JP2013064640A - 分光測定装置、及び分光測定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】分光測定装置1は、固定反射膜、可動反射膜、及び電圧印加により反射膜間ギャップのギャップ量を変化させる静電アクチュエーターを備えた波長可変干渉フィルター5と、光の光強度を検出するディテクター11と、測定対象光の分光スペクトルを測定する制御回路部20と、を備え、制御回路部20は、ピーク対応ギャップ量を検出するピーク検出部23と、静電アクチュエーターに印加する電圧を設定するフィルター駆動部22と、分光スペクトルを測定する分光測定部24とを備える。フィルター駆動部22は、ギャップ量を、定間隔ギャップ量及びピーク対応ギャップ量に段階的に変化させ、分光測定部24は、各定間隔ギャップ量、ピーク対応ギャップ量に対する光強度を取得する。
【選択図】図1
Description
図7は、従来の分光測定装置により得られた分光スペクトルを示す図である。図7において、破線は、実際の測定対象光のスペクトル曲線を示し、プロット点は、従来の分光測定装置により測定された光強度、実線は、当該プロット点を結んで得られたスペクトル曲線を示す。
図7に示すように、測定波長の間隔を一定間隔として光強度を検出すると、隣り合う2つの測定波長の間にピーク波長を有するような測定対象光に対して、正確なピーク位置を検出することができない。したがって、このような測定により得られた測定波長の光強度に基づいてスペクトル曲線を求めたとしても、正確なスペクトル曲線を得ることができないという課題があった。
一方、測定波長の間隔を小さくすることで、測定対象光の正確なピーク位置を検出することもできるが、この場合、測定ピッチが短く、測定回数が多くなるため、測定に係る時間が増大するという課題があった。
このため、本発明では、定間隔ギャップ量に対応して取り出された光の光強度だけでなく、測定対象光のピーク波長の光の光強度を取得することができる。ここで、本発明で述べる「測定対象光のピーク波長」とは、測定対象光の正確なピーク波長に加え、ピーク波長から僅かにずれる場合も含むものである。
この場合、定間隔ギャップ量の間隔である測定ピッチを大きめに設定した場合であっても、ピーク対応ギャップ量に対応した光強度の測定を実施することで、測定により得られた分光スペクトルのピーク位置が、測定対象光のピーク位置を一致もしくは近似させることができる。これにより、精度の高い分光スペクトルの測定を実施することができる。
また、例えばピーク対応ギャップ量を検出せず、測定ピッチを短く設定することで、分光スペクトルの精度を向上させる場合に比べて、ギャップ量の設定回数を少なくでき、測定を迅速に実施することができる。
以上により、本発明では、精度の良い分光スペクトルを迅速に測定することができる。
この場合、例えばギャップ量を段階的に変化させ、各段階においてギャップ量の変動がなくなるまで待機し、ギャップ量の変動がなくなった時点で光強度を検出するといった手順を、繰り返して実施するような方法に比べて、迅速に測定対象光のピーク波長の位置を検出できる。すなわち、ピーク検出部は、迅速にピーク対応ギャップ量を検出することができ、迅速に測定モードに移行できるので、分光測定に係る時間も短縮することができる。
本発明では、フィルター駆動部は、ギャップ量変更部に対して印加するステップ電圧を、ピーク検出ピッチに対応した電圧間隔で段階的に変化させる。この時、ピーク検出モードでは、正確な光強度の検出が不要で、ピーク波長の位置を検出できればよい。したがって、フィルター駆動部は、電圧を変化させた後、ギャップ量の変動がなくなるまで待機する必要がなく、所定の間隔で順次電圧を変化させ、連続的にギャップ量を変更させればよい。
そして、本発明では、ピーク検出部は、検出部により検出された光強度の変化状態に基づいて、光強度の極大点を検出し、当該極大点が検出された際、フィルター駆動部により設定された電圧を取得することで、波長可変干渉フィルターからピーク波長の光を取り出すために必要なステップ電圧(ピーク対応電圧)を容易に取得することができる。
なお、ギャップ量変更部に印加される電圧と、当該電圧の印加により設定されるギャップ量とは、それぞれ対応した値となるので、波長可変干渉フィルターからピーク波長の光を取り出すための電圧を検出することは、ピーク対応ギャップを検出することを意味する。
