JP5496733B2 - 画像形成方法 - Google Patents
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Description
さらに形成される画像についても高度な品質が求められている。
また、紙記録媒体上に水性の光硬化性モノマーインクで記録する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
また特許文献2には、インクジェット専用紙を用いた画像形成方法が記載されるに留まっており、汎用の印刷紙のような風合いの印画物は得られない。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、画像形成時におけるカールおよびカックルの発生が抑制され、形成される画像の記録媒体への密着性に優れる画像形成方法を提供することを課題とする。
<1> 原紙と、バインダーを含む第1の層と、白色顔料を含む第2の層とが順次積層されており、前記原紙上に配置された前記第1の層の表面におけるJIS P8140に準拠した吸水度試験による接触時間15秒間のコッブ吸水度が5.0g/m2以下であり、前記第2の層の表面におけるブリストー法による接触時間0.5秒間の吸水量が2mL/m2以上8mL/m2以下である記録媒体上に、
色材粒子、水溶性重合性化合物、重合開始剤、及び水を含有するインク組成物を、インクジェット法で付与して画像を形成するインク付与工程を含み、
前記水溶性重合性化合物は、重合性基として(メタ)アクリルアミド基を有し、かつ、分子量を1分子あたりの重合性基の含有数で除した値が84以上175以下である、画像形成方法。
<4> 前記原紙上に配置された前記第1の層の表面におけるJIS P8140に規定される吸水度試験に準拠して、水の代わりにジエチレングリコールを用いて求められる接触時間2分間のコッブ値が5.0g/m2以下であり、かつ、前記第2の層の表面におけるブリストー法に準拠してジエチレングリコールを30質量%含有する水を用いて求められる接触時間0.9秒間の吸液量が1mL/m2以上6mL/m2以下である、前記<1>〜<3>のいずれかに1項記載の画像形成方法。
<5> 前記インク組成物は、前記水溶性重合性化合物を3〜20質量%含有する、前記<1>〜<4>のいずれか1項記載の画像形成方法。
<7> 前記インク組成物は、粘度(25℃)が1〜10mPa・sである前記<1>〜<6>のいずれか1項記載の画像形成方法。
<8> 前記インク付与工程は、インク組成物の最大付与量が3〜20ml/m2である前記<1>〜<7>のいずれか1項記載の画像形成方法。
<9> 前記記録媒体上に付与されたインク組成物に、積算照射量10〜5000mJ/cm2で活性エネルギー線を照射する工程をさらに含む前記<1>〜<8>のいずれか1項記載の画像形成方法。
本発明の画像形成方法は、原紙と、バインダーを含む第1の層と、白色顔料を含む第2の層とが順次積層されており、前記原紙上に配置された前記第1の層の表面におけるJIS P8140に準拠した吸水度試験による接触時間15秒間のコッブ吸水度が5.0g/m2以下であり、前記第2の層の表面におけるブリストー法による接触時間0.5秒間の吸水量が2mL/m2以上8mL/m2以下である記録媒体(以下、「特定記録媒体」ということがある)上に、色材粒子、水溶性重合性化合物、重合開始剤、及び水を含有するインク組成物を、インクジェット法で付与して画像を形成するインク付与工程を含み、必要に応じてその他の工程を含んで構成される。ただし、本発明の画像形成方法には、重合性基として(メタ)アクリルアミド基を有し、かつ、分子量を1分子あたりの重合性基の含有数で除した値が84以上175以下である水溶性重合性化合物が適用される。
前記特定記録媒体上に、水溶性重合性化合物を含むインク組成物を付与して画像を形成することで、インク付与時におけるカール・カックル等の記録媒体の変形が抑制され、さらに、記録媒体への密着性に優れる画像を形成することができる。
本発明におけるインク付与工程では、色材粒子、水溶性重合性化合物、重合開始剤、及び水を含有するインク組成物を、特定記録媒体上に、インクジェット法で付与して画像を形成する。尚、記録媒体およびインク組成物の詳細については後述する。
インクジェット法による画像形成では、エネルギーを供与することにより、記録媒体上にインク組成物を吐出し、着色画像を形成する。なお、本発明に好ましいインクジェット記録方法として、特開2003−306623号公報の段落番号0093〜0105に記載の方法が適用できる。
また、インクジェット法で用いるインクジェットヘッドは、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。さらに前記インクジェット法により記録を行う際に使用するインクノズル等についても特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができる。
尚、前記インクジェット法には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
本発明の画像形成方法は、前記記録媒体上に、前記インク組成物と接触して凝集体を形成可能な凝集剤を含有する処理液を付与する処理液付与工程をさらに含むことが好ましい。処理液付与工程を含むことで、より高精細な画像をより高速に形成することができる。尚、処理液の詳細については後述する。
本発明の画像形成方法は、記録媒体上に付与されたインク組成物に活性エネルギー線を照射する工程を含むことが好ましい。活性エネルギー線を照射することでインク組成物に含まれる重合性化合物が重合して、色材粒子を含む硬化膜を形成する。これにより画像の密着性、耐擦性、耐ブロッキング性がより効果的に向上する。
活性エネルギー線の出力としては、その積算照射量が5000mJ/cm2以下であることが好ましく、10〜5000mJ/cm2であることがより好ましく、10〜2000mJ/cm2であることがより好ましく、20〜2000mJ/cm2であることがさらに好ましい。活性エネルギー線の積算照射量がかかる範囲であることで、画像の密着性がより効果的に向上する。
また、発光ダイオード(LED)およびレーザーダイオード(LD)を活性放射線源として用いることが可能である。特に、紫外線源を要する場合、紫外LEDおよび紫外LDを使用することができる。例えば、日亜化学(株)は、主放出スペクトルが365nmと420nmとの間の波長を有する紫色LEDを上市している。
本発明で特に好ましい活性エネルギー線源は、UV−LEDであり、特に好ましくは、350〜420nmにピーク波長を有するUV−LEDである。
本発明の画像形成方法においては、必要に応じて、記録媒体上に付与されたインク組成物中のインク溶媒(例えば、水、水溶性有機溶剤等)を乾燥除去するインク乾燥工程を備えていてもよい。インク乾燥工程は、インク溶媒の少なくとも一部を除去できれば特に制限はなく、通常用いられる方法を適用することができる。
[記録媒体]
本発明の記録媒体は、原紙と、第1の層と、第2の層とを有し、これらがこの順に積層され、更に必要に応じて適宜選択したその他の層を有してなる。
例えば、図1に示すように、記録媒体100は、原紙としての上質紙11と、上質紙11の上に形成された第1の層としての溶媒ブロッキング層12と、溶媒ブロッキング層12の上に形成された第2の層としてのインク吸収層13とを有して構成される。
また、前記記録媒体は、シート紙及びロール紙のいずれであってもよい。
前記原紙としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができる。
