JP5722288B2 - 画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents
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Description
〔式中、Qは、n価の連結基を表し、R 1 は、水素原子又はメチル基を表す。nは、2以上の整数を表す。〕
<2>前記硬化型インク組成物は、前記一般式(1)で表される多価(メタ)アクリルアミド化合物をインク組成物総量に対して15質量%以下含む前記<1>に記載の画像形成装置。
<3>前記硬化型インク組成物は、前記一般式(1)で表される多価(メタ)アクリルアミド化合物をインク組成物総量に対して5質量%以上含む<1>又は<2>に記載の画像形成装置。
<4>前記一般式(1)におけるnが3、4、又は5である<1>〜<3>のいずれか1に記載の画像形成装置。
<5>前記一般式(1)におけるnが3又は4である<4>に記載の画像形成装置。
<6>前記吸着プレートが温度調整機構を備える<1>〜<5>のいずれか1に記載の画像形成装置。
<7>顔料、インク組成物総量に対して3質量%以上18質量%以下の上記一般式(1)で表される多価(メタ)アクリルアミド化合物、単官能の(メタ)アクリルアミド、及び水を含む硬化型インク組成物を、吐出ヘッドから記録媒体の表面に吐出する工程と、チェーングリッパにより、前記吐出ヘッドから前記硬化型インク組成物が吐出された記録媒体の先端を把持し、前記記録媒体を搬送する工程と、前記記録媒体の搬送中に、前記記録媒体の裏面を吸着プレートに吸着する工程と、前記記録媒体の搬送中に、照射装置により前記硬化型インク組成物が吐出された記録媒体に光を照射する工程と、を有する画像形成方法。
図1に示すように、インクジェット記録装置10は、枚葉の用紙(記録媒体)Pに水性UVインク(水性媒体を使用したUV(紫外線)硬化型のインク)を用いてインクジェット方式で画像を記録する記録装置である。このインクジェット記録装置10は、主として、用紙Pを給紙する給紙部12と、給紙部12から給紙された用紙Pの表面(画像記録面)に所定の処理液を付与する処理液付与部14と、処理液付与部14で処理液が付与された用紙Pの乾燥処理を行う処理液乾燥処理部16と、処理液乾燥処理部16で乾燥処理が施された用紙Pの表面に水性UVインクを用いてインクジェット方式で画像を記録する画像記録部18と、画像記録部18で画像が記録された用紙Pの乾燥処理を行うインク乾燥処理部20と、用紙PにUV照射処理(定着処理)を行って画像を定着させるUV照射処理部22と、UV照射処理部22でUV照射処理された用紙Pを排紙する排紙部24と、を備えている。
給紙部12は、給紙台30に積載された用紙Pを1枚ずつ処理液付与部14に給紙する。給紙手段の一例としての給紙部12は、主として、給紙台30と、サッカー装置32と、給紙ローラ対34と、フィーダボード36と、前当て38と、給紙ドラム40とで構成される。
リテーナ36Bは、用紙Pの搬送面に沿って前後に縦列して複数配置される(本例では2つ)。このリテーナ36Bは、用紙幅に対応した幅を有する板バネで構成され、搬送面に押圧当接されて設置される。テープフィーダ36Aによってフィーダボード36の上を搬送される用紙Pは、このリテーナ36Bを通過することにより、凹凸が矯正される。
処理液付与部14は、用紙Pの表面(画像記録面)に所定の処理液を付与する。この処理液付与部14は、主として、用紙Pを搬送する処理液付与ドラム42と、処理液付与ドラム42によって搬送される用紙Pの印刷面に所定の処理液を付与する処理液付与ユニット44とで構成される。用紙Pの表面に付与する処理液は、後段の画像記録部18で用紙Pに打滴する水性UVインク中の色材(顔料)を凝集させる機能を有する凝集剤である。このような処理液を用紙Pの表面に付与して水性UVインクを打滴することにより、汎用の印刷用紙を用いた場合であっても、着弾干渉等を起こすことなく、高品位な印刷を行うことができる。
処理液乾燥処理部16は、表面に処理液が付与された用紙Pを乾燥処理する。この処理液乾燥処理部16は、主として、用紙Pを搬送する処理液乾燥処理ドラム46と、用紙搬送ガイド48と、処理液乾燥処理ドラム46によって搬送される用紙Pの印刷面に乾燥風(乾燥風)を吹き当てて乾燥させる処理液乾燥処理ユニット50とで構成される。