また、本発明では、フィルター駆動部は、測定ピッチよりも小さいピーク検出ピッチに対応した電圧間隔で、ギャップ量変更部に印加する電圧を変化させるので、測定ピッチでは検出できないピーク波長をも精度よく検出することができる。
本発明では、ピーク検出モードにおいて、フィルター駆動部は、ギャップ量変更部に対して連続的に変化するアナログ電圧を印加してギャップ量を連続的に変化させる。
この場合、ギャップ量変更部に印加される電圧値をモニターし、光強度の極大点が検出されたタイミングにおける電圧値を読み取ることで、容易に、波長可変干渉フィルターからピーク波長の光を取り出すために必要なピーク対応電圧を取得することができる。
また、この場合、モニターする電圧値は連続的に変化する値であるため、例えば一定ピッチ間隔のステップ電圧からピーク対応電圧を取得する場合に比べて、より正確なピーク対応電圧を取得することができる。
本発明によれば、検出部から出力された検出信号は、微分回路に入力され、微分回路により処理された信号に基づいて、測定対象光のピーク波長を検出する。つまり、微分回路では、検出信号の信号変化量が算出される。したがって、ピーク検出部は、信号変化量が0となる位置を検出することで、容易に測定対象光におけるピーク波長の位置を検出することができる。
このため、本発明では、上記発明と同様に、定間隔ギャップ量に対応して取り出された光の光強度だけでなく、測定対象光のピーク波長の光の光強度を取得することができ、より測定対象光に近い分光スペクトルを測定することができる。
また、例えば測定ピッチよりも短いピッチで詳細な分光測定を実施する場合に比べて、迅速な測定を実施できる。
以上により、本発明では、精度の良い分光スペクトルを迅速に測定することができる。
以下、本発明に係る第一実施形態を図面に基づいて説明する。
[分光測定装置の構成]
図1は、本発明に係る分光測定装置の概略構成を示すブロック図である。
分光測定装置1は、測定対象光における各波長の光強度を分析し、分光スペクトルを測定する装置である。また、本実施形態では、測定対象Xとして特に限定されないが、特に、特定の波長において鋭いピーク波長を有する光源装置や、発光体に対して、より有利に分光スペクトルの測定を実施することができる。
この分光測定装置1は、図1に示すように、波長可変干渉フィルター5と、ディテクター11(検出部)と、I−V変換器12と、アンプ13と、A/D変換器14と、電圧制御部15と、制御回路部20と、を備えている。
I−V変換器12は、ディテクター11から入力された検出信号を電圧値に変換し、アンプ13に出力する。
アンプ13は、I−V変換器12から入力された検出信号に応じた電圧(検出電圧)を増幅する。
A/D変換器14は、アンプ13から入力された検出電圧(アナログ信号)をデジタル信号に変換し、制御回路部20に出力する。
電圧制御部15は、制御回路部20の制御に基づいて、波長可変干渉フィルター5の後述する静電アクチュエーター56に対して駆動電圧を印加する。
ここで、分光測定装置1に組み込まれる波長可変干渉フィルター5について、以下説明する。図2は、波長可変干渉フィルターの概略構成を示す平面図である。図3は、図2をIII−III線で断面し断面図である。
波長可変干渉フィルター5は、図2に示すように、例えば矩形板状の光学部材である。この波長可変干渉フィルター5は、図3に示すように、固定基板51および可動基板52を備えている。これらの固定基板51及び可動基板52は、それぞれ例えば、ソーダガラス、結晶性ガラス、石英ガラス、鉛ガラス、カリウムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラスなどの各種ガラスや、水晶などにより形成されている。そして、これらの固定基板51及び可動基板52は、固定基板51の第一接合部513及び可動基板の第二接合部523が、例えばシロキサンを主成分とするプラズマ重合膜などにより構成された接合膜53(第一接合膜531及び第二接合膜532)により接合されることで、一体的に構成されている。
また、波長可変干渉フィルター5を固定基板51(可動基板52)の基板厚み方向から見た図2に示すようなフィルター平面視において、固定基板51及び可動基板52の平面中心点Oは、固定反射膜54及び可動反射膜55の中心点と一致し、かつ後述する可動部521の中心点と一致する。
