JP2011106936A - 分光測定装置、および分析装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】分光測定装置3は、互いに対向する固定基板および可動基板と、可動基板に設けられる変位部と、変位部を初期位置に向かって付勢する連結保持部と、変位部および固定基板にギャップを介して対向配置される反射膜と、ギャップを調整する静電アクチュエーターと、ギャップ間隔を演算するギャップ演算手段823と、反射膜を透過した光の受光量を測定する受光部6と、変位部を予め設定された第一変位位置まで変位させるギャップ制御手段821と、変位部が初期位置に戻る復元過程で、透過光の光量測定、およびギャップの間隔の演算を同時に実施させる測定制御手段825と、を具備した。
【選択図】図1
Description
しかしながら、上記のような構成では、静電駆動電極の膜厚のばらつきや、膜応力のばらつきなどにより、静電駆動電極に作用する静電引力とギャップの変動量との関係が個々の波長可変干渉フィルターにより異なる。したがって、波長可変干渉フィルターにおいて、ギャップの間隔を正確に設定することは困難となる。
なお、この設定変位位置としては、所定電圧を印加した際の変位部の位置の他、変位部の移動可能な限界位置、反射膜同士が接触する位置などに設定することができる。
そして、測定制御手段は、このギャップ間隔の測定と同時に、一対の反射膜を透過または反射した分光光を受光手段で受光し、その受光量を測定する。なお、これらのギャップ間隔の測定および受光量の測定の双方を同時行う測定処理を、以降の説明において分光測定処理と称する。
以上により、正確なギャップ間隔に基づいて、一対の反射膜を透過または反射した光の正確な波長を求めることができ、その光に対する光量を得ることができる。また、このような分光測定装置を用い、復元過程で実施する分光測定処理のタイミングをずらすことで、異なる波長に対する受光量を測定することが可能であり、正確な分光特性の測定を実施することができる。
さらに、測定を実施するタイミングの間隔を狭めることで、連続的にギャップ間隔および受光量の測定を実施することも可能であり、このような場合、1度の測定で、変位部の変位状態に対する、一対の反射膜を透過または反射した光の光量変化を連続的に取得することができ、容易、かつ正確に、検査対象光の分光特性曲線を得ることができる。
また、一対の反射膜のギャップ間隔を調整することで、入射光のうちの所定の波長光のみを透過または反射させる、いわゆるファブリペローエタロンでは、反射膜間のギャップ間隔が非常に小さく設計され、例えば500nm以下に設定される。このような微小寸法においても、静電容量測定用電極を用いることで、静電容量に基づいて正確な寸法を測定することができる。
また、ギャップ測定手段は、変位部を駆動させるために静電駆動電極に電圧を印加した後、静電駆動電極に保持された電荷保持量を測定することで、キャップ間隔の測定を実施することができる。すなわち、別途静電容量を測定するための専用の電極を設ける必要がなく、静電駆動電極を静電容量測定用電極として用いることができる。このような構成とすることで、分光特性装置の構成をより簡単にすることができる。
これに対して、本発明では、変位部の復元過程において、静電駆動電極に電圧を印加しないため、上述のような静電駆動電極に保持される電荷による影響を抑制でき、精度の高いギャップ間隔の測定を実施できる。
さらに、反射膜同士が接触した限界変位位置では、ギャップが0となり、この限界変位位置から初期位置までの広い範囲で、ギャップ間隔の測定を実施することができる。したがって、より広い波長域の分光特性の測定を実施することができる。
ここで、上述したように、分光測定装置により、測定対象光の正確な分光特性を測定することができるため、分析手段においても、正確は測定結果に基づいた正確な分析処理を実施することができる。
以下、本発明に係る第一実施形態の分析装置である測色装置を図面に基づいて説明する。
(1.測色装置の構成)
