JP5496739B2 - 画像形成方法 - Google Patents
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Description
特に、近年、印画の高速化に対するニーズが高まっており、シングルパスのような高速印刷システムを用いてインクジェット記録を行う場合、カールやカックル、紙変形を押さえつつ、ブロンズ及び色間混色を防止した記録媒体を用いることによって、高品質な画像の形成を安価に行える方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
一方、顔料を含有するインクに良好な耐擦性を与えるために、多孔質性インク受像層を有する記録媒体上に、着色剤、光硬化性モノマーを含有するインクジェット用インクを付与する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
また、特許文献2に記載の方法では、高速印画の際にインク同士が合一(着弾干渉)するため、高速記録に適さないという問題があった。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、高速記録においても、記録媒体への密着性に優れ、描画性が良好で高精細な画像を形成可能な画像形成方法を提供することを課題とする。
<1> 原紙と、バインダーを含む第1の層と、白色顔料および酸性物質を含む第2の層と、が順次積層されており、前記原紙上に配置された前記第1の層の表面におけるJIS P8140に準拠した吸水度試験による接触時間120秒のコッブ吸水度が2.0g/m2以下であって、前記第2の層の表面におけるブリストー法による接触時間0.5秒間の吸水量が2ml/m2以上8ml/m2以下であり、かつ前記第2の層の表面におけるpHが5.5以下である記録媒体上に、顔料、活性エネルギー線により重合する水溶性の重合性モノマー、及び水を少なくとも含むインク組成物を、インクジェット法により吐出して画像を形成する画像形成工程を有し、
前記インク組成物における前記顔料は、重量平均分子量が3,000〜100,000でありかつ酸価が25〜150mgKOH/gであるポリマー分散剤で、その表面の少なくとも一部が被覆された水分散性顔料であり、
前記インク組成物における前記重合性モノマーの前記顔料の固形分に対する含有率が顔料:重合性モノマー=1:1〜1:30である、画像形成方法。
<3> 前記酸性物質は、水への溶解度(25℃)が5質量%以上である、前記<1>または<2>に記載の画像形成方法。
<4> 前記酸性物質は、水への溶解度(25℃)が、30質量%以上70質量%以下である、前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の画像形成方法。
<5> 前記酸性物質は、マロン酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、マレイン酸、及びクエン酸よりなる群から選択される少なくとも1種である、前記<1>〜<4>のいずれか1項に記載の画像形成方法。
<6> 前記第2の層は、さらに水溶性多価金属化合物を含有する前記<1>〜<5>のいずれか1項に記載の画像形成方法。
<9> 前記インク組成物は、顔料の含有率が1.8質量%以上5.5質量%以下であり、前記重合性モノマーの含有率が10質量%以上22質量%以下である、前記<1>〜<8>のいずれか1項に記載の画像形成方法。
<10> 前記インク組成物は、さらに光重合開始剤を含む、前記<1>〜<9>のいずれか1項に記載の画像形成方法。
<12> 前記熱可塑性樹脂は、ポリエステル系ウレタン樹脂及びアクリルシリコーン系樹脂から選択される少なくとも1種である、前記<11>に記載の画像形成方法。
<13> 前記第1の層は、白色顔料をさらに含む、前記<1>〜<12>のいずれか1項に記載の画像形成方法。
<14> 前記第1の層及び第2の層に含まれる白色顔料の少なくとも一方は、カオリンである、前記<1>〜<13>のいずれか1項に記載の画像形成方法。
<15> 前記第2の層は、層表面のpHが4以下である、前記<1>〜<14>のいずれか1項に記載の画像形成方法。
本発明の画像形成方法は、原紙と、バインダーを含む第1の層と、白色顔料および酸性物質を含む第2の層と、が順次積層されており、前記原紙上に配置された前記第1の層の表面におけるJIS P8140に準拠した吸水度試験による接触時間120秒のコッブ吸水度が2.0g/m2以下であって、前記第2の層の表面におけるブリストー法による接触時間0.5秒間の吸水量が2ml/m2以上8ml/m2以下であり、かつ前記第2の層の表面におけるpHが5.5以下である記録媒体(以下、「特定記録媒体」ということがある)上に、顔料、活性エネルギー線により重合する水溶性の重合性モノマー(以下、単に「重合性モノマー」ということがある)、及び水を少なくとも含むインク組成物を、インクジェット法により吐出して画像を形成する画像形成工程を有し、必要に応じてその他の工程を含んで構成される。ただし、本発明の画像形成方法には、インク組成物における顔料は、重量平均分子量が3,000〜100,000でありかつ酸価が25〜150mgKOH/gであるポリマー分散剤で、その表面の少なくとも一部が被覆された水分散性顔料であり、インク組成物における重合性モノマーの顔料の固形分に対する含有率が顔料:重合性モノマー=1:1〜1:30である、画像形成方法が適用される。
特定記録媒体上に、重合性モノマーを含むインク組成物を付与することで、高速記録においても、記録媒体への密着性に優れ、着弾干渉が抑制された高精細な画像を形成することができる。
本発明におけるインク付与工程では、顔料、水溶性の重合性モノマー、及び水を含有するインク組成物を、特定記録媒体上に、インクジェット法で付与して画像を形成する。記録媒体およびインク組成物の詳細については後述する。