画像記録部18は、用紙Pの印刷面にM、K、Y、Cの各色の水性紫外線硬化型色インク(水性UVインク)の液滴を打滴して、用紙Pの印刷面にカラー画像を描画する。この画像記録部18は、主として、用紙Pを搬送する画像記録ドラム52と、画像記録ドラム52によって搬送される用紙Pを押圧して、用紙Pを画像記録ドラム52の周面に密着させる用紙押さえローラ54と、用紙PにM、K、Y、Cの各色のインク滴を吐出する吐出ヘッドの一例としてのインクジェットヘッド56M、56K、56C、56Yと、用紙Pに記録された画像を読み取るインラインセンサ58と、インクミストを捕捉するミストフィルタ60と、ドラム冷却ユニット62とで構成される。なお、上記のように、各インクジェットヘッド56M、56K、56C、56Yから吐出させるインクは、水性UVインクが用いられる。水性UVインクは、打滴後に紫外線(UV)を照射することにより、硬化させることができる。なお、水性UVインクの組成物については、後述する。
各インクジェットヘッド56M、56K、56C、56Yは、用紙幅に対応したラインヘッドで構成され、ノズル面が画像記録ドラム52の周面に対向するように配置される。これら各インクジェットヘッド56M、56K、56C、56Yは、ノズル面に形成されたノズル列から、画像記録ドラム52に向けて水性UVインクの液滴を吐出することにより、画像記録ドラム52によって搬送される用紙Pに画像を記録する。
インク乾燥処理部20は、画像記録後の用紙Pを乾燥処理し、用紙Pの記録面に残存する液体成分を除去する。インク乾燥処理部20は、主として、画像が記録された用紙Pを搬送するチェーングリッパ64と、チェーングリッパ64によって搬送される用紙Pにバックテンションを付与するバックテンション付与手段の一例としてのバックテンション付与機構66と、チェーングリッパ64によって搬送される用紙Pを乾燥処理する乾燥ユニットの一例としてのインク乾燥処理ユニット68とで構成される。
また、インク乾燥処理ユニット68は、第1水平搬送経路70Aに沿って複数台配置される。この設置数は、インク乾燥処理ユニット68の処理能力や用紙Pの搬送速度(=印刷速度)等に応じて設定される。すなわち、画像記録部18から受け取った用紙Pが第1水平搬送経路70Aを搬送されている間に乾燥させることができるように設定される。したがって、第1水平搬送経路70Aの長さも、このインク乾燥処理ユニット68の能力を考慮して設定される。
温度調整機構77は、ガイドプレート72の温度を測定するサーミスタを備え、サーミスタの測定温度が基準値よりも高いと判断した場合には冷却水を流し、サーミスタの測定温度が基準値よりも低いと判断した場合には冷却水を流さないようにする。これにより、ガイドプレート72の温度、ひいては用紙Pの温度を調整して、用紙変形や乾燥性の低下を精度よく防ぐことができる。また、温度調整機構77を用いることで、紙厚に応じた用紙温度設定も可能となり、紙厚に対するロバスト性を拡大できる。
UV照射処理部22は、水性UVインクを用いて記録された画像に紫外線(UV)を照射して、画像を定着させる。このUV照射処理部22は、主として、用紙Pを搬送するチェーングリッパ64と、チェーングリッパ64によって搬送される用紙Pにバックテンションを付与するバックテンション付与機構66と、チェーングリッパ64によって搬送される用紙Pに紫外線を照射する定着ユニットの一例としてのUV照射ユニット74とで構成される。
排紙部24は、一連の画像記録処理が行われた用紙Pを回収する。この排紙部24は、主として、UV照射された用紙Pを搬送するチェーングリッパ64と、用紙Pを積み重ねて回収する排紙台76とで構成される。
次に、本実施形態において用いられる水性UVインク(硬化型インク組成物)について説明する。水性UVインクは、紫外線照射により硬化する硬化型インク組成物である。
硬化型インク組成物は、顔料の少なくとも1種を含有する。顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機顔料、無機顔料のいずれであってもよい。顔料は、水に殆ど不溶であるか又は難溶である顔料であることが、インク着色性の点で好ましい。