図1は、第一実施形態の分析装置である測色装置の概略構成を示すブロック図である。
図1において、測色装置1は、光源装置2と、分光測定装置3と、測色制御装置4と、を備えている。この測色装置1は、光源装置2から被検査対象Aに向かって例えば白色光を射出し、被検査対象Aで反射された光である検査対象光を分光測定装置3に入射させる。そして、分光測定装置3にて検査対象光を分光し、分光した各波長の光の光量をそれぞれ測定する分光特性測定を実施する。そして、測色制御装置4は、得られた分光特性に基づいて、被検査対象Aの測色処理、すなわちどの波長の色がどの程度含まれているかを分析する。
光源装置2は、光源21、複数のレンズ22(図1には1つのみ記載)を備え、被検査対象Aに対して白色光を射出する。また、複数のレンズ22には、コリメーターレンズが含まれており、光源装置2は、光源21から射出された白色光をコリメーターレンズにより平行光とし、図示しない投射レンズから被検査対象Aに向かって射出する。
分光測定装置3は、被検査対象Aにより反射された測定対象光を分光し、分光された光の光量を測定することで、分光特性を得る装置である。この分光測定装置3は、図1に示すように、エタロン5と、受光手段としての受光部6と、駆動回路7と、制御回路部8と、を備えている。また、分光測定装置3は、エタロン5に対向する位置に、被検査対象Aで反射された反射光(測定対象光)を、内部に導光する図示しない入射光学レンズを備えている。
受光部6は、複数の光電交換素子により構成されており、受光量に応じた電気信号を生成する。そして、受光部6は、制御回路部8に接続されており、生成した電気信号を受光信号として制御回路部8に出力する。
図2は、分光測定装置3を構成するエタロン5の概略構成を示す断面図である。
エタロン5は、例えば、平面視正方形状の板状の光学部材であり、一辺が例えば10mmに形成されている。このエタロン5は、図2に示すように、第一基板である可動基板52、および第二基板である固定基板51を備えている。これらの2枚の基板51,52は、それぞれ例えば、ソーダガラス、結晶性ガラス、石英ガラス、鉛ガラス、カリウムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラスなどの各種ガラスや、水晶などにより形成されている。これらの中でも、各基板51,52の構成材料としては、例えばナトリウム(Na)やカリウム(K)などのアルカリ金属を含有したガラスが好ましく、このようなガラスにより各基板51,52を形成することで、後述する反射膜53,54や、各電極の密着性や、基板同士の接合強度を向上させることが可能となる。そして、これらの2つの基板51,52は、例えば常温活性化接合などにより接合されることで、一体的に構成されている。
さらに、固定基板51と可動基板52との間には、固定反射膜53および可動反射膜54の間のギャップGの寸法を調整するためのギャップ調整手段としての静電アクチュエーター55が設けられている。
固定基板51は、厚みが例えば500μmに形成されるガラス基材をエッチングにより加工することで形成される。具体的には、図3に示すように、固定基板51には、エッチングにより電極形成溝511および反射膜固定部512が形成される。
電極形成溝511は、例えば、エタロン5を厚み方向から見た平面視(以降、エタロン平面視と称す)において、円環形状に形成されている。反射膜固定部512は、前記平面視において、電極形成溝511の中心部に形成され、電極形成溝511の溝底面(電極固定面511A)から可動基板52側に突出して形成される。
そして、電極形成溝511の電極固定面511Aには、静電アクチュエーター55を構成する第一電極551が形成される。また、固定基板51には、電極固定面511Aに連続する図示しない第一電極引出溝が形成され、第一電極551の外周縁の一部から外側に向かって延出する図示しない第一電極引出部が形成されている。この第一電極引出部は、駆動回路7に接続されている。