インクジェット法による画像形成では、エネルギーを供与することにより、記録媒体上にインク組成物を吐出し、着色画像を形成する。なお、本発明に好ましいインクジェット記録方法として、特開2003−306623号公報の段落番号0093〜0105に記載の方法が適用できる。
また、インクジェット法で用いるインクジェットヘッドは、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。さらに前記インクジェット法により記録を行う際に使用するインクノズル等についても特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができる。
尚、前記インクジェット法には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
本発明の画像形成方法は、記録媒体上に付与されたインク組成物に活性エネルギー線を照射する工程を含むことが好ましい。活性エネルギー線を照射することでインク組成物に含まれる重合性モノマーが重合して、顔料を含む硬化膜を形成する。これにより画像の密着性、耐擦性、耐ブロッキング性がより効果的に向上する。
活性エネルギー線の出力としては、その積算照射量が5000mJ/cm2以下であることが好ましく、10〜4000mJ/cm2であることがより好ましく、20〜3000mJ/cm2であることがさらに好ましい。活性エネルギー線の積算照射量がかかる範囲であることで、画像の密着性がより効果的に向上する。
また、発光ダイオード(LED)およびレーザーダイオード(LD)を活性放射線源として用いることが可能である。特に、紫外線源を要する場合、紫外LEDおよび紫外LDを使用することができる。例えば、日亜化学(株)は、主放出スペクトルが365nmと420nmとの間の波長を有する紫色LEDを上市している。
本発明で特に好ましい活性エネルギー線源は、UV−LEDであり、特に好ましくは、350〜420nmにピーク波長を有するUV−LEDである。
本発明の画像形成方法においては、必要に応じて、記録媒体上に付与されたインク組成物中のインク溶媒(例えば、水、水溶性有機溶剤等)を乾燥除去するインク乾燥工程を備えていてもよい。インク乾燥工程は、インク溶媒の少なくとも一部を除去できれば特に制限はなく、通常用いられる方法を適用することができる。
[記録媒体]
本発明における記録媒体は、原紙と、該原紙側から順に設けられた第1の層及び第2の層とを有してなり、必要に応じて、更に適宜選択された他の層を設けて構成することができる。本発明の記録媒体は、例えば、図1に示す記録媒体100のように、原紙としての上質紙111と、上質紙111の上に形成された第1の層としての溶媒ブロッキング層112と、溶媒ブロッキング層112の上に形成された第2の層としてのコート層113とを設けて構成される。また、記録媒体は、シート紙及びロール紙のいずれであってもよい。
原紙としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができる。
乾燥紙力増強剤としては、例えば、カチオン化澱粉、カチオン化ポリアクリルアミド、アニオン化ポリアクリルアミド、両性ポリアクリルアミド、カルボキシ変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。
サイズ剤としては、例えば、脂肪酸塩、ロジン、マレイン化ロジン等のロジン誘導体、パラフィンワックス、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水琥珀酸(ASA)、エポキシ化脂肪酸アミド等が挙げられる。
湿潤紙力増強剤としては、例えば、ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリン、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ化ポリアミド樹脂等が挙げられる。
定着剤としては、例えば、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム等の多価金属塩、カチオン化澱粉等のカチオン性ポリマー等が挙げられる。
pH調整剤としては、例えば、苛性ソーダ、炭酸ソーダ等が挙げられる。
その他の薬剤としては、例えば、消泡剤、染料、スライムコントロール剤、蛍光増白剤等が挙げられる。
水溶性高分子としては、例えば、カチオン化澱粉、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースサルフェート、ゼラチン、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム、スチレン−無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
サイズ剤としては、例えば、石油樹脂エマルジョン、スチレン−無水マレイン酸共重合体アルキルエステルのアンモニウム塩、ロジン、高級脂肪酸塩、アルキルケテンダイマー(AKD)、エポキシ化脂肪酸アミド等が挙げられる。
耐水性物質としては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、塩化ビニリデン共重合体等のラテックス・エマルジョン類、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン等が挙げられる。
顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、硫酸バリウム、酸化チタン等が挙げられる。
pH調整剤としては、例えば、塩酸、苛性ソーダ、炭酸ソーダ等が挙げられる。