前記第1の層としては、バインダーを含み、前記第1の層が設けられた原紙における、JIS P8140に規定される吸水度試験による接触時間15秒間のコッブ吸水度が5.0g/m2以下である限り、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができる。ここで前記第1の層が設けられた原紙における、JIS P8140に規定される吸水度試験は、原紙上に配置された第1の層の原紙とは反対側の面において行なわれる。
例えば、前記第1の層が設けられた原紙における、JIS P8140に規定される吸水度試験による接触時間2分間のコッブ吸水度が2.0g/m2以下であること、前記第1の層が設けられた原紙における、JIS P8140に規定される吸水度試験に基づいて、水の代わりにジエチレングリコールを用いて求めた接触時間2分間のコッブ値が5.0g/m2以下であること、バインダーとして、熱可塑性樹脂及びポリビニルアルコール(特に、重合度1000以上のアセトアセチル変性ポリビニルアルコールが好ましい)の少なくともいずれかを含むこと、層状無機化合物を更に含むこと、ポリビニルアルコールと層状無機化合物を含むとともにポリビニルアルコールの質量Xおよび層状無機化合物としての水膨潤性合成雲母の質量Yの質量比率X/Yが1以上30以下であること、硬膜剤を更に含むこと、白色顔料を更に含むこと等が好ましい。
一方、望ましくはJIS P8140に規定される吸水度試験による接触時間2分間のコッブ吸水度が2.0g/m2以下且つ、JIS P8140に基づいてジエチレングリコールを用いて測定される接触時間2分間のコッブ値が5.0g/m2以下であれば、紙力の低下、膨潤による変形(例えば、カール、カックル等)がほとんど生じなくすることができる。
第1の層に含有されるバインダーは、熱可塑性樹脂及びポリビニルアルコールの少なくともいずれかを含むものであれば、特に限定されないが、熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。
熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、ポリオレフィン樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のα−オレフィンの単独重合体又はこれらの混合物)等、公知の熱可塑性樹脂やそのラテックスから適宜選択して用いることができる。中でも、ラテックスが好ましく、ポリエステル系ウレタンラテックス、アクリル系ラテックス、アクリルシリコーン系ラテックス、アクリルエポキシ系ラテックス、アクリルスチレン系ラテックス、アクリルウレタン系ラテックス、スチレン−ブタジエン系ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン系ラテックス、及び酢酸ビニル系ラテックス等を好適に挙げることができ、これらから少なくとも1種を選択して用いるのが好ましい。これらの中でも、特に、ポリエステル系ウレタンラテックス及びアクリルシリコーン系ラテックスより選択される少なくとも1種を選択して用いるのが好ましい。
前記アクリル系ラテックスとしては、市販品も使用でき、例えば、以下のような水分散性ラテックスが利用できる。即ち、アクリル系樹脂の例として、ダイセル化学工業(株)製の「セビアンA4635、46583、4601」など、日本ゼオン(株)製の「Nipol Lx811、814、821、820、857」等が挙げられる。
特に、特開平10−264511号、特開2000−43409号、特開2000−343811号、特開2002−120452号の各公報に記載のアクリルシリコーンラテックスのアクリルエマルション(市販品としては、例えば、ダイセル化学工業(株)製の商品名「アクアブリッドシリーズ UM7760、UM7611、UM4901、MSi−045、ASi−753、ASi−903、ASi−89、ASi−91、ASi−86、4635、MSi−04S、AU−124、AU−131、AEA−61、AEC−69、AEC−162」)、等も好適に使用することができる。
なお、上記の熱可塑性樹脂は、1種単独のみならず、2種以上を併用することもできる。
ポリビニルアルコールには、一般的なポリビニルアルコール(PVA)のほか、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール及びその他ポリビニルアルコール誘導体も含まれる。ポリビニルアルコールは1種単独のみならず2種以上を併用することもできる。これらの中でも、ポリビニルアルコールとアセトアセチル変性ポリビニルアルコールが好適に使用できる。
前記コッブ吸水度は、JIS P8140に規定される吸水度試験により得られたものであり、紙の片面から一定時間水が接触する場合に吸収する水の量を測定したものである。なお、接触時間は15秒間及び2分間とした。
また本発明においては、原紙上に配置された第1の層の、原紙とは反対側の面において吸水度の測定を行なう。
前記コッブ値は、JIS P8140に規定される吸水度試験方法に基づき、水の代わりにジエチレングリコールを用い、接触時間を2分間として、紙の片面から一定時間ジエチレングリコールが接触する場合に吸収されるジエチレングリコールの量を測定したものである。
また本発明においては、原紙上に配置された第1の層の、原紙とは反対側の面においてジエチレングリコールの吸液量の測定を行なう。
上記第1の層は、前記バインダーに加えて更に層状無機化合物を含有することが好ましい。該層状無機化合物としては、膨潤性無機層状化合物が好ましく、これらの化合物としては、例えば、ベントナイト、ヘクトライト、サポナイト、ビーデライト、ノントロナイト、スチブンサイト、バイデライト、モンモリナイト等の膨潤性粘度鉱物類、膨潤性合成雲母、膨潤性合成スメクタイト等が挙げられる。これらの膨潤性無機層状化合物は1〜1.5nmの厚さの単位結晶格子層からなる積層構造を有し、格子内金属原子置換が他の粘土鉱物よりも著しく大きい。その結果、格子層は正荷電不足を生じ、それを補償するために層間にNa+、Ca2+、Mg2+等の陽イオンを吸着している。これらの層間に介在している陽イオンは交換性陽イオンと呼ばれ、いろいろな陽イオンと交換する。特に層間の陽イオンがLi+、Na+等の場合、イオン半径が小さいため、層状結晶格子間の結合が弱く、水により大きく膨潤する。その状態でシェアーをかけると容易に劈開し、水中で安定したゾルを形成する。ベントナイト及び膨潤性合成雲母はその傾向が強く本発明の目的には好ましい。特に、水膨潤性合成雲母が好ましい。
上記第1の層に含有されるアセトアセチル変性ポリビニルアルコールの質量Xと水膨潤性合成雲母の質量Yとの質量比率X/Yは、1以上30以下の範囲であることが好ましく、5以上15以下の範囲であることがより好ましい。上記質量比率が1以上30以下の範囲であると、酸素透過抑制、ブリスター発生の抑制に効果が大きい。
本発明の第1の層における硬膜剤は、アルデヒド系化合物と、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサン及びその誘導体と、ハメットの置換基定数σpが正である置換基に隣接するビニル基を単一分子内に二つ以上有する化合物とから選択される少なくとも1種であることを特徴とする。本発明における第1の層に、硬膜剤として、アルデヒド系化合物と、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサン及びその誘導体と、ハメットの置換基定数σpが正である置換基に隣接するビニル基を単一分子内に二つ以上有する化合物とから選択される少なくとも1種を含有させることにより、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールと反応し、第1の層用塗工液を増粘させることなく、記録材料の耐水性を向上させることができ、結果として記録材料の耐水性と第1の層用塗工液の塗布安定性とが向上した記録材料が得られる。