なお、以降の説明に当たり、固定基板51または可動基板52の基板厚み方向から見た平面視、つまり、固定基板51、接合膜53、及び可動基板52の積層方向から波長可変干渉フィルター5を見た平面視を、フィルター平面視と称する。
固定基板51には、エッチングにより電極配置溝511および反射膜設置部512が形成されている。この固定基板51は、可動基板52に対して厚み寸法が大きく形成されており、固定電極561および可動電極562間に電圧を印加した際の静電引力や、固定電極561の内部応力による固定基板51の撓みはない。
また、固定基板51の頂点C1には、切欠部514が形成されており、波長可変干渉フィルター5の固定基板51側に、後述する可動電極パッド564Pが露出する。
また、固定基板51には、電極配置溝511から、固定基板51の外周縁の頂点C1,頂点C2に向かって延出する電極引出溝511Bが設けられている。
そして、固定基板51には、固定電極561の外周縁から、頂点C2方向に延出する固定引出電極563が設けられている。この固定引出電極563の延出先端部(固定基板51の頂点C2に位置する部分)は、電圧制御部15に接続される固定電極パッド563Pを構成する。
なお、本実施形態では、電極設置面511Aに1つの固定電極561が設けられる構成を示すが、例えば、平面中心点Oを中心とした同心円となる2つの電極が設けられる構成(二重電極構成)などとしてもよい。
この反射膜設置部512には、図3に示すように、固定反射膜54が設置されている。この固定反射膜54としては、例えばAg等の金属膜や、Ag合金等の合金膜を用いることができる。また、例えば高屈折層をTiO2、低屈折層をSiO2とした誘電体多層膜を用いてもよい。さらに、誘電体多層膜上に金属膜(又は合金膜)を積層した反射膜や、金属膜(又は合金膜)上に誘電体多層膜を積層した反射膜、単層の屈折層(TiO2やSiO2等)と金属膜(又は合金膜)とを積層した反射膜などを用いてもよい。
可動基板52は、図2に示すようなフィルター平面視において、平面中心点Oを中心とした円形状の可動部521と、可動部521と同軸であり可動部521を保持する保持部522と、保持部522の外側に設けられた基板外周部525と、を備えている。
また、可動基板52には、図2に示すように、頂点C2に対応して、切欠部524が形成されており、波長可変干渉フィルター5を可動基板52側から見た際に、固定電極パッド563Pが露出する。
なお、固定基板51と同様に、可動部521の固定基板51とは反対側の面には、反射防止膜が形成されていてもよい。このような反射防止膜は、低屈折率膜および高屈折率膜を交互に積層することで形成することができ、可動基板52の表面での可視光の反射率を低下させ、透過率を増大させることができる。
可動反射膜55は、可動部521の可動面521Aの中心部に、固定反射膜54と反射膜間ギャップG1を介して対向して設けられる。この可動反射膜55としては、上述した固定反射膜54と同一の構成の反射膜が用いられる。
なお、本実施形態では、上述したように、電極間ギャップG2のギャップ量が反射膜間ギャップG1のギャップ量よりも大きい例を示すがこれに限定されない。例えば、測定対象光として赤外線や遠赤外線を用いる場合等、測定対象光の波長域によっては、反射膜間ギャップG1のギャップ量が、電極間ギャップG2のギャップ量よりも大きくなる構成としてもよい。
なお、本実施形態では、ダイアフラム状の保持部522を例示するが、これに限定されず、例えば、平面中心点Oを中心として、等角度間隔で配置された梁状の保持部が設けられる構成などとしてもよい。
図1に戻り、分光測定装置1の制御回路部20について、説明する。
制御回路部20は、例えばCPUやメモリー等が組み合わされることで構成され、分光測定装置1の全体動作を制御する。この制御回路部20は、図1に示すように、モード切替部21、フィルター駆動部22、ピーク検出部23、及び分光測定部24を備えている。
ピーク検出モードは、測定対象光のピーク波長、又は当該ピーク波長の光を波長可変干渉フィルター5から透過させるために必要な反射膜間ギャップG1のギャップ量(ピーク対応ギャップ量)、又は当該ピーク対応ギャップを設定するための静電アクチュエーターへの駆動電圧(ピーク対応電圧)を検出するための動作モードである。
測定モードは、測定対象光の各波長における光強度から、分光スペクトルを測定する動作モードである。