前記記録媒体においては、前記原紙の上に第1の層が配置されている。第1の層を設けることにより、インク溶媒の原紙への浸透が抑制される。例えば、原紙に溶媒ブロッキング層が設けられた紙として、ポリエチレン樹脂を主成分とした被膜層を原紙表面に設けたものが公知となっている。しかしながら、上述の溶媒ブロッキング層を設けて耐水性を与えた紙では、水の浸透防止効果はほぼ完全なものが得られるが、紙としての風合いについては必ずしも満足できるものではない。
また、第1の層は、前記バインダー以外に、必要に応じて更に白色顔料等の他の成分を用いて構成することができる。
第1の層は、バインダーの少なくとも1種を含有する。バインダーは、分散のみならず、塗膜強度を向上させる目的で用いられる。
バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール(アセトアセチル変性、カルボキシ変性、イタコン酸変性、マレイン酸変性、シリカ変性及びアミノ基変性等の変性ポリビニルアルコールを含む)、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン類(変性デンプンを含む)、ゼラチン、アラビヤゴム、カゼイン、スチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、ポリアクリルアミド、酢酸ビニル−ポリアクリル酸共重合体のケン化物等が挙げられる。また、スチレン・ブタジエン共重合物、酢酸ビニル共重合物、アクリロニトリル・ブタジエン共重合物、アクリル酸メチル・ブタジエン共重合物、ポリ塩化ビニリデン等の合成高分子のラテックス系のバインダーが挙げられる。
特には、インク溶媒浸透性とコックリング抑制の効果が高く経済性と製造適性を兼ね備える点で、ポリエステル系ウレタン樹脂、アクリルシリコーン系樹脂が好ましい。
また、ポリエステル系ウレタン樹脂としては、例えば、市販品として、大日本インキ化学工業(株)製のHYDRAN APシリーズ(例えば、HYDRAN AP−20、同AP−30、同AP−30F、同AP−40(F)、同AP−50LM、同APX−101H、同APX−110、同APX−501など)等が挙げられる。
なお、上記の熱可塑性樹脂は、上記から少なくとも1種を選択して用いるのが好ましく、1種単独で用いるのみならず、2種以上を併用してもよい。
また、第1の層には、必要に応じて、これらのバインダーの種類に応じて、適当なバインダーの架橋剤を添加してもよい。
本発明においては、第1の層が設けられた原紙の第1の層の側からJIS P8140に準拠した吸水度試験により測定した接触時間120秒間のコッブ吸水度を2.0g/m2以下とする。コッブ吸水度が2.0g/m2以下であることにより、第1の層が設けられた原紙は緩浸透性を有し、インク等の液体が付与されたときの吸収を遅らせ、カールの発生の度合いを低減できる。
更には、コッブ吸水度は、1.0g/m2以下であることがより好ましい。また、コッブ吸水度の下限値は0.2g/m2が望ましい。
−白色顔料−
白色顔料としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、リトポン、アルミナ白、酸化亜鉛、シリカ三酸化アンチモン、燐酸チタン、水酸化アルミニウム、カオリン、クレー、タルク、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、等が挙げられる。
上記のうち、白色度、分散性及び安定性の点で、特に酸化チタンが好ましい。また、水遮断性の点で、特にカオリンが好ましい。カオリンとしては、例えば、白石カルシウム(株)製のカオブライト90、カオグロス、カオホワイト等、などを挙げることができる。
また、第1の層が白色顔料を含むことにより、第1の層を形成した後にカレンダー処理するときには、カレンダーへの貼りつきを防止することもできる。
白色顔料の第1の層中における含有量としては、白色顔料の種類や熱可塑性樹脂の種類、層厚等によって異なるが、前記バインダーの質量(固形分)に対して、通常は5〜200質量%程度が望ましい。
本発明の第1の層は、前記バインダーを硬膜する硬膜剤を含んでもよい。硬膜剤としては、アルデヒド系化合物、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサン及びその誘導体、及びハメットの置換基定数σpが正である置換基に隣接するビニル基を単一分子内に二つ以上有する化合物から選択することができる。
第1の層に硬膜剤を含有することにより、第1の層形成用の造膜液を増粘させることなく、記録媒体の耐水性を向上させることができる。これより、第1の層形成用の造膜液の塗布安定性が向上し、作製された記録媒体の耐水性も向上する。
第1の層は、さらに層状無機化合物を含有してもよい。層状無機化合物としては、膨潤性無機層状化合物が好ましく、例えば、ベントナイト、ヘクトライト、サポナイト、ビーデライト、ノントロナイト、スチブンサイト、バイデライト、モンモリナイト等の膨潤性粘度鉱物類、膨潤性合成雲母、膨潤性合成スメクタイト等が挙げられる。膨潤性無機層状化合物は、1〜1.5nmの厚さの単位結晶格子層からなる積層構造を有し、格子内金属原子置換が他の粘土鉱物よりも著しく大きいため、格子層は正荷電不足を生じ、それを補償するために層間にNa+、Ca2+、Mg2+等の陽イオンを吸着している。これらの層間に介在している陽イオンは交換性陽イオンと呼ばれ、いろいろな陽イオンと交換する。特に層間の陽イオンがLi+、Na+等の場合、イオン半径が小さいため、層状結晶格子間の結合が弱く、水により大きく膨潤する。その状態でシェアーをかけると容易に劈開し、水中で安定したゾルを形成する。ベントナイト及び膨潤性合成雲母は、この傾向が強い点で好ましい。特には、水膨潤性合成雲母が好ましい。