なお、本実施形態では、固定反射膜53として、エタロン5で分光可能な波長域として可視光全域をカバーできるAgC単層の反射膜を用いる例を示すが、これに限定されず、例えば、エタロン5で分光可能な波長域が狭いが、AgC単層反射膜よりも、分光された光の透過率が大きく、透過率の半値幅も狭く分解能が良好な、例えばTiO2−SiO2系誘電体多層膜反射膜を用いる構成としてもよい。ただし、この場合、上述したように、固定基板51の反射膜固定面512Aや電極固定面511Aの高さ位置を、固定反射膜53や可動反射膜54、分光させる光の波長選択域などにより、適宜設定する必要がある。
可動基板52は、厚みが例えば200μmに形成されるガラス基材をエッチングにより加工することで形成される。
具体的には、可動基板52には、エタロン平面視において、基板中心点を中心とした円形の変位部521と、変位部521と同軸となる円環状に形成され変位部521の外周部に連結される連結保持部522と、を備えている。
ここで、この可動反射膜54は、上述した固定反射膜53と同一の構成の反射膜が用いられ、本実施形態では、AgC単層反射膜が用いられる。また、AgC単層反射膜の膜厚寸法は、例えば0.03μmに形成されている。
また、第二電極552の外周縁の一部からは、図示しない第二電極引出部が外周方向に向かって形成され、駆動回路7に接続されている。そして、駆動回路7から出力される電圧により、第一電極551および第二電極552の間に静電引力が働き、変位部521が反射膜固定部512側に移動することで、ギャップGの間隔(ギャップ間隔)が調整される。
エタロン5では、一対に反射膜53,54の間のギャップGの間隔(ギャップ間隔)により、透過波長が決定される。すなわち、エタロン5を透過する光は、その半波長の整数倍がギャップ間隔と一致する光であり、半波長の整数倍がギャップ間隔と一致しない光は、反射膜53,54により反射される。したがって、図3に示すように、静電アクチュエーター55によりギャップ間隔をg0、g1、g2、g3と変化させることで、エタロン5を透過する光、すなわち透過率が大きい波長がλ0、λ1、λ2、λ3と変化する。
駆動回路7は、エタロン5の第一電極引出部、第二電極引出部、および制御回路部8に接続される。この駆動回路7は、制御回路部8から入力される駆動制御信号に基づいて、第一電極引出部および第二引出部を介して、第一電極551および第二電極552間に駆動電圧を印加し、変位部521を予め設定された第一変位位置まで移動させる。
制御回路部8は、分光測定装置3の全体動作を制御する。この制御回路部8は、図1に示すように、例えばCPU81、記憶部82などにより構成されている。そして、CPU81は、記憶部82に記憶された各種プログラム、各種データに基づいて、分光測定処理を実施する。記憶部82は、例えばメモリーやハードディスクなどの記録媒体を備えて構成され、各種プログラム、各種データなどを適宜読み出し可能に記憶する。
また、記憶部82には、ギャップGの演算のためのギャップ演算データ826が記録されている。このギャップ演算データ826としては、静電アクチュエーター55に印加する電圧である初期駆動電圧、および初期駆動電圧を静電アクチュエーター55に印加した際のギャップ間隔である第一ギャップ間隔、変位部521が第一変位位置から初期位置まで戻るまでに要する所要復元時間が含まれる。ここで、初期駆動電圧を静電アクチュエーター55に印加した際の変位部521の変位位置(第一変位位置)が、本発明の設定変位位置となる。
このギャップ演算データ826は、例えばエタロン5の製造過程において測定されるデータであり、初期データとして記憶部82に記憶されている。すなわち、エタロン5の製造工程において、予め、初期駆動電圧を設定し、この初期駆動電圧を第一電極551および第二電極552間に印加した際の、ギャップ間隔(第一ギャップ間隔)を測定する。また、静電アクチュエーター55への電圧印加を停止し、変位部521が第一変位位置から初期位置に戻るまでの所要復元時間を測定する。そして、これらの初期駆動電圧、第一ギャップ間隔、所要復元時間が初期データであるギャップ演算データ826として予め記憶部82に記憶される。
