JP2010023302A - 記録媒体およびその製造方法、ならびにインクジェット記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高速で画像形成した際にも、色間にじみが防止され、良好な面状の記録媒体の製造方法を提供する。
【解決手段】支持体上にコップ吸水度が2.0g/m2以下の表面を有するバインダー含有層を設け、その上に白色顔料およびバインダーを含む第1の塗布液と、クエン酸などの酸性化合物を含む第2の塗布液とを、支持体上にカーテン方式などで同時重層塗布して、表面のジエチレングリコール吸収容量が2〜8mL/m2以下の記録媒体を製造する。
【選択図】なし

Description

本発明は、記録媒体およびその製造方法、ならびにインクジェット記録方法に関する。
インクジェット装置は、構造が簡易であり、インクジェット装置を用いて行なわれるインクジェット記録によって高画質な画像記録が可能である。インクジェット記録に用いられるインクは、インクジェットヘッドから吐出できるように、数mPa・sから30mPa・s程度の粘度に調整され、20mN/mから40mN/m程度の表面張力となるように設計されている。
インクの粘度が前記範囲内となるように、通常はインク中に質量で50%から90%のインク溶媒が含まれる。インク溶媒としては、水、有機溶媒、オイル、光重合性モノマー等が用いられるが、特に環境適性の観点から水が多用される。また、インク溶媒の乾燥により、インクジェットヘッドの吐出ノズルが目詰まりを引き起こさないように、インク溶媒としてグリセリン等の高沸点溶媒が一般に用いられている。
一方で、インク描画された記録媒体に多量のインク溶媒が存在すると、多量のインク溶媒による画像滲みや色間の混色が発生しやすい。そのため、インク溶媒を吸収する20〜30μm程度の溶媒吸収層(インク受容層)を表面に有するインクジェット専用紙が記録媒体として用いられ、画像滲みや色間の混色が発生するのを抑制している。
また、インク溶媒として水を用いた水性インクの場合、記録時に水が原紙に浸透することにより、カールなどの紙変形が発生するが、記録媒体が原紙(支持体)の上に溶媒吸収層を有すると、水が原紙に浸透するのが抑制され、紙変形を抑制することができる。
特に画像濃度や画像面積率の高いグラフィカルな画像を形成しようとする場合には、記録媒体上の単位面積あたりのインク量が多くなり、溶媒吸収層がインク溶媒の原紙への浸透を抑えきれなくなる。そのため、ポリオレフィン等を用いた樹脂層で被覆された耐水紙(例えばラミネート紙)が一般に使用されている(例えば、特許文献1〜2参照)。
ところが、インクジェット技術は、オフィスプリンター、ホームプリンター等の分野での適用のみならず、近年では、商業印刷分野での応用がなされつつある。この商業印刷分野では、完全にインク溶媒の原紙への浸透をシャットアウトする写真のような表面を有するものではなく、汎用の印刷紙のような印刷の風合いが要求されている。しかし、記録媒体を構成している溶媒吸収層が20〜30μmと厚くなると、記録媒体の表面光沢、質感、こわさ(コシ)等が制限されてしまうため、商業印刷分野でのインクジェット技術の適用は、記録媒体に対する表面光沢、質感、こわさ(コシ)等の制限が許容されるポスター、帳票印刷等に留まっている。
また溶媒吸収層、耐水層を有する記録媒体はコスト高となっており、それも上記制限の一因となっている。
特に、近年、印画の高速化が望まれており、例えば、シングルパスのような高速印刷システムを用いてインクジェット記録する場合、上記のようなインクジェット記録専用紙を用いても十分にインク溶媒を吸収することができず、色間にじみが発生する問題があった。
このような問題を解決するための手段として、インクを打滴する前にインクを凝集させる作用を有する酸を含む液体組成物を打滴する印画方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。また、インク受容層の表面のpHを調整することで、顔料インク適性を改良する方法が開示されている(例えば、特許文献4参照)。
特開2005−238829号公報 特開2005−96285号公報 特開2004−10633号公報 特開2007−130791号公報
しかしながら、上記の特許文献に記載の印画方法や記録媒体ではいずれも、例えば多量のインク溶媒が付与された場合等においてカール等の紙変形を回避し得るような高度の耐水性までは得られない。
また前記特許文献3に記載のような印画方法では、印画プロセスが複雑となることで、高速化の障害となることのみならず、コストの面でも問題が生じるため適切な改善策とは言い難い。また、顔料の凝集効果が強いために、黒色印字部が印字直後から茶色に変色してみえるブロンズ等の印画故障が発生する。
また前記特許文献4に記載のような記録媒体では、原紙とインク受容層との間に設けられた遮断層のP/B比(粒子/バインダー比)が高いために、インクジェット記録時に、インク中の溶媒が原紙に浸透することで、紙変形が紙全体に生じるカールや、部分的に凹凸を生じるカックルが発生するという問題を生じた。特に、画像濃度と画像面積率の高いグラフィカルな画像を形成する場合には、記録媒体上での単位面積あたりのインク量が多くなり、上記問題はより顕著となる。
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、高速で画像形成した際にも、色間混色、画像にじみが防止され、良好な面状を有する記録媒体及びその製造方法、並びに画像記録に伴う色間混色、画像にじみが防止され、オフセット印刷に近い高品質な画像の形成を安価に且つ高速で行なえるインクジェット記録方法を提供することを課題とする。
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 支持体上に、白色顔料およびバインダーを含む第1の塗布液と、酸性化合物を含む第2の塗布液とを同時重層塗布し、塗布層を形成する工程を備える記録媒体の製造方法。
<2> 前記塗布層はカーテン方式で形成される前記<1>に記載の記録媒体の製造方法。
<3> 前記塗布層を形成する前に、前記支持体上にバインダー含有層を設ける工程を更に備える前記<1>または<2>に記載の記録媒体の製造方法。
<4> 前記バインダー含有層の表面におけるJIS P8140に準拠した吸水度試験による接触時間120秒のコッブ吸水度が2.0g/m以下である前記<3>に記載の記録媒体の製造方法。
<5> 前記<1>〜<4>のいずれか1項に記載の記録媒体の製造方法により製造され、支持体上に白色顔料とバインダーと酸性化合物を含む吸収層が設けられた記録媒体。
<6> 前記酸性化合物は、シュウ酸、酒石酸、マロン酸、及びクエン酸よりなる群から選択される少なくとも1種である前記<5>に記載の記録媒体。
<7> 前記酸性化合物は、メタンスルホン酸及びリン酸の少なくとも一方である前記<5>または<6>に記載の記録媒体。
<8> 前記酸性化合物は、コハク酸及びフタル酸の少なくとも一方である前記<5>〜<7>のいずれか1項に記載の記録媒体。
<9> 前記酸性化合物は、ポリリン酸、ポリアクリル酸、ポリスルホン酸、及びポリホスホン酸よりなる群から選択される少なくとも1種である前記<5>〜<8>のいずれか1項に記載の記録媒体。
<10> 前記吸収層の表面におけるジエチレングリコールの吸収容量が2mL/m以上8mL/m以下である前記<5>〜<9>のいずれか1項に記載の記録媒体。
<11> 前記吸収層の表面におけるpH(25℃)が5.5以下である前記<5>〜<10>のいずれか1項に記載の記録媒体。
<12> 前記<5>〜<11>のいずれか1項に記載の記録媒体にインクジェット方式でインクを付与するインク付与工程と、前記インクが付与された記録媒体からインク溶媒の少なくとも一部を乾燥除去する乾燥除去工程と、を有するインクジェット記録方法。
本発明によれば、高速で画像形成した際にも、色間混色、画像にじみが防止され、良好な面状を有する記録媒体及びその製造方法、並びに画像記録に伴う色間混色、画像にじみが防止され、オフセット印刷に近い高品質な画像の形成を安価に且つ高速で行なえるインクジェット記録方法を提供することができる。
<記録媒体の製造方法>
本発明の記録媒体の製造方法は、白色顔料およびバインダーを含む第1の塗布液と、酸性化合物を含む第2の塗布液とを同時重層塗布し、塗布層を形成する工程を備えることを特徴とする。
第1の塗布液と第2の塗布液とを同時重層塗布することで、良好な面状の塗布層を形成することができる。また形成される塗布層には酸性化合物が含有されるため、色間混色、画像にじみが抑制された記録媒体を製造することができる。
(第1の塗布液)
本発明における第1の塗布液は、白色顔料の少なくとも1種とバインダーの少なくとも1種とを含むが、白色顔料とバインダーに加えて、必要に応じて界面活性剤等のその他の成分を含んで構成することができる。
−白色顔料−
前記第1の塗布液は、白色顔料の少なくとも1種を含有する。塗布液が白色顔料を含有することにより、塗布液によって形成される吸収層内にインク(特に、インク中の顔料)を留めることができ、地肌白色度も向上する。
白色顔料としては、特に制限はなく、例えば、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、非晶質シリカ、二酸化チタン、三水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、サチン白、タルクなど、一般に印刷用コート紙の白色顔料として利用されるものの中から選択できる。
中でも、光沢性の点で、カオリンが特に好ましい。カオリンとしては、例えば、白石カルシウム(株)製のカオブライト90、カオグロス、カオホワイト等、(株)イメリスミネラルズ・ジャパン製のコンツアー 1500、アストラプレート、XP03−8390、エンゲルハード社製のミラグロス等を挙げることができる。
カオリンの中でも、アスペクト比が30以上のカオリンがより好ましい。アスペクト比が30以上であると、インク(特にインク中の顔料)を吸収層内に留めやすく、インク定着性をより向上させることができる。
白色顔料の第1の塗布液中における含有率としては、第1の塗布液の全固形分に対して70〜96質量%であることが好ましく、80〜94質量%であることがより好ましい。
また白色顔料の粒子サイズとしては、0.1〜5μmであることが好ましい。粒子サイズが前記範囲内であることで白色度、光沢度がより良好になる。
本発明において白色顔料は、1種単独で用いるほか、2種以上を混合して用いることができる。
−バインダー−
前記第1の塗布液は、バインダーの少なくとも1種を含有することが好ましい。バインダーは、分散のみならず、塗膜強度を向上させる目的で用いられる。
バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール(アセトアセチル変性、カルボキシ変性、イタコン酸変性、マレイン酸変性、シリカ変性及びアミノ基変性等の変性ポリビニルアルコールを含む)、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン類(変性デンプンを含む)、ゼラチン等の水溶性樹脂;アラビヤゴム、カゼイン、スチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、ポリアクリルアミド、酢酸ビニル−ポリアクリル酸共重合体のケン化物等が挙げられる。また、スチレン−ブタジエン共重合物、酢酸ビニル共重合物、アクリロニトリル−ブタジエン共重合物、アクリル酸メチル−ブタジエン共重合物、ポリ塩化ビニリデン等の合成高分子のラテックス系のバインダーが挙げられる。