前記白色顔料としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、リトポン、アルミナ白、酸化亜鉛、シリカ、三酸化アンチモン、燐酸チタン、水酸化アルミニウム、カオリン、クレー、タルク、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、等が挙げられる。これらは一種単独で、あるいは二種以上を混合して用いることができる。これらのうち、特にカオリンが好ましい。
前記カオリンとしては、アスペクト比(直径/厚み)が30以上であることが好ましい。アスペクト比が30以上のカオリンとしては、グレードがエンジニアードのもの(例えば、Contour 1500(アスペクト比59)、Astra−Plate(アスペクト比34))が挙げられる。また、前記カオリンが、高い白色度とスティープな粒度分布(均一な粒径)を有するものであると、記録媒体に優れた白色度と印刷適正をもたらす。
前記BET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、即ち比表面積を求める方法である。通常吸着気体として窒素ガスが用いられ、吸着量を被吸着気体の圧又は容積の変化から測定する方法が一般的である。多分子吸着の等温線を表す著名なものとして、Brunauer Emmett、Tellerの式(BET式)があり、これに基づき吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて表面積が得られる。
なお、第1の層には酸化防止剤等の公知の添加剤を添加することもできる。
前記第2の層としては、白色顔料を含み、ブリストー法による接触時間0.5秒間の吸水量が2mL/m2以上8mL/m2以下である限り、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができるが、例えば、ブリストー法によりジエチレングリコールを30質量%含有する純水を用いて求めた接触時間0.9秒間の吸液量が1mL/m2以上6mL/m2以下であること、他のバインダー(熱可塑性樹脂)をさらに含むこと、白色顔料の固形分100質量部当たり、固形分として10〜60質量部の可塑性樹脂を含むこと、層表面pHが酸性であること等が好ましい。
尚、本発明において第2の層の表面におけるブリストー法による吸液量の測定は、第2の層の第1の層とは反対側の面において行なわれる。
前記白色顔料としては、特に制限はなく、例えば、炭酸カルシウム、カオリン、二酸化チタン、三水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、サチン白、タルクなど一般に印刷用コート紙の白色顔料として利用させるものの中から、適宜選んでよい。第2の層が白色顔料を含むことにより、インク組成物に含まれる色材粒子を第2の層内に留めることができるという効果がある。
このような顔料としては、例えばカオリン、酸化チタン、カオリンと酸化チタンの混合物が挙げられる。
前記白色顔料の第2の層における含有量は、50質量%〜98質量%が好ましく、70質量%〜97質量%がより好ましい。
前記ブリストー法は、短時間での液体吸収量の測定方法として最も普及した方法であり、日本紙パルプ技術協会(J’TAPPI)でも採用されている。試験方法の詳細は、J’TAPPI No.51「紙、板紙の液体吸収性試験方法」に記載されている。また、測定時には、インクの表面張力に合わせてブリストー試験のヘッドボックススリット幅を調節する。また、紙の裏にインクがぬけてしまう点は計算から外す。
前記第2の層はバインダー(熱可塑性樹脂)の少なくとも1種を含むことが出好ましい。バインダー(熱可塑性樹脂)としては、特に制限はなく、例えば、第1の層で用いたものと同様のものを用いることができる。第2の層におけるバインダーの含有量は前記白色顔料100質量部に対して2質量部〜50質量部が好ましく、3質量部〜30質量部がより好ましい。
前記第2の層の層表面pHを酸性に調整することによって、インクを凝集させ、インクの定着を向上させることができる。
前記第2の層の層表面pHは、pH調整前において8.0未満が好ましく、7.5以下がより好ましい。前記pH調整前の層表面pHを8.0未満とすることで、画像のにじみ及び画質の低下を抑制できる。また、色材の凝集を促進するために酸などを用いて第2の層のpHを低く調整する際には、白色顔料が中和して表面pHを高くすることを抑制し、pH調整の効果が向上し、画像のにじみや画質の低下を抑制できる。
ここで、前記表面pHの測定は、日本紙パルプ技術協会(J.TAPPI)の定めた膜面PHの測定のうちA法(塗布法)により行うことができ、例えば、前記A法に相当する、株式会社共立理化学研究所製の紙面用PH測定セット「形式MPC」を使用して行うことができる。
前記酸性物質としては、例えばリン酸基、ホスホン基、ホスフィン基、硫酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基又はカルボン酸基を有する化合物あるいはそれらの塩を使用することができ、リン酸基、スルホン酸基、カルボン酸基を有する化合物であることがより好ましい。
前記記録媒体におけるその他の層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
本発明における記録媒体は、通常用いられる方法で製造することができる。例えば、特開2009−73158号公報の段落番号0076〜0087に記載の製造方法に準拠して、本発明における記録媒体を製造することができる。
本発明におけるインク組成物は、色材粒子の少なくとも1種と、水溶性重合性化合物の少なくとも1種と、重合性化合物の少なくとも1種と、水とを含み、必要に応じてさらにその他の成分を含んで構成される。
前記色材粒子としては、公知の染料、顔料等を特に制限なく用いることができる。中でも、インク着色性の観点から、水に殆ど不溶であるか、又は難溶である着色剤であることが好ましい。具体的には例えば、各種顔料、分散染料、油溶性染料、J会合体を形成する色素等を挙げることができ、更に、耐光性の観点から顔料であることがより好ましい。
前記有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、多環式顔料、染料キレート、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、多環式顔料などがより好ましい。前記アゾ顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、などが挙げられる。前記多環式顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料、などが挙げられる。前記染料キレートとしては、例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート、などが挙げられる。
染料を保持した担体(着色剤)はそのまま、あるいは必要に応じて分散剤を併用して用いることができる。分散剤としては後述する分散剤を好適に用いることができる。
色材粒子(特に顔料)のインク組成物中における含有量としては、色濃度、粒状性、インク安定性、吐出信頼性の観点から、インク組成物の全質量に対して、1〜25質量%となる量が好ましく、5〜20質量%となる量がより好ましい。
本発明における色材粒子が顔料を含む場合、分散剤によって水系溶媒に分散された色材粒子を構成していることが好ましい。前記分散剤としては、ポリマー分散剤でも低分子の界面活性剤型分散剤でもよい。また、ポリマー分散剤としては水溶性ポリマー分散剤でも水不溶性ポリマー分散剤の何れでもよい。
本発明においては、分散安定性とインクジェット方式に適用した場合の吐出性の観点から、水不溶性ポリマー分散剤であることが好ましい。