ここで、モード切替部21は、分光測定装置1による測定対象Xの分光スペクトルの測定処理が開始されると、まず、動作モードをピーク検出モードに切り替え、このピーク検出モードが終了すると、動作モードを測定モードに切り替える。
この時、フィルター駆動部22は、動作モードがピーク検出モードである場合、所定の電圧間隔で静電アクチュエーター56に印加する電圧を段階的に変化させる。ここで、この電圧間隔としては、反射膜間ギャップG1のギャップ量を、一定のピーク検出ピッチで変化させる場合に対応した間隔となる。このピーク検出ピッチとしては、例えば0.5nm〜2.5nm程度(測定波長間隔が1nm〜5.0nm)とされ、後述する測定ピッチに対して十分に小さい間隔となる。
また、ピーク検出モードでは、測定対象光におけるピーク位置が分かればよく、静電アクチュエーター56への印可電圧(ステップ電圧)を段階的に変化させる際に、各段階において、可動部521の振動が静止するまで待つ必要がない。つまり、フィルター駆動部22は、静電アクチュエーター56に印加するステップ電圧を一定の速度間隔で順次変化させてギャップ量を連続的に変動させる。
具体的には、ピーク検出部23は、ディテクター11により検出された光強度の変化状態から、極大点の位置(ピーク波長の位置)を検出する。そして、ピーク検出部23は、当該極大点が検出された際に静電アクチュエーター56に印加された駆動電圧(ピーク対応電圧)を取得する。
なお、静電アクチュエーター56に印加する駆動電圧と、反射膜間ギャップG1のギャップ量とは、1対1の関係であり、それぞれ対応した値となる。したがって、ピーク検出部23がピーク対応駆動電圧を検出することは、ピーク検出部23がピーク波長に対応するピーク対応ギャップ量を取得することを意味する。
例えば、波長可変干渉フィルター5の固定反射膜54及び可動反射膜55間に保持された静電容量を検出する静電容量検出用電極を備え、ピーク検出部23は、この静電容量検出用電極から出力値から、ピーク対応ギャップ量を検出する。そして、ピーク検出部23は、例えばメモリー等に記憶されたV−λ関係データ(駆動電圧と、ギャップ量(透過波長)との関係データ)に基づいて、ピーク対応駆動電圧を取得してもよい。
次に、上述した分光測定装置1による分光測定方法について、図面に基づいて説明する。
図4は、本実施形態の分光測定方法のフローチャートである。図5は、測定により得られたスペクトル曲線を示す図である。
図4に示すように、本実施形態の分光測定方法では、測定が開始されると、モード切替部21は、まず動作モードをピーク検出モードに設定する(S1)。
このS2のピーク検出ステップでは、フィルター駆動部22は、電圧制御部15を制御して波長可変干渉フィルター5の静電アクチュエーター56に印加する電圧を段階的に変化させる。この時、フィルター駆動部22は、反射膜間ギャップG1のギャップ量が、所定のピーク検出ピッチ(例えば1nm)で段階的に変化するよう、静電アクチュエーター56に印加させる駆動電圧を設定する。なお、これらの静電アクチュエーター56に印加させる駆動電圧の値は、例えば分光測定装置1の製造時において予め測定されており、メモリー等の記憶部に記憶しておけばよい。
また、この時、フィルター駆動部22は、ギャップ量が安定した値となるまで待機することなく、順次電圧を変化させてギャップ量を変化させる。つまり、フィルター駆動部22は、可動部521を一定速度で連続的に変位させる(スイープさせる)。
そして、ピーク検出部23は、入力された検出信号に基づいて、ピーク検出ピッチ毎の光強度の変化から極大点を検出し、当該極大点が検出された際に静電アクチュエーター56に印加された駆動電圧(ピーク対応電圧)を取得する。なお、ピーク検出部23は、極大点のみに限らず、極小点をも検出してもよい。
これにより、制御回路部20は、測定ステップを実施する(S4)。このS4の測定ステップでは、フィルター駆動部22は、電圧制御部15を制御して、静電アクチュエーター56に設定ギャップ量に対応した駆動電圧を印加させ、反射膜間ギャップG1のギャップ量を設定ギャップ量に設定する(S5)。この設定ギャップ量は、S2により取得されたピーク対応電圧に対応したピーク対応ギャップ量、及び反射膜間ギャップG1の初期ギャップ量から所定の測定ピッチ(例えば5nm)毎のギャップ量となる定間隔ギャップ量を含む。なお、S2において、光強度の変化における極大点に加え、極小点を検出した場合、この極小点に対応したギャップ量を設定ギャップ量として加えてもよい。この極小点におけるギャップ量に対応した駆動電圧としては、S2において、極小点が取得された際の駆動電圧を設定することができる。