なお、エタロン5の製造過程において、第一変位位置から所定時間経過後のギャップ間隔を予め測定して、復元経過時間とギャップ間隔とを関連付けたテーブルデータまたは、復元経過時間およびギャップ間隔の関係式などを、ギャップ演算データ826に含ませる構成としてもよい。
ここで、変位部521は、第一変位位置に移動された後、静電アクチュエーター55への駆動電圧印加が停止、すなわち印加電圧が0Vに設定されると、変位部521には、連結保持部522の復元力のみが作用するため、次式(1)に示すような自由振動の挙動に沿って初期位置まで戻る。
x=Asin(ωt+α) …(1)
g=g0−(g0−g1)sin((2πt/T)+π/2) …(2)
具体的には、測定制御手段825は、変位部521が第一変位位置に移動され、静電アクチュエーター55への初期駆動電圧の印加が停止された後、初期位置に戻るまでの復元過程において、分光測定処理を実施する。また、測定制御手段825は、計時手段で計測される復元経過時間と、この復元経過時間に対してギャップ演算手段823により演算されるギャップ間隔と、光量認識手段824により認識される光量検出信号と、を取得し、これらの復元経過時間、ギャップ間隔、および光量検出信号を関連付けて記憶部82に記憶する。
また、測定制御手段825は、復元過程において、この分光測定処置を複数回実施する。ここで、測定制御手段825が分光測定処理を実施するタイミングとしては、分光測定装置3により測定される分光特性の精度などにより適宜設定することが可能である。例えば、予め測定タイミングを設定しておき、記憶部82に記憶しておき、計時手段にて計時される復元経過時間がこの測定タイミングと一致した際に分光測定処理を実施する処理としてもよい。なお、本実施形態では、予め設定された周期で、計時手段により計時される復元経過時間、ギャップ演算手段823により測定されるギャップ間隔、光量測定手段により測定される透過光の光量を同時に取得する構成などとしてもよい。この場合、測定タイミングである周期を狭めることで、ギャップ間隔および透過光の光量の連続的な変化を監視でき、より精度の高い分光特性測定を実施することが可能となる。
測色制御装置4は、分光測定装置3および光源装置2に接続されており、光源装置2の制御、分光測定装置3により取得される分光特性に基づく測色処理を実施する。この測色制御装置4としては、例えば汎用パーソナルコンピューターや、携帯情報端末、その他、測色専用コンピューターなどを用いることができる。
そして、測色制御装置4は、図1に示すように、光源制御部41、分光特性取得部42、および測色処理部43などを備えて構成されている。
光源制御部41は、光源装置2に接続されている。そして、光源制御部41は、例えば利用者の設定入力に基づいて、光源装置2に所定の制御信号を出力し、光源装置2から所定の明るさの白色光を射出させる。
分光特性取得部42は、分光測定装置3に接続され、分光測定装置3から入力される分光特性を取得する。
次に、上記のような測色装置1を構成する分光測定装置3の動作について図面に基づいて説明する。
図4は、エタロン5における変位部521の変位状態を示す図であり、(A)は、静電アクチュエーター55に電圧が印加されていない初期状態を示す図、(B)は、静電アクチュエーター55に初期電圧V3を印加した状態を示す図、(C)は、復元過程において、復元経過時間t2が経過した状態を示す図、(D)は、復元経過時間t3(t3>t2)が経過した状態を示す図、(E)は、復元経過時間t4が経過し、変位部521が初期位置に復元された状態を示す図である。なお、図中「Gap」はギャップ間隔を示す。
図5は、分光測定装置3に入射する検査対象光の分光特性の例を示す図である。
図6は、図5に示す検査対象光がエタロン5に入射した際の、透過光の光量を示す図である。
図7は、図5に示す検査対象光に対して、受光部6から出力される光量検出信号を示す図である。