本発明における水不溶性ポリマー分散剤(以下、単に「分散剤」ということがある)としては、水不溶性のポリマーであって、顔料を分散可能であれば特に制限は無く、従来公知の水不溶性ポリマー分散剤を用いることができる。水不溶性ポリマー分散剤は、例えば、疎水性の構成単位と親水性の構成単位の両方を含んで構成することができる。
また前記親水性構成単位を構成するモノマーとしては、親水性基を含むモノマーであれば特に制限はない。前記親水性基としては、ノニオン性基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等を挙げることができる。尚、ノニオン性基としては、水酸基、(窒素原子が無置換の)アミド基、アルキレンオキシド重合体(例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等)に由来する基、糖アルコールに由来する基等が挙げられる。
本発明における親水性構成単位は、分散安定性の観点から、少なくともカルボキシル基を含むことが好ましく、ノニオン性基とカルボキシル基を共に含む形態であることもまた好ましい。
ここで「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸またはメタクリル酸を意味する。
前記色材粒子中の分散剤の含有量が、上記範囲であることにより、顔料が適量の分散剤で被覆され、粒径が小さく経時安定に優れた色材粒子を得やすい傾向となり好ましい。
工程(1):顔料、分散剤、および該分散剤を溶解または分散する有機溶剤と共に、塩基性物質を含み、水を主成分とする溶液を含有する混合物を分散処理する工程
工程(2):分散処理後の混合物から、前記有機溶剤の少なくとも一部を除去する工程
また、必要に応じて、縦型もしくは横型のサンドグラインダー、ピンミル、スリットミル、超音波分散機等を用い、0.01〜1mmの粒径のガラス、ジルコニア等でできたビーズを用いた微分散処理を行うことにより得ることができる。
また、色材粒子の粒径分布に関しては、特に制限は無く、広い粒径分布又は単分散性の粒径分布のいずれであってもよい。また、単分散性の粒径分布を持つ着色剤を、2種以上混合して使用してもよい。
尚、色材粒子の体積平均粒径および粒径分布は、例えば、光散乱法を用いて測定することができる。
本発明において、上記色材粒子は1種単独で、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明におけるインク組成物は、重合性基の少なくとも1種を有する水溶性重合性化合物の少なくとも1種を含有し、活性エネルギー線が照射されることにより重合する。
尚、ここでいう水溶性とは重合性化合物が、25℃において蒸留水に2質量%以上溶解することを意味するが、5質量%以上溶解することが好ましく、10質量%以上溶解することがより好ましく、20質量%以上溶解することがさらに好ましく、任意の割合で水と均一に混合することが特に好ましい。
尚、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」および「メタクリル」の少なくとも一方を意味する。
前記水溶性重合性化合物が2以上の重合性基を有する場合、前記2以上の重合性基は同一であっても、互いに異なっていてもよい。
本発明においては、硬化感度と耐ブロッキング性の観点から、(メタ)アクリルアミド基、マレイミド基、およびビニルスルホン基からなる群から選択される2以上の重合性官能基を有することが好ましく、(メタ)アクリルアミド基を少なくとも1つ有することがより好ましく、(メタ)アクリルアミド基を2以上有することがさらに好ましい。
前記親水性基として具体的には、オキシアルキレン基およびそのオリゴマー、ヒドロキシル基、アミド基、糖アルコール残基、ウレア基、イミノ基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、チオール基、4級アンモニウム基等を挙げることができる。
−化合物群−
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,4−ブタントリオール,1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、チオグリコール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ジトリメチロールエタン、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、及びこれらの縮合体、低分子ポリビニルアルコール、または糖類などのポリオール類。
エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンジアミンなどのポリアミン類。
ピリジン、イミダゾール、ピラジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリンなどの飽和もしくは不飽和のヘテロ環類。
前記多価アルコールは、エチレンオキシドの付加により内部にエチレンオキシド鎖で鎖延長されたものでもよい。
前記カチオン性の水溶性重合性化合物は、カチオン性基と不飽和二重結合等の重合性基とを有する化合物であり、例えば、エポキシモノマー類、オキタセンモノマー類などを好適に用いることができる。カチオン性の重合性化合物を含有すると、カチオン基を有することでインク組成物のカチオン性が強くなり、アニオン性インクを用いたときの混色がより効果的に防止される。
前記カチオン性の重合性化合物としては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレート、N,N−ジメチルアミノアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノメタアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルメタアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルメタアクリルアミド、及びこれらの4級化化合物などが挙げられる。
エポキシモノマー類としては、例えば、多価アルコールのグリシジルエーテル、グリシジルエステル、脂肪族環状のエポキシドなどが挙げられる。
さらに、カチオン性の重合性化合物の例として、下記構造を有するものを挙げることができる。
以下、カチオン基を有する重合性化合物の具体例(カチオン性化合物1〜11)を例示する。
本発明のインク組成物における水溶性重合性化合物の含有率としては、固形分換算で1〜50質量%の範囲であることが好ましく、1〜40質量%の範囲であることより好ましく、1〜30質量%の範囲であることがさらに好ましい。
本発明の水性インク組成物は、重合開始剤の少なくとも1種を含有する。前記重合開始剤としては、公知の重合開始剤を特に制限なく使用することができる。本発明における重合開始剤としては、光重合開始剤を使用することが好ましい。
本発明で使用され得る好ましい光重合開始剤としては、(a)芳香族ケトン類、(b)アシルホスフィン化合物、(c)芳香族オニウム塩化合物、(d)有機過酸化物、(e)チオ化合物、(f)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(g)ケトオキシムエステル化合物、(h)ボレート化合物、(i)アジニウム化合物、(j)メタロセン化合物、(k)活性エステル化合物、(l)炭素ハロゲン結合を有する化合物、並びに(m)アルキルアミン化合物等が挙げられる。
重合開始剤の具体例としては、例えば、加藤清視著「紫外線硬化システム」(株式会社総合技術センター発行:平成元年)の第65〜148頁に記載されている重合開始剤などを挙げることができる。