そして、フィルター駆動部22は、これらの設定ギャップ量に対応した駆動電圧(ステップ電圧)を、電圧値が小さい順(設定ギャップ量が大きい順)に静電アクチュエーター56に印加する。
そして、分光測定部24は、前記安定化時間の経過後にディテクター11により検出される光強度を測定する(S6)。また、分光測定部24は、測定された光強度と、当該光強度に対応する駆動電圧(又は駆動電圧に対応した設定ギャップ量、又はその設定ギャップ量に対応して波長可変干渉フィルター5から射出された光の波長)とを関連付けて、メモリー等の記憶部に記憶する。
S7において「No」と判断された場合、S5の処理に戻り、フィルター駆動部22は、次の設定ギャップ量に対応する駆動電圧を静電アクチュエーター56に印加する。
一方、S7において「Yes」と判断された場合、分光測定部24は、各設定ギャップ量に対して得られた光強度に基づいて、測定対象光の分光スペクトルを測定する。なお、フィルター駆動部22は、図5に示すようなスペクトル曲線を生成してもよい。
本実施形態では、分光測定処理において、まずモード切替部21によりピーク検出モードに切り替えられ、ピーク検出ステップが実施される。このピーク検出ステップでは、フィルター駆動部22は、波長可変干渉フィルター5の可動部521をスイープさせて、反射膜間ギャップG1のギャップ量を変化させる。そして、ピーク検出部23は、ディテクター11から出力された検出信号に基づいて、測定対象光の光強度の変化状態から極大点を検出し、その極大点に対応したピーク対応電圧(ピーク対応ギャップ量)を検出する。
そして、ピーク検出ステップが終了すると、モード切替部21により測定モードに切り替えられ、制御回路部20は、測定ステップを実施する。この測定ステップでは、フィルター駆動部22は、静電アクチュエーター56に印加する電圧を、所定の測定ピッチ毎の定間隔ギャップ量に対応した駆動電圧、及びピーク検出ステップで検出されたピーク対応電圧に段階的に切り替えて、分光測定部24は、各駆動電圧印可時における光強度を測定する。
このため、測定ステップにおいて、所定波長間隔毎の光強度に加え、測定対象光のピーク波長に対する光強度を測定することができ、実際の測定対象光の分光スペクトルと近似する測定結果を得ることができる。
特に、特定の波長で鋭いピーク波長を有する発光体では、当該ピーク波長が、測定波長と測定波長の間に存在する場合がある。このような場合、等間隔毎の測定波長における光強度の測定では、ピーク波長に対する正確な光強度を測定することができない。これに対して、上記のような分光測定装置1では、上述のように、このような特定波長に強いピークを有する測定対象光であっても、精度の高い測定を実施することができる。
また、測定ステップでは、例えば1nm間隔等の微小間隔でギャップ量を変化させる場合に比べて、光強度の測定回数が少なくなるため、その分、測定に係る時間を短縮することができる。
以上により、本実施形態では、高精度な分光スペクトルを迅速に測定することができる。
このように、ギャップ量を連続的に変化させることで、例えばピーク検出ピッチ毎に可動部521を静止させて光強度を検出する場合に比べて、ピーク検出ステップに係る時間を短縮できるので、分光測定処理全体の時間の短縮にも貢献できる。
また、ピーク検出部23は、測定ピッチよりも短い間隔であるピーク検出ピッチ毎に、極大点の有無を検出することができ、測定ピッチに対応した波長間に位置するピーク波長をも精度よく検出することができる。さらに、ピーク検出部23は、極大点を検出した際に、当該極大点が検出された際の静電アクチュエーター56に印加されたステップ電圧がピーク対応電圧となるため、容易にピーク対応電圧を検出でき、ピーク検出ステップにおける処理の高速化を図ることができる。
次に本発明の第二実施形態について、図面に基づいて説明する。
上記第一実施形態では、ピーク検出ステップにおいて、反射膜間ギャップG1のギャップ量がピーク検出ピッチで変動するように、静電アクチュエーター56に駆動電圧(ステップ電圧)を印加した。これに対して、第二実施形態では、ピーク検出ステップにおいて、反射膜間ギャップG1のギャップ量を連続的に変化させるアナログ電圧を印加する点で、上記第一実施形態と相違する。