水膨潤性合成雲母のサイズは、好ましくは、厚さが1〜50nm、面サイズが1〜20μmである。拡散制御のためには、厚さは薄ければ薄いほどよく、平面サイズは塗布面の平滑性及び透明性を悪化しない範囲で大きいほどよい。したがって、アスペクト比は100以上が好ましく、より好ましくは200以上、特に好ましくは500以上である。
なお、第1の層には、酸化防止剤等の公知の添加剤を添加することもできる。
本発明の記録媒体は、原紙上の第1の層の上に更に第2の層を有する。
第2の層は、白色顔料と酸性物質とを少なくとも含み、第2の層の表面におけるブリストー法による接触時間0.5秒間の吸水量が2mL/m2以上8mL/m2以下であり、かつ、層表面のpHが5.5以下とする。この範囲であれば特に制限はなく、第2の層としては、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができる。
また、第2の層は、必要に応じて、更に水溶性多価金属化合物や熱可塑性樹脂などの他の成分を用いて構成することができる。
第2の層は、白色顔料の少なくとも1種を含有する。白色顔料を含有することにより、インク(特にインク中の顔料)を第2の層内に留めることができ、地肌白色度も高められる。
カオリンの中でも、アスペクト比が30以上のカオリンがより好ましい。アスペクト比が30以上であると、インク(特にインク中の顔料)を第2の層内に留めやすく、インク定着性をより向上させることができる。
また、第2の層中における第1の白色顔料の粒径は、第1の層中における第2の白色顔料の粒径と同様である。
第2の層は、酸性物質の少なくとも1種を含有する。第2の層が酸性物質を含有していることで、付与されたインク組成物の成分を凝集させ、形成される画像の定着を向上させることができる。すなわち、例えば、着色成分として顔料を含むインクの場合、第2の層に着滴した際に、pH変化で顔料が凝集し、インクの経時滲み、色間混色(色間にじみ)を効果的に抑制することができる。
例えば、リン酸基を有する化合物としては、リン酸、ポリリン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩があり、カルボン酸基を有する化合物としては、フラン、ピロール、ピロリン、ピロリドン、ピロン、ピロール、チオフェン、インドール、ピリジン、キノリン構造を有し、更に官能基としてカルボキシル基を有する化合物等、例えば、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩等がある。
また、顔料インクの凝集速度の点からは、メタンスルホン酸、リン酸が好ましく、紙の長期保存・長期安定性の点からは、シュウ酸、酒石酸、マロン酸、クエン酸が好ましく、画像固定性の点からは、コハク酸、フタル酸が好ましい。
さらに、第2の層に含有する酸性物質が酸性ポリマーであることもまた好ましい。酸性ポリマーとして、特に、ポリリン酸、ポリアクリル酸、ポリスルホン酸、ポリホスホン酸等を用いると、これらの酸性物質が紙中に拡散しにくくなるため、経時で色間にじみが悪化することが抑制され、印画前の紙の長期保存性の点で好ましい。
さらにまた前記酸性物質は、インク成分の凝集速度の観点から、水への溶解度が5質量%以上であることが好ましく、30質量%以上70質量%以下であることがより好ましい。
これらの酸性物質を第2の層形成用の造膜液に添加することにより、pHを5.5以下に調整することができる。添加量は、第2の層の層表面のpHが5.5以下になるように適宜選択すればよい。
上述したように、第2の層は、色間混色・にじみの発生を抑制するために、その層表面のpHを5.5以下とするが、pH4.5以下であることが好ましく、pH4.0以下であることがより好ましく、pH3.7以下であることが特に好ましい。
また、記録媒体の取り扱いの際における安全上の問題を回避し、また、第2の層中にpHの低い酸があることにより、記録媒体の長期保存時に紙が損傷し易くなり却って色間にじみ等の印画故障を発生することを防止するため、第2の層の層表面のpHは、2.0以上とすることが好ましく、2.5以上がより好ましい。
前記第2の層には、経時にじみを抑制する観点から、更に水溶性多価金属化合物の少なくとも1種を含有することが好ましい。前記水溶性多価金属化合物としては、カルシウム、バリウム、マンガン、銅、コバルト、ニッケル、アルミニウム、鉄、亜鉛、ジルコニウム、チタン、クロム、マグネシウム、タングステン、モリブデンが挙げられ、これらの金属の水溶性塩として用いることができる。
具体的には、例えば、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、乳酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガンニ水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)ニ水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、硫酸アルミニウム、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物、乳酸アルミニウム、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、酢酸ジルコニル、硝酸ジルコニル、塩基性炭酸ジルコニウム、水酸化ジルコニル、炭酸ジルコニル・アンモニウム、炭酸ジルコニル・カリウム、硫酸ジルコニル、フッ化ジルコニル、塩化ジルコニル、塩化ジルコニル八水和物、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニル、塩化チタン、硫酸チタン、酢酸クロム、硫酸クロム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、乳酸マグネシウム、リンタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストリン酸n水和物、12タングスト珪酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドリン酸n水和物等が挙げられる。