顔料の硬化型インク組成物中における含有量としては、画像濃度の観点から、硬化型インク組成物に対して、1〜25質量%が好ましく、2〜15質量%がより好ましい。
なお、顔料に代えて染料を用いてもよい。染料を用いる場合には、染料を水不溶性の担体に保持したものを用いることができる。染料を保持した担体(水不溶性着色粒子)は、分散剤を用いて水系分散物として用いることができる。分散剤は、後述の分散剤を好適に用いることができる。
硬化型インク組成物は、分散剤の少なくとも1種を含有することができる。顔料の分散剤としては、ポリマー分散剤、又は低分子の界面活性剤型分散剤のいずれでもよい。また、ポリマー分散剤は、水溶性の分散剤、又は非水溶性の分散剤のいずれでもよい。
更に、合成系の親水性高分子化合物としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル等のビニル系高分子、非架橋ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸又はそのアルカリ金属塩、水溶性スチレンアクリル樹脂等のアクリル系樹脂、水溶性スチレンマレイン酸樹脂、水溶性ビニルナフタレンアクリル樹脂、水溶性ビニルナフタレンマレイン酸樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のアルカリ金属塩、四級アンモニウムやアミノ基等のカチオン性官能基の塩を側鎖に有する高分子化合物、セラック等の天然高分子化合物等が挙げられる。
本実施形態の硬化型インク組成物は、多官能の重合性化合物の少なくとも一種を含有する。本実施形態における硬化型インク組成物は、水を含むものであるため、重合性化合物は水溶性を有していることが好ましい。
特に、チェーングリッパ64によって搬送される用紙Pの裏面が吸引穴に吸引される場合、用紙P上の画像が搬送面と完全に擦れてしまうため、多官能の重合性化合物を3質量%未満含むだけだと、画像損傷及び搬送面汚れが顕著となる。また、多官能の重合性化合物を3質量%未満含んでいるだけだと、両面印刷時の処理液付与ドラム42、塗布ローラ44A、画像記録ドラム52、用紙押さえローラ54の汚れも抑制することができない。
さらに、チェーングリッパ64によって搬送される用紙Pの裏面が吸引穴に吸引される場合、多官能の重合性化合物をインク組成物総量に対して10質量%以上含むことが好ましい。両面印刷時の画像損傷をより一層抑制できるからである。
さらにまた、チェーングリッパ64によって搬送される用紙Pの裏面が吸引穴に吸引される場合、多官能の重合性化合物をインク組成物総量に対して15質量%以上含むことが好ましい。両面印刷時の画像損傷を無くすことができるからである。
上記R1は、水素原子又はメチル基を表し、好ましくは水素原子である。
上記基Qの価数nは、すなわち、多価(メタ)アクリルアミド化合物の官能数は、3官能、4官能又は5官能であることが好ましい。両面印刷時の画像損傷をより抑制できるからである。また、特に3官能又は4官能であることが好ましい。両面印刷時の画像損傷をより一層抑制できるからである。
複素環基は、さらに置換基を有してもよく、置換基の例としては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基等が挙げられる。
また、x、y、及びzは、各々独立に0〜6の整数を表し、0〜5の整数であることが好ましく、0〜3の整数であることがより好ましい。x+y+zは、0〜18を満たし、0〜15を満たすことが好ましく、0〜9を満たすことがより好ましい。
第二工程は、ポリシアノ化合物を触媒存在下で水素と反応させ、還元反応によりポリアミン化合物を得る工程である。この工程での反応は、20〜60℃で5〜16時間行なわれることが好ましい。
第三工程は、ポリアミン化合物とアクリル酸クロリド又はメタクリル酸クロリドとのアシル化反応により多官能アクリルアミド化合物を得る工程である。この工程での反応は、3〜25℃で1〜5時間行なわれることが好ましい。なお、アシル化剤は、酸クロリドに換えてジアクリル酸無水物又はジメタクリル酸無水物を用いてもよい。なお、アシル化工程で、アクリル酸クロリドとメタクリル酸クロリドの両方を用いることで、最終生成物として同一分子内にアクリルアミド基とメタクリルアミド基とを有する化合物を得ることができる。