図6に示すように、本実施形態の分光測定装置1Aでは、波長可変干渉フィルター5と、ディテクター11と、I−V変換器12と、アンプ13と、A/D変換器14と、電圧制御部15と、微分回路16と、スイッチ回路17と、制御回路部20とを備える。
微分回路16は、I−V変換器12から入力された検出信号を微分する。すなわち、微分回路16から出力される処理信号は、検出信号の変化量を示す信号をなる。
スイッチ回路17は、モード切替部21により設定される動作モードに応じて、A/D変換器14に渡す信号を切り替える。具体的には、スイッチ回路17は、モード切替部21により動作モードがピーク検出モードに切り替えられた場合、微分回路16から入力された処理信号をA/D変換器14に出力する。一方、スイッチ回路17は、モード切替部21により動作モードが測定モードに切り替えられた場合、アンプ13により増幅された検出信号をA/D変換器14に出力する。
また、電圧制御部15は、静電アクチュエーター56に印加する電圧をモニターする電圧計(図示略)を備える。
なお、フィルター駆動部22Aは、モード切替部21により測定モードに設定された場合は、上記第一実施形態のフィルター駆動部22と同様の処理を実施する。
そして、ピーク検出部23Aは、極大点及び極小点が検出された際の電圧制御部15の電圧計の値を、ピーク対応電圧として取得する。
具体的には、本実施形態の分光測定装置1Aでは、S1において、モード切替部21により動作モードがピーク検出モードに切り替えられると、スイッチ回路17は、微分回路16から入力された処理信号を、A/D変換器14を介して制御回路部20に出力させるよう、スイッチングする。
したがって、ディテクター11から出力される検出信号も連続的に変化する検出信号となり、微分回路16に入力されることで、極大点及び極小点が「0」となる処理信号を生成することができる。
そして、ピーク検出部23Aは、この処理信号に基づいて、極大点及び極小点を検出し、当該極大点及び極小点が検出された際の静電アクチュエーター56への印加電圧を計測することで、ピーク対応電圧を取得する。
この後、制御回路部20は、上記第一実施形態と同様に、S4(S5〜S8)の測定ステップを実施する。
本実施形態の分光測定装置1Aでは、ピーク検出ステップにおいて、フィルター駆動部22Aは、静電アクチュエーター56に連続的に変化するアナログ電圧を印加し、ピーク検出部23Aは、微分回路16により微分処理された処理信号に基づいて、極大点及び極小点に対応したピーク対応電圧を取得する。このような構成では、ピーク検出ピッチで反射膜間ギャップG1のギャップ量を変化させる場合に比べて、より正確にピーク波長の位置を検出することができる。
つまり、上記第一実施形態で検出されるピーク対応電圧は、ピーク検出ピッチに対応した電圧間隔の値となるため、ピーク検出ピッチのピッチ幅によっては、検出されたピーク波長と測定対象光の実際のピーク波長が僅かにずれる場合がある。これに対して、本実施形態では、連続的に変化するアナログ電圧のうち、検出信号の極大点又は極小点が検出された時点での電圧値を計測して、ピーク対応電圧とする。このため、ピーク波長の光を波長可変干渉フィルター5により取り出すためのピーク対応電圧(又はピーク対応ギャップ量)をより正確に検出することができる。したがって、測定ステップにより測定される分光スペクトルとしても、より誤差が少ない精度の高い分光スペクトルを測定することができる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、固定電極561の代わりに、第一誘電コイルを配置し、可動電極562の代わりに第二誘電コイルまたは永久磁石を配置した誘電アクチュエーターを用いる構成としてもよい。
さらに、静電アクチュエーター56の代わりに圧電アクチュエーターを用いる構成としてもよい。この場合、例えば保持部522に下部電極層、圧電膜、および上部電極層を積層配置させ、下部電極層および上部電極層の間に印加する電圧を入力値として可変させることで、圧電膜を伸縮させて保持部522を撓ませることができる。
また、例えば、固定基板51及び可動基板52の間の空間を密閉空間とし、内部の空気圧を変化させることで反射膜間ギャップG1のギャップ量を変化させる波長可変干渉フィルターを用いてもよい。この場合、密閉空間の空気を例えばポンプ等を用いて加圧または減圧するが、フィルター駆動部22及び電圧制御部15により、ポンプを駆動させる際の電圧を変化させることで、上記実施形態と同様の動作を実施させることができる。