本発明の水性インク組成物における重合開始剤の含有量は、固形分換算で0.1〜30質量%の範囲であることが好ましく、0.5〜20質量%の範囲であることがより好ましく、1.0〜10質量%の範囲であることがさらに好ましい。
また、本発明の水性インク組成物における重合開始剤の含有量は、前記重合性化合物100質量部に対して、好ましくは0.01〜35質量部、より好ましくは0.1〜30質量部、さらに好ましくは1〜20質量部の範囲で含有されるのが適当である。なお、ここで重合開始剤の含有量とは、水性インク組成物における重合開始剤の総含有量を意味し、重合性化合物の含有量とは、水性インク組成物における重合性化合物の総含有量を意味する。
本発明におけるインク組成物は水系媒体を含む。水系媒体は少なくとも水を含み、必要に応じて有機溶剤の少なくとも1種を含んで構成される。
本発明における水としては、イオン交換水、蒸留水などのイオン性不純物を含まない水を用いることが好ましい。また、インク組成物における水の含有率は、目的に応じて適宜選択されるが、通常、10〜95質量%であることが好ましく、30〜90質量%であることがより好ましい。
本発明における水系媒体は水溶性有機溶剤の少なくとも1種を含むことが好ましい。水溶性有機溶剤を含有することで、乾燥防止、湿潤あるいは浸透促進の効果を得ることができる。乾燥防止には、噴射ノズルのインク吐出口においてインクが付着乾燥して凝集体ができ、目詰まりするのを防止する乾燥防止剤として用いられ、乾燥防止や湿潤には、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。また水溶性有機溶剤は、紙へのインク浸透性を高める浸透促進剤として用いることができる。
以下、前記構造式(1)で表される化合物の例を示す。但し、本発明はこれに限定されるものではない。尚、例示化合物中、「POP(3)グリセリルエーテル」との記載は、グリセリンにプロピレンオキシ基が合計で3つ結合したグリセリルエーテルであることを意味し、他の記載についても同様である。
・n−C4H9O(AO)4−H(AO=EO又はPOで、比率はEO:PO=1:1)
・n−C4H9O(AO)10−H AO=EO又はPOで、比率はEO:PO=1:1)
・HO(AO)40−H(AO=EO又はPOで、比率はEO:PO=1:3)
・HO(AO)55−H(AO=EO又はPOで、比率はEO:PO=5:6)
・HO(PO)3−H
・HO(PO)7−H
・1,2−ヘキサンジオール
また水溶性有機溶剤のインク組成物中における含有量としては、1質量%以上60質量%以下が好ましく、より好ましくは5質量%以上40質量%以下である。
本発明におけるインク組成物は、樹脂粒子の少なくとも1種を含有することが好ましい。樹脂粒子を含むことにより、インク組成物の記録媒体への定着性、画像の耐擦性、耐ブロッキング性を効果的に向上させることができる。
また樹脂粒子は、既述の処理液又はこれを乾燥させた記録媒体上の領域と接触した際に凝集、又は分散不安定化してインクを増粘させることにより、インク組成物、すなわち画像を固定化させる機能を有することが好ましい。このような樹脂粒子は、水および有機溶剤の少なくとも1種に分散されているものが好ましい。
また樹脂粒子はラテックスの形態で用いることもできる。
また樹脂粒子の体積平均粒径は、1〜100nmの範囲が好ましく、1〜50nmの範囲がより好ましく、1〜25nmの範囲が更に好ましく、2〜15nmの範囲が特に好ましい。
樹脂粒子のガラス転移温度Tgは30℃以上であることが好ましく、40℃以上がより好ましく、50℃以上がさらに好ましい。
また、樹脂微子の粒径分布に関しては、特に制限は無く、広い粒径分布を持つもの、又は単分散の粒径分布を持つもの、いずれでもよい。また、単分散の粒径分布を持つ樹脂粒子を、2種以上混合して使用してもよい
本発明におけるインク組成物は、必要に応じて、界面活性剤の少なくとも1種を含むことができる。界面活性剤は、表面張力調整剤として用いることができる。
表面張力調整剤として、分子内に親水部と疎水部を合わせ持つ構造を有する化合物等が有効に使用することができ、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、ベタイン系界面活性剤のいずれも使用することができる。更に、上記の分散剤(高分子分散剤)を界面活性剤としても用いてもよい。
本発明においては、インクの打滴干渉抑制の観点から、ノニオン性界面活性剤が好ましく、中でもアセチレングリコール誘導体がより好ましい。
界面活性剤のインク組成物中における界面活性剤の具体的な量としては、前記表面張力となる範囲が好ましいこと以外は特に制限はなく、1質量%以上が好ましく、より好ましくは1〜10質量%であり、更に好ましくは1〜3質量%である。
インク組成物は、上記の成分に加え、必要に応じて更にその他成分として各種の添加剤を含むことができる。
前記各種の添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、褪色防止剤、防黴剤、pH調整剤、防錆剤、酸化防止剤、乳化安定剤、防腐剤、消泡剤、粘度調整剤、分散安定剤、キレート剤、固体湿潤剤等の公知の添加剤が挙げられる。
防黴剤は、インク組成物中の含有量が0.02〜1.00質量%である範囲とするのが好ましい。
本発明におけるインク組成物の表面張力(25℃)としては、20mN/m以上60mN/m以下であることが好ましい。より好ましくは、20mN以上45mN/m以下であり、更に好ましくは、25mN/m以上40mN/m以下である。
表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP-Z(協和界面科学株式会社製)を用い、インク組成物を25℃の条件下で測定される。
粘度は、VISCOMETER TV−22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用い、インク組成物を25℃の条件下で測定される。
表面張力および粘度が前記範囲内であるインク組成物を、既述の特定の物性値を有する記録媒体に付与することで、密着性により優れる画像を形成することができる。
インクセットは、前記インク組成物と接触して凝集体を形成可能な凝集剤の少なくとも1種を含み、必要に応じてその他の成分を含んで構成される。
処理液が凝集剤を含むことで、良好な画像品質で耐ブロッキング性に優れた画像を形成することができる。
本発明における処理液は、インク組成物中の成分を凝集させる凝集剤を含んでなる。本発明における凝集剤は、記録媒体上においてインク組成物と接触することにより、インク組成物を凝集(固定化)可能なものであり、固定化剤として機能する。例えば、処理液を本発明における特定の記録媒体に付与することにより記録媒体上に凝集剤が存在している状態で、インク組成物がさらに着滴して凝集剤に接触することにより、インク組成物中の成分が凝集し、インク組成物中の成分を記録媒体上に固定化することができる。
前記インク組成物中の成分を固定化させる成分としては、酸性化合物、多価金属塩等を挙げることができる。これらは1種単独でも、2種以上を併用することもできる。
酸性化合物としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、ポリアクリル酸、酢酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、スルホン酸、オルトリン酸、メタリン酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、およびこれらの化合物の誘導体、ならびにこれらの塩等が好適に挙げられる。
酸性化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