ここで、前記水溶性多価金属化合物における「水溶性」とは、常温常圧下で水に1質量%以上溶解することを意味する。
[Al(OH)3]nAlCl3 一般式2
Aln(OH)mCl(3n−m) 0<m<3n 一般式3
第2の層は、上記成分以外に、バインダーなどの他の成分を含んでもよい。
バインダーとしては、特に制限はなく、例えば、既述の第1の層で挙げられたものと同様の熱可塑性樹脂を用いることができる。
本発明においては、第2の層の表面におけるブリストー法による接触時間0.5秒間の吸水量を2mL/m2以上8mL/m2以下とする。この吸水量が2〜8mL/m2であることにより、第2の層は緩浸透性であり、インク等の液体が付与されたときの付与面での液吸収を遅らせ、カールの程度を抑制できると共に、色間滲みや混色が防止される。すなわち本発明においては、前記吸水量が2mL/m2未満または8mL/m2を超えると色間滲みや混色が発生する場合がある。
色間滲みや混色の防止は、既述のように第2の層の層表面のpHを酸性(特にpH4以下)に調整するか、あるいは後述の酸性物質を含む処理液をインクと共に用いる場合に特に有効である。
第2の層における前記吸水量は、更には、前記同様の理由から、2mL/m2以上4mL/m2以下の範囲が好ましい。
本発明の記録媒体には、その他の層として上記第1及び第2の層以外の他の層を設けてもよい。他の層としては、目的に応じて適宜選択することができる。
本発明におけるインク組成物は、顔料の少なくとも1種、活性エネルギー線により重合する水溶性の重合性モノマーの少なくとも1種、および水を含んでなり、必要に応じて、更に光重合開始剤、ポリマー粒子、分散剤、界面活性剤、その他の成分等を用いて構成することができる。
本発明におけるインク組成物は、色材成分として顔料の少なくとも1種を含有する。顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機顔料、無機顔料のいずれであってもよい。顔料は、水に殆ど不溶であるか又は難溶である顔料であることが、インク着色性の点で好ましい。
前記有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、多環式顔料、染料キレート、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、多環式顔料などがより好ましい。前記アゾ顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、などが挙げられる。前記多環式顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料、などが挙げられる。前記染料キレートとしては、例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート、などが挙げられる。
本発明のインク組成物は、分散剤の少なくとも1種を含有することができる。前記顔料の分散剤としては、ポリマー分散剤、又は低分子の界面活性剤型分散剤のいずれでもよい。また、ポリマー分散剤は、水溶性の分散剤、又は非水溶性の分散剤のいずれでもよい。
また、疎水性基は、炭素数2〜24の炭化水素基が好ましく、炭素数4〜24の炭化水素基がより好ましく、炭素数6〜20の炭化水素基がさらに好ましい。
また、顔料は、凝集性の観点から、その表面の少なくとも一部がポリマー分散剤で被覆された水分散性顔料であることが好ましく、その表面の少なくとも一部がカルボキシル基を有するポリマー分散剤に被覆され、水不溶性の水分散性顔料であることがより好ましい。
工程(1):顔料、分散剤、および該分散剤を溶解または分散する有機溶剤と共に、塩基性物質を含み、水を主成分とする溶液を含有する混合物を分散処理する工程
工程(2):分散処理後の混合物から、前記有機溶剤の少なくとも一部を除去する工程
また、必要に応じて、縦型もしくは横型のサンドグラインダー、ピンミル、スリットミル、超音波分散機、高圧分散機等を用い、0.01〜1mmの粒径のガラス、ジルコニア等でできたビーズを用いた微分散処理を行うことにより得ることができる。
なお、顔料粒子の平均粒子径及び粒径分布は、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)製)を用いて、動的光散乱法により体積平均粒径を測定することにより求められるものである。
顔料のインク組成物中における含有量としては、画像濃度の観点から、インク組成物に対して、1〜25質量%であることが好ましく、1.5〜20質量%がより好ましく、1.8〜5.5質量%がさらに好ましい。
本発明におけるインク組成物は、活性エネルギー線により重合する水溶性の重合性モノマーの少なくとも1種を含有する。この重合性モノマーは、前記顔料と共に併用し、処理液と接触して凝集するときには粒子間に取り込まれて、その後の重合硬化により画像を強化する。
前記多価アルコールは、エチレンオキシドの付加により内部にエチレンオキシド鎖で鎖延長されたものでもよい。
重合性モノマーのインク組成物中における含有率としては、4〜30質量%であることが好ましく、10〜22質量%であることがより好ましい。
また重合性モノマーの顔料の固形分に対する含有率としては、顔料:重合性モノマー=1:1〜1:30が好ましく、1:3〜1:15がより好ましい。重合性モノマーの含有率は、顔料の1倍以上であると画像強度がより向上して画像の耐擦過性に優れ、30倍以下であるとパイルハイトの点で有利である。