第二工程は、窒素保護アミノアルコール化合物のOH基に、メタンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基等の脱離基を導入し、スルホニル化合物を得る工程である。この工程の反応では、3〜25℃で2〜5時間行なわれることが好ましい。
第三工程は、スルホニル化合物とトリスヒドロキシメチルニトロメタンとのSN2反応により、アミノアルコール付加化合物を得る工程である。この工程の反応では、3〜70℃で5〜10時間行なわれることが好ましい。
第四工程は、アミノアルコール付加化合物を触媒存在下で水素と反応させ、水素添加反応によりポリアミン化合物を得る工程である。この工程の反応では、20〜60℃で5〜16時間行なわれることが好ましい。
第五工程は、ポリアミン化合物とアクリル酸クロリド又はメタクリル酸クロリドとのアシル化反応により多官能アクリルアミド化合物を得る工程である。この工程の反応では、3〜25℃で1〜5時間行なわれることが好ましい。なお、アシル化剤は、酸クロリドに換えてジアクリル酸無水物又はジメタクリル酸無水物を用いてもよい。なお、アシル化工程で、アクリル酸クロリドとメタクリル酸クロリドの両方を用いることで、最終生成物として同一分子内にアクリルアミド基とメタクリルアミド基とを有する化合物を得ることができる。
上記カチオン性の重合性化合物としては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレート、N,N−ジメチルアミノアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノメタアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルメタアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルメタアクリルアミド、及びこれらの4級化化合物などが挙げられる。また、前記エポキシモノマー類としては、例えば、多価アルコールのグリシジルエーテル、グリシジルエステル、脂肪族環状のエポキシドなどが挙げられる。
以下、カチオン基を有する重合性化合物の具体例(カチオン性化合物1〜11)を例示する。
単官能の重合性化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸又はそのエステル、(メタ)アクリルアミド等のモノマーが挙げられる。(メタ)アクリルアミドとしては、例えばヒドロキシエチルアクリルアミドが挙げられる。
本実施形態における硬化型インク組成物は、前述した処理液に含有すると共にあるいは含有せずに、活性エネルギー線により重合性化合物の重合を開始する重合開始剤の少なくとも1種を含有することができる。重合開始剤は、1種単独で又は2種以上を混合して、あるいは増感剤と併用して使用することができる。
本実施形態における硬化型インク組成物は、水を含有するものであるが、水の量には特に制限はない。中でも、水の好ましい含有量は、10〜99質量%である。
本実施形態における硬化型インク組成物は、水溶性有機溶剤を含有してもよい。
グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のグリコール類や、2−ブテン−1,4−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、4−メチル−1,2−ペンタンジオール等のアルカンジオールなどの多価アルコール類のほか、特開2011−42150号公報の段落番号[0116]に記載の、糖類や糖アルコール類、ヒアルロン酸類、炭素数1〜4のアルキルアルコール類、グリコールエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、特開2011−42150号公報の段落番号[0121]〜[0125]に記載されているグリセリンのアルキレンオキシド付加物などが挙げられる。これら溶剤は、1種又は2種以上を適宜選択して用いることができる。多価アルコール類は、乾燥防止剤や湿潤剤としても有用であり、例えば、特開2011−42150号公報の段落番号[0117]に記載の例も挙げられる。また、ポリオール化合物は、浸透剤として好ましく、脂肪族ジオールとしては、例えば、特開2011−42150号公報の段落番号[0117]に記載の例が挙げられる。
