップS1)。なお、測定回変数nは、0以上の整数の値をとる。
この後、測定プログラム824は、初期状態、すなわち、静電アクチュエーター55に電圧が印加されていない状態で、エタロン5を透過した光の光量を測定する(ステップS2)。なお、この初期状態における第一ギャップ間隔は、例えば分光測定装置の製造時において予め測定し、記憶部82に記憶しておいてもよい。そして、ここで得られた初期状態の透過光の光量、および第一ギャップ間隔を測色制御装置4に出力する。
この後、電圧制御プログラム821は、電圧テーブルデータ825から、番号データ827が測定回変数nである電圧制御レコード826を読み込み、電圧データ828および時間データ829を取得する(ステップS5)。そして、電圧制御プログラム821は、駆動回路7に駆動制御信号を出力し、電圧データ828に記録される電圧を、時間データ829に記録される印加時間の間、静電アクチュエーター55に印加する処理を実施する(ステップS6)。
以上の処理により本発明の第一電圧制御工程、第一測定工程、第二電圧制御構成、第二測定工程、第三電圧制御工程、第三測定工程が実施される。すなわち、測定回変数nである時に、第一電極551および第二電極552間に印加される電圧が本発明の第一電圧であり、その電位差が本発明の第一電位差であり、その際のギャップ間隔が本発明の第一間隔となり、その際にエタロン5を透過する光が本発明の第一光となる。また、この後の測定回変数nに1が加算され、測定回変数n+1となった際の第一電極551および第二電極552間に印加される電圧が本発明の第二電圧であり、その電位差が本発明の第二電位差であり、その際のギャップ間隔が本発明の第二間隔となり、その際にエタロン5を透過する光が本発明の第二光となる。さらに、測定回変数nに1が加算され、測定回変数n+2となった際の第一電極551および第二電極552間に印加される電圧が本発明の第三電圧であり、その電位差が本発明の第三電位差であり、その際のギャップ間隔が本発明の第三間隔となり、その際にエタロン5を透過する光が本発明の第三光となる。
上記のような分光測定動作により、エタロン5の静電アクチュエーター55に印加される電圧は、図6に示すように、ステップ電圧が印加される。この時、上述したように、高電圧が印加されて第一ギャップ間隔が狭くなるに従い、電圧切り替え時の電圧変動量△Vは小さく(△V1>△V2>△V3)設定されている。本実施形態では、V1=15V、V2=25V、V3=30V、V4=33Vに設定されており、△V1=10V、△V2=5V、△V3=3Vに設定されている。△V1>△V2>△V3と設定することで、変位部521のオーバーシュートが抑制される。
さらに、図6に示すように、高電圧が印加されて第1ギャップ間隔が狭くなるに従い、印加時間Tは長く(T1<T2<T3<T4)設定される。本実施形態では、T1=100μsec、T2=150μsec、T3=200μsec、T4=250μsecに設定されている。T1<T2<T3<T4と設定することで、さらに静電引力が急激に増大することがなく、変位部521のオーバーシュートの発生をさらに抑制することができ、より迅速な測定が可能となる。また、印加電圧が大きくなると、変位部521に作用する静電引力および復元引力も大きくなるが、上記したように、印加電圧が大きくなるに従って印加時間Tが長く設定されている。このため、これらの力によりオーバーシュートが発生した場合でも、変位部521の変動が安定したタイミングで測定することが可能となり、変位部521の振動による分光測定処理の精度の悪化がなくなる。一方、静電アクチュエーター55に印加される電圧が小さい状態では、静電引力や復元力も小さくなるため、変位部521の変動も少なくなる。本実施形態では、印加電圧が小さい場合、印加時間も小さく設定され、より迅速な測定を実施することが可能となる。なお、図6におけるT0は、初期状態の期間を示している。また、図6においては、一例として、4回の分光測定を行う場合を示している。即ち、T1(V1)のときに第1番目の測定が行われ、T2(V2)のときに第2番目の測定が行われ、T3(V3)のときに第3番目の測定が行われ、T4(V4)の時に第4番目(最後)の測定が行われている。オーバーシュートを抑制するために、V1<V2<V3<V4となっている。最後の測定が終了した後、測定物Aの他の領域の色度を分光測定する場合は、再度、エタロン5を初期状態に戻して、本実施形態の分光測定が行われる。
上述したように、上記実施形態の測色装置1における分光測定装置3では、CPU81は、電圧制御プログラム821により、分光測定時に変位部521を変動させて複数波長の分光光に対する光量を測定する際、静電アクチュエーター55に印加する電圧を低電圧から高電圧に切り替える処理を実施する。
このため、静電アクチュエーター55への電圧を切り替えた際に発生する変位部521の変動を迅速に安定化させることができる。すなわち、低電圧から高電圧に電圧を切り替えることで、静電引力の反力である復元力が大きくならず、変位部の変動速度を緩和させることができる。したがって、変位部521がオーバーシュートして振動が発生する不都合を抑制できる。したがって、電圧印加タイミングから測定タイミングまでの時間を短くすることができ、迅速な分光測定処理を実施することができる。また、変位部521の振動を抑制できるため、測定時に変位部521が振動することによる測定精度の悪化などをも抑えることができ、分光測定装置3の測定精度を向上させることができる。
このため、エタロン5において分光可能な波長域に対して、複数波長の分光特性を測定することができる。