本発明においては、製造適性の観点から、バインダーとして少なくとも1種の水溶性樹脂を含むことが好ましい。
前記ポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルの低級アルコール溶液をケン化して得られるポリビニルアルコール及びその誘導体が、さらに酢酸ビニルと共重合しうる単量体と酢酸ビニルとの共重合体のケン化物が含まれる。ここで、酢酸ビニルと共重合しうる単量体としては、(無水)マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸及びそのエステル、エチレン、プロピレン等のα−オレフィン、(メタ)アリルスルホン酸、エチレンスルホン酸、スルホン酸マレート等のオレフィンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸ソーダ、エチレンスルホン酸ソーダ、スルホン酸ソーダ(メタ)アクリレート、スルホン酸ソーダ(モノアルキルマレート)、ジスルホン酸ソーダアルキルマレート等のオレフィンスルホン酸アルカリ塩、N−メチロールアクリルアミド、アクリルアミドアルキルスルホン酸アルカリ塩等のアミド基含有単量体、さらには、N−ビニルピロリドン誘導体等が挙げられる。
ポリビニルアルコールのうち、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールは、一般には、前記ポリビニルアルコール系樹脂の溶液、分散液あるいは粉末に、液状又はガス状のジケテンを添加反応させて製造することができる。アセトアセチル変性ポリビニルアルコールのアセチル化度は、目的とする品質に応じて適宜選定することができるが、0.1モル%〜20モル%が好ましく、より好ましくは0.5モル%〜10モル%である。
前記ポリビニルアルコールの重合度としては特に制限はなく、例えば、300〜5000の重合度のものを用いることができる。中でも、塗膜強度の観点から、1500〜5000であることが好ましい。
本発明においては、2種以上のポリビニルアルコールを併用してもよい。併用するポリビニルアルコールとしては、けん化度が異なるものであっても、重合度が異なるものであってもよい。本発明においては、少なくとも重合度が異なる2種以上のポリビニルアルコールを併用することが好ましく、重合度が1500未満のポリビニルアルコールと重合度が1500以上のポリビニルアルコールとを併用することがより好ましい。
バインダーとしては更に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のα−オレフィンの単独重合体又はこれらの混合物等のポリオレフィン類;ポリアミドやポリイミド類;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル類;等の汎用の熱可塑性重合体をはじめ、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸フェニル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;スチレン、クロルスチレン、ビニルスチレン等のスチレン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;等からなる単独重合体、あるいはこれらの構成単位を含む任意の共重合体など、公知の熱可塑性樹脂やそのラテックスの中から適宜選択することができる。
中でも、塗膜強度の観点から、熱可塑性樹脂が好ましく、ラテックスがより好ましい。ラテックスとしては、アクリル系ラテックス、アクリルシリコーン系ラテックス、アクリルエポキシ系ラテックス、アクリルスチレン系ラテックス、アクリルウレタン系ラテックス、スチレン−ブタジエン系ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン系ラテックス、ポリエステル系ウレタンラテックス、及び酢酸ビニル系ラテックス等の熱可塑性樹脂のラテックスが挙げられる。
特には、塗膜強度の観点から、アクリル系ラテックス、スチレン−ブタジエン系ラテックス、ポリエステル系ウレタンラテックス、酢酸ビニル系ラテックスであることが好ましく、スチレン−ブタジエン系ラテックスであることがより好ましい。
前記ラテックスの分子量としては、数平均分子量で3,000〜1,000,000が好ましく、特に5,000〜100,000程度のものがより好ましい。該分子量は、3,000以上であると吸収層の力学強度を確保でき、1,000,000以下であると分散安定性や粘度等の製造適性面で有利である。
具体的には、アクリル系ラテックスとしては、市販品も使用でき、例えば、以下のような水分散性ラテックスが利用できる。すなわち、アクリル系樹脂の例として、ダイセル化学工業(株)製の「セビアンA4635、46583、4601」など、日本ゼオン(株)製の「Nipol Lx811、814、821、820、857」等が挙げられる。特に、特開平10−264511号、特開2000−43409号、特開2000−343811号、特開2002−120452号の各公報に記載のアクリルシリコンラテックスのアクリルエマルジョン(市販品としては、例えば、ダイセル化学工業(株)製のアクアブリッドシリーズ UM7760、UM7611、UM4901、アクアブリッド903、同ASi−86、ASi−89、同ASi−91、ASi−753、同4635、同4901、同MSi−04S、同AU−124、同AU−131、同AEA−61、同AEC−69、同AEC−162など)等も好適に使用することができる。
また、ポリエステル系ウレタンラテックスとしては、例えば、市販品として、大日本インキ化学工業(株)製のHYDRAN APシリーズ(例えば、HYDRAN AP−20、同AP−30、同AP−30F、同AP−40(F)、同AP−50LM、同APX−101H、同APX−110、同APX−501など)等が挙げられる。
さらに、スチレン−ブタジエン系ラテックスとしては、例えば、市販品として、SN307(日本エイアンドエル社製)等を挙げることができる。
なお、上記の熱可塑性樹脂は、上記から少なくとも1種を選択して用いるのが好ましく、1種単独で用いるのみならず、2種以上を併用してもよい。
バインダーの前記第1の塗布液中における含有量としては、該塗布液の全固形分に対して、15〜95質量%が好ましく、30〜90質量%がより好ましい。該含有量が特に前記範囲内であると、カレンダー処理を施したときに光沢性、平面性が良好であり、インク溶媒の吸収性が得られ、経時滲みの発生をより効果的に防止することができる。
(第2の塗布液)
本発明における第2の塗布液は、酸性化合物の少なくとも1種を含み、必要に応じて、バインダー、界面活性剤等のその他の成分を含んで構成することができる。
第2の塗布液は、同時重層塗布される第1の塗布液とともに塗布層を形成し、該塗布層を、例えば、乾燥・硬膜することで支持体上に吸収層が形成される。前記酸性化合物は、吸収層において、付与されたインクを凝集させ、インクの定着を向上させることができる。すなわち、例えば、着色成分として顔料を含むインクの場合、吸収層に着滴した際に、pH変化で顔料が凝集し、インクの経時滲み、色間混色、画像にじみを防止することができる。
−酸性化合物−
前記酸性化合物としては、公知の酸性化合物を用いることができ、例えば、塩酸、硝酸のほか、リン酸基、ホスホン基、ホスフィン基、硫酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基又はカルボン酸基あるいはこれらの塩由来の基を有する化合物を用いることができる。また、酸ポリマーも好適に用いることができる。
例えば、リン酸基を有する化合物としては、リン酸、ポリリン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩がある。カルボン酸基を有する化合物としては、フラン、ピロール、ピロリン、ピロリドン、ピロン、ピロール、チオフェン、インドール、ピリジン、キノリン構造を有し、更に官能基としてカルボキシル基を有する化合物等、例えば、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩等がある。
上記酸性化合物の中でも塩酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸、ホスホン酸、リン酸、ポリリン酸、メタリン酸、シュウ酸、酒石酸、リンゴ酸、マロン酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、サリチル酸、フタル酸、乳酸、酢酸、トリクロロ酢酸、クロロ酢酸、2−ピロリドン−5−カルボン酸、ピコリン酸、キノリン酸、ポリアクリル酸、ポリスルホン酸、およびポリホスホン酸が好ましく、紙の長期保存・長期安定性の点でシュウ酸、酒石酸、マロン酸、およびクエン酸がより好ましく、顔料インクの凝集速さの点でメタンスルホン酸、およびリン酸がさらに好ましく、画像固定性の点でコハク酸、およびフタル酸がさらに好ましい。
特に、吸収層に含有する酸性化合物として、酸ポリマー、特に、ポリリン酸、ポリアクリル酸、ポリスルホン酸、ポリホスホン酸を用いると、これらの酸性化合物が紙中に拡散しにくくなるため、経時で色間にじみが悪化することが抑制され、印画前の紙の長期保存性の点で好ましい。
上記酸性化合物は、1種のみを用いてもよいし、複数種を組合せて用いてもよい。
これらの酸性化合物の添加量については特に制限はないが、吸収層の表面におけるpHを所望の値に調整するように、添加量を適宜選択することができる。尚、吸収層の表面におけるpHについては後述する。
本発明における第2の塗布液は、少なくとも1種のバインダーを含むことが好ましい。第2の塗布液におけるバインダーとしては、上記第1の塗布液におけるバインダーを特に制限なく用いることができる。
本発明における第1の塗布液および第2の塗布液(以下、単に「塗布液」ということがある)は、上記必須成分に加えて界面活性剤、硬膜剤、水溶性多価金属塩等のその他の成分を含んでいてもよい。
−界面活性剤−
本発明に適用できる界面活性剤としては特に制限はなく、例えば、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、ベタイン界面活性剤等が挙げられる。
界面活性剤の具体的な例としては、炭化水素系では脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン系界面活性剤が好ましい。また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&ChemicaLs社)も好ましく用いられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。
更に、特開昭59−157636号の第(37)〜(38)頁、リサーチ・ディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも用いることができる。