この後、CPU81により起動されたギャップ制御手段821は、記憶部82に記録されるギャップ演算データ826から初期駆動電圧を取得し、この初期駆動電圧を静電アクチュエーター55に印加する旨の駆動制御信号を駆動回路7に出力する。これにより、変位部521は、図4(A)に示すような初期位置から、図4(B)に示すような第一変位位置まで移動する。この時、ギャップ間隔は、ギャップ演算データ826に記憶される第一ギャップ間隔g3となる。
また、計時手段822は、変位部521が第一変位位置に移動したタイミングで、カウンター値をリセットし、例えば「0」に設定する。
また、計時手段822は、ギャップ制御手段821により初期駆動電圧V3が停止されるタイミングt1をt1=0とし、以降、変位部521が初期位置に戻るまでの復元過程において、復元経過時間tをカウントする。
なお、図4から図7では、計時手段822によりカウントされる復元経過時間tがt=t2、t3、t4となるタイミングでの分光測定処理を例示するが、実際には、さらに小さい周期に設定され、例えば略連続的に分光測定処理を実施し、略連続的に復元経過時間t、ギャップ間隔g、光量検出信号Iを取得する。
例えば、図5に示すような検査対象光が分光測定装置3に入射し、図4(B)に示すように、変位部521が第一変位位置に位置する場合、ギャップ間隔がg3となる。この場合は、図6(A)に示すように、波長がλ3となる光のみ透過され、図7(A)に示すように、電流値I3が光量検出信号として出力される。
また、図4(C)(D)のように、復元経過時間tがt=t2,t3となる復元過程では、ギャップ演算手段823によりギャップ間隔g2、g1が演算される。この場合は、図6(B)(C)に示すように、波長がλ2、λ1となる光のみが透過され、図7(A)に示すように、電流値I2,I1が光量検出信号として出力される。
さらに、図4(E)に示すように、復元経過時間tがt=t4となり、変位部521が初期位置に戻った場合、ギャップ間隔がg0となる。このギャップ間隔g0は、予めギャップ演算データとして記録されているものを用いてもよいが、式(2)により演算により算出することで、より精度の高い測定が可能となる。この場合は、図6(D)に示すように、波長がλ0となる光のみが透過され、図7(A)に示すように、電流値I0が光量検出信号として出力される。
上述したように、上記第一実施形態の測色装置1における分光測定装置3では、ギャップ制御手段821により、駆動回路7から静電アクチュエーター55に初期駆動電圧を印加して、エタロン5の変位部521を第一変位位置まで移動させた後、静電アクチュエーター55への電圧印加を停止させる。そして、測定制御手段825は、変位部521が初期位置に復元するまでの復元過程で、分光測定処理を実施し、すなわち、ギャップ演算手段823によるギャップ間隔の測定、および光量認識手段824による光量測定を実施させる。
ここで、静電アクチュエーター55に電圧を印加してギャップ間隔を所望の値に設定する場合では、第一電極551および第二電極552の膜厚、一対の反射膜53,54の膜厚などにより、個々のエタロン5により個体差が生じ、所望のギャップ間隔に設定することが困難となる。また、複数回のフィードバック制御を繰り返すような制御を実施する場合では、ギャップ間隔の調整処理に長時間を要する場合がある。これに対して、上記実施形態の分光測定装置3では、復元過程で、ギャップ間隔を測定するだけで、透過光の波長を求めることができ、迅速な分光測定処理を実施できる。
また、ギャップ測定と同時に光量測定を実施するため、上記のように、求めた正確な波長に対する光量を得ることができる。したがって、ギャップ演算手段823によるギャップ測定処理のタイミングを変化させることで、異なる波長の透過光の光量を検出することができる。そして、このように測定された複数波長に対する光量を求めることで、検査対象光の正確な分光特性を取得することができる。
また、このような分光測定装置3を備えた測色装置1では、迅速にかつ精度の高い分光特性に基づいた測色処理を実施できる。