本実施形態における硬化型インク組成物は、ポリマー粒子の少なくとも1種を含有することができる。ポリマー粒子は、前述の処理液又はこれを乾燥させた領域と接触した際に、硬化型インク組成物中において分散不安定化して凝集し、増粘することにより硬化型インク組成物を固定化する機能を有し、硬化型インク組成物の記録媒体への密着性及び画像の耐傷性をより向上させることができる。
上記水性媒体は、水を含んで構成され、必要に応じて親水性有機溶媒を含んでいてもよい。本実施形態においては、水と水に対して0.2質量%以下の親水性有機溶媒とで構成されたものが好ましく、水から構成されたものがより好ましい。
本実施形態における自己分散性ポリマーの粒子は、自己分散性の観点から、親水性の構成単位と芳香族基含有モノマー由来の構成単位とを含む水不溶性ポリマーを含むことが好ましい。
また、水不溶性ポリマーは、ポリマーの親疎水性制御の観点から、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位を共重合比率として15〜80質量%と、カルボキシル基含有モノマーに由来する構成単位と、アルキル基含有モノマーに由来する構成単位(好ましくは(メタ)アクリル酸のアルキルエステルに由来する構造単位)とを含むことが好ましく、フェノキシエチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位及び/又はベンジル(メタ)アクリレートに由来する構造単位を共重合比率として15〜80質量%と、カルボキシル基含有モノマーに由来する構成単位と、アルキル基含有モノマーに由来する構成単位(好ましくは(メタ)アクリル酸の炭素数1〜4のアルキルエステルに由来する構造単位)とを含むことがより好ましく、更には加えて、酸価が25〜95であって重量平均分子量が5000〜15万であることがより好ましい。
本実施形態における硬化型インク組成物は、上記成分以外にその他の添加剤を用いて構成することができる。その他の添加剤としては、例えば、重合禁止剤、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであり、例えば上述の複数の実施形態は、適宜、組み合わせて実施可能である。また、以下の変形例同士を、適宜、組み合わせてもよい。
水性UVインクの硬化型インク組成物を以下のように作製した。
反応容器に、スチレン6部、ステアリルメタクリレート11部、スチレンマクロマーAS−6(東亜合成(株)製)4部、ブレンマーPP−500(日油(株)製)5部、メタクリル酸5部、2−メルカプトエタノール0.05部、及びメチルエチルケトン24部を加え、混合溶液を調液した。一方、滴下ロートに、スチレン14部、ステアリルメタクリレート24部、スチレンマクロマーAS−6(東亜合成(株)製)9部、ブレンマーPP−500(日油(株)製)9部、メタクリル酸10部、2−メルカプトエタノール0.13部、メチルエチルケトン56部、及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.2部を加え、混合溶液を調液した。
その後、窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を攪拌しながら75℃まで昇温し、滴下ロート中の混合溶液を1時間かけて徐々に滴下した。滴下終了から2時間経過後これに、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.2部をメチルエチルケトン12部に溶解した溶液を3時間かけて滴下し、更に75℃で2時間、80℃で2時間熟成させ、ポリマー分散剤1溶液を得た。