また、特開2003−322926号、特開2004−325707号、特開2004−309806号の各公報に記載されているようなフッ素(フッ化アルキル系)系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等を用いることにより、耐擦性を良化することもできる。
−硬膜剤−
また塗布液には、必要に応じて、これらのバインダーの種類に応じて選択されるバインダーの硬膜剤を添加してもよい。
硬膜剤としては、アルデヒド系化合物、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサン及びその誘導体、及びハメットの置換基定数σが正である置換基に隣接するビニル基を単一分子内に二つ以上有する化合物から選択することができる。
吸収層に硬膜剤を含有することにより、吸収層形成用の造膜液を増粘させることなく、記録媒体の耐水性を向上させることができる。これより、吸収層形成用の造膜液の塗布安定性が向上し、作製された記録媒体の耐水性も向上する。
ハメットの置換基定数σが正である置換基としては、CF基(σ値:0.54)、CN基(σ値:0.66)、COCH基(σ値:0.50)、COOH基(σ値:0.45)、COOR(Rはアルキル基を表す。)基(σ値:0.45)、NO基(σ値:0.78)、OCOCH基(σ値:0.31)、SH基(σ値:0.15)、SOCH基(σ値:0.49)、SOCH基(σ値:0.72)、SONH基(σ値:0.57)、SCOCH基(σ値:0.44)、F基(σ値:0.06)、Cl基(σ値:0.23)、Br基(σ値:0.23)、I基(σ値:0.18)、IO基(σ値:0.76)、N(CH基(σ値:0.82)、S(CH基(σ値:0.90)等が挙げられる。
ハメットの置換基定数σが正である置換基に隣接するビニル基を単一分子内に二つ以上有する化合物としては、2−エチレンスルホニル−N−[2−(2−エチレンスルホニル−アセチルアミノ)−エチル]アセトアミド、ビス−2−ビニルスルホニルエチルエーテル、ビスアクリロイルイミド、N−N’−ジアクリロイルウレア、1,1−ビスビニルスルホンエタン、エチレン−ビス−アクリルアミドの他、下記構造式で表されるジアクリレート及びジメタクリレート化合物が挙げられ、この中でも2−エチレンスルホニル−N−[2−(2−エチレンスルホニル−アセチルアミノ)−エチル]アセトアミドが特に好ましい。
Figure 2010023302

硬膜剤の前記塗布液中における含有量は、前記バインダーの固形分に対して、0.1質量%以上30質量%以下が好ましく、0.5質量%以上10質量%以下がより好ましい。硬膜剤の含有量が前記範囲内であると、吸収層形成用の塗布液が増粘せず、記録材料の耐水性を向上させることができる。
−水溶性多価金属塩−
前記塗布液には、経時にじみを抑制する観点から、更に水溶性多価金属化合物を含有することが好ましい。前記水溶性多価金属化合物としては、カルシウム、バリウム、マンガン、銅、コバルト、ニッケル、アルミニウム、鉄、亜鉛、ジルコニウム、チタン、クロム、マグネシウム、タングステン、モリブデンが挙げられ、これらの金属の水溶性塩として用いることができる。
具体的には、例えば、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、乳酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガン二水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)二水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、硫酸アルミニウム、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物、乳酸アルミニウム、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、酢酸ジルコニル、硝酸ジルコニル、塩基性炭酸ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、炭酸ジルコニル・アンモニウム、炭酸ジルコニル・カリウム、硫酸ジルコニル、フッ化ジルコニウム、塩化ジルコニウム、塩化ジルコニウム八水和物、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、塩化チタン、硫酸チタン、酢酸クロム、硫酸クロム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、乳酸マグネシウム、リンタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストリン酸n水和物、12タングスト珪酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドリン酸n水和物等が挙げられる。
ここで、前記水溶性多価金属化合物における「水溶性」とは、常温常圧下で水に1質量%以上溶解することを意味する。
上記以外の水溶性アルミニウム化合物として、塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が好ましく用いられる。前記塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物は、主成分が、下記一般式1、下記一般式2、または下記一般式3で示される。例えば、[Al(OH)153+、[Al(OH)204+、[Al13(OH)345+、[Al21(OH)603+等のような塩基性で高分子の多核縮合イオンを安定に含んでいる水溶性のポリ水酸化アルミニウムである。
[Al(OH)Cl6−n 一般式1
[Al(OH)AlCl 一般式2
Al(OH)Cl(3n−m) 0<m<3n 一般式3
これらのものは、多木化学(株)よりポリ塩化アルミニウム(PAC)の名で水処理剤として市販され、浅田化学(株)よりポリ水酸化アルミニウム(Paho)の名で市販され、(株)理研グリーンよりピュラケムWTの名で市販されている。また、他のメーカーからも同様の目的を持って市販されており、各種グレードの物が容易に入手できる。本発明ではこれらの市販品をそのままでも使用できる。これらの塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物は、特公平3−24907号公報、同平3−42591号公報にも記載されている。
前記した水溶性多価金属化合物の中でも、画像の耐水性の点で、アルミニウム化合物及びジルコニウム化合物が好ましく、さらにアルミニウム化合物の中では、塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が好ましい。
前記水溶性多価金属化合物の添加量は、前記塗布液の全固形分に対して、0.1〜10質量%の範囲であることが好ましい。
本発明における第1の塗布液と第2の塗布液は、構成成分および各構成成分の含有率の少なくとも一方が互いに異なることが好ましい。具体的には、第1の塗布液は、第2の塗布液の必須成分である酸性化合物の含有率が1質量%以下であることが好ましく、酸性化合物を含まないことがより好ましい。また第2の塗布液は、第1の塗布液の必須成分である白色顔料の含有率が5質量%以下であることが好ましく、白色顔料を含まないことがより好ましい。かかる構成であることにより、第1および第2の塗布液によって形成される塗布層の面状がより良好になる。
(支持体)
本発明における支持体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の支持体の中から適宜選択することができる。中でもパルプを含む紙支持体が好ましい。
原紙の原料として使用できるパルプとしては、原紙の表面平滑性、剛性及び寸法安定性(カール性)を同時にバランス良く、かつ高いレベルにまで向上させる点から、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)が望ましい。また、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)や広葉樹サルファイトパルプ(LBSP)等を使用することもできる。
パルプの叩解には、ビータやリファイナー等を使用できる。パルプを叩解した後に得られるパルプスラリー(以下、「パルプ紙料」ということがある。)には、必要に応じて各種添加材、例えば、填料、乾燥紙力増強剤、サイズ剤、湿潤紙力増強剤、定着剤、pH調整剤、その他の薬剤等が添加される。
填料としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー、カオリン、白土、タルク、酸化チタン、珪藻土、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。
乾燥紙力増強剤としては、例えば、カチオン化澱粉、カチオン化ポリアクリルアミド、アニオン化ポリアクリルアミド、両性ポリアクリルアミド、カルボキシ変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。
サイズ剤としては、例えば、脂肪酸塩、ロジン、マレイン化ロジン等のロジン誘導体、パラフィンワックス、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水琥珀酸(ASA)、エポキシ化脂肪酸アミド等が挙げられる。
湿潤紙力増強剤としては、例えば、ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリン、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ化ポリアミド樹脂等が挙げられる。
定着剤としては、例えば、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム等の多価金属塩、カチオン化澱粉等のカチオン性ポリマー等が挙げられる。
pH調整剤としては、例えば、苛性ソーダ、炭酸ソーダ等が挙げられる。
その他の薬剤としては、例えば、消泡剤、染料、スライムコントロール剤、蛍光増白剤等が挙げられる。
また、パルプ紙料には、必要に応じて、柔軟化剤等を添加することもできる。柔軟化剤については、例えば、新・紙加工便覧(紙薬タイム社編)554〜555頁(1980年発行)に記載がある。
表面サイズ処理に使用される処理液には、例えば、水溶性高分子、サイズ剤、耐水性物質、顔料、pH調整剤、染料、蛍光増白剤等が含まれていてもよい。
水溶性高分子としては、例えば、カチオン化澱粉、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースサルフェート、ゼラチン、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム、スチレン−無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
サイズ剤としては、例えば、石油樹脂エマルジョン、スチレン−無水マレイン酸共重合体アルキルエステルのアンモニウム塩、ロジン、高級脂肪酸塩、アルキルケテンダイマー(AKD)、エポキシ化脂肪酸アミド等が挙げられる。