これに加えて、本実施形態では、測定制御手段825により分光測定処理を実施するタイミング周期を小さく設定し、略連続的に分光測定処理を実施する。したがって、一度の測定で、エタロン5により分光可能な波長域の全域に対して、その分光特性を得ることができ、図7(B)に示すような精度の高い分光特性曲線を得ることができる。
次に、本発明に係る第二実施形態の測色装置について、図面に基づいて説明する。
図8は、第二実施形態の測色装置の概略構成を示すブロック図である。図8において、前記第一実施形態と同様の構成については、同符号を付し、その説明を省略または簡略する。
すなわち、第二実施形態の分光測定装置3は、エタロン5と、受光手段としての受光部6と、駆動回路7と、ギャップ検出回路9と、制御回路部8と、を備えている。この第二実施形態では、エタロン5を構成する第一電極551、第二電極552、およびギャップ検出回路9により本発明のギャップ検出手段が構成される。
また、制御回路部8は、CPU81と記憶部82とを備え、記憶部82には、CPU81により読み出されて実行されるプログラムとして、ギャップ制御手段821、計時手段822、ギャップ認識手段827、光量認識手段824、および測定制御手段825が記録されている。
ここで、エタロン5の構成、受光部6、駆動回路7の構成については、上記第一実施形態と同様の構成であるため、ここでの説明は省略する。
ここで、図9にエタロン5の平面図を示す。図9に示すように、第二実施形態のエタロン5は、平面視正方形状に形成されるが、第一電極551から対角関係となる頂点5A,5Cに向かって、それぞれ、駆動用第一電極引出部551A、および検出用第一電極引出部551Bが形成される。同様にして、第二電極552から対角関係となる頂点5B,5Dに向かって、駆動用第二電極引出部552A、および検出用第二電極引出部552Bが形成される。そして、駆動用第一電極引出部551Aの先端部、および駆動用第二電極引出部552Aの先端部は、それぞれ駆動回路7に接続され、検出用第一電極引出部551Bの先端部、および検出用第二電極引出部552Bの先端部は、それぞれギャップ検出回路9に接続される。
なお、第一電極551および第二電極552は、それぞれ1つずつ引出部を備え、これらの引出部に駆動回路7およびギャップ検出回路9の双方が接続される構成であってもよい。ただし、本実施形態のように、エタロン5が、一辺10mm程度に形成される微小基板により構成される場合、1つの引出部に駆動回路7およびギャップ検出回路9を接続する構成では、配線作業が困難となるおそれがある。また、ギャップ検出回路9に、駆動回路7による電圧印加のノイズが入りやすくなるなどの問題もある。したがって、図9に示すように、第一電極551に、駆動用第一電極引出部551A、および検出用第一電極引出部551Bの双方を形成し、第二電極552に駆動用第二電極引出部552A、および検出用第二電極引出部552Bの双方を形成する構成とすることが好ましい。
また、記憶部82には、ギャップGの演算のためのギャップ演算データ826が記録され、このギャップ演算データ826には、静電アクチュエーター55に印加する電圧である初期駆動電圧が記録される。
なお、計時手段822および光量認識手段824については、第一実施形態と同様の構成であり、CPU81により実行されることで同様の動作を実施するため、ここでの説明は省略する。
ここで、第二実施形態のギャップ制御手段821は、静電アクチュエーター55に初期駆動電圧を印加することで、可動反射膜54と固定反射膜53とが当接する、すなわちギャップ間隔が0となる限界変位位置まで、変位部521を移動させる。
この時、各反射膜53,54に過剰な応力が加わり、膜の平行関係が崩れたりする不都合を防止するために、エタロン5の製造時に、変位部521を限界変位位置に移動させるために必要な最低電圧が測定され、初期駆動電圧としてギャップ演算データ826に記憶される。なお、各反射膜53,54の外周縁に膜厚と同一突出寸法の移動規制部を設け、ギャップ制御手段821は、これらの移動規制部が当接する位置まで変位部521を移動させる構成などとしてもよい。