得られたポリマー分散剤1溶液を固形分換算で5.0g、カーボンブラック(三菱化学(株)製のMB100)10.0g、メチルエチルケトン40.0g、1mol/L(リットル;以下同様)の水酸化ナトリウム8.0g 及びイオン交換水82.0gを、0.1mmジルコニアビーズ300gと共にベッセルに供給し、レディーミル分散機(アイメックス社製)を用いて1000rpmで6時間分散した。得られた分散液をエバポレーターでメチルエチルケトンが充分に留去できるまで減圧濃縮し、さらに顔料濃度が10質量%になるまで濃縮して、水分散性顔料が分散した顔料分散液Kを調製した。
得られた顔料分散液Mの体積平均粒子径(二次粒子)を、Micorotrac粒度分布測定装置(商品名:Version 10.1.2−211BH、日機装(株)製)を用いて動的光散乱法により測定したところ、80nmであった。
−第一工程−
スターラーバーを備えた1L容の三口フラスコに、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(東京化成工業社製)121g(1当量)、50質量%の水酸化カリウム水溶液84ml、トルエン423mlを加えて攪拌し、水浴下、反応系中を20〜25℃で維持し、アクリロニトリル397.5g(7.5当量)を2時間かけて滴下した。滴下後、1.5時間攪拌した。その後、トルエン540mlを反応系中に追加し、その反応混合物を分液漏斗へ移し水層を除いた。残った有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、セライトろ過を行ない、減圧下で溶媒留去することによりアクリロニトリル付加体を得た。得られた物質の1H−NMR、MSによる分析結果は既知物と良い一致を示したため、さらに精製することなく次の還元反応に用いた。
容積1Lのオートクレーブに、得られたアクリロニトリル付加体24g、Ni触媒48g(ラネーニッケル2400、W.R.Grace&Co.社製)、及び25質量%アンモニア水溶液(水:メタノール=1:1)600mlを入れ、懸濁させて反応容器を密閉した。反応容器に10Mpaの水素を導入し、反応温度を25℃で16時間反応させた。
原料の消失を1H−NMRにて確認し、反応混合物をセライト濾過し、セライトをメタノールで数回洗浄した。濾液を減圧下溶媒留去することにより、ポリアミン体を得た。得られた物質は、さらに精製することなく次の反応に用いた。
攪拌機を備えた容積2Lの三口フラスコに、得られたポリアミン体30g、NaHCO3120g(14当量)、ジクロロメタン1L、及び水50mlを加えて氷浴下、アクリル酸クロリド92.8g(10当量)を3時間かけて滴下した。その後、室温で3時間攪拌した。原料の消失を1H−NMRにて確認した後、反応混合物を減圧下で溶媒留去した。続いて、硫酸マグネシウムで反応混合物を乾燥させ、セライトろ過を行ない、減圧下で溶媒留去した。最後に、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/メタノール=4:1)にて精製することで、常温下、上記化学式5に記載の構造の多価(メタ)アクリルアミドB−1の固体を得た。上記3工程を経て得られた多価(メタ)アクリルアミドB−1の収率は、40質量%であった。
上述した多価(メタ)アクリルアミドB−1の合成手順に準じて、上記化学式6に記載の構造の多価(メタ)アクリルアミドB−2〜B−5を合成した。
攪拌機、温度計、還流冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた2リットル三口フラスコに、メチルエチルケトン360.0gを仕込んで、75℃まで昇温した。その後、フラスコ内温度を75℃に保ちながら、フェノキシエチルアクリレート180.0g、メチルメタクリレート162.0g、アクリル酸18.0g、メチルエチルケトン72g、及び「V−601」(和光純薬工業(株)製)1.44gからなる混合溶液を、2時間で滴下が完了するように等速で滴下した。滴下完了後、これに「V−601」0.72g及びメチルエチルケトン36.0gからなる溶液を加え、75℃で2時間攪拌後、さらに「V−601」0.72g及びイソプロパノール36.0gからなる溶液を加え、75℃で2時間攪拌した。その後、85℃に昇温して、さらに2時間攪拌を続け、フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリル酸(=50/45/5[質量比])共重合体の樹脂溶液を得た。