耐水性物質としては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、塩化ビニリデン共重合体等のラテックス・エマルジョン類、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン等が挙げられる。
顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、硫酸バリウム、酸化チタン等が挙げられる。
pH調整剤としては、例えば、塩酸、苛性ソーダ、炭酸ソーダ等が挙げられる。
原紙の材料の例としては、上記した天然パルプ紙の他に、合成パルプ紙、天然パルプと合成パルプの混抄紙、更には各種の抄き合わせ紙を挙げることができる。
原紙の厚みとしては、30〜500μmが好ましく、より好ましくは50〜300μmであり、さらに好ましくは70〜200μmである。
本発明における支持体は、前記紙支持体そのものであっても、前記紙支持体上に後述するバインダー含有層が予め設けられたものであってもよい。バインダー含有層が予め設けられていることにより、前記塗布液の染み込みが抑えられ、形成される塗布層の塗布面状が良好になり、インク溶媒を速やかに透過するのに充分な微孔性を有する層に構成することができる。
(同時重層塗布)
本発明の記録媒体の製造方法においては、支持体上に、第1の塗布液と第2の塗布液とを同時重層塗布して、支持体上に塗布層を形成する。構成の異なる2つの塗布液を同時重層塗布して塗布層を形成することにより、塗布層の面状を良好な状態とすることができる。
同時重層塗布には、通常用いられる方法を特に制限なく用いることができる。中でも塗布層の面状性の観点から、スライドビード方式、カーテン方式、エクストルージョン方式であることが好ましく、カーテン方式であることがより好ましい。
本発明において、第1の塗布液と第2の塗布液の同時重層塗布における積層順は特に制限はなく、第1の塗布液が支持体に近い側であっても、第2の塗布液が支持体に近い側であってもよい。また、第1の塗布液および第2の塗布液以外の他の塗布液が同時重層塗布されてもよい。
中でも、塗布層の面状と色間混色および画像にじみ抑制の観点から、第1の塗布液が支持体に近い側であって、第1の塗布液の上に第2の塗布液が積層された状態で同時重層塗布されることが好ましい。
本発明における第1の塗布液と第2の塗布液の塗布量は、目的に応じて適宜選択することができる。面状性の観点から、第1の塗布液の塗布量として10〜200mL/mであることが好ましく、20〜100mL/mであることがより好ましい。また、色間混色および画像にじみ抑制の観点から、第2の塗布液の塗布量が3〜50mL/mであることが好ましく、5〜30mL/mであることがより好ましい。
さらに本発明においては、第1の塗布液の塗布量が10〜200mL/mであって、第2の塗布液の塗布量が3〜50mL/mであることが好ましく、第1の塗布液の塗布量が20〜100mL/mであって、第2の塗布液の塗布量が5〜30mL/mであることがより好ましい。
本発明の記録媒体の製造方法は、塗布層形成工程に加えて、必要に応じてその他の工程を含んで構成することができる。その他の工程としては例えば、後述するバインダー含有層を設ける工程、および塗布層を乾燥・硬膜する工程等挙げることができる。
本発明においては、支持体上にバインダー含有層を設ける工程と、前記バインダー含有層上に第1および第2の塗布液を同時重層塗布し塗布層を形成する工程とを備えることが好ましい。
−バインダー含有層を設ける工程−
本発明においては、支持体上にバインダーの少なくとも1種を含む層(バインダ−含有層)を設ける工程を更に含むことが好ましい。これにより、記録媒体上に画像を形成した場合におけるカールやカックルなどの紙変形の発生をより効果的に抑制することができる。
本発明におけるバインダー含有層は、バインダーの少なくとも1種を含み、必要に応じて、白色顔料、硬膜剤、層状無機化合等のその他の成分を含んで構成されるバインダー含有層形成用の造膜液を支持体上に付与することで形成することができる。
前記造膜液におけるバインダーとしては特に制限はなく、上述の第1の塗布液におけるバインダーを好適に適用することができる。中でも、インク溶媒の浸透を抑え、良好な表面性状を得る観点から、熱可塑性樹脂であることが好ましく、熱可塑性樹脂粒子を含むラテックスであることがより好ましい。
熱可塑性樹脂については、既述の第1の塗布液で使用可能な熱可塑性樹脂及びそのラテックスと同様のものを挙げることができ、特に制限はない。熱可塑性樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)としては、5〜70℃が好ましく、特に15〜50℃が好ましい。前記Tgが特に前記範囲内であると、バインダー含有層形成用の造膜液(例えば塗布液)のカワバリ等の問題が防止される等、製造上の取扱いが容易であり、またTgが高すぎてカレンダー温度をかなり高く設定しないと所望の光沢が得られない、金属ロール表面への接着が発生し易く逆に面状が悪化する等の支障を来すこともなく、容易に高光沢性、高平面性を得ることができる。
また、前記熱可塑性樹脂粒子としては、平均粒径が10〜200nmのものが好ましい。ここで、熱可塑性樹脂粒子の平均粒径は、動的光散乱法(装置名:大塚電子(株)製、ELS−800)により測定される値である。
また、熱可塑性樹脂粒子を構成する熱可塑性樹脂は、最低造膜温度(MFT)が5〜60℃であることが好ましく、20〜60℃がより好ましく、25〜50℃がさらに好ましい。造膜しようとしたときの造膜可能な最低造膜温度領域が特に前記範囲内であると、吸収層形成用の塗布液のカワバリ等の問題が防止される等、製造上の取扱いが容易である。
熱可塑性樹脂の塗布量としては、1〜30g/mであることが好ましい。
熱可塑性樹脂粒子としては、カールやカックルの抑制や経時滲みの改善及び製造適性等の観点より、水分散性ラテックスの分散粒子を含むものが好ましい。水分散性ラテックスは、水に不溶ないし難溶な疎水性ポリマーが微細な粒子として水相の分散媒体中に分散したものである。この分散状態としては、ポリマーが分散媒体中に乳化されているもの、乳化重合されたもの、ミセル分散されたもの、あるいはポリマー分子中に部分的に親水的な構造を持ち分子鎖自身が分子状分散したもの等のいずれでもよい。このような水分散性ラテックスについては、奥田平・稲垣寛編集「合成樹脂エマルジョン」(高分子刊行会発行、1978)、杉村孝明・片岡靖男・鈴木聡一・笠原啓司編集「合成ラテックスの応用」(高分子刊行会発行、1993)、室井宗一著「合成ラテックスの化学」(高分子刊行会発行、1970)等に詳しく記載されている。
前記水分散性ラテックスとしては、具体的には、ポリエステル系ウレタンラテックス、アクリル系ラテックス、アクリルシリコーン系ラテックス、アクリルエポキシ系ラテックス、アクリルスチレン系ラテックス、アクリルウレタン系ラテックス、スチレン−ブタジエン系ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン系ラテックス、及び酢酸ビニル系ラテックスより選択される少なくとも1種が好適に挙げられる。
前記水分散性ラテックスの分子量としては、数平均分子量で3,000〜1,000,000が好ましく、特に5,000〜100,000程度のものがより好ましい。該分子量は、3,000以上であるとバインダー含有層の力学強度を確保でき、1,000,000以下であると分散安定性や粘度等の製造適性面で有利である。
前記水分散性ラテックスの中でも、バインダー含有層においては、インク溶媒浸透性とコックリング抑制の効果が高く経済性と製造適性を兼備できる観点より、ポリエステル系ウレタンラテックス及びアクリルシリコーン系ラテックスより選択される1種もしくは2種以上が最も好ましい。
バインダー含有層における白色顔料としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、リトポン、アルミナ白、酸化亜鉛、シリカ三酸化アンチモン、燐酸チタン、水酸化アルミニウム、カオリン、クレー、タルク、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、等が挙げられる。
上記のうち、白色度、分散性及び安定性の点で、特に酸化チタンが好ましい。また、水遮断性の点で、特にカオリンが好ましい。カオリンとしては、例えば、白石カルシウム(株)製のカオブライト90、カオグロス、カオホワイト等、などを挙げることができる。
また、バインダー含有層が白色顔料を含むことにより、バインダー含有層を形成した後にカレンダー処理するときには、カレンダーへの貼りつきを防止することもできる。
白色顔料の粒子サイズとしては、0.1〜5μmであることが好ましい。粒子サイズが前記範囲内であると、白色度、光沢度が良好になる。
酸化チタンは、ルチル系、アナターゼ型のいずれでもよく、これらを単独もしくは混合して使用することができる。また、硫酸法で製造されたものや塩素法で製造されたもののいずれでもよい。前記酸化チタンとしては、含水アルミナ処理、含水二酸化ケイ素系処理、又は酸化亜鉛処理等の無機物質による表面被覆処理したもの、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、2,4−ジヒドロキシ−2−メチルペンタン等の有機物質による表面被覆処理したもの、あるいはポリジメチルシロキサン等のシロキサン処理したもの等から適宜選択できる。
白色顔料の屈折率としては、1.5以上であることが好ましい。屈折率が該範囲にある白色顔料を含むと、高画質画像を形成することができる。
また、白色顔料のBET法による比表面積としては100m/g未満であることが好ましい。この範囲の比表面積を持つ白色顔料を含むことで、バインダー含有層上に吸収層を形成する際の塗布液の染み込みが抑えられ、吸収層のインク吸収性を高めることができる。
前記BET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の1つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、すなわち比表面積を求める方法である。通常吸着気体として窒素ガスが用いられ、吸着量を被吸着気体の圧又は容積の変化から測定する方法が一般的である。多分子吸着の等温線を表す著名なものとして、Brunauer Emmett, Tellerの式(BET式)があり、これに基づき吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて表面積が得られる。
白色顔料は、1種単独で用いるほか、2種以上を混合して用いることができる。
白色顔料のバインダー含有層中における含有量としては、白色顔料の種類や熱可塑性樹脂の種類、層厚等によって異なるが、前記バインダーの質量(固形分)に対して、通常は5〜200質量%程度が望ましい。
バインダー含有層における硬膜剤としては特に制限はなく、前記第1および第2の塗布液における硬膜剤として挙げた硬膜剤を好適に適用することができる。またバインダー含有層における含有率は、前記バインダーの固形分に対して、0.1〜30質量%であることが好ましく、0.5〜10質量%であることがより好ましい。硬膜剤の含有率が前記範囲内であることにより、バインダー含有層形成用の造膜液が増粘せず、記録媒体の耐水性を向上させることができる。