また、電圧を小刻みに変動させることで、静電引力が急激に大きくなることがなく、オーバーシュートを良好に抑制することができる。したがって、分光測定処理をより迅速に実施することができる。
このため、第一ギャップ間隔が小さくなった場合、静電アクチュエーター55に印加される電圧の切り替え時に、電圧の変動量が小さく、静電引力が急激に大きくなることがない。したがって、急激な静電引力の増大によるオーバーシュートや、オーバーシュートに伴う変位部521の振動を低減することができ、迅速に分光測定処理を実施することができる。
このため、静電アクチュエーター55に高電圧を印加した際に、静電引力および静電引力に抗する復元力が大きくなり、これらの力のバランスにより変位部521が振動してしまった場合でも、変位部521の変動が安定するために要する印加時間が設定されているため、測定時に変位部521が振動することがない。すなわち、CPU81は、測定プログラム824により、第一ギャップ間隔の変動がなくなったタイミングで分光測定処理を実施することができ、精度の高い分光測定結果を得ることができる。
一方、静電アクチュエーター55に印加する電圧が小さい場合では、静電引力や復元力も小さくなるため、変位部521はほとんど振動することなく、短時間で所定位置に静止する。本実施形態の分光測定装置3では、静電アクチュエーター55に印加する電圧が小さいほど印加時間も短くなるため、低電圧印加時には、より迅速に測定プログラム824による分光測定処理を実施できる。
ここで、静電アクチュエーター55に印加する電圧に対する第一ギャップ間隔を予め測定してデータとして保持する構成としてもよいが、この場合、電極厚み寸法などの要因により、個々のエタロン5において、所定電圧を印加した際の第一ギャップ間隔が異なるため、個々の分光測定装置のそれぞれにおいて、印加電圧に対する第一ギャップ間隔を測定する必要が生じ、製造工程が煩雑化する。また、測定環境により所定電圧を印加した際の第一ギャップ間隔が変動する場合があり、測定精度が悪化することも考えられる。これに対して、上記のように、静電アクチュエーター55の各電極551,552に保持される電荷保持容量から第一ギャップ間隔を求める方法では、正確な値を求めることができる。したがって、第一ギャップ間隔に対する透過光の波長も正確に求めることができる。これにより、エタロン5により分光されて透過した光の波長およびその光量を正確に測定することができ、精度の高い分光測定処理を実施することができる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、上記実施形態において、初期駆動電圧から最大駆動電圧までを複数の段階に分割し、複数回の測定を実施したが、例えば、低電圧である第一電圧から高電圧である第二電圧に切り替える2段階の処理を実施するものであってもよい。この場合でも、静電アクチュエーター55に印加する電圧を、低電圧から高電圧に印加電圧を切り替えるため、高電圧から低電圧に切り替える場合に比べて、変位部521の変動を抑えることができ、迅速な分光測定を実施することができる。
さらに、静電アクチュエーター55への電圧切り替え時に、電圧変動幅を一定にする制御であってもよい。この場合でも、静電アクチュエーター55に印加する電圧を低電圧から高電圧に切り替える制御を行うことで、高電圧から低電圧に電圧を切り替える場合に比べて変位部521のオーバーシュートを抑えることができるため、分光測定動作の迅速化を図ることができる。
さらには、光源装置2から射出された光が測定物Aに反射され、この反射光を分光測定装置3により測定する構成を例示したが、例えば、エタロン5を透過した光を測定物Aにて反射させ、受光部6により受光させる構成などとしてもよい。
この場合、光機器は、本発明の光フィルターと、光からデータを取り出す光デコード装置とを備える。このような光機器では、光フィルターは、光ファイバーなどの光伝達媒体により伝送された光から所望の波長の光を波長が長い順に抽出す、光デコード装置は、光フィルターにより抽出された所望の波長に対してデコード処理を実施し、その波長に含まれるデータを抽出する。このような光機器では、上記のように光フィルターにより迅速に各波長の光を抽出することができるため、伝送された光からデータを抽出する処理も迅速に開始することができ、迅速なデータ受信が可能となる。
Claims (2)
- 第一基板と、
前記第一基板と対向する第二基板と、
前記第一基板に設けられた第一反射膜と、
前記第二基板に設けられ、前記第一反射膜と第一ギャップを介して対向する第二反射膜と、
前記第一基板に設けられた第一電極と、
前記第二基板に設けられ、前記第一電極と第二ギャップを介して対向する第二電極と、
前記第一電極と前記第二電極との間の電位差を制御する電圧制御部と、
を備え、
前記第一ギャップの寸法は前記第二ギャップの寸法より小さく、
前記電圧制御部が、第一電位差、前記第一電位差より大きい第二電位差、前記第二電位差より大きい第三電位差を順次生じさせ、
前記第二電位差に設定されている時間の方が、前記第一電位差に設定されている時間よりも長く、
前記第三電位差に設定されている時間の方が、前記第二電位差に設定されている時間よりも長く、
前記第二電位差と前記第三電位差との差の絶対値の方が、前記第一電位差と前記第二電位差との差の絶対値よりも小さいことを特徴とする分光装置。 - 請求項1に記載の分光装置において、
前記第一電極と前記第二電極との間の静電容量を測定する静電容量測定部を備えることを特徴とする分光装置。
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