図10は、第二実施形態におけるエタロン5の変位部521の変位位置を示す図であり、(A)は、静電アクチュエーター55に電圧が印加されていない初期状態を示す図、(B)は、静電アクチュエーター55に初期電圧V4を印加した状態を示す図、(C)は、復元過程において、復元経過時間t2が経過した状態を示す図、(D)は、復元経過時間t3(t3>t2)が経過した状態を示す図、(E)は、復元経過時間t4が経過し、変位部521が初期位置に復元された状態を示す図である。なお、図中「Gap」はギャップ間隔を示す。
この後、CPU81により起動されたギャップ制御手段821は、記憶部82に記録されるギャップ演算データ826から初期駆動電圧V4を取得し、この初期駆動電圧V4を静電アクチュエーター55に印加する旨の駆動制御信号を駆動回路7に出力する。これにより、変位部521は、図10(A)に示すような初期位置から、図10(B)に示すような限界変位位置まで移動し、ギャップ間隔が0に設定される。なお、変位部521を限界変位位置に移動させた場合においても、第一電極551および第二電極552の間には所定の電磁ギャップが形成され、電荷が逃げることがない。
また、計時手段822は、変位部521が第一変位位置に移動したタイミングで、カウンター値をリセットし、例えば「0」に設定する。
また、計時手段822は、ギャップ制御手段821により初期駆動電圧V4が停止されるタイミングt1をt1=0としてカウントし、以降、変位部521が初期位置に戻るまでの復元過程において、復元経過時間tをカウントする。
上述した第二実施形態では、上記第一実施形態の作用効果に加えて次のような効果が得られる。
第二実施形態の測色装置1における分光測定装置3では、ギャップ検出回路9により、静電アクチュエーター55の第一電極551および第二電極552に保持される電荷量を検出して、ギャップ間隔gを測定する。このような構成では、各電極551,552に保持される電荷量に基づいたより正確なギャップ間隔を測定することができる。
すなわち、変位部521を連結保持部522の復元力により初期位置に復元させる場合、自由振動の挙動にほぼ従い、上記第一実施形態に示すギャップ演算手段823により、式(2)に基づいて正確なギャップ間隔を算出することができる。しかしながら、厳密には、変位部521は、振動幅が減衰し、最終的には初期位置で静止する、いわゆる減衰自由振動となる。ここで、ギャップ演算手段823により、減衰自由振動の挙動に基づいた演算式を用い、ギャップ間隔gを計算することで、より精密なギャップ間隔を算出することは可能であるが、この場合、演算式が複雑となり、処理時間や処理負荷も増大する。これに対して、ギャップ検出回路9により静電容量に基づいたギャップ間隔の測定では、第一電極551および第二電極552の静電容量を検出することで容易に、かつ迅速に、より正確なギャップ間隔を求めることができる。
したがって、より正確なギャップ間隔に基づいて、エタロン5を透過する光の波長を算出することができるため、分光特性の測定精度もより向上させることができる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、第一実施形態において、ギャップ制御手段821は、初期駆動電圧V3を静電アクチュエーター55に印加し、変位部521を第一変位位置まで移動させたが、これに限定されない。例えば、第二実施形態のように、静電アクチュエーター55に初期駆動電圧V4を印加し、変位部521を限界変位位置まで変位させたのち、復元過程での分光測定処理を実施してもよい。同様に、第二実施形態において、ギャップ制御手段821は、静電アクチュエーター55に初期駆動電圧V3を印加し、変位部521を第一変位位置に移動させる構成としてもよい。
第二実施形態では、ギャップ検出回路9により静電アクチュエーター55に保持される電荷保持量を検出したが、上記のような圧電体を用いた構成とする場合、圧電体の変形により発生する電流によりギャップ間隔を検出することができる。