バインダー含有層は、さらに層状無機化合物を含有してもよい。層状無機化合物としては、膨潤性無機層状化合物が好ましく、例えば、ベントナイト、ヘクトライト、サポナイト、ビーデライト、ノントロナイト、スチブンサイト、バイデライト、モンモリナイト等の膨潤性粘度鉱物類、膨潤性合成雲母、膨潤性合成スメクタイト等が挙げられる。膨潤性無機層状化合物は、1〜1.5nmの厚さの単位結晶格子層からなる積層構造を有し、格子内金属原子置換が他の粘土鉱物よりも著しく大きいため、格子層は正荷電不足を生じ、それを補償するために層間にNa、Ca2+、Mg2+等の陽イオンを吸着している。これらの層間に介在している陽イオンは交換性陽イオンと呼ばれ、いろいろな陽イオンと交換する。特に層間の陽イオンがLi、Na等の場合、イオン半径が小さいため、層状結晶格子間の結合が弱く、水により大きく膨潤する。その状態でシェアーをかけると容易に劈開し、水中で安定したゾルを形成する。ベントナイト及び膨潤性合成雲母は、この傾向が強い点で好ましい。特には、水膨潤性合成雲母が好ましい。
水膨潤性合成雲母としては、NaテトラシックマイカNaMg2.5(Si10)FNa、Liテニオライト(NaLi)Mg(Si10)FNa、又はLiヘクトライト(NaLi)/3Mg/3Li1/3Si10)F等が挙げられる。
水膨潤性合成雲母のサイズは、好ましくは、厚さが1〜50nm、面サイズが1〜20μmである。拡散制御のためには、厚さは薄ければ薄いほどよく、平面サイズは塗布面の平滑性及び透明性を悪化しない範囲で大きいほどよい。したがって、アスペクト比は100以上が好ましく、より好ましくは200以上、特に好ましくは500以上である。
前記水膨潤性合成雲母を用いる場合、バインダー含有層中のバインダーの質量(固形分)xと水膨潤性合成雲母の質量yとの質量比率x/yは、1以上30以下の範囲が好ましく、5以上15以下の範囲がより好ましい。該質量比率が前記範囲内であると、酸素透過抑制、ブリスター発生の抑制に効果が大きい。
なお、バインダー含有層には、酸化防止剤等の公知の添加剤を更に添加することもできる。
バインダー含有層形成用の造膜液の付与は、造膜可能な方法であれば特に制限はなく、例えば、塗布法、インクジェット法、浸漬法など任意の公知の方法により行なえるが、造膜後の膜面が平滑である点で、バインダー含有層形成用造膜液を塗布液として用いた塗布法によるのが好ましい。
塗布法には、公知の塗布方法が適用可能であり、公知の塗布方法として、例えば、ブレード塗布方式、スライドビード方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、エアナイフ方式、ロールコーティング方式、ケッドバーコーティング方式等が挙げられる。
本発明においては、塗布後、塗布形成された塗膜を、熱可塑性樹脂の最低造膜温度以上の温度領域で加熱処理することが好ましい。加熱処理は、塗布後の乾燥処理と兼ねて行なってもよいし、別々に行なうようにしてもよい。加熱処理は、例えば、前記最低造膜温度以上の温度のオーブン中に入れる、前記最低造膜温度以上の温度の乾燥風をあてる、等の方法により行なうことができる。
バインダー含有層の厚みとしては、1〜30μmの範囲が好ましく、5〜20μmの範囲がより好ましい。バインダー含有層の厚みが前記範囲内であると、後にカレンダー処理を施したときの表面の光沢性が向上し、少量の白色顔料での白色性が得られると同時に、折り曲げ適性などの取扱い性をコート紙やアート紙と同等にすることができる。
<記録媒体>
本発明の記録媒体は、上記記録媒体の製造方法によって製造され、支持体上に、白色顔料とバインダーと酸性化合物とを含む吸収層が設けられていることを特徴とする。
吸収層が白色顔料と酸性化合物とを含むことにより、色間混色、画像にじみの発生を効果的に抑制することができる。
本発明の記録媒体における吸収層は、上記記録媒体の製造方法における塗布層を形成する工程によって形成された塗布層に由来する。前記吸収層は、例えば、前記塗布層を乾燥・硬膜して形成することができる。
吸収層の厚みとしては、3μm〜50μmの範囲が好ましく、4μ〜40μmの範囲がより好ましい。吸収層の厚みが3μm以上あれば、吸収層の吸水量の低下を抑えられ、色間混色・にじみ発生を防止することができる。また、吸収層が50μm以下であれば、脆性、耐傷性等の取り扱い性に優れる。
本発明の記録媒体は、前記支持体と前記吸収層との間に、バインダー含有層が設けられていることが好ましい。これにより、記録媒体上に画像を形成した場合におけるカールやカックルなどの紙変形の発生を効果的に抑制することができる。
本発明の記録媒体には、その他の層として上記バインダー含有層及び吸収層以外の他の層を設けられてもよい。他の層としては、目的に応じて適宜選択することができる。
本発明においては、画像形成時における紙変形の発生抑制と吸収層の面状の観点から、支持体上に設けられたバインダー含有層の表面におけるJIS P8140に準拠した吸水度試験による接触時間120秒のコッブ吸水度が2.0g/m以下であることが好ましく、1.0g/m以下であることがより好ましい。またコッブ吸水度の下限値は0.2g/mであることが好ましい。
前記コッブ吸水度は、JIS P8140に準拠した吸水度試験により測定されるものであり、支持体の片面、具体的にはバインダー含有層が設けられた支持体のバインダー含有層の表面から一定時間水が接触した場合に吸収される水の量を測定したものである。本発明においては、接触時間は120秒間である。
バインダー含有層のコッブ吸水度が低いと、吸収層塗布時の吸収層形成用塗布液はバインダー含有層にしみ込みにくくなる。従って、バインダー含有層と吸収層との界面が比較的わかりやすくなる。
また、吸収層は一般的にマジックインキ(登録商標、寺西化学工業(株)販売)が染み込みやすく容易に染色するが、バインダー含有層が例えば、スチレン−ブタジエン系やアクリル−ウレタン系のラテックスが主成分である場合や、コッブ吸水度が2g/m以下の場合には、マジックインキ(登録商標)が染み込みにくいため染色されにくい。このような現象を利用して、マジックインキ(登録商標、極太)で吸収層を染色させた後、剃刃等で吸収層のみを削り取ることが可能である。
この方法で吸収層を削り取ったあとのバインダー含有層のコッブ吸水度を予測することが可能である。但し、サンプルの表面性などにより、均一に切削できないため、削りすぎによるバインダー含有層の破壊によりコッブ吸水度が高くなる場合があることや、吸収層が残るため、コッブ吸水度の測定値が高くなる場合があるため、1サンプルにつき、最低5回の測定を行い、最小値および最大値を除く最低3回の平均値を吸収層切削後の、バインダー含有層の表面におけるコッブ吸水度とする。
吸収層切削後のバインダー含有層の表面におけるコッブ吸水度は、吸収層を設ける前のバインダー含有層の表面におけるコッブ吸水度より、0.5〜3g/m程度高くなる場合がある。従って、吸収層切削後のバインダー含有層の表面におけるコッブ吸水度が5g/m以下であれば、吸収層を設ける前のバインダー含有層の表面におけるコッブ吸水度が2g/m以下である可能性がある。
さらに、上記マジックインキ(登録商標)の染色挙動から、バインダー含有層の表面におけるコッブ吸水度が2g/m以下であれば、ウラ面へのマジックインキ(登録商標)の裏移りがほとんどないか、斑点状に裏移りする箇所が認められる程度となる。従ってこのような挙動が現れれば、バインダー含有層の表面におけるコッブ吸水度が2g/m以下であることが推測される。
また本発明においては、紙変形の発生抑制と画像形成時の色間混色・にじみ抑制の観点から、前記吸収層の表面におけるジエチレングリコールの吸収容量が2mL/m以上8mL/m以下であることが好ましく、2mL/m以上4mL/m以下であることがより好ましい。
本発明においてジエチレングリコールの吸収容量は、以下のようにして測定される。すなわち、記録媒体を10cm四方となるようにカットして得た試験片の吸収層上に、ジエチレングリコール1mLを滴下し、30秒後に過剰分をふき取り、滴下前後の質量差からジエチレングリコール吸収容量(mL/m)を求めることができる。
さらに本発明における吸収層は、色間混色・にじみの発生を抑制するために、その層表面のpHを5.5以下とすることが好ましく、pH4.5以下であることがより好ましく、pH4.0以下であることがより好ましく、pH3.7以下であることが特に好ましい。
また、記録媒体の取り扱いの際における安全上の問題を回避し、また、吸収層中にpHの低い酸があることにより、記録媒体の長期保存時に紙が損傷し易くなり却って色間にじみ等の印画故障を発生することを防止するため、吸収層の層表面のpHは、2.0以上とすることが好ましく、2.5以上がより好ましい。
pHの測定は、日本紙パルプ技術協会(J.TAPPI紙)の定めた膜面PHの測定のうちA法(塗布法)により行なうことができ、例えば、A法に相当する、(株)共立理化学研究所製の紙面用PH測定セット「形式MPC」を使用して行なうことができる。形式MPCでは、紙面に試験液を塗り広げてその色を標準色と比較して測定される。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、吸収層に予め酸性化合物を含ませて層表面のpHを下げた本発明の記録媒体に対して、インク描画等を行なうインクジェット記録方式である。すなわち、本発明の記録媒体にインクジェット方式でインクを付与するインク描画工程と、インクが付与された記録媒体からインク溶媒の少なくとも一部を乾燥除去する乾燥除去工程と、を設けて構成される。
また必要に応じて、さらに適宜選択された他の工程を有してもよい。
−インク描画工程−
インク描画工程は、本発明の記録媒体の吸収層にインクジェット方式でインクを付与することにより、所定の画像データに応じてインク描画する。インク(例えば顔料インク)が吸収層に付与されると、着滴時のpH変化でインク(例えばインク中の顔料)が凝集し、これによりインクの滲み、色間混色が防止される。
インク描画工程においては、インクジェット方式によりインクを吐出することによってインク描画する。インクジェット方式には、特に制限はなく、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出する電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出する音響型インクジェット方式、インクを加熱して気泡を形成し、発生した圧力を利用するサーマル型インクジェット方式、等のいずれであってもよい。なお、前記インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式、が含まれる。
上記のうち、ピエゾ素子を用いたドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)が好適である。
−乾燥除去工程−
乾燥除去工程は、インクが付与された前記記録媒体からインク溶媒の少なくとも一部を乾燥除去する。記録媒体に付与されたインクのインク溶媒を乾燥除去する方法には特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