本発明におけるインク組成物は、活性エネルギー線により前記重合性モノマーの重合を開始可能な開始剤の少なくとも1種を含有することが好ましく、光重合開始剤の少なくとも1種を含有することがより好ましい。開始剤は、1種単独で又は2種以上を混合して、あるいは増感剤と併用して使用することができる。
増感剤は、本発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。
本発明におけるインク組成物は水系媒体を含む。水系媒体は少なくとも水を含み、必要に応じて有機溶剤の少なくとも1種を含んで構成される。
本発明における水としては、イオン交換水、蒸留水などのイオン性不純物を含まない水を用いることが好ましい。また、インク組成物における水の含有率は、目的に応じて適宜選択されるが、通常、10〜95質量%であることが好ましく、30〜90質量%であることがより好ましい。
本発明における水系媒体は水溶性有機溶剤の少なくとも1種を含むことが好ましい。水溶性有機溶剤を含有することで、乾燥防止、湿潤あるいは浸透促進の効果を得ることができる。乾燥防止には、噴射ノズルのインク吐出口においてインクが付着乾燥して凝集体ができ、目詰まりするのを防止する乾燥防止剤として用いられ、乾燥防止や湿潤には、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。また水溶性有機溶剤は、紙へのインク浸透性を高める浸透促進剤として用いることができる。
このうち、乾燥防止剤としては、グリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコールが好ましい。
乾燥防止剤は、1種単独で用いても2種以上併用してもよい。乾燥防止剤の含有量は、インク組成物中に10〜50質量%の範囲とするのが好ましい。
浸透促進剤は、1種単独で用いても2種以上併用してもよい。浸透促進剤の含有量は、インク組成物中に5〜30質量%の範囲であるのが好ましい。また、浸透促進剤は、画像の滲み、紙抜け(プリントスルー)を起こさない量の範囲内で使用することが好ましい。
本発明におけるインク組成物は、ポリマー粒子の少なくとも1種を含有することが好ましい。ポリマー粒子を含むことにより、インク組成物の記録媒体への定着性、画像の耐擦性、耐ブロッキング性を効果的に向上させることができる。
またポリマー粒子は、既述の処理液又はこれを乾燥させた記録媒体上の領域と接触した際に凝集、又は分散不安定化してインクを増粘させることにより、インク組成物、すなわち画像を固定化させる機能を有することが好ましい。このようなポリマー粒子は、水および有機溶剤の少なくとも1種に分散されているものが好ましい。
またポリマー粒子はラテックスの形態で用いることもできる。
またポリマー粒子の体積平均粒径は、10nm〜1μmの範囲が好ましく、10〜200nmの範囲がより好ましく、20〜100nmの範囲が更に好ましく、20〜50nmの範囲が特に好ましい。
ポリマー粒子のガラス転移温度Tgは30℃以上であることが好ましく、40℃以上がより好ましく、50℃以上がさらに好ましい。
また、ポリマー微子の粒径分布に関しては、特に制限は無く、広い粒径分布を持つもの、又は単分散の粒径分布を持つもの、いずれでもよい。また、単分散の粒径分布を持つポリマー粒子を、2種以上混合して使用してもよい
本発明におけるインク組成物は、上記成分以外にその他の添加剤を用いて構成することができる。その他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤は、インク組成物の場合はインクに直接添加し、また、油性染料を分散物として用いる場合は染料分散物の調製後に分散物に添加するのが一般的であるが、調製時に油相又は水相に添加してもよい。
表面張力調整剤の添加量は、インク組成物の表面張力を20〜60mN/mに調整できる範囲が好ましく、20〜45mN/mに調整できる範囲がより好ましく、25〜40mN/mに調整できる範囲が更に好ましい。添加量が前記範囲内であると、インクジェット法で良好に打滴することができる。
更に、特開昭59−157636号の第(37)〜(38)頁、リサーチ・ディスクロージャーNo.308119(1989年)に界面活性剤として挙げられたものも用いることができる。
また、特開2003−322926号、特開2004−325707号、特開2004−309806号の各公報に記載のフッ素(フッ化アルキル系)系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等を用いることにより、耐擦性を良化することもできる。
(第1の層形成用塗布液Aの調製)
カオリン(商品名:カオブライト90、白石カルシウム(株)製)100部、0.1N水酸化ナトリウム(和光純薬工業(株)製)3.8部、40%ポリアクリル酸ナトリウム(商品名:アロンT−50、東亞合成(株)製)1.3部、及び水49.6部を混合し、ノンバブリングニーダー(商品名:NBK−2、日本精機製作所(株)製)を用いて分散を行い、65%カオリン分散液を得た。次いで、22.5%ポリエステル系ウレタンラテックス水分散液(ガラス転移温度49℃、最低造膜温度29℃;商品名:ハイドランAP−40F、大日本インキ化学工業(株)製)100部に、水5部と得られた65%カオリン分散液7.0部と、10%エマルゲン109P(花王(株)) 0.8部を加え、十分に攪拌混合した後、得られた混合液の液温度を15〜25℃に保って、最終的な固形分濃度が24.0%の第1の層形成用塗布液Aを得た。
カオリン(商品名:カオブライト90、白石カルシウム(株)製)100部と、40%ポリアクリル酸ナトリウム(商品名:アロンT−50、東亞合成(株)製)1.3部とを混合し、水中に分散し、7%PVA245((株)クラレ製)水溶液100部と、10%エマルゲン109P((株)花王製)水溶液3.5部を添加して、さらに塗布後の第2の層の層表面pHが3.5となるように塩酸 硝酸を添加し、最終的な固形分濃度が27%の第2の層形成用塗布液aを調製した。