得られた共重合体の、上記ポリマー分散剤1と同様に測定した重量平均分子量(Mw)は64,000(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算で算出)であり、酸価は38.9mgKOH/gであった。
下記表1に示す成分を混合した後、メンブレンフィルタ(孔径5μm)を通して粗大粒子を除去し、実施例1〜25及び比較例1〜11に係る硬化型インク組成物を調製した。なお、表中の数値の単位は質量%である。また、実施例1〜25に係る硬化型インク組成物は多官能の重合性化合物を3質量%以上18質量%以下含むものであり、比較例1〜11に係る硬化型インク組成物は多官能の重合性化合物を3質量%未満又は18質量%超含むものである。
・単官能重合性モノマーA−1:ヒドロキシエチルアクリルアミド(興人社製)
・重合開始剤:IRGACURE 2959(BASFジャパン社製;1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン)
・界面活性剤:オルフィンE1010(日信化学工業社製)
下記の組成に示す成分を混合して、処理液1を調製した。処理液1のpH(25℃)は1.02とした。なお、pHは、東亜DKK(株)製のpHメーターWM−50EGにて25℃に温調しながら測定した。
<組成>
・マロン酸(和光純薬工業(株)製) ・・・25質量%
・ジエチレングリコールモノメチルエーテル(和光純薬工業(株)製)・・・20質量%
・エマルゲンP109(花王(株)製、ノニオン性界面活性剤) ・・・1質量%
・イオン交換水 ・・・合計で100質量%となる残量
図1に示すインクジェット記録装置にて、チェーングリッパによって搬送される用紙Pにバックテンションを付与する場合としない場合とで両面印刷を実施して、搬送面の汚れ度合いや、塗布ローラ/用紙押さえローラの汚れ度合い、裏面傷(画像損傷)の発生レベル、硬化収縮カール量を評価した。なお、以下、「チェーングリッパによって搬送される用紙Pにバックテンションを付与する場合」という表現を、「用紙Pを裏面吸着する場合」という表現に省略する。
用紙:菊半サイズのアイベストW(日本大昭和板紙(株)坪量310g/m2)
線速:535mm/s
画像:ベタ画像、インクの面内平均付与量4.0pL
硬化条件:アイグラフィックス製メタルハライドランプ 140W/cm
(照度3.0W/cm2、積算露光量0.75J/cm2)
印刷前にチェーンデリバリ搬送面(ガイドプレート)を清掃し、上記条件にて、100枚両面印刷した後の搬送面を、水を適量染み込ませたキムワイプにて水拭きした。拭き取り方向は、用紙搬送方向に沿って拭き取るようにし、同じキムワイプで、複数回に分けて搬送面全幅を拭き取った。そして、その際のキムワイプへのインクの転写度合いで搬送面の汚れ度合いを評価した。
「A」:キムワイプにインク汚れの転写がない
「B」:キムワイプにインク汚れの転写が拭取面の5%未満
「C」:キムワイプへのインク汚れの転写面積が拭取面の5%以上10%未満
「D」:キムワイプへのインク汚れの転写面積が拭取面の10%以上
同様に、印刷前にローラ面を清掃し、上記条件にて、100枚両面印刷した後のローラ面を、水を適量染み込ませたキムワイプにて水拭きした際の、キムワイプへのインクの転写度合いで塗布ローラ/用紙押さえローラの汚れ度合いを評価した。
「A」:キムワイプにインク汚れの転写がない
「B」:キムワイプにインク汚れの転写が拭取面の5%未満
「C」:キムワイプへのインク汚れの転写面積が拭取面の5%以上10%未満
「D」:キムワイプへのインク汚れの転写面積が拭取面の10%以上
次に、両面印刷した用紙の表刷面の傷(裏面傷)を評価した。
「A」:目視で確認される傷が0本
「B」:目視で紙地露出に至っていない傷が1本確認される
「C」:目視で紙地露出に至っている傷が1本確認される
又は、目視で紙地露出に至っていない傷が2本以上確認される
「D」:目視で紙地露出に至っている傷が2本以上確認される
次に、片面印刷した用紙で、4隅のカール量(平台からの浮き量)を測定した。そして、これらを平均した値で硬化収縮カール量を評価した。
「A」:15mm未満