また、付勢手段として、ダイアフラム状の連結保持部522を例示したが、例えば変位部521の外周縁から径外方向に延びる複数の保持軸が形成され保持軸の弾性力により付勢力が付与される構成などとしてもよく、固定基板51および可動基板52の間に、弾性部材を配置し、変位部521を初期位置まで押し上げる構成などとしてもよい。
さらには、光源装置2から射出された光が被検査対象Aに反射され、この反射光を分光測定装置3により測定する構成を例示したが、例えば、エタロン5を透過した光を被検査対象Aにて反射させ、受光部6により受光させる構成などとしてもよい。
Claims (8)
- 互いに対向する第一基板および第二基板と、
前記第一基板に設けられ、基板厚み方向に沿って変位可能な変位部と、
前記変位部を、当該変位部が変位していない位置である初期位置に向かって付勢する付勢手段と、
前記第一基板の前記変位部に設けられる第一反射膜と、
前記第二基板に設けられ、ギャップを介して前記第一反射膜に対向する第二反射膜と、
前記ギャップの間隔を変化させるギャップ調整手段と、
前記ギャップの間隔を測定するギャップ測定手段と、
前記第一反射膜および第二反射膜を透過または反射した光を受光するとともに、受光量を測定する受光手段と、
前記ギャップ調整手段を制御し、前記変位部を予め設定された設定変位位置まで変位させるギャップ制御手段と、
前記変位部が前記設定変位位置から前記初期位置に戻る復元過程で、前記受光手段による受光量の測定、およびギャップ測定手段によるギャップの間隔の測定を同時に実施させる測定制御手段と、
を具備したことを特徴とする分光測定装置。 - 請求項1に記載の分光測定装置において、
前記測定制御手段は、前記復元過程において、前記受光手段による前記受光量の測定、および前記ギャップ測定手段による前記ギャップの間隔の測定を同時に、かつ複数回実施させる
ことを特徴とする分光測定装置。 - 請求項1または請求項2に記載の分光測定装置において、
前記ギャップ測定手段は、前記変位部および前記第二基板の前記変位部に対向する面に対向配置される一対の静電容量測定用電極を備える
ことを特徴とする分光測定装置。 - 請求項1または請求項2に記載の分光測定装置において、
前記ギャップ測定手段は、前記変位部が、前記設定変位位置から、前記設定変位位置および前記初期位置の間の中間変位位置に移動するまでの時間に基づいて、前記ギャップの間隔を測定する
ことを特徴とする分光測定装置。 - 請求項3に記載の分光測定装置において、
前記ギャップ調整手段は、前記変位部および前記第二基板の前記変位部に対向する面に対向配置される一対の静電駆動電極を備え、これらの前記静電駆動電極に電圧が印加されることで、静電引力により前記変位部を変位させ、
前記静電容量測定用電極は、前記静電駆動電極であり、
前記ギャップ測定手段は、前記静電駆動電極に保持される電荷に基づいて、前記ギャップの間隔を測定する
ことを特徴とする分光測定装置。 - 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の分光測定装置において、
前記ギャップ調整手段は、前記第一基板および前記第二基板の互いに対向する面に設けられる静電駆動電極を備え、
前記ギャップ制御手段は、前記変位部を前記設定変位位置に変位させる際に前記静電駆動電極に電圧を印加し、前記復元過程において、前記静電駆動電極への電圧印加を停止させる
ことを特徴とする分光測定装置。 - 請求項1から請求項6のいずれかに記載の分光測定装置において、
前記設定変位位置は、前記第一反射膜および前記第二反射膜が当接する限界変位位置である
ことを特徴とする分光測定装置。 - 請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の分光測定装置と、
前記分光測定装置での測定処理により得られる、前記ギャップの間隔に対する前記受光量に基づいて、測定対象光の分光特性を分析する分析手段と、
を備えることを特徴とした分析装置。
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