0.1g/m2〜2.0g/m2であることが好ましく、0.1g/m2〜1.0g/m2であることがより好ましい。
本発明における多価金属塩は、アルカリ土類金属、亜鉛族金属等の2価以上の金属を含む化合物であり、Ca2+、Cu2+、Al3+等の金属イオンの酢酸塩、酸化物等を挙げることができる。
本発明において、前記多価金属塩を含む処理液が付与された記録媒体にインク組成物を吐出したときのインク組成物の凝集反応は、インク組成物中に分散した粒子、例えば、顔料に代表される着色剤や、樹脂粒子等の粒子の分散安定性を減じ、インク組成物全体の粘度を上昇させることで達成することができる。例えば、インク組成物中の顔料や、樹脂粒子などの粒子がカルボキシル基等の弱酸性の官能基を有するとき、当該粒子は前記弱酸性の官能基の働きにより分散安定化しているが、当該粒子の表面電荷を、多価金属塩と相互作用させることにより減じ、分散安定性を低下することができる。したがって、処理液に含まれる固定化剤としての多価金属塩は、凝集反応の観点で、価数が2価以上、すなわち多価であることが必要であり、凝集反応性の観点で、3価以上の多価金属イオンからなる多価金属塩であることが好ましい。
塩とは、上記のような多価金属イオンと、これらのイオンに結合する陰イオンとから構成される金属塩のことであるが、溶媒に可溶なものであることが好ましい。ここで、前記溶媒とは、多価金属塩とともに処理液を構成する媒質であり、例えば、水や後述する有機溶剤が挙げられる。
多価金属イオンと陰イオンとは、それぞれ単独種または複数種を用いて多価金属イオンと陰イオンとの塩を形成することができる。
また、陰イオンとしては、溶解性などの観点から、NO3 −が特に好ましい。
前記多価金属塩は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
多価金属塩の含有量は、前記処理液の全質量に対し、15質量%〜35質量%であることが好ましく、20質量%〜30質量%であることがより好ましい。
0.5g/m2〜4.0g/m2であることが好ましく、0.9g/m2〜3.75g/m2であることがより好ましい
[第1の層(下塗り層)用塗工液の調製]
二酸化チタン(商品名:タイペークR−780、石原産業(株)製)100部、25%の特殊ポリカルボン酸型重合物のNa塩(商品名:デモールEP、花王(株)製)1.2部、及び水121.7部を混合し、ノンバブリングニーダー(商品名:NBK−2、株式会社日本精機製作所製)を用いて分散を行い、45%の二酸化チタン分散液を得た。
次いで、35%のスチレン−ブタジエンラテックス(最低造膜温度0℃;商品名:Nipol LX110、日本ゼオン社製)100部に、水100部と得られた45%の二酸化チタン分散液3.9部とを加え、十分に攪拌混合した後、得られた混合液の液温度を15〜25℃に保って18.0%の下塗り層用塗工液を得た。
重質炭酸カルシウム(商品名:エスカロン#2000、三共精粉社製)60部と、カオリン(商品名:ミラグロス、エンゲルハード社製:米国)20部と、酸化チタン(タイペークR−780、石原産業社製)20部と、43%のポリアクリル酸ナトリウム(商品名:アロンT−50、東亞合成社製)0.5部とを混合し、株式会社日本精機製作所製のNBK−2を用いて水中に分散し、平均粒子径が95nmのスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:スマーテックスPA2323、日本エイアンドエル社製)11部と、酸化澱粉(商品名:エースB、王子コーンスターチ社製)3部と、潤滑剤(商品名:SNコート231SP、サンノプコ社製)を1部とを添加して、最終的な固形分濃度が65%の上塗り層用塗工液を調製した。
坪量81.4g/m2の上質紙(商品名:しらおい、日本製紙社製)の両面に、得られた下塗り層用塗工液を、バーコーターを用いて、片面当たりの塗工量が10.0g/m2となるように調整しながら片面ずつ塗布し、50℃で3分間乾燥して、下塗り層を形成した。ここで、形成された下塗り層の厚みは9.4μmであった。
前記下塗り層が形成された上質紙の両面に、前記調製された上塗り層用塗工液を、高速枚葉式ブレードコーター(装置名:PM−9040M、エスエムテー社製)を用いて、片面当たりの乾燥質量が10g/m2となるように調整しながら片面ずつ塗布し、温度150℃、風速20m/secで3秒間乾燥して、上塗り層を形成して、記録媒体1を得た。このときの片面当たりの形成された上塗り層の厚みは9.5μmであった。
[第1の層(下塗り層)用塗工液の調製]
カオリン(商品名:カオブライト90、白石カルシウム(株)製)100部、0.1mol/L水酸化ナトリウム(和光純薬工業(株)製)3.8部、40%のポリアクリル酸ナトリウム(商品名:アロンT−50、東亞合成社製)1.3部、及び水49.6部を混合し、ノンバブリングニーダー(商品名:NBK−2、株式会社日本精機製作所製)を用いて分散を行い、65%カオリン分散液を得た。次いで、22.5%のポリエステル系ウレタンラテックス水分散液(ガラス転移温度49℃、最低造膜温度29℃;商品名:ハイドランAP−40F、大日本インキ化学工業(株)製)100部に、水5部と得られた65%のカオリン分散液7.0部と、10%のエマルゲン109P(花王(株))0.8部を加え、十分に攪拌混合した後、得られた混合液の液温度を15〜25℃に保って24.0%の下塗り層用塗工液を得た。
カオリン(商品名:カオブライト90、白石カルシウム(株)製)100部、0.1N水酸化ナトリウム(和光純薬工業(株)製)3.8部、40%のポリアクリル酸ナトリウム(商品名:アロンT−50、東亞合成社製)1.3部、及び水49.6部を混合し、ノンバブリングニーダー(商品名:NBK−2、株式会社日本精機製作所製)を用いて分散を行い、65%カオリン分散し、平均粒子径が130nmの50%のスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:Nipol LX407K、日本ゼオン(株)製)14部と、脂肪酸カルシウムエマルジョン(商品名:ノプコートC−104−HS、サンノプコ社製)1部と、1%カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(商品名:セロゲンEP、第一工業製薬(株)製)10部と、10%のエマルゲン109P(花王(株)製)水溶液0.5部とを添加して、最終的な固形分濃度が59%の上塗り層用塗工液を調製した。上塗り層用塗工液のハイシェアー粘度は50.2mPa・sから138.2mPa・sであった。
坪量81.4g/m2の上質紙(商品名:しらおい、日本製紙社製)の両面に、得られた下塗り層用塗工液を、バーコーターを用いて、片面当たりの塗工量が8.0g/m2となるように調整しながら片面ずつ塗布し、70℃で3分間乾燥して、下塗り層を形成した。ここで、形成された下塗り層の厚みは8.1μmであった。更に、形成された下塗り層に対して、下記に示すソフトカレンダー処理を行った。
前記下塗り層が表面に形成された上質紙に対し、金属ロールと樹脂ロールとが対をなすロール対を備えたソフトカレンダーを用いて、金属ロールの表面温度50℃、ニップ圧50kg/cmの条件でソフトカレンダー処理を行った。
前記下塗り層が形成された上質紙の両面に、前記調製された上塗り層用塗工液を、高速枚葉式ブレードコーター(装置名:PM−9040M、(株)エスエムテー製)を用いて、片面当たりの乾燥質量が20g/m2となるように調整しながら片面ずつ塗布し、温度150℃、風速20m/secで3秒間乾燥して、上塗り層を形成した。このときの片面当たりの形成された上塗り層の厚みは19.1μmであった。更に、形成された下塗り層に対して、下記に示すソフトカレンダー処理を行って、記録媒体2を得た。
前記上塗り層が表面に形成された上質紙に対し、金属ロールと樹脂ロールとが対をなすロール対を備えたソフトカレンダーを用いて、金属ロールの表面温度50℃、ニップ圧50kg/cmの条件でソフトカレンダー処理を行った。