乾燥除去工程は、本発明の記録媒体においては吸収層としてのコート層が緩浸透性であるので、インク溶媒(特に水)が記録媒体の表面付近に存在する状態で実施される。乾燥除去は、例えば、所定の温度の乾燥風をあてる方法、加熱及び/又は加圧されたロール対を通す方法、等により行なえる。
−その他の工程−
本発明のインクジェット記録方法は、上記工程以外に、他の工程を設けてもよい。他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、加熱定着工程を設けてもよいし、処理液供給工程を設けてもよい。
(加熱定着工程)
本発明のインクジェット記録方法には、前記乾燥除去工程の後に、更に、例えばインクジェット記録方法で用いられるインク中に含まれるラテックス粒子を溶融定着する加熱定着工程を設けることができる。この加熱定着工程により、インクの記録媒体への定着性を高めることができる。加熱定着工程としては、上記のような溶融定着の他には特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
〜インクジェット記録方法の態様例〜
本発明のインクジェット記録方法は、例えば、下記の条件でインク描画、乾燥(水乾燥、送風乾燥)、加熱定着が行なえる。
(インク描画)
ヘッド:1,200dpi/20inch幅フルラインヘッド
吐出液滴量:0,2.0,3.5,4.0pLの4値記録
駆動周波数:30kHz(記録媒体搬送速度635mm/sec)
<乾燥(水乾燥、送風乾燥)>
風速:8〜15m/s
温度:40〜80℃
送風領域:640mm(乾燥時間1秒間)
<加熱定着>
シリコンゴムローラ(硬度50°、ニップ幅5mm)
ローラ温度:70〜90℃
圧力:0.5〜2.0MPa
(インク)
本発明に用いられるインクは、単色の画像形成のみならず、フルカラーの画像形成に用いることができる。フルカラー画像を形成するために、マゼンタ色調インク、シアン色調インク、及びイエロー色調インクを用いることができ、また、色調を整えるために、更にブラック色調インクを用いてもよい。また、イエロー、マゼンタ、シアン色調インク以外のレッド、グリーン、ブルー、白色インクやいわゆる印刷分野における特色インク(例えば無色)等を用いることができる。また、前記インクとしては、例えば、ラテックス粒子と、有機顔料と、分散剤と、水溶性有機溶媒とを含み、更に必要に応じて、その他の添加剤を含むものが挙げられる。
−ラテックス粒子−
ラテックス粒子としては、水系の媒質中に分散された、例えば、ノニオン性モノマー、アニオン性モノマー、カチオン性モノマーからなる化合物の重合物等の粒子が挙げられる。
前記ノニオン性モノマーとは、解離性の官能基を持たないモノマー化合物のことをいう。モノマー化合物とは広義には、化合物単独、あるいは別の化合物と重合する化合物のことを示す。モノマー化合物として、好ましくは不飽和2重結合を有するモノマー化合物である。
前記アニオン性モノマーとは、マイナスの電荷を持ちうるアニオン性基を含んでいるモノマー化合物のことをいう。アニオン性基は、マイナスの電荷を有するものであればいずれでもよいが、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、硫酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基又はカルボン酸基であることが好ましく、リン酸基、カルボン酸基であることがより好ましく、カルボン酸基であることがさらに好ましい。
前記カチオン性モノマーとは、プラスの電荷を持ちうるカチオン性基を含んでいるモノマーのことをいう。カチオン性基は、プラスの荷電を有するものであればいずれでもよいが、有機のカチオン性置換基であることが好ましく、窒素又はリンのカチオン性基であることがより好ましい。また、ピリジニウムカチオン又はアンモニウムカチオンであることがさらに好ましい。
−有機顔料−
オレンジ又はイエロー用の有機顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185等が挙げられる。
マゼンタ又はレッド用の有機顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222、C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
グリーン又はシアン用の有機顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7、米国特許4311775記載のシロキサン架橋アルミニウムフタロシアニン等が挙げられる。
ブラック用の有機顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック6、C.I.ピグメントブラック7等が挙げられる。
また、有機顔料の平均粒径は、透明性・色再現性の観点からは小さいほどよいが、耐光性の観点からは大きい方が好ましい。これらを両立する平均粒子径としては、10〜200nmが好ましく、10〜150nmがより好ましく、10〜100nmがさらに好ましい。また、有機顔料の粒径分布に関しては、特に制限は無く、広い粒径分布を持つもの、又は単分散の粒径分布を持つもの、いずれでもよい。また、単分散の粒径分布を持つ有機顔料を、2種以上混合して使用してもよい。
また、有機顔料の添加量は、インクに対して、1〜25質量%であることが好ましく、2〜20質量%がより好ましく、5〜20質量%がさらに好ましく、5〜15質量%が特に好ましい。
−分散剤−
前記有機顔料の分散剤としては、ポリマー分散剤でも低分子の界面活性剤型分散剤でもよい。また、ポリマー分散剤としては水溶性の分散剤でも非水溶性の分散剤のいずれでもよい。
前記低分子界面活性剤型分散剤は、インクを低粘度に保ちつつ、有機顔料を水溶媒に安定に分散させる目的で、添加されるものである。低分子分散剤は、分子量2,000以下の低分子分散剤である。また、低分子分散剤の分子量は、100〜2,000が好ましく、200〜2,000がより好ましい。
前記低分子分散剤は、親水性基と疎水性基とを含む構造を有している。また、親水性基と疎水性基は、それぞれ独立に1分子に1以上含まれていればよく、また、複数種類の親水性基、疎水性基を有していてもよい。また、親水性基と疎水性基を連結するための連結基も適宜有することができる。
前記親水性基は、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、あるいはこれらを組み合わせたベタイン型等である。
アニオン性基は、マイナスの電荷を有するものであればいずれでもよく、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、硫酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基又はカルボン酸基であることが好ましく、リン酸基、カルボン酸基であることがより好ましく、カルボン酸基であることがさらに好ましい。
カチオン性基は、プラスの荷電を有するものであればいずれでもよく、有機のカチオン性置換基であることが好ましく、窒素又はリンのカチオン性基であることがより好ましい。また、ピリジニウムカチオン又はアンモニウムカチオンであることがさらに好ましい。
ノニオン性基は、ポリエチレンオキシドやポリグリセリン、糖ユニットの一部等が挙げられる。
前記親水性基は、アニオン性基であることが好ましい。アニオン性基は、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、硫酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基又はカルボン酸基であることが好ましく、リン酸基、カルボン酸基であることがより好ましく、カルボン酸基であることが更に好ましい。
また、低分子分散剤がアニオン性の親水性基を有する場合、酸性の処理液と接触させて凝集反応を促進させる観点から、pKaが3以上であることが好ましい。本発明における低分子分散剤のpKaはテトラヒドロフラン−水(3:2=V/V)溶液に低分子分散剤1mmol/L溶解した液を酸あるいはアルカリ水溶液で滴定し、滴定曲線より実験的に求めた値のことである。低分子分散剤のpKaが3以上であれば、理論上、pH3程度の処理液と接したときに、アニオン性基の50%以上が非解離状態になる。したがって、低分子分散剤の水溶性が著しく低下し、凝集反応が起こる。すなわち、凝集反応性が向上する。この観点からも、低分子分散剤が、アニオン性基としてカルボン酸基を有していることが好ましい。
前記疎水性基は、炭化水素系、フッ化炭素系、シリコーン系等の構造を有するが、特に、炭化水素系であることが好ましい。また、これらの疎水性基は、直鎖状構造又は分岐状構造のいずれであってもよい。また疎水性基は、1本鎖状構造、又はこれ以上の鎖状構造でもよく、2本鎖状以上の構造である場合は、複数種類の疎水性基を有していてもよい。
また、疎水性基は、炭素数2〜24の炭化水素基が好ましく、炭素数4〜24の炭化水素基がより好ましく、炭素数6〜20の炭化水素基がさらに好ましい。
ポリマー分散剤のうち水溶性分散剤としては、親水性高分子化合物を用いることができる。例えば、天然の親水性高分子化合物では、アラビアガム、トラガンガム、グーアガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、アラビノガラクトン、ペクチン、クインスシードデンプン等の植物性高分子、アルギン酸、カラギーナン、寒天等の海藻系高分子、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン等の動物系高分子、キサンテンガム、デキストラン等の微生物系高分子等が挙げられる。
天然物を原料に修飾した親水性高分子化合物では、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の繊維素系高分子、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンリン酸エステルナトリウム等のデンプン系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等の海藻系高分子等が挙げられる。
また、合成系の水溶性高分子化合物としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル等のビニル系高分子、非架橋ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸又はそのアルカリ金属塩、水溶性スチレンアクリル樹脂等のアクリル系樹脂、水溶性スチレンマレイン酸樹脂、水溶性ビニルナフタレンアクリル樹脂、水溶性ビニルナフタレンマレイン酸樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のアルカリ金属塩、四級アンモニウムやアミノ基等のカチオン性官能基の塩を側鎖に有する高分子化合物、セラック等の天然高分子化合物等が挙げられる。
これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸、スチレンアクリル酸のホモポリマーや他の親水基を有するモノマーの共重合体からなるようなカルボキシル基を導入したものが高分子分散剤として特に好ましい。