Claims (6)
- 第一反射膜、前記第一反射膜に所定のギャップ量のギャップを介して対向する第二反射膜、及び前記ギャップ量を変化させるギャップ量変更部を備えた波長可変干渉フィルターと、
前記波長可変干渉フィルターにより取り出された光の光強度を検出する検出部と、
前記波長可変干渉フィルターを制御し、測定対象光の分光スペクトルを測定する制御部と、を備えた分光測定装置であって、
前記制御部は、
前記波長可変干渉フィルターにより、前記測定対象光のピーク波長の光を取り出すためのギャップ量であるピーク対応ギャップ量を検出するピーク検出部と、
前記ギャップ量変更部を制御して、前記ギャップのギャップ量を変化させるフィルター駆動部と、
前記フィルター駆動部により設定されたギャップ量に対する光強度を取得し、分光スペクトルを測定する分光測定部と、を備え、
前記フィルター駆動部は、前記ギャップのギャップ量を、所定の測定ピッチ毎の定間隔ギャップ量、及び前記ピーク対応ギャップ量に段階的に変化させ、
前記分光測定部は、前記各定間隔ギャップ量、及び前記ピーク対応ギャップ量に対する光強度を取得する
ことを特徴とする分光測定装置。 - 請求項1に記載の分光測定装置において、
当該分光測定装置の動作モードを、前記ピーク対応ギャップ量を検出するピーク検出モード、及び、前記測定対象光の分光スペクトルを測定する測定モードのいずれかに切り替えるモード切替部を備え、
前記モード切替部により、前記ピーク検出モードに切り替えられた際、
前記フィルター駆動部は、前記ギャップのギャップ量を連続的に変化させ、
前記ピーク検出部は、前記検出部により検出される光強度の変化状態に基づいて、光強度の極大点を検出し、当該極大点が検出された際に前記フィルター駆動部により設定されたギャップ量を前記ピーク対象ギャップ量として検出する
ことを特徴とする分光測定装置。 - 請求項2に記載の分光測定装置において、
前記ギャップ量変更部は、印加される電圧の大きさに応じて前記ギャップのギャップ量を変化させ、
前記モード切替部により、前記ピーク検出モードに切り替えられた際、
前記フィルター駆動部は、前記ギャップ変更部に印加する電圧を、前記測定ピッチよりも小さいピーク検出ピッチに対応した電圧間隔で段階的に変化させる
ことを特徴とする分光測定装置。 - 請求項2に記載の分光測定装置において、
前記ギャップ量変更部は、印加される電圧の大きさに応じて前記ギャップのギャップ量を変化させ、
前記モード切替部により前記ピーク検出モードに切り替えられた際、
前記フィルター駆動部は、前記ギャップ量変更部に対して連続的に変化するアナログ電圧を印加する
ことを特徴とする分光測定装置。 - 請求項4に記載の分光測定装置において、
前記検出部は、検出した光の光強度に応じた検出信号を出力し、
当該分光測定装置は、前記検出信号を微分処理する微分回路を備え、
前記ピーク検出部は、前記微分回路により微分処理された前記検出信号に基づいて、前記ピーク対応ギャップ量を検出する
ことを特徴とする分光測定装置。 - 第一反射膜、前記第一反射膜に所定ギャップ量のギャップを介して対向する第二反射膜、及び電圧が印加されることで前記ギャップ量を変化させるギャップ量変更部を備えた波長可変干渉フィルターと、前記波長可変干渉フィルターにより取り出された光の光強度を検出する検出部と、前記波長可変干渉フィルターを制御し、測定対象光の分光スペクトルを測定する制御部と、を備えた分光測定装置における分光測定方法であって、
前記制御部は、
前記波長可変干渉フィルターにより、前記測定対象光のピーク波長の光を取り出すためのギャップ量であるピーク対応ギャップ量を検出するピーク検出ステップと、
前記ピーク検出ステップの後、前記測定対象光の分光スペクトルを測定する測定ステップと、を実施し、
前記測定ステップは、
前記ギャップのギャップ量を、所定の測定ピッチ毎の定間隔ギャップ量、及び前記ピーク波長に対応したピーク対応ギャップ量に段階的に変化させ、前記各定間隔ギャップ量及び前記ピーク対応ギャップ量に対する光強度を取得し、分光スペクトルを測定する
ことを特徴とする分光測定方法。
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