「B」:15mm以上20mm未満
「C」:20mm以上30mm未満
「D」:30mm以上40mm未満
一方で、用紙Pを裏面吸着する場合、多官能の重合性化合物を3質量%以上含んでいる実施例1〜25に係る硬化型インク組成物は全て、裏面傷及び搬送面汚れ度合いの評価が「D」のない良好な結果となった。また、裏面吸着がない場合、実施例1〜25に係る硬化型インク組成物は全て、裏面傷及び搬送面汚れ度合いの評価が「A」であった。
したがって、実施例1〜25に係る硬化型インク組成物は、比較例1〜6に係る硬化型インク組成物に比べて、裏面傷及び搬送面汚れ度合いの評価結果が全て良くなり、裏面傷及び搬送面汚れを抑制することができたと言える。
一方、多官能の重合性化合物を18質量%以下含んでいる実施例1〜25に係る硬化型インク組成物は、UV照射によるインク硬化時に生じる硬化収縮カールの評価が「D」のない良好な結果となった。
したがって、実施例1〜25に係る硬化型インク組成物は、比較例7〜11に係る硬化型インク組成物に比べて、硬化収縮カールの評価結果が全て良くなり、印刷時の用紙変形を抑制することができたと言える。
さらに、3官能又は4官能の(メタ)アクリルアミド化合物を含む硬化型インク組成物であれば、当該アクリルアミド化合物を5%以上含めば、裏面傷の評価結果が全て「A」へと良くなり、裏面傷をなくすことができたと言える。
56M、56K、56C、56Y インクジェットヘッド(吐出ヘッド)
64 チェーングリッパ
72 ガイドプレート(吸着プレート)
74 照射ユニット(照射装置)
77 温度調整機構
Claims (7)
- 顔料、インク組成物総量に対して3質量%以上18質量%以下の下記一般式(1)で表される多価(メタ)アクリルアミド化合物、単官能の(メタ)アクリルアミド、及び水を含む硬化型インク組成物を、記録媒体の表面に吐出する吐出ヘッドと、
前記吐出ヘッドから前記硬化型インク組成物が吐出された記録媒体の先端を把持し、前記記録媒体を搬送するチェーングリッパと、
前記チェーングリッパにより搬送される記録媒体の裏面を吸着する吸着プレートと、
前記チェーングリッパにより搬送される、前記硬化型インク組成物が吐出された記録媒体に光を照射する照射装置と、
を備える画像形成装置。
〔式中、Qは、n価の連結基を表し、R 1 は、水素原子又はメチル基を表す。nは、2以上の整数を表す。〕 - 前記硬化型インク組成物は、前記一般式(1)で表される多価(メタ)アクリルアミド化合物をインク組成物総量に対して15質量%以下含む請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記硬化型インク組成物は、前記一般式(1)で表される多価(メタ)アクリルアミド化合物をインク組成物総量に対して5質量%以上含む請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
- 前記一般式(1)におけるnが3、4、又は5である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記一般式(1)におけるnが3又は4である請求項4に記載の画像形成装置。
- 前記吸着プレートが温度調整機構を備える請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 顔料、インク組成物総量に対して3質量%以上18質量%以下の下記一般式(1)で表される多価(メタ)アクリルアミド化合物、単官能の(メタ)アクリルアミド、及び水を含む硬化型インク組成物を、吐出ヘッドから記録媒体の表面に吐出する工程と、
チェーングリッパにより、前記吐出ヘッドから前記硬化型インク組成物が吐出された記録媒体の先端を把持し、前記記録媒体を搬送する工程と、
前記記録媒体の搬送中に、前記記録媒体の裏面を吸着プレートに吸着する工程と、
前記記録媒体の搬送中に、照射装置により前記硬化型インク組成物が吐出された記録媒体に光を照射する工程と、
を有する画像形成方法。
〔式中、Qは、n価の連結基を表し、R 1 は、水素原子又はメチル基を表す。nは、2以上の整数を表す。〕
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