ポリマー分散剤のうち非水溶性分散剤としては、疎水性部と親水性部の両方を有するポリマーを用いることができ、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート−(メタ)アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体等が挙げられる。
分散剤の重量平均分子量は、3,000〜100,000が好ましく、より好ましくは5,000〜50,000、更に好ましくは5,000〜40,000、特に好ましくは10,000〜40,000である。
有機顔料と分散剤との混合質量比としては、1:0.06〜1:3の範囲が好ましく、1:0.125〜1:2の範囲がより好ましく、更に好ましくは1:0.125〜1:1.5である。
−水溶性有機溶媒−
水溶性有機溶媒は、乾燥防止や湿潤促進等の目的で用いられる。
乾燥防止剤としての水溶性有機溶媒は、インクジェット記録方式におけるノズルのインク噴射口において好適に用いられ、インクジェット用インクが乾燥することによる目詰まりを防止する。
乾燥防止剤としては、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶媒が好ましい。このような乾燥防止剤の具体的な例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール類、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等の複素環類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能化合物、尿素誘導体が挙げられる。このうち、乾燥防止剤は、グリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコールが好ましい。また、上記の乾燥防止剤は単独で用いても、2種以上併用してもよい。これらの乾燥防止剤は、インク中に、10〜50質量%含有されることが好ましい。
また、浸透促進剤としての水溶性有機溶媒は、インクを記録媒体(印刷用紙)により良く浸透させる目的で好適に用いられる。このような浸透促進剤の具体的な例としては、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、1,2−ヘキサンジオール等のアルコール類やラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムやノニオン性界面活性剤等を好適に用いることができる。これらの浸透促進剤は、インク組成物中に、5〜30質量%含有されることで、充分な効果を発揮する。また、浸透促進剤は、印字の滲み、紙抜け(プリントスルー)を起こさない添加量の範囲内で、使用されることが好ましい。
また、水溶性有機溶媒は、上記以外にも、粘度の調整にも用いられる。粘度の調整に用いることができる水溶性有機溶媒の具体的な例としては、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、グリコール誘導体(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングルコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル)、アミン(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、テトラメチルプロピレンジアミン)及びその他の極性溶媒(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリル、アセトン)が含まれる。なお、水溶性有機溶媒は、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
−その他の添加剤−
前記その他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤は、水溶性インクの場合は、インクに直接添加する。油溶性染料を分散物の形で用いる場合は、染料分散物の調製後、分散物に添加するのが一般的であるが、調製時に油相又は水相に添加してもよい。
紫外線吸収剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。紫外線吸収剤としては、特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も用いることができる。
褪色防止剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。褪色防止剤としては、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機の褪色防止剤としてはハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類等があり、金属錯体としてはニッケル錯体、亜鉛錯体等がある。より具体的にはリサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのIないしJ項、同No.151
62、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を用いることができる。
防黴剤としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン及びその塩等が挙げられる。これらはインク中に0.02〜1.00重量%使用するのが好ましい。
pH調整剤としては、中和剤(有機塩基、無機アルカリ)を用いることができる。pH調整剤はインクジェット用インクの保存安定性を向上させる目的で、該インクジェット用インクがpH6〜10となるように添加するのが好ましく、pH7〜10となるように添加するのがより好ましい。
表面張力調整剤としては、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、ベタイン界面活性剤等が挙げられる。
また、表面張力調整剤の添加量は、インクジェットで良好に打滴するために、インクの表面張力を20〜60mN/mに調整する添加量が好ましく、20〜45mN/mに調整する添加量がより好ましく、25〜40mN/mに調整する添加量がさらに好ましい。
界面活性剤の具体的な例としては、炭化水素系では脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン系界面活性剤が好ましい。また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&ChemicaLs社)も好ましく用いられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。
更に、特開昭59−157636号の第(37)〜(38)頁、リサーチ・ディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも用いることができる。
また、特開2003−322926号、特開2004−325707号、特開2004−309806号の各公報に記載されているようなフッ素(フッ化アルキル系)系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等を用いることにより、耐擦性を良化することもできる。
また、これら表面張力調整剤は、消泡剤としても使用することができ、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、及びEDTAに代表されるキレート剤等、も使用することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準であり、「重合度」は「平均重合度」を表す。
(実施例1)
<記録媒体の作製>
(バインダー含有層形成用塗布液Aの調製)
カオリン(商品名:カオブライト90、白石カルシウム(株)製)100部、0.1N水酸化ナトリウム(和光純薬工業(株)製)3.8部、40%ポリアクリル酸ナトリウム(商品名:アロンT−50、東亞合成(株)製)1.3部、及び水49.6部を混合し、ノンバブリングニーダー(商品名:NBK−2、日本精機製作所(株)製)を用いて分散を行い、65%カオリン分散液を得た。次いで、22.5%ポリエステル系ウレタンラテックス水分散液(ガラス転移温度49℃、最低造膜温度29℃;商品名:ハイドランAP−40F、大日本インキ化学工業(株)製)100部に、水5部と得られた65%カオリン分散液7.0部と、10%エマルゲン109P(花王(株)) 0.8部を加え、十分に攪拌混合した後、得られた混合液の液温度を15〜25℃に保って、最終的な固形分濃度が24.0%のバインダー含有層形成用塗布液Aを得た。
(第1の塗布液aの調製)
水100部とカオリン(商品名:カオブライト90、白石カルシウム(株)製)75部と 焼成カオリン(商品名:カオカル、白石カルシウム(株)製)25部と、40%ポリアクリル酸ナトリウム(商品名:アロンT−50、東亞合成(株)製)2.5部とを混合し、水中に分散して顔料分散液を調製した。
この顔料分散液を7.5%PVA105((株)クラレ製)水溶液40部に添加した。さらに5%PVA145((株)クラレ製)水溶液100部と、48%SBR(SN307、日本エイアンドエル社、スチレン−ブタジエン系ラテックス)15部、10%Aerosol MA80(アメリカンサイアナミド(株)製、アニオン系界面活性剤)水溶液10部、2%ラピゾールA−90(日油(株)製、アニオン系界面活性剤)水溶液10部を添加して、最終的な固形分濃度が31%の第1の塗布液aを調製した。
(第2の塗布液bの調製)
クエン酸結晶(扶桑化学(株)製)10部を5%PVA145((株)クラレ製)水溶液20部に加え、更に10%Aerosol MA80(アメリカンサイアナミド(株)製、アニオン系界面活性剤)水溶液10部、2%ラピゾールA−90(日油(株)製、アニオン系界面活性剤)水溶液10部を添加して、最終的な固形分濃度が10%の第2の塗布液bを調製した。
(バインダー含有層の形成)
坪量81.4g/mの上質紙(商品名:しらおい、日本製紙(株)製)の両面に、得られたバインダー含有層形成用塗布液Aを、エクストルージョンダイコーターを用いて、片面当たりの塗布量が8.0g/mとなるように調整しながら片面ずつ塗布し、85℃、風速15m/秒で1分間乾燥して、バインダー含有層を形成した。さらに、形成したバインダー含有層に対して、下記に示すソフトカレンダー処理を行った。得られたバインダー含有層の厚みは8.1μmであった。
(吸収層の形成)
バインダー含有層が形成された上質紙の両面に、上記で調製した第1の塗布液aの上に第2の塗布液bが積層され、第2の塗布液bの塗布量が10mL/m、第1の塗布液aの塗布量が50mL/mとなるようにスライドビードコーターにより片面ずつ同時重層塗布し、70℃、風速10m/秒で1分間乾燥して、吸収層を形成した。さらに形成された吸収層に対して、下記に示すソフトカレンダー処理を行った。ソフトカレンダー処理後の吸収層の厚みは20.2μmであった。
〜ソフトカレンダー処理〜