坪量81.4g/m2の上質紙(商品名:しらおい、日本製紙(株)製)の両面に、得られた第1の層形成用塗布液Aを、エクストルージョンダイコーターを用いて、片面当たりの塗布量が8.0g/m2となるように調整しながら片面ずつ塗布し、85℃、風速15m/秒で1分間乾燥して、第1の層を形成した。さらに、形成した第1の層に対して、下記に示すソフトカレンダー処理を行った。得られた第1の層の厚みは8.1μmであった。
前記第1の層が表面に形成された上質紙に対し、金属ロールと樹脂ロールとが対をなすロール対を備えたソフトカレンダーを用いて、金属ロールの表面温度50℃、ニップ圧50kg/cmの条件でソフトカレンダー処理を行った。
第1の層が形成された上質紙の両面に、上記で調製した第2の層形成用塗布液aを、エクストルージョンダイコーターを用いて、片面当たりの乾燥質量が20g/m2となるように調整しながら片面ずつ塗布し、70℃、風速10m/秒で1分間乾燥して、第2の層を形成した。さらに形成された第2の層に対して、上記と同様にしてカレンダー処理を行った。得られた第2の層の厚みは20.2μmであった。
以上のようにして、記録媒体1を作製した。
上記記録媒体1の製造において、硝酸の代わりに下記表1に示した酸性物質を用いたこと以外は上記と同様にして記録媒体2〜9をそれぞれ製造した。
記録媒体6の製造において、第2の層形成用塗布液aに、更に塩基性ポリ水酸化アルミニウム(ピュケラムWT、理研グリーン(株)製)〔水溶性多価金属化合物〕を6.0部添加した以外は、上記と同様にして、記録媒体10を製造した。
記録媒体6の製造において、第2の層形成用塗布液aに、更に酢酸ジルコニル(ジルコゾールZA−20、第一稀元素化学工業(株)製)〔水溶性多価金属化合物〕を6.0部添加した以外は、上記と同様にして記録媒体11を製造した。
記録媒体1の製造において、第1の層の塗布量を4g/m2に変更した以外は、実施例1と同様にして、記録媒体C1を作製した。
記録媒体1の製造において、第2の層形成用塗布液a成分中のカオリン(商品名:カオブライト90、白石カルシウム(株)製)を、酸化チタン(商品名:タイペークR280、石原産業(株)製)に変更した以外は、上記と同様にして記録媒体C2を作製した。
記録媒体1の製造において、第2の層の層表面がpH6.0となるように第2の層形成用塗布液aに硝酸を添加した以外は、上記と同様にして記録媒体C3を作製した。
記録媒体1の製造において、第2の層形成用塗布液aに硝酸を添加しなかった以外は、上記と同様にして、記録媒体C4を作製した。
記録媒体1の製造において、第2の層の塗布量を10g/m2に変更した以外は、上記と同様にして、記録媒体C5を作製した。
得られた記録媒体について、下記の評価1.〜2.を行なった。評価結果は下記表1に示す。
−1.第1の層のコッブ吸水度試験−
JIS P8140に準拠した吸水度試験にしたがって、第1の層が形成された上質紙の第1の層表面にてコッブ吸水度(20℃の水に120秒間接触させたときの水の浸透量g/m2)を測定した。
ブリストー法に基づき、以下のようにして測定した。
得られたインクジェット記録媒体をA6サイズにカットして得られた第2の層のサンプル片を測定盤に設置した。設置されたサンプル片に、試験液が充填されたヘッドを接触させた後、内側から外側へのらせん状の走査ラインを自動走査して吸液特性を測定した。測定盤が回転速度(紙とインクとの接触時間)を段階的に変化させ、回転させることにより接触時間と吸水量との関係を得た。下記表1には、接触時間0.5秒における吸水量を示す。
《シアンインクAの調製》
−シアン分散液の調製−
反応容器に、スチレン6部、ステアリルメタクリレート11部、スチレンマクロマーAS−6(東亜合成(株)製)4部、ブレンマーPP−500(日本油脂(株)製)5部、メタクリル酸5部、2−メルカプトエタノール0.05部、及びメチルエチルケトン24部を加え、混合溶液を調液した。
−シアンインクAの組成−
・シアン分散液 ・・・40%
・下記ノニオン性化合物2(ノニオン性の重合性モノマー) ・・・19%
・サンニックスGP250 ・・・1%
(三洋化成工業(株)製;水溶性有機溶剤)
・オルフィンE1010(日信化学工業(株)製) ・・・1%
・イルガキュア2959 ・・・2.9%
(チバ・ジャパン(株)製;光重合開始剤)
・イオン交換水 ・・・上記との合計が100%となるように加水した。
−マゼンタ分散液の調製−
上記シアン分散液の調製において、シアン顔料の代わりに、マゼンタ顔料(Pigment Red 122、チバ・ジャパン(株)製)を用いたこと以外は上記と同様にして、マゼンタ分散液を調製した。
上記シアンインクの調製において用いたシアン分散液を、マゼンタ分散液に代えた以外は同様にして、マゼンタインクAを調製した。
重合性モノマーを下記ノニオン性化合物(c)に変更し、下記組成になるように各成分を混合してシアンインクBを調製した。
−シアンインクBの組成−
・シアン分散液 ・・・40%
・下記ノニオン性化合物c(ノニオン性の重合性モノマー) ・・・19%
・サンニックスGP250 ・・・1%
(三洋化成工業(株)製;親水性有機溶剤)
・オルフィンE1010(日信化学工業(株)製) ・・・1%
・イルガキュア 2959 ・・・2.9%
(チバ・ジャパン(株)製;光重合開始剤)
・イオン交換水 ・・・上記との合計が100%となるように加水した。
上記シアンインクBの調製において、シアン分散物をマゼンタ分散物に代えた以外は同様にして、マゼンタインクBを調製した。
重合性モノマーを用いずに、下記組成になるように、各成分を混合してシアンインクCを調製した。
−シアンインクCの組成−
・シアン分散液 ・・・40%
・サンニックスGP250 ・・・10%