上記記録媒体1の製造において、「下塗り層用塗工液の調製」および「下塗り層の形成」を以下のように変更したこと、また上塗り層の形成において、上塗り層用塗工液の片面当たりの塗工量を10.8g/m2に変更した以外は、記録媒体1の製造と同様にして記録媒体3を作製した。ここで、形成された下塗り層の厚みは8.0μmであり、形成された上塗り層の厚みは11.0μmであった。
(1)ポリビニルアルコール溶液の調製
ポリビニルアルコール(ケン化度:98.5%、重合度:1,700、商品名:PVA−117、(株)クラレ製)を12部、水88部を加えて90℃以上で攪拌溶解した。
(2)水膨潤性雲母分散液(アスペクト比:1,000、商品名:ソマシフMEB−3(8%溶液)、コープケミカル社製、平均粒子径2.0μmの雲母分散液)。
(3)エチレンオキサイド系界面活性剤(商品名:エマレックス710、日本エマルジョン社製)1.66%液(メタノール溶解)。
坪量81.4g/m2の上質紙(商品名:しらおい、日本製紙社製)の両面に、得られた下塗り層用塗工液を、バーコーターを用いて、片面当たりの塗工量が8.0g/m2となるように調整しながら片面ずつ塗布し、50℃で3分間乾燥して、下塗り層を形成した。
上記記録媒体3の製造において、「下塗り層用塗工液の調製」を以下のように変更したこと、下塗り層の形成において、下塗り層用塗工液の片面当たりの塗工量を5.0g/m2に変更したこと、及び、上塗り層の形成において、上塗り層用塗工液の片面当たりの塗工量を10.1g/m2に変更したこと以外は、記録媒体3の製造と同様にして記録媒体4を作製した。下塗り層の厚みは5.2μmであり、形成された上塗り層の厚みは9.9μmであった。
(1)アセトアセチル変性ポリビニルアルコールの調製
アセトアセチル変性ポリビニルアルコール(ケン化度:95〜97%、重合度:1,000、商品名:ゴーセファイマ−Z−210、日本合成化学工業社製)を12部、水88部を加えて90℃以上で攪拌溶解した。
(2)水膨潤性雲母分散液(アスペクト比:1,000、商品名:ソマシフMEB−3(8%溶液)、コープケミカル社製、平均粒子径2.0μmの雲母分散液)。
(3)エチレンオキサイド系界面活性剤(商品名:エマレックス710、日本エマルジョン社製)1.66%液(メタノール溶解)。
特開2009−73158号公報の段落番号0249〜0251の記載にされた比較例1〜比較例3に準じて、記録媒体C1〜C3をそれぞれ製造した。
上記で得られた記録媒体について、「下塗り層が形成された上質紙のコッブ吸水度試験」、及び「上塗り層の吸水量試験」を以下に示すように行った。結果を表1に示す。
(1)JIS P8140に規定される吸水度試験に準拠し、下塗り層が形成された上質紙の塗工面についてコッブ吸水度(20℃の水に15秒間接触させたときの水の浸透量g/m2)を測定した。
(2)JIS P8140に規定される吸水度試験に準拠し、下塗り層が形成された上質紙の塗工面についてコッブ吸水度(20℃の水に2分間接触させたときの水の浸透量g/m2)を測定した。
(3)JIS P8140に規定される吸水度試験に準拠し、下塗り層が形成された上質紙の塗工面についてコッブ値(20℃のジエチレングリコール(DEG)に2分間接触させたときのジエチレングリコールの浸透量g/m2)を測定した。
ブリストー法に基づき、以下のように測定した。
(1)A6サイズにカットした上塗り層を測定盤に設置し、試験液(水)を充填したヘッドを接触した後、内側から外側へのらせん状の走査ラインを自動走査して吸液特性を測定した。測定盤が回転速度(紙とインクとの接触時間)を段階的に変化させ、回転させることにより接触時間と吸液量(吸水量)との関係を得る。表1では、接触時間0.5秒における吸水量を示す。
(2)上記(1)における試験液(水)を、ジエチレングリコールを30質量%含有する純水(水/DEG)に変更した以外、同様にして測定した。表1では、接触時間0.9秒における吸液量を示す。
(水不溶性ポリマー分散剤P−1の合成)
攪拌機、冷却管を備えた1000mlの三口フラスコに、メチルエチルケトン88gを加えて窒素雰囲気下で72℃に加熱し、これにメチルエチルケトン50gにジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート0.85g、フェノキシエチルメタクリレート50g、メタクリル酸13g、及びメチルメタクリレート37gを溶解した溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間反応した後、メチルエチルケトン2gにジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート0.42gを溶解した溶液を加え、78℃に昇温して4時間加熱した。得られた反応溶液は過剰量のヘキサンに2回再沈殿させ、析出した樹脂を乾燥させて、フェノキシエチルメタクリレート/メチルメタクリレート/メタクリル酸(共重合比[質量%比]=50/37/13)共重合体(樹脂分散剤P−1)96.5gを得た。
得られた樹脂分散剤P−1の組成は、1H−NMRで確認し、以下のようにしてGPCより求めた重量平均分子量(Mw)は49400であった。さらに、JIS規格(JIS K0070:1992)記載の方法により、このポリマーの酸価を求めたところ、84.8mgKOH/gであった。
ピグメント・ブルー15:3(フタロシアニンブル−A220、大日精化株式会社製;シアン顔料)10部と、前記ポリマー分散剤P−1を4部と、メチルエチルケトン44部と、1mol/L NaOH水溶液4.4部と、イオン交換水85.2部とを混合し、ビーズミルにより0.1mmφジルコニアビーズを用いて2〜6時間分散した。
得られた分散物を減圧下、55℃でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去した後、更に、高速遠心冷却機7550(久保田製作所製)を用いて、50mL遠心菅を使用し、8000rpmで30分間遠心処理を行ない、沈殿物以外の上澄み液を回収した。その後、吸光度スペクトルから顔料濃度を求め、顔料濃度が10.2質量%の樹脂被覆顔料粒子(カプセル化顔料)の分散物として、色材粒子分散物Cを得た。
攪拌機、温度計、還流冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた2リットル三口フラスコに、メチルエチルケトン360.0gを仕込んで、75℃まで昇温した。その後、フラスコ内温度を75℃に保ちながら、フェノキシエチルアクリレート180.0g、メチルメタクリレート162.0g、アクリル酸18.0g、メチルエチルケトン72g、及び「V−601」(和光純薬工業(株)製)1.44gからなる混合溶液を、2時間で滴下が完了するように等速で滴下した。滴下完了後、これに「V−601」0.72g及びメチルエチルケトン36.0gからなる溶液を加え、75℃で2時間攪拌後、さらに「V−601」0.72g及びイソプロパノール36.0gからなる溶液を加え、75℃で2時間攪拌した。その後、85℃に昇温して、さらに2時間攪拌を続け、フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリル酸(=50/45/5[質量比])共重合体の樹脂溶液を得た。
得られた共重合体の上記同様に測定した重量平均分子量(Mw)は、64,000(上記と同様にしてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算で算出)であり、酸価は38.9mgKOH/gであった。
− インク組成物C−1の調製 −