前記バインダー含有層および吸収層が表面に形成された上質紙に対し、金属ロールと樹脂ロールとが対をなすロール対を備えたソフトカレンダーを用いて、金属ロールの表面温度50℃、ニップ圧50kg/cmの条件でソフトカレンダー処理を行った。
以上のようにして、本発明の記録媒体を作製した。
−吸収層の塗布性−
吸収層を形成する際の塗布性を、下記評価基準に従って評価した。
〜評価基準〜
A:吸収層の面状が良好であった。
B:吸収層の表面にひび割れや塗布ムラが認められたが、実用上問題はなかった。
C:吸収層の表面に塗布ムラ・ハジキが多く、印画評価に値しないレベルであった。
D:塗布時にカーテン膜が安定に形成されなかった。
<インクの調製>
(1)シアン顔料インクCの調製
−顔料分散物の調製−
大日精化社製のシアニンブルーA−22(PB15:3)10g、下記の低分子量分散剤10.0g、グリセリン4.0g、及びイオン交換水26gを攪拌、混合して分散液を調製した。次いで、超音波照射装置(SONICS社製 Vibra−cell VC−750、テーパーマイクロチップ:φ5mm、Ampitude:30%)を用いて、前記分散液に、超音波を間欠照射(照射0.5秒、休止1.0秒)で2時間照射し、顔料を更に分散させ、20%顔料分散液とした。
Figure 2010023302
上記の顔料分散液とは別に、以下に示す化合物を秤量し、攪拌、混合して、混合液Iを調製した。
・グリセリン ・・・5.0g
・ジエチレングリコール ・・・10.0g
・オルフィンE1010(日信化学工業社製)・・・1.0g
・イオン交換水 ・・・11.0g
この混合液Iを、攪拌した44%SBR分散液(ポリマー微粒子:アクリル酸3%、Tg(ガラス転移温度)30℃)23.0gにゆっくりと滴下して攪拌、混合し、混合液IIを調製した。
次に、この混合液IIを上記の20%顔料分散液にゆっくりと滴下しながら攪拌、混合して、シアン色の顔料インクC(シアンインク)100gを調製した。東亜DKK(株)製のpHメータWM−50EGを用いて、上記のようにして調製された顔料インクCのpHを測定したところ、pH値は8.5であった。
(2)マゼンタ顔料インクMの調製
顔料インクCの調製において、顔料インクCの調製に用いた顔料に代えて、チバ・スペシャリティーケミカルズ社のCromophtal Jet Magenta DMQ(PR−122)を用いたこと以外は、顔料インクCの調製と同様の方法でマゼンタ色の顔料インクM(マゼンダインク)を調製した。東亜DKK(株)製のpHメーターWM−50EGにて、上記のようにして調製された顔料インクMのpHを測定したところ、pH値は8.5であった。
(3)イエロー顔料インクYの調製
顔料インクCの調製において、顔料インクCの調製に用いた顔料に代えて、チバ・スペシャリティーケミカルズ社のIrgalite Yellow GS(PY74)を用いたこと以外は、顔料インクCの調製と同様の方法でイエロー色の顔料インクY(イエローインク)を調製した。東亜DKK(株)製のpHメータWM−50EGにて、上記のようにして調製された顔料インクYのpHを測定したところ、pH値は8.5であった。
(4)黒顔料インクKの調製
顔料インクCの調製において、顔料インクCの調製に使用した顔料分散液に代えて、CABOT社製の分散体CAB−O−JETTM_200(カーボンブラック)を用いたこと以外は、顔料インクCの調製と同様の方法でブラック色の顔料インクK(ブラックインク)を調製した。東亜DKK(株)製のpHメーターWM−50EGにて、上記のようにして調製された顔料インクKのpHを測定したところ、pH値は8.5であった。
<画像形成、並びに打滴方式及び条件>
上記シアン顔料インクC、マゼンタ顔料インクM、イエロー顔料インクY、黒顔料インクKを使用し、下記の条件にて、4色シングルパス画像形成を実施した。このとき、グレースケール及び文字画像を形成した。
〜インク描画〜
ヘッド:1,200dpi/20inch幅ピエゾフルラインヘッドを4色分配置
吐出液滴量:0、2.0、3.5、4.0pLの4値記録
駆動周波数:30kHz(記録媒体搬送速度635mm/sec)
〜乾燥(水乾燥、送風乾燥)〜
風速:15m/s
温度:60℃
送風領域:640mm(乾燥時間1秒間)
〜加熱定着〜
シリコンゴムローラ(硬度50°、ニップ幅5mm)
ローラ温度:90℃
圧力:0.8MPa
(評価)
得られたインクジェット記録媒体について、下記の評価1.〜5.を行なった。評価結果は下記表1に示す。なお、紙変形の評価に関し、カールおよびカックルは、いずれもインクジェット記録媒体に与えられた水分に起因する現象であることから、本実施例では、カールについてのみ評価した。
−1.コッブ吸水度試験−
JIS P8140に準拠した吸水度試験にしたがって、バインダー含有層が形成された上質紙のバインダー含有層表面にてコッブ吸水度(20℃の水に120秒間接触させたときの水の浸透量g/m)を測定した。
−2.吸収層のジエチレングリコール(DEG)吸収容量試験−
記録媒体を10cm四方となるようにカットして得た試験片の吸収層上に、ジエチレングリコール1mLを滴下し、30秒後に過剰分をふき取り、滴下前後の質量差からジエチレングリコール吸収容量(mL/m)を求めた。
−3.打滴評価試験−
記録媒体に印画したグレースケール及び文字画像について、下記基準に従い目視評価を行った。
<評価基準>
AA:画像にじみ、色間混色が見られず、4pt以下の“鷹”文字を解像できた。
A:画像にじみ、色間混色が見られず、5ptの“鷹”文字まで解像できた。
B:画像にじみ、色間混色がわずかに見られたが、実用上許容できた。
C:画像にじみ、色間混色が見られ、実用上問題があった。
−4.紙変形(カール)試験−
印画されたインクジェット記録媒体を裁断して50mm×5mmサイズの試験片を作成し、MD、CDそれぞれの方向に対してこの試験片に水が10g/mとなるよう塗布し、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法 No.15−2:2000(紙−カール試験方法−第2部)に規定されるカール曲率測定法に準拠して、23℃、50%RHの環境条件で8時間放置した後のカール度を下記の基準にしたがって評価した。
<評価基準>
A:カール度10未満
B:カール度10以上20未満
C:カール度20以上30未満
D:カール度30以上
−5.テープ剥離性試験−
記録媒体上にシアンのベタ画像を印画し、加熱定着を行った。定着3時間後に、印画部に12mm幅のメンディングテープ(3M社製)を貼り付けた後、このテープをはがした際の印画部の剥がれ具合を下記基準に従い、目視評価を行った。評価結果は、下記表1に示す。
A:印画部の剥がれは観察されなかった。
B:印画部の剥がれは観察されたが、紙上の画像への影響はほとんどなかった。
C:印画部の剥がれは観察され、紙上の画像は一部残っている程度であった。
D:印画部の剥がれが激しく、紙上の画像はほとんど残っていなかった。
(実施例2)
実施例1において、エクストルージョンダイコーターの代わりにカーテンコーターを用いて吸収層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、記録媒体を作製し、評価した。評価結果を下記表1に示した。
(実施例3〜4)
実施例2において、第2の塗布液bの塗布量を表1に示すように、それぞれ8mL/m、6mL/mに代えた以外は実施例2と同様にして、実施例3〜4の記録媒体を作製し、評価した。評価結果を下記表1に示した。
(実施例5〜15)
実施例2において、第2の塗布液bに添加したクエン酸結晶の代わりに、表1に示した酸性化合物を用いたこと以外は実施例2と同様にして、実施例5〜実施例15の記録媒体を作製し、評価した。評価結果を下記表1に示した。
(比較例1)
実施例1の吸収層の形成において、第2の塗布液bを10部と、第1の塗布液aを50部混合した塗布液を、塗布量が50mL/mとなるようにカーテンコーターにより塗布した以外は実施例1と同様にして、比較例1の記録媒体を作製した。
比較例1の記録媒体は、吸収層の面状が著しく不良で、印画評価するに値しなかった。
(比較例2)
実施例1の吸収層の形成において、第1の塗布液aを塗布量50mL/mにカーテンコーターにより塗布し、実施例1と同様にして乾燥した。次いで第2の塗布液bを塗布量10mL/mにてカーテンコーターにより塗布を行ったところ、カーテン膜が安定に形成されず、塗布液bを均一に塗布することができなかった。
Figure 2010023302
表中、A型同時は、エクストルージョンダイコーターを用いた塗布を意味し、B型塗布はカーテン方式による同時塗布を意味し、B型逐次はカーテン方式による逐次塗布を意味する。また混合は第1の塗布液と第2の塗布液を混合した後にカーテン方式で塗布したことを意味する。
表1から、本発明の製造方法で製造した記録媒体に画像を形成することで、高速で画像形成した場合にも、画像にじみ、色間混色の発生が抑制されたことがわかる。また、カールの発生も抑制されたことが分かる。
また比較例2において、第2の塗布液bを、スライドビードコーターを用いて塗布を行ったところ、塗布速度が不十分で生産性が極めて低かった。

Claims (12)

  1. 支持体上に、白色顔料およびバインダーを含む第1の塗布液と、酸性化合物を含む第2の塗布液とを同時重層塗布し、塗布層を形成する工程を備える記録媒体の製造方法。
  2. 前記塗布層はカーテン方式で形成される請求項1に記載の記録媒体の製造方法。
  3. 前記塗布層を形成する前に、前記支持体上にバインダー含有層を設ける工程を更に備える請求項1または請求項2に記載の記録媒体の製造方法。
  4. 前記バインダー含有層の表面におけるJIS P8140に準拠した吸水度試験による接触時間120秒のコッブ吸水度が2.0g/m以下である請求項3に記載の記録媒体の製造方法。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の記録媒体の製造方法により製造され、支持体上に白色顔料とバインダーと酸性化合物とを含む吸収層が設けられた記録媒体。
  6. 前記酸性化合物は、シュウ酸、酒石酸、マロン酸、及びクエン酸よりなる群から選択される少なくとも1種である請求項5に記載の記録媒体。
  7. 前記酸性化合物は、メタンスルホン酸及びリン酸の少なくとも一方である請求項5または請求項6に記載の記録媒体。
  8. 前記酸性化合物は、コハク酸及びフタル酸の少なくとも一方である請求項5〜請求項7のいずれか1項に記載の記録媒体。
  9. 前記酸性化合物は、ポリリン酸、ポリアクリル酸、ポリスルホン酸、及びポリホスホン酸よりなる群から選択される少なくとも1種である請求項5〜請求項8のいずれか1項に記載の記録媒体。
  10. 前記吸収層の表面におけるジエチレングリコールの吸収容量が2mL/m以上8mL/m以下である請求項5〜請求項9のいずれか1項に記載の記録媒体。
  11. 前記吸収層の表面におけるpH(25℃)が5.5以下である請求項5〜請求項10のいずれか1項に記載の記録媒体。
  12. 請求項5〜請求項11のいずれか1項に記載の記録媒体にインクジェット方式でインクを付与するインク付与工程と、
    前記インクが付与された記録媒体からインク溶媒の少なくとも一部を乾燥除去する乾燥除去工程と、を有するインクジェット記録方法。
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