(三洋化成工業(株)製;親水性有機溶剤)
・トリプロピレングリコールモノメチルエーテル ・・・8%
・オルフィンE1010(日信化学工業(株)製) ・・・1%
・イオン交換水 ・・・上記との合計が100%となるように加水した。
上記シアンインクCの調製において、シアン分散液をマゼンタ分散液に代えた以外は同様にして作製した。
下記表2に示したような記録媒体とインク組成物の組み合わせを用いて、以下のようにして画像を形成した。
−1.画像品質(描画性)−
上記のようにして記録媒体上に記録された、幅1ドットのライン、幅2ドットのライン、幅4ドットのラインについて、下記の評価基準にしたがって描画性を評価した。評価結果は下記表2に示す。
〜評価基準〜
1:全てのラインが均質なラインであった。
2:幅1ドットのラインは均質であったが、幅2ドット及び幅4ドットのラインの一部にライン幅の不均一やラインの切れ、液溜まりが認められた(実用上の限界)。
3:幅1ドットのラインは均質であったが、幅2ドット及び幅4ドットのラインの全般にライン幅の不均一やラインの切れ、液溜まりが認められた。
4:ライン全体にライン幅の不均一やラインの切れ、液溜まりが顕著に認められた。
前記で作製したベタ画像部に、描画1日経過後、セロハンテープ(ニチバン社製)を貼り、貼付後すぐにはがしたときの、描画画像のインクのはがれ程度を評価した。評価基準は、ほぼ全面剥離を5、まったくはがれないものを1とし、その間のはがれ程度に応じて5段階評価を行った。
〜評価基準〜
1:まったくはがれなかった。
2:画像としては剥離がわからないが、はがしたテープの接着面に極わずかに着色があった。
3:良く見るとわずかに白地が見え、はがしたテープの接着面にわずかに着色が見えた(実用上の限界)。
4:目視で描画像に白点状のはがれが多く見られた。
5:全面剥離し、紙地がむき出しとなった。
11・・・上質紙
12・・・溶媒ブロッキング層(第1の層)
13・・・コート層(第2の層)
Claims (15)
- 原紙と、バインダーを含む第1の層と、白色顔料および酸性物質を含む第2の層と、が順次積層されており、前記原紙上に配置された前記第1の層の表面におけるJIS P8140に準拠した吸水度試験による接触時間120秒のコッブ吸水度が2.0g/m2以下であって、前記第2の層の表面におけるブリストー法による接触時間0.5秒間の吸水量が2ml/m2以上8ml/m2以下であり、かつ前記第2の層の表面におけるpHが5.5以下である記録媒体上に、
顔料、活性エネルギー線により重合する水溶性の重合性モノマー、及び水を少なくとも含むインク組成物を、インクジェット法により吐出して画像を形成する画像形成工程を有し、
前記インク組成物における前記顔料は、重量平均分子量が3,000〜100,000でありかつ酸価が25〜150mgKOH/gであるポリマー分散剤で、その表面の少なくとも一部が被覆された水分散性顔料であり、
前記インク組成物における前記重合性モノマーの前記顔料の固形分に対する含有率が顔料:重合性モノマー=1:1〜1:30である、画像形成方法。 - 前記酸性物質は、分子量が100以上で、かつ分子内に2以上のカルボキシル基を有し、そのpKa1(25℃)が2.6以上4.6以下であって、pKa2(25℃)が3.8以上5.4以下である、請求項1に記載の画像形成方法。
- 前記酸性物質は、水への溶解度(25℃)が5質量%以上である、請求項1または請求項2に記載の画像形成方法。
- 前記酸性物質は、水への溶解度(25℃)が、30質量%以上70質量%以下である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 前記酸性物質は、マロン酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、マレイン酸、及びクエン酸よりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 前記第2の層は、さらに水溶性多価金属化合物を含有する請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 前記ポリマー分散剤は、カルボキシル基を有する、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 前記重合性モノマーは、ノニオン性化合物である、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 前記インク組成物は、顔料の含有率が1.8質量%以上5.5質量%以下であり、前記重合性モノマーの含有率が10質量%以上22質量%以下である、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 前記インク組成物は、さらに光重合開始剤を含む、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 前記バインダーは、熱可塑性樹脂を含む、請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 前記熱可塑性樹脂は、ポリエステル系ウレタン樹脂及びアクリルシリコーン系樹脂から選択される少なくとも1種である、請求項11に記載の画像形成方法。
- 前記第1の層は、白色顔料をさらに含む、請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 前記第1の層及び第2の層に含まれる白色顔料の少なくとも一方は、カオリンである、請求項13に記載の画像形成方法。
- 前記第2の層は、層表面のpHが4以下である、請求項1〜請求項14のいずれか1項に記載の画像形成方法。
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