上記で得られた色材粒子分散物Cと、自己分散性ポリマー粒子(例示化合物B−01)と、重合性化合物1とを用い、下記のインク組成になるように各成分を混合した。これをプラスチック製のディスポーザブルシリンジに詰め、PVDF5μmフィルター(Millex−SV、直径25mm、ミリポア社製)で濾過して、シアンインク(インクジェット用インク組成物)C−1を調製した。
得られたシアンインクC−1の粘度(25℃)をブルックフィールドエンジニアリング社製、DV-III Ultra CPを用いて測定したところ、4.2mPa・sであった。
・色材粒子分散物C ・・・29.4%
・自己分散性ポリマー粒子(B−01)の水分散物(固形分) ・・・1%
・水溶性重合性化合物(下記重合性化合物1) ・・・22%
・サンニックスGP−250 ・・・1.5%
(三洋化成工業(株)製)
・オルフィンE1010(日信化学工業(株)製) ・・・1%
・イルガキュア2959(チバ・ジャパン社製) ・・・3.3%
・イオン交換水 ・・・残量(全量で100質量%となるよう加えた)
上記インク組成物C−1の調製において、重合性化合物1の代わりに、下記表2に示した水溶性重合性化合物を用い、含有率を変更したこと以外は、上記と同様にしてインク組成物C−2〜C−9をそれぞれ調製した。
尚、重合性化合物31としては、ポリエチレングリコールジアクリレート(商品名:A−400;新中村化学工業(株)製)を用いた。
上記インク組成物C−1の調製において、重合性化合物1を添加しなかったこと以外は、上記と同様にしてインク組成物C−10を調製した。
下記組成の成分を混合して、処理液1を調製した。処理液1の粘度、表面張力、及びpH(25℃)は、粘度2.5mPa・s、表面張力40mN/m、pH1.0であった。表面張力は協和界面科学(株)製 全自動表面張力計CBVP−Zを用いて測定し、粘度はブルックフィールドエンジニアリング社製、DV-III Ultra CPを用いて測定した。pHは、東亜ディーケーケー(株)製PHメーター HM−30Rを用いて測定した。
−処理液1の組成−
・マロン酸(和光純薬(株)製) ・・・12.5%
・リンゴ酸(和光純薬(株)製) ・・・12.5%
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル ・・・20.0%
(和光純薬(株)製)
・エマルゲン109P ・・・1.0%
(花王(株)製、ノニオン性界面活性剤)
・イオン交換水 ・・・54%
(画像形成と評価)
上記で得られた処理液1と、記録媒体およびインク組成物を下記表2に示した組み合わせで用いて、以下のようにして画像形成と評価(カール、カックル、密着性)を行った。評価結果は下記表2に示す。
その後、インクジェットヘッドを、前記ステージの移動方向(副走査方向)と直交する方向に対して、ノズルが並ぶラインヘッドの方向(主走査方向)が75.7度傾斜するように固定配置し、記録媒体を副走査方向に定速移動させながらインク液滴量2.8pL、吐出周波数25.5kHz、解像度1200dpi×1200dpi、インク組成物の最大付与量8.5ml/m2の吐出条件にてライン方式で吐出し、記録媒体をA5サイズにカットしたサンプルの全面にインクを吐出してベタ画像とした。画像を記録した後、インク着滴面の裏側(背面)から赤外線ヒータで加熱しながら、送風器により120℃、5m/secの温風を記録面に15秒間あてて乾燥させた。画像乾燥後、UV光(アイグラフィックス(株)製 メタルハライドランプ 最大照射波長 365nm)を積算照射量3000mJ/cm2になるように照射して画像を硬化した。
カールしたときに長辺が弧を描くように5×50mmに裁断したベタ画像サンプルに対して、下記のようにしてサンプルの曲率Cを測定した。
インクジェット記録液を上記方法で画像形成した後のサンプル曲率Cを、25℃、相対湿度50%の環境下で測定した。尚、カール値は、カールを半径Rの円の弧とみなして下記式1のように表わされる。
C=1/R(m) (式1)
A:描画して10分後のサンプルの曲率Cが20を超えなかった。
B:描画して1日後のサンプルの曲率Cが20を超えなかった。
C:塗布して7日後のサンプルの曲率Cが20を超えなかった。
D:塗布して7日後のサンプルの曲率Cが20を超えていた。
はがきサイズの上塗り層を塗工した記録媒体に10cm×1.5cmの単色100%ベタ画像を媒体の中央に印字し、画像形成後35℃相対湿度80%環境下で1時間放置後、25℃相対湿度50%の環境下で発生した波打ちの最大高さをレーザー変位計(キーエンス社製)にて測定した。
〜評価基準〜
A:2mm未満
B:2mm以上4mm未満
C:4mm以上
上記方法で作製したベタ画像部に描画後2日経時した後にセロテープ(登録商標)を貼り、セロテープ(登録商標)貼付後、直ぐに剥がした時に描画画像のインクの剥がれ程度を、目視で観察して評価した。評価基準は、下記の通りで、剥がれ程度に応じて4段階評価を行った。
〜評価基準〜
A:全く剥がれなかった。
B:画像としては剥離が視認されないが、剥がしたテープの接着面に極僅か着色が見られた。
C:画像部に僅かに白地が見え、剥がしたテープの接着面に着色が見えた。
D:目視で描画部に白点状の剥がれが顕著に見られ、実用不可のレベル。
12 … 溶媒ブロッキング層(第1の層)
13 … コート層(第2の層)
22 … 溶媒吸収層
100… 記録媒体
Claims (9)
- 原紙と、バインダーを含む第1の層と、白色顔料を含む第2の層とが順次積層されており、前記原紙上に配置された前記第1の層の表面におけるJIS P8140に準拠した吸水度試験による接触時間15秒間のコッブ吸水度が5.0g/m2以下であり、前記第2の層の表面におけるブリストー法による接触時間0.5秒間の吸水量が2mL/m2以上8mL/m2以下である記録媒体上に、
色材粒子、水溶性重合性化合物、重合開始剤、及び水を含有するインク組成物を、インクジェット法で付与して画像を形成するインク付与工程を含み、
前記水溶性重合性化合物は、重合性基として(メタ)アクリルアミド基を有し、かつ、分子量を1分子あたりの重合性基の含有数で除した値が84以上175以下である、画像形成方法。 - 前記水溶性重合性化合物は、前記(メタ)アクリルアミド基を2つ以上有する請求項1記載の画像形成方法。
- 前記原紙上に配置された前記第1の層の表面におけるJIS P8140に準拠した吸水度試験による接触時間2分間のコッブ吸水度が2.0g/m2以下である請求項1または請求項2記載の画像形成方法。
- 前記原紙上に配置された前記第1の層の表面におけるJIS P8140に規定される吸水度試験に準拠して、水の代わりにジエチレングリコールを用いて求められる接触時間2分間のコッブ値が5.0g/m2以下であり、かつ、前記第2の層の表面におけるブリストー法に準拠してジエチレングリコールを30質量%含有する水を用いて求められる接触時間0.9秒間の吸液量が1mL/m2以上6mL/m2以下である、請求項1〜請求項3のいずれかに1項記載の画像形成方法。
- 前記インク組成物は、前記水溶性重合性化合物を3〜20質量%含有する、請求項1〜請求項4のいずれか1項記載の画像形成方法。
- 前記インク組成物は、前記色材粒子に対する前記水溶性重合性化合物の含有比率(水溶性重合性化合物/色材粒子)が質量比で1〜30である請求項1〜請求項5のいずれか1項記載の画像形成方法。
- 前記インク組成物は、粘度(25℃)が1〜10mPa・sである請求項1〜請求項6のいずれか1項記載の画像形成方法。
- 前記インク付与工程は、インク組成物の最大付与量が3〜20ml/m2である請求項1〜請求項7のいずれか1項記載の画像形成方法。
- 前記記録媒体上に付与されたインク組成物に、積算照射量10〜5000mJ/cm2で活性エネルギー線を照射する工程をさらに含む請求項1〜請求項8のいずれか1項記載の画像形